(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174999
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】投写システムの制御方法、投写システムおよびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
H04N 5/74 20060101AFI20221117BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20221117BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20221117BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H04N5/74 Z
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G09G5/00 510C
G09G5/00 550C
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081094
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 洋一
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA04
2K203FA23
2K203FA24
2K203FA25
2K203FA62
2K203FA93
2K203GB35
2K203GB55
2K203GC25
2K203GC26
2K203GC39
2K203KA56
2K203MA01
5C058BA05
5C058BA17
5C058BA23
5C058BA27
5C058BA35
5C058BB14
5C058EA03
5C058EA26
5C058EA27
5C182AA03
5C182AA04
5C182BA14
5C182BB05
5C182BB26
5C182CB45
5C182CC25
5C182CC26
(57)【要約】
【課題】重畳域におけるキャリブレーションの精度を高め、キャリブレーションに要する時間を削減すること。
【解決手段】第1プロジェクタからの画像の画素と第1画像の画素との第1関係を特定し第2プロジェクタからの画像の画素と第2画像の画素との第2関係を特定し、第1プロジェクタからの画像のうち重畳域に対応する画素と第1画像のうち重畳域に対応する画素との第3関係を特定し第2プロジェクタからの画像のうち重畳領に対応する画素と第2画像のうち重畳域に対応する画素との第4関係を特定し、第1関係に基づき重畳域とは別の領域に対して画像を投写し第3関係に基づき重畳域に画像を投写し、第2関係に基づき重畳域とは別の領域に対して画像を投写し第4関係に基づき重畳域に画像を投写し、第3関係の精度は第1関係の精度より高く、第4関係の精度は第2関係の精度より高い投写システムの制御方法。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1撮像装置を有する第1プロジェクターと、第2撮像装置を有する第2プロジェクターとを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムの制御方法であって、
前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第1撮像装置が撮像することにより得られた第1撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定することと、
前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第2撮像装置が撮像することにより得られた第2撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定することと、
前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第1撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定することと、
前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第2撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定することと、
前記第1プロジェクターが、前記第1対応関係に基づき、前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、
前記第2プロジェクターが、前記第2対応関係に基づき、前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、を含み、
前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い
投写システムの制御方法。
【請求項2】
前記第1プロジェクターは、前記重畳領域に対して、相異なる複数の第1空間コード画像の各々を時分割で投写し、
前記複数の第1空間コード画像が投写された前記重畳領域を前記第1撮像装置が撮像することにより得られた、前記複数の第1空間コード画像の各々と1対1に対応する複数の第3撮像画像の各々に基づいて、前記第3対応関係を特定し、
前記第2プロジェクターは、前記重畳領域に対して、相異なる複数の第2空間コード画像の各々を時分割で投写し、
前記複数の第2空間コード画像が投写された前記重畳領域を前記第2撮像装置が撮像することにより得られた、前記複数の第2空間コード画像の各々と1対1に対応する複数の第4撮像画像の各々に基づいて、前記第4対応関係を特定する
請求項1に記載の投写システムの制御方法。
【請求項3】
前記複数の第1空間コード画像の数は、前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素の画素数に応じて変化し、
前記複数の第2空間コード画像の数は、前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素の画素数に応じて変化する
請求項1または請求項2に記載の投写システムの制御方法。
【請求項4】
前記第1空間コード画像および前記第2空間コード画像は、グレイコード画像である
請求項2または請求項3に記載の投写システムの制御方法。
【請求項5】
前記第1プロジェクターから前記第1投写領域に投写される第1キャリブレーション画像と、前記第1キャリブレーション画像が投写された前記表示面を前記第1撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像とに基づいて、前記第1対応関係を特定し、
前記第2プロジェクターから前記第2投写領域に投写される第2キャリブレーション画像と、前記第2キャリブレーション画像が投写された前記表示面を前記第2撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像とに基づいて、前記第2対応関係を特定し、
前記第1キャリブレーション画像は、規則的に配列された複数の第1マーカーを含み、
前記第2キャリブレーション画像は、規則的に配列された複数の第2マーカーを含む
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の投写システムの制御方法。
【請求項6】
前記第1プロジェクターから投写された第1投写画像と、前記第2プロジェクターから投写された第2投写画像とを表示する前記表示面が撮像された撮像画像に基づき、前記重畳領域を特定する
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の投写システムの制御方法。
【請求項7】
前記第1プロジェクターは、前記第1投写画像が投写された前記第1投写領域を前記第1撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素のうち輝度値が閾値以上である画素が存在する領域を前記重畳領域と特定し、
前記第2プロジェクターは、前記第2投写画像が投写された前記第2投写領域を前記第2撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素のうち輝度値が閾値以上である画素が存在する領域を前記重畳領域と特定する
請求項6に記載の投写システムの制御方法。
【請求項8】
前記第1プロジェクターは、
前記第1投写画像が投写された前記表示面を前記第1撮像装置が撮像することに得られた撮像画像に基づき、前記第1投写領域の輪郭を特定し、
前記第2投写画像が投写された前記表示面を前記第1撮像装置が撮像することに得られた撮像画像に基づき、前記第2投写領域の輪郭を特定し、
前記第2プロジェクターは、
前記第1投写画像が投写された前記表示面を前記第2撮像装置が撮像することに得られた撮像画像に基づき、前記第1投写領域の輪郭を特定し、
前記第2投写画像が投写された前記表示面を前記第2撮像装置が撮像することに得られた撮像画像に基づき、前記第2投写領域の輪郭を特定し、
前記第1プロジェクターおよび前記第2プロジェクターの各々は、前記特定した第1投写領域の輪郭と、前記特定した第2投写領域の輪郭とで囲まれる領域を前記重畳領域と特定する
請求項6に記載の投写システムの制御方法。
【請求項9】
前記第1投写画像および前記第2投写画像は、単色画像である
請求項6から請求項8のいずれか1つに記載の投写システムの制御方法。
【請求項10】
前記第1プロジェクターおよび前記第2プロジェクターの各々は、
前記表示面のうち、前記特定された重畳領域を包含する拡大重畳領域に対して、相異なる複数の空間コード画像の各々を時分割で投写する
請求項2から請求項9のいずれか1つに記載の投写システムの制御方法。
【請求項11】
第1プロジェクターと、第2プロジェクターと、撮像装置とを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムの制御方法であって、
前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、当該画像が投写された前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定することと、
前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、当該画像が投写された前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定することと、
前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記撮像装置によって撮像される撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定することと、
前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記撮像装置によって撮像される撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定することと、
前記第1対応関係に基づき、前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、
前記第2対応関係に基づき、前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、を含み、
前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い
投写システムの制御方法。
【請求項12】
第1撮像装置を有する第1プロジェクターと、第2撮像装置を有する第2プロジェクターとを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムであって、
前記第1プロジェクターは、
前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第1撮像装置が撮像することにより得られた第1撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定し、
前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第1撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定し、
前記第1対応関係に基づき前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、
前記第2プロジェクターは、
前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第2撮像装置が撮像することにより得られた第2撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定し、
前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第2撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定し、
前記第2対応関係に基づき前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、
前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い
投写システム。
【請求項13】
第1プロジェクターと、第2プロジェクターと、撮像装置とを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムであって、
前記第1プロジェクターは、
前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた第1撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定し、
前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第1撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定し、
前記第1対応関係に基づき前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、
前記第2プロジェクターは、
前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた第2撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定し、
前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第2撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定し、
前記第2対応関係に基づき前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、
前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い
投写システム。
【請求項14】
撮像装置と、投写装置と、処理装置とを具備するプロジェクターであって、
前記処理装置は、
前記投写装置から表示面の投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との対応関係である第1関係を特定し、
前記投写装置が投写する画像のうち、前記投写装置から投写される画像と前記プロジェクターとは異なるプロジェクターから投写される画像とが前記表示面において重なる重畳領域に対応する複数の画素と、前記撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との対応関係である第2関係を特定し、
前記投写装置は、前記第1関係に基づき前記投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第2関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、
前記第2関係の精度は、前記第1関係の精度よりも高い
プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写システムの制御方法、投写システムおよびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプロジェクターを有するマルチプロジェクションシステムが従来から知られている。マルチプロジェクションシステムでは、複数のプロジェクターの各々から投写される画像から構成されるタイリング画像がスクリーンに表示される。こで、スクリーン上では、複数のプロジェクターのうち、一方のプロジェクターから投写された画像を表示する領域と、他方のプロジェクターから投写された画像を表示する領域とが重畳する重畳領域において、当該一方のプロジェクターから投写された画像と、当該他方のプロジェクターから投写された画像とが重畳する。
【0003】
また、マルチプロジェクションシステムでは、スクリーンに表示された画像が、プロジェクターの投写レンズの性能、および、プロジェクターの光軸とスクリーンとのなす角度の影響を受けて歪む。このため、複数のプロジェクターの各々は、当該歪みを補正するためのキャリブレーションを実行する。キャリブレーションでは、プロジェクターに搭載された投写装置の座標系と、当該プロジェクターに搭載された撮像装置の座標系との対応関係が取得される。キャリブレーションが実行されることで、複数のプロジェクターの各々は、当該対応関係に基づいて、入力画像を補正し、補正された画像をスクリーンに投写することができる。例えば、特許文献1では、このようなキャリブレーションにおいて、複数の格子点を示す1枚のキャリブレーション画像が用いられる。一方、特許文献2では、相異なる複数のグレイコード画像がキャリブレーション画像として用いられ、複数のグレイコード画像の各々が時分割でスクリーンに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-152660号公報
【特許文献2】特開2007-510966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タイリング画像の重畳領域は、複数のプロジェクターの各々から投写される画像が重なるので、入力画像の補正の精度を高める必要がある。仮に、各プロジェクターのキャリブレーションに複数のグレイコード画像を採用すると、1枚のキャリブレーション画像を用いてキャリブレーションを実行する場合と比較して、キャリブレーションに長時間を要する。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、重畳領域におけるキャリブレーションの精度を高めつつ、キャリブレーションに要する時間を削減することを解決課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の投写システムの制御方法の一態様は、第1撮像装置を有する第1プロジェクターと、第2撮像装置を有する第2プロジェクターとを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムの制御方法であって、前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第1撮像装置が撮像することにより得られた第1撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定することと、前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第2撮像装置が撮像することにより得られた第2撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定することと、前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第1撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定することと、前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第2撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定することと、前記第1対応関係に基づき、前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、前記第2対応関係に基づき、前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、を含み、前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の投写システムの制御方法の他の態様は、第1プロジェクターと、第2プロジェクターと、撮像装置とを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムの制御方法であって、前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、当該画像が投写された前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定することと、前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、当該画像が投写された前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定することと、前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記撮像装置によって撮像される撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定することと、前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記撮像装置によって撮像される撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定することと、前記第1対応関係に基づき、前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、前記第2対応関係に基づき、前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写することと、を含み、前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の投写システムの一態様は、第1撮像装置を有する第1プロジェクターと、第2撮像装置を有する第2プロジェクターとを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムであって、前記第1プロジェクターは、前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第1撮像装置が撮像することにより得られた第1撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定し、前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第1撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定し、前記第1対応関係に基づき前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、前記第2プロジェクターは、前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記第2撮像装置が撮像することにより得られた第2撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定し、前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第2撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定し、前記第2対応関係に基づき前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の投写システムの他の態様は、第1プロジェクターと、第2プロジェクターと、撮像装置とを具備し、前記第1プロジェクターから投写される画像と、前記第2プロジェクターから投写される画像とが表示面の重畳領域において重なる投写システムであって、前記第1プロジェクターは、前記第1プロジェクターから前記表示面の第1投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた第1撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定し、前記第1プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第1撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第3対応関係を特定し、前記第1対応関係に基づき前記第1投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第3対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、前記第2プロジェクターは、前記第2プロジェクターから前記表示面の第2投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた第2撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定し、前記第2プロジェクターが投写する画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素と、前記第2撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との第4対応関係を特定し、前記第2対応関係に基づき前記第2投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第4対応関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、前記第3対応関係の精度は前記第1対応関係の精度よりも高く、且つ、前記第4対応関係の精度は前記第2対応関係の精度よりも高い。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るプロジェクターは、撮像装置と、投写装置と、処理装置とを具備するプロジェクターであって、前記処理装置は、前記投写装置から表示面の投写領域に投写される画像を構成する複数の画素と、前記表示面を前記撮像装置が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との対応関係である第1関係を特定し、前記投写装置が投写する画像のうち、前記投写装置から投写される画像と前記プロジェクターとは異なるプロジェクターから投写される画像とが前記表示面において重なる重畳領域に対応する複数の画素と、前記撮像画像のうち前記重畳領域に対応する複数の画素との対応関係である第2関係を特定し、前記投写装置は、前記第1関係に基づき前記投写領域のうち前記重畳領域とは異なる領域に対して画像を投写し、前記第2関係に基づき前記重畳領域に画像を投写し、前記第2関係の精度は、前記第1関係の精度よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る投写システムの構成例を示す図である。
【
図2】タイリング画像を表示するスクリーンを示す図である。
【
図4】プロジェクターの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】プロジェクターが実行するキャリブレーションの一例を示すフローチャートである。
【
図6】キャリブレーションモードを実行するプロジェクターを模式的に示す図である。
【
図7】キャリブレーションモードを実行するプロジェクターを模式的に示す図である。
【
図8】グレイコード画像を表示するスクリーンを模式的に示す図である。
【
図9】重畳領域に表示されるグレイコード画像の一例を示す図である。
【
図10】上記動作のうち変形例に係る一工程を詳細に示すフローチャートである。
【
図11】変形例に係る投写システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
以下、図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は、実際と適宜に相違する。また、図面は、理解を容易にするために模式的に示すことがある。さらに、本開示の範囲は、本開示を特に限定する旨の記載がない限り、以下に例示する形態に限られない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る投写システム100の構成例を示す図である。投写システム100は、プロジェクター10Aとプロジェクター10Bとを有する。本実施形態では一例として、2台のプロジェクター10Aおよび10Bを有する場合を説明する。なお、以降の説明では、プロジェクター10Aとプロジェクター10Bとを特に区別する必要がない場合はプロジェクター10と表記する。プロジェクター10Aは「第1プロジェクター」の一例であり、プロジェクター10Bは「第2プロジェクター」の一例である。
【0014】
投写システム100は、
図1に示されるように、画像処理装置20と、画像供給装置30と、操作装置40と、スクリーンSCと、を有する。プロジェクター10A、プロジェクター10Bおよび画像処理装置20の各々は、相互に通信可能に接続される。プロジェクター10Aとプロジェクター10Bと画像処理装置20との接続は、無線または有線でもよいし、インターネットまたはLAN(Local Area Network)などのネットワークが介在してもよい。本実施形態では、プロジェクター10Aがマスタープロジェクターとして機能し、プロジェクター10Bがスレーブプロジェクターとして機能する。
【0015】
図1では、相互に直交するX軸とY軸とZ軸とを想定する。任意の地点からみてX軸に沿う方向をX軸方向と表記する。同様に、任意の地点からみてY軸に沿う方向をY軸方向と表記し、任意の地点からみてZ軸に沿う方向をZ軸方向と表記する。X軸とY軸とを含むX-Y平面は水平面に相当する。Z軸は、鉛直方向に沿う軸線である。本実施形態では、スクリーンSCが鉛直に起立するように配置されるが、スクリーンSCを水平面と平行に配置し、プロジェクター10をスクリーンSCの鉛直上方に配置して投写システム100を構成することも可能である。
【0016】
プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bは、それぞれ、スクリーンSCに画像G1、画像G2を投写する。スクリーンSCに投写された画像G1および画像G2は、タイリング画像TGを構成する。スクリーンSCの前面は、タイリング画像TGを表示する表示面Sとして機能する。なお、以降の説明では、画像G1と画像G2とは特に区別する必要がない場合は画像Gと表記する。
【0017】
表示面Sは、第1投写領域2Aと第2投写領域2Bとを有する。第1投写領域2Aおよび第2投写領域2Bは、表示面Sにおいて、投写領域2を構成する。第1投写領域2Aは、プロジェクター10Aに対応し、画像G1を表示する領域である。第2投写領域2Bは、プロジェクター10Bに対応し、画像G2を表示する領域である。第1投写領域2Aおよび第2投写領域2Bの各々は表示面Sにおいて重畳し、重畳領域3を形成する。第1投写領域2Aは、重畳領域3と非重畳領域21Aからなる。非重畳領域21Aは、第1投写領域2Aから重畳領域3を除いた領域である。第2投写領域2Bは、重畳領域3と非重畳領域21Bからなる。非重畳領域21Bは、第2投写領域2Bから重畳領域3を除いた領域である。
【0018】
プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bの各々には、
図1に示されるように、画像処理装置20が接続される。画像処理装置20は、後述する画像供給装置30から取得した画像データTDを分割し、入力画像データD1および入力画像データD2を生成する。画像処理装置20は、入力画像データD1をプロジェクター10Aに出力し、入力画像データD2をプロジェクター10Bに出力する。本実施形態では、プロジェクター10Aが入力画像データD1に基づき第1投写領域2Aに画像G1を投写し、プロジェクター10Bが入力画像データD2に基づき第2投写領域2Bに画像G2を投写することで、タイリング画像TGが表示面Sに表示される。なお、以降の説明では、入力画像データD1と入力画像データD2とは特に区別する必要がない場合は入力画像データDと表記する。
【0019】
図2は、タイリング画像TGの構成例を示す図であり、タイリング画像TGを表示するスクリーンSCをY軸方向に見た図である。
図2では、説明の便宜上、画像G1と画像G2とをZ軸方向にずらして表示するが、実際には画像G1と画像G2は同じ高さ位置に揃う。また、第1投写領域2Aは画像G1よりも大きいが、実際には第1投写領域2Aと画像G1は同じ大きさであり、第1投写領域2Aの周縁は画像G1の周縁と一致する。同様に、第2投写領域2Bは画像G2よりも大きいが、実際には第2投写領域2Bと画像G2は同じ大きさであり、第2投写領域2Bの周縁は画像G2の周縁と一致する。
【0020】
タイリング画像TGは、画像G1および画像G2がX軸方向に並んで構成される。本実施形態では、プロジェクター10AがX-Y平面上に配置され、X軸方向に並ぶ画像G1および画像G2によりタイリング画像TGが構成される。しかしながら、本実施形態のタイリング画像TGは
図2に示す構成に限定されず、Z軸方向にスタックされたプロジェクター10から投写された画像により構成されてもよい。
【0021】
画像処理装置20は、図示しないプロセッサーを含んで構成されるPC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置である。画像処理装置20は、
図1に示されるように、画像供給装置30に接続される。画像供給装置30は、タイリング画像TGに対応する画像データTDを画像処理装置20に供給する。画像データTDは、静止画像に基づくデータであってもよく、動画像に基づくデータであってもよい。画像供給装置30は、ビデオ再生装置またはDVD(Digital Versatile Disc)装置などの媒体再生装置やPC、スマートフォン、タブレット端末などの情報処理装置により実現される。なお、画像供給装置30の機能の一部または全部を、画像処理装置20が有してもよい。
【0022】
画像処理装置20は、
図1に示されるように、操作装置40に接続される。操作装置40は、タイリング画像TGの表示モードの設定に関する入力を操作者から受け付ける。または、操作装置40は、タイリング画像TGの大きさ、および、解像度の設定に関する入力を操作者から受け付ける。さらに、操作装置40は、重畳領域3の大きさ、および、表示面S上の重畳領域3の位置の設定に関する入力を操作者から受け付ける。なお、操作装置40は、画像処理装置20と一体に構成されてもよい。
【0023】
図3は、プロジェクター10の構成例を示す図である。プロジェクター10は、
図3に示されるように、処理装置210と、記憶装置220と、通信装置230と、入力装置240と、撮像装置250と、投写装置260と、画像処理回路270とを有する。
【0024】
処理装置210は、プロジェクター10の各部を制御する装置である。処理装置210は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサーを含んで構成される。なお、処理装置210は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。また、処理装置210の機能の一部または全部は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアで実現されてもよい。
【0025】
記憶装置220は、処理装置210が実行するプログラムPG、ルックアップテーブルLUT、キャリブレーション画像データDc、および単色画像データDxを記憶する。キャリブレーション画像データDcは、複数の格子点を有するキャリブレーション画像を示す。単色画像データDxは単色画像を示す。ルックアップテーブルLUTの詳細は後述する。記憶装置220は、例えば、ハードディスクドライブまたは半導体メモリーを含んで構成される。なお、記憶装置220の一部または全部は、プロジェクター10の外部の記憶装置などに設けてもよい。
【0026】
通信装置230は、画像処理装置20と通信可能に接続される通信回路である。通信装置230は、例えば、USB(Universal Serial Bus)およびLANなどのインターフェイスを含んで構成される。通信装置230は、画像処理装置20から出力される入力画像データDを取得する。入力画像データDは入力画像を示す。なお、通信装置230は、例えば、Wi-FiまたはBluetoothなどにより画像処理装置20と無線接続されてもよいし、LANまたはインターネットなどを介して画像処理装置20に接続されてもよい。なお、Wi-FiおよびBluetoothは、それぞれ、登録商標である。
【0027】
入力装置240は、各種のスイッチを備え、例えば図示を省略したプロジェクター10の筐体に設けられる操作パネルである。具体的には、入力装置240は、例えば、プロジェクター10の電源のオン/オフを指示する電源スイッチ、プロジェクター10に画像の投写を開始させるスイッチ、プロジェクター10の設定用のメニューを呼び出すスイッチなどである。
【0028】
撮像装置250は、スクリーンSCの表示面Sを撮像することによって、撮像画像を示す撮像データを生成する。撮像装置250は、
図3に示されるように、撮像素子251を有する。撮像装置250は、例えばカメラである。
【0029】
撮像素子251は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary MOS)などのイメージセンサーである。撮像素子251は、表示面Sを撮像し、撮像データを処理装置210に出力する。
【0030】
投写装置260は、スクリーンSCの表示面Sに画像Gを投写する。投写装置260は、
図3に示されるように、光源261と、光変調部262と、投写光学系263とを有する。
【0031】
光源261は、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ、LED(Light Emitting Diode)またはレーザー光源などで構成される。光変調部262は、光源261が発する光を変調して画像光を生成する。光変調部262は、例えば、RGBの光の三原色に対応した3枚の透過型の液晶パネルまたは反射型の液晶パネルを含んで構成される。または、光変調部262は、デジタルミラーデバイスなどの光変調素子とカラーホイールとを含む構成であってもよい。投写光学系263は、光変調部262で変調された画像光をスクリーンSCへ導き、当該画像光を表示面S上で結像させる。投写光学系263は、スクリーンSCの表示面Sに表示される画像Gの拡大または縮小させるズーム機構、および、フォーカスの調整を行うフォーカス調整機構を有してもよい。
【0032】
画像処理回路270は、通信装置230で取得される入力画像データDに対して、所定の画像処理を実行する。画像処理回路270が実行する画像処理としては、例えば、キーストン補正処理の他、デジタルズーム処理、色調補正処理および輝度補正処理などが挙げられる。
【0033】
プロジェクター10から投写され表示面Sに表示される画像Gは、プロジェクター10の光軸と表示面Sとのなす角度に応じて歪む。キーストン補正処理によって、プロジェクター10から画像Gを投写した際に、表示面Sで生じる台形のゆがみが補正される。キーストン補正処理は、カメラ座標系とプロジェクター座標系との対応関係に基づいて、入力画像に補正を施す。カメラ座標系とは、撮像装置250で撮像される撮像画像の座標系である。プロジェクター座標系とは、プロジェクター10から投写される画像Gの座標系である。カメラ座標系とプロジェクター座標系との対応関係は、撮像画像におけるある座標が、画像Gにおけるどの座標に対応するかを示す。換言すれば、カメラ座標系とプロジェクター座標系との対応関係は、撮像画像を構成する複数の画素と、画像Gを構成する複数の画素との対応関係を示す。ルックアップテーブルLUTは、撮像画像を構成する複数の画素と、画像Gを構成する複数の画素との対応関係を記憶する。
【0034】
画像処理回路270は、ルックアップテーブルLUTを参照して、入力画像データDにキーストン補正を施して、補正済画像データDhを生成する。画像処理回路270は、補正済画像データDhを光変調部262に出力することによって、当該補正済画像データDhに基づく画像GをスクリーンSCに表示させる。
【0035】
処理装置210は、プログラムPGを記憶装置220から読み出し、読み出したプログラムPGを実行することによって、プロジェクター10の全体を制御する。処理装置210は、入力画像データDに基づく画像Gを表示面Sに投写する前に、第1キャリブレーション処理と第2キャリブレーション処理とを実行する。2段階のキャリブレーションによって、撮像画像を構成する複数の画素と、画像Gを構成する複数の画素との対応関係が特定される。
【0036】
図4は、プロジェクター10Aの動作の一例を示すフローチャートである。以下、プロジェクター10Aの動作について、
図4を適宜参照しながら説明する。なお、以降の説明では、プロジェクター10Aに関する要素については添え字aを付し、プロジェクター10Bに関する要素については添え字bを付す。
【0037】
先ず、処理装置210aは、ステップSt1において、第1キャリブレーション処理を実行する。
図5は、第1キャリブレーション処理の詳細を示すフローチャートである。以下、ステップSt1について、
図5を適宜参照しながら詳述する。
【0038】
処理装置210aがキャリブレーションの開始の指示を受け付けると、ステップSt11において、処理装置210aは記憶装置220aからキャリブレーション画像データDcaを読み出して、投写装置260aに出力する。投写装置260aは、キャリブレーション画像データDcaの示す第1キャリブレーション画像CG1を表示面Sに投写する。これにより、
図6に示されるように、表示面Sに第1キャリブレーション画像CG1が表示される。本実施形態に係る第1キャリブレーション画像CG1は、
図6に示されるように、複数の第1マーカーCP1を含むドットパターン画像である。複数の第1マーカーCP1は、格子状に規則的に配列される。前述のキャリブレーションの開始の指示としては、例えば、入力装置240aの操作による指示、または、制御プログラムに基づく指示などが挙げられる。
【0039】
次に、撮像装置250aは、処理装置210aの制御に基づき、ステップSt12において、第1キャリブレーション画像CG1が投写された表示面Sを撮像する。撮像装置250aは「第1撮像装置」の一例である。第1キャリブレーション画像CG1が投写された表示面Sが撮像された撮像画像に写っているドットパターンには撮像装置250aの設置位置に応じた歪みが生じる。処理装置210aは、当該撮像画像における各第1マーカーCP1についてカメラ座標系における座標を特定する。各第1マーカーCP1は、面積を有するため、処理装置210aは、撮像画像における各第1マーカーCP1について重心を算出し、算出結果をカメラ座標系における座標とする。カメラ座標系における座標は、撮像素子251aを構成する各画素の位置によって表される。一方、第1キャリブレーション画像CG1における各第1マーカーCP1のプロジェクター座標系における座標は既知である。第1マーカーCP1の座標とは、第1マーカーCP1の重心の座標を意味する。第1キャリブレーション画像CG1を構成する複数の画素は、光変調部262aの液晶パネルの画素と対応している。従って、プロジェクター座標系における座標は、液晶パネルを構成する各画素の位置によって表される。
【0040】
続いて、処理装置210aは、ステップSt13において、撮像画像における各第1マーカーCP1の座標と、第1キャリブレーション画像CG1における各第1マーカーCP1の座標とに基づいて、撮像画像を構成する複数の画素と、画像G1を構成する複数の画素との対応付けを実行する。第1キャリブレーション画像CG1において各第1マーカーCP1は規則的に配列されているため、第1キャリブレーション画像CG1を構成する複数の画素の全てについて、撮像画像を構成する複数の画素のうちどの画素に対応するかが直ちに特定することはできない。そこで、処理装置210aは、補間処理を実行することによって、撮像画像を構成する複数の画素と、画像G1を構成する複数の画素とを対応づける。これにより、プロジェクター10Aから表示面Sに投写される画像G1を構成する複数の画素の各々と、当該画像G1が投写された表示面Sを撮像装置250aが撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素の各々との第1対応関係が特定される。処理装置210aは、第1対応関係をルックアップテーブルLUTaに記憶する。なお、当該撮像画像は「第1撮像画像」の一例であり、第1対応関係は「第1関係」の一例である。
【0041】
続いて、処理装置210aは、ステップSt14において、投写装置260aに第1キャリブレーション画像CG1の投写を停止させる。処理装置210aは、ステップSt15において、先のステップSt13が終了したことを処理装置210bに通知する。処理装置210bは、当該通知を取得したことを受けて、処理装置210aと同様に、先のステップSt11~ステップSt13と同様の第1キャリブレーション処理を実行する。
【0042】
図7は、表示面Sに投写された第2キャリブレーション画像CG2を示す図である。投写装置260bは、ステップSt11において、投写装置260aと同様に、第2キャリブレーション画像CG2を表示面Sに投写する。これにより、
図7に示されるように、表示面Sに第2キャリブレーション画像CG2が表示される。本実施形態に係る第2キャリブレーション画像CG2は、
図7に示されるように、複数の第2マーカーCP2を含むドットパターン画像である。複数の第2マーカーCP2は、格子状に規則的に配列される。
【0043】
撮像装置250bは、ステップSt12において、第2キャリブレーション画像CG2が投写された表示面Sを撮像する。撮像装置250bは「第2撮像装置」の一例である。
【0044】
処理装置210bは、ステップSt13において、プロジェクター10Bから第2投写領域2Bに投写される画像G2を構成する複数の画素の各々と、当該画像G2が投写された表示面Sを撮像装置250bが撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素の各々との第2対応関係を特定する。処理装置210bは、第2対応関係をルックアップテーブルLUTbに記憶する。
【0045】
次に、
図4に戻り、処理装置210aは、ステップSt2において、重畳領域3を特定する。具体的には、処理装置210aは、記憶装置220aから単色画像データDxaを読み出し、単色画像データDxaを投写装置260aに出力する。単色画像データDxaは、上述したように単色画像を示す。投写装置260aは、当該データに従って、単色画像を第1投写領域2Aに投写する。当該単色画像は「第1投写画像」の一例である。
また、処理装置210aは、プロジェクター10Bに対して、単色画像を投写することを指示する投写要求を送信する。投写要求を受信したプロジェクター10Bの処理装置210bは、記憶装置220bから単色画像データDxbを読み出し、単色画像データDxbを投写装置260bに出力する。投写装置260bは当該データに従って、単色画像を第2投写領域2Bに投写する。当該単色画像は「第2投写画像」の一例である。
投写装置260aから投写された単色画像と投写装置260bから投写された単色画像とは、表示面Sにおいて重畳する。ここで、投写装置260aから投写された単色画像は、投写装置260bから投写された単色画像と表示面S上で重なる。よって、投写装置260aから投写された単色画像のうち、投写装置260bから投写された単色画像と重畳する領域が当該領域とは異なる領域よりも明るくなる。同様に、投写装置260bから投写された単色画像は、投写装置260aから投写された単色画像と表示面S上で重なる。よって、投写装置260bから投写された単色画像のうち、投写装置260aから投写された単色画像と重畳する領域が当該領域とは異なる領域よりも明るくなる。なお、投写装置260aおよび投写装置260bから投写される単色画像は、典型的には白色画像であるがこれに限られず、白色とは異なる単色の画像でもよい。
【0046】
続いて、撮像装置250aは、処理装置210aの制御に基づき、単色画像を表示する第1投写領域2Aを撮像することによって、撮像画像を示す撮像データを出力する。次いで、処理装置210aは、当該撮像データに基づいて、当該撮像画像を構成する複数の画素の各々について、輝度値と閾値とを比較する。処理装置210aは、比較結果に基づいて、輝度値が閾値以上となる画素が存在する領域を重畳領域3と特定する。当該閾値は、重畳領域3を判定できるように設定される。具体的には、閾値をR、投写装置260aから投写される単色画像の輝度値をX、投写装置260bから投写される単色画像の輝度値をYとした場合、閾値Rは、X<R<X+Yであってもよい。また、マージンを考慮すると、R=(2X+Y)/2であることが好ましい。
上述した処理によって、カメラ座標系における重畳領域3が特定される。処理装置210aは、先のステップSt1における第1キャリブレーション処理によって生成された第1対応関係に基づいて、プロジェクター座標系における重畳領域3を特定する。
【0047】
次いで、処理装置210aは、プロジェクター10Bに対して、単色画像を表示する第2投写領域2Bを撮像することを指示する撮像要求を送信する。撮像要求を受信したプロジェクター10Bの処理装置210bは、単色画像を表示する第2投写領域2Bを撮像装置250bに撮像させることによって撮像画像を得る。処理装置210bは、当該撮像画像を示す撮像データに基づいて、当該撮像画像を構成する複数の画素の各々について、輝度値と閾値とを比較する。処理装置210bは、比較結果に基づいて、輝度値が閾値以上となる画素が存在する領域を重畳領域3と特定する。当該閾値は、重畳領域3を判定できるように設定される。具体的には、閾値をr、投写装置260bから投写される単色画像の輝度値をx、投写装置260aから投写される単色画像の輝度値をyとした場合、閾値rは、x<r<x+yであってもよい。また、マージンを考慮すると、r=(2x+y)/2であることが好ましい。
上述した処理によって、カメラ座標系における重畳領域3が特定される。処理装置210bは、先のステップSt1における第1キャリブレーション処理によって生成された第1対応関係に基づいて、プロジェクター座標系における重畳領域3を特定する。
【0048】
処理装置210aは、ステップSt3において、相異なる複数のグレイコード画像G3を生成する。当該グレイコード画像G3は「第1空間コード画像」の一例である。処理装置210aは、グレイコード画像G3の枚数を、重畳領域3の水平解像度および垂直解像度に応じて決定する。重畳領域3の水平解像度は、重畳領域3に対応する画像G1のX軸方向の画素数である。重畳領域3の垂直解像度は、重畳領域3に対応する画像G1のZ軸方向の画素数である。プロジェクター10Aとプロジェクター10Bの設置状態に応じて重畳領域3の形状は変化する。処理装置210aは、ステップSt2において特定された重畳領域3に応じて、相異なる複数のグレイコード画像G3を生成する。このため、処理装置210aがグレイコード画像G3を必要以上に生成せずに済む。
【0049】
次に、投写装置260aは、ステップSt4において、相異なる複数のグレイコード画像G3の各々を表示面Sに時分割で投写する。
図8は、グレイコード画像G3を表示するスクリーンSCを模式的に示す図である。
【0050】
撮像装置250aは、処理装置210aの制御に基づき、グレイコード画像G3を表示する重畳領域3を撮像することで撮像画像を得る。当該撮像画像は「第3撮像画像」の一例である。撮像装置250aは、相異なる複数のグレイコード画像G3の各々が重畳領域3に表示されるたびに、当該重畳領域3を撮像する。
【0051】
処理装置210aは、ステップSt5において、複数のグレイコード画像G3が投写された重畳領域3を撮像装置250aが撮像することにより得られた、複数のグレイコード画像G3の各々と1対1に対応する複数の撮像画像の各々に基づいて、画像G1のうち重畳領域3に対応する複数の画素と、撮像装置250aによって撮像される撮像画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素との第3対応関係を特定する。具体的には、処理装置210aは、重畳領域3に対応する投写装置260aの各画素が、どのような後述するバイナリコードを示すのかを解析することによって、第3対応関係を特定する。処理装置210aは、ルックアップテーブルLUTaに格納されている第1対応関係のうち、画像G1の重畳領域3に対応する部分を第3対応関係に更新する。これによって、ルックアップテーブルLUTaには、非重畳領域21Aについては第1対応関係が記憶され、重畳領域3については第3対応関係が記憶される。第3対応関係は「第2関係」の一例である。
【0052】
ここで、画像G1を構成する複数の画素とグレイコードパターンとの関係について説明する。
図9は、重畳領域3に表示されるグレイコード画像G3の一例を示す図である。同図の上段には、Z軸方向を長手方向とする白および黒のストライプからなるグレイコード画像G3が示される。同図の下段には、X軸方向を長手方向とする白および黒のストライプからなるグレイコード画像G3が示される。グレイコード画像G3は、明部および暗部で示され、点灯/非点灯の白黒二値でバイナリコードを表現する画像の一種であり、ノイズに対してロバストとなるように工夫されている。本実施形態では、投写装置260aが
図9のグレイコード画像G3の各々を同図の左から右の順番で重畳領域3に順次表示させる。この際、投写装置260aの全ての画素について、輝度値が0である黒と輝度値が1である白とからなる輝度の時間変化のパターンを異ならせることにより、投写装置260aの全ての画素の各々について相異なるバイナリコードを対応づける。即ち、投写装置260aの各画素は、バイナリコードに対応づけられ、固有のバイナリコードを表す計測パターンで発光する。そのため、同図の上段に示すグレイコード画像G3が例えばN枚であれば、重畳領域3に対応する投写装置260aの画素のうち、X軸方向における2
N個の画素の各々について固有のバイナリコードが与えられる。同様に、
図9bに示すグレイコード画像G3が例えばM枚であれば、重畳領域3に対応する投写装置260aの画素のうち、Z軸方向における2
M個の画素の各々について固有のバイナリコードが与えられる。即ち、N枚の同図上段に示されるグレイコード画像G3と、M枚の同図下段に示されるグレイコード画像G3を利用することで、重畳領域3に対応する投写装置260aの2
N×2
M個の画素の各々について固有のバイナリコードが与えられる。したがって、撮像装置250aは、グレイコード画像G3の何枚目で点灯し、何枚目で非点灯であるのかを記録することで、撮像装置250aの各画素に映り込む計測パターンが、投写装置260aのどの画素のバイナリコードであるのかを特定することができる。そのため、X軸方向およびZ軸方向において、対応関係を取得したいカメラ座標系とプロジェクター座標系の画素の組の個数に応じて、必要となるバイナリコードの枚数が決定することとなる。例えば、重畳領域3の水平解像度が小さいほど、必要となるバイナリコードの枚数が少なくなる。
【0053】
以上、説明したステップSt3からステップSt5までの処理は、重畳領域3におけるカメラ座標系とプロジェクター座標系との対応付けを実行する第2キャリブレーション処理に相当する。第1キャリブレーション処理では、1枚の第1キャリブレーション画像CG1を用いて、キャリブレーションを実行した。第1キャリブレーション画像CG1は、位置の基準となる複数の第1マーカーCP1が配置されている。ある第1マーカーCP1が位置する画像G1の画素が、撮像画像を構成する複数の画素のうちどの画素に対応するのかは、第1キャリブレーション処理によって特定することができる。しかしながら、ある第1マーカーCP1と隣の第1マーカーCP1との間に位置する画素については、補間処理によって撮像画像の画素が特定されることになる。一方、第2キャリブレーション処理では、複数のグレイコード画像G3を用いて、第3対応関係を特定するので、重畳領域3における対応付けの精度は、非重畳領域21Aの対応付けの精度と比較して、高くなる。従って、本実施形態によれば、重畳領域3におけるキャリブレーションの精度を、非重畳領域21Aのキャリブレーションの精度と比較して、高めることができる。
【0054】
続いて、処理装置210aは、ステップSt6において、通信装置230aを介して第2キャリブレーション処理が完了したこと示す完了通知をプロジェクター10Bに送信する。完了通知を受信したプロジェクター10Bは、プロジェクター10Aと同様に、第2キャリブレーション処理を開始する。具体的には、処理装置210bは、ステップSt3からステップSt5までの処理を実行する。
【0055】
処理装置210bは、ステップSt3において、相異なる複数のグレイコード画像G3を生成する。当該グレイコード画像G3は「第2空間コード画像」の一例である。
【0056】
投写装置260bは、ステップSt4において、相異なる複数のグレイコード画像G3の各々を表示面Sに時分割で投写する。次に、撮像装置250bは、処理装置210bの制御に基づき、グレイコード画像G3を表示する重畳領域3を撮像することで撮像画像を得る。当該撮像画像は「第4撮像画像」の一例である。撮像装置250bは、相異なる複数のグレイコード画像G3の各々が重畳領域3に表示されるたびに、当該重畳領域3を撮像する。
【0057】
処理装置210bは、ステップSt5において、複数のグレイコード画像G3が投写された重畳領域3を撮像装置250bが撮像することにより得られた、複数のグレイコード画像G3の各々と1対1に対応する複数の撮像画像の各々に基づいて、画像G2のうち重畳領域3に対応する複数の画素と、撮像装置250bによって撮像される撮像画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素との第4対応関係を特定する。具体的には、処理装置210bは、重畳領域3に対応する投写装置260bの各画素が、どのようなバイナリコードを示すのかを解析することによって、第4対応関係を特定する。処理装置210bは、ルックアップテーブルLUTbに格納されている第2対応関係のうち、画像G2の重畳領域3に対応する部分を第4対応関係に更新する。これによって、ルックアップテーブルLUTbには、非重畳領域21Bについては第2対応関係が記憶され、重畳領域3については第4対応関係が記憶される。そして、処理装置210bは、第2キャリブレーション処理が完了すると、通信装置230bを介して、プロジェクター10Aへ完了通知を送信する。
【0058】
ステップSt7において、処理装置210aは、プロジェクター10Bから完了通知を受信したか否かを判定し、判定結果が肯定になるまで判定を繰り返す。プロジェクター10Bから完了通知を受信すると、判定結果は肯定となり、処理装置210aは、ステップSt8において、画像G1を表示面Sに投写する。ステップSt8では、処理装置210aは、入力画像データD1を画像処理回路270aに出力する。画像処理回路270aは、ルックアップテーブルLUTaを参照することによって、入力画像データD1にキーストン補正を施す。画像処理回路270aは、キーストン補正により得られた補正済画像データDhを光変調部262aに出力することによって、当該補正済画像データDhに基づく画像G1をスクリーンSCに表示させる。ここで、ルックアップテーブルLUTaには、非重畳領域21Aについては第1対応関係が記憶されており、重畳領域3については第3対応関係が記載されている。従って、本実施形態によれば、重畳領域3におけるキーストン補正の精度を、非重畳領域21Aにおけるキーストン補正の精度よりも高くすることができる。
なお、プロジェクター10Bは、第2キャリブレーション処理が完了した後、ステップSt8と同様に、画像G2を表示面Sに投写する。具体的には、処理装置210bは、入力画像データD2を画像処理回路270bに出力する。画像処理回路270bは、ルックアップテーブルLUTbを参照することによって、入力画像データD2にキーストン補正を施す。画像処理回路270bは、キーストン補正により得られた補正済画像データDhを光変調部262bに出力することによって、当該補正済画像データDhに基づく画像G2をスクリーンSCに表示させる。
【0059】
前述の説明から理解される通り、撮像装置250aを有するプロジェクター10Aと、撮像装置250bを有するプロジェクター10Bとを具備する投写システム100は、プロジェクター10Aから投写される画像G1と、プロジェクター10Bから投写される画像G2とが表示面Sの重畳領域3において重なる制御方法を実行する。具体的には、投写システム100は、前述のステップSt1、ステップSt5およびステップSt8を含む制御方法を実行する。前述のように、ステップSt1では、プロジェクター10Aから表示面Sの第1投写領域2Aに投写される画像G1を構成する複数の画素と、表示面Sを撮像装置250aが撮像することにより得られた第1撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定する。また、ステップSt1では、プロジェクター10Bから表示面Sの第2投写領域2Bに投写される画像G2を構成する複数の画素と、表示面Sを撮像装置250bが撮像することにより得られた第2撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定する。ステップSt5では、プロジェクター10Aが投写する画像G1のうち重畳領域3に対応する複数の画素と、第1撮像画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素との第3対応関係を特定する。また、ステップSt5では、プロジェクター10Bが投写する画像G2のうち重畳領域3に対応する複数の画素と、第2撮像画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素との第4対応関係を特定する。ステップSt8では、第1対応関係に基づき、第1投写領域2Aのうち重畳領域3とは異なる領域である非重畳領域21Aに対して画像G1を投写し、第1対応関係より精度が高い第3対応関係に基づき重畳領域3に画像G1を投写する。また、ステップSt8では、第2対応関係に基づき、第2投写領域2Bのうち重畳領域3とは異なる領域である非重畳領域21Bに対して画像G2を投写し、第2対応関係よりも精度が高い第4対応関係に基づき重畳領域3に画像G2を投写する。
このように本開示によれば、重畳領域3のキャリブレーションの精度をそれ以外の非重畳領域21A,21Bよりも高くすることができるので、一律に精度の低いキャリブレーションを実行する場合と比較して、プロジェクター10Aから投写される画像G1と、プロジェクター10Bから投写される画像G2とが重なる重畳領域3での画像の品質が向上する。また、精度の高いキャリブレーションは、重畳領域3について実行すればよいので、一律に精度の高いキャリブレーションを実行する場合と比較して、キャリブレーションに要する時間が削減される。よって、本開示によれば、重畳領域3におけるキャリブレーションの精度を高めつつ、キャリブレーションに要する時間を削減することができる。
【0060】
プロジェクター10Aは、重畳領域3に対して、相異なる複数のグレイコード画像G3の各々を時分割で投写し、複数のグレイコード画像G3が投写された重畳領域3を撮像装置250aが撮像することにより得られた、複数のグレイコード画像G3の各々と1対1に対応する複数の撮像画像の各々に基づいて、第3対応関係を特定し、プロジェクター10Bは、重畳領域3に対して、相異なる複数のグレイコード画像G3の各々を時分割で投写し、複数のグレイコード画像G3が投写された重畳領域3を撮像装置250bが撮像することにより得られた、複数のグレイコード画像G3の各々と1対1に対応する複数の撮像画像の各々に基づいて、第4対応関係を特定する。
本開示によれば、重畳領域3のみにグレイコード画像G3が投写されるので、第3対応関係および第4対応関係を特定する上で必要となるグレイコード画像G3の枚数が、重畳領域3の解像度に応じた枚数で済む。したがって、第3対応関係および第4対応関係を特定する時間が過大となることが抑制される。
【0061】
プロジェクター10Aにより生成される複数のグレイコード画像G3の数は、プロジェクター10Aが投写する画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素の画素数に応じて変化し、プロジェクター10Bにより生成される複数のグレイコード画像G3の数は、プロジェクター10Bが投写する画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素の画素数に応じて変化する。このため、プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bが、グレイコード画像G3を必要以上に生成せずに済む。
【0062】
プロジェクター10Aから第1投写領域2Aに投写される第1キャリブレーション画像CG1と、第1キャリブレーション画像CG1が投写された表示面Sを撮像装置250aが撮像することにより得られた撮像画像とに基づいて、第1対応関係を特定し、プロジェクター10Bから第2投写領域2Bに投写される第2キャリブレーション画像CG2と、第2キャリブレーション画像CG2が投写された表示面Sを撮像装置250bが撮像することにより得られた撮像画像とに基づいて、第2対応関係を特定し、第1キャリブレーション画像CG1は、規則的に配列された複数の第1マーカーCP1を含み、第2キャリブレーション画像CG2は、規則的に配列された複数の第2マーカーCP2を含む。
【0063】
プロジェクター10Aは、単色画像が投写された第1投写領域2Aを撮像装置250aが撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素のうち輝度値が閾値以上である画素が存在する領域を重畳領域3と特定し、プロジェクター10Bは、単色画像が投写された第2投写領域2Bを撮像装置250bが撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素のうち輝度値が閾値以上である画素が存在する領域を重畳領域3と特定する。プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bが重畳領域3を特定することによって、プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bが、表示面Sのうち重畳領域3のみに選択的にグレイコード画像G3を投写することができる。
【0064】
2.変形例
以上の例示における各形態は多様に変形され得る。前述の各形態に適用され得る具体的な変形の態様は以下に例示される。なお、以下の例示から任意に選択される2以上の態様は、互いに矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0065】
[変形例1]
前述の態様においては、投写システム100が2台のプロジェクター10を有する構成であるがこれに限られず、2台以上のプロジェクター10を有する構成であってもよい。
【0066】
[変形例2]
前述の態様では、重畳領域3にグレイコード画像G3が投写されるがこれに限られず、グレイコード画像G3とは異なる空間コード画像が投写されてもよい。当該画像としては、例えば、位相シフト画像が挙げられる。
【0067】
[変形例3]
重畳領域3を特定する方法は、前述の態様で例示した方法に限定されない。プロジェクター10は、例えば、
図10に示す方法で、重畳領域3を特定してもよい。
図10は、変形例3に係るステップSt2の詳細を示すフローチャートである。以下、当該ステップSt2について
図10を適宜参照しながら説明する。
【0068】
先ず、処理装置210aは、ステップSt21において、記憶装置220aに予め記憶されている単色画像データDxaを読み出し、当該データを投写装置260aに出力する。投写装置260aは、当該データに従って、単色画像を表示面Sに投写する。当該単色画像の輪郭は、第1投写領域2Aの輪郭と一致する。次いで、撮像装置250aは、ステップSt22において、処理装置210aの制御に基づき、投写装置260aから投写された単色画像を表示する表示面Sを撮像する。続いて、処理装置210aは、ステップSt23において、単色画像が撮像された撮像画像から第1投写領域2Aの輪郭を特定する。具体的には、処理装置210aは、ステップSt23において、投写装置260aから投写された単色画像を表示する表示面Sが撮像された撮像画像の各画素のうち、カメラ座標系における当該単色画像の輪郭に対応する画素を特定する。そして、処理装置210aは、第1対応関係が記憶されたルックアップテーブルLUTaを参照して、プロジェクター10Aのプロジェクター座標系における単色画像の輪郭に対応する画素を特定する。
【0069】
次に、撮像装置250bは、ステップSt24において、撮像装置250aと同様に、投写装置260aから投写された単色画像を表示する表示面Sを撮像する。続いて、処理装置210bは、ステップSt25において、単色画像が撮像された撮像画像から第1投写領域2Aの輪郭を特定する。具体的には、処理装置210bは、ステップSt25において、投写装置260aから投写された単色画像を表示する表示面Sが撮像された撮像画像の各画素のうち、カメラ座標系における当該単色画像の輪郭に対応する画素を特定する。そして、処理装置210bは、第2対応関係が記憶されたルックアップテーブルLUTbを参照して、プロジェクター10Bのプロジェクター座標系における単色画像の輪郭に対応する画素を特定する。次いで、処理装置210aは、投写装置260aに単色画像の投写を停止させる。
【0070】
続いて、処理装置210bは、ステップSt26において、記憶装置220bに予め記憶されている単色画像データDxbを読み出し、当該データを投写装置260bに出力する。投写装置260bは、当該データに従って、単色画像を表示面Sに投写する。当該単色画像の輪郭は、第2投写領域2Bの輪郭と一致する。次いで、撮像装置250aは、ステップSt27において、処理装置210aの制御に基づき、投写装置260bから投写された単色画像を表示する表示面Sを撮像する。続いて、処理装置210aは、ステップSt28において、先のステップSt23と同様に、単色画像が撮像された撮像画像から第2投写領域2Bの輪郭を特定する。
【0071】
次に、撮像装置250bは、ステップSt29において、撮像装置250aと同様に、投写装置260bから投写された単色画像を表示する表示面Sを撮像する。続いて、処理装置210bは、ステップSt30において、先のステップSt25と同様に、単色画像が撮像された撮像画像から第2投写領域2Bの輪郭を特定する。
【0072】
続いて、処理装置210aは、ステップSt31において、先のステップSt23で特定した第1投写領域2Aの輪郭と先のステップSt28で特定した第2投写領域2Bの輪郭とで囲まれる領域を、プロジェクター座標系における重畳領域3と特定する。次に、処理装置210bは、ステップSt32において、処理装置210aと同様に、先のステップSt25で特定した第1投写領域2Aの輪郭と先のステップSt30で特定した第2投写領域2Bの輪郭とで囲まれる領域を、プロジェクター座標系における重畳領域3と特定する。
【0073】
前述の説明から理解される通り、変形例3に係る投写システム100は、前述したような制御方法を実行する。当該制御方法では、前述のステップSt23、ステップSt25、ステップSt28、ステップSt30、ステップSt31およびステップSt32を含む制御方法が実行される。前述の通り、ステップSt23では、プロジェクター10Aが、単色画像が投写された表示面Sを撮像装置250aが撮像することにより得られた撮像画像に基づき、第1投写領域2Aの輪郭を特定する。ステップSt25では、プロジェクター10Bが、単色画像が投写された表示面Sを撮像装置250bが撮像することにより得られた撮像画像に基づき、第1投写領域2Aの輪郭を特定する。ステップSt28では、プロジェクター10Aが、単色画像が投写された表示面Sを撮像装置250aが撮像することにより得られた撮像画像に基づき、第2投写領域2Bの輪郭を特定する。ステップSt30では、プロジェクター10Bが、単色画像が投写された表示面Sを撮像装置250bが撮像することにより得られた撮像画像に基づき、第2投写領域2Bの輪郭を特定する。ステップSt31およびステップSt32では、プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bの各々が、特定した第1投写領域2Aの輪郭と、特定した第2投写領域2Bの輪郭とで囲まれる領域を重畳領域3と特定する。変形例3に係る投写システム100が前述したような制御方法を実行することで、プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bにより重畳領域3が特定される。このため、プロジェクター10Aおよびプロジェクター10Bが、表示面Sのうち重畳領域3のみに選択的にグレイコード画像G3を投写することができる。
【0074】
[変形例4]
図11は、変形例4に係る投写システム100Aの構成例を示す図である。前述の態様では、プロジェクター10が撮像装置250を有する構成であるがこれに限られず、プロジェクター10とは別体の撮像装置50を有する構成であってもよい。撮像装置50は、プロジェクター10の各々、又は画像処理装置20と通信可能に接続され、前述の態様の撮像装置250と同様の構成であり、当該撮像装置250と同様に動作する。また、変形例4に係るプロジェクター10は、前述の態様のプロジェクター10から撮像装置250が省略される点を除き、前述の態様のプロジェクター10と同様の構成である。変形例4に係る投写システム100Aは、前述の態様の投写システム100と同様に動作する。
【0075】
前述の説明から理解される通り、プロジェクター10Aと、プロジェクター10Bと、撮像装置50とを具備する投写システム100Aは、プロジェクター10Aから投写される画像G1と、プロジェクター10Bから投写される画像G2とが表示面Sの重畳領域3において重なる制御方法を実行する。具体的には、投写システム100Aは、前述のステップSt1、ステップSt5およびステップSt7を含む制御方法を実行する。前述のように、ステップSt1では、プロジェクター10Aから表示面Sの第1投写領域2Aに投写される画像G1を構成する複数の画素と、当該画像G1が投写された表示面Sを撮像装置50が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との第1対応関係を特定する。また、ステップSt1では、プロジェクター10Bから表示面Sの第2投写領域2Bに投写される画像G2を構成する複数の画素と、当該画像G2が投写された表示面Sを撮像装置50が撮像することにより得られた撮像画像を構成する複数の画素との第2対応関係を特定する。ステップSt5では、プロジェクター10Aが投写する画像G1のうち重畳領域3に対応する複数の画素と、撮像装置50によって撮像される撮像画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素との第3対応関係を特定する。また、ステップSt5では、プロジェクター10Bが投写する画像G2のうち重畳領域3に対応する複数の画素と、撮像装置50によって撮像される撮像画像のうち重畳領域3に対応する複数の画素との第4対応関係を特定する。ステップSt7では、第1対応関係に基づき、第1投写領域2Aのうち重畳領域3とは異なる領域である非重畳領域21Aに対して画像G1を投写し、第1対応関係よりも精度が高い第3対応関係に基づき重畳領域3に画像G1を投写する。また、ステップSt7では、第2対応関係に基づき、第2投写領域2Bのうち重畳領域3とは異なる領域である非重畳領域21Bに対して画像G2を投写し、第2対応関係よりも精度が高い第4対応関係に基づき重畳領域3に画像G2を投写する。この制御方法により、前述の態様の投写システム100の制御方法と同様の作用効果が得られる。
【0076】
[変形例5]
前述の態様では、処理装置210は、単色画像を表示する表示面Sが撮像された撮像画像から重畳領域3を特定するがこれに限られない。処理装置210は、例えば、操作装置40を介して操作者から入力された、X軸方向およびZ軸方向における重畳領域3の幅に関するデータに基づき、重畳領域3を特定してもよい。
【0077】
[変形例6]
前述の態様では、投写装置260は、前述の態様のステップSt2において特定された重畳領域3を包含する拡大重畳領域に対して、相異なるグレイコード画像G3の各々を時分割で投写してもよい。これにより、前述の態様のステップSt2において、重畳領域3を特定する精度が低い場合であっても、重畳領域3にグレイコード画像G3を表示させることができる。なお、当該拡大重畳領域は、光変調部262の液晶パネルを構成する各画素のうち、前述の態様のステップSt2において特定された、重畳領域3に対応する複数の画素と、当該複数の画素の周囲に存在する複数の画素とから構成される。
【0078】
[変形例7]
前述の態様では、ルックアップテーブルLUTを用いて、キーストン補正を実行したが、本開示はこれに限定されない。例えば、プロジェクター10から投写される画像Gを構成する複数の画素と、撮像画像を構成する複数の画素とを対応づける射影変換行列を用いてキーストン補正が実行されてもよい。
【0079】
[変形例8]
前述の様態では、プロジェクター10が有する処理装置210により、第1キャリブレーション処理と第2キャリブレーション処理が実行されたが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1キャリブレーション処理と第2キャリブレーション処理は、プロジェクター10と相互に通信可能に接続された画像処理装置20の制御に基づき実行されてもよい。この場合、第1キャリブレーション画像CG1およびグレイコード画像G3を画像処理装置20によって生成し、プロジェクター10Aに送信してもよい。同様に、第2キャリブレーション画像CG2およびグレイコード画像G3を画像処理装置20によって生成し、プロジェクター10Bに送信してもよい。また、撮像装置50又は撮像装置250が撮像した撮像画像を受信することにより、使用した撮像装置とプロジェクター10との対応関係を特定しても良い。さらに、特定した対応関係を示すデータをプロジェクター10へ送信してもよいし、特定した対応関係を基に生成した投写用の画像をプロジェクター10へ送信してもよい。
【符号の説明】
【0080】
2…投写領域、2A…第1投写領域、2B…第2投写領域、3…重畳領域、10,10A,10B…プロジェクター、20,270…画像処理装置、21A,21B…非重畳領域、30…画像供給装置、40…操作装置、50,250…撮像装置、100,100A…投写システム、210…処理装置、220…記憶装置、230…通信装置、240…入力装置、251…撮像素子、260…投写装置、261…光源、262…光変調部、263…投写光学系、G1,G2…画像、G3…グレイコード画像、S…表示面、SC…スクリーン、TG…タイリング画像。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
複数のプロジェクターを有するマルチプロジェクションシステムが従来から知られている。マルチプロジェクションシステムでは、複数のプロジェクターの各々から投写される画像から構成されるタイリング画像がスクリーンに表示される。ここで、スクリーン上では、複数のプロジェクターのうち、一方のプロジェクターから投写された画像を表示する領域と、他方のプロジェクターから投写された画像を表示する領域とが重畳する重畳領域において、当該一方のプロジェクターから投写された画像と、当該他方のプロジェクターから投写された画像とが重畳する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
タイリング画像TGは、画像G1および画像G2がX軸方向に並んで構成される。本実施形態では、プロジェクター
10がX-Y平面上に配置され、X軸方向に並ぶ画像G1および画像G2によりタイリング画像TGが構成される。しかしながら、本実施形態のタイリング画像TGは
図2に示す構成に限定されず、Z軸方向にスタックされたプロジェクター10から投写された画像により構成されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
ここで、画像G1を構成する複数の画素とグレイコードパターンとの関係について説明する。
図9は、重畳領域3に表示されるグレイコード画像G3の一例を示す図である。
図9(a)には、Z軸方向を長手方向とする白および黒のストライプからなるグレイコード画像G3が示される。
図9(b)には、X軸方向を長手方向とする白および黒のストライプからなるグレイコード画像G3が示される。グレイコード画像G3は、明部および暗部で示され、点灯/非点灯の白黒二値でバイナリコードを表現する画像の一種であり、ノイズに対してロバストとなるように工夫されている。本実施形態では、投写装置260aが
図9のグレイコード画像G3の各々を同図の左から右の順番で重畳領域3に順次表示させる。この際、投写装置260aの全ての画素について、輝度値が0である黒と輝度値が1である白とからなる輝度の時間変化のパターンを異ならせることにより、投写装置260aの全ての画素の各々について相異なるバイナリコードを対応づける。即ち、投写装置260aの各画素は、バイナリコードに対応づけられ、固有のバイナリコードを表す計測パターンで発光する。そのため、
図9(a)に示すグレイコード画像G3が例えばN枚であれば、重畳領域3に対応する投写装置260aの画素のうち、X軸方向における2
N個の画素の各々について固有のバイナリコードが与えられる。同様に、
図9(b)に示すグレイコード画像G3が例えばM枚であれば、重畳領域3に対応する投写装置260aの画素のうち、Z軸方向における2
M個の画素の各々について固有のバイナリコードが与えられる。即ち、N枚の
図9(a)に示されるグレイコード画像G3と、M枚の
図9(b)に示されるグレイコード画像G3を利用することで、重畳領域3に対応する投写装置260aの2
N×2
M個の画素の各々について固有のバイナリコードが与えられる。したがって、撮像装置250aは、グレイコード画像G3の何枚目で点灯し、何枚目で非点灯であるのかを記録することで、撮像装置250aの各画素に映り込む計測パターンが、投写装置260aのどの画素のバイナリコードであるのかを特定することができる。そのため、X軸方向およびZ軸方向において、対応関係を取得したいカメラ座標系とプロジェクター座標系の画素の組の個数に応じて、必要となるバイナリコードの枚数が決定することとなる。例えば、重畳領域3の水平解像度が小さいほど、必要となるバイナリコードの枚数が少なくなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0080】
2…投写領域、2A…第1投写領域、2B…第2投写領域、3…重畳領域、10,10A,10B…プロジェクター、20…画像処理装置、21A,21B…非重畳領域、30…画像供給装置、40…操作装置、50,250…撮像装置、100,100A…投写システム、210…処理装置、220…記憶装置、230…通信装置、240…入力装置、251…撮像素子、260…投写装置、261…光源、262…光変調部、263…投写光学系、270…画像処理回路、G1,G2…画像、G3…グレイコード画像、S…表示面、SC…スクリーン、TG…タイリング画像。