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特開2022-174976ストライク、着脱式規制具、引戸施錠構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174976
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ストライク、着脱式規制具、引戸施錠構造
(51)【国際特許分類】
   E05B 15/02 20060101AFI20221117BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
E05B15/02 D
E05B65/08 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081060
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】小鷹 由香
(57)【要約】
【課題】 インロックを防止することができるストライク、着脱式規制具及び引戸施錠構造を提供する。
【解決手段】 本発明のストライク10は、可動係止部31aが開口部11dに入るのを阻止する規制体12を備えたものである。本発明の着脱式規制具20は、規制体12とベース部21を備えている。ベース部21がストライク40に取り付けられると、可動係止部31aが開口に入るのを阻止する位置に規制体12が配置されるように構成されている。本発明の引戸施錠構造は、引戸30と引戸用開口32の周縁32aの一方に錠が設けられ、他方にストライク10又は着脱式規制具20が設けられている。可動係止部31aが動いて規制体12に当接すると可動係止部31aが開口部11dに入るのが阻止され、更に可動係止部31aが動くと施錠されるようにしてある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠の可動係止部が入る開口部を備えたストライクにおいて、
前記可動係止部が前記開口部に入るのを阻止する規制体を備えた、
こと特徴とするストライク。
【請求項2】
請求項1記載のストライクにおいて、
規制体として開口部を開く方向と閉じる方向に動く可動式の規制体が設けられた、
こと特徴とするストライク。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のストライクにおいて、
規制体は開口部を開閉する方向に回動する、
こと特徴とするストライク。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のストライクにおいて、
開口部を閉じる方向に規制体を付勢する付勢手段を備えた、
こと特徴とするストライク。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載のストライクにおいて、
規制体の開方向の回動範囲を規定する規定部を備えた、
こと特徴とするストライク。
【請求項6】
錠の可動係止部が入る開口部を備えたストライクに取り付けて使用する着脱式規制具であって、
前記ストライクに取り付けるベース部と、当該ベース部に取り付けられ、前記可動係止部が前記開口部に入るのを阻止する規制体を備え、
前記ベース部が前記ストライクに取り付けられると、前記可動係止部が前記開口部に入るのを阻止する位置に規制体が配置される、
こと特徴とする着脱式規制具。
【請求項7】
請求項6記載の着脱式規制具において、
規制体として開口部を開く方向と閉じる方向に動く可動式の規制体が設けられた、
こと特徴とする着脱式規制具。
【請求項8】
請求項6又は請求項7記載の着脱式規制具において、
規制体は開口部を開閉する方向に回動する、
こと特徴とする着脱式規制具。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の着脱式規制具において、
開口部を閉じる方向に規制体を付勢する付勢手段を備えた、
こと特徴とする着脱式規制具。
【請求項10】
請求項8又は請求項9記載の着脱式規制具において、
規制体の開方向の回動範囲を規定する規定部を備えた、
こと特徴とする着脱式規制具。
【請求項11】
引戸の施錠構造において、
前記引戸と当該引戸が配置される引戸用開口の周縁のいずれか一方に、可動係止部を備えた錠が設けられ、
前記引戸と引戸用開口の周縁の他方に、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のストライクが設けられ、
前記引戸を閉じた状態で錠の可動係止部が動いて規制体に当接すると、当該規制体によって当該可動係止部がストライクの開口部に入るのが阻止され、
前記可動係止部が開口部に入るのが阻止された状態で更に可動係止部が動くと、当該可動係止部によって前記規制体が開口部を開く方向に動き、当該可動係止部が当該開口部に収まって施錠される、
ことを特徴とする引戸施錠構造。
【請求項12】
引戸の施錠構造において、
前記引戸と当該引戸が配置される引戸用開口の周縁のいずれか一方に、可動係止部を備えた錠が設けられ、
前記引戸と引戸用開口の周縁の他方に、錠の可動係止部が入る開口部を備えたストライク及び当該ストライクに取り付けられた請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の着脱式規制具が設けられ、
前記引戸を閉じた状態で錠の可動係止部が動いて規制体に当接すると、当該規制体によって当該可動係止部がストライクの開口部に入るのが阻止され、
前記可動係止部が開口部に入るのが阻止された状態で更に可動係止部が動くと、当該可動係止部によって前記規制体が開口部を開く方向に動き、当該可動係止部が当該開口部に収まって施錠される、
ことを特徴とする引戸施錠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸又は引戸が設置される開口(以下「引戸用開口」という)の周縁に取り付けて使用されるストライクと、既存の又は新規のストライクに取り付けて使用する着脱式規制具と、それらストライクや着脱式規制具を用いた引戸の施錠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレや更衣室等の個室の出入り口(開口部)を開閉する扉として、左右にスライドさせて開閉を行う引戸が広く一般的に利用されている。引戸には、引戸が不用意に開けられるのを防止するために錠が設置されている。
【0003】
錠が設けられた引戸では、引戸が閉まる際の衝撃やいたずら等によって、中に人がいない状態で引戸が施錠されてしまう、いわゆる、インロック(閉めだし)という事態が発生することがある。
【0004】
従来、インロック防止を目的として、回転座に形成された貫通孔にロックレバーがスライド可能に挿通された打掛錠(特許文献1)が提案されている。この打掛錠では、ロックレバーが起立状態を維持できないようにすることで、インロックを防止できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-105092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記特許文献1の打掛錠では、前述の事態を解消するには至っておらず、依然として、インロックが発生しているのが実情である。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、錠を備えた引戸のインロックを防止することができるストライク、着脱式規制具及び引戸施錠構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[ストライク]
本発明のストライクは、錠の可動係止部が入る開口部を備えたストライクであって、可動係止部が開口部に入るのを阻止する規制体を備えたものである。
【0009】
[着脱式規制具]
本発明の着脱式規制具は、錠の可動係止部が入る開口部を備えたストライクに取り付けて使用するものであって、ストライクに取り付けるベース部と、ベース部に取り付けられ、可動係止部が開口部に入るのを阻止する規制体を備え、ベース部がストライクに取り付けられたときに、可動係止部が開口部に入るのを阻止する位置に規制体が配置されるように構成されたものである。
【0010】
[引戸施錠構造]
本発明の引戸施錠構造は、引戸と引戸用開口の周縁のいずれか一方に可動係止部を備えた錠が設けられ、他方に本発明のストライクが設けられ、引戸を閉じた状態で錠の可動係止部が動いて規制体に当接すると、規制体によって可動係止部がストライクの開口部に入るのが阻止され、可動係止部が開口部に入るのが阻止された状態で更に可動係止部が動くと、可動係止部によって規制体が開口部を開く方向に動いて、可動係止部が当該開口部に収まって施錠される構造である。
【0011】
本発明の引戸施錠構造では、本発明のストライクに代えて、錠の可動係止部が入る開口部を備えたストライク及び当該ストライクに取り付けられた本発明の着脱式規制具を用いることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、可動係止部が開口部に進入するのを阻止する規制体が設けられているため、可動係止部が動いても不用意に施錠されず、インロックを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は本発明のストライクの使用状態の一例を示す斜視図、(b)は(a)の部分拡大図。
図2】(a)は本発明のストライクの使用状態の一例を示す斜視図、(b)は(a)の部分拡大図。
図3】(a)は本発明のストライクの一例を示す分解図、(b)は(a)のストライクを別角度から見た場合の分解図。
図4】(a)は本発明の着脱式規制具の一例を示す斜視図、(b)は(a)の着脱式規制具を別角度から見た場合の斜視図。
図5】(a)は本発明の着脱式規制具の一例を示す分解図、(b)は(a)の着脱式規制具を別角度から見た場合の分解図。
図6】(a)は施錠動作前の規制体の説明図、(b)はロックレバーが当接した状態の規制体の説明図。
図7】(a)はロックレバーで押し込まれた状態の規制体の説明図、(b)はロックレバーがストライクに収まった状態の規制体の説明図。
図8】(a)はロックレバーの一端に錘部材を設けた場合の一例を示すものであって、ロックレバーがストライクの開口部に収まる前の説明図、(b)は(a)のロックレバーがストライクの開口に収まった状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(ストライクの実施形態)
本発明のストライク10の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。本発明のストライク10は、引戸用開口32の周縁32aや引戸30の戸先側に装着して使用されるものである。ここでは、錠がロックレバー(可動係止部)31aを備えた打掛錠31の場合を一例として説明する。
【0015】
本発明のストライク10は、たとえば、図1(a)(b)及び図2(a)(b)に示すように、引戸用開口32の周縁32aに装着して使用される。本願でいう引戸用開口32の周縁32aには、当該周縁32aの内側に設置される戸枠が含まれる。また、本願でいう引戸30の戸先側には、引戸30の戸先側の端面のほか、当該端面に連続する側方の面(具体的には、引戸30室内側の面等)が含まれる。
【0016】
前記ストライク10は、施錠時に打掛錠31のロックレバー31aが係止する部材である。一例として図3(a)(b)に示すストライク10は、本体部11と、本体部11に装着された規制体12を備えている。
【0017】
前記本体部11は、ストライク10のベースとなる部分である。この実施形態の本体部11は固定面11aと開口形成面11bを備えた平面視L字状の部材である。固定面11aには本体部11を引戸用開口32の周縁32aに固定するビス11m(図1(b))を差し込むためのビス孔11cが、開口形成面11bには打掛錠31のロックレバー31aが出入りする開口部11dが設けられている。本体部11は開口形成面11bのみからなるいわゆるI型ストライクでもよい。
【0018】
前記開口部11dは幅広部11eと幅広部11eの下側に連通する幅狭部11fを備えている。幅広部11eはロックレバー31aの大径軸部31b(図6(a)等参照)が通過可能な幅としてあり、幅狭部11fはロックレバー31aの大径軸部31bは通過できず、小径軸部31c(図6(a)等参照)のみが通過できる幅としてある。ここで示す開口部11dの形状は一例であり、開口部11dはこれ以外の形状であってもよい。
【0019】
前記開口形成面11bの裏面のうち、開口部11dの上側には、規制体12を支持する支持部11gが設けられている。支持部11gには二つの差込み孔11hが設けられ、この差込み孔11hに後述する弾性体12bの差込み部12eが差し込まれることによって、規制体12が回動可能に支持されている。
【0020】
前記開口形成面11bの裏面のうち、開口部11dの幅方向両外側には、二枚の側壁部11iが設けられている。両側壁部11iの下端側に跨る位置には、規制体12の開方向への回動範囲を規定する規定部11jが設けられている。なお、側壁部11iや規定部11jは必須の構成ではなく、不要な場合には省略することもできる。
【0021】
前記規制体12はロックレバー31aがストライク10の開口部11dに入るのを規制する部材である。一例として図3(a)(b)に示す規制体12は規制体本体12aと弾性体12bを備えている。この実施形態の規制体本体12aは縦長方形状の部材であり、その正面側に開口部11dに向けて動く(回転する)ロックレバー31aが当接する当接部12cが設けられている。
【0022】
規制体本体12aの裏面側の下部には、規制体本体12aを開口部11dを開放する方向に回動させた場合に、規定部11jと当接する突当り部12dが設けられている。開方向に回動した規制体12は、突当り部12dが規定部11jに当接する位置まで回動できるが、それ以上は回動することができない。
【0023】
前記弾性体12bは、ストライク10の開口部11dを閉じる方向に規制体12を付勢する部材である。一例として図3(a)(b)に示す弾性体12bは、線材を曲げて形成した線加工ばねである。この実施形態の弾性体12bは、線材を曲げ加工によって長方形状に形成されたものであり、線材の長手方向両端に支持部11gの差込み孔11hに差し込むための差込み部12eが設けられている。
【0024】
弾性体12bの長方形の部分は規制体本体12a内に挿入されている。規制体12は、弾性体12bの差込み部12eが支持部11gの差込み孔11hに差し込まれることによって、本体部11に取り付けられている。本体部11に取り付けられた規制体12は、弾性体12bの作用によって開口部11dを閉じる方向に付勢され、常時開口部11dが閉じられる(ロックレバー31aが進入できない)ようにしてある。
【0025】
本体部11に取り付けられた規制体12は、支持部11gでの支持位置を回動軸として、開口部11dを閉じる方向と開放する方向に回動するようにしてある。開口部11dを閉じる方向へ動いた(回動した)規制体12は、開口形成面11bの裏面の開口部11dの周縁部(以下「前側制止部11k」という)に当接してその位置で停止し、開口部11dを開放する方向へ回動した規制体12は、突当り部12dが規定部11jに当接してその位置で停止するようにしてある。
【0026】
なお、この実施形態では、規制体12の前側制止部11kを含む下端側を開方向へ反るように緩やかに湾曲させてある。このように規制体12の下端側を湾曲させることで、解錠する際にロックレバー31aを解錠方向に回転させやすくなるというメリットがある。
【0027】
この実施形態では、打掛錠31のロックレバー31aが規制体12に当接しただけでは規制体12は開かず、ロックレバー31aの開口部11dへの進入が阻止され、ロックレバー31aが規制体12に当接した状態から更にロックレバー31aが押し込まれたとき(更に回転したとき)に、規制体12が開方向に押し込まれて開口部11dが開き、ロックレバー31aが開口部11dに進入するようにしてある。
【0028】
この実施形態のストライク10には、ロックレバー31aの開口部11dへの進入を阻止する規制体12が設けられ、単にロックレバー31aが規制体12に当接しただけでは開口部11d内に進入できないように構成されているため、引戸30を閉じる際の衝撃によって不用意に施錠されるという事態が起こりにくい。また、インロック状態を意図的に作り出すようないたずらもできないため、インロックを効果的に防止することができる。
【0029】
この実施形態で示したストライク10の構成は一例であり、本発明のストライク10はこの実施形態の構成に限定されるものではない。本発明のストライク10は、その要旨を変更しない範囲で、構成の変更や入れ替え、省略等の変更を加えることができる。
【0030】
(着脱式規制具の実施形態)
次に、本発明の着脱式規制具20の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。前記ストライクの実施形態と同様、ここでも、錠がロックレバー(可動係止部)31aを備えた打掛錠31の場合を一例とする。
【0031】
この実施形態の着脱式規制具20は、図4(a)(b)に示すように、打掛錠31のロックレバー31aが収まる開口部41dを備えたストライク40に取り付けて使用するものである。本発明のストライク10と異なり、本発明の着脱式規制具20は、既存の又は新規の各種ストライクに装着して使用することができる。
【0032】
一例として図4(a)(b)に示すストライク40は、固定面41aと開口形成面41bを備えた平面視L字状の部材である。固定面41aには引戸用開口32の周縁32aに固定するビス21kを差し込むためのビス孔41cが、開口形成面41bには打掛錠31のロックレバー31aが進入する開口部41dが設けられている。
【0033】
この実施形態の開口部41dは、幅広部41eと幅広部41eの下側に連通する幅狭部41fを備えている。幅広部41eはロックレバー31aの大径軸部31b(図6(a)等参照)が通過可能な幅としてあり、幅狭部41fはロックレバー31aの大径軸部31bは通過できず、小径軸部31c(図6(a)等参照)のみが通過できる幅としてある。開口部41dの形状はこれ以外であってもよい。
【0034】
前記開口形成面41bの裏面には、開口部41dの幅方向に間隔をあけて設けられた二枚の側壁部41iが設けられている。なお、ここで示したストライク40は本発明の着脱式規制具20を説明するための一例であり、ストライク40には既存のものを用いることもできる。ストライク40は開口形成面41bのみからなるいわゆるI型ストライクでもよい。
【0035】
一例として図5(a)(b)に示す着脱式規制具20は、ストライク40に装着されるベース部21と、当該ベース部21に支持される規制体12を備えている。この実施形態のベース部21は、固定面41aに固定されるベース側面部21aと、開口形成面41b側に固定されるベース正面部21bを備えたL字状の部材である。
【0036】
ベース側面部21aは固定面41aと同様の縦長方形状であり、固定面41aに形成されたビス孔41cと連通する位置に連通ビス孔21cが設けられている。ベース正面部21bは開口形成面41bと同様の縦長方形状であり、その長手方向中央部に開口部41dと連通する連通切欠き部21dが設けられている。
【0037】
ベース正面部21bのうち、連通切欠き部21dの上側の部分には、規制体12を支持する支持部21gが設けられ、ベース正面部21bのうち、連通切欠き部21dの下側の部分には、開方向に回動する規制体12がそれ以上開く方向に回動するのを規制する規定部21jが設けられている。なお、規制体12の閉じる方向の回動は、前記ストライクの実施形態の場合と同様、開口形成面41bの裏面側の前側制止部41kによって規定される。
【0038】
支持部21gには、二つの差込み孔21hが設けられ、この差込み孔21hに後述する弾性体12bの差込み部12eが差し込まれることによって、規制体12が回動可能に支持されている。この実施形態の支持部21g及び規定部21jの構成は前記ストライクの実施形態の支持部11g及び規定部11jと同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0039】
なお、この実施形態では、前記ストライクの実施形態で説明した二枚の側壁部11iに相当する側壁部41iがストライク40側に設けられているが、二枚の側壁部41iは双方又はいずれか一方をベース部21側に設けることもできる。
【0040】
ベース正面部21bの正面側であって、連通切欠き部21dの上側の部分には、ストライク40の開口部41dの上側周縁に係止する係止部21eが前方に向けて突設されている。この実施形態では、係止部21eを開口部41dの上側周縁に係止することで、ベース部21をストライク40に仮装着できるようにしてある。
【0041】
前記規制体12は、ロックレバー31aがストライク40の開口部41dに入るのを規制する部材である。この実施形態の規制体12は前記ストライクの実施形態の規制体12と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0042】
この実施形態の着脱式規制具20は、係止部21eをストライク40の開口部41dの上側周縁に係止したのち、固定面41aのビス孔41c及び連通ビス孔21cを挿通させたビス21k(図6(a)(b))を引戸用開口32の周縁32aや引戸30の戸先側にねじ込むことで、ストライク40と共に引戸用開口32の周縁32aや引戸30の戸先側に取り付けることができる。
【0043】
前記要領で引戸用開口32の周縁32aや引戸30の戸先側にストライク40及び着脱式規制具20が取り付けられると、打掛錠31のロックレバー31aがストライク40の開口部41dに入るのを阻止する位置(開口部41dを閉じる位置)に規制体12が配置され、ロックレバー31aの開口部41dへの進入が阻止される。これにより、前記ストライクの実施形態で説明したストライク10と同様の効果を得ることができる。
【0044】
この実施形態で示した着脱式規制具20の構成は一例であり、本発明の着脱式規制具20はこの実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の着脱式規制具20は、その要旨を変更しない範囲で、構成の変更や入れ替え、省略等の変更を加えることができる。
【0045】
(動作)
次に、本発明のストライク10及び着脱式規制具20の動作について、図6(a)(b)及び図7(a)(b)を参照して説明する。ここでは、前記着脱式規制具の実施形態で説明した着脱式規制具20及びストライク40を用いる場合を一例とするが、前記ストライクの実施形態で説明したストライク10の動作も同様である。
【0046】
(1)図6(a)は施錠前の状態を示すものである。
(2)前記(1)の状態から打掛錠31のロックレバー31aを施錠方向(図6(b)の矢印方向)に回転させ、その先端部を規制体12の当接部12cに当接させる(図6(b))。このとき、ロックレバー31aは規制体12によって開口部41d(図4(a))への進入が規制される。
(3)前記(2)の状態から更にロックレバー31aを施錠方向(図7(a)の矢印方向)に回転させ、規制体12を開方向に回動させる(図7(a))。
(4)前記(3)の状態から更にロックレバー31aを施錠方向に回転させ、ロックレバー31aを開口部41dに収めて施錠を完了する(図7(b))。
【0047】
なお、解錠するときには、図7(b)の状態からロックレバー31aを解錠方向に回転させて規制体12を開方向に動かし、ロックレバー31aを開口部41dから抜けばよい。
【0048】
(引戸施錠構造の実施形態)
次に、本発明の引戸施錠構造の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。ここでは、ストライクとして前記ストライクの実施形態で説明したストライク10を用いる場合を一例とする。図1(a)(b)及び図2(a)(b)に示すように、この実施形態の引戸施錠構造は、引戸30と、ロックレバー31aを備えた打掛錠31と、引戸用開口32の周縁32aに設けられたストライク10を備えている。
【0049】
一例として図1(a)及び図2(a)に示す引戸30は、上部に装備された吊り車(図示しない)によって吊られた上吊り仕様の引戸である。引戸30は下部に装備された戸車(図示しない)でレール(図示しない)上を移動するレール仕様のもの等、上吊り仕様のもの以外であってもよい。引戸30には、木製やアルミ製、ステンレス製、樹脂製、スチール製、ポリ合板製等、各種材質製のものを用いることができる。
【0050】
引戸30の戸先側には、ロックレバー31aを備えた打掛錠31が装備されている。打掛錠31はストライク10の開口部11dに進入するロックレバー31aを備えたものであればどのようなものでもよい。引戸用開口32の周縁32aにはストライク10が取り付けられている。
【0051】
この実施形態の引戸施錠構造では、引戸30を閉じた状態で打掛錠31のロックレバー31aが回転して規制体12に当接すると、ロックレバー31aがストライク10の開口部11dに入るのが阻止され、その状態で更にロックレバー31aが回転すると、ロックレバー31aに押されて規制体12が開口部11dを開く方向に回動し、ロックレバー31aが開口部11dに収まって施錠されるようにしてある。
【0052】
この実施形態では、引戸30に打掛錠31が設けられ、引戸用開口32の周縁32aにストライク10が設けられた場合を一例としているが、本発明の引戸施錠構造は、引戸用開口32の周縁32aに打掛錠31が設けられ、引戸30にストライク10が設けられた構造とすることもできる。
【0053】
この実施形態では、前記ストライクの実施形態で説明したストライク10を用いる場合を一例としているが、このストライク10に代えて、前記着脱式規制具の実施形態で説明した着脱式規制具20及びストライク40を用いることもできる。この場合、ストライク40には既存のストライクを用いることもできる。
【0054】
この実施形態で示した引戸施錠構造及び引戸施錠構造を構成する各部材(引戸30、打掛錠31及びストライク10)は一例であり、本発明の引戸施錠構造及び引戸施錠構造を構成する各部材はこの実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の引戸施錠構造及び引戸施錠構造を構成する各部材は、その要旨を変更しない範囲で、構成の変更や入れ替え、省略等の変更を加えることができる。
【0055】
(その他の実施形態)
前記各実施形態では説明を省略しているが、本発明のストライク10や着脱式規制具20を用いる場合、図8(a)(b)に示すように、打掛錠31のロックレバー31aのうち開口部11dに進入する側の端部とは反対側の端部に錘部材31dを設けることもできる。
【0056】
ロックレバー31aにこのような錘部材31dを設けた場合、錘部材31dを設けない場合に比べてロックレバー31aが不用意に施錠方向に回転するのを抑制することができる。
【0057】
また、このような錘部材31dを設けることで、ロックレバー31aが規制体12に当接した際に当該規制体12に係る荷重が小さくなり、ロックレバー31aの開口部11dへの不用意な進入をより効果的に阻止することができる。
【0058】
図8(a)(b)に示す錘部材31dの形状は一例であり、錘部材31dの形状はこれ以外であってもよい。なお、錘部材31dを備えたロックレバー31aは、本発明のストライク10や着脱式規制具20と共に用いるほか、規制体12のない既存のストライク10と共に用いることもできる。
【0059】
前記各実施形態では、錠がロックレバー31aを備えた打掛錠31の場合を一例としているが、本発明のストライク10や着脱式規制具20は、可動係止具としてスライドラッチを備えたスライド錠用のストライクとしてあるいはスライド錠用のストライクに取り付けるものとして使用することもできる。
【0060】
前記各実施形態では、規制体12の上端側が支持部11g(支持部21g)に支持され、下端側が自由端として回動する場合を一例としているが、規制体12は下端側が支持部11g(支持部21g)に支持され、上端側が自由端として回動するような構成とすることもできる。
【0061】
また、規制体12は、その幅方向の一方側が支持部11g(支持部21g)に支持され、幅方向他方側が自由端として回動するような構成とすることもできる。場合によっては、規制体12を支持部11g(支持部21g)で支持する構成とせず、横方向や縦方向へのスライド動作によって開口部11dを開閉するような構成とすることもできる。
【0062】
前記各実施形態では、弾性体12bによって規制体12を開口部11dを閉じる方向に付勢する場合を一例としているが、規制体12を開口部11dを閉じる方向に付勢する付勢手段には、弾性体12bのほか、マグネット(磁性体)等を用いることもできる。
【0063】
この他、規制体12の連結部分に規制体12の動きを硬くする(動きにくくする)粘性の高いグリスを塗布して規制体12を回動しにくくしたり、規制体12の連結部分のクリアランスを摩擦力が生じる程度に小さくしてその摩擦力によって規制体12を回動しにくくしたりすることもできる。
【0064】
本発明のストライク10や着脱式規制具20はインロックを防止するために開発されたものであるが、インロック防止以外の用途で用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のストライクや着脱式規制具、引戸施錠構造は、コンビニエンスストアや駅構内、公共施設等の各種施設に設置されるトイレや更衣室等の個室の引戸等に実装して利用することができ、特に、打掛錠用のストライクとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 ストライク
11 本体部
11a 固定面
11b 開口形成面
11c ビス孔
11d 開口部
11e 幅広部
11f 幅狭部
11g 支持部
11h 差込み孔
11i 側壁部
11j 規定部
11k 前側制止部
11m ビス
12 規制体
12a 規制体本体
12b 弾性体
12c 当接部
12d 突当り部
12e 差込み部
20 着脱式規制具
21 ベース部
21a ベース側面部
21b ベース正面部
21c 連通ビス孔
21d 連通切欠き部
21e 係止部
21g 支持部
21h 差込み孔
21j 規定部
21k ビス
30 引戸
31 打掛錠(錠)
31a ロックレバー(可動係止部)
31b 大径軸部
31c 小径軸部
31d 錘部材
32 引戸用開口
32a 周縁
40 ストライク
41a 固定面
41b 開口形成面
41c ビス孔
41d 開口部
41e 幅広部
41f 幅狭部
41i 側壁部
41k 前側制止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8