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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174967
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B65H9/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081048
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】田村 賢一
【テーマコード(参考)】
3F102
【Fターム(参考)】
3F102AA03
3F102AA14
3F102AB01
3F102BA02
3F102BB02
3F102BB05
3F102DA05
3F102EA03
3F102EC01
3F102FA02
(57)【要約】
【課題】媒体のスキューをより適切に補正することが可能な媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、第1ローラ、及び、第1ローラの上側に第1ローラと対向して配置された第2ローラを含み、且つ、媒体を搬送する搬送ローラ対と、第2ローラを、媒体を搬送する搬送面に沿って揺動可能に支持する支持機構と、第2ローラに当接する媒体により第2ローラが揺動した場合に、その媒体を搬送中に第2ローラに対して第1ローラと対向する位置に戻る方向の力を付与する押圧部と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ローラ、及び、前記第1ローラの上側に前記第1ローラと対向して配置された第2ローラを含み、且つ、媒体を搬送する搬送ローラ対と、
前記第2ローラを、媒体を搬送する搬送面に沿って揺動可能に支持する支持機構と、
前記第2ローラに当接する媒体により前記第2ローラが揺動した場合に、当該媒体を搬送中に前記第2ローラに対して前記第1ローラと対向する位置に戻る方向の力を付与する押圧部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記第2ローラの軸方向中央に配置された揺動軸をさらに有し、
前記支持機構は、前記揺動軸を保持して、前記第2ローラを前記搬送面に沿って揺動可能に支持する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記揺動軸に対して前記第2ローラの軸方向と平行に取り付けられ、且つ、前記押圧部によって付与される力を受ける被押圧部をさらに有する、請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記第2ローラは、前記第1ローラに従動回転するように設けられる、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記媒体搬送装置は、媒体を分離せずに搬送する非分離モードと、媒体を分離して搬送する分離モードとを有し、
前記第2ローラは、前記非分離モードにおいて前記第1ローラに従動回転し、且つ、前記分離モードにおいて媒体搬送方向と逆方向に回転又は停止し、
前記支持機構は、前記非分離モードにおいて前記第2ローラの揺動を許容し、且つ、前記分離モードにおいて前記第2ローラの揺動を制限する、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置に関し、特に、搬送ローラ対を用いて媒体を搬送する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ等の媒体搬送装置では、媒体を搬送させて読み取る際に、媒体が傾いて搬送されるスキュー(斜行)が発生し、媒体全体が撮像されない場合、又は、媒体が搬送路の側壁に衝突して媒体のジャム(紙詰まり)が発生する場合がある。
【0003】
シートの斜行の検知結果に基づいて、第1のリタードローラ及び第1の調圧機構と、第2のリタードローラ及び第2の調圧機構とのシート搬送量を変更することで、搬送されているシートの斜行を制御するシート搬送装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-69116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体搬送装置では、媒体のスキューが発生した場合に、媒体のスキューをより適切に補正することが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、媒体のスキューをより適切に補正することが可能な媒体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、第1ローラ、及び、第1ローラの上側に第1ローラと対向して配置された第2ローラを含み、且つ、媒体を搬送する搬送ローラ対と、第2ローラを、媒体を搬送する搬送面に沿って揺動可能に支持する支持機構と、第2ローラに当接する媒体により第2ローラが揺動した場合に、その媒体を搬送中に第2ローラに対して第1ローラと対向する位置に戻る方向の力を付与する押圧部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、媒体搬送装置は、媒体のスキューをより適切に補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】ブレーキローラ113等の構造について説明するための模式図である。
図4A】ブレーキローラ113等の動作について説明するための模式図である。
図4B】ブレーキローラ113等の動作について説明するための模式図である。
図5A】ブレーキローラ113等の動作について説明するための模式図である。
図5B】ブレーキローラ113等の動作について説明するための模式図である。
図6A】ブレーキローラ113等の動作について説明するための模式図である。
図6B】ブレーキローラ113等の動作について説明するための模式図である。
図7】付圧係数Fa(L)の特性を示すグラフ700である。
図8】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図9】記憶装置160及び処理回路170の概略構成を示す図である。
図10】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図11】他の処理回路270の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0011】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0012】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0013】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0014】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に下側筐体101に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0015】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0016】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0017】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第2媒体センサ116、撮像装置117、第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119等を有している。
【0018】
なお、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ118及び/又は第2排出ローラ119のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ118及び/又は第2排出ローラ119は、それぞれ媒体搬送方向A1と直交する幅方向に間隔を空けて並べて配置される。
【0019】
下側筐体101の上面は、媒体を搬送する搬送面の一例であり、媒体の搬送路の下側ガイド107aを形成する。以下では、媒体を搬送する搬送面を媒体搬送面と称する場合がある。上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド107bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0020】
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113の上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0021】
給送ローラ112は、第1ローラの一例であり、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、第2ローラの一例であり、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112の上側に給送ローラ112と対向して配置される。給送ローラ112及びブレーキローラ113は、媒体を搬送する搬送ローラ対の一例である。給送ローラ112は、下側筐体101に固定され、ブレーキローラ113は、媒体搬送面に沿って揺動可能に設けられる。媒体搬送装置100は、載置台103に複数の媒体が載置された場合に媒体を分離して搬送する分離モードと、パスポート等の媒体を分離せずに搬送する非分離モードの二つの動作モードを有している。ブレーキローラ113は、分離モードにおいて、媒体搬送方向と逆方向に回転又は停止し、非分離モードにおいて、給送ローラ112に従動回転する。
【0022】
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112より下流側に、相互に対向して配置される。第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112及びブレーキローラ113によって給送された媒体を撮像装置117に搬送する。
【0023】
第2媒体センサ116は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115より下流側且つ撮像装置117より上流側に配置され、その位置に搬送された媒体を検出する。第2媒体センサ116は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光する。第2媒体センサ116と対向する位置に媒体が存在するときは、発光器から照射された光は媒体により遮られるため、受光器は発光器から照射された光を検出しない。受光器は、受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ116の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0024】
なお、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2媒体センサ116は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0025】
撮像装置117は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを含む。第1撮像装置117aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置117aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置117aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0026】
同様に、第2撮像装置117bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置117bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置117bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0027】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0028】
第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119は、撮像装置117より下流側に、相互に対向して配置される。第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115によって搬送され、撮像装置117によって撮像された媒体を排出台104に排出する。
【0029】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図2の矢印A2の方向、即ち媒体搬送方向に回転することによって、下側ガイド107aと上側ガイド107bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。分離モードで動作する場合、ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向、即ち媒体搬送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。一方、非分離モードで動作する場合、ブレーキローラ113は、給送ローラ112に従動回転し、矢印A3の反対方向、即ち媒体搬送方向に回転する。
【0030】
媒体は、下側ガイド107aと上側ガイド107bによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置117aと第2撮像装置117bの間に送り込まれる。撮像装置117により読み取られた媒体は、第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0031】
図3は、ブレーキローラ113等の構造について説明するための模式図である。
【0032】
図3に示す例では、給送ローラ112は、二つの給送ローラ112a、112bを含み、ブレーキローラ113は、二つのブレーキローラ113a、113bを含んでいる。媒体搬送装置100は、給送ローラ112の駆動機構として、第1シャフト121及び第1ギア122等を有する。また、媒体搬送装置100は、ブレーキローラ113の駆動機構として、第2シャフト123、第2ギア124、コロ125a、125b等を有する。
【0033】
第1シャフト121は、給送ローラ112の回転軸であり、給送ローラ112は、第1シャフト121の回転に従って回転するように、第1シャフト121に取り付けられている。第1シャフト121の一端には第1ギア122が取り付けられ、第1ギア122は、不図示のギアを介して、後述するモータと接続され、モータの回転に従って回転するように設けられている。
【0034】
第2シャフト123は、ブレーキローラ113の回転軸であり、ブレーキローラ113は、第2シャフト123の回転に従って回転するように、第2シャフト123に取り付けられている。第2シャフト123の一端には第2ギア124が取り付けられ、第2ギア124は、不図示のギアを介して、後述するモータと接続され、モータの回転に従って回転するように設けられている。また、媒体搬送方向A1と直交する幅方向A8において、第2シャフト123の両端には、コロ125a、125bが、第2シャフト123の回転に従って回転するように取り付けられている。
【0035】
媒体搬送装置100は、支持機構130、押圧部材141a、141b、ストッパ142及びストッパ用モータ143等をさらに有する。
【0036】
支持機構130は、壁部131、揺動軸受け部132、揺動軸部133、軸受け部134、被押圧部135、第1ガイド部136a、136b及び第2ガイド部137a、137b等を含む。
【0037】
壁部131は、板状部材であり、媒体搬送面と略直交するように上側筐体102に固定して配置される。揺動軸受け部132は、揺動軸部133の軸受けであり、壁部131に固定され、揺動軸部133を媒体搬送面に沿って(矢印A9の方向に)回転可能に支持する。
【0038】
揺動軸部133は、揺動軸の一例であり、揺動軸受け部132に、媒体搬送面に沿って回転可能に支持される。揺動軸部133の下端には、軸受け部134が揺動軸部133と一体に回転するように、軸受け部134の中央部が取り付けられる。揺動軸部133の上端には、被押圧部135が揺動軸部133と一体に回転するように、被押圧部135の中央部が取り付けられる。
【0039】
軸受け部134は、第2シャフト123の軸受けであり、ブレーキローラ113の回転軸である第2シャフト123の軸方向の中央部に配置され、第2シャフト123をモータの回転に従って回転可能に支持する。即ち、揺動軸部133は、第2シャフト123の軸方向中央に配置される。
【0040】
被押圧部135は、ブレーキローラ113の回転軸である第2シャフト123と略平行に延伸するように設けられ、被押圧部135の両端には、押圧部材141a、141bが取り付けられる。即ち、被押圧部135は、揺動軸部133に対してブレーキローラ113の軸方向と平行に取り付けられ、且つ、押圧部材141a、141bによって付与される力を受ける。
【0041】
第1ガイド部136aと第2ガイド部137a、及び、第1ガイド部136bと第2ガイド部137bは、板状部材であり、それぞれコロ125a、125bを挟むように媒体搬送面と略平行に延伸するように配置される。第1ガイド部136aと第2ガイド部137a、及び、第1ガイド部136bと第2ガイド部137bは、それぞれコロ125a、125bを媒体搬送面に沿って移動可能に支持する。
【0042】
このように、支持機構130は、揺動軸部133を保持して、ブレーキローラ113を媒体搬送面に沿って揺動可能に支持する。
【0043】
なお、壁部131及び揺動軸受け部132は、一体の部材で形成される。なお、壁部131及び揺動軸受け部132は、別個の部材で形成されてもよい。また、揺動軸部133、軸受け部134及び被押圧部135は、一体の部材で形成される。なお、揺動軸部133、軸受け部134及び被押圧部135の一部は、別個の部材で形成されてもよい。
【0044】
押圧部材141a、141bは、押圧部の一例である。押圧部材141a、141bは、圧縮コイルばね、板ばね等の弾性部材であり、それぞれ、一端が壁部131に、他端が被押圧部135の幅方向A8の端部に取り付けられ、被押圧部135が幅方向A8と略平行に配置されるように、被押圧部135に力を付与する。これにより、押圧部材141a、141bは、ブレーキローラ113に当接する媒体によりブレーキローラ113が揺動した場合に、その媒体を搬送中にブレーキローラ113に対して給送ローラ112と対向する位置に戻る方向の力を付与する。押圧部材141a、141bは、ばねに限定されず、ゴム等でもよい。
【0045】
ストッパ142は、板状部材であり、ストッパ用モータ143により移動(回転)可能に保持される。ストッパ用モータ143は、後述する処理回路からの制御信号に従って(矢印A10の方向に)回転駆動し、ストッパ142を、被押圧部135と対向する対向位置と、被押圧部135と対向しない非対向位置との間で移動させる。ストッパ142は、対向位置に配置された場合、被押圧部135の揺動を制限し、非対向位置に配置された場合、被押圧部135の揺動を許容する。なお、ストッパ142は、被押圧部135でなく、第2シャフト123と対向する位置、例えばコロ125a、125bと対向する位置等に配置され、第2シャフト123の揺動を制限してもよい。
【0046】
図4A図4B図5A図5B図6A及び図6Bは、ブレーキローラ113等の動作について説明するための模式図である。図4A図4B図5A図5B図6A及び図6Bは、ブレーキローラ113及び給送ローラ112を上方から見た模式図である。
【0047】
図4Aは、媒体搬送前のブレーキローラ113及び給送ローラ112を示している。図4Aに示すように、被押圧部135の両端には、押圧部材141a、141bから同じ大きさの力が付与され、被押圧部135は、媒体搬送方向と直交する幅方向A8に延伸するように配置される。これにより、媒体搬送前、即ちブレーキローラ113に媒体が接していない場合、ブレーキローラ113a、113bは、幅方向A8に延伸する初期位置に配置される。
【0048】
図4Bは、傾いて搬送された媒体Mの先端が給送ローラ112及びブレーキローラ113のニップ位置に到達した状態を示している。図4Bに示す例では、媒体Mは、ブレーキローラ113a側が先行するように傾いて搬送され、ブレーキローラ113aには媒体Mの先端が当接しているが、ブレーキローラ113bには媒体Mの先端は当接していない。この場合、ブレーキローラ113aにはローラ負荷力Raが印加される。ローラ負荷力Raは、媒体Mにより媒体搬送方向A1に向けて加えられる。ローラ負荷力Raの大きさは、以下の式(1)により算出される。
Ra=μ×Fa(L)×N (1)
【0049】
ここで、μは、給送ローラ112及びブレーキローラ113と、給送ローラ112及びブレーキローラ113aに当接してブレーキローラ113aにより搬送される媒体との間の摩擦係数である。
【0050】
Lは、対応するブレーキローラ113a側に配置されたばね(押圧部材141a)の伸縮量である。Lは、ばねが初期状態である場合は0であり、ばねが収縮している場合は負値を有し、ばねが伸長している場合は正値を有する。ばねが収縮又は伸長している度合いが大きいほど、Lの絶対値は大きい。
【0051】
Fa(L)は、ブレーキローラ113aと、そのブレーキローラ113aに対向する給送ローラ112aとの間の付圧係数である。Fa(L)は、ブレーキローラ113aと給送ローラ112aが相互に押し合う力が大きいほど、大きい値を有する。
【0052】
図7は、付圧係数Fa(L)の特性を示すグラフ700である。グラフ700の横軸は、ブレーキローラ113a側に配置されたばね(押圧部材141a)の伸縮量を示し、縦軸は、付圧係数Fa(L)を示す。
【0053】
ブレーキローラ113aと給送ローラ112aが接する面積が大きいほど、ブレーキローラ113aと給送ローラ112aとが相互に押し合う力は大きくなるため、付圧係数Fa(L)は、ばねの伸縮量Lに応じて変化する。したがって、付圧係数Fa(L)は、伸縮量Lの関数で示される。ブレーキローラ113は、給送ローラ112に対してわずかに下流側に配置される。そのため、図7に示すように、ブレーキローラ113aが下流側に移動してばねが収縮する場合、ばねの収縮量が大きいほどブレーキローラ113aと給送ローラ112aが接する面積が小さくなり、Fa(L)は小さくなる。一方、ブレーキローラ113aが上流側に移動してばねが伸長する場合、ばねの伸長量が大きいほどブレーキローラ113aと給送ローラ112aが接する面積が大きくなり、Fa(L)は大きくなる。なお、ばねの最大伸縮量は、ブレーキローラ113が給送ローラ112より上流側に配置されないように設定される。
【0054】
Nは、給送ローラ112a及びブレーキローラ113aによる媒体の搬送力を示す定数である。Nは、給送ローラ112及びブレーキローラ113との間の摩擦係数が1である媒体が搬送され、且つ、ブレーキローラ113aが初期位置に配置された場合における、給送ローラ112a及びブレーキローラ113aによる媒体の搬送力である。
【0055】
一方、ブレーキローラ113bには媒体Mの先端は当接していないため、ブレーキローラ113bにはローラ負荷力は印加されない。したがって、ブレーキローラ113aに印加されるローラ負荷力Raが回転閾値を超えた場合、ブレーキローラ113aは下流側に、ブレーキローラ113bは上流側に移動(揺動)する。回転閾値は略0に設定される。
【0056】
図5Aは、媒体Mが、図4Bに示す状態からさらに搬送され、ブレーキローラ113aが下流側に、ブレーキローラ113bが上流側に移動した状態を示している。この場合、ブレーキローラ113a、113bには、それぞれ、ばね力Ba、Bbが印加される。ばね力Ba、Bbの大きさは、以下の式(2)により算出される。
Ba=Bb=k×|L| (2)
【0057】
ここで、kは、押圧部材141a及び押圧部材141bのばね係数である。Lは、式(1)のLと同様に、対応するばね(押圧部材141a又は押圧部材141b)の伸縮量である。ばねが収縮している場合、即ちLが負値を示す場合、ばね力Ba又はBbは、媒体搬送方向A1と反対方向に向けて印加され、ばねが伸長している場合、即ちLが正値を示す場合、ばね力Ba又はBbは、媒体搬送方向A1に向けて印加される。図5Aに示す例では、ばね力Baは、収縮したばね(押圧部材141a)により媒体搬送方向A1と反対方向に向けて印加され、ばね力Bbは、伸長したばね(押圧部材141b)により媒体搬送方向A1に向けて印加される。
【0058】
また、図5Aに示す状態では、ブレーキローラ113aが下流側に移動し、ブレーキローラ113aと給送ローラ112aが接する面積が小さくなり、Fa(L)は小さくなる。そのため、ブレーキローラ113aに印加されるローラ負荷力Raは、図4Bに示す状態より低下する。
【0059】
したがって、ブレーキローラ113aに対して下流側に向けて印加される力は(Ra-Ba)となり、ブレーキローラ113bに対して下流側に向けて印加される力はBb(=Ba)となる。ブレーキローラ113aに対して下流側に向けて印加される力とブレーキローラ113bに対して下流側に向けて印加される力が同一になるまで、即ちRaが(2×Ba)と等しくなるまで、ブレーキローラ113は揺動する。
【0060】
図5Bは、媒体Mが、図5Aに示す状態からさらに搬送され、媒体Mの先端がブレーキローラ113bに当接した状態を示している。この場合、ブレーキローラ113bには、ローラ負荷力Rbが印加される。ローラ負荷力Rbは、媒体Mにより媒体搬送方向A1に向けて加えられる。ローラ負荷力Rbの大きさは、ローラ負荷力Raと同様に、以下の式(3)により算出される。
Rb=μ×Fb(L)×N (3)
【0061】
ここで、μ、Nは、式(1)のμ、Nと同様の摩擦係数及び定数である。Lは、対応するブレーキローラ113b側に配置されたばね(押圧部材141b)の伸縮量である。Fb(L)は、ブレーキローラ113bと、そのブレーキローラ113bに対向する給送ローラ112bとの間の付圧係数である。付圧係数Fb(L)は、付圧係数Fa(L)と同様の特性を有する。
【0062】
図5Bに示す状態では、図5Aに示す状態から、ブレーキローラ113aがさらに下流側に移動しており、ブレーキローラ113aと給送ローラ112aが接する面積がさらに小さくなり、付圧係数Fa(L)はさらに小さくなる。そのため、ブレーキローラ113aに印加されるローラ負荷力Raは、図5Aに示す状態より低下する。一方、ブレーキローラ113bは上流側に移動しており、ブレーキローラ113bと給送ローラ112bが接する面積が大きくなり、付圧係数Fb(L)は付圧係数Fa(L)より大きくなる。したがって、ローラ負荷力Rbはローラ負荷力Raより大きくなる。
【0063】
一方、ブレーキローラ113a、113bには、それぞれ、ばね力Ba、Bbが印加される。なお、図5Bに示す状態では、図5Aに示す状態から、押圧部材141aはさらに収縮し且つ押圧部材141bはさらに伸長するため、ばね力Ba、Bbは、図5Aに示す状態より増大している。但し、ばね力Baと、ばね力Bbとは、同一の大きさを有する。
【0064】
したがって、ブレーキローラ113aに対して下流側に向けて印加される力は(Ra-Ba)となり、ブレーキローラ113bに対して下流側に向けて印加される力は(Rb+Bb)となる。ローラ負荷力Rbはローラ負荷力Raより大きく、且つ、ばね力Baとばね力Bbとは等しいため、この後、ブレーキローラ113aは上流側に、ブレーキローラ113bは下流側に移動(揺動)する。
【0065】
図6Aは、ブレーキローラ113aが上流側に、ブレーキローラ113bが下流側に移動中の状態を示している。ブレーキローラ113aに対して下流側に向けて印加される力(Ra-Ba)と、ブレーキローラ113bに対して下流側に向けて印加される力(Rb+Bb)とが等しくなるまで、ブレーキローラ113は移動する。上記したように、ローラ負荷力Rbはローラ負荷力Raより大きく、且つ、ばね力Baとばね力Bbとは等しいため、力(Rb+Bb)は、常に力(Ra-Ba)以上である。上記した式(1)~(3)から、ばねの伸縮量Lが0の場合に、ローラ負荷力Rbとローラ負荷力Raが等しくなり、且つ、ばね力Baとばね力Bbが0になり、力(Rb+Bb)と力(Ra-Ba)が等しくなる。したがって、ブレーキローラ113は、ばね(押圧部材141a、141b)の伸縮量Lが0になるまで、ブレーキローラ113aが上流側に、ブレーキローラ113bが下流側に移動するように揺動する。
【0066】
図6Bは、ばね(押圧部材141a、141b)の伸縮量Lが0になった状態を示している。図6Bに示すように、ばね(押圧部材141a、141b)の伸縮量Lが0になると、ブレーキローラ113a、113bは、媒体搬送方向と直交する幅方向A8に延伸する初期位置に戻る。上記したように、この状態で、二つのブレーキローラ113a、113bにかかる力(Rb+Bb)と力(Ra-Ba)とが等しくなり、ブレーキローラ113の揺動は停止する。これにより、媒体Mにおいて先行していたブレーキローラ113a側の部分が、ブレーキローラ113aとの間の摩擦により押し戻され、媒体のスキューが補正され、媒体はまっすぐ搬送される。
【0067】
図8は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0068】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ151、インタフェース装置152、記憶装置160及び処理回路170等をさらに有する。
【0069】
モータ151は、一又は複数のモータを有し、処理回路170からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119を回転させて媒体を搬送させる。
【0070】
インタフェース装置152は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置152の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。
【0071】
記憶装置160は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置160には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置160にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0072】
処理回路170は、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路170として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0073】
処理回路170は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ116、撮像装置117、モータ151、インタフェース装置152及び記憶装置160等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路170は、モータ151の駆動制御、撮像装置117の撮像制御等を行い、撮像装置117から入力画像を取得し、インタフェース装置152を介して情報処理装置に送信する。
【0074】
図9は、記憶装置160及び処理回路170の概略構成を示す図である。
【0075】
図9に示すように、記憶装置160には、制御プログラム161及び設定プログラム162等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路170は、記憶装置160に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路170は、制御部171及び設定部172として機能する。
【0076】
図10は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0077】
以下、図10に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置160に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路170により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図10に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0078】
最初に、制御部171は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置152から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0079】
次に、制御部171は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部171は、一連のステップを終了する。
【0080】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、設定部172は、動作モードが分離モードに設定されているか非分離モードに設定されているかを判定する(ステップS103)。動作モードは、利用者により任意のタイミングで操作装置105又は情報処理装置を用いて設定され、記憶装置160に記憶される。設定部172は、記憶装置160に記憶された動作モードを読み出すことにより、動作モードが分離モードに設定されているか非分離モードに設定されているかを判定する。
【0081】
動作モードが分離モードに設定されている場合、設定部172は、ストッパ用モータ143を駆動し、ストッパ142を、被押圧部135と対向する対向位置に配置し、被押圧部135の揺動を制限する(ステップS104)。
【0082】
一方、動作モードが非分離モードに設定されている場合、設定部172は、ストッパ用モータ143を駆動し、ストッパ142を、被押圧部135と対向しない非対向位置に配置し、被押圧部135の揺動を許容する(ステップS105)。
【0083】
これにより、支持機構130は、非分離モードにおいてブレーキローラ113の揺動を許容し、且つ、分離モードにおいてブレーキローラ113の揺動を制限する。媒体搬送装置100は、カード等の厚みを有する媒体又は冊子等の綴じられた媒体を搬送する際には、ブレーキローラ113を揺動させることにより、媒体のスキューを良好に補正することが可能となる。また、媒体搬送装置100は、複数の媒体をまとめて載置台103に載置し、媒体を分離して搬送する際には、ブレーキローラ113の揺動を制限することにより、媒体を良好に分離することが可能となる。
【0084】
次に、制御部171は、モータ151を駆動し、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119を回転させて、媒体を搬送させる(ステップS106)。
【0085】
次に、制御部171は、搬送された媒体の全体が撮像されるまで待機する(ステップS107)。制御部171は、例えば、第2媒体センサ116から受信する第2媒体信号に基づいて媒体の後端が第2媒体センサ116の位置を通過したか否かを判定する。制御部171は、第2媒体センサ116から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体センサ116の位置を通過したと判定する。制御部171は、媒体の後端が第2媒体センサ116の位置を通過してから所定時間が経過した時に媒体の後端が撮像装置117の撮像位置を通過し、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定する。所定時間は、媒体が第2媒体センサ116から撮像位置まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。なお、制御部171は、媒体の給送を開始してから所定時間が経過した時に、搬送された媒体の全体が撮像されたと判定してもよい。
【0086】
搬送された媒体の全体が撮像された場合、制御部171は、撮像装置117から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置152を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS108)。
【0087】
次に、制御部171は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS109)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部171は、ステップS107へ処理を戻し、ステップS107~S109の処理を繰り返す。
【0088】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部171は、モータ151を停止する。これにより、制御部171は、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119を停止させ(ステップS110)、一連のステップを終了する。
【0089】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、ブレーキローラ113の回転軸を、スキューする媒体の先行している側が下流側に揺動するように支持し、押圧部材141a、141bによってブレーキローラ113を上流側に押し戻す力を加える。これにより、媒体搬送装置100は、媒体のスキューをより適切に補正することが可能となった。
【0090】
また、媒体搬送装置100は、媒体のスキューによって媒体全体が撮像されないこと、又は、媒体のジャムが発生することを抑制することが可能となった。また、利用者は、媒体搬送中に媒体のスキューが発生していないかを監視する必要がなくなり、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。また、媒体搬送装置100は、複数の給送ローラ112を別個に回転駆動して、各給送ローラ112の回転速度を個別に変更するような特別な制御機構を設けることなく、媒体のスキューを補正することが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、媒体のスキューを補正することが可能となった。
【0091】
また、媒体搬送装置100において、揺動軸部133は、ブレーキローラ113の軸方向中央に配置される。これにより、ブレーキローラ113の第2シャフト123は、小さい力で揺動することが可能となり、媒体搬送装置100は、ブレーキローラ113の揺動を容易に制御することが可能となった。なお、揺動軸部133は、ブレーキローラ113の軸方向の何れかの端部に配置され、第2シャフト123は、何れかの端部を揺動軸として揺動(回転)可能に設けられてもよい。
【0092】
また、媒体搬送装置100において、被押圧部135は、揺動軸部133に対してブレーキローラ113の軸方向と平行に取り付けられる。媒体搬送面と直交する高さ方向において、媒体搬送路の近傍には、媒体を搬送させるためのローラ、各種センサ、撮像装置等が配置されるため、空きスペースが小さい。被押圧部135が第2シャフト123から離れた位置に配置されることにより、媒体搬送装置100は、支持機構130及び押圧部材141a、141b等を効率良く配置することが可能となり、装置サイズの増大を抑制することが可能となった。また、被押圧部135が第2シャフト123と平行に配置されるため、設計者は、被押圧部135を適切に揺動させるように支持機構130及び押圧部材141a、141bを設計することにより、第2シャフト123を適切に揺動させることが可能となる。したがって、設計者は、支持機構130及び押圧部材141a、141bを容易に設計することが可能となり、媒体搬送装置100の設計工数を低減させることが可能となる。なお、媒体搬送装置100において、被押圧部135が省略され、押圧部材141a、141bは、軸受け部134に取り付けられてもよい。
【0093】
また、ブレーキローラ113は、第2シャフト123が揺動する非分離モードにおいて、給送ローラ112に従動回転するように設けられる。そのため、第2シャフト123に取り付けられた第2ギア124が、歯合するギアと離間しても、媒体搬送装置100は、媒体を良好に搬送することができる。なお、ブレーキローラ113は、非分離モードにおいて、モータ151の駆動により回転するように設けられてもよい。その場合、支持機構130には、第2シャフト123に取り付けられた第2ギア124が、歯合するギアと離間しない範囲で揺動するように、コロ125a、125bの移動範囲を制限するストッパが設けられる。
【0094】
また、支持機構は、ブレーキローラ113を揺動可能に支持することに代えて、又は加えて、第2搬送ローラ115を揺動可能に支持するように設けられてもよい。その場合、第1搬送ローラ114が第1ローラの一例であり、第2搬送ローラ115が第2ローラの一例であり、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115が搬送ローラ対の一例である。押圧部材は、第2搬送ローラ115に当接する媒体により第2搬送ローラ115が揺動した場合に、その媒体を搬送中に第2搬送ローラ115に対して第1搬送ローラ114と対向する位置に戻る方向の力を付与するように設けられる。また、その場合、第2搬送ローラ115は、第1搬送ローラ114に従動回転するように設けられてもよい。
【0095】
同様に、支持機構は、第2排出ローラ119を揺動可能に支持するように設けられてもよい。その場合、第1排出ローラ118が第1ローラの一例であり、第2排出ローラ119が第2ローラの一例であり、第1排出ローラ118及び第2排出ローラ119が搬送ローラ対の一例である。押圧部材は、第2排出ローラ119に当接する媒体により第2排出ローラ119が揺動した場合に、その媒体を搬送中に第2排出ローラ119に対して第1排出ローラ118と対向する位置に戻る方向の力を付与するように設けられる。また、その場合、第2排出ローラ119は、第1排出ローラ118に従動回転するように設けられてもよい。
【0096】
また、押圧部として、押圧部材141a、141bの代わりに、第2シャフト123を揺動させるように、処理回路170からの制御に従って駆動するモータが用いられてもよい。その場合、処理回路170は、ブレーキローラ113に当接する媒体によりブレーキローラ113が揺動した場合に、その媒体を搬送中にブレーキローラ113に対して給送ローラ112と対向する位置に戻る方向の力を付与するようにモータを駆動する。
【0097】
図11は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路270の概略構成を示す図である。処理回路270は、媒体搬送装置100の処理回路170の代わりに使用され、処理回路170の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路270は、制御回路271及び設定回路272等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0098】
制御回路271は、制御部の一例であり、制御部171と同様の機能を有する。制御回路271は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ116から第2媒体信号を受信する。制御回路271は、受信した各情報に基づいてモータ151を制御するとともに、撮像装置117から入力画像を取得し、インタフェース装置152に出力する。
【0099】
設定回路272は、設定部の一例であり、設定部172と同様の機能を有する。設定回路272は、記憶装置160から動作モードの設定を読み出し、読み出した設定に従ってストッパ用モータ143を制御する。
【0100】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路270を用いる場合においても、媒体のスキューをより適切に補正することが可能となった。
【符号の説明】
【0101】
100 媒体搬送装置、112 給送ローラ、113 ブレーキローラ、114 第1搬送ローラ、115 第2搬送ローラ、118 第1排出ローラ、119 第2排出ローラ、130 支持機構、133 揺動軸部、135 被押圧部、141a、141b 押圧部材
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11