(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174966
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】多目的車両
(51)【国際特許分類】
B60P 1/04 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B60P1/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081045
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西村 有平
(57)【要約】
【課題】荷台を三方ダンプ可能に備える多目的車両を提供する。
【解決手段】荷台8に複数の後連結部10aが設けられ、車体に複数の後支持部10bが設けられている。後支持部10bは、後連結部10aの連結状態と連結解除状態とに切り換えられ、連結状態にて、荷台8を後ダンプ軸芯P1の周りで上下揺動可能に支持する。荷台8に複数の左連結部11aが設けられ、車体に複数の左支持部11bが設けられている。左支持部11bは、左連結部11aの連結状態と連結解除状態とに切換えられ、連結状態にて、荷台8を左ダンプ軸芯P2の周りで上下揺動可能に支持する。荷台8に複数の右連結部12aが設けられ、車体に複数の右支持部12bが設けられている。右支持部12bは、右連結部12aの連結状態と連結解除状態とに切換えられ、連結状態にて、荷台8を右ダンプ軸芯P3の周りで上下揺動可能に支持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転部と、
前記運転部の後方に設けられた荷台と、
前記荷台を車体の後部において車体横幅方向に延びる後ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能に支持する後ダンプ支持部と、
前記荷台を前記車体の左横側部において車体前後方向に延びる左ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能に支持する左ダンプ支持部と、
前記荷台を前記車体の右横側部において車体前後方向に延びる右ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能に支持する右ダンプ支持部と、が備えられ、
前記後ダンプ支持部は、前記荷台の後下部に車体横幅方向に並ぶ状態で設けられた複数の後連結部と、前記後連結部に連結される連結状態と前記後連結部に対する連結が解除される連結解除状態とに切り換え可能な状態で車体横幅方向に並ぶ状態で前記車体の後部に設けられ、前記連結状態において、前記後ダンプ軸芯を揺動支点にして前記荷台を上下揺動可能に支持する複数の後支持部と、を有し、
前記左ダンプ支持部は、前記荷台の左横下部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられた複数の左連結部と、前記左連結部に連結される連結状態と前記左連結部に対する連結が解除される連結解除状態とに切換え可能な状態で前記車体の左横側部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられ、前記連結状態において、前記左ダンプ軸芯を揺動支点にして前記荷台を上下揺動可能に支持する複数の左支持部と、を有し、
前記複数の左連結部のうちの最も後の前記左連結部は、前記複数の後連結部のうちの最も左の前記後連結部とは別に設けられ、前記複数の左支持部のうちの最も後の前記左支持部は、前記複数の後支持部のうちの最も左の前記後支持部とは別に設けられ、
前記右ダンプ支持部は、前記荷台の右横下部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられた複数の右連結部と、前記右連結部に連結される連結状態と前記右連結部に対する連結が解除される連結解除状態とに切換え可能な状態で前記車体の右横側部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられ、前記連結状態において、前記右ダンプ軸芯を揺動支点にして前記荷台を上下揺動可能に支持する複数の右支持部と、を有し、
前記複数の右連結部のうちの最も後の前記右連結部は、前記複数の後連結部のうちの最も右の前記後連結部とは別に設けられ、前記複数の右支持部のうちの最も後の前記右支持部は、前記複数の後支持部のうちの最も右の前記後支持部とは別に設けられている多目的車両。
【請求項2】
前記後連結部および前記後支持部に取付けられて前記後支持部を前記連結状態に切り換え、前記後連結部および前記後支持部の少なくとも一方から取り外されて前記後支持部を前記連結解除状態に切り換える後連結ピンが備えられ、
前記左連結部および前記左支持部に取付けられて前記左支持部を前記連結状態に切り換え、前記左連結部および前記左支持部の少なくとも一方から取り外されて前記左支持部を前記連結解除状態に切り換える左連結ピンが備えられ、
前記右連結部および前記右支持部に取付けられて前記右支持部を前記連結状態に切り換え、前記右連結部および前記右支持部の少なくとも一方から取り外されて前記右支持部を前記連結解除状態に切り換える右連結ピンが備えられている請求項1に記載の多目的車両。
【請求項3】
前記荷台と前記車体とに連結され、前記荷台を前記後ダンプ軸芯、前記左ダンプ軸芯および前記右ダンプ軸芯のそれぞれを揺動支点にしてダンプするシリンダを備えている請求項1または2に記載の多目的車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転部と、前記運転部の後方に設けられた荷台と、が備えられた多目的車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した多目的車両には、特許文献1に示されるように、荷台を一方向だけにダンプ可能に備えられたものがある。
【0003】
特許文献2に、荷台を三方向にダンプ可能に構成することが示されている。
すなわち、車体フレームの前端側に、車体左右方向に向いた第1軸芯周りで揺動自在な荷台支持部材が設けられ、荷台支持部材の一端側に第1荷台枢支部が設けられ、荷台支持部材の他端側に第2荷台枢支部が設けられ、荷台支持部材よりも車体後側において、車体の横一端側に第3荷台枢支部が設けられ、車体の横他端側に第4荷台枢支部が設けられている。
第1荷台枢支部および第2荷台枢支部は、荷台に設けた支軸と、支軸に対する連結および連結解除が可能な状態で荷台支持部材に設けた第1フック、第2フックと、を備え、荷台を連結する状態と荷台連結を解除する状態とに変更可能に構成されている。
第3荷台枢支部および第4荷台枢支部は、荷台に設けた支軸と、支軸に対する連結および連結解除が可能な状態で車体フレームに設けた第3フック、第4フックとを備え、荷台を連結する状態と荷台連結を解除する状態とに変更可能に構成されている。
荷台を第1および第2荷台枢支部に連結して車体前側の車体横向きの第1軸芯周りでダンプ揺動させ、荷台を第1および第3荷台枢支部に連結して車体横一端側の前後向きの第2軸芯周りでダンプ揺動させ、荷台を第2および第4荷台枢支部に連結して車体横他端側の前後向きの第3軸芯周りでダンプ揺動させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-53953号公報
【特許文献2】実開昭59-4342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、多目的車両においては、荷台を一方向だけにしかダンプできないので、荷台をダンプして荷物を降ろすとき、荷台のダンプ方向によって決まる特定の停車向きでしか車体を止めることができず、荷台を三方向にダンプ可能に備えることが要望されている。
【0006】
従来の技術の場合、荷台を車体左右向きの第1軸芯の周りでダンプするとき、および、荷台を車体前後向きの第2軸芯の周りでダンプするときの両方において、第1荷台枢支部を連結状態にする必要があるが、荷台を第2軸芯の周りでダンプさせるとき、第1荷台枢支部は、荷台を第1軸芯の周りでダンプさせるときに連結状態にするものであるという考えをし、第1荷台枢支部を連結解除状態に誤って切り換えてしまい易い。また、荷台を車体左右向きの第1軸芯の周りでダンプするとき、および、荷台を車体前後向きの第3軸芯の周りでダンプするときの両方において、第2荷台枢支部を連結状態にする必要があるが、荷台を第3軸芯の周りでダンプさせるとき、第2荷台枢支部は、荷台を第1軸芯の周りでダンプさせるときに連結状態にするものであるという考えをし、第2荷台枢支部を連結解除状態に誤って切り換えてしまい易い。また、各荷台枢支部に連係する一つの操作レバーによって各荷台枢支部を連結状態と連結解除状態とに切り換える操作機構を構成するに当り、荷台枢支部と操作レバーとを連結する連結構造が複雑になるので操作機構が大型化する。
【0007】
本発明は、荷台を三方にダンプできるのみならず、ダンプ方向を変更するときに誤操作され難くすることが可能であり、また、ダンプ方向を切り換える操作機構の小型化を図ることが可能である多目的車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による多目的車両は、
運転部と、
前記運転部の後方に設けられた荷台と、
前記荷台を車体の後部において車体横幅方向に延びる後ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能に支持する後ダンプ支持部と、
前記荷台を前記車体の左横側部において車体前後方向に延びる左ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能に支持する左ダンプ支持部と、
前記荷台を前記車体の右横側部において車体前後方向に延びる右ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能に支持する右ダンプ支持部と、が備えられ、
前記後ダンプ支持部は、前記荷台の後下部に車体横幅方向に並ぶ状態で設けられた複数の後連結部と、前記後連結部に連結される連結状態と前記後連結部に対する連結が解除される連結解除状態とに切り換え可能な状態で車体横幅方向に並ぶ状態で前記車体の後部に設けられ、前記連結状態において、前記後ダンプ軸芯を揺動支点にして前記荷台を上下揺動可能に支持する複数の後支持部と、を有し、
前記左ダンプ支持部は、前記荷台の左横下部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられた複数の左連結部と、前記左連結部に連結される連結状態と前記左連結部に対する連結が解除される連結解除状態とに切換え可能な状態で前記車体の左横側部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられ、前記連結状態において、前記左ダンプ軸芯を揺動支点にして前記荷台を上下揺動可能に支持する複数の左支持部と、を有し、
前記複数の左連結部のうちの最も後の前記左連結部は、前記複数の後連結部のうちの最も左の前記後連結部とは別に設けられ、前記複数の左支持部のうちの最も後の前記左支持部は、前記複数の後支持部のうちの最も左の前記後支持部とは別に設けられ、
前記右ダンプ支持部は、前記荷台の右横下部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられた複数の右連結部と、前記右連結部に連結される連結状態と前記右連結部に対する連結が解除される連結解除状態とに切換え可能な状態で前記車体の右横側部に車体前後方向に並ぶ状態で設けられ、前記連結状態において、前記右ダンプ軸芯を揺動支点にして前記荷台を上下揺動可能に支持する複数の右支持部と、を有し、
前記複数の右連結部のうちの最も後の前記右連結部は、前記複数の後連結部のうちの最も右の前記後連結部とは別に設けられ、前記複数の右支持部のうちの最も後の前記右支持部は、前記複数の後支持部のうちの最も右の前記後支持部とは別に設けられている。
【0009】
本構成によると、後支持部を連結状態に切り換え、左支持部および右支持部を連結解除状態に切り換えると、荷台が後ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能な状態で支持される。左支持部を連結状態に切り換え、右支持部および後支持部を連結解除状態に切り換えると、荷台が左ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能な状態で支持される。右支持部を連結状態に切り換え、右支持部をおよび後支持部を連結解除状態に切り換えると、荷台が右ダンプ軸芯を揺動支点にしてダンプ可能な状態で支持されるので、後ダンプ軸芯が揺動支点になるダンプ方向、左ダンプ軸芯が揺動支点になるダンプ方向、および、右ダンプ軸芯が揺動支点になるダンプ方向、すなわち三方向に荷台をダンプすることができる。
【0010】
荷台のダンプ方向を後ダンプ軸芯が揺動支点になる方向に変更するとき、後支持部のみを連結状態に切り換えればよく、荷台のダンプ方向を左ダンプ軸芯が揺動支点になる方向に変更するとき、左支持部のみを連結状態に切り換えればよく、荷台のダンプ方向を右ダンプ軸芯が揺動支点になる方向に変更するとき、右支持部のみを連結状態に切り換えればよいので、荷台のダンプ方向を変更するに当り、変更目標のダンプ方向に対応する後支持部あるいは左支持部あるいは右支持部が連結解除状態にされてしまう誤操作を行われ難くできる。また、後支持部、左支持部および右支持部を一つの操作レバーによって連結状態と連結解除状態とに切り換える操作機構を構成するのに、後支持部、左支持部および右支持部のそれぞれに対して操作レバーを従来に比して簡素な構造の連結構造によって連結すればよいので、操作機構を小型化することが可能である。
【0011】
本発明においては、
前記後連結部および前記後支持部に取付けられて前記後支持部を前記連結状態に切り換え、前記後連結部および前記後支持部の少なくとも一方から取り外されて前記後支持部を前記連結解除状態に切り換える後連結ピンが備えられ、前記左連結部および前記左支持部に取付けられて前記左支持部を前記連結状態に切り換え、前記左連結部および前記左支持部の少なくとも一方から取り外されて前記左支持部を前記連結解除状態に切り換える左連結ピンが備えられ、前記右連結部および前記右支持部に取付けられて前記右支持部を前記連結状態に切り換え、前記右連結部および前記右支持部の少なくとも一方から取り外されて前記右支持部を前記連結解除状態に切り換える右連結ピンが備えられていると好適である。
【0012】
本構成によると、後連結ピンを脱着可能に備えるだけの簡素な構造の切換え構造によって後支持部を連結状態と連結解除状態とに切り換えることができる。左連結ピンを脱着可能に備えるだけの簡素な構造の切換え構造によって左支持部を連結状態と連結解除状態とに切り換えることができる。右連結ピンを脱着可能に備えるだけの簡素な構造の切換え構造によって右支持部を連結状態と連結解除状態とに切り換えることができる。
【0013】
本発明においては、
前記荷台と前記車体とに連結され、前記荷台を前記後ダンプ軸芯、前記左ダンプ軸芯および前記右ダンプ軸芯のそれぞれを揺動支点にしてダンプするシリンダを備えていると好適である。
【0014】
本構成によれば、荷台がシリンダの動力によって三方向にダンプされるので、シリンダを作動させる操作を行うだけで楽に荷台を三方向にダンプすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】後ダンプ支持部、左ダンプ支持部および右ダンプ支持部を示す平面図である。
【
図3】後ダンプ軸芯を揺動支点にした荷台のダンプを示す左側面図である。
【
図4】左ダンプ軸芯を揺動支点にした荷台のダンプを示す後面図である。
【
図5】右ダンプ軸芯を揺動支点にした荷台のダンプを示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、多目的車両の走行車体に関し、
図1に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、矢印Uの方向を「車体上方」、矢印Dの方向を「車体下方」、紙面表側の方向を「車体左方」、紙面裏側の方向を「車体右方」とする。
【0017】
〔多目的車両の全体〕
図1に示される多目的車両は、荷物の運搬やレクレーション等の多目的な用途に用いられる。多目的車両は、左右一対の前車輪1が操向および駆動可能に備えられ、左右一対の後車輪2が駆動可能に備えられた走行車体を有している。走行車体の前後方向での中間部に、運転部3が形成されている。運転部3には、運転座席4、前車輪1を操向操作するステアリングホィール5、搭乗空間を囲う保護フレーム6が備えられている。運転座席4の横側方に、防護パネル7が設けられている。運転部3の後方に、荷台8が設けられている。
【0018】
〔荷台の構成〕
荷台8は、荷台8の裏側部と車体フレーム14とに連結されたシリンダ9によって三方向にダンプ可能な状態で設けられている。シリンダ9は、油圧シリンダによって構成されている。
【0019】
具体的には、シリンダ9の荷台側の端部と荷台8の裏側部とは、荷台8が三方向にダンプするときの荷台8とシリンダ9との相対揺動を許容する連結機構(図示せず)を介して連結されている。
【0020】
図1,2に示されるように、車体の後部に、車体横幅方向に延びる後ダンプ軸芯P1を揺動支点にして荷台8をダンプ可能に支持する後ダンプ支持部10が設けられている。車体の左横側部に、車体前後方向に延びる左ダンプ軸芯P2を揺動支点にして荷台8をダンプ可能に支持する左ダンプ支持部11が設けられている。車体の右横側部に、車体前後方向に延びる右ダンプ軸芯P3を揺動支点にして荷台8をダンプ可能に支持する右ダンプ支持部12が設けられている。
【0021】
図2,3,4に示されるように、後ダンプ支持部10には、荷台8における後下部の車体横幅方向での2箇所に設けられた後連結部10aと、車体に備えられた荷台支持フレーム13における後横向き部13aの車体横幅方向での2箇所に設けられた後支持部10bと、後連結部10aを後支持部10bに連結する2つの後連結ピン10cと、が備えられている。
【0022】
図3に示されるように、後ダンプ支持部10においては、車体後部における左右2箇所のそれぞれで、後連結部10aと後支持部10bとに車体横向きの後連結ピン10cが取り付けられると、後連結部10aが後連結ピン10cによって後支持部10bに揺動可能に連結され、左右2箇所の後連結ピン10cが有する軸芯でなる後ダンプ軸芯P1を車体後部において車体横幅方向に延びる状態で有する荷台支持状態になり、荷台8が後ダンプ軸芯P1を揺動支点にして上下揺動可能な状態で後支持部10bに支持される。
【0023】
後ダンプ支持部10においては、車体後部における左右2箇所のそれぞれで、後連結部10aおよび後支持部10bから後連結ピン10cが取り外されると、後連結部10aの後支持部10bに対する連結が解除され、荷台8の揺動支持を解除するように荷台支持の解除状態になる。
【0024】
図2,3,4に示されるように、左ダンプ支持部11には、荷台8における左下部の車体前後方向での2箇所に設けられた左連結部11aと、荷台支持フレーム13における左前後向き部13bの車体前後方向での2箇所に設けられた左支持部11bと、左連結部11aを左支持部11bに連結する左連結ピン11cと、が備えられている。2箇所の左連結部11aのうちの後の左連結部11aは、2箇所の後連結部10aのうちの左の後連結部10aとは、別に設けられている。2箇所の左支持部11bのうちの後の左支持部11bは、2箇所の後支持部10bのうちの左の後支持部10bとは、別に設けられている。
【0025】
図4に示されるように、左ダンプ支持部11においては、車体左横側部における前後2箇所のそれぞれで、左連結部11aと左支持部11bとに車体前後向きの左連結ピン11cが取り付けられると、左連結部11aが左連結ピン11cによって左支持部11bに揺動可能に連結され、2つの左連結ピン11cが有する軸芯でなる左ダンプ軸芯P2を車体左横側部において車体前後方向に延びる状態で有する荷台支持状態になり、荷台8が左ダンプ軸芯P2を揺動支点にして上下揺動可能な状態で左支持部11bに支持される。
【0026】
左ダンプ支持部11においては、車体左横側部における前後2箇所のそれぞれで、左連結部11aおよび左支持部11bから左連結ピン11cが取り外されると、左連結部11aの左支持部11bに対する連結が解除され、荷台8の揺動支持を解除するように荷台支持の解除状態になる。
【0027】
図2,4,5に示されるように、右ダンプ支持部12には、荷台8における右下部の車体前後方向での2箇所に設けられた右連結部12aと、荷台支持フレーム13における右前後向き部13cの車体前後方向での2箇所に設けられた右支持部12bと、右連結部12aを右支持部12bに連結する右連結ピン12cと、が備えられている。2箇所の右連結部12aのうちの後の右連結部12aは、2箇所の後連結部10aのうちの右の後連結部10aとは、別に設けられている。2箇所の右支持部12bのうちの後の右支持部12bは、2箇所の後支持部10bのうちの右の後支持部10bとは、別に設けられている。
【0028】
図5に示されるように、右ダンプ支持部12においては、車体右横側部における前後2箇所のそれぞれで、右連結部12aと右支持部12bとに車体前後向きの右連結ピン12cが取り付けられると、右連結部12aが右連結ピン12cによって右支持部12bに揺動可能に連結され、2つの右連結ピン12cが有する軸芯でなる右ダンプ軸芯P3を車体右横側部において車体前後方向に延びる状態で有する荷台支持状態になり、荷台8が右ダンプ軸芯P3を揺動支点にして上下揺動可能な状態で右支持部12bに支持される。
【0029】
右ダンプ支持部12においては、車体右横側部における前後2箇所で、右連結部12aおよび右支持部12bから右連結ピン12cが取り外されると、右連結部12aの右支持部12bに対する連結が解除され、荷台8の揺動支持を解除するように荷台支持の解除状態になる。
【0030】
2つの後連結ピン10cを取り付けて後ダンプ支持部10を荷台支持状態に切り換え、2つの左連結ピン11cを取り外して左ダンプ支持部11を荷台支持の解除状態に切り換え、2つの右連結ピン12cを取り外して右ダンプ支持部12を荷台支持の解除状態に切り換えてシリンダ9を伸長作動させることにより、
図1に二点鎖線で示され、
図3に実線で示されるように、荷台8を後ダンプ軸芯P1が揺動支点となるダンプ方向にシリンダ9によってダンプすることができる。
【0031】
2つの左連結ピン11cを取り付けて左ダンプ支持部11を荷台支持状態に切り換え、2つの後連結ピン10cを取り外して後ダンプ支持部10を荷台支持の解除状態に切り換え、2つの右連結ピン12cを取り外して右ダンプ支持部12を荷台支持の解除状態に切り換えてシリンダ9を伸長作動させることにより、
図4に実線で示されるように、荷台8を左ダンプ軸芯P2が揺動支点となるダンプ方向にシリンダ9によってダンプすることができる。
【0032】
2つの右連結ピン12cを取り付けて右ダンプ支持部12を荷台支持状態に切り換え、2つの後連結ピン10cを取り外して後ダンプ支持部10を荷台支持の解除状態に切り換え、2つの左連結ピン11cを取り外して左ダンプ支持部11を荷台支持の解除状態に切り換えてシリンダ9を伸長作動させることにより、
図5に実線で示されるように、荷台8を右ダンプ軸芯P3が揺動支点となるダンプ方向にシリンダ9によってダンプすることができる。
【0033】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、後連結部10aの後支持部10bに対する連結を後連結ピン10cによって行い、左連結部11aの左支持部11bに対する連結を左連結ピン11cによって行い、右連結部12aの右支持部12bに対する連結を右連結ピン12cによって行う例を示したが、これに限らない。例えば、連結具としては、フックなどの採用が可能である。
【0034】
(2)上記した実施形態では、後連結部10aおよび後支持部10bを左右2箇所に設け、左連結部11aおよび左支持部11bを前後2箇所に設け、右連結部12aおよび右支持部12bを前後2箇所に設けた例を示したが、左右3箇所以上、前後3箇所以上に設けたものであってもよい。
【0035】
(3)上記した実施形態では、後連結部10aおよび後支持部10bの両方から取り外す後連結ピン10c、左連結部11aおよび左支持部11bの両方から取り外す左連結ピン11c、右連結部12aおよび右支持部12bの両方から取り外す右連結ピン12cを採用した例を示したが、これに限らない。後連結部10aおよび後支持部10bの一方にスライド可能に支持し、後連結部10aおよび後支持部10bの一方から取り外さないで後連結部10aおよび後支持部10bの他方から取り外す後連結ピンを採用したものであってもよい。左連結部11aおよび左支持部11bの一方にスライド可能に支持し、左連結部11aおよび左支持部11bの一方から取り外さないで左連結部11aおよび左支持部11bの他方から取り外す左連結ピンを採用したものであってもよい。右連結部12aおよび右支持部12bの一方にスライド可能に支持し、右連結部12aおよび右支持部12bの一方から取り外さないで右連結部12aおよび右支持部12bの他方から取り外す右連結ピンを採用したものであってもよい。
【0036】
(4)上記した実施形態では、後連結ピン10c、左連結ピン11cおよび右連結ピン12cのそれぞれを設けた例を示したが、後連結ピン10c、左連結ピン11cおよび右連結ピン12cを共用の連結ピンにして後ダンプ支持部10、左ダンプ支持部11および右ダンプ支持部12に付け替えるように構成したものであってもよい。
【0037】
(5)上記した実施形態では、後連結ピン10c、左連結ピン11cおよび右連結ピン12cを各別に脱着するように構成した例を示したが、後連結ピン10c、左連結ピン11cおよび右連結ピン12cに連結した一つの操作レバーによって後連結ピン10c、左連結ピン11cおよび右連結ピン12cを連動させて脱着する操作機構を採用してもよい。
【0038】
(6)上記した実施形態では、シリンダ9を採用した例を示したが、シリンダ9に替え、人為操作可能な荷台昇降機構を採用したものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、運転部、運転部の後方に設けられた荷台を備える多目的車両に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
3 運転部
8 荷台
9 シリンダ
10 後ダンプ支持部
10a 後連結部
10b 後支持部
10c 後連結ピン
11 左ダンプ支持部
11a 左連結部
11b 左支持部
11c 左連結ピン
12 右ダンプ支持部
12a 右連結部
12b 右支持部
12c 右連結ピン
P1 後ダンプ軸芯
P2 左ダンプ軸芯
P3 右ダンプ軸芯