(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174980
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】仮設扉
(51)【国際特許分類】
E04G 5/00 20060101AFI20221117BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20221117BHJP
E05B 13/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
E04G5/00 301F
E05B1/00 311H
E05B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081067
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 一雅
(72)【発明者】
【氏名】星野 克之
(72)【発明者】
【氏名】磯部 凌吾
(72)【発明者】
【氏名】見供 栞
(57)【要約】
【課題】安定した姿勢で重ね置きできる仮設扉を提供する。
【解決手段】扉本体10と、この扉本体10の表面に対して突出するノブ120およびこのノブ120の回動運動に連動して表面に出没するラッチ130を含む扉クローザ100と、が連結した状態で仮設構造物500の出入口に設置される仮設扉1であり、この仮設扉1には、扉クローザ100と扉本体10との間および扉クローザ100とノブ120との間の少なくとも一方に、互いが連結した状態と分離した状態とを可能にする連結分離機構200が設けられ、これにより、扉クローザ100とノブ120のうち、少なくともノブ120が扉本体10から取外し可能となっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉本体と、この扉本体の表面に対して突出しているノブおよびこのノブの回動運動に連動して表面に出没するラッチを含む扉クローザと、が連結した状態で仮設構造物の出入口に設置される仮設扉であって、
前記扉クローザと前記扉本体との間および前記扉クローザと前記ノブとの間の少なくとも一方に、互いが連結した状態と分離した状態とを可能にする連結分離機構が設けられている仮設扉。
【請求項2】
請求項1に記載の仮設扉において、
前記連結分離機構は、前記連結した状態と前記分離した状態とを切替える切替部材を含む仮設扉。
【請求項3】
請求項2に記載の仮設扉において、
前記連結分離機構は、弾性部材をさらに含み、
前記切替部材は、前記弾性部材の弾性力を伴って前記連結した状態および前記分離した状態の少なくとも一方の状態で保持されるように構成されている仮設扉。
【請求項4】
請求項2または3に記載の仮設扉において、
前記連結分離機構は、前記扉クローザと前記扉本体との間に設けられ、
前記扉クローザおよび前記扉本体の少なくとも一方は、前記切替部材を可動自在に支持する支持部材を備える仮設扉。
【請求項5】
請求項4に記載の仮設扉において、
前記扉クローザは、操作部材を用いて前記切替部材を外部から操作することによって前記扉本体から分離するように構成されている仮設扉。
【請求項6】
請求項5に記載の仮設扉において、
前記扉本体および前記扉クローザの少なくとも一方は、前記切替部材に係合させる前記操作部材を挿入するための開口を備える仮設扉。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載の仮設扉において、
前記扉本体および前記扉クローザの少なくとも一方は、案内レールを備え、
残る他方は、前記案内レールに係合してこれと相対摺動する被案内部を備える仮設扉。
【請求項8】
請求項7に記載の仮設扉において、
前記案内レールおよび前記被案内部は、互いに対向する摺動面をそれぞれ備え、
前記切替部材の端部が通る少なくとも一対の孔が、前記対向するそれぞれの摺動面における互いが連通する位置に設けられている仮設扉。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の仮設扉において、
前記扉クローザは、施錠装置を備える仮設扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや橋梁などの建造物を建造等する際に、これら建造物の周辺に設けられる仮設構造物の出入口に設置される仮設扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビルや橋梁などの建造物の建造、保守および点検、塗装ならびに解体等の作業を行う際、建造物の周囲に作業用の足場を得るために仮設足場が設置されたり仮設フェンスが設けられたりする。これら仮設足場および仮設フェンス等の仮設構造物の多くには、作業エリア内とその外とを画する出入口が設けられており、これら出入口には、仮設扉が取外し自在に設置される。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、外部から容易に取り外すことのできる仮設扉(仮設足場用扉1)が開示されている。この仮設扉(仮設足場用扉1)は、扉本体(2)と、この扉本体(2)の表面に対して突出しているノブ(10)およびこのノブ(10)の回動運動に連動して出没するラッチ(11)を含む扉クローザ(9)と、が一体的に連結されたものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仮設構造物の出入口に設置される仮設扉は、仮設構造物の設置時にこの仮設構造物へ着脱自在に取り付けられる。仮設扉は、外部から建設現場等の作業現場に単体の形で搬入されたのち、仮設構造物の適所に取り付けられ、建設作業が完了した後には速やかに仮設構造物から取り外されて外部へ搬出されるのが通例である。ここで、大型建造物の作業現場等では、使用される仮設扉が多数であることから、上記搬入出作業を行うなかで、所定の場所に単体の仮設扉を複数枚重ね置くことが行われる。また、単体の仮設扉をバックヤードで保管する際も、複数枚重ね置くことが少なくない。このように仮設扉を重ね置きする際、特許文献1に記載の仮設扉では、扉本体の表面に対してノブが突出しているため、安定した姿勢で重ね置き(平積み)することができず、また、多数の仮設扉を保管するために大きなスペースを要するといった問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑み創作された発明であって、その目的は、仮設構造物から取り外された単体状態にあるときに安定した姿勢で重ね置き(平積み)できる仮設扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明に係る仮設扉は、扉本体(10)と、この扉本体の表面に対して突出しているノブ(120)およびこのノブの回動運動に連動して表面に出没するラッチ(130)を含む扉クローザ(100)と、が連結した状態で仮設構造物(500)の出入口(GW)に設置される仮設扉(1)であって、前記扉クローザと前記扉本体との間および前記扉クローザと前記ノブとの間の少なくとも一方に、互いが連結した状態と分離した状態とを可能にする連結分離機構(200)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、扉クローザとノブのうち、少なくともノブが扉本体から取外し可能になる。すなわち、扉本体の表面に対して突出するノブを、単独または扉クローザとともに扉本体から分離することができ、この結果、仮設扉の最も大きな構成要素である平板状の扉本体を、安定した姿勢で重ね置き(平積み)することができるようになる。
【0009】
また、前記仮設扉において、前記連結分離機構が、前記連結した状態と前記分離した状態とを切り替える切替部材(210)を含むように構成してもよい。
【0010】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、信頼性に優れかつコスト面で有利な簡易な構造の連結分離機構を備えた仮設扉を提供することができる。
【0011】
さらに、前記仮設扉において、前記連結分離機構が、弾性部材(220)をさらに含み、前記切替部材が、前記弾性部材の弾性力を伴って前記連結した状態および前記分離した状態の少なくとも一方の状態で保持されるように構成してもよい。
【0012】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、弾性力が外力と拮抗する力として作用することで切替部材を所定の状態で安定して保持することができる。これにより、連結分離機構の作動に対する安定性が高められ、信頼性に優れた連結分離機構を備える仮設扉を提供することができる。
【0013】
また、前記仮設扉において、前記連結分離機構が、前記扉クローザと前記扉本体との間に設けられ、前記扉クローザおよび前記扉本体の少なくとも一方が、前記切替部材を可動自在に支持する支持部材(230)を備えるように構成してもよい。
【0014】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、扉クローザと前記扉本体とが分離可能となる。これにより、例えば、扉クローザのみの交換または扉本体のみの交換が可能になることで少ない補修費用で製品寿命を延ばすことのできる仮設扉を提供することができる。
【0015】
さらに、前記仮設扉において、前記扉クローザが、操作部材(CP)を用いて前記切替部材を外部から操作することによって前記扉本体から分離するように構成してもよい。
【0016】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、簡単な操作によって扉クローザと前記扉本体とを分離することができる。これにより、操作性に優れた仮設扉を提供することができる。
【0017】
また、前記仮設扉において、前記扉本体および前記扉クローザの少なくとも一方が、前記切替部材に係合させる前記操作部材を挿入するための開口(D112a、D112b)を備えるように構成してもよい。
【0018】
さらに、前記仮設扉において、前記扉本体および前記扉クローザの少なくとも一方が、案内レール(31、32)を備え、残る他方が、前記案内レールに係合してこれと相対摺動する被案内部(第1凹部H1、H2)を備えるように構成してもよい。
【0019】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、前記扉本体から簡単かつ確実に前記扉クローザを分離することができる。
【0020】
また、前記仮設扉において、前記案内レールおよび前記被案内部が、互いに対向する摺動面(31cと115、32cと116)をそれぞれ備え、前記切替部材の端部が通る少なくとも一対の孔(D31aとD115a、D31bとD115b、D32aとD116a、D32bとD116b)が、前記対向するそれぞれの摺動面における互いが連通する位置に設けられるように構成してもよい。
【0021】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、簡易な構造でありながら、前記扉本体と前記扉クローザとの連結および分離が確実に行われる仮設扉を提供することができる。
【0022】
さらに、前記仮設扉において、前記扉クローザは、施錠装置(140)を備えるように構成してもよい。
【0023】
上記の特徴を備える仮設扉によれば、施錠機能を備えた仮設扉を提供することができる。
【0024】
なお、上記の説明において、課題を解決するための手段の構成要素と後述する実施形態の構成要素とを対応付けるために、当該手段の構成要素と対応する実施形態の構成要素および符号の少なくとも一方を、当該手段の構成要素の後に括弧を付して記している。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、安定した姿勢で重ね置き(平積み)できる仮設扉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る仮設扉が、ドア枠を介して仮設構造物に設置されたときの状態を示す正面図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の実施の形態に係る仮設扉の一態様を示す正面図であり、
図2(b)は、本発明の実施の形態に係る仮設扉の他の態様を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図2(a)中のA1で示される領域の拡大正面図である。
【
図4】
図4は、
図2(a)中のA1で示される領域の拡大背面図である。
【
図5】
図5(a)は、
図2(a)中のA1で示される領域の拡大左側面図であり、
図5(b)は、
図5(a)中のB1で示される領域のVI-VI矢視における拡大断面図である。
【
図6】
図6(a)は、
図2(b)中のA2で示される領域の拡大左側面図であり、
図6(b)は、
図6(a)中のB2で示される領域のVI-VI矢視における拡大断面図である。
【
図7】
図7(a)は、本発明の実施の形態に係る仮設扉の
図2(b)中のA2で示される領域における前方左上からの斜視図であり、
図7(b)は、本発明の実施の形態に係る仮設扉の
図2(b)中のA2で示される領域における後方右下からの斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る仮設扉が連接されるドア枠の正面図である。
【
図9】
図9は、
図8中のCで示される領域のVII-VII矢視における拡大断面図である。
【
図10】
図10(a)および(a)は、本発明の実施の形態に係る仮設扉の正面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態に係る仮設扉が連接されるドア枠の正面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施の形態に係る仮設扉がドア枠に連接された状態を示す正面図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施の形態に係る仮設扉がドア枠に連接された状態を示す正面図である。
【
図14】
図14(a)および(b)は、本発明の実施の形態に係る仮設扉がドア枠に連接されるときの状態を示す概念図である。
【
図15】
図15は、本発明の他の実施の形態に係る仮設扉の
図2(a)中のA1に相当する領域における前方左上からの斜視図である。
【
図16】
図16(a)および(b)は、本発明の他の実施の形態に係る仮設扉が連接されるドア枠の正面図である。
【
図17】
図17は、本発明の他の実施の形態に係る仮設扉の正面図である。
【
図18】
図18は、本発明の他の実施の形態に係る仮設扉がドア枠に連接された状態を示す正面図である。
【
図19】
図19は、本発明の他の実施の形態に係る仮設扉がドア枠に連接された状態を示す正面図である。
【
図20】
図20(a)および(b)は、本発明の他の実施の形態に係る仮設扉がドア枠に連接されるときの状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好ましい実施の形態の1つである仮設扉1およびこの仮設扉1が回動自在に連接するドア枠300について、それぞれの構成および連接形態ならびに仮設構造物への設置態様を、
図1ないし
図14に基づいて説明する。ここで、説明文中の前後方向、左右方向および上下方向は、それぞれ各図中のX軸方向(+Xが前方で‐Xが後方)、Y軸方向(+Yが右側方で‐Yが左側方)およびZ軸方向(+Zが上方で‐Zが下方)として定義する。これにより、例えば、仮設構造物500に設置された仮設扉1が閉じられた状態を示す
図1において、仮設扉1の厚み方向が前後方向に相当しかつ仮設構造物500の外部へ向いた面が前面(正面)で内部に向いた面が後面(背面)として表され、仮設扉1の幅方向が左右方向に相当しかつ扉クローザ100が配設される側が左側で仮設扉1が回動する軸(例えば軸心C)が配置される方が右側として表され、仮設扉1の高さ方向が上下方向として表されることになる。また、仮設扉1は、その一連接形態において、上下方向へ垂直に伸長するZ軸と平行なヒンジHA、HBの軸心C(より具体的には、ヒンジHA、HBが備える軸部HA、HBの軸心C)を回動軸として回動することになる。なお、各図は概念図であって、実際の仮設扉およびドア枠を必ずしも示すものではない。
【0028】
〔仮設扉1の設置態様〕
はじめに、ドア枠300が連接した仮設扉1が仮設構造物500に設けられた出入口に設置される態様を、
図1に基づいて説明する。仮設足場または仮設フェンス等の仮設構造物500は、例えば、左側上下方向へ垂直に伸長する左支柱511および右側上下方向へ垂直に伸長する右支柱512と、上側左右方向へ水平に伸長する横架材520とによって三方が囲まれた出入口GWを備える。仮設扉1は、この出入口GWへ、ドア枠300を介して設置される。具体的には、後述するドア枠300の左ドア枠部材310と右ドア枠部材320とに備わるクランプCLを用いて左支柱511および右支柱512に着脱自在に固定される。ここで、左ドア枠部材310は、ドア枠300の左側上下方向へ垂直に伸長する部分であって左支柱511に隣接しながらこれと平行に延在し、右ドア枠部材320は、ドア枠300の右側上下方向へ垂直に伸長する部分であって右支柱512に隣接しながらこれと平行に延在し、左ドア枠部材310と左支柱511、および右ドア枠部材320と右支柱512がそれぞれクランプCLを介して固定されている。また、ドア枠300は、詳細については後述する仮置き部材350を通じて、仮設構造物500の一部である横架材520の上部に仮置き(載置)できるように構成されている。
【0029】
〔仮設扉1の構成〕
つぎに、仮設扉1の構成を、
図1ないし
図7に基づいて説明する。仮設扉1は、
図1に示すように、扉本体10と扉クローザ100とから主に構成されており、上下右端部、より具体的には、後述する枠部材20の一部を構成する上枠部材23の右端部および同下枠部材24の右端部に、軸心CをもつヒンジHA、HBが配設されている。また、仮設扉1は、
図5(b)および
図6(b)に示すように、扉本体10および扉クローザ100が連結した状態、または分離した状態にあることを選択的に可能にする連結分離機構200を備えている。
【0030】
[扉本体10]
扉本体10は、正面視において上下方向へ伸長する略長方形を呈した板形状の部材であって、
図2(a)、(b)に示すように、外周縁を画成する枠部材20と、この枠部材20と連結することで仮設扉の強度および剛性を高める補強部材30と、枠部材20および補強部材30に囲まれた空間内に配設される板状部材40とから構成されている。
【0031】
上記枠部材20は、例えば、それぞれが左側上下方向へ垂直に伸長する第1の左縦枠部材21A、第2の左縦枠部材21Bおよび第3の左縦枠部材21Cと、右側上下方向へ垂直に伸長する右縦枠部材22と、上側左右方向へ水平に伸長する上枠部材23と、下側左右方向へ水平に伸長する下枠部材24とから構成されている。第1の左縦枠部材21Aは、3つの左縦枠部材のなかで最上位に位置し、上端部が上枠部材23の左端部と連結し、下端部が後述する補強部材30としての第1の横桟部材31の左端部と連結する。第2の左縦枠部材21Bは、3つの左縦枠部材のなかで最下位に位置し、下端部が下枠部材24の左端部と連結し、上端部が後述する補強部材30としての第2の横桟部材32の左端部と連結する。第3の左縦枠部材21Cは、第1の左縦枠部材21Aと第2の左縦枠部材21Bとの間にあって、上端部が第1の横桟部材31の略中間部と連結し、下端部が第2の横桟部材32の略中間部と連結する。枠部材20を構成する上記各部材は、例えば、炭素鋼からなる角筒状の中空部材からそれぞれ形成されている。
【0032】
上枠部材23の前面および後面の右端部には、軸心CをもつヒンジHAを固定するための孔、具体的には、同部材の前面および後面を貫通しかつ互いが連通する位置にある一対の貫通孔からなる連通孔が所定の位置に2組(連通孔D23A、D23B)開口している。これら2組の連通孔D23A、D23Bは、後述するように、扉本体10とドア枠300との連接形態に関し、異なる2つの形態を実現するために設けられたものであり、例えば、水平方向に所定の間隔を隔てて配設されている。また、下枠部材24の右端部には、軸心CをもつヒンジHBを固定するための孔、具体的には、同部材の前面および後面を貫通しかつ互いが連通する位置にある一対の貫通孔からなる連通孔が所定の位置に1組(連通孔D24)開口している。連通孔D24は、例えば、連通孔D23Aと上下方向(垂直方向)へ一列に並ぶ位置にあり、また、連通孔D23Bに対して左右方向へオフセットした位置(本実施の形態では連通孔D23Bに対して右側にオフセットした位置)に配設されている。なお、連通孔D23A、D23Bおよび連通孔D24を通じて固定されるヒンジHA、HBを介した仮設扉1とドア枠300との連接形態については、後ほど説明する。
【0033】
補強部材30は、例えば、枠部材20と同様に炭素鋼からなる角筒状の中空部材から形成され、上枠部材23と下枠部材24との間にあってこれら部材と平行に左右水平方向へ伸長する第1の横桟部材31および第2の横桟部材32とから構成されている。上方に位置する第1の横桟部材31は、左端部が第1の左縦枠部材21Aの下端部と連結し、右端部が右縦枠部材22の中間部に連結する。下方に位置する第2の横桟部材32は、左端部が第2の左縦枠部材21Bの上端部と連結し、右端部が右縦枠部材22の中間部に連結する。第1の横桟部材31の下面31cには、
図5(b)、
図6(b)および
図7(b)に示すように、略円筒状の2つの貫通孔D31a、D31bが開口している。また、第2の横桟部材32の上面32cには、
図7(a)に示すように、略円筒状の2つの貫通孔D32a、D32bが開口している。貫通孔D31a、D31bおよび貫通孔D32a、D32bは、後述する連結分離機構200の構成要素である切替部材210の一部が通過する孔であって、扉クローザ100内に収容される当該切替部材210の配置位置および連結分離機構200の構成等に応じて開口位置が設定される。なお、これら貫通孔の形状は、上記形状に限定されず、その機能を満たす限り、他の形状であってもよい。
【0034】
枠部材20および補強部材30は、上記連結する各部分において、例えば、溶接により互いが接合している。なお、当該連結形態は、特定のものに限定されず、所定の結合強度を得られる他の機械的な結合形態、例えば、ボルトを用いた結合であってもよい。
【0035】
枠部材20および補強部材30で囲まれた空間には、
図2(b)で示されるように、第3の左縦枠部材21Cの左側面と第1の横桟部材31の下面と第2の横桟部材32の上面とで囲まれた空間Wを除いて、薄板状の板状部材40が嵌め込まれている。具体的には、第1の左縦枠部材21Aと右縦枠部材22と上枠部材23と第1の横桟部材31とに囲まれた空間に第1の板状部材41が嵌め込まれ、第2の左縦枠部材21Bと右縦枠部材22と下枠部材24と第2の横桟部材32とに囲まれた空間に第2の板状部材42が嵌め込まれ、第3の左縦枠部材21Cと右縦枠部材22と第1の横桟部材31と第2の横桟部材32とによって囲まれた空間に第3の板状部材43が嵌め込まれている。第1の板状部材41、第2の板状部材42および第3の板状部材43は、例えば、熱間圧延された炭素鋼からなる薄板部材からそれぞれ形成されている。
【0036】
上記空間Wは、扉クローザ100が配置される空間であり、この空間W内において扉本体10と扉クローザ100とが後述する連結分離機構200を通じて連結して仮設扉1が構成される。
【0037】
[扉クローザ100]
扉クローザ100は、
図2(a)、(b)に示すように、筐体110と、仮設扉1を開閉する際に回転操作されるノブ120と、ノブ120の回動運動に連動して表面から出没するラッチ(ラッチボルト)130と、施錠装置140とから主に構成されている。ノブ120は、扉本体10と扉クローザ100とが連結状態にあるとき、扉本体10の表面に対して突出するように形成されている。
【0038】
筐体110は、奥行きの小さな略直方体の箱状部材であって、
図3ないし
図7に示すように、前面部111、後面部112、左側面部113、右側面部114、上面部115および下面部116から構成されている。これら6つの面部によって画成された筐体110の内部空間には、ノブ120を回動自在に支持する軸支部、ラッチ130の動作をノブ120の回動運動と連動させる機構部および施錠装置140の機構部がそれぞれ収容され、また、詳細については後述する連結分離機構200を構成する各要素が収容されている。
【0039】
前面部111、後面部112、左側面部113、右側面部114、上面部115および下面部116は、例えば炭素鋼からなる薄板状の部材からそれぞれ形成されており、互いが溶接等により機械的に結合し、または少なくとも一部が一体成形されるなどして結合している。前面部111と後面部112、左側面部113と右側面部114、および上面部115と下面部116は、それぞれ一対をなすように基本形状が同一である。具体的には、前面部111および後面部112は、上下方向へ伸長する正面視略長方形および背面視略長方形の垂直面を形成し、左側面部113および右側面部114は、上下方向へ伸長する左側面視略帯形状および右側面視略帯形状の垂直面を形成し、上面部115および下面部116は、左右方向へ伸長する平面視略帯形状および底面視略帯形状の水平面をそれぞれ形成している。これにより、筐体110は、上下、前後および左右にそれぞれ線対称な形態を有している。
【0040】
上面部115には、
図5(b)、
図6(b)および
図7(a)に示すように、略円筒状の2つの貫通孔D115a、D115bが開口している。また、後面部112には、
図4および
図7(b)に示すように、背面視略ひょうたん型の開口D112a、D112bが、上下端近傍かつ幅方向略中央に貫通孔として設けられている。さらに、下面部116には、
図7(b)に示すように、略円筒状の2つの貫通孔D116a、D116bが開口している。貫通孔D115a、D115bおよび貫通孔D116a、D116bは、後述する連結分離機構200の構成要素である切替部材210の先端部が出没する孔であり、切替部材210の配設位置に対応して開口位置が設定されている。また、上記開口D112a、D112bは、後述する操作部材CPを挿入するための孔であって、当該操作部材CPを通じて切替部材210が操作可能となるように、切替部材210の少なくとも一部が臨める位置に配設されている。なお、これら貫通孔および開口が設けられる位置は、切替部材210の配置および連結分離機構200の構造の改変に応じて適宜変更され、またその形状は、その機能を満たす限り、他の形状であってもよい。
【0041】
ノブ120を回動自在に支持する軸支部、ラッチ130および施錠装置140が備える構造および機構は、既知の構造および機構が適宜用いられる。例えば、本実施の形態では、押しボタンを介して所定の番号を入力する施錠解除手段が前面部111に配設され、サムターンが後面部112に配設された施錠装置140が用いられる。
【0042】
上面部115は、
図7(a)に示すように、前面部111および後面部112の上端縁よりも下方に配置され、下面部116は、
図7(a)を上下反転したものを背面から表した
図7(b)に示すように、前面部111および後面部112の下端縁よりも上方に配置されている。これにより、前面部111の背面111aと後面部112の背面112aと上面部115とによって第1凹部H1が画成され、また、前面部111の背面111aと後面部112の背面112aと下面部116とによって第2凹部H2が画成されている。
【0043】
第1凹部H1は、第1の横桟部材31の下端部と相補的な形状をしており、また、第2凹部H2は、第2の横桟部材32の上端部と相補的な形状をしている。これにより、扉本体10と扉クローザ100とは、第1の横桟部材31と第1凹部H1および第2の横桟部材32と第2凹部H2を通じてガタツキの少ない好適な状態で互いが連結している。具体的には、第1の横桟部材31の前方端面31aと第1凹部H1を画成する背面111a、第1の横桟部材31の後方端面31bと第1凹部H1を画成する背面112aおよび第1の横桟部材31の下面31cと第1凹部H1を画成する上面部115、ならびに第2の横桟部材32の前方端面32aと第2凹部H2を画成する背面111aおよび第2の横桟部材32の後方端面32bと第2凹部H2を画成する背面112aとが各々僅かな隙間を介して対向し、第2の横桟部材32の上面32cと第2凹部H2を画成する下面部116とが当接するようにして互いが連結する。
【0044】
また、上記形態の第1凹部H1および第2凹部H2は、扉本体10および扉クローザ100を連結状態から分離状態へと切り替え、または分離状態から連結状態へと切り替える際、すなわち、扉クローザ100を扉本体10に対して相対移動させる際(以下、当該時点を「切り替え時」と称することがある。)、案内レールとして機能する第1の横桟部材31の下端部および第2の横桟部材32の上端部とそれぞれ対向する各面が相対摺動しながら所定の方向へ案内される部位(以下、「被案内部」と称することがある。)としても機能する。
【0045】
なお、第1凹部H1および第2凹部H2の形態は、上記連結に係る機能および上記被案内部としての機能を損なわない範囲で種々の改変が可能である。例えば、第1凹部H1および第2凹部H2を画成する前面部111の背面111a、後面部112の背面112a、上面部115および下面部116の形状を適宜変更することで、互いの摺動方向に垂直な断面形状が異なるものとなるように第1凹部H1および第2凹部H2を形成してもよい。当該形態によれば、第1凹部H1および第2凹部H2が上下に非線対称(筐体110の幅方向に伸長する中心線に対して非線対称)となることで、扉クローザ100の上下および前後が逆転するような誤組付けを防止することができる。また、半球状の凹形状としてもよいし、凹形状に代えて段付き形状としてもよい。
【0046】
[連結分離機構200]
連結分離機構200は、
図5(b)および
図6(b)に示すように、切替部材210と、切替部材210に弾性力を付加する弾性部材220と、弾性部材220を支持する支持部材230とから主に構成されている。これら切替部材210、弾性部材220および支持部材230は、上述したように、扉クローザ100の筐体110の内部空間、すなわち、前面部111、後面部112、左側面部113、右側面部114、上面部115および下面部116によって画成された空間内に収容されている。
【0047】
ここで、本実施の形態では、
図7(a)、(b)に示すように、上下対称の位置に、上記構成の連結分離機構200が2つ配設されている。これら2つの連結分離機構200の形態は、形状、配置関係、力の入力方向および切替部材210の移動方向が上下反転することを除いてほぼ同一である。以下仮設扉1が備える連結分離機構200の形態を、上方に配設された連結分離機構200に基づいて説明し、下方に配設された連結分離機構200については、括弧書きを付するなどして適宜説明することとする。
【0048】
切替部材210は、上方へ略垂直に伸長する一対の腕部211、212とこの腕部211、212を連結する水平部213とを備える略U字状を呈した部材であって、例えば、炭素鋼からなる中実の丸棒部材から形成されている。
【0049】
腕部211、212の上端部211a、212aの下方には、スナップリングSR1、SR2を圧入するための円環状の溝が切削加工等によって形成されている。これら溝に圧入されることで切替部材210と一体化したスナップリングSR1、SR2は、弾性部材220(より具体的には、後述する第1の弾性部材221、第2の弾性部材222)との当接面を形成し、かつ切替部材210に弾性部材220の弾性力を伝達する機能を果たす。また、スナップリングSR1、SR2は、その上面が扉クローザ100の上面、すなわち、筐体110の上面部115(下方に配設された連結分離機構200においては、下面部116)に当接することで、切替部材210を静止させるストッパー機能を果たす。
【0050】
スナップリングSR1、SR2のストッパー機能によって所定の位置で静止する切替部材210(以下、この切替部材210が静止する位置を「第1の位置」と称する。)においては、上端部211a、212aが扉クローザ100を構成する筐体110の上面部115に開口する貫通孔D115a、D115aから所定の長さ突出する(下方に配設された連結分離機構200においては、扉クローザ100を構成する筐体110の下面部116に開口する貫通孔D116a、D116bから所定の長さ突出する)ように構成されている。ここで、上記所定の長さは、補強部材30を形成する角筒状中空部材の板厚tよりも大きく設定されている。このため、切替部材210が第1の位置にある扉クローザ100が扉本体10の空間Wに配置されているとき、上端部211a、212aは、
図5(b)に示すように、扉本体10を構成する第1の横桟部材31の下面31cに開口する貫通孔D31aD31bよりも上方へ突出する(下方に配設された連結分離機構200においては、上端部211a、212aが第2の横桟部材32の上面32cに開口する貫通孔D32a、D32bよりも下方へ突出する)。これにより、扉本体10と扉クローザ100とは、切替部材210を通じて相対移動が規制された状態、すなわち、連結状態となる。なお、上記所定の長さ(突出量)は、連結状態が容易に解除されないよう、板厚tよりも十分に大きな値に設定されることが望ましい。
【0051】
また、切り替え時に扉クローザ100を扉本体10に対して移動させるときは、切替部材210の上端部211a、212aを、
図6(b)に示すように、少なくとも貫通孔D31a、D31bよりも下方の位置(以下、この位置を「第2の位置」と称する。)まで押し下げられる(下方に配設された連結分離機構200においては、上端部211a、212aを少なくとも貫通孔D32a、D32bよりも下方の位置まで押し上げられる)。これにより、扉本体10と扉クローザ100とは、切替部材210を通じた相対移動の規制が解除されることで相対移動が可能な状態となる。
【0052】
なお、本実施の形態では、腕部211、212の長さが、上記所定の長さ(突出量)および弾性部材220(より具体的には、後述する第1の弾性部材221、第2の弾性部材222)の長さに基づいて決定されることになる。
【0053】
弾性部材220は、
図5(b)および
図6(b)に示すように、いずれも同一形態の渦巻きばねからなる第1の弾性部材221および第2の弾性部材222から構成され、スナップリングSR1、SR2と支持部材230との間に介在するように組付けられている。具体的には、第1の弾性部材221および第2の弾性部材222は、円筒状の内側空間に腕部211、212がそれぞれ挿入され、各上端にスナップリングSR1、SR2がそれぞれ当接し、各下端に支持部材230がそれぞれ当接するように組付けられている。弾性部材220(第1の弾性部材221および第2の弾性部材222)は、例えば、切替部材210が第1の位置にあるとき、自身の上向きの弾性力が切替部材210の自重よりも大きくなるようにその長さおよびバネ定数等が設定されている。これにより、第1の位置にある切替部材210には、常に弾性部材220(第1の弾性部材221および第2の弾性部材222)から所定の弾性力が付与されることになる。
【0054】
支持部材230は、水平面部231と垂直面部232をから構成された部材であって、例えば、炭素鋼からなる薄板状の部材を断面L字型に折り曲げることで形成されている。水平面部231には、切替部材210の腕部211、212が挿入される2つの孔が貫通している。また、垂直面部232は、扉クローザ100の筐体110の後面部112と当接し、例えば、ボルトを用いて当該後面部112に接合している。これにより、支持部材230は、扉クローザ100と一体化した要素として構成されている。
【0055】
仮設扉1が上記構成の連結分離機構200を備えることで、扉本体10と扉クローザ100とは、第1の位置において互いが安定した状態で連結し、また、第2の位置に切替ることで互いが容易に分離可能となる。
【0056】
すなわち、上記構成の連結分離機構200によれば、切替部材210は、自身が備えるスナップリングSR1、SR2と、弾性部材220(第1の弾性部材221および第2の弾性部材222)と、支持部材230とを通じて落下することなく保持される。具体的には、スナップリングSR1、SR2を通じて自重の反力および弾性部材220の弾性力を上向きの力として受ける切替部材210は、落下することなく弾性部材220および支持部材230によって保持される(下方に配設された連結分離機構200においては、スナップリングSR1、SR2を通じて自重の反力および弾性部材220の弾性力の反力を上向きの力として下面部116から受けることで切替部材210は落下することなく保持される)。そして、第1の位置にある切替部材210には、上述したように、常に弾性部材220から所定の弾性力が付与されるため、例え仮設扉1に外力が加わっても、弾性力がこの外力に拮抗することで、上記所定の長さ(突出量)が維持され、この結果、扉本体10と扉クローザ100との連結状態が解除されることなく安定して保持される。
【0057】
また、以下の手順により、第1の位置にある切替部材210を第2の位置へ移動させることで、扉本体10と扉クローザ100との分離を容易に行うことができる。すなわち、仮設扉1の分解作業を行う者は、
図6(a)、(b)および
図7(b)に示すように、後面部112に設けられた開口D112a(下方に配設された連結分離機構200においては、開口D112b)を通じて切替部材210と支持部材230との間、より具体的には、切替部材210の水平部213と支持部材230の水平面部231との間に操作部材CPの先端部を挿入する。ここで、操作部材CPは、例えば丸棒部材からなり、その先端部に面取りされた傾斜面が形成されている。なお、上下に2つの連結分離機構200が配設されている本実施の形態においては、これら2つの機構を同時に操作するために、コの字状に折り曲げられた丸棒部材から操作部材CPが構成されている。すなわち、操作部材CPは、一対の水平部とこれら水平部を連結する垂直部を備え、一対の水平部の端部には、互いを臨む向きに傾斜面が形成されている。水平方向の挿入力は、これら傾斜面を介して、上方に配設された連結分離機構200の切替部材210(より具体的には、切替部材210の水平部213)に対し下方へ押し下げる力を作用させ、下方に配設された連結分離機構200の切替部材210(より具体的には、切替部材210の水平部213)に対し上方へ押し上げる力を作用させる。これにより、上方に配設された切替部材210は、弾性部材220の弾性力に拮抗しながら、第2の位置まで押し下げられ、下方に配設された切替部材210は、弾性部材220の弾性力に拮抗しながら第2の位置まで押し上げられる。なお、上記構成の操作部材CPの代わりに、仮設構造物500の組立・解体現場で使用される所定の工具、例えば、棒状の工具であるドライバを用いてもよい。上下に2つの連結分離機構200が配設されている本実施の形態においては、2本のドライバを開口D112a、D112bに挿入することで、上下に配設された一対の切替部材210、210を移動させることができる。
【0058】
ここで、上記構成の扉本体10および扉クローザ100においては、上述したように、扉本体10が備える第1の横桟部材31の下端部および同第2の横桟部材32の上端部が案内レールとして機能し、扉クローザ100が備える第1凹部H1および第2凹部H2が被案内部として機能する。これにより、作業者は、切替部材210が第2の位置にある扉クローザ100を、案内レールと被案内部とを相対摺動させるようにして第1凹部H1および第2凹部H2が延在する方向(
図7(b)中の矢印の方向)へ容易に移動させることができる。なお、コの字状の操作部材CPを用いる本実施の形態においては、開口D112a、112bに挿入された操作部材CPを引き戸の取手のように扱う(例えば、操作部材CPが備える上記垂直部を把持部として扱う)ことで、上記扉クローザ100の分離作業をより好適に行うことができる。
【0059】
また、分離状態にある扉本体10と扉クローザ100との連結作業は、以下の手順にしたがって行われる。すなわち、作業者は、分離状態にある扉クローザ100に操作部材CPを挿入して切替部材210を第2の位置とする。その後、被案内部(第1凹部H1および第2凹部H2)を案内レール(第1の横桟部材31の下端部および第2の横桟部材32の上端部)に挿入(係合)して、扉クローザ100を
図7(b)中の矢印の方向と逆の方向へ相対摺動させる。さらに、扉クローザ100を第1の横桟部材31の下面31cにおける貫通孔D31a、D31bが開口する位置および第2の横桟部材32の上面32cにおける貫通孔D32a、D32bが開口する位置まで移動させる。その後、操作部材CPを外して(抜いて)切替部材210を第1の位置に移動させることで、扉本体10と扉クローザ100とが連結した状態となる。
【0060】
〔ドア枠300の構成〕
つづいて、本発明の実施の形態に係る仮設扉1が所定の軸心周りに回動自在な状態で連接するドア枠300の構成を、
図8および
図9に基づいて説明する。
【0061】
ドア枠300は、
図8に示すように、左側上下方向へ垂直に伸長する左ドア枠部材310と、右側上下方向へ垂直に伸長する右ドア枠部材320と、上側左右方向へ水平に伸長する上ドア枠部材330と、下側左右方向へ水平に伸長する下ドア枠部材340とから主に構成されている。上ドア枠部材330は、左右両端部で左ドア枠部材310および右ドア枠部材320と連結し、下ドア枠部材340は、左右両端部で左ドア枠部材310および右ドア枠部材320と連結している。これにより、仮設扉1が収容される空間GWが、これらドア枠部材の内側に画成される。なお、左ドア枠部材310、右ドア枠部材320、上ドア枠部材330および下ドア枠部材340は、例えば、炭素鋼からなる角筒状の中空部材からそれぞれ形成されている。
【0062】
左ドア枠部材310および右ドア枠部材320は、上述したように、仮設構造物500の一部である左支柱511および右支柱512に着脱自在に固定するためのクランプCLを備える。
【0063】
上ドア枠部材330の上面および下面の右端部には、ヒンジHAの軸部が挿入される孔、具体的には、同部材の上面および下面を貫通しかつ互いが連通する位置にある一対の貫通孔から構成される連通孔が所定の位置に2組(連通孔D330A、D330B)開口している。連通孔D330A、D330Bは、水平方向へ所定の間隔、例えば、連通孔D23A、D23Bの水平方向の間隔と同一の間隔を隔てて並列する孔として形成されている。また、下ドア枠部材340の前面および後面の右端部には、ヒンジHBの軸部が挿入される孔、具体的には、同部材の上面および下面を貫通しかつ互いが連通する位置にある一対の貫通孔から構成される連通孔が所定の位置に1組(連通孔D340)開口している。連通孔D340は、例えば、連通孔D330Aと上下方向(垂直方向)へ一列に並ぶ位置にあり、また、連通孔D330Bに対して左右方向へオフセットした位置(本実施の形態では連通孔D330Bに対して右側にオフセットした位置)に配設されている。
【0064】
上ドア枠部材330には、左右幅方向における略中央に、仮置き部材350が設けられている。ドア枠300は、この仮置き部材350を通じて仮設構造物500の一部である横架材520に仮置きされたのち、上述した態様により、仮設構造物500に固定される。
【0065】
仮置き部材350は、
図9に示すように、上ドア枠部材330と連結する連結部351と、横架材520の上部520aと当接し上部520aに載置される載置部352と、連結部351に結合しかつ載置部352を上下方向に案内しながらこれを支持する棒状部353とから主に構成されている。
【0066】
連結部351は、例えば、炭素鋼からなる薄板状の部材が側面視において略コの字状に折り曲げられて形成された部位であって、対向する2つの垂直面部と、これらを連結する水平面部を備え、各面部のいずれに対しても平行な長手方向の端部および水平面部との対向部にそれぞれ開口部が形成されている。これら3つの面部によって囲まれた空間は、上ドア枠部材330のXZ平面における垂直断面と相補的な形状を呈しており、上記開口部を通じて当該部材の上端部が挿入される。これにより、上記2つの垂直面部の各内側面は、上ドア枠部材330の前面および背面にそれぞれ当接し、上記水平面部の内側面は、上ドア枠部材330の上面に当接する。上記2つの垂直面部には前後方向に連通する貫通孔がそれぞれ開口しており、仮置き部材350は、これら貫通孔および上ドア枠部材330の左右幅方向の所定の位置、例えば、ドア枠300の重心を通る鉛直線と交わる位置に開口する貫通孔を挿通させたボルトをナット締めすることで、上ドア枠部材330に固定される。また、水平面部の外側面には、上下方向へ垂直に伸長する棒状部353が、例えば溶接により接合されている。
【0067】
載置部352は、例えば、炭素鋼からなる部材であって、棒状部353が挿入される円筒状部352Aと、この円筒状部352Aの後方にあって水平に広がる薄板状の水平面部352Bとから構成されている。円筒状部352Aにはネジ穴が開口し、載置部352は、このネジ穴に螺合するネジまたはボルトB352の軸力によって棒状部353に固定される。また、水平面部352Bは、円筒状部352Aと例えば溶接により接合し、後端に下方に向けて傾斜するように折り曲げ部を備える。この折り曲部は、脱落防止のために設けられたものであり、その傾斜角や長さは、横架材520の形状等に合わせて適宜変更することができる。なお、横架材520の上部520aと当接する水平面部352Bの下面352Baは、例えば、水平な平滑な面として形成されているが、滑り止めとして機能する溝加工や表面処理を当該面に施してもよいし、上部520aの形状と相補的な形状としてもよい。
【0068】
棒状部353は、例えば、炭素鋼からなる円筒状の部材であって、上述したように、連結部351が備える水平面部の外側面に、例えば溶接により結合している。これにより、棒状部353は、連結部351を介して上ドア枠部材330に固定されかつ上下方向へ垂直に伸長する部分として形成される。載置部352は、当該形態の棒状部353に自身が備える円筒状部352Aが挿入されることで、上下方向に案内されながら垂直位置(高さ)が自在に調整可能に支持される。また、載置部352は、上述した手法によって、棒状部353を通じて所定の垂直位置(高さ)に固定される。
【0069】
上記構成の仮置き部材350を備えることで、仮設構造物500の出入口に仮設扉1を設置するのに必須となるドア枠300への連接作業が容易なものとなる。すなわち、ドア枠300を仮設構造物の一部を構成する部材、例えば左支柱511および右支柱512にクランプCLを用いて取り付ける際、当該ドア枠300を所定の位置に一旦静止させておく必要がある。ここで、スチール(炭素鋼)からなる重量が比較的大きなドア枠300を人力で静止させておくことは、成人男性でも容易でない。しかしながら、仮置き部材350を備えるドア枠300においては、仮置き部材350の載置部352を横架材520に載置して仮置きする、より具体的には、載置部352の水平面部352Bにおける下面352Baを横架材520の上部520aに当接させるように載置して仮置きすることで、人力を用いずともドア枠300を所定の位置に静止させることができる。このとき、横架材520に対するドア枠300の上下方向の位置(高さ)は、棒状部353によって上下方向に案内可能に支持される載置部352を通じて調整することができる。当該位置調整は、仮置きする前に予め行ってもよいし、仮置き後に現物合わせによって調整してもよい。また、ヒンジHA、HBを介して予め仮設扉1が連接されたドア枠300を、上記手順によって仮置きしたのち、クランプCLを用いて仮設構造物500に固定してもよいし、上記手順によって仮置きされたドア枠300をクランプCLを用いて仮設構造物500に固定した後、当該ドア枠300へ仮設扉1を連接してもよい。
【0070】
〔仮設扉1とドア枠300との連接形態〕
つぎに、ヒンジHA、HBを介した仮設扉1とドア枠300との連接形態を、
図10ないし
図14に基づいて説明する。
【0071】
ヒンジHA、HBは、同一形態の連接要素であって、
図10(a)、(b)に示すように、上下反転するようにして仮設扉1の枠部材20の右上下端部、より具体的には、枠部材20を構成する上枠部材23の右端部および同下枠部材24の右端部に、例えばボルトおよびナットによって着脱自在に固定されている。ヒンジHA、HBは、軸部HA10、HB10および連結部HA20、HB20からそれぞれ構成されている。
【0072】
上下方向(垂直方向)に沿った軸心Cをもつ軸部HA10、HB10は、
図12ないし
図14に示すように、上ドア枠部材330に開口する連通孔D330A、D330B、および下ドア枠部材340に開口する連通孔D340に挿入される円柱状の部分であって、例えば、炭素鋼製の丸棒部材からなる。軸部HA10、HB10の軸心Cは、仮設扉1とドア枠300との連接形態の一例(例えば、後述する第1の連接形態)において、仮設扉1の回動軸を形成する。
【0073】
連結部HA20、HB20は、例えば、炭素鋼からなる薄板状の部材が側面視において略コの字状に折り曲げられて形成されており、対向する2つの垂直面部とこれらを連結する水平面部とを備え、各面部のいずれに対しても平行な長手方向の端部および水平面部との対向部にそれぞれ開口部が形成されている。これら3つの面部によって囲まれた空間は、仮設扉1の枠部材20を構成する上枠部材23の上端部および下枠部材24の下端部のXZ平面における垂直断面と相補的な形状を呈しており、上記開口部を通じてこれら部材の当該部分が挿入される。これにより、上記2つの垂直面部の内側面は、上枠部材23および下枠部材24の前面および背面にそれぞれ当接し、上記水平面部の内側面は、上枠部材23の上面および下枠部材24の下面にそれぞれ当接する。また、連結部HA20、HB20の上記水平面部の外側面には、垂直方向へ延在するように軸部HA10、HB10が溶接等により結合されている。この軸部HA10、HB10が結合する水平面内(XY面内)の位置は、ヒンジHA、HBが上下反転して扉本体10に固定されたときに互いの軸心Cが同心となる位置、すなわち、前後方向(固定される扉本体10の厚み方向)の中央(ヒンジHA、HBを前後方向に2等分する線上)にあることが好ましい。
【0074】
また、連結部HA20、HB20が各々備える上記2つの垂直面部にはそれぞれ貫通孔が開口し、これら2つの貫通孔は、互いが連通した連通孔を形成している。これら連通孔と上枠部材23に開口する連通孔D23A、D23Bおよび下枠部材24に開口する連通孔D24とに挿通したボルトをナット締めすることで、ヒンジHA、HBは、上枠部材23および下枠部材24の所定の位置でそれぞれ固定される。すなわち、ヒンジHAは、連結部HA20に開口する上記連通孔と上枠部材23に開口する連通孔D23Aとが連通する位置で通しボルトをナット締めすることにより、
図10(a)で示される位置で固定され(以下、この固定位置を「第1の固定位置」と称する。)、連結部HA20に開口する上記連通孔と上枠部材23に開口する連通孔D23Bとが連通する位置で通しボルトをナット締めすることにより、
図10(b)で示される位置で固定される(以下、この固定位置を「第2の固定位置」と称する。)。また、ヒンジHBは、連結部HB20に開口する上記連通孔と下枠部材24に開口する連通孔D24とが連通する位置で通しボルトをナット締めすることにより、
図10(a)、(b)で示される位置で固定される。
【0075】
図12は、ヒンジHAが第1の固定位置にあるときの仮設扉1とドア枠300との連接形態(以下、この連接形態を「第1の連接形態」と称する。)を示したものである。当該第1の連接形態にあるとき、ヒンジHAが備える軸部HA10は、上ドア枠部材330に開口する連通孔D330Aに挿入され、ヒンジHBが備える軸部HB10は、下ドア枠部材340に開口する連通孔D340に挿入される。また、
図13は、ヒンジHAが第2の固定位置にあるときの仮設扉1とドア枠300との連接形態(以下、この連接形態を「第2の連接形態」と称する。)を示したものである。当該第2の連接形態にあるとき、ヒンジHAが備える軸部HA10は、上ドア枠部材330に開口する連通孔D330Bに挿入され、ヒンジHBが備える軸部HB10は、下ドア枠部材340に開口する連通孔D340に挿入される。
【0076】
ここで、上下方向に一列に並ぶ位置(互いが左右方向にオフセットしていない位置)に配設された連通孔D23Aおよび連通孔D24を通じてヒンジHA、HBが固定されている第1の連接形態においては、ヒンジHAの軸心CとヒンジHBの軸心Cとは、いずれもドア枠300の右端から等しい位置(ともに距離D1だけ隔てた位置)にある。すなわち、ヒンジHAとヒンジHBとが同心となる。これにより、第1の連接形態にあるときの仮設扉1は、ドア枠300に対して軸心Cの周りに回動自在となる。
【0077】
他方、互いが左右方向にオフセットした位置に配設された連通孔D23Bおよび連通孔D24を通じてヒンジHA、HBが固定されている第2の連接形態においては、ヒンジHAの軸心C(より具体的には、軸部HA10の軸心C)が、ドア枠300の右端から距離D2だけ隔てた位置にあり、ヒンジHBの軸心C(より具体的には、軸部HB10の軸心C)が、ドア枠300の右端から距離D1(D1<D2)だけ隔てた位置にある。すなわち、ヒンジHAの軸心CとヒンジHBの軸心Cとが偏心する。これにより、第2の連接形態にあるときの仮設扉1は、ドア枠300に対してヒンジHAおよびヒンジHBの軸心Cから位置ズレした軸周りに回動することになる。この回動軸の位置ズレに起因して、
図13で示される静的な閉状態から所定の力を加えて仮設扉1を開くと、元の閉状態に戻ろうとする力(上記所定の力の反力)が仮設扉1に働く。これにより、仮設扉1を常に閉状態で静止させるように構成することができ、仮設扉1の閉め忘れを防止することができる。なお、第2の連接形態において、上記所定の力を実用上支障のない大きさに抑えるためには、ヒンジHA、HBの軸部HA10、HB10がある程傾斜して回動できるように構成することが好ましい。例えば、連通孔D330A、D330B、D340を構成する一対の貫通孔とこれに挿入される軸部HA10、HB10の軸径のはめあい公差を通常よりも大きな値に設定し、また、連通孔D330A、D330Bにあっては、上ドア枠部材330の上面に開口する貫通孔の開口径が同下面開口する貫通孔のそれよりも大きく、連通孔D340にあっては、下ドア枠部材340の下面に開口する貫通孔の開口径が同上面に開口する貫通孔のそれよりも大きくなるように各値を設定するとよい。
【0078】
〔仮設扉1とドア枠300との連接方法〕
最後に、仮設扉1とドア枠300との連接方法を、
図14(a)、(b)に基づいて説明する。ここで、
図14(a)は、第1の連接形態の作業手順を示し、
図14(b)は、第2の連接形態の作業手順を示している。なお、仮設扉1およびドア枠300は、いずれもこれら図において垂直に起立した状態にあるが、水平に寝かした状態にあってもよい。
【0079】
作業者は、第1の作業として、ヒンジHA、HBをドア枠300の所定の位置に設置する。すなわち、第1の連接形態においては、上ドア枠部材330に開口する連通孔D330AにヒンジHAの軸部HA10を挿入し、かつ下ドア枠部材340に開口する連通孔D340にヒンジHBの軸部HB10を挿入する。また、第2の連接形態においては、上ドア枠部材330に開口する連通孔D330BにヒンジHAの軸部HA10を挿入し、かつ下ドア枠部材340に開口する連通孔D340にヒンジHBの軸部HB10を挿入する。上記作業後のヒンジHA、HBは、連結部HA20、HB20の長手方向がいずれも水平な状態にあって、かつ連結部HA20、HB20に形成された開口部が互いに対向する姿勢で配置されることになる。なお、ヒンジHA、HBのXY平面内の向は、連結部HA20、HB20の長手方向が同一方向に向くように設定しておくとよい。
【0080】
上記第1の作業につづく第2の作業として、ヒンジHA、HBに仮設扉1を挿入する。具体的には、ヒンジHA、HBが備える連結部HA20、HB20に形成された開口部へ仮設扉1を水平にスライドさせるようにして挿入する。ここで、第2の作業を円滑なものとするために、第1の連接形態においては、連結部HA20、HB20の長手方向がいずれもドア枠300の幅方向と略直交するようにヒンジHA、HBの向きを設定しておくとよい。これにより、仮設扉1とドア枠300との干渉が回避され、円滑な挿入作業が可能になる。また、ヒンジHA、HBの位置がオフセットしている第2の連接形態においては、連結部HA20、HB20の長手方向とドア枠300の幅方向とができるだけ平行に近い状態となるように、ヒンジHA、HBの向きを設定しておくとよい。これにより、仮設扉1を挿入する際のヒンジHA、HBのオフセット量が小さく抑えられ、円滑な挿入作業が可能になる。
【0081】
第2の作業につづく第3の作業として、ヒンジHA、HBをボルトBおよびナットNを用いて仮設扉1に固定する。すなわち、第1の連接形態においては、ヒンジHAの連結部HA20に開口する上記連通孔を仮設扉1の上枠部材23に開口する連通孔D23Aに合わせたのち、これら孔にボルトBを挿通させてナットNで締め付ける。また、ヒンジHBの連結部HB20に開口する上記連通孔を仮設扉1の下枠部材24に開口する連通孔D24に合わせたのち、これら孔にボルトBを挿通させてナットNで締め付ける。また、第2の連接形態においては、ヒンジHAの連結部HA20に開口する上記連通孔を仮設扉1の上枠部材23に開口する連通孔D23Bに合わせたのち、これら孔にボルトBを挿通してナットNで締め付ける。また、ヒンジHBの連結部HB20に開口する上記連通孔を仮設扉1の下枠部材24に開口する連通孔D24に合わせたのち、これら孔にボルトBを挿通してナットNで締め付ける。
【0082】
以上の作業手順により、仮設扉1は、ドア枠300へ所定の軸心を中心に回動可能に連接される。なお、上記作業手順と逆の手順を経ることで、仮設扉1とドア枠300との連接状態を解除することができる。
【0083】
〔本実施の形態の効果〕
上記構成の仮設扉1によれば、扉本体10と扉クローザ100との連結および分離が自在となる。このため、仮設構造物500へ取り付けるときには、扉本体10と扉クローザ100とが連結した仮設扉1とし、これ以外のときには、略平坦な扉本体10と、この扉本体10の表面に対してノブ120が突出する扉クローザ100とが分離する仮設扉1とすることができる。これにより、単体の仮設扉1を保管等する際に、扉クローザ100が取り外されてもなお大きな体積を有する扉本体10を安定した姿勢で重ね置き(平積み)し、体積の小さな扉クローザ100を個別に保管するといったことが可能になる。この結果、重ね置きした仮設扉1が不用意に崩れるといった事態を回避することができる。さらに、多数の仮設扉1を小さなスペースで効率的に保管することができるようになる。
【0084】
また、連結分離機構200を、切替部材210、弾性部材220および支持部材230のみからなる簡易な構造とすることで、低廉かつ耐久性にすぐれた機構として構成することができるようになる。当該効果は、建設現場という特殊環境において特に有用となる。
【0085】
さらに、扉本体10と扉クローザ100との連結および分離が、それぞれの部材を分解等することなく、操作部材CPを用いた簡単な操作のみで可能となることから、建設現場等での仮設扉1の取付けまたは取外しの作業が、短時間かつ少ない人力で効率的に行うことができるようになる。
【0086】
また、扉本体10と扉クローザ100とを分離するのに操作部材CPを要するとし、かつその操作用の開口を作業現場の内側に設けたことで、第三者による安易な(いたずらによる)分離行為を防止することができる。
【0087】
さらに、案内レールとして機能する第1の横桟部材31および第2の横桟部材32を扉本体10の側に設け、これらと係合することで被案内部として機能する第1凹部H1および第2凹部H2を扉クローザ100の側に設けたことで、円滑かつ確実な連結および分離作業が可能になる。
【0088】
また、上述したように、ドア枠300に仮置き部材350を設けることで、仮設構造物500へのドア枠300の取付け(固定)が、短時間かつ少ない人力で効率的に行うことができるようになる。
【0089】
さらに、仮設扉1とドア枠300との連接に係る上記構造を備えることで、ヒンジHAの固定位置を変えるだけの簡単な作業によって、異なる2つの連接形態、すなわち、ヒンジHAの軸心CとヒンジHBの軸心Cとが同一直線上にある連接形態(ヒンジHAとヒンジHBとが同心の連接形態)とヒンジHAの軸心CとヒンジHBの軸心Cとが同一直線上にない連接形態(ヒンジHAとヒンジHBとが偏心した連接形態)とを選択的に設定することができるようになる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施の形態に関して、仮設扉1およびこれが連接されるドア枠300について説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、明細書および図面に直接記載のない構成であっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。さらに、上記の記載および各図に示した実施の形態は、その目的および構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることも可能である。
【0091】
〔変形例1〕
例えば、上記本実施の形態では、仮設扉1が連結分離機構200を備え、また、ドア枠300に仮置き部材350が設けられ、さらに、仮設扉1およびドア枠300をヒンジHAの固定位置をかえるだけで異なる2つの形態で連接可能となる連接機構を備えるが、これら連結分離機構、仮置き部材および連接機構は、個々に独立して成立し得るものである。したがって、上記連結分離機構、仮置き部材および上記連接機構の少なくとも1つを備える扉本体、ドア枠または扉本体およびドア枠からなる仮設扉装置としてもよい。
【0092】
〔変形例2〕
また、
図15に示すように、扉クローザが一体となった扉本体10-2とノブ120-2とが連結および分離するように構成してもよい。この変形例に係る仮設扉1-2においては、例えば、ノブ120-2に配設されたプッシュボタン210-2と、プッシュボタン210-2の押し操作に連動して上下動する爪部220-2と、爪部220-2に弾性力を付与する弾性部材(図示せず)と、爪部220-2と係合する扉クローザに配設された凹部230-2とから連結分離機構200-2が構成されている。プッシュボタン210-2が非動作状態(押されていない状態)にあるときは、爪部220-2が弾性力を伴って爪部220-2と係合することで扉本体10-2とノブ120-2とが連結する。他方、プッシュボタン210-2が動作状態(押されている状態)にあるときは、爪部220-2が弾性力に拮抗しながら、例えば下方に移動することで爪部220-2との係合が解除され、扉本体10-2とノブ120-2とが分離する。この変形例に係る仮設扉1-2においても、上記本実施の形態に係る仮設扉1と同様の効果がもたらされる。
【0093】
〔変形例3〕
さらに、仮設扉1およびドア枠300の連結態様を、
図16ないし
図20に示すような形態に代えてもよい。この変形例においては、ドア枠300-3にヒンジHA-3、HB-3が固定され、かつヒンジHA-3、HB-3の軸部HA10-3、HB10-3が仮設扉1-3に開口する孔に挿入される点で上記本実施の形態に係る仮設扉1およびドア枠300と異なっている。また、当該相違点に関連して、仮設扉の上枠部材および下枠部材の形態、ドア枠の上ドア枠部材および下ドア枠部材の形態、ならびにヒンジHA-3、HB-3の形態がそれぞれ異なっている。
【0094】
すなわち、この変形例に係るドア枠300-3においては、
図16(a)、(b)に示すように、上ドア枠部材330-3の右端部に、ヒンジHA-3を固定するための孔、具体的には、同部材の前面および後面を貫通する一対の孔が連通してなる連通孔D330Aa―3、D330Ba―3が水平方向へ所定の間隔を隔てて開口し、また、同じく上ドア枠部材330-3の右端部に、ヒンジHA-3の軸部HA10-3が挿入される孔、具体的には、同部材の上面および下面を貫通する一対の孔が連通してなる連通孔D330Ab―3、D330Bb―3が上記所定の間隔と同じ間隔だけ水平方向へ離間して開口している。また、下ドア枠部材340-3の右端部に、ヒンジHB-3を固定するための孔、具体的には、同部材の前面および後面を貫通する一対の孔が連通してなる連通孔D340a―3と、ヒンジHB-3の軸部HB10-3が挿入される孔、具体的には、同部材の上面および下面を貫通する一対の孔が連通してなる連通孔D340b―3とがそれぞれ開口している。連通孔D340a―3は、例えば、連通孔D330Aa―3と上下方向(垂直方向)へ一列に並ぶ位置にあり、また、連通孔D330Ba―3に対して左右方向へオフセットした位置(本変形例では連通孔D330Ba―3に対して右側にオフセットした位置)に配設されている。また、それぞれの連通孔は、対向する2つの面(前面および後面/上面および下面)のそれぞれを貫通しかつ互いが連通する位置にある一対の孔からそれぞれ構成されている。
【0095】
また、この変形例に係る仮設扉1-3の上枠部材23-3においては、
図17に示すように、上枠部材23-3の上面右端部にヒンジHA-3の軸部HA10-3が挿入される貫通孔D23A―3、D23B―3がそれぞれ開口している。また、下枠部材24-3の下面右端部にヒンジHB-3の軸部HB10-3が挿入される貫通孔D24―3が開口している。貫通孔D23A―3、D23B―3は、連通孔D330Aa―3、D330Ba―3の水平方向の間隔と同一の間隔を隔て配設されている。
【0096】
さらに、この変形例に係るヒンジHA-3、HB-3は、軸部HA10-3、HB10-3と連結部HA20-3、HB20-3とからそれぞれ構成されている。これらヒンジHA-3、HB-3は、上記本実施の形態に係るヒンジHA、HBと比較して、軸部HA10-3、HB10-3軸長が軸部HA10、HB10のそれらよりも長く、また、連結部HA20-3、HB20-3と軸部HA10-3、HB10-3とが結合する部分が水平面部の外側面でなく内側面である点で異なっているが、その他の形態は同一である。
【0097】
ヒンジHA―3は、
図18および
図19に示すように、連結部HA20-3に開口する連通孔と上ドア枠部材330-3に開口する連通孔D330Aa―3とが連通する位置で通しボルトBおよびナットNを用いて固定され(第1の固定位置)、または連通孔D330Ba―3とが連通する位置で同様の手法で固定される(第2の固定位置)。また、ヒンジHB―3は、連結部HB20-3に開口する連通孔と下ドア枠部材340-3に開口する連通孔D340a―3とが連通する位置で通しボルトBおよびナットNを用いて固定される。ここで、ヒンジHA―3は、第1の固定位置にあるとき、自身が備える軸部HA10-3が上ドア枠部材330-3に開口する連通孔D330Ab―3に挿入され、第2の固定位置にあるとき、自身が備える軸部HA10-3が同連通孔D330Bb―3に挿入される。また、ヒンジHB―3は、自身が備える軸部HA10-3が下ドア枠部材340-3に開口する連通孔D340b―3に挿入される。
【0098】
さらに、ヒンジHA―3は、第1の固定位置にあるとき、自身の軸部HA10-3が仮設扉1-3の上枠部材23-3に開口する貫通孔D23A―3に挿入され、第2の固定位置にあるとき、自身の軸部HA10-3が上枠部材23-3に開口する貫通孔D23B―3に挿入される。また、ヒンジHB―3は、自身の軸部HA10-3が仮設扉1-3の下枠部材24-3に開口する貫通孔D24―3に挿入される。
【0099】
ヒンジHA―3が第1の固定位置にあるとき、仮設扉1-3とドア枠300-3とは、ヒンジHA―3の軸心C(より具体的には、軸部HA10―3の軸心C)とヒンジHB―3の軸心C(より具体的には、軸部HB10―3の軸心C)とが同一直線上に配置された同心状態で連接する(第1の連接形態)。これにより、仮設扉1-3とドア枠300-3とは、軸心C周りに回動自在に連接することになる(
図18参照)。
【0100】
他方、ヒンジHA―3が第2の固定位置にあるとき、仮設扉1-3とドア枠300-3とは、ヒンジHA―3の軸心C(より具体的には、軸部HA10―3の軸心C)とヒンジHB―3の軸心C(より具体的には、軸部HB10―3の軸心C)とがオフセットした偏心状態で連接する(第2の連接形態)。これにより、仮設扉1-3とドア枠300-3とは、軸心Cから位置ズレした軸周りに回動することになる(
図19参照)。
【0101】
仮設扉1-3とドア枠300-3との連接は、
図20に示す作業手順にしたがって行われる。すなわち、作業者は、ドア枠300-3の枠内に仮設扉1-3を配置したのち、ヒンジHA―3、HB-3をドア枠300-3の所定の位置に設置する。すなわち、
図12(a)に示す第1の連接形態においては、上ドア枠部材330-3に開口する連通孔D330Ab-3にヒンジHA-3の軸部HA10-3を挿入し、下ドア枠部材340-3に開口する連通孔D340b-3にヒンジHB-3の軸部HB10-3を挿入する。また、
図12(b)に示す第2の連接形態においては、上ドア枠部材330-3に開口する連通孔D330BbにヒンジHA-3の軸部HA10-3を挿入し、かつ下ドア枠部材340-3に開口する連通孔D340b―3にヒンジHB-3の軸部HB10-3を挿入する。
【0102】
ここで、連結部HA20-3の水平面部の内側面が上ドア枠部材330-3の上面と当接する位置までヒンジHA-3を押し下げ、また、連結部HB20-3の水平面の内側面が下ドア枠部材340-3の下面と当接する位置までヒンジHB10-3を押し上げる。すると、第1の連接形態においては、仮設扉1-3の上枠部材23-3の上面に開口する貫通孔D23A―3にヒンジHA-3の軸部HA10-3が挿入され、また、仮設扉1-3の下枠部材24-3の下面に開口する貫通孔D24―3にヒンジHB-3の軸部HB10-3が挿入された状態となる。第2の連接形態においては、仮設扉1-3の上枠部材23-3の上面に開口する貫通孔D23B―3にヒンジHA-3の軸部HA10-3が挿入され、仮設扉1-3の下枠部材24-3の下面に開口する貫通孔D24―3にヒンジHB-3の軸部HB10-3が挿入された状態となる。
【0103】
上記状態にあるとき、第1の連接形態においては、連結部HA20―3に開口する連通孔は、ドア枠300-3の上ドア枠部材330-3に開口する連通孔D330Aa―3と連通する位置に配置され、かつ連結部HB20―3に開口する連通孔は、下ドア枠部材340-3に開口する連通孔D340a―3と連通する位置に配置されることになる。これら孔にボルトBを挿通させてナットNで締め付けることで、ヒンジHA―3、HB-3がドア枠300-3(上ドア枠部材330-3)の第1の固定位置に固定される。また、第2の連接形態においては、連結部HA20―3に開口する連通孔は、ドア枠300-3の上ドア枠部材330-3に開口する連通孔D330Ba―3と連通する位置に配置され、かつ連結部HB20―3に開口する連通孔は、下ドア枠部材340-3に開口する連通孔D340a―3と連通する位置に配置されることになる。これら孔にボルトBを挿通させてナットNで締め付けることで、ヒンジHA―3、HB-3がドア枠300-3(上ドア枠部材330-3)の第2の固定位置に固定される。以上の手順により、仮設扉1-3とドア枠300-3とは、互いに回動自在に連接された状態となる。
【0104】
〔変形例4〕
また、仮設扉1が備える連結分離機構200の形態に関し、上下対称に2つ配設された連結分離機構200をいずれか一方に1つのみ配設された形態としてもよい。また、切替部材210の形態を異なるものとしてもよい。例えば、腕部211、212をいずれか一方のみとしたL字状の切替部材としてもよいし、腕部211、212の上端部211a、212aが傾斜面の切替部材としてもよい。後者の例として、分離状態にある扉クローザ100と扉本体10とを連結する際に扉本体10に対して扉クローザ100を摺動させる方向に向かって傾斜する面を上端部211a、212aに形成する。これにより、摺動操作時に加える水平方向(摺動方向)の力が上下方向の力に変換されて、操作部材を用いずとも連結作業を円滑に行うことができるようになる。
【0105】
〔変形例5〕
さらに、連結分離機構200を構成する各要素が、扉クローザ100の内部ではなく扉本体10の内部に収容されるように構成し、または、扉本体10と扉クローザ100とに跨るように収容されるように構成してもよい。これに関連して、操作部材CPを挿入する開口を、扉本体10の後面等に設けてもよい。
【0106】
〔変形例6〕
また、本実施の形態では、扉本体10に配設された案内レールとして機能する部材(第1の横桟部材31および第2の横桟部材32)に扉クローザ100に配設された被案内部が案内されながら互いに摺動して連結または分離するように構成されているが、これを、扉本体10の所定の部分、例えば前面(正面)の所定の位置に扉クローザ100を前後方向へ嵌め込むようにして連結する形態としてもよい。このときの連結分離機構の構成は、本実施の形態と同一であってもよいし、異なる構成としてもよい。
【0107】
〔変形例7〕
さらに、連結と分離との切り替え時に扉本体10と扉クローザ100とを相対摺動させる部分の形態に関し、上記本実施の形態においては、案内レールとして機能する部位(扉本体10に形成された第1の横桟部材31の下端部および第2の横桟部材32の上端部)ならびに被案内部として機能する部分(扉クローザ100に形成された第1凹部H1よび第2凹部H2)が、上下に二対設けられているが、これを一対としてもよい。例えば、下方に配置する一対(第2の横桟部材32の上端部と第2凹部H2)としてもよいし、上方に配置される一対を、一方が他方を懸垂しながら案内する形態としてもよい。懸垂の形態の例として、第1の横桟部材31の下端部前方端面31aおよび同後方端面31bの少なくとも一方に摺動方向に沿って延在する凹状の溝を案内レールとして形成し、この溝に懸垂されるようにして係合する凸部を被案内部として扉クローザの上端部に形成する。このような形態においては、扉クローザ100の上下が非線対称となるため、扉クローザ100の上下および前後が逆転するような誤組付けを防止することができる。
【0108】
〔変形例8〕
また、仮置き部材350を上ドア枠部材330の複数の箇所に設けてもよい。例えば、上下方向へ延在する垂直な線、例えば、ドア枠300の重心を通る鉛直線に対して線対称の位置に、2つの仮置き部材350を、上記実施形態に係る仮置き部材350に代えて配設し、または追加的に配設する。これにより、安定した仮置きが可能になる。
【0109】
〔変形例9〕
さらに、
図13で示される仮設扉1とドア枠300との第2の連接形態、すなわち、上枠部材23に固定されるヒンジHAが下枠部材24に固定されるヒンジHBよりも相対的に左側へオフセットした連接形態を上下に反転させた構成としてもよい。例えば、ヒンジHBを固定するための2つの連通孔を配設し、下ドア枠部材340に、ヒンジHBの軸部HB10を挿入する連通孔を下枠部材24に2つ配設する。このとき、ヒンジHAを固定するための連通孔を、仮設扉1と同じく上枠部材23に2つ配設してもよいし1つのみ配設してもよい。また、ヒンジHAの軸部HA10を挿入する連通孔を、仮設扉1と同じく上ドア枠部材330に2つ配設してもよいし1つのみ配設してもよい。
【0110】
〔変形例10〕
さらに、仮設扉1とドア枠300との連接形態を第1の連接形態と第2の連接形態とに切換可能にする連接機構に関し、ヒンジHAおよびヒンジHBの少なくとも一方を異なる2つの位置で固定するために開口する2つの連通孔(例えば、扉本体10の上枠部材23に開口する2つの貫通孔D23A、D23B)、および2つの位置に固定されたヒンジの軸部をそれぞれ挿入するために開口する2つの連通孔(例えば、ドア枠300の上ドア枠部材330に開口する2つの貫通孔D330A、D330B)の少なくとも一方を、1つの長孔から形成した形態に代えてもよい。このとき、ヒンジを異なる2つの位置で固定(静止)させ、かつ各々の固定(静止)位置にあるヒンジの軸部を仮設扉の回動軸等として機能させるために、位置決め用部材を併設してもよい。ここで、ヒンジを固定するための長孔に併設する位置決め用部材として、仮設扉1のヒンジHAが備える連結部HAを固定するためのボルトBおよびナットNを用いることができる。また、ヒンジを固定するための長孔およびヒンジの軸部を挿入するための長孔に併設する位置決め用部材を、例えば、仮設扉およびドア枠の幅方向に移動する送り機構(送りネジ)を備えるように構成してもよいし、長孔内に2つの固定(静止)位置および2つの挿入位置を画成するための仕切り部材を着脱可能に取り付けるように構成してもよい。また、弾性部材やラチェットを用いて位置決めするように構成された機構であってもよい。
【0111】
〔変形例11〕
また、同一形態のヒンジHA、HBを、形態の異なる2つのヒンジ、例えば、連結部と軸部との水平面内(XY面内)の結合位置が異なる2つのヒンジとして構成してもよい。上記結合位置のズレ方向は、左右幅方向に限定されることなく任意の方向であってよい。ただし、形態の異なる2つのヒンジの少なくとも一方においては、上下反転したときに軸心が同心となるように、上記結合位置が前後方向(固定される扉本体10の厚み方向)の中央(ヒンジを前後方向に2等分する線上)にあることが望ましい。この変形例においては、上下一対で固定される2つのヒンジの組合せを変更することで、仮設扉1とドア枠300とを異なる2つの形態(上下に固定される2つのヒンジの軸心が同心の形態と偏心する形態)で連接することが可能になる。このとき、ヒンジの固定位置を変更するための複数の連通孔(例えば、上枠部材23に開口する連通孔D23A、D23B)を設ける必要はない。
【符号の説明】
【0112】
1、1-2、1-3…仮設扉、10、10-2…扉本体、20…枠部材、21A…第1の左縦枠部材、21B…第2の左縦枠部材、21C…第3の左縦枠部材、22…右縦枠部材、23、23-3…上枠部材、D23A、D23B、D23A-3、D23B-3…連通孔、24、24-3…下枠部材、D24、D24-3…連通孔、30…補強部材、31…第1の横桟部材、31a…前方端面、31b…後方端面、31c…下面、D31a、D31b…貫通孔、32…第2の横桟部材、32a…前方端面、32b…後方端面、32c…上面、D32a、D32b…貫通孔、40…板状部材、100…扉クローザ、110…筐体、111…前面部、111a…背面、112…後面部、112a…背面、D112a…開口、D112b…開口、113…左側面部、114…右側面部、115…上面部、D115a、D115b…貫通孔、116…下面部、D116a、D116b…貫通孔、120、120-2…ノブ、130…ラッチ、140…施錠装置、200、200-2…連結分離機構、210…切替部材、211、212…腕部、211a、212a…上端部、213…水平部、220…弾性部材、221…第1の弾性部材、222…第2の弾性部材、230…支持部材、300、300-3…ドア枠、310…左ドア枠部材、320…右ドア枠部材、330、330-3…上ドア枠部材、D330A、D330B、D330Aa―3、D330Ba―3、D330Ab―3、D330Bb―3…連通孔、340、340-3…下ドア枠部材、D340、D340a―3、D340b―3…連通孔、350…仮置き部材、351…連結部、352…載置部、352A…円筒状部、352B…水平面部、353…棒状部、500…仮設構造物、511…左支柱、512…右支柱、520…横架材、SR1、SR2…スナップリング、H1、H2…凹部、HA、HA-3、HB、HB-3…ヒンジ、HA10、HA10-3、HB10、HB10-3…軸部、HA20、HA20-3、HB20、HB20-3…連結部、CL…クランプ、CP…操作部材。