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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017498
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】接触子カバーを有するスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/44 20060101AFI20220118BHJP
   H01H 50/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01H9/44 Z
H01H9/44 A
H01H50/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180755
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2019553827の分割
【原出願日】2018-04-06
(31)【優先権主張番号】102017107441.4
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514122166
【氏名又は名称】シャルトバウ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】特許業務法人 松原・村木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ハメル、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クロイツポイントナー、コルビニアン
【テーマコード(参考)】
5G027
【Fターム(参考)】
5G027AA03
5G027BA09
5G027BB03
5G027BC02
5G027BC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単純且つコンパクトなデザインを有すると同時に、信頼性のある消弧を確保する一般的なタイプのスイッチ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るスイッチ装置は、開状態のとき互いに離間し、閉状態のとき互いに電気的に接続する第1接触子及び第2接触子を有する少なくとも1つの接点を備える。前記接点には、前記接点が開いた際に発生したアークを前記接点から放出するアーク放出用磁界を生成するアーク放出装置が設けられている。前記2つの接触子のうち少なくとも一方の接触子は、他方の接触子とは反対側に面する非接触子面側に非導電性カバーを備える。前記非導電性カバーは、前記アークの基点が前記非接触子面側を通過することを防止する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開状態のとき互いに離間し、閉状態のとき互いに電気的に接続する第1接触子(2)及び第2接触子(3)を有する少なくとも1つの接点(14、15)を備え、
前記接点(14、15)には、前記接点(14、15)が開いた際に発生したアーク(24)を前記接点から放出するアーク放出用磁界を生成するアーク放出装置が設けられている
ことを前提とするスイッチ装置(1)において、
前記2つの接触子のうち少なくとも一方の接触子(3)は、他方の接触子(2)とは反対側に面する非接触子面側に非導電性カバー(8)を備え、
前記非導電性カバーは、前記アーク(24)の基点(9)が前記非接触子面側を通過することを防止する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置(1)において、
前記非導電性カバー(8)は、前記一方の接触子(3)の前記非接触子面側から、前記アーク放出用磁界の磁力線に対して実質的に直交して延びる前記一方の接触子の縁を介して、前記一方の接触子(3)の自由端面(11)まで延在し、
前記自由端面(11)は、前記非導電性カバー(8)により少なくとも部分的に覆われる
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチ装置(1)において、
前記非導電性カバー(8)は、前記アーク放出用磁界の磁力線に対して実質的に平行な前記一方の接触子の長手方向側面(12)に凹部(13)を備え、
前記凹部(13)は、前記アーク(24)が前記接点(14、15)から放出される際、前記アーク(24)の前記基点(9)が前記凹部(13)に入り込むように配置及び形成されている
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のスイッチ装置(1)において、
前記凹部(13)は円弧状である
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記非導電性カバー(8)はプラスチック製である
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記スイッチ装置(1)は、2つの接点(14、15)を有する二重遮断構造を備え、
前記2つの接点それぞれの前記第1接触子(2)は固定接触子であり、
前記2つの接点それぞれの前記第2接触子は、前記アーク放出用磁界の磁力線に対して平行に配置された共通のコンタクトブリッジ(3)の一部である
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項7】
請求項6に記載のスイッチ装置(1)において、
各接点(14、15)には、消弧装置(16)が設けられる
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載のスイッチ装置(1)において、
前記スイッチ装置(1)は、双方向動作が可能であり、
前記消弧装置(16)は、前記コンタクトブリッジ(3)の両側面側に配置された消弧要素(17)を有する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項9】
請求項8に記載のスイッチ装置(1)において、
前記消弧要素(17)は、前記コンタクトブリッジ(3)の前記非接触子面側にも設けられる
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記固定接触子(2)は、前記アーク放出用磁界の磁力線と直交する方向において前記コンタクトブリッジ(3)よりも幅が広い
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載のスイッチ装置(1)において、
前記固定接触子(2)は、前記消弧装置(16)に沿って延在し、アーク案内プレートとしても機能する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記消弧装置(16)は、前記アーク放出装置と共に、工具なしに取り外し可能であり且つスナップ式フック(18)を介して前記スイッチ装置(1)の筐体(20)に固定されるアセンブリを形成する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記スイッチ装置(1)は、前記アーク(24)により生成され且つ前記コンタクトブリッジ(3)の前記非接触子面側に配置された複数の前記消弧要素(17)の間を出るプラズマを側方に屈曲させるアーク放電チャンバカバー(22)をさらに有する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項14】
請求項13に記載のスイッチ装置(1)において、
前記アーク放電チャンバカバー(22)は、前記消弧装置(16)及び前記アーク放出装置を含む前記アセンブリに対して、スナップ式フック(23)を介して工具なしに固定される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前提部に係るスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なスイッチ装置は、開状態のときに離間し、閉状態のときに互いに電気的に接触する第1接触子と第2接触子を有する少なくとも1つの接点を備える。アーク放出用磁界を生成するアーク放出装置が接点に設けられることで、接点が開いたときに発生するアークが接点から放出されるように放出用磁界が設計される。
【0003】
独立請求項1の前提部に係るスイッチ装置は、従来技術として知られている。例えば、特許明細書EP0380012B1には、それぞれがピボット式スイッチングアームに配置される1つの接触子と1つのはめ合い接触子とを有する電流制限サーキットブレーカが記載されている。短絡時には、接点を開くため、2つのスイッチングアームが離間するように揺動する。その結果発生するスイッチングアークは、放出用磁界によりアーク放電チャンバ内に案内される。2つのアームの一方におけるスイッチングアークの基点が誤った方向に移動することを防止するため、スイッチングアームの一部は、プラスチック製絶縁キャップにはめ込まれている。絶縁キャップは、第2スイッチングアームに面するスイッチングアームの側面に配置されている。絶縁キャップを有するスイッチングアームは、電流経路を介してサーキットブレーカの接触端子に接続されている。電流経路は、スイッチングアークが接点から放出される際、スイッチングアークの基点が跳ね上がるアーク案内プレートとして機能し、このプレートは、スイッチングアークをアーク放電チャンバに案内し、放電させる。
【0004】
また、独立請求項1の前提部に係るさらなるスイッチ装置は、WO2012/076605A1から公知である。このスイッチ装置は、2つの接点を有する二重遮断構造を有する。各接点は、固定接触子とこれに対応する可動接触子からなり、それにより、2つの可動接触子は、アーク放出用磁界に対して平行に位置決めされたコンタクトブリッジの一部となる。また、このスイッチ装置は、双方向動作するように設計されており、従って、コンタクトブリッジの両側面側に消弧手段を有する。スイッチングアークは、電流方向に応じた2つの方向の一方に対してそれぞれの接点から放出される。従って、スイッチングアークの移動方向は、コンタクトブリッジの長手方向延長部分に対して直交する。スイッチングアークを、関連付けられた消弧手段の1つに案内するために、対応するアーク案内プレートが設けられる。これらは、それぞれの固定接触子から、及びコンタクトブリッジにおける関連する可動接触子から延在し、対応する消弧手段まで外部に向かって側方に移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、単純且つコンパクトなデザインを有すると同時に、信頼性のある消弧を確保する一般的なタイプのスイッチ装置を提供することである。簡略化のため、スイッチングアークは、以下のデザインにおいて単にアークと言及される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、独立請求項1の特徴部により解決される。当該特徴部によれば、2つの接触子(contact)のうち少なくとも1つの接触子が、他方の接触子に面さない側である非接触子面側(non-contact-facing side)に非導電性カバーを有し、この非導電性カバーが、アークの基点が非接触子面側を移動することを防止するすることで、独立請求項1の前提部に係るスイッチ装置において、本発明に係る解決手段を存在させることができる。
【0007】
本発明に係る解決手段によれば、アークを強力に屈曲して放電させる効果を奏することができるので、アークの基点が接触子を周回して消弧しなくなるおそれをなくすことができる。同時に、本発明に係るスイッチ装置は、コンパクトなままとすることができる。本発明に係るカバーが設けられた接触子では、アークが接点から放出される際にアークの基点を跳ね上げたり、アークを放電して対応する消弧装置に案内したりするものとして機能するアーク案内プレートは不要である。これにより、本発明に係るスイッチ装置は、一般的なタイプの従来のスイッチ装置に必要となる各種の部品が不要となるため、コンパクトなだけではなく、軽量且つ低製造コストを実現可能である。カバーにより覆われた接触子のうち、他の接触子に面する側は、カバーを有さない。
【0008】
本発明に係るスイッチ装置のアーク放出用磁界は、永久磁力のみにより生成されることが好ましい。このことは、放出用磁界を生成する放出用電磁コイルが不要であることを意味する。1つ以上の永久磁石を用いて、放出用磁界を生成することが好ましい。永久磁石には、所望の領域に一様な磁界を確保する極板を設けることができる。永久磁石の使用は、コンパクト、軽量及び高コスト効率のデザインに寄与する。
【0009】
本発明の好適な実施形態は、従属項の主題として記載される。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、カバーは、一方の接触子における非接触子面側から、放出用磁界の磁力線に対して実質的に直交する当該一方の接触子の縁を介して、当該一方の接触子の自由端面まで延在することで、自由端面がカバーにより少なくとも部分的に覆われる。これにより、アークの基点が当該接触子の端面に沿って移動することを防ぐことができる。端面は、カバーにより完全に覆われることが好ましい。また、端面は、アーク放出用磁界の磁力線に対して直交することが好ましい。本発明に係るスイッチ装置が、二重遮断構造と、放出用磁界に対して平行に配置されたコンタクトブリッジとを備える場合、コンタクトブリッジの両端は、カバーにより覆われることが好ましい。
【0011】
本発明に係る別の好適な実施形態によれば、カバーは、アーク放出用磁界の磁力線に対して実質的に平行な、接触子の長手方向側面に凹部を備え、この凹部は、アークが接点から放出される際、アークの基点が凹部に入り込むように配置及び形成される。従って、このデザインでは、一方の接触子における非接触子面側は、カバーによって部分的に覆われない。これにより、アークの基点を凹部に入り込ませることができる。言うなれば、アークは凹部に捕捉される。凹部の前後において、カバーは、一方の接触子の幅全体に亘って一方の接触子の長手方向の両側面まで延在することが好ましい。この実施形態では、アークの基点が接触子を周回移動すること、言うなれば、消弧できないことを防止する点で特に効果を奏する。また、この実施形態では、基点が意図されない方向に移動することが防止される。凹部でアーク放電されることは利点となり得る。凹部は円弧状であることが好ましい。変形例として、凹部は、矩形状等の非円弧状としてもよい。しかし、カーブした凹部は、効果的であるとの結果が出ている。
【0012】
本発明に係る別の好適な実施形態によれば、カバーはプラスチック製である。また、カバーは耐熱性プラスチック製とすることが好ましい。ポリエーテルイミド(PEI)の使用は、特に適しているとの結果が出ている。これにより、長い製品寿命が確保される。同時に、カバー用材料としてのプラスチックの使用は、本発明に係るスイッチ装置を低コストで製造することを可能とする。他の絶縁又は非導電性材料もカバー用材料として用いることができる。例えば、カバーはセラミック製としてもよい。カバーは、一方の接触子に接着、係合又はその他の方法で対応する接触子に接続することができる。
【0013】
本発明に係る別の好適な実施形態によれば、スイッチ装置は、2つの接点を有する二重遮断構造を備える。2つの接点それぞれの第1接触子は固定接触子であり、2つの接点それぞれの第2接触子は、アーク放出用磁界の磁力線に対して平行に配置された共通のコンタクトブリッジの一部である。このデザインでは、カバーは、2つの固定接触子とは反対側に面する、コンタクトブリッジの面全体に対して延在することが好ましい。従って、可動接触子の2つの非接触子面側は、コンタクトブリッジの単一の非接触子面側を形成する。この実施形態におけるアーク放出用磁界は、コンタクトブリッジの長手方向延長部分に対して実質的に平行に配置されるため、アークは、コンタクトブリッジに対して直角で一方の接点から放出される。従って、カバーにおいて効果的に設けられる凹部は、コンタクトブリッジの長手方向の側面に配置される。
【0014】
また、この実施形態において、各接点には、消弧手段が設けられることが好ましい。これにより、信頼性を持って消弧を行うことができる。スイッチ装置は、コンタクトブリッジの両側面側に配置された消弧要素を備える消弧手段を有することで、双方向動作が可能であることが好ましい。消弧手段又はその消弧要素は、プラスチック製としてもよい。ポリアミド(PA)の使用は、アークが発生した際、ポリアミドの蒸発によりアークの冷却効果を実現するために適している。もちろん、消弧要素は、セラミック等の他の好適な材料で構成してもよい。
【0015】
この実施形態を好適に発展させた形態では、消弧要素は、コンタクトブリッジの非接触子面側にも配置される。消弧要素は、コンタクトブリッジに対して所定の距離があることが好ましい。コンパクトなデザインであるにもかかわらず、この実施形態では、高い消弧能力を実現する。アークは、放出用磁界により強力に曲げられ、これにより、消弧手段の消弧要素により完全に消弧されるまで放電される。
【0016】
この実施形態をさらに好適に発展させた形態では、固定接触子は、アーク放出用磁界の磁力線に直交する方向において、コンタクトブリッジよりも広い幅である。また、固定接触子は、消弧手段まで到達すると同時に、アーク案内プレートとして機能することが好ましい。この点に関し、対向する可動接触子やコンタクトブリッジにはアーク案内プレートは不要であることが再度強調される。
【0017】
本発明に係るさらに別の実施形態によれば、消弧手段とアーク放出装置は、スナップ式フックにより、工具無しにスイッチ装置の筐体に取付可能なリムーバブルアセンブリを形成する。これにより、本発明に係るスイッチ装置を維持すること、又は消弧装置及びアーク放出装置を交換することが容易となる。スナップ式フックは弾性の凸部であることが好ましく、また、この凸部は、消弧手段の一部又は消弧手段及びアーク放出装置を含むアセンブリの一部であることが好ましい。スナップ式フックは、筐体における対応するスナップ要素に係合する。さらに、筐体側においてスナップ式フックごとに1つのブラケットが設けられ、このブラケットが、スナップ式フックにおける係合した端部を取り囲み、シール等によりラッチを取り付けることで、ラッチが意図せずに緩むことを防止するとともに、ラッチが緩んだ際、過度の伸びにより生じる材料の変形を防止する。さらに、2つの接点における消弧手段及びアーク放出装置の全ては、単一のリムーバブルアセンブリにまとめられることが好ましい。
【0018】
本発明に係る別の好適な実施形態によれば、本発明に係るスイッチ装置は、アークにより発生し且つコンタクトブリッジの非接触子面側に配置された消弧要素の間から出るプラズマが側方に屈曲されるように設計されたアーク放電チャンバをも有する。この屈曲は、スイッチ装置の2つの対向する側面においてプラズマを放出するように起こることが好ましい。これにより、プラズマがスイッチ装置の上部から漏れ出ることが防止され、本発明に係るスイッチ装置と、スイッチ装置の上方に配置された他の部品との間の距離を減少させることができる。これにより、本発明に係るスイッチ装置を、スイッチ装置を用いる対応する装置に設けることがより容易になる。
【0019】
本発明に係る他の好適な実施形態によれば、消弧装置及びアーク放出装置を含むアセンブリに対して、スナップ式フックを用いることにより、工具なしにアーク放電チャンバカバーを取り付けてもよい。従って、アーク放電チャンバカバーを、本発明に係るスイッチ装置に対して交換又は組込みを容易に行うことができる。
【0020】
本発明の実施形態は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るスイッチ装置の斜視図である。
図2図1に示す本発明に係るスイッチ装置を図1の切断線IIに沿って示す縦方向斜視断面図である。
図3図1及び図2に示す本発明に係るスイッチ装置を図1の切断線IIIに沿って示す断面図である。
図4図1図3に示す本発明に係るスイッチ装置を、消弧手段を除いた状態で示す平面図である。
図5図1に示す本発明に係るスイッチ装置に、追加的なアーク放電チャンバカバーを付した状態を示す図である。
図6図1図5に示す本発明に係るスイッチ装置にアーク放電チャンバカバーを付した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施形態において、同一の部品には、同一の参照符号が付される。図面に関連する明細書の箇所で明示的に言及されない参照符号を図面が含む場合、当該参照符号は、先に説明した又はその後に説明する内容である。
【0023】
図1は、本発明に係るスイッチ装置1の斜視図であり、スイッチ装置1の筐体20及び2つの接触端子25と、本発明に係るスイッチ装置1の上部に配置された消弧手段16とが示されており、これらの部品の詳細については後述する。
【0024】
図2は、本発明に係る図1のスイッチ装置1を図1の切断線IIに沿って示す縦方向斜視断面図である。同図では、スイッチ装置1が、2つの接点14、15を有する二重遮断構造を備えることが示されている。各接点14、15は、固定接触子2及び可動接触子を備え、これにより、2つの可動接触子は、共通のコンタクトブリッジ3を形成するように結合される。2つの固定接触子2は、スイッチ装置1の筐体20から引き出されており、従って、スイッチ装置1の2つの接触端子25が同時に形成される。各固定接触子2は、対応する接触面4を有し、この接触面4は、コンタクトブリッジ3における対向する接触面5と接触可能である。スイッチ装置1が閉じているとき、接触面4、5を介して固定接触子2とコンタクトブリッジ3の間に電気的な接続が形成される。コンタクトブリッジ3の電磁的駆動部は、図2の下方に示されているが、本発明とは関連性がない。
【0025】
図3は、本発明に係るスイッチ装置1の断面を、図1の切断線IIIに沿って示す断面図である。この断面図では、第1接点14を通る。同図は、第2接点15にも適用可能である。スイッチ装置1は、図3に示す永久磁石6と、図1及び図2に示す対応する極板7とから実質的に成るアーク放出装置を備える。アーク放出装置は、コンタクトブリッジ3の長手方向延長部分(longitudinal extension)と平行に位置決めされたアーク放出用磁界を生成する。コンタクトブリッジ3の長手方向延長部分は、2つの接点14、15を仮想的に接続したものとして定義される。
【0026】
接点が開くとき、スイッチングアーク24が接触面4、5の間で発生し、コンタクトブリッジ3の長手方向延長部分に対して直交する放出用磁界により、接点から放出される。電流方向に依存して、スイッチングアーク24は、図3における左側に又は右側に放出される。図3には、スイッチングアーク24のいくつかの位置が示されている。スイッチングアーク24は、接点から強力に屈曲され、従って、さらに遠くへ放電されることが明確に理解されよう。スイッチングアーク24の下方の基点10は、固定接触子2に沿って外側に移動する。固定接触子2は、コンタクトブリッジ3よりもかなり幅が広く、そのため、アーク案内プレートとしても機能する。他の基点9は、接触面5からコンタクトブリッジ3の長手方向側面に沿ってコンタクトブリッジ3の上側に移動して、固定接触子2とは反対側に向かう。基点9がさらに移動してコンタクトブリッジ3に実質的に回り込むことを防止するため、コンタクトブリッジ3のうち接触子に面さない上側(非接触子面上側)には、耐熱性プラスチック(例えばポリエーテルイミド)からなる非導電性の絶縁カバー8が設けられる。
【0027】
絶縁カバー8は、図4の平面図(明確性のため、消弧装置16は図示されていない。)に最もよく示されている。カバー8は、コンタクトブリッジ3のうち接触子に面さない側(非接触子面側)から、アーク放出用磁界の磁力線に対して実質的に直交するコンタクトブリッジ3の自由端の縁を介して、コンタクトブリッジ3の自由端面11まで延在する。従って、端面11は、少なくとも上方においてカバー8にも覆われる。これにより、アーク24がコンタクトブリッジ3の端面11に沿って移動することが防止される。コンタクトブリッジ3の両端11には、フロントカバーが設けられる。コンタクトブリッジ3の長手方向側面12において、カバー8は、接点ごとに2つの凹部13を有し、これらの凹部13は、アーク24が接点から放出される際、スイッチングアーク24の基点9が凹部13に入り込むように配置及び設計されている。アーク24の基点9は、言うなれば凹部13に捕捉され、基点9が意図しない方向に移動することを効果的に防止することが可能となる。図4に示すように、凹部13は円弧状である。
【0028】
図3に示すように、消弧装置16は、コンタクトブリッジ3の両側面側において及びコンタクトブリッジ3のうち接触子に面さない上側(非接触子面上側)において、スイッチングアーク24を消弧する複数の消弧要素17を有する。消弧要素17は、プラスチック製であり、消弧装置16のためのホルダと一体的に設計されている。消弧要素17は、もちろんセラミック製としてもよい。消弧装置16は、永久磁石6及び極板7を有するアーク放出装置と共に、工具を要さないリムーバブルアセンブリを形成する。このアセンブリは、スナップ式フック18を介して、本発明に係るスイッチ装置1の筐体20に取り付けられる。スナップ式フック18は、弾性の舌片として設計され、その端部は、筐体20における対応するラッチ要素19と係合する。このスナップ接続では、スナップ接続が解放される際、フック18を過度に伸ばすことによって生じる、材料への過負荷は、筐体側のブラケット21により抑制されると共に、シール材等のロック装置を取り付けることにより、意図しない解放が抑制される。
【0029】
図5及び図6に示すように、本発明に係るスイッチ装置1には、スナップ式フック23を介することで工具なしに消弧装置16に取付可能なアーク放電チャンバカバー22を取り付けてもよい。アーク放電チャンバカバー22は、本発明に係るスイッチ装置1の上側に配置することができる。アーク放電チャンバカバー22は、アーク24により発生し、且つコンタクトブリッジ3のうち接触子に面さない上側(非接触子面上側)に配置された消弧要素17を介して外側を通過するプラズマを屈曲させる。プラズマの屈曲は、当該上側から外側に向かって発生する。その結果、本発明に係るスイッチ装置1の上部と他の部品又は部分との間に、安全距離を維持する必要がなくなる。多くの場合、アーク放電チャンバカバー22は、本発明に係るスイッチ装置1の配置を促進する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開状態のとき互いに離間し、閉状態のとき互いに電気的に接続する第1接触子(2)及び第2接触子(3)を有する少なくとも1つの接点(14、15)を備え、
前記接点(14、15)には、前記接点(14、15)が開いた際に発生したアーク(24)を前記接点から放出するアーク放出用磁界を生成するアーク放出装置が設けられており、
前記2つの接触子のうち少なくとも一方の接触子(3)は、他方の接触子(2)とは反対側に面する非接触子面側に非導電性カバー(8)を備え、
前記非導電性カバーは、前記アーク(24)の基点(9)が前記非接触子面側を通過することを防止する
スイッチ装置(1)において、
前記非導電性カバー(8)は、前記アーク放出用磁界の磁力線に対して実質的に平行な前記一方の接触子の長手方向側面(12)に凹部(13)を備え、
前記凹部(13)は、前記一方の接触子における前記非接触子面側が部分的に覆われないように、且つ前記アーク(24)が前記接点(14、15)から放出される際、前記アーク(24)の前記基点(9)が前記一方の接触子の長手方向側面(12)を介して前記凹部(13)に入り込むように配置及び形成され、
前記凹部(13)は円弧状であり、
前記スイッチ装置(1)は、2つの接点(14、15)を有する二重遮断構造を備え、
前記2つの接点それぞれの前記第1接触子(2)は固定接触子であり、
前記2つの接点それぞれの前記第2接触子は、前記アーク放出用磁界の磁力線に対して平行に配置された共通のコンタクトブリッジ(3)の一部であり、
前記コンタクトブリッジ(3)の長手方向側面(12)のそれぞれには、複数の前記凹部(13)が形成される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置(1)において、
前記非導電性カバー(8)は、前記一方の接触子(3)の前記非接触子面側から、前記アーク放出用磁界の磁力線に対して実質的に直交して延びる前記一方の接触子の縁を介して、前記一方の接触子(3)の自由端面(11)まで延在し、
前記自由端面(11)は、前記非導電性カバー(8)により少なくとも部分的に覆われる
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスイッチ装置(1)において、
前記非導電性カバー(8)はプラスチック製である
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
各接点(14、15)には、消弧装置(16)が設けられる
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項5】
請求項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記スイッチ装置(1)は、双方向動作が可能であり、
前記消弧装置(16)は、前記コンタクトブリッジ(3)の両側面側に配置された消弧要素(17)を有する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項6】
請求項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記消弧要素(17)は、前記コンタクトブリッジ(3)の前記非接触子面側にも設けられる
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記固定接触子(2)は、前記アーク放出用磁界の磁力線と直交する方向において前記コンタクトブリッジ(3)よりも幅が広い
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項8】
請求項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記固定接触子(2)は、前記消弧装置(16)に沿って延在し、アーク案内プレートとしても機能する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記消弧装置(16)は、前記アーク放出装置と共に、工具なしに取り外し可能であり且つスナップ式フック(18)を介して前記スイッチ装置(1)の筐体(20)に固定されるアセンブリを形成する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載のスイッチ装置(1)において、
前記スイッチ装置(1)は、前記アーク(24)により生成され且つ前記コンタクトブリッジ(3)の前記非接触子面側に配置された複数の前記消弧要素(17)の間を出るプラズマを側方に屈曲させるアーク放電チャンバカバー(22)をさらに有する
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載のスイッチ装置(1)において、
前記アーク放電チャンバカバー(22)は、前記消弧装置(16)及び前記アーク放出装置を含む前記アセンブリに対して、スナップ式フック(23)を介して工具なしに固定される
ことを特徴とするスイッチ装置(1)。