(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174927
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置及び運行記録装置
(51)【国際特許分類】
G01P 21/00 20060101AFI20221117BHJP
G01C 9/08 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G01P21/00
G01C9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080979
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳浩
(72)【発明者】
【氏名】酒井 一成
(57)【要約】
【課題】加速度に基づく勾配検出をより精度良く補正することができる加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置及び運行記録装置を提供する。
【解決手段】加速度センサ補正装置100は、車両に搭載され、当該車両にかかる加速度を検出する加速度センサ14と、車両内で検出された気圧情報を受信する無線通信部3と、無線通信部3により気圧情報が受信可能か判定し、受信可能な場合に無線通信部3が受信した気圧情報に基づき自車両が位置する道路が平坦か否かを判定し、道路が平坦と判断した場合に加速度センサ14の零点補正を行うCPU1と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両にかかる加速度を検出する加速度センサと、
前記車両内で測定された気圧情報が受信可能か判定する第1判定手段と、
前記気圧情報が受信可能と判定された場合に、前記気圧情報を受信する受信手段と、
前記気圧情報に基づいて前記車両が位置する道路が平坦か否かを判定する第2判定手段と、
前記道路が平坦と判断した場合に前記加速度センサの零点補正を行う補正手段と、
を備えることを特徴とする加速度センサ補正装置。
【請求項2】
前記受信手段は、前記車両内に配置された気圧センサを有する情報通信端末から通信により前記気圧情報を受信することを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項3】
平坦地情報を取得する取得手段を備え、
前記第2判定手段は、前記気圧情報が受信不可能と判定された場合に、前記平坦地情報に基づき前記車両が位置する道路が平坦か否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項4】
前記加速度センサの周囲温度を検出する温度検出手段と、
前記周囲温度が所定範囲外である場合は、前記零点補正の実施を警告する警告手段と、を備えることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項5】
時間経過を検出する時間検出手段と、
前記時間検出手段が検出した前記時間経過に基づいて前記零点補正の実施を警告する警告手段と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の加速度センサ補正装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の加速度センサ補正装置と、
前記加速度センサが検出した前記加速度に基づいて前記車両が位置する道路勾配を検出する道路勾配検出部と、
を備えたことを特徴とする道路勾配検出装置。
【請求項7】
前記車両の運行情報を収集するとともに、請求項6に記載の道路勾配検出装置を備えたことを特徴とする運行記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が勾配に位置しているか検出する道路勾配検出装置で用いられる加速度センサの補正をする加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置及び運行記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、坂道などの路面状況を反映した車両の運行管理システムが提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載の従来の運行管理システムは、気圧計から気圧を測定し、前記気圧から単位走行距離毎の高度値を算出し、単位走行距離毎の高度差を予め定められた高度差と比較することで走行中の路面が勾配か否かを判定している。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、気圧計を用いて勾配を判定しているが、専用に高価な気圧センサや制御回路等が必要となる上に、窓の開け閉め、走行中の風や急な環境変化等の急な気圧変化の影響を受ける環境下では極端に精度が悪化してしまう。
【0004】
また、勾配の検出には、加速度センサを用いた方法も知られている。この方法は、加速度センサにより検知される車体の傾きと走行中に受けるG(加速度)値を演算することにより、走行中の道路勾配を算出するものである。但し、検出精度確保のためには加速度センサのオフセットズレ補正(零点補正ともいう)が重要である。
【0005】
特許文献2には、ドアの開検出から閉検出までの車両姿勢学習期間のGセンサ加速度の変化に基づき、勾配検出部により、人や物の乗降に基づいて変化する車両姿勢に応じた零点の補正をGセンサ加速度に施すことが記載されている。また、特許文献2には、平坦路の定速走行を検出すると、勾配検出部により、平坦路の定速走行中の実加速度とGセンサ加速度との差に応じた零点の補正をGセンサ加速度にさらに施すことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-46439号公報
【特許文献2】特開2010-107244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の発明は、人や物の乗降に基づいて変化する車両姿勢に応じた零点の補正をGセンサ加速度に施すことが記載されているが、人や物の乗降が行われる場所が平坦とは限らない。例えば坂道等の傾斜路と平坦路とでは停車中の車両姿勢が異なることがあり、零点補正の精度が低下する場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、加速度に基づく勾配検出をより精度良く補正することができる加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置及び運行記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、車両に搭載され、前記車両にかかる加速度を検出する加速度センサと、前記車両内で検出された気圧情報が受信可能か判定する第1判定手段と、前記気圧情報が受信可能と判定された場合に、前記気圧情報を受信する受信手段と、前記気圧情報に基づいて前記車両が位置する道路が平坦か否かを判定する第2判定手段と、前記道路が平坦と判断した場合に前記加速度センサの零点補正を行う補正手段と、を備えることを特徴とする加速度センサ補正装置である。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、気圧情報が利用できるに場合には、その気圧情報に基づいて自車両が位置する道路が平坦か判定し、平坦な場合に零点補正を行うので、確実に平坦な場所で零点補正をすることができる。したがって、加速度に基づく勾配検出をより精度良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる加速度センサ補正装置を備える道路勾配検出装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示された加速度センサ補正装置の動作のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる運行記録装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる加速度センサ補正装置を備える道路勾配検出装置20の基本構成図である。同図に示すように、道路勾配検出装置20内には、CPU1と、EEPROM2と、無線通信部3と、加速度センサ14と、電源回路4と、IGN(イグニッション)5と、入力I/F回路6と、出力I/F回路8、9と、ダイヤル12、13と、地図情報記憶部15と、を備えている。そして、道路勾配検出装置20は、車速パルス7が入力され、上り信号モニタ10と、下り信号モニタ11と、を出力する。
【0013】
CPU1は、電源回路4を介してIGN(イグニッション)5からON信号が入力される。そして、車両が走行すると、該CPU1には、入力I/F回路6を介して、車速パルス7が供給される。また、CPU1は、走行中の路面が坂道と判定された際に坂道信号を、出力I/F回路8、9を介して、上り信号モニタ10、下り信号モニタ11として出力している。また、CPU1は、後述する加速度センサ14の零点補正処理も行う。
【0014】
EEPROM2は、CPU1が行う処理プログラムなどを格納したプログラム格納エリアと、CPU1での各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ格納エリアと、を有し、読み出し書き込み自在に設けられている。
【0015】
無線通信部3は、道路勾配検出装置20の外部に配置されている情報通信端末30と無線通信する。無線通信部3は、情報通信端末30から気圧情報を取得する。なお、本実施形態では、無線で情報通信端末30と接続しているが、例えばUSB(Universal Serial Bus)等の有線で接続してもよい。即ち、無線通信部3は、気圧情報を受信する受信手段として機能する。
【0016】
加速度センサ14は、車両に加わる例えば進行方向の加速度や車両自体の傾きを測定(検出)している。
【0017】
ダイヤル12、13は、車両が走行中の路面が坂道(勾配)であるか否かを判定する際の閾値を設定している。本実施形態では、例えば閾値を2.5%に設定している。
【0018】
地図情報記憶部15は、日本全土の道路地図データや、それに付随する各種施設等の施設データ、マップマッチング用のデータ等の地図情報が記憶されている。また、道路地図データは、地図上の道路を線で表現した道路ネットワークからなり、交差点、分岐点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID、リンク長、リンクの始点,終点(ノード)の位置データ(経度,緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別、道路属性などのデータを含んで構成される。
【0019】
また、道路地図データには、勾配ゼロ(平坦路)道路や地点を示す情報(勾配ゼロ情報)が付加されている。この勾配ゼロ情報が平坦地情報に相当する。また、勾配ゼロ情報が示す地点には、道路に限らず駐車場等の車両が通行できる地点が含まれてもよい。この勾配ゼロ情報は、道路地図データに限らず、駐車場等の施設データに含めてもよい。また、勾配ゼロ情報は、水準器等を用いて正確な勾配ゼロ地点を調査し設定するのが好ましい。なお、本実施形態における勾配ゼロ(平坦)とは、完全に平坦なゼロ度やゼロ%のみではなく、例えば0±0.5%以内などの後述する加速度センサ14の補正に際して平坦と見做して演算しても差し支えない程度の勾配も含むものである。
【0020】
なお、本実施形態では、地図情報記憶部15に予め地図情報が記憶されているが、例えば外部サーバ等から地図情報をダウンロードするような構成であってもよいし、カーナビゲーション装置の地図情報が平坦地情報を含むようにし、カーナビゲーション装置から地図情報を取得するようにしてもよい。あるいは、地図情報記憶部15は備えていなくてもよく、勾配ゼロ地点の緯度・経度情報のみからなる情報を勾配ゼロ情報(平坦地情報)として生成(取得)してもよい。このような勾配ゼロ情報は、運行上、通常使用する道で事前調査をすればよく、例えば、会社の入出庫口の道路とか、橋などが挙げられる。
【0021】
情報通信端末30は、例えばスマートフォンやタブレット端末で構成されている。情報通信端末30は、気圧センサ等の気圧を測定することができるデバイスや回路等を内蔵している。そして、情報通信端末30は、自身で測定した気圧情報を無線通信部3に送信する。情報通信端末30は、道路勾配検出装置20が設置された車両内に配置されている。この配置とは、車両内に固定されるに限らず、例えば座席上に置いてある状態も含むものである。また、固定されている場合であっても着脱自在として車外に持ち出せるようにしてもよい。
【0022】
情報通信端末30は、上記したようにスマートフォン等の気圧測定に特化した端末でなくてよいが、車内に気圧計が設置されている場合は、当該気圧計から気圧情報を取得してもよい。
【0023】
上述した構成において、CPU1と、無線通信部3と、加速度センサ14と、地図情報記憶部15と、で本発明の一実施形態にかかる加速度センサ補正装置100を構成する。
【0024】
次に、上述した構成の加速度センサ補正装置100の動作を
図2のフローチャートを参照して説明する。
図2に示したフローチャートはCPU1で実行される。
【0025】
まず、CPU1は、加速度センサ14のゼロオフセット処理(零点補正処理)を行う(ステップS11)。本ステップの零点補正処理は、勾配ゼロ地点において、そのときの加速度センサ14の出力を勾配零点の加速度センサの出力として記憶する周知の方法でよい。なお、ステップS11を実行するのは、水準器等により正確な勾配ゼロ地点を調査して実施するのが好ましい。また、補正した結果(零点に対応する電圧値等)は、例えばEEPROM2等に保存する。
【0026】
次に、CPU1は、車内の気圧情報を取得可能か判定する(ステップS12)。即ち、CPU1は、車両内で測定(検出)された気圧情報が受信可能か判定する第1判定手段として機能する。ステップS12では、車内に情報通信端末30が配置されているか(有無)を判定している。情報通信端末30の有無は、例えばBluetooth(登録商標)等で道路勾配検出装置20と情報通信端末30とを予めペアリングしておき、当該ペアリングされた情報通信端末30が検出された場合は情報通信端末30が有る、つまり、車内で気圧情報を取得可能と判定すればよい。有線接続の場合は、有線接続の有無を検出すればよい。
【0027】
車内で気圧情報を取得可能な場合は(ステップS12;Y)、CPU1は、取得した気圧情報に基づいて走行中に気圧の変化がなし又は規定範囲内か判定する(ステップS13)。ステップS13では、気圧情報に基づいて平坦路の判定を行っている。規定範囲は、平坦と判定できる気圧の変化の範囲を示し、適宜設定すればよい。即ち、CPU1は、気圧情報に基づいて車両が位置する道路が平坦か否かを判定している。
【0028】
車内の気圧情報を取得不可能な場合(ステップS12;N)又は、走行中に気圧の変化があり又は規定範囲内でない場合は(ステップS13;N)、CPU1は、地図情報記憶部15に記憶されている地図情報に基づいて勾配ゼロ道路・地点を通過中か判定する(ステップS14)。ステップS13がN判定の場合は、気圧センサが無いか、勾配や気圧変動があるような気圧センサでは高低差検知が不得手な状況と云え、平坦路の検出に適さないので、別の手段により平坦路の検出を行う。
【0029】
ステップS14では、地図情報に含まれる勾配ゼロ情報を参照して、GPS(Global Positioning System)等の現在位置取得手段(不図示)から取得した現在位置が勾配ゼロ道路又は地点を走行中か判定する。即ち、CPU1は、気圧情報が受信不可能と判定された場合に、地図情報に含まれる平坦地情報に基づき車両が位置する道路が平坦か否かを判定している。この方法は、上述した地図情報に含まれない単独の平坦地情報を用いた場合もGPS等を用いて同様に判定することができる。
【0030】
走行中に気圧の変化がなし又は規定範囲内である場合(ステップS13;Y)又は、勾配ゼロ道路・地点を通過中である場合は(ステップS14;Y)、CPU1は、平坦路を走行中と判定し、加速度センサ14の追加補正処理を行う(ステップS15)。即ち、CPU1は、道路が平坦と判断した場合に加速度センサの零点補正を行う補正手段として機能する。
【0031】
ステップS15の追加補正処理は、例えば加速度センサ14が検出した加速度と、車速パルス7に基づく検出車速の時間変化から求められる加速度(実加速度)とを比較し、実加速度に対する加速度センサ14の検出値の差(偏差)に応じて加速度センサ14の零点を補正する周知の方法でよい。なお、補正した結果(零点に対応する電圧値等)は、例えばEEPROM2等に保存する。
【0032】
ステップS15による追加補正処理の終了後又は、勾配ゼロ道路・地点を通過中でない場合は(ステップS14;N)、CPU1は、通常の加速度センサ14を用いた坂道検出処理へ復帰する(ステップS16)。
【0033】
通常の加速度センサ14を用いた坂道検出処理とは、例えば特許文献2に記載されているように、車両1の走行中に、車速パルス7に基づいて検出された検出車速から得られた実加速度に相当する値を加速度センサ14の出力値から減算し、減算後の加速度センサ14の出力から道路勾配を検出するといった周知の方法を用いればよい。また、この道路勾配の検出時には、ダイヤル12、13で設定した閾値を利用して勾配か否か判定してもよい。
【0034】
なお、ステップS14の判定の結果、勾配ゼロ道路・地点を通過中でない場合は(ステップS14;N)、CPU1は、ステップS16で坂道検出処理に復帰する前に周囲温度や経時変化を考慮して加速度センサ14の補正処理を行うことを警告してもよい。ステップS14がNと判定された場合は追加補正処理は行われないが、ステップS11で行われた補正結果を使用するため、少なくとも検出精度の低下は抑えられる。しかしながら、加速度センサ14の出力は、周囲温度や経時結果により変動することが知られており、これらの要因についても考慮することで加速度センサ14の検出精度を向上させることができる。
【0035】
警告は、例えば警告音や警告メッセージ等をスピーカ(不図示)から出力させたり、インジケータ(不図示)等により表示させればよい。スピーカやインジケータ等は警告手段となる。警告を受けたドライバー等は、速やかにステップS11の零点補正処理を実行することが好ましい(ステップS15の追加補正処理でもよい)。
【0036】
具体的には、加速度センサ14の周囲温度を温度センサ等の温度検出手段を付加することで検出し、CPU1が、例えば所定の温度範囲から外れている(所定範囲外)と判定した場合は、警告すればよい。つまり、周囲温度が高過ぎる場合や低過ぎる場合は警告をする。また、経時変化については、CPU1が内蔵するタイマや時計機能等の時間検出手段を付加することで計時し、前回の零点補正処理から一定時間経過した場合に警告すればよい。なお、例えば、警告と同時に地図情報に基づいて現在地に近い平坦路(勾配ゼロ道路・地点)を表示装置等に示してもよい。
【0037】
本実施形態によれば、加速度センサ補正装置100は、車両に搭載され、当該車両にかかる加速度を検出する加速度センサ14と、車両内で検出された気圧情報を受信する無線通信部3と、を備えている。さらに、加速度センサ補正装置100は、無線通信部3により気圧情報が受信可能か判定し、受信可能な場合に無線通信部3が受信した気圧情報に基づき自車両が位置する道路が平坦か否かを判定し、道路が平坦と判断した場合に加速度センサ14の零点補正を行うCPU1を備えている。
【0038】
加速度センサ補正装置100が上記のように構成されることにより、気圧情報に基づいて自車両が位置する道路が平坦か判定し、平坦な場合に零点補正を行うので、確実に平坦な場所で零点補正をすることができる。したがって、加速度に基づく勾配検出をより精度良くすることができる。また、気圧情報は平坦路の検出に用いるのみであるので、専用の気圧センサではなく、情報通信端末30等の外部機器が有する気圧センサ等でもよい。
【0039】
また、無線通信部3は、無線通信により気圧情報を車両内に配置された気圧センサを有する情報通信端末30から受信している。このようにすることにより、気圧センサを搭載した機器を利用することができ、高価な気圧センサを専用に搭載する必要が無いためコストを低減させることができる。
【0040】
また、勾配ゼロ情報を含む地図情報が記憶される地図情報記憶部15を備え、CPU1は、無線通信部3が気圧情報を受信できない場合は、地図情報に含まれる勾配ゼロ情報に基づき自車両が位置する道路が平坦か否かを判定している。このようにすることにより、気圧情報が受信できない場合であっても、地図情報に基づいて平坦路等を特定することができ、特定した平坦路で零点補正をすることができる。
【0041】
また、道路勾配検出装置20は、上述した構成の加速度センサ補正装置100を備えているので、道路勾配の検出精度低下の要因の1つである加速度センサの検出精度の低下を抑えることができる。また、平坦路等が検出された場合には零点補正を行うので、高精度ではない安価な加速度センサを用いても勾配検出を精度良く行うことができる。
【0042】
なお、上述した実施形態で説明した道路勾配検出装置20を車両の運行記録装置に備えてもよい。運行記録装置に道路勾配検出装置20を備えた例を
図3に示す。
図3は、道路勾配検出装置20を備えた運行記録装置200の概略構成図である。運行記録装置200は、デジタルタコグラフとも呼ばれ、車速、エンジン回転数等の走行情報や入庫、出庫等の運行状態にかかる情報等が発生時刻とともに逐次記録される。
【0043】
運行記録装置200は、道路勾配検出装置20と運行記録部201とを備えている。運行記録部201は、上述した車速、エンジン回転数、入庫、出庫等の各種運行情報を収集し、SDカード202に記録させる。なお、各種情報はSDカードに記録するに限らず、外部サーバ等に送信してもよい。
【0044】
図3に示した運行記録装置200によれば、道路勾配検出装置20を備えているので、高精度に検出された勾配情報を取得することができる。したがって、坂道等を走行しているか否かを走行情報に関連付けることが可能となり、走行状態を反映した適切な運行管理をすることができる。
【0045】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の加速度センサ補正装置、道路勾配検出装置及び運行記録装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 CPU(第1判定手段、第2判定手段、補正手段、道路勾配検出部)
3 無線通信部(受信手段)
7 車速パルス
14 加速度センサ
15 地図情報記憶部(取得手段)
20 道路勾配検出装置
30 情報通信端末
100 加速度センサ補正装置
200 運行記録装置