(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174922
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】絶縁体、固定子および電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20221117BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20221117BHJP
H02K 3/18 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H02K3/46 B
H02K1/18 C
H02K3/18 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080969
(22)【出願日】2021-05-12
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 将広
【テーマコード(参考)】
5H601
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601CC01
5H601DD01
5H601DD11
5H601EE03
5H601EE23
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB48
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD12
5H601GD13
5H601GD22
5H601HH14
5H601JJ07
5H603AA04
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB01
5H603CB21
5H603CC11
5H603CD21
5H603CE01
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604DA14
5H604DB01
5H604PB03
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】固定子の絶縁特性を向上させることができる絶縁体を提供する。
【解決手段】絶縁体は第1の絶縁体200Aと第2の絶縁体200Bからなる。第1の絶縁体200Aおよび第2の絶縁体200Bそれぞれ第1鍔部と第2鍔部および胴部230から構成されている。第1絶縁体200Aの第2鍔部と第2絶縁体200Bの第2鍔部は互いに重ね合わされて重合部を形成する。重合部は、第1絶縁体200Aの第2鍔部における立上部220B35、第2曲線部220B34、第1先端面220B32、第2先端面220B33および側面部分220B3と、第2絶縁体200Bの第2鍔部における立上部400B26、第1段差400B24、第2段差400B25、側面裏部分400B23、第4曲線部400B22と側面部分400B2によって構成されている。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁体と第2の絶縁体を組み合わせてなる固定子に用いられる絶縁体であって、前記第1の絶縁体と第2の絶縁体はそれぞれ第1鍔部と第2鍔部および当該第1鍔部と第2鍔部を連接する胴部を備えてなり、前記第1の絶縁体と第2の絶縁体は前記第1鍔部を略同一構造となし、前記第1の絶縁体の第2鍔部と前記第2の絶縁体の第2鍔部には、互いの前記第2鍔部間を閉塞する重合部を備えて構成したことを特徴とする絶縁体。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁体であって、前記第2の絶縁体の第2鍔部は、前記胴部内周面に形成される貫通孔から前記固定子の周方向に向けて延出して、前記固定子のティース間を連結する連結部に当接する側面部分と、当該側面部分から連続して前記重合部の先端部を構成する第4曲線部と、該第4曲線部から連続して、前記側面部分の延出方向とは逆方向へ延出する側面裏部分と、該側面裏部分の端部に形成される第1段差と、該第1段差から連続する第2段差と、該第2段差から前記胴部の外周面に向けて延出する立上部からなり、前記第1絶縁体の第2鍔部は、前記胴部内周面に形成される貫通孔から前記固定子の周方向に向けて延出して、前記固定子の連結部および前記第4曲線部に当接する第1曲線部と、該第1曲線部から連続して、前記第2の絶縁体の側面裏部分と当接する側面部分と、該側面裏部分から連続して、前記重合部の先端部を構成する第1先端面および第2先端面と、該第2先端面から連続する第2曲線部と、該第2曲線部から前記胴部の外周面に向けて延出する立上部からなることを特徴とする絶縁体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の絶縁体であって、前記第2の絶縁体における第1段差および第2段差と前記第1の絶縁体における第2先端面および第2曲線部間に、前記第1の絶縁体と第2の絶縁体に各々巻回される固定子巻線間に配置される巻線絶縁部材の折曲中央部を配置してなることを特徴とする絶縁体。
【請求項4】
請求項3に記載の絶縁体であって、前記巻線絶縁部材の折曲端部を、第1の絶縁体の第1鍔部と前記第2の絶縁体の第1鍔部の凹部に配置してなることを特徴とする絶縁体。
【請求項5】
固定子コアと、絶縁体と、固定子巻線と、巻線絶縁部材とを備える前記固定子であって、前記絶縁体として請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の絶縁体が用いられていることを特徴とする固定子。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の絶縁体を備える前記固定子であって、前記第1の絶縁体および第2の絶縁体の貫通孔に挿通するティースと、前記固定子の径方向内周側に位置する当該ティースの先端部間を前記固定子の周方向において連結する前記連結部を備えてなる第1コア部材と、前記第1の絶縁体および第2の絶縁体の貫通孔を挿通した前記ティースの基部の径方向外周側の端部を嵌合する凹部を備えて、前記固定子の軸方向に直角な断面で見て周方向に沿って延在する第2コア部材によって構成したことを特徴とする固定子。
【請求項7】
前記固定子と、該固定子に対して相対的に回転可能な回転子を備える電動機であって、
前記固定子として請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の固定子が用いられていることを特徴とする電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子コアのティースに固定子巻線を巻回する絶縁体と、当該絶縁体を備えた固定子および電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機駆動電動機、車両駆動電動機、車載機器駆動電動機等として、固定子と回転子を備え、固定子を構成する固定子コアのティースに固定子巻線が集中巻き方式で巻き付けられている電動機(「集中巻き電動機」と呼ばれている)が用いられている。集中巻き電動機では、固定子巻線は、絶縁体(「樹脂ボビン」と呼ばれている)を介してティースに巻き付けられている。
【0003】
また、このような集中巻き電動機において、固定子巻線の巻数を増加させて固定子巻線の占積率を高めるために、分割コアにより構成される固定子コア(「分割構造の固定子コア」と呼ばれている)を用いた電動機が提案されている。
【0004】
分割コアの固定子コアを用いた電動機は、例えば、下記特許文献1乃至3に開示されている。特許文献1に開示されている電動機は、特許文献1の
図1に示すように、固定子と、固定子の内側に配置される回転子と、固定子の外側に配置されるハウジングを備えている。固定子は、環状の固定子コアと巻線およびインシュレータを備えており、固定子コアは、複数のコア片が環状に連結して構成されている。複数のコア片は、バックヨークと、該バックヨークから内側に配置されるティースを有し、複数(12個)のコア片が周方向に30度間隔に配列されている。
【0005】
インシュレータは、固定子コアのバックヨークおよびティースに組み付けられ、絶縁被覆したマグネットワイヤをインシュレータにコイル状に巻き付けることによって巻線を構成している。当該インシュレータは、特許文献1の
図5に示すように、その両端部にピン挿入孔を有しており、隣接するインシュレータのピン挿入孔を重ねた状態で連結ピンをピン挿入孔に挿入することで、隣接するインシュレータが連結されている。
【0006】
特許文献2に開示されている電動機は、特許文献2の
図1に示すように、ステータコアが、内径側で一体化されている放射状の磁極ティースと、該磁極ティースの外径側に固着されるリング状のアウタヨークとに分割されている。
【0007】
放射状の各磁極ティースにコイルを巻いたコイルボビンを独立して個々に装着し、そのうえで磁極ティースの外径側端部をアウタヨークの内径部に嵌合固定することでステータコアを形成している。
【0008】
特許文献3に開示されている電動機は、特許文献3の
図2に示すように、ステータコアが、環状のステータコア本体とステータティースに区分され、ボビンを介して巻線が巻回された複数個のステータティースの後端部がステータコア本体の内径側に嵌め込まれてステータが形成されている。
【0009】
ステータコア本体の中央部は多角形の孔が形成されており、その各辺面の中央部に嵌め込み溝が形成されている。該嵌め込み溝にこれと同形状に形成されたステータティースの前記後端部をプレス等で圧入して、ステータコア本体と、巻線が巻回された複数個のステータティースが一体に組み立てられる。
【0010】
前記巻線は特許文献3の
図5に示すように、隣り合うステータティースに巻回される巻線が別の相(U相、V相、W相)となっているため、隣り合う相間位置において巻線と巻線の間の絶縁と、巻線とステータコア間の絶縁が必要となる。
【0011】
当該絶縁を確保するために、特許文献3の
図6に示すように、外側に位置するボビンの外側端部を斜めに削って、当該削った面とステータコア本体の内面との間に間隙を設ける。この間隙にT字状に折り曲げ成形した絶縁紙のT字状の鍔部を挿入して挟み込むと同時に、隣り合う巻線と巻線の間に当該絶縁紙のT字状の中央部を挿入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開2017/175358号公報
【特許文献2】特開昭63-299734号公報
【特許文献3】特開2002-171704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に開示されている固定子コアは、分割したコア片のティースに、インシュレータを介してコイルが巻回されており、ステータコイルとコア片間が絶縁されているが、特許文献1の
図2に示すように、ティースの歯部の両端部はインシュレータの内径側面に当接して配置されるので、インシュレータにステータコイルが巻回された場合、コイルとティース歯部の両端部間の沿面距離は短く、当該固定子コアを高電圧モータに採用した場合、ステータコイルとティース歯部の両端部間に部分放電が生じてしまう可能性がある。また、隣接して配置するインシュレータの連結に連結ピンが必要となるため、部品点数が増加する。
【0014】
特許文献2に開示されているステータコアでは、内径側で一体化された放射状の磁極ティースに、コイルを巻いたコイルボビンを独立して個々に装着し、当該磁極ティースの外径側にリング状のアウタヨークを固着する構成であるので、磁極ティースに装着した個々の隣接したコイルボビンは互いに連結されておらず、特許文献1記載の固定子のように、インシュレータ(コイルボビン)間の連結に連結ピンは必要ない。しかし、磁極ティースに装着されるコイルボビンは、その内径側において、隣接するコイルボビン間に隙間が形成されることは特許文献1の固定子と同様であり、磁極ティースにコイルが巻かれた場合に、コイルとティース歯部間において部分放電が発生する可能性がある。
【0015】
特許文献3に開示されているステータコアの場合、ボビンを介して巻線が巻回された複数個のステータティースがステータコア本体に嵌め込まれてステータが構成されているので、隣接するボビンを互いに連結していないことは特許文献2のステータコアと同様であり、ボビンを連結する連結ピンが必要ない利点を有することは共通する。一方、隣り合うステータティースに巻回される異相の巻線間には絶縁紙が挿入されているので、巻線と巻線間の絶縁は確保されているが、特許文献3のステータコアの場合も、ステータティースに取り付けられるボビンの内径側には隙間が形成されており、当該隙間を介してボビンに巻回された巻線とステータティースの歯部間で部分放電が生じやすいことは特許文献1および特許文献2の場合と同様である。
【0016】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、ステータコイルとステータコアのティース歯先部間の絶縁性能を向上させることのできる絶縁体の構造に関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1発明は、第1の絶縁体と第2の絶縁体を組み合わせてなる固定子に用いられる絶縁体である。前記第1の絶縁体と第2の絶縁体は、それぞれ第1鍔部と第2鍔部および当該第1鍔部と第2鍔部を連接する胴部を備えてなる。前記第1の絶縁体と第2の絶縁体は前記第1鍔部を略同一構造であり、前記第1の絶縁体の第2鍔部と前記第2の絶縁体の第2鍔部には、互いの前記第2鍔部間を閉塞する重合部を備えて構成したことに特徴を有する。
【0018】
第2発明は、第1発明に記載の第2の絶縁体の第2鍔部が、前記胴部内周面に形成される貫通孔から前記固定子の周方向に向けて延出して、前記固定子のティース間を連結する連結部に当接する側面部分と、当該側面部分から連続して前記重合部の先端部を構成する第4曲線部と、該第4曲線部から連続して、前記側面部分の延出方向とは逆方向へ延出する側面裏部分と、該側面裏部分の端部に形成される第1段差と、該第1段差から連続する第2段差と、該第2段差から前記胴部の外周面に向けて延出する立上部からなる。前記第1絶縁体の第2鍔部は、前記胴部内周面に形成される貫通孔から前記固定子の周方向に向けて延出して、前記固定子の連結部および前記第4曲線部に当接する第1曲線部と、該第1曲線部から連続して、前記第2の絶縁体の側面裏部分と当接する側面部分と、該側面部分から連続して、前記重合部の先端部を構成する第1先端面および第2先端面と、該第2先端面から連続する第2曲線部と、該第2曲線部から前記胴部の外周面に向けて延出する立上部からなることに特徴を有する。
【0019】
第3発明は、第1発明又は第2発明に記載の第2の絶縁体における第1段差および第2段差と前記第1の絶縁体における第2先端面および第2曲線部間に、前記第1の絶縁体と第2の絶縁体に各々巻回される固定子巻線間に配置される巻線絶縁部材の折曲中央部を配置してなることに特徴を有する。
【0020】
第4発明は、第3発明に記載の巻線絶縁部材の折曲端部を、第1の絶縁体の第1鍔部と前記第2の絶縁体の第1鍔部の凹部に配置してなることに特徴を有する。
【0021】
第5発明は、固定子コアと、絶縁体と、固定子巻線と、巻線絶縁部材とを備える前記固定子であって、前記絶縁体として第1発明から第4発明のうちのいずれかに記載の絶縁体が用いられていることに特徴を有する。
【0022】
第6発明は、第1発明から第5発明の何れかに記載の絶縁体を備える固定子であって、
第1の絶縁体および第2の絶縁体の貫通孔に挿通するティースと、前記固定子の径方向内周側に位置する当該ティースの先端部間を前記固定子の周方向において連結する前記連結部を備えてなる第1コア部材と、前記第1の絶縁体および第2の絶縁体の貫通孔を挿通した前記ティースの基部の径方向外周側の端部を嵌合する凹部を備えて、前記固定子の軸方向に直角な断面で見て周方向に沿って延在する第2コア部材によって構成したことに特徴を有する。
【0023】
第7発明は、固定子と、該固定子に対して相対的に回転可能な回転子を備える電動機であって、固定子として第1発明乃至第6発明のいずれか一項に記載の固定子が用いられていることに特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
第1発明によれば、第1の絶縁体の第1鍔部と第2の絶縁体の第1鍔部で共通の構造を採用できる。また、第1の絶縁体の第2鍔部と前記第2の絶縁体の第2鍔部は重合部によって固定子の径方向内径側を閉塞することができるので、第1の絶縁体と第2の絶縁体の各々に固定子巻線を巻回した場合において、固定子巻線と固定子コアのティース先端部(歯部)間に重合部が介在することとなるこれにより、固定子巻線とティース歯部間の絶縁性能を向上させることができる。
【0025】
第2発明によれば、第2の絶縁体を構成する第2鍔部は、固定子コアの連結部に当接する。また、固定子コアのティースに装着される第1の絶縁体は、第2鍔部を、第2の絶縁体の第2鍔部に当接させる。第1の絶縁体の第2鍔部の第1曲線部はティース先端部と連結部および第2の絶縁体の第2鍔部の第4曲線部間に介在する。また、第1の絶縁体の第2鍔部の第1先端面は第2の絶縁体の第2鍔部の第1段差に当接する。このように第1の絶縁体の第2鍔部と第2の絶縁体の第2鍔部が配置されるので、第1の絶縁体と第2の絶縁体は互いに隙間なく重合部を形成することができ、第1の絶縁体と第2の絶縁体の各々に巻回した固定子巻線と固定子のティース歯部間の絶縁性能を確実に高めることが可能となる。
【0026】
第3発明によれば、第2の絶縁体における第1段差および第2段差と前記第1の絶縁体における第2先端面および第2曲線部間に、前記第1の絶縁体と第2の絶縁体に各々巻回される固定子巻線間に配置される巻線絶縁部材の折曲中央部を配置できるので、第1の絶縁体と第2の絶縁体に巻回される異相の固定子巻線間の固定子の径方向内周側における絶縁性能を向上させることができる。
【0027】
第4発明によれば、巻線絶縁部材の折曲端部が第1の絶縁体の第1鍔部と第2の絶縁体の第1鍔部の凹部に配置されるので、巻線絶縁部材は当該凹部と固定子コア間に介在して確実にこれを保持することが可能となる。
【0028】
第5発明によれば、第1発明から第4発明と同様の効果が得られる固定子を構成することができる。
【0029】
第6発明によれば、第1発明から第5発明による効果に加え、複数のティースからなる第1コア部材を円環状のヨーク部を構成する第2コア部材に一度に固定して固定子コアを形成することができる。
【0030】
第7発明によれば、第1発明から第6発明と同様の効果が得られる電動機を構成することができる。
【0031】
本発明の絶縁体を用いることにより、固定子あるいは電動機の絶縁特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の固定子のリード側を示す斜視図である。
【
図2】本発明の固定子のリード側の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図3】本発明の固定子の固定子コアの概略構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の第1の絶縁体を
図3に示すIVの方向から見た正面図である。
【
図6】本発明の第1の絶縁体を
図3のVの方向から見た背面図である。
【
図7】本発明の第1の絶縁体を
図3のVIの方向から見た右側面図である。
【
図8】本発明の第1の絶縁体を
図3のVIIの方向から見た横断面図である。
【
図9】本発明の第1の絶縁体の一部を拡大して示す横断面図である。
【
図10】本発明の第1の絶縁体をティースに装着する動作を説明する斜視図である。
【
図11】本発明の第2の絶縁体を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第2の絶縁体を
図11に示すIVの方向から見た正面図である。
【
図13】本発明の第2の絶縁体を
図11のVの方向から見た背面図である。
【
図14】本発明の第2の絶縁体を
図11のVIの方向から見た左側面図である。
【
図15】本発明の第2の絶縁体を
図11のVIIの方向から見た横断面図である。
【
図16】本発明の第2の絶縁体の一部を拡大して示す横断面図である。
【
図17】本発明の第2の絶縁体をティースに装着する動作を説明する斜視図である。
【
図18】本発明の第1の絶縁体と第2の絶縁体を固定子コアの第1コア部材に取り付ける動作を説明する平面図である。
【
図19】本発明の第1の絶縁体と第2の絶縁体を固定子コアの第1コア部材に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図20】本発明の第1の絶縁体に第2の絶縁体を隣接配置する動作を説明する斜視図である。
【
図21】本発明の第1の絶縁体に第2の絶縁体を隣接配置した状態を示す斜視図である。
【
図22】本発明の第1の絶縁体と第2の絶縁体の重合部を拡大して示す平面図である。
【
図23】本発明の第1の絶縁体に第2の絶縁体を隣接配置した状態を第1鍔部側から示す斜視図である。
【
図24】本発明の固定子の反リード側から巻線絶縁部材を挿入する場合を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本明細書では、「軸方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、回転子の回転中心線P(
図1参照)の延在方向を示す。「周方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面で見て、回転中心線Pを中心とする円周方向を示す。
【0034】
「径方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面で見て、回転中心線Pを通る方向を示す。「径方向内周側」という記載は、径方向に沿って回転中心線P側を示し、「径方向外周側」という記載は、径方向に沿って回転中心線Pと反対側を示す。
【0035】
なお、絶縁体に対しては、「軸方向」、「周方向」および「径方向」という記載は、絶縁体が固定子コアの軸方向両側に装着されている状態における「軸方向」、「周方向」および「径方向」を示す。
【0036】
また、本明細書では、「平行」、「直角」、「平坦」という記載は、それぞれ、「略平行」、「略直角」、「略平坦」を含むものとして用いられている。また、本明細書では、便宜的に、
図5,
図12において、上側および下側を、それぞれ「軸方向一方側」および「軸方向他方側」として説明し、
図5,
図12における右側および左側を、それぞれ「周方向一方側」および「周方向他方側」として説明するが、「一方」および「他方」は、これに限定されず、適宜の方向を選択することができる。
【0037】
本発明の絶縁体の実施形態を、
図1~
図24を参照して説明する。
図1は、本発明の電動機を構成する固定子100のリード側(固定子巻線610に接続されるリード線(図示省略)を配設する側)を示す斜視図であり、
図2は
図1の固定子100の一部分を拡大して示す斜視図である。本実施形態の固定子100は、
図1に示すように、固定子コア110、絶縁体200(200A、200B)、固定子巻線610と、
図2に示す巻線絶縁部材(絶縁フィルム)310により概略構成されている。
【0038】
固定子コア110は、軸方向両側にコア端面110Aおよび110Bを有している。また、固定子コア110は、分割構造の固定子コアとして構成されている。本実施形態では、固定子コア110は、
図3に示されるように、第1コア部材120と第2コア部材130によって構成されている。なお、
図3には、第1コア部材120と第2コア部材130を軸方向に直角な方向から見た図が示されている。
【0039】
第1コア部材120(「インナーコア」と呼ばれている)は、複数の電磁鋼板を、カシメ用突起126を用いて積層した積層体により構成されている。第1コア部材120は、径方向に沿って延在するとともに、周方向に沿って離間して配置されている複数のティース121を有している。ティース121は、径方向に沿って延在するティース基部122と、ティース基部122の径方向内周側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部123を有している。周方向に隣接するティース121のティース先端部123は、連結部125によって連結されている。
【0040】
第2コア部材130(「アウターコア」と呼ばれている)は、複数の電磁鋼板をカシメ用突起136を用いて積層した積層体により構成されている。第2コア部材130は、周方向に沿って延在するヨーク131とヨーク内周面133を有している。
【0041】
ヨーク131は、ヨーク外周面132とヨーク内周面133を有している。そして、ヨーク内周面133から径方向外周側に窪んでいる凹部形成面134aを有している。凹部形成面134aにより、第1コア部材120のティース121(詳しくはティース基部122)の径方向外周側の端部が嵌合可能な凹部134が形成される。なお、ヨーク内周面133は、周方向に隣接する2つの凹部134(凹部形成面134a)の間に形成されているヨーク内周面部分133a,133bを有している。
【0042】
ヨーク内周面部分133a,133bは、ヨーク131の径方向の幅が、ヨーク内周面部分133aと凹部134との接続部およびヨーク内周面部分133bと凹部134との接続部それぞれから両凹部134の周方向中央に向かって薄くなるように傾斜している。
【0043】
固定子コア110は、第1コア部材120のティース基部122のティース先端部123の反対側(径方向外周側)の端部を第2コア部材130の凹部134に圧入、あるいは、焼き嵌め、または、冷やし嵌めすることによって形成される。すなわち、固定子コア110は、軸方向に直角な断面で見て、周方向に沿って延在するヨーク131と、ヨーク131から径方向に沿って径方向内周側に延在する複数のティース121を有し、ティース121は、ヨーク131から径方向に沿って径方向内周側に延在するティース基部122と、ティース基部122の径方向内周側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部123を有する。
【0044】
なお、ティース先端部123の径方向内周側には、ティース先端面124が形成されている。ティース先端面124によって、図示しない回転子が挿入される回転子挿入空間が形成される。
【0045】
そして、固定子100と、回転子挿入空間に回転可能に挿入される回転子とによって、本発明の電動機が構成される。
【0046】
固定子巻線610(
図1,
図2参照)は、ティース121に装着された絶縁体(200A,200B)の周りに巻き付けられる。すなわち、固定子巻線610は、集中巻き方式でティース121に巻き付けられている。固定子巻線をティース121に巻き付ける方法としては、ティース121に絶縁体(200A,200B)を装着した状態で、絶縁体(200A,200B)の周りに固定子巻線610を巻き付ける方法や、絶縁体(200A,200B)の周りに固定子巻線610を巻き付けた状態で、絶縁体(200A,200B)をティース121に装着する方法を用いることができる。
【0047】
ティース121に装着される第1の絶縁体の実施形態を
図4~
図10を参照して説明する。
図4は本発明に係る第1の絶縁体200Aを示す斜視図である。
図5は、
図4を矢印IV方向から見た図(正面図)であり、
図6は、
図4を矢印V方向から見た図(背面図)である。
図7は、
図4を矢印VI方向から見た図(右側面図)であり、
図8は、
図4を矢印VII方向から見た図(横断面図)である。
【0048】
第1の絶縁体200A(「樹脂ボビン」と呼ばれている)は、絶縁特性を有する樹脂、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)樹脂、ナイロン等によって形成される。
【0049】
第1の絶縁体200Aの第1鍔部210は、軸方向(
図5において上下方向)および周方向(
図5において左右方向)に沿って延在するとともに、径方向外周側(
図5において紙面表側)に外周面210A、径方向内周側(
図5において紙面裏側)に内周面210B、軸方向一方側(
図5において上側)に端面211、軸方向他方側(
図5において下側)に端面212、周方向一方側(
図5において右側)に側面213、周方向他方側(
図5において左側)に側面214を有している。
【0050】
第1の絶縁体200Aの第2鍔部220は、第1鍔部210より径方向内周側に配置され、軸方向および周方向に沿って延在するとともに、径方向外周側に外周面220A、径方向内周側に内周面220B、軸方向一方側に端面227、軸方向他方側に端面222、周方向一方側に側面223、周方向他方側に側面(224)を有している。
【0051】
胴部230は、第1鍔部210と第2鍔部220との間に設けられ、径方向に沿って延在している。貫通孔240は、胴部230の内側に径方向および軸方向に沿って延在するように形成され、第1鍔部210の外周面210Aおよび第2鍔部220の内周面220Bに開口している。
【0052】
貫通孔240は、内壁面241~244によって形成されている。本実施形態では、
図10に示されているように、ティース基部122の端部を、第2鍔部220側から貫通孔240内に挿入する場合、ティース基部122の外壁面122a、122b、122cおよび122dが、それぞれ貫通孔240の内壁面241、242、243および244に対向するように挿入される。
【0053】
なお、貫通孔240の内壁面241、242、243および244は、第2鍔部220の内周面220B側に、
図6に示す傾斜面241a、242a、243aおよび244aを有する。これにより、ティース基部122(ティース121)に対する第1の絶縁体200Aの軸方向および周方向のずれを防止しながら、ティース基部122(ティース121)を第1の絶縁体200Aの貫通孔240内に容易に挿入することができる。
【0054】
図4,
図5に示す第1鍔部210には、外周面210Aから径方向外周側に突出する突部250、260および270が設けられている。本実施形態では、外周面210Aは、周方向および軸方向に沿って延在する平坦面に形成されている。
【0055】
突部250は、貫通孔240に対して端面212側に設けられている。突部250は、端面212側(軸方向他方側)に外壁面251を有し、貫通孔240側(軸方向一方側)に外壁面252を有している。外壁面251は、端面212側から貫通孔240側に向かって、外周面210Aからの距離が長くなる傾斜面状に形成されている。突部250の外壁面251が傾斜していることにより、第1の絶縁体200Aの貫通孔240に挿入されて、貫通孔240から(第1鍔部210の外周面210Aから)飛び出ているティース基部122の端部を、第2コア部材130の凹部134に圧入する際に、ティース基部122の端部が凹部134内に容易にガイドさせることができる。
【0056】
突部260は、貫通孔240より端面211側(軸方向一方側)で、側面213側(周方向一方側)の領域に設けられている。突部260は、径方向外周側に形成され、周方向および軸方向に沿って延在する外壁面261、軸方向他方側に形成され、周方向に沿って延在する外壁面262、周方向一方側(突部270と反対側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面264(264a~264e)、周方向他方側(突部270と対向する側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面263を有している。なお、突部260の、軸方向一方側の外壁面は、第1鍔部210の端面211により(端面211と面一に)形成されている。
【0057】
外壁面264は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、
図5に示す第1外壁面部分264a、第2外壁面部分264b、第3外壁面部分264c、第4外壁面部分264d、第5外壁面部分264eを有している。本実施形態では、第1外壁面部分264aと第4外壁面部分264dは軸方向に平行に略同一線上に延在し、第2外壁面部分264bは第1外壁面部分264aの下端部から周方向一方側に向けて、軸方向に直角に延在している。また、第3外壁面部分264cは第4外壁面部分264dの上方位置において、軸方向他方側および周方向他方側に対して傾斜状に延在しており、第5外壁面部分264eは、第4外壁面部分264dの下方位置において、軸方向一方側および周方向一方側に対して傾斜状に延在している。
【0058】
突部270は、貫通孔240より端面211側(軸方向一方側)で、側面214側(周方向他方側)の領域に設けられている。突部270は、径方向外周側に形成され、周方向および軸方向に沿って延在する外壁面271、軸方向他方側に形成され、周方向に沿って延在する外壁面272、周方向一方側(突部260と対向する側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面273、周方向他方側(突部260と反対側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面274(274a,274b)を有している。なお、突部270の、軸方向一方側の外壁面は、第1鍔部210の端面211により、該端面211と面一に形成されており、軸方向他方側の外壁面は、外壁面272と同一に形成されている。
【0059】
外壁面274は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、第1外壁面部分274a、第2外壁面部分274bを有している。第1外壁面部分274aは軸方向に平行に延在し、第2外壁面部分274bは、第1外壁面部分274aの下方位置において、周方向他方側および軸方向一方側へ向けて傾斜状に延在しており、その下端部は外壁面272に接続されている。
【0060】
また、突部270の第1外壁面部分274aには、周方向他方側に突出する係止突部277が設けられている。係止突部277は、周方向他方側の端部に、軸方向他方側に突出する突部278を有している。係止突部277によって、固定子巻線610の端部が固定される。また、外壁面264の第2の外壁面部分264b上の空間265と、外壁面274の第2の外壁面部分264b上の空間275によって、固定子巻線の端部を固定する際の作業空間が確保される。
【0061】
また、第1鍔部210には、外周面210Aから径方向内周側に窪んでいる凹部280と凹部290が設けられている。凹部280は、貫通孔240に対して側面213側(周方向一方側)に設けられ、周方向一方側(側面213側)および径方向外周側が開口している。凹部280は、底面281aと、底面281aの軸方向一方側に設けられている外壁面262と、底面281aの周方向他方側に設けられている側面281bにより形成されている。凹部280の底面281aは、軸方向および周方向に沿って平坦面として延在している。凹部280は、絶縁フィルム310の周方向他方側の部分の周方向および軸方向の位置を規制する。
【0062】
凹部290は、貫通孔240に対して側面214側(周方向他方側)に設けられ、周方向他方側(側面214側)および径方向外周側が開口している。凹部290は、底面291aと、底面291aの軸方向一方側に設けられている外壁面272と、底面291aの周方向一方側に設けられている側面291bにより形成されている。凹部290の底面291aは、軸方向および周方向に沿って平坦面として延在している。凹部290は、絶縁フィルム310の周方向一方側の部分の周方向および軸方向の位置を規制する。
【0063】
また、第2鍔部220は、
図6,
図7に示すように、内周面220Bを構成する下面220B1、側面部分220B2,220B3を備え、また、軸方向一方側に、側面部分220B2と側面部分220B3間に介在して、内周面220Bから径方向内周側(
図7において右側)に突出する張出部221が設けられている。張出部221の下面には段差面225が形成されている。張出部221は、径方向内周側(
図6において紙面表側)に位置する端面221Aと、端面221Aの上部において周方向両側に突出する耳部221B,221Cが設けられている。
【0064】
また、張出部221の上部には、径方向内周側に突出する張出片226Aが設けられており、張出片226Aの上面(端面211)には、軸方向一方側へ突出する突出部226Cが立設し、該突出部226Cには、径方向内径側(
図6において紙面表側)に突出する突部226Bが設けられている。
【0065】
図8は第1の絶縁体200Aの横断面図である。
図8に示すように、第1の絶縁体200Aは、胴部230から周方向両側(
図8における左右側)へ延在する外周面220Aと内周面220Bからなる第2鍔部220を有している。第2鍔部220は周方向両側(
図8における左右側)において左右対称の構造となっている。
【0066】
図9は当該第2鍔部220の一部を拡大して示す第1の絶縁体200Aの要部拡大横断面図である。
図9に示すように、第2鍔部220は、径方向内周側(
図9における下側)に位置する貫通孔240の開口から連続する第1曲線部220B31と、該曲線部220B31から連続して周方向一方側(
図9における右側)および径方向内周側(
図9における下側)へ向けて傾斜する側面部分220B3と、側面部分220B3から径方向外周側(
図9における上側)であり、かつ、周方向一方側(
図9における右側)へ向けて傾斜する第1先端面220B32と、該第1先端面220B32から径方向外周側(
図9における上側)であり、周方向他方側(
図9における左側)へ向けて傾斜する第2先端面220B33、および、該第2先端面220B33と胴部230から周方向一方側(
図9における右側)へ向けて直角に延在する立上部220B35間に位置する第2曲線部220B34によって構成されている。なお、
図8に示す周方向他方側(
図8における左側)に位置する側面部分220B3周囲の構造は、
図9に示す構造を左右反転したものであるので、その説明は割愛する。
【0067】
第1コア部材120のティース121(ティース基部122)に第1の絶縁体200Aを装着する場合は、
図10に示されているように、ティース121のティース基部122の端部を第1の絶縁体200Aの貫通孔240に第2鍔部220側から挿入する。この時、貫通孔240を形成する内壁面241~244の、径方向内周側の傾斜面241a~244aによって、ティース基部122の端部が貫通孔240内にガイドされる。ティース基部122は、ティース基部122の端部が第1鍔部210の外周面210Aから飛び出るように挿入する。
【0068】
次に、ティース121に装着される第2の絶縁体の実施形態を
図11~
図17を参照して説明する。なお、
図11~
図17において、
図4~
図10と同一部品は同一符号を付して説明する。
図11は本発明に係る第2の絶縁体200Bを示す斜視図である。
図12は、
図11を矢印IV方向から見た図(正面図)であり、
図13は、
図11を矢印V方向から見た図(背面図)である。
図14は、
図11を矢印VI方向から見た図(右側面図)であり、
図8は、
図11を矢印VII方向から見た図(横断面図)である。
【0069】
第2の絶縁体200B(「樹脂ボビン」)は、第1の絶縁体200Aと同様に、絶縁特性を有する樹脂、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)樹脂、ナイロン等によって形成される。
【0070】
第1鍔部210は、軸方向(
図12において上下方向)および周方向(
図12において左右方向)に沿って延在するとともに、径方向外周側(
図12において紙面表側)に外周面210A、径方向内周側(
図12において紙面裏側)に内周面210B、軸方向一方側(
図12において上側)に端面211、軸方向他方側(
図12において下側)に端面212、周方向一方側(
図12において右側)に側面213、周方向他方側(
図12において左側)に側面214を有している。
【0071】
第2の絶縁体200Bの第2鍔部400は、第1鍔部210より径方向内周側に配置され、軸方向および周方向に沿って延在するとともに、径方向外周側に外周面400A、径方向内周側に内周面400B、軸方向一方側に端面401、軸方向他方側に端面402、周方向一方側に側面403、周方向他方側に側面(404)を有している。
【0072】
第2の絶縁体200Bの胴部230は、第1鍔部210と第2鍔部400との間に設けられ、径方向に沿って延在している。貫通孔240は、胴部230の内側に径方向および軸方向に沿って延在するように形成され、第1鍔部210の外周面210Aおよび第2鍔部400の内周面400Bに開口している。
【0073】
貫通孔240は、内壁面241~244により形成されている。本実施形態では、
図17に示されているように、ティース基部122の端部を、第2鍔部400側から貫通孔240内に挿入する場合、ティース基部122の外壁面122a、122b、122cおよび122dが、それぞれ貫通孔240の内壁面241、242、243および244に対向するように挿入される。
【0074】
なお、貫通孔240の内壁面241、242、243および244は、第2鍔部400の内周面400B側に、
図13に示す傾斜面241a、242a、243aおよび244aを有する。これにより、ティース基部122(ティース121)に対する第2の絶縁体200Bの軸方向および周方向のずれを防止しながら、ティース基部122(ティース121)を第2の絶縁体200Bの貫通孔240内に容易に挿入することができる。
【0075】
図11,
図12に示す第2の絶縁体200Bの第1鍔部210には、外周面210Aから径方向外周側に突出する突部250、260および270が設けられている。本実施形態では、外周面210Aは、周方向および軸方向に沿って延在する平坦面に形成されている。
【0076】
突部250は、貫通孔240に対して端面212側に設けられている。突部250は、端面212側(軸方向他方側)に外壁面251を有し、貫通孔240側(軸方向一方側)に外壁面252を有している。外壁面251は、端面212側から貫通孔240側に向かって、外周面210Aからの距離が長くなる傾斜面状に形成されている。突部250の外壁面251が傾斜していることにより、第2の絶縁体200Bの貫通孔240に挿入されて、貫通孔240から(第1鍔部210の外周面210Aから)飛び出ているティース基部122の端部を、第2コア部材130の凹部134に圧入する際に、ティース基部122の端部が凹部134内に容易にガイドさせることができる。
【0077】
突部260は、貫通孔240より端面211側(軸方向一方側)で、側面213側(周方向一方側)の領域に設けられている。突部260は、径方向外周側に形成され、周方向および軸方向に沿って延在する外壁面261、軸方向他方側に形成され、周方向に沿って延在する外壁面262、周方向一方側(突部270と反対側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面264(264a~264e)、周方向他方側(突部270と対向する側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面263を有している。なお、突部260の、軸方向一方側の外壁面は、第1鍔部210の端面211により(端面211と面一に)形成されている。
【0078】
外壁面264は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、
図12に示す第1外壁面部分264a、第2外壁面部分264b、第3外壁面部分264c、第4外壁面部分264d、第5外壁面部分264eを有している。本実施形態では、第1外壁面部分264aと第4外壁面部分264dは軸方向に平行に、略同一線上に延在し、第2外壁面部分264bは第1外壁面部分264aの下端部から周方向一方側に向けて、軸方向に直角に延在している。また、第3外壁面部分264cは第4外壁面部分264dの上方位置において、軸方向他方側および周方向他方側に対して傾斜状に延在しており、第5外壁面部分264eは、第4外壁面部分264dの下方位置において、軸方向一方側および周方向一方側に対して傾斜状に延在している。
【0079】
突部270は、貫通孔240より端面211側(軸方向一方側)で、側面214側(周方向他方側)の領域に設けられている。突部270は、径方向外周側に形成され、周方向および軸方向に沿って延在する外壁面271、軸方向他方側に形成され、周方向に沿って延在する外壁面272、周方向一方側(突部260と対向する側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面273、周方向他方側(突部260と反対側)に形成され、軸方向に沿って延在する外壁面274(274a,274b)を有している。なお、突部270の、軸方向一方側の外壁面は、第1鍔部210の端面211により、該端面211と面一に形成されており、軸方向他方側の外壁面は、外壁面272と同一に形成されている。
【0080】
外壁面274は、軸方向一方側から軸方向他方側に向けて、第1外壁面部分274a、第2外壁面部分274bを有している。第1外壁面部分274aは軸方向に平行に延在し、第2外壁面部分274bは、第1外壁面部分274aの下方位置において、周方向他方側および軸方向一方側へ向けて傾斜状に延在しており、その下端部は外壁面272に接続されている。
【0081】
また、突部270の第1外壁面部分274aには、周方向他方側に突出する係止突部277が設けられている。係止突部277は、周方向他方側の端部に、軸方向他方側に突出する突部278を有している。係止突部277によって、固定子巻線610の端部が固定される。また、外壁面264の第2の外壁面部分264b上の空間265と、外壁面274の第2の外壁面部分264b上の空間275によって、固定子巻線610の端部を固定する際の作業空間が確保される。
【0082】
また、第1鍔部210には、外周面210Aから径方向内周側に窪んでいる凹部280と凹部290が設けられている。凹部280は、貫通孔240に対して側面213側(周方向一方側)に設けられ、周方向一方側(側面213側)および径方向外周側が開口している。凹部280は、底面281aと、底面281aの軸方向一方側に設けられている外壁面262と、底面281aの周方向他方側に設けられている側面281bにより形成されている。凹部280の底面281aは、軸方向および周方向に沿って平坦面として延在している。凹部280は、絶縁フィルム310の周方向他方側の部分の周方向および軸方向の位置を規制する。
【0083】
凹部290は、貫通孔240に対して側面214側(周方向他方側)に設けられ、周方向他方側(側面214側)および径方向外周側が開口している。凹部290は、底面291aと、底面291aの軸方向一方側に設けられている外壁面272と、底面291aの周方向一方側に設けられている側面291bにより形成されている。凹部290の底面291aは、軸方向および周方向に沿って平坦面として延在している。凹部290は、絶縁フィルム310の周方向一方側の部分の周方向および軸方向の位置を規制する。
【0084】
また、第2鍔部400は、
図13,
図14に示すように、内周面400Bを構成する下面400B1、側面部分400B2,400B3を備え、また、軸方向一方側に、側面部分400B2と側面部分400B3間に介在して、内周面400Bから径方向内周側(
図14において右側)に突出する張出部405が設けられている。張出部405の下面には段差面406が形成されている。張出部405は、径方向内周側(
図13において紙面表側)に位置する端面405Aを有し、端面405Aの上部両側には円弧部405B,405Cが設けられている。
【0085】
また、張出部405の上部には、径方向内周側に突出する張出片407Aが設けられており、張出片407Aの上面(端面401)には、軸方向一方側へ突出する突出部407Cが立設し、該突出部407Cには、径方向内径側(
図13において紙面表側)に突出する突部407Bが設けられている。
【0086】
図15は第2の絶縁体200Bの横断面図である。
図15に示すように、第2の絶縁体200Bは、胴部230から周方向両側(
図15における左右側)へ延在する外周面400Aと内周面400Bからなる第2鍔部400を有している。第2鍔部400は周方向両側(
図15における左右側)において左右反転した構造となっている。
【0087】
図16は当該第2鍔部400の一部を拡大して示す第2の絶縁体220Bの要部拡大横断面図である。
図16に示すように、第2鍔部400は、径方向内周側(
図16における下側)に位置する貫通孔240の開口から連続する第3曲線部400B21と、該第3曲線部400B21から連続して周方向一方側(
図16における左側)および径方向内周側(
図16における下側)へ向けて傾斜する側面部分400B2と、該側面部分400B2から径方向外周側(
図16における上側)であり、かつ、周方向一方側(
図16における左側)へ向けて湾曲する第4曲線部400B22と、該第4曲線部400B22から径方向外周側(
図16における上側)であり、周方向他方側(
図16における右側)へ向けて傾斜する側面裏部分400B23、該側面裏部分400B23から軸方向外周側(
図16における上側)へ向けて設けられる第1段差400B24、該第1段差400B24から軸方向外周側(
図16における上側)へ向けて設けられる第2段差400B25、該第2段差400B25から周方向一方側(
図16における右側)へ延在する立上部400B26を備えて構成されている。なお、
図15に示す周方向一方側(
図15における右側)に位置する側面部分400B21周囲の構造は、
図16に示す構造を左右反転したものであるので、その説明は割愛する。
【0088】
第1コア部材120のティース121(ティース基部122)に第2の絶縁体200Bを装着する場合は、
図17に示されているように、ティース121のティース基部122の端部を第2の絶縁体200Bの貫通孔240に第2鍔部400側から挿入する。この時、貫通孔240を形成する内壁面241~244の、径方向内周側の傾斜面241a~244aによって、ティース基部122の端部が貫通孔240内にガイドされる。ティース基部122は、ティース基部122の端部が第1鍔部210の外周面210Aから飛び出るように挿入する。
【0089】
図10および
図17にて説明した第1コア部材120のティース121(ティース基部122)に第1の絶縁体200Aと第2の絶縁体200Bへの装着は、
図18に示すように、まず、第1コア部材120のティース121に第2の絶縁体200Bを装着し、その後、第1の絶縁体200Aを装着する。
図19は、第1コア部材120に第1の絶縁体200Aと第2の絶縁体200Bを装着した状態を示す。
【0090】
図20はこのような順番で第1コア部材120のティース121に第1の絶縁体200Aと第2の絶縁体200Bを装着する状態を示す斜視図である。第2の絶縁体200Bが先に第1コア120のティース121に装着されることで、第1の絶縁体200Aは側面部分220B2を第2の絶縁体200Bの側面部分400B3の後方から宛がう格好で重ね合わせる。より具体的には、第2の絶縁体200Bの側面部分400B3を構成する上端面450を第1の絶縁体200Aの耳部221Bの下面221B1(
図6参照)に当接させ、かつ、第2の絶縁体200Bの側面部分400B3を構成する上端面451を第1の絶縁体200Aの張出部221の垂直面221A1(
図6参照)に当接させることによって、
図21に示すように、第1の絶縁体200Aは、その側面部分220B2を第2の絶縁体200Bの側面部分400B3に重ね合わせる。
【0091】
このような第1の絶縁体200Aと第2の縁体200Bの隣接したティース121への装着状態は、
図19に示す円周方向に沿って同様に行われる。つまり、
図21に示す第1の絶縁体200Aの側面部分220B3は、
図21の右側に隣接する図示しない第2の絶縁体200Bの側面部分400B2に対して、その後方から重ね合わされる。この場合も
図21の右側に隣接する図示しない第2の絶縁体200Bの側面部分400B2はその上端面452を、第1の絶縁体200Aの張出部221を構成する耳部221Cの下面221C1(
図6参照)に当接させ、かつ、第2の絶縁体200Bの側面部分400B2を構成する側面453を第1の絶縁体200Aの張出部221の垂直面221A2(
図6参照)に当接させることによって、第1の絶縁体200Aは、その側面部分220B3を第2の絶縁体200Bの側面部分400B2に重ね合わせる。
【0092】
図22は
図21のように第1の絶縁体200Aの側面部分220B2,220B3と第2の絶縁体200Bの側面部分400B2,400B3を重ね合わせた状態を示す要部拡大横断面図である。
図22に示すように、第1コア部材120のティース121に先に装着された第2の絶縁体200Bを構成する第2鍔部400の側面部分400B2は、第1コア部材120の連結部125に当接する。第1コア部材120のティース121に後から装着される第1の絶縁体200Aは、第2鍔部220の側面部分220B3を、第2の絶縁体200Bの第2鍔部400の側面裏部分400B23に当接させる。この状態において、第1の絶縁体200Aの第2鍔部220の第1曲線部220B31はティース先端部123と連結部125および第2の絶縁体200Bの第2鍔部400の第4曲線部400B22の間に介在する。また、第1の絶縁体200Aの第2鍔部220の第1先端面220B32は第2の絶縁体220Bの第2鍔部400の第1段差400B24に当接している。このように第1の絶縁体200Aの第2鍔部220と第2の絶縁体200Bの第2鍔部400が配置されることにより、第1の絶縁体200Aの第2鍔部220の第1段差400B24と第2の絶縁体200Bの第2鍔部400の第2先端面220B33および第2曲線部220B34間には所定の空間が形成され、当該空間と、第1の絶縁体200Aの胴部230と第2の絶縁体200Bの胴部230に巻き付けられる固定子巻線610間の隙間を利用して絶縁フィルム310が配置される。つまり、第1の絶縁体200Aの第2鍔部220の第1段差400B24と第2の絶縁体200Bの第2鍔部400の第2先端面220B33および第2曲線部220B34間の空間には、絶縁フィルム310の折曲中央部310Aが配置される。これにより、第1の絶縁体200Aに巻き付けられる固定子巻線610と第2の絶縁体200Bに巻き付けられる固定子巻線610間は絶縁フィルム310によって確実に絶縁される。また、第1の絶縁体200Aの第2鍔部220と第2の絶縁体200Bの第2鍔部400が
図22のごとく重ね合わされることにより、ティース121の連結部125と固定子巻線610間には第1の絶縁体200Aの第2鍔部220と第2の絶縁体200Bの第2鍔部400による壁が形成されるので、ティース121の連結部125と固定子巻線610間を確実に絶縁することが可能となる。
【0093】
図23は、第1の絶縁体200Aと第2の絶縁体200Bを
図21のように取り付けた状態における第1鍔部200側(径方向外周側)の状態を示す斜視図である。
図23に示す状態において、第1の鍔部200Aの凹部280と第2の絶縁体200Bの凹部290は互いに所定角度径方向内側に屈曲した状態で、隣接配置される。このとき、第1の絶縁体200Aの第1鍔部210の突部260の第1外壁面部分264aの周方向一方側(
図5における右側)であり、かつ、第2外壁面部分264bの軸方向一方側(
図5における上側)の空間265には、第2の絶縁体200Bの第1鍔部210の突部270の外壁面274aから周方向他方側に突出する係止突部277が配置される。これにより、第1の絶縁体200Aの第1鍔部210と第2の絶縁体200Bの第1鍔部210は周方向に近接して隣接配置することができる。なお、
図23に示す第2の絶縁体200Bの周方向一方側(
図23における右側)には図示しない第1の絶縁体200Aが配置される。このようにして、第1の絶縁体200Aと第2の絶縁体200Bが交互に配置されることにより、両絶縁体200A,200Bが、
図19に示すように円環状に配置される。つまり、
図23に示す第1の絶縁体200Aの周方向他方側(
図23における左側)には、図示しない第2の絶縁体200Bが配置される。なお、
図23に示す第2の絶縁体200Bの第1鍔部210の突部260の第1外壁面部分264aの周方向一方側(
図12における右側)であり、かつ、第2外壁面部分264bの軸方向一方側(
図12における上側)の空間265には、第2の絶縁体200Bの径方向一方側(
図23における右側)に配置される図示しない第1の絶縁体200Aの突部270の外壁面274aから周方向他方側に突出する係止突部277が配置され、
図23に示す第1の絶縁体200Aの第1鍔部210の突部270の第1外壁面部分274aから周方向他方側(
図5における左側)に突出している係止突部277は、
図23に示す第1の絶縁体200Aの周方向他方側(
図23における左側)に配置される図示しない第2の絶縁体200Bの突部260の第1外壁面部分264aの周方向一方側(
図12における右側)であり、かつ、第2外壁面部分264bの軸方向一方側(
図12における上側)の空間265に配置される。
【0094】
なお、前記固定子巻線610は、
図10および
図17のように、第1コア部材120のティース121に第1の絶縁体200Aおよび第2の絶縁体200Bが装着された状態で、当該絶縁体200A,200Bに巻き付けられる。固定子巻線610は、絶縁体200A,200Bの第1鍔部210、第2鍔部220,400と胴部230によって形成される空間に巻き付けられる。なお、絶縁体200A,200Bの装着および固定子巻線610の巻き付けに関しては、固定子巻線610を絶縁体200A,200Bに巻き付けた状態で、第1コア部材120のティース121に絶縁体200A,200Bを装着する方法を用いることもできる。
【0095】
そして、ティース121に絶縁体200A,200Bが装着されているとともに、絶縁体200A,200Bに固定子巻線610が巻き付けられた状態で、
図2に示す第1コア部材120と第2コア部材130を組み付ける。本実施形態では、ティース121は、絶縁体200A,200Bの貫通孔240に挿入され、第1鍔部210の外周面210Aから飛び出した状態のティース基部122の端部を、第2コア部材130のヨーク131に形成されている凹部134に圧入することによって、第1コア部材120と第2コア部材130を組み付ける。
【0096】
本実施形態では、絶縁体200A,200Bの貫通孔240に挿入されたティース基部122の端部を、軸方向に沿って移動させながら第2コア部材130の凹部134に圧入する際、貫通孔240より第1鍔部210の端面212側(軸方向他方側)に形成されている突部250の外壁面251によって、ティース基部122の端部が凹部134内にガイドされる。これにより、第1コア部材120あるいは絶縁体200A,200Bと第2コア部材130が強い力で接触するのを防止することができ、第1コア部材120や第2コア部材130が変形し、あるいは、絶縁体200A,200Bにクラックが発生するのを防止することができる。
【0097】
また、ティース基部122の端部を第2コア部材130の凹部134に圧入する方法として、圧入治具を用いて、第1鍔部210の外周面210Aから飛び出ているティース基部122の、軸方向一方側の壁面122aに、ティース基部122の端部を凹部134に挿入する方向に移動させる力を加える方法を用いることができる。この時、圧入治具によって加えられる力によってティース基部122の端部が周方向および径方向に膨らむと、圧入作業が困難となる。このため、適切な大きさの圧入治具を用いて、ティース基部122の端部の適切な箇所に力を加える必要がある。本実施形態では、第1鍔部210に、貫通孔240より端面211側に、突部260の外壁面部分263と突部270の外壁面部分273によって、圧入治具の移動経路が形成されている。これにより、ティース基部122の端部の変形を防止しながら、ティース基部122の端部を第2コア部材130の凹部134に圧入することができる。
【0098】
図24に固定子100に絶縁フィルム310を取り付ける場合を示す。
図24は固定子100の反リード側(固定子巻線610に接続されるリード線(図示省略)を配設しない側)を示す斜視図である。絶縁フィルム310としては、例えば、幅方向(
図23の左右方向)の中央部を折り曲げ、軸方向(
図23の上下方向)に延在する折曲中央部310Aを形成するとともに、両端部を幅方向(
図23の左右方向)に折り曲げて折曲端部310Bを形成した形状を有しているが、当該形状に限定されるものではない。絶縁フィルム310を固定子100に取り付ける場合は、絶縁フィルム310を固定子100の反リード側から固定子100内に挿入する。具体的には、絶縁フィルム310の折曲中央部310Aが
図22に示す第1の絶縁体200Aの第2鍔部220の第1段差400B24と第2の絶縁体200Bの第2鍔部400の第2先端面220B33および第2曲線部220B34間の空間に位置するようにして第1の絶縁体200Aと第2の絶縁体200B間に挿入することで、絶縁フィルム310を位相間の固定子巻線610間に配置する。このとき、絶縁フィルム310の折曲端部310Bは、
図23に示す第1の絶縁体200Aの凹部280における底面281aおよび第2の絶縁体200Bの凹部290における底面291aと、
図24に示す固定子コア110のヨーク内周面部分133a,133b(
図3参照)間に介在して配置される。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、固定子について説明したが、本発明は、「固定子と、固定子に対して回転可能に支持されている回転子を備える電動機」として構成することもできる。また、巻線絶縁部材の形状は
図24に示した形状に限定されないし、 樹脂ボビンの構成は、本発明の効果を実現できる構成であれば、各部位の形状を種々変更したものについても本発明の射程が及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0100】
100 固定子
110 固定子コア
110A,110B コア端面
120 第1コア部材
121 ティース
122 ティース基部
123 ティース先端部
124 ティース先端面
125 連結部
126,136 カシメ用突起
130 第2コア部材
131 ヨーク
132 ヨーク外周面
133 ヨーク内周面
133a,133b ヨーク内周面部分
134a 凹部形成面
200(200A、200B) 絶縁体(第1の絶縁体、第2の絶縁体)
210 第1鍔部
210A,220A,400A 外周面
210B,220B,400B 内周面
211,212,222,227,221A,401,402,405A 端面
213,214,223,224,281b,291b,403,404,453,454 側面
220,400 第2鍔部
220B1,221B1,221C1,400B1 下面
220B2,220B3,400B2,400B3 側面部分
220B31 第1曲線部
220B32 第1先端面
220B33 第2先端面
220B34 第2曲線部
220B35,400B26 立上部
221,405 張出部
221A1,221A2 垂直面
221B,221C 耳部
225,406 段差面
226A,407A 張出片
226B,250,260,270,278,407B 突部
226C,407C 突出部
230 胴部
240 貫通孔
241~244 内壁面
241a~244a 傾斜面
122a~122d,251,252,261~264,271~274 外壁面
264a,274a 第1外壁面部分
264b,274b 第2外壁面部分
264c 第3外壁面部分
264d 第4外壁面部分
264e 第5外壁面部分
265,275 空間
277 係止突部
280,290 凹部
281a,291a 底面
310 絶縁フィルム
310A 折曲中央部
310B 折曲端部
400B21 第3曲線部
400B22 第4曲線部
400B23 側面裏部分
400B24 第1段差
400B25 第2段差
405B,405C 円弧部
451,452 上端面
610 固定子巻線
P 回転中心線