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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174979
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】仰角調整ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20221117BHJP
   H01Q 3/08 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H01Q1/12 E
H01Q3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081066
(22)【出願日】2021-05-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月31日に、総務省消防庁国民保護・防災部防災課防災情報室に於いて納品(販売)した。 令和3年3月31日に、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学 総合情報基盤センターに於いて納品(販売)した。
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(74)【代理人】
【識別番号】100141678
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】関田 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】大川 貴容美
(72)【発明者】
【氏名】麻生 修司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 裕介
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J021DA02
5J021DA06
5J021EA01
5J047AA07
5J047AA10
5J047BB05
5J047BB15
5J047BF01
(57)【要約】
【課題】大きなアンテナであっても十分に支えることができ、また、汎用品、汎用の機材を用いることを可能にする。
【解決手段】三脚2に支持されるベース部材11と、前記ベース部材11の前端部に回動自在に連結されるとともに可搬型アンテナ1を保持する保持部材12と、前記ベース部材11の後端部に摺動自在でかつ回動自在に連結されるとともに前記保持部材12の上端部に回動自在に連結される支持部材13と、を備え、前記支持部材13の下端は前記ベース部材11の前後方向に摺動自在に設けられたスライド部材17に回動自在に連結される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三脚に支持されるベース部材と、前記ベース部材の前端部に回動自在に連結されるとともに可搬型アンテナを保持する保持部材と、一端部が前記ベース部材の後端部に摺動自在でかつ回動自在に連結されるとともに他端部が前記保持部材の上端部に回動自在に連結される支持部材と、を備え、
前記支持部材の前記一端部が前記ベース部材の前後方向に摺動自在に設けられたスライド部材に回動自在に連結される、
ことを特徴とする仰角調整ユニット。
【請求項2】
前記ベース部材に当該ベース部材の前後方向に延びる目盛を設け、前記スライド部材に前記目盛に対向する指針を設けた、
ことを特徴とする請求項1に記載の仰角調整ユニット。
【請求項3】
前記保持部材に偏波角調整用の目盛が設けられるとともに、前記スライド部材に水準器が設けられる、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の仰角調整ユニット。
【請求項4】
前記可搬型アンテナの前記保持部材による保持が、偏波角調整機能を有する偏波角調整ユニットを介してなされ、
前記保持部材の前記偏波角調整ユニットを保持側の面に上端に行くに従い幅広になる切欠が設けられ、
前記偏波角調整ユニットに前記切欠に嵌合する嵌合部材が設けられる、
ことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の仰角調整ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平面アンテナなどの可搬型アンテナの仰角を調整する仰角調整ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から平面アンテナなどの可搬型アンテナを災害現場やイベント会場等に搬送し、種々の部品、部材、ユニットなどを組み立てて、アンテナの各角度(水平、偏波角、仰角、方位角)などを調整することが行われている。
【0003】
ところで、可搬型アンテナは現地において組み立て設置した後、各角度の調整を行うことになるところ、アンテナの向きが予め予想できれば、調整作業も短時間でできるが、仮設置したアンテナの向きが不適であると、調整作業に多大な時間がかかってしまう。
【0004】
そのため、各部品、部材、ユニットなどの分解が不要で、収容及び展開が可能な可搬型アンテナが開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-333234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の可搬型アンテナにあっては、可搬型とするべく、全体のコンパクト化を図ったため、アンテナ自体もコンパクトなものしか搭載できないという問題があった。
【0007】
アンテナは一般に大きくすると利得が向上するため、ある程度の大きさの確保が要望されるところ、大きいアンテナを設置する場合には、三脚や雲台などとともにアンテナの支持機構も相応の支持力が必要とされるという問題がある。特に、仰角調整機構/仰角調整ユニットはアンテナを仰角調整の中心軸で支えるものが多く、その仰角の調整や固定に仰角調整機構/仰角調整ユニットに多大な負荷がかかっている。
【0008】
また、三脚や雲台などのアンテナを支持する部品、部材に汎用品、汎用の機材を用いることができないという問題もあった。
【0009】
そこで、この発明の目的は、比較的大きなアンテナであっても十分に支えることができ、また、汎用品、汎用の機材を用いることを可能にする仰角調整ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、三脚に支持されるベース部材と、前記ベース部材の前端部に回動自在に連結されるとともに可搬型アンテナを保持する保持部材と、一端部が前記ベース部材の後端部に摺動自在でかつ回動自在に連結されるとともに他端部が前記保持部材の上端部に回動自在に連結される支持部材と、を備え、前記支持部材の前記一端部が前記ベース部材の前後方向に摺動自在に設けられたスライド部材に回動自在に連結される、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の仰角調整ユニットにおいて、前記ベース部材に当該ベース部材の前後方向に延びる目盛を設け、前記スライド部材に前記目盛に対向する指針を設けた、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の仰角調整ユニットにおいて、前記保持部材に偏波角調整用の目盛が設けられるとともに、前記スライド部材に水準器が設けられる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1から3に記載の仰角調整ユニットにおいて、前記可搬型アンテナの前記保持部材による保持が、偏波角調整機能を有する偏波角調整ユニットを介してなされ、前記保持部材の前記偏波角調整ユニットの保持側の面に上端に行くに従い幅広になる切欠が設けられ、前記偏波角調整ユニットに前記切欠に嵌合する嵌合部材が設けられる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、仰角調整ユニットを、その下部が前後方向に延びるベース部材で、前記ベース部材の前端部にアンテナを保持する保持部材の下端部を連結し、前記ベース部材の後端部にスライド部材を介して支持部材の一端部(下端部)を連結し、さらに、前記保持部材の上端部に前記支持部材の他端部(上端部)を連結したことで、いわゆるトラス構造としたので、比較的大きなアンテナでも支持することができる。
【0015】
また、仰角を調整する機構をトラス構造のユニットにしたので、これに、取付具、アダプタなどを取り付ければ、三脚や雲台などの汎用部品、部材を取り付けるだけで、方位角、仰角、偏波角の調整を可能とする三脚ヘッドを安価に構成することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、前記ベース部材の前後方向に延びる目盛、すなわち、直線方向に延びる目盛にすることにより、角度を示す円弧状の目盛を直線方向への目盛に変換しているため、目盛の間隔を広くすることができ、視認性を良好にし、かつ仰角の微調整を可能にするができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、仰角調整ユニットの仰角調整のための目盛と、偏波角調整用の目盛と、前記スライド部材に水準器とをベース部材の後方から見える位置に集約したので、水平、偏波角、仰角および方位角の目盛の視認性を良好にして調整作業の迅速化を図ることができ、組立性、操作性をも良好にすることができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、前記可搬型アンテナの前記保持部材による保持を、偏波角調整機能を有する偏波角調整ユニットを介して行い、前記保持部材の偏波角調整ユニットを保持側の面に上端に行くに従い幅広になる切欠を設け、前記偏波角調整ユニットに前記切欠に嵌合する嵌合部材を設けたので、前記保持部材の前記切欠に前記偏波角調整ユニットの前記嵌合部材を一義的に位置決めすることができ、三脚ヘッドの組み立てを簡単に、かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】三脚に取り付けた可搬型の平面アンテナを斜め後方から見た全体の斜視図である。
図2】偏波角調整ユニットを連結した状態の仰角調整ユニットを斜め後方から見た斜視図である。
図3図2よりもやや上方から見た仰角調整ユニットの後方斜視図である。
図4】偏波角調整ユニットを連結した状態の仰角調整ユニットの正面図である。
図5】偏波角調整ユニットを連結した状態の仰角調整ユニットの平面図である。
図6】偏波角調整ユニットを連結した状態の仰角調整ユニットの右側面図である。
図7】偏波角調整ユニットを連結した状態の仰角調整ユニットの底面図である。
図8】偏波角調整ユニットを連結した状態の仰角調整ユニットの背面図である。
図9】偏波角調整ユニット単体の背面図である。
図10】偏波角調整ユニットを連結した状態で仰角調整ユニットを三脚の雲台からやや浮かせて示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、下記の説明では、説明の便宜上、ベース部材11の長手方向を前後方向とし、前後方向と水平面において直交する方向を左右方向とし、さらに、前後方向と左右方向とが成す面(即ち、水平面)と直交する方向を上下方向とする。
【0021】
図1は三脚2に取り付けた平面アンテナ1(可搬型アンテナ)を斜め後方から見た全体の斜視図、図2図8までは偏波角調整ユニットを連結した状態の仰角調整ユニットを示し、図2は後方斜視図、図3図2寄りも上方から見た後方斜視図、図4は正面図、図5は平面図、図6は右側面図、図7は底面図、図8は背面図、図9は偏波角調整ユニット単体の背面図、図10は偏波角調整ユニットを連結した状態で仰角調整ユニットを三脚の雲台からやや浮かせて示す背面図である。
【0022】
本発明の仰角調整ユニット10は、平面アンテナ1の仰角を調整するためのものであって、三脚2の頭部に設けられた雲台3に取り付けられる三脚ヘッド4の一機能を担うものである。三脚ヘッド4は、上述の仰角調整ユニット10のほか、方位角調整ユニット20および偏波角調整ユニット30を含んで構成される。
【0023】
方位角調整ユニット20は、水平を保ちつつ垂直軸周りに回転自在なギア雲台で、三脚2の雲台3に取り付けられる。
【0024】
方位角調整ユニット20は、雲台3に取り付けられる固定盤21と固定盤21の上面に回転自在に設けられた回転盤22とを有し、図示は省略したが、固定盤21と回転盤22とのそれぞれの周面には、一方に目盛が形成されているとともに他方に指針が形成されており、回転盤22を固定盤21に対して回転させ、指針を目盛に合わせることで方位角を調整できるようになっている。
【0025】
また、固定盤21と回転盤22との間に介在して、図示しないロック手段が設けられており、所望の方位角に調整したときに、回転盤22の回転を阻止することができる。
【0026】
回転盤22の上面にはやや広幅なアリ溝23が形成され、仰角調整ユニット10が取り付けられるようになっている。
【0027】
仰角調整ユニット10はトラス構造を備える機構として構成され、方位角調整ユニット20に固定されて水平に置かれるベース部材11と、一端部(前端部)がベース部材11の前端部に回動自在に連結されるとともに他端部(後端部)が前記一端部(前端部)よりも上方に位置するように斜めに配設されて偏波角調整ユニット30を保持する保持部材12と、一端部(下端部)がベース部材11の後端部に摺動自在でかつ回動自在に連結されるとともに他端部(上端部)が保持部材12の上端部に回動自在に連結される支持部材13とからなる。
【0028】
ベース部材11は長手方向(前後方向)直交断面コ字形をした金属材(例えば、アルミ板)からなり、上面側が開口する向きで配設され、前端寄りの下面に方位角調整ユニット20に取り付けられる取付具14が設けられる。
【0029】
取付具14の左右両側縁には、方位角調整ユニット20の回転盤22に形成されたアリ溝23に嵌合するホゾ14aが形成され、ホゾ14aを回転盤22のアリ溝23にスライドさせて嵌合することで、仰角調整ユニット10は方位角調整ユニット20に取り付けられる。
【0030】
方位角調整ユニット20にはアリ溝23の間隔を拡縮するロック機構24が設けられ、取付具14のホゾ14aをアリ溝23に嵌合し、所定の位置でロックすることで仰角調整ユニット10の方位角調整ユニット20に固定することができ、これにより、方位角調整ユニット20の仰角調整ユニット10への保持が完了する。また、回転盤22のアリ溝23の近傍と取付具14のホゾ14a近傍には、目盛、指針が設けられ、方位角調整ユニット20に対する仰角調整ユニット10の位置調整をすることができる。
【0031】
仰角調整ユニット10のベース部材11の内方であって中央部から後方の位置に長ネジ15が前後方向に沿って配設される。長ネジ15はその後端に竜頭(つまみ)15aが設けられ、竜頭15aの前方部分がベース部材11に固定された受け体16に回転可能に支持される。
【0032】
長ネジ15のネジ軸にはベース部材11に載置されたスライド部材17が螺合され、スライド部材17はベース部材11の内寸法(2つの側片の間隔)よりやや小さい横幅に形成される。
【0033】
ベース部材11の底板には長ネジ15の下方に位置する部分に長孔11aが形成され、この長孔11aを通してロックネジ17aがベース部材11の下面側からスライド部材17に螺合される。
【0034】
これにより、竜頭15aを掴み、長ネジ15を回転させることでスライド部材17はベース部材11の底板上を前後方向にスライドすることになり、そのときにスライド部材17はガタつきなく(又は、少なく)スムーズにスライドするようになっている。
【0035】
ベース部材11の一方の側片の上縁には目盛11bが、また、スライド部材17には指針17bがそれぞれ設けられており、ベース部材11の目盛11bは、後述するように保持部材12の仰角(延いては、平面アンテナ1の仰角)を示すものである。
【0036】
スライド部材17の上部には水準器18が設けられており、三脚2に仰角調整ユニット10を取り付けた状態で水平の確認をすることができる。なお、水準器18はこの発明において必須の構成ではなく、方位角調整ユニット20としての例えばギア雲台やパノラマ雲台にもとより備えられている水準器が用いられるようにしてもよい。
【0037】
なお、詳細は後述するが、スライド部材17の両側部には支持部材13が回動自在に連結される。
【0038】
偏波角調整ユニット30を保持する保持部材12は、長手方向直交断面コ字形をした金属材(例えば、アルミ板)からなり、後端部が前端部よりも上方に位置するように、かつ下面/後面側が開口する向きで配設される。保持部材12の幅は、ベース部材11よりもやや大きく、両側片でベース部材11の両側片を外方から挟持する大きさとなっている。
【0039】
保持部材12の下端部はベース部材11の前端部を挟持した状態で回動自在に連結され、上端部は支持部材13の上端部に回動自在に連結される。
【0040】
保持部材12の上板(即ち、平面アンテナ1と対向する部分)の上側ほぼ半分に、上端縁側が開口するほぼV字状の切欠12aが形成され、また、上端部の両側片の間に架け渡される渡り板12bが設けられ、保持部材12の長手方向直交断面において、上板と渡り板12bとの間に所定の間隔が設けられる。
【0041】
また、渡り板12bには偏波角調整ユニット30を固定するためのロック手段12cが設けられる。
【0042】
ロック手段12cはプランジャー型で、把持部を軸方向に引くと上板と渡り板12bとの間の空間からロックピンが引っ込み、把持部を離すと上板と渡り板12bとの間の空間へとロックピンが突出するようになっている。
【0043】
支持部材13は梯子構造を呈し、左右方向において対向する2つの側板の間に架け渡される横板が設けられ、2つの側板の間隔はベース部材11の両側片の間隔とほぼ同じに形成される。
【0044】
支持部材13の側片の上端部が保持部材12の上端寄りの位置において当該保持部材12の側片に回動自在に連結され、また、支持部材13の側片の下端部がスライド部材17の側部に回動自在に連結される。
【0045】
これにより、仰角調整ユニット10は、ベース部材11を下部(別言すると、下辺)として、ベース部材11の前端部に保持部材12の下端部が連結され、ベース部材11の後端部がスライド部材17を介して支持部材13の下端部が連結され、さらに、保持部材12の上端部と支持部材13の上端部とが連結されることで、トラス構造を構成する。
【0046】
偏波角調整ユニット30は、平面アンテナ1の背面に取り付けられるもので、偏波角調整機能を有し、平面アンテナ1を保持する保持プレート31と、保持プレート31の中心であって保持面とは反対側の裏面に回転自在に設けられた偏波角調整用の回転目盛盤32と、回転目盛盤32に固定されて仰角調整ユニット10に取り付けるためのV型プレート33を備えた被保持部材34とからなる。
【0047】
保持プレート31は、ほぼ矩形状で中心部の横幅がやや膨らんだ形状を呈し、四隅に取付ネジ35が設けられており、この取付ネジ35を平面アンテナ1の背面に形成された小孔に螺合することで平面アンテナ1に取り付けられる。
【0048】
保持プレート31の中央部裏面には比較的大きな円形の扁平凹部31aが形成され、この扁平凹部31aに回転目盛盤32が回転自在に支持される。
【0049】
回転目盛盤32にはその周縁に目盛32aが中心角ほぼ270度の範囲で形成され、保持プレート31の扁平凹部31aの周縁に指針31bが形成される。
【0050】
回転目盛盤32には、回転目盛盤32の回転をロックする回転ロック機構36が内蔵された扁平なケース体34aとケース体34aの裏面にV型プレート33が貼着されてなる被保持部材34が、目盛32aを隠さないように取り付けられる。
【0051】
V型プレート33は保持部材12に形成されたV字状切欠12aより一回り大きく形成され、またケース体34aに接する側の全周縁に段差を形成することで、ケース体34aに貼着されたときに溝33aが形成されるようになっている。
【0052】
この溝33aは面外方向から見てV字状切欠12aとほぼ同じ大きさに形成されるとともに、V型プレート33の溝33aを形成する周縁の厚さは、保持部材12の上板と渡り板12bとの間の間隔とほぼ同じに形成される。
【0053】
また、V型プレート33の幅広側の端縁近傍でその中央部に小孔33bが形成される。
【0054】
このように構成された偏波角調整ユニット30は、被保持部材34のV型プレート33を仰角調整ユニット10の保持部材12と渡り板12bとの間にスライドさせてV字状切欠12aにV型プレート33の溝33aを嵌合する。この溝33aを面外方向から見た形状が前記V字状切欠12aとほぼ同一形状を成し、V字状切欠12aに嵌合する嵌合部材として機能する。
【0055】
このとき、V型プレート33の溝33aとV字状切欠12aとが下端に行くに従い幅狭になりかつ同一形状であるため、一義的に位置決めがなされる。
【0056】
そして、V型プレート33を所定の位置までスライドさせ、位置決めできたところでロック手段12cのロックピンを小孔33bに挿入することで、偏波角調整ユニット30の仰角調整ユニット10への保持が完了する。
【0057】
このように、仰角調整ユニット10を方位角調整ユニット20に取り付け、偏波角調整ユニット30を仰角調整ユニット10に保持することで、三脚ヘッド4が構成される。
【0058】
方位角調整は、方位角調整ユニット20の回転盤22を固定盤21に対して回転させ、図示しない指針を目盛に合わせることで行い、偏波角調整は、偏波角調整ユニット30の保持プレート31を回転目盛盤32に対して回転させ、保持プレート31の指針31bを回転目盛盤32の目盛32aに合わせることで行う。
【0059】
そして、仰角調整は、仰角調整ユニット10の長ネジ15を回転することで、トラス構造の1辺(ベース部材11)の長さ(連結点間の距離)を調整することになり、他の2辺(保持部材12と支持部材13)の角度が変位し、一方(保持部材12)の角度がまさに仰角であり、仰角調整をすることができる。
【0060】
具体的には、長ネジ15を回転させると、スライド部材17が前後に移動するため、保持部材12と支持部材13とのなす角が変更され、保持部材12の傾き、すなわち仰角が調整される。
【0061】
本実施の形態にかかる仰角調整ユニット10の仰角の目盛11bは、ベース部材11に設けた直線方向に延びる目盛にすることにより、角度を示す円弧状の目盛を直線方向への目盛に変換しているため、目盛の間隔を広くすることができ、視認性を良好にし、かつ仰角の微調整を可能にする。
【0062】
なお、角度の目盛を直線方向の目盛に変換しているため、目盛の間隔は一定ではなく、仰角が小さくなればなるほど目盛11bの間隔が大きくなるようになっている。そのため、仰角が小さい(より水平に近い)地域では、目盛の間隔が大きくなりより微調整を可能にする。
【0063】
以上のように、本実施の形態にかかる仰角調整ユニット10はベース部材11と保持部材12と支持部材13とからなるトラス構造にしたことで、比較的重く大きな平面アンテナであっても保持することができ、特に悪天候などで平面アンテナに大きな風圧が掛かっても支えることができ、また、平面アンテナの大型化に対応することができる。
【0064】
仰角調整ユニット10と偏波角調整ユニット30とを、V型プレート33とV字状切欠12aとの嵌合により保持したので、一義的に両ユニット10、30の位置決めをすることができ、組み立ての簡易性、容易性を図ることができる。
【0065】
仰角調整ユニット10と方位角調整ユニット20と偏波角調整ユニット30とをそれぞれユニット化したので、分離可能で運搬性を良好にし、しかも、それぞれのユニット内での調整を崩すことなく、分離、組立てすることができるため、使い勝手を良好にすることができる。
【0066】
各ユニット10、30の角度調整の確認する目盛11b、32aや水準器18を一方向からの見えるように配置したので、これら目盛の視認性を良好にすることができ、組立性、操作性を良好にすることができる。
【0067】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態にあっては、スライド部材をスライドさせるための手段として、長ネジとナット部材との螺合によるものとしたが、本発明はこれに限らず、ラックアンドピニオン、ボールねじなど種々のスライド機構を用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 平面アンテナ(可搬型アンテナ)
2 三脚
10 仰角調整ユニット
11 ベース部材
11a 長孔
11b 目盛(仰角)
12 保持部材
12a V字状切欠(切欠)
13 支持部材
17 スライド部材
17b 指針(仰角)
18 水準器
20 方位角調整ユニット
30 偏波角調整ユニット
33a 溝(嵌合部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10