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特開2022-174974車両用のドアサッシュおよび車両用ドア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174974
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】車両用のドアサッシュおよび車両用ドア
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B60J5/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081057
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】591185423
【氏名又は名称】千代田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】滝田 尚紀
(57)【要約】
【課題】ピラーサッシュからガラスランが抜けてしまうことを抑制する。
【解決手段】ドアサッシュ10は、ルーフサッシュと、ピラーサッシュ200とを備える。ピラーサッシュ200は、ガラスラン30を保持するアウタ部材210と、第1内枠部221を有するインナ部材220と、を有する。アウタ部材210は、第1保持部211と、第1端部211Aと、第2端部211Bと、第1端部211Aから車両の内側に向けて延びるフランジ211Dとを有する。第1内枠部221は、第1延出部221Aと、第2延出部221Bとを有する。第1延出部221Aは、フランジ211Dの外側に重なってレーザ溶接された固着部221Kと、固着部221Kから第1保持部211の開口側の端部よりも車両の外側に向けて突出した突出部221Tとを有する。突出部221Tは、ガラスラン30の突出したリップ部31と係合してガラスラン30の抜け止めとなる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のドアサッシュであって、
上下方向に延びるピラーサッシュであって、ガラスランを保持する凹部を有するアウタ部材と、前記アウタ部材とともに車両の内側に膨らんだ袋状部を形成するU字形状断面の第1内枠部を有するインナ部材と、を有するピラーサッシュと、
車両のルーフに沿って延び、前記ピラーサッシュと接続されたルーフサッシュと、を備え、
前記アウタ部材は、前記凹部を形成する第1保持部と、前記第1保持部の開口側の端部のうち、車両内側に位置する第1端部と、前記第1保持部の開口側の端部のうち、車両外側に位置する端部である第2端部と、前記第1端部から車両の内側に向けて延びるフランジとを有し、
前記第1内枠部は、U字形状の一方の端部を形成する第1延出部と、U字形状の他方の端部を形成する第2延出部とを有し、
前記第1延出部は、前記フランジの外側に重なって前記フランジにレーザ溶接された固着部と、前記固着部から前記第1保持部の前記開口側の端部よりも前記車両の外側に向けて突出した突出部とを有し、
前記突出部は、前記ガラスランの突出したリップ部と係合して前記ガラスランの抜け止めとなることを特徴とする車両用のドアサッシュ。
【請求項2】
前記アウタ部材は、前記第2端部から車両の前後方向に延びる第1外面部を有し、
前記インナ部材は、上下方向に延びる縦部と、縦部の上端から前後方向に延びる横部とを有し、
前記ルーフサッシュは、前記ガラスランを保持する第2保持部と、前記第2保持部とともに車両の内側に膨らんだ袋状部を形成するU字形状断面の第2内枠部と、前記第2保持部から車両の上下方向に延びる第2外面部とを有し、
前記第2外面部は、前記第2内枠部よりも、前後方向に突出し、前後方向の端部が前記第1外面部と第1部分において固着され、
前記第2内枠部の前後方向の端部は、前記横部の前後方向の端部と第2部分において固着され、前記第2部分は、前記第1部分よりも前記第1外面部から前後方向に離れていることを特徴とする請求項1に記載の車両用のドアサッシュ。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1延出部を構成する板の自由端であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用のドアサッシュ。
【請求項4】
前記第1保持部の底部と前記第2延出部とは、前記第1保持部の上端から下端に渡って連続的に接触し、当該連続的に接触した部分においてレーザ溶接されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用のドアサッシュ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用のドアサッシュを備える車両用ドアであって、
前記保持部に取り付けられた前記ガラスランであって、前記突出部に係合した前記リップ部を有するガラスランをさらに備えることを特徴とする車両用ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のドアサッシュおよび車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラスラン保持部を有する第1の部材と、袋状部を有する第2の部材とを組み合わせて構成される車両用ドアのサッシュが知られている(特許文献1)。ガラスラン保持部は、ガラス窓とサッシュの隙間を塞ぐためのガラスランが保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6422664号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスランは、車両用のサッシュから抜けにくいことが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、ピラーサッシュからガラスランが抜けてしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両用のドアサッシュは、ピラーサッシュと、ルーフサッシュと、を備える。ピラーサッシュは、上下方向に延び、ガラスランを保持する凹部を有するアウタ部材と、アウタ部材とともに車両の内側に膨らんだ袋状部を形成するU字形状断面の第1内枠部を有するインナ部材と、を有する。ルーフサッシュは、車両のルーフに沿って延び、ピラーサッシュと接続されている。アウタ部材は、凹部を形成する第1保持部と、第1保持部の開口側の端部のうち、車両内側に位置する第1端部と、第1保持部の開口側の端部のうち、車両外側に位置する端部である第2端部と、第1端部から車両の内側に向けて延びるフランジとを有する。第1内枠部は、U字形状の一方の端部を形成する第1延出部と、U字形状の他方の端部を形成する第2延出部とを有する。第1延出部は、フランジの外側に重なってフランジにレーザ溶接された固着部と、固着部から第1保持部の開口側の端部よりも車両の外側に向けて突出した突出部とを有する。突出部は、ガラスランの突出したリップ部と係合してガラスランの抜け止めとなる。
【0007】
この構成によれば、ピラーサッシュのアウタ部材がガラスランのリップ部と係合する突出部を有することで、ピラーサッシュからガラスランが抜けてしまうことを抑制できる。
【0008】
また、前記したドアサッシュにおいて、アウタ部材は、第2端部から車両の前後方向に延びる第1外面部を有し、インナ部材は、上下方向に延びる縦部と、縦部の上端から前後方向に延びる横部とを有し、ルーフサッシュは、ガラスランを保持する第2保持部と、第2保持部とともに車両の内側に膨らんだ袋状部を形成するU字形状断面の第2内枠部と、第2保持部から車両の上下方向に延びる第2外面部とを有し、第2外面部は、第2内枠部よりも、前後方向に突出し、前後方向の端部が第1外面部と第1部分において固着され、第2内枠部の前後方向の端部は、横部の前後方向の端部と第2部分において固着され、第2部分は、第1部分よりも第1外面部から前後方向に離れている構成としてもよい。
【0009】
これによれば、アウタ部材とインナ部材を有するピラーサッシュをルーフサッシュに固着する場合において、アウタ部材とルーフサッシュを固着する第1部分と、インナ部材とルーフサッシュを固着する第2部分と、が前後方向に離れているので、インナ部品において応力が集中する縦部と横部が接続する隅部と、固着箇所が前後に離れて位置することになり、繰り返し応力に対する耐性が向上する。
【0010】
また、前記したドアサッシュにおいて、突出部は、第1延出部を構成する板の自由端である構成としてもよい。
【0011】
これによれば、リップ部が引っ掛かりやすく、抜けにくい。
【0012】
また、前記したドアサッシュにおいて、第1保持部の底部と第2延出部とは、第1保持部の上端から下端に渡って連続的に接触し、当該連続的に接触した部分においてレーザ溶接されている構成としてもよい。
【0013】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る車両用ドアは、前記したドアサッシュと、ガラスランを備える。ガラスランは、保持部に取り付けられ、突出部に係合したリップ部を有する。
【0014】
この構成によれば、ガラスランのリップ部がピラーサッシュの突出部と係合することで、ピラーサッシュからガラスランが抜けてしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ピラーサッシュからガラスランが抜けてしまうことを抑制できる。
本発明によれば、ドアサッシュの繰り返し応力に対する耐性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】車両用のドアの一部を車両の外側から見た図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のB-B断面図である。
図4】ルーフサッシュの後端部を車両の外側から見た斜視図である。
図5】ルーフサッシュの後端部を車両の内側から見た斜視図である。
図6図1のC-C断面図である。
図7】ピラーサッシュの上端部を車両の外側から見た斜視図である。
図8】ルーフサッシュとピラーサッシュの接合部分を車両の外側から見た斜視図である。
図9】ルーフサッシュとピラーサッシュの接合部分を車両の内側から見た斜視図である。
図10】アウタ部材とインナ部材がレーザ溶接された部分を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後、左右、上下は、車両を基準とする。
【0018】
図1に示すように、車両用ドア1は、車両の前列に使用されるドアである。図2に示すように、車両用ドア1は、車両VEに取り付けられている。車両用ドア1は、ドアサッシュ10と、ドアガラス20と、ガラスラン30と、ウェザストリップ40を含む。
【0019】
ドアサッシュ10は、車両用ドア1の窓枠を構成する部材である。ドアサッシュ10は、例えば、金属板からなる。ドアサッシュ10は、ドアガラス20の外周を囲むように配置されている(図1参照)。
【0020】
ガラスラン30は、ドアサッシュ10に装着される帯状のシール部品である。ガラスラン30は、例えば、樹脂、ゴムなどからなる。ガラスラン30は、ドアサッシュ10とドアガラス20との隙間を塞いで騒音、雨、風などが車内に進入するのを防ぐ他、ドアガラス20のスムーズな昇降を支える。
【0021】
ウェザストリップ40は、車両VEと車両用ドア1の間に配置される帯状のシール部品である。ウェザストリップ40は、例えば、樹脂、ゴム、スポンジなどの組み合わせからなる。ウェザストリップ40は、ドアサッシュ10に固定され、車両用ドア1が閉じた状態において、車両VEと車両用ドア1との隙間を塞いで騒音、雨、風などが車内に侵入するのを防ぐ他、車両用ドア1を閉めるときのクッションとなる。
【0022】
図1に示すように、ドアサッシュ10は、前後方向に延びるルーフサッシュ100と、上下方向に延びるピラーサッシュ200とを備える。
【0023】
ルーフサッシュ100は、車両VEのルーフに沿って延び、ピラーサッシュ200と接続されている。具体的に、ルーフサッシュ100は、前後方向に延び、後端部がピラーサッシュ200に溶接されている。本実施形態では、ルーフサッシュ100は、ピラーサッシュ200に、図1の二点鎖線で示した溶接線WL1と、破線で示した溶接線WL2に沿って溶接されている(図8図9も参照)。
【0024】
ルーフサッシュ100は、例えば、ロール成形により成形される。図2に示すように、ルーフサッシュ100は、ガラスラン30を保持する第2保持部101と、第2内枠部102と、第2外面部103と、ウェザストリップ保持部104と、を有する。
【0025】
第2保持部101は、第1端部101Aと第2端部101Bと、底部101Cとを有する。第1端部101Aは、第2保持部101の開口側の端部のうち、車両内側に位置する部分である。第2端部101Bは、第2保持部101の開口側の端部のうち、車両外側に位置する端部である。底部101Cは、第1端部101Aと、第2端部101Bを連結して第2保持部101の底を形成する部分である。ガラスラン30は、第2保持部101の開口から入り込み、第1端部101A、第2端部101Bおよび底部101Cによって形成された凹部内で保持される。第1端部101Aおよび第2端部101Bに形成された段差は、ガラスラン30の抜け止めとなっている。
【0026】
第2内枠部102は、U字形状断面を有している。第2内枠部102は、第2保持部101とともに車両VEの内側に膨らんだ袋状部FJを形成する。
【0027】
第2外面部103は、第2保持部101の第2端部101Bから車両VEの上下方向に延びる部分である。本実施形態では、第2外面部103は、第2端部101Bの下端から上に延びている。第2外面部103は、車両VEの外側に面する部分である。
【0028】
第2外面部103は、第2内枠部102よりも、前後方向に突出している。本実施形態では、図4図5に示すように、第2保持部101および第2外面部103は、第2内枠部102よりも車両VEの後方に突出している。言い換えると、図5に示すように、第2内枠部102は、第2保持部101および第2外面部103よりも前後方向の長さが短く、途中で途切れている。
【0029】
ウェザストリップ保持部104は、コの字状断面に形成され、ウェザストリップ40を保持する部分である。
【0030】
図3に示すように、第2保持部101の底部101Cは、後述するピラーサッシュ200のインナ部材220における第1内枠部221とレーザ溶接されている。詳しくは、第2保持部101の底部101Cと第1内枠部221の第2延出部221Bがレーザ溶接されている。図3では、レーザ光源WPから出射されたレーザによりレーザ溶接された箇所を黒い塗りつぶしで示している。
【0031】
図4に示すように、第2外面部103の後端面103Eは、前後方向に対して斜めに交差する方向に延びている。図5に示すように、第2内枠部102の後端面102Eは、前後方向に対して直交する方向に延びている。
【0032】
図6に示すように、ピラーサッシュ200は、ガラスラン30を保持する凹部を有するアウタ部材210と、第1内枠部221を有するインナ部材220と、ウェザストリップ保持部材230と、を有する。
【0033】
アウタ部材210は、例えば、ロール成形により成形される。アウタ部材210は、第1保持部211と、第1外面部212を有する。第1保持部211は、ガラスラン30を保持する凹部を形成する部分である。第1保持部211は、第1端部211Aと、第2端部211Bと、底部211Cと、フランジ211Dとを有する。
【0034】
第1端部211Aは、第1保持部211の開口側の端部のうち、車両内側に位置する部分である。第2端部211Bは、第1保持部211の開口側の端部のうち、車両外側に位置する端部である。底部211Cは、第1端部211Aと、第2端部211Bを連結して第1保持部211の底を形成する部分である。フランジ211Dは、第1端部211Aから車両の内側に向けて延びる部分である。フランジ211Dは、第1端部211Aから約90°曲がっている。フランジ211Dは、第1保持部211の開口の入り口に位置する。フランジ211Dは、第2端部211Bよりも前に位置する。ガラスラン30は、第1保持部211の開口から入り込み、第1端部211A、第2端部211Bおよび底部211Cによって形成された凹部内で保持される。第1端部211Aおよび第2端部211Bに形成された段差は、ガラスラン30の抜け止めとなっている。
【0035】
第1外面部212は、第2端部211Bから車両VEの前後方向に延びる部分である。本実施形態では、第1外面部212は、第2端部211Bの前端から後ろに延びている。第1外面部212は、車両VEの外側に面する部分である。図7に示すように、第1外面部212の上端部は、斜めにカットされた形状である上端面212Eを有している。上端面212Eは、前後方向および上下方向に交差するように斜めに延びている。
【0036】
ウェザストリップ保持部材230は、インナ部材220に取り付けられている。ウェザストリップ保持部材230は、コの字状断面に形成され、ウェザストリップ40を保持する部材である。
【0037】
インナ部材220は、例えば、プレス成形により成形される。インナ部材220は、U字形状断面の第1内枠部221と、第1延長部222とを有する。
【0038】
第1内枠部221は、アウタ部材210とともに車両VEの内側に膨らんだ袋状部FJを形成する。第1内枠部221は、U字形状の一方の端部を形成する第1延出部221Aと、U字形状の他方の端部を形成する第2延出部221Bと、第1延出部221Aおよび第2延出部221Bを連結する連結部221Cを有する。
【0039】
第1延出部221Aは、連結部221Cから、車両VEの内側から外側に向けて延びている。第1延出部221Aは、固着部221Kと、突出部221Tとを有する。
【0040】
固着部221Kは、アウタ部材210のフランジ211Dの外側に重なってフランジ211Dにレーザ溶接された部分である。図6では、レーザ光源WPから出射されたレーザによりレーザ溶接された箇所を黒い塗りつぶしで示している。固着部211Kは、ガラスラン30が第1保持部211に保持された場合、ガラスラン30の一部に覆われる。すなわち、レーザ溶接による溶接痕はガラスラン30で隠される。
【0041】
突出部221Tは、固着部221Kから第1保持部211の開口側の端部よりも車両の外側に向けて突出した部分である。突出部221Tは、第1延出部221Aを構成する板の自由端となっている。すなわち、突出部221Tは、他の部材に溶接されたりしておらず、他の部材に支持されていない。突出部221Tは、ガラスラン30の突出したリップ部31と係合してガラスラン30の抜け止めとなる。
【0042】
第2延出部221Bは、連結部221Cから、車両VEの内側から外側に向けて延びている。図10に示すように、第2延出部211Bは、一部が平面状に形成されており、平面状に形成された部分が第1保持部211の底部211Cと、第1保持部211の上端から下端に渡って連続的に接触している。そして、底部211Cと第2延出部211Bとが接触した部分が、第1保持部211の上端から下端に渡って連続的にレーザ溶接されている。
【0043】
図7に示すように、インナ部材220は、上下方向に延びる縦部220Tと、縦部220Tの上端から前後方向に延びる横部220Yとを有してL字形状に形成されている。前述したように、ルーフサッシュ100の第2外面部103は、第2内枠部102よりも、後ろに突出している(図5参照)。そして、図8に示すように、第2外面部103は、前後方向の端部が第1外面部212と第1部分WL1において固着されている。本実施形態では、第2外面部103の後端面103Eが、第1外面部212の上端面212Eとアーク溶接により固着されている。アーク溶接によってできた溶接ビードは研磨によって除去するとよい。第2外面部103と第1外面部212の溶接線である第1部分WL1は、前後方向および上下方向に交差するように斜めに延びている。
【0044】
第1外面部212と第2外面部103とが接続されると、第1外面部212と第2外面部103とが接続された部分がドアサッシュ10の内側の隅部223を形成する。
【0045】
図7に示すように、インナ部材220の第1内枠部221は、横部220Yの部分に前端面221Eを有している。前端面221Eは、インナ部材220の最も前に位置する面である。
図9に示すように、第2内枠部102の前後方向の端部は、横部220Yの前後方向の端部と第2部分WL2において固着されている。本実施形態では、第2内枠部102の後端面102Eが、横部220Yの前端部である第1内枠部221の前端面221Eと溶接により固着されている。
【0046】
第2部分WL2は、第1部分WL1よりも第1外面部212から前後方向に離れている。本実施形態では、第2部分WL2は、第1部分WL1よりも第1外面部212の前に位置している。
【0047】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
本発明に係るドアサッシュ10は、ルーフサッシュ100と、ピラーサッシュ200のアウタ部材210およびインナ部材220と、を接合して作られている。ピラーサッシュ200のアウタ部材210およびインナ部材220は、レーザ溶接によって接合されている。このため、アーク溶接によって接合される場合に比べて、加工速度のアップが図れ、製造コストを低減できる。
また、本発明に係るドアサッシュ10は、ピラーサッシュ200のアウタ部材210がガラスラン30のリップ部31と係合する突出部221Tを有することで、ピラーサッシュ200からガラスラン30が抜けてしまうことを抑制できる。
また、突出部221Tは、第1保持部211の開口の入り口に位置している。このため、第1保持部211の奥側にリップ部31が引っ掛かるような構成と比較して、リップ部31が突出部221Tに引っ掛かっているのを確認しやすい。
また、アウタ部材210の突出部221Tが自由端であるため、第1保持部211に形成されている角が丸い段差である場合に比べて、リップ部31が引っ掛かりやすく、抜けにくい。
また、第1延出部221Aとフランジ211Dは、レーザ溶接により溶接されているので、アーク溶接をした場合のように、突出部221Tの近くに溶接ビードが形成されることがない。このため、突出部221Tにリップ部31が引っ掛かりやすく、ガラスラン30が抜けにくい。
【0048】
また、アウタ部材210とインナ部材220を有するピラーサッシュ200をルーフサッシュ100に固着する場合において、アウタ部材210とルーフサッシュ100を固着する第1部分WL1と、インナ部材220とルーフサッシュ100を固着する第2部分WL2とが前後方向に離れている。このため、インナ部品220において応力が集中する縦部220Tと横部220Yが接続する隅部223と、インナ部材220とルーフサッシュ100の固着箇所(第2部分WL2)が前後に離れて位置することなり、繰り返し応力に対する耐性が向上する。
【0049】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0050】
前記実施形態では、ルーフサッシュ100は、ウェザストリップ40を保持するウェザストリップ保持部104を有していたが、ウェザストリップ保持部104は省略可能である。ウェザストリップ保持部104が省略された場合には、接着剤などによって、ウェザストリップ40をルーフサッシュ100に貼り付けてもよい。
【0051】
前記実施形態では、ウェザストリップ40を保持するウェザストリップ保持部材230がピラーサッシュ200に取り付けられていたが、ウェザストリップ保持部材230は省略可能である。ウェザストリップ保持部材230が省略された場合には、ウェザストリップ40をピラーサッシュ200に直接、貼り付ければよい。
【0052】
前記実施形態では、底部211Cと第2延出部211Bとが接触した部分が、第1保持部211の上端から下端に渡って連続的にレーザ溶接されていたが、断続的にレーザ溶接されていてもよい。
【0053】
前記実施形態では、車両用のドアが前列の場合について説明したが、後列のドアについて本発明を適用することもできる。この場合には、ピラーサッシュは、ルーフサッシュの前端に位置するため、第2外面部は、第2内枠部よりも車両の前方に突出する構成となる。
【0054】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用ドア
10 ドアサッシュ
20 ドアガラス
30 ガラスラン
31 リップ部
40 ウェザストリップ
100 ルーフサッシュ
101 第2保持部
102 第2内枠部
102E 後端面
103 第2外面部
103E 後端面
200 ピラーサッシュ
210 アウタ部材
211 第1保持部
211A 第1端部
211B 第2端部
211C 底部
211D フランジ
212 第1外面部
212E 上端面
220 インナ部材
220T 縦部
220Y 横部
221 第1内枠部
221A 第1延出部
221B 第2延出部
221C 連結部
221E 前端面
221K 固着部
221T 突出部
222 第1延長部
FJ 袋状部
VE 車両
WL1 第1部分
WL2 第2部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10