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特開2022-175047接続構造体の製造方法、及び接続フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175047
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】接続構造体の製造方法、及び接続フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20221117BHJP
   B23K 26/57 20140101ALI20221117BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20221117BHJP
【FI】
H01L21/60 311Z
B23K26/57
H01L33/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081171
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】塚尾 怜司
(72)【発明者】
【氏名】野田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】林 直樹
【テーマコード(参考)】
4E168
5F044
5F142
【Fターム(参考)】
4E168AE05
4E168CB07
4E168DA04
4E168DA25
4E168DA40
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA19
4E168JB03
5F044KK01
5F044KK18
5F044LL07
5F044LL09
5F142AA51
5F142EA02
5F142EA34
5F142FA32
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】レーザー光の照射によるチップ部品の優れた着弾性及び導通性を得ることができる接続構造体の製造方法及び接続フィルムを提供する。
【解決手段】レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、基材側からレーザー光を照射してチップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、ゴム層と接着層とを有し、着弾工程では、配線基板の電極面に接続フィルムが配置され、ゴム層とチップ部品の電極面とを衝突させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、
前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、
前記接続フィルムが、ゴム層と接着層とを有し、
前記着弾工程では、前記配線基板の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記ゴム層と前記チップ部品の電極面とを衝突させる接続構造体の製造方法。
【請求項2】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、
前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、
前記接続フィルムが、接着層を有し、
前記チップ部品が、電極面にゴム層を有し、
前記着弾工程では、前記配線基板の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記接着層と前記チップ部品のゴム層とを衝突させる接続構造体の製造方法。
【請求項3】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、
前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、
前記接続フィルムが、ゴム層と接着層とを有し、
前記着弾工程では、前記チップ部品の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記ゴム層と前記配線基板の電極面とを衝突させる接続構造体の製造方法。
【請求項4】
レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、
前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、
前記接続フィルムが、接着層を有し、
前記配線基板が、電極面にゴム層を有し、
前記着弾工程では、前記チップ部品の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記接着層と前記配線基板のゴム層とを衝突させる接続構造体の製造方法。
【請求項5】
前記ゴム層が、アクリルゴム、シリコーンゴムから選択される1種以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項6】
前記ゴム層の厚みが、0.5μm以上3.0μm以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項7】
前記ゴム層が、内部に空隙を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項8】
前記ゴム層のデュロメータA硬度が、20~40であり、押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項9】
前記接着層が、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項10】
前記接着層が、導電粒子を含有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項11】
前記接着層が、前記導電粒子を面方向に整列して構成されている請求項10記載の接続構造体の製造方法。
【請求項12】
前記チップ部品が、発光素子である請求項1乃至11のいずれか1項に記載の接続構造体の製造方法。
【請求項13】
ゴム層と、接着層とを有し、
前記ゴム層の厚みが、0.5μm以上3.0μm以下である接続フィルム。
【請求項14】
前記ゴム層が、アクリルゴム、シリコーンゴムから選択される1種以上である請求項13記載の接続フィルム。
【請求項15】
前記ゴム層が、内部に空隙を有する請求項13又は14記載の接続フィルム。
【請求項16】
前記ゴム層のデュロメータA硬度が、20~40であり、押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が、60MPa以下である請求項13乃至15のいずれか1項に記載の接続フィルム。
【請求項17】
前記接着層が、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含有する請求項13乃至16のいずれか1項に記載の接続フィルム。
【請求項18】
前記接着層が、導電粒子を含有する請求項13乃至17のいずれか1項に記載の接接続フィルム。
【請求項19】
前記接着層が、前記導電粒子を面方向に整列して構成されている請求項18記載の接続フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、チップ部品を基板に接続させる接続構造体の製造方法、及び接続フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display)、OLED(Organic Light Emitting Diode)の次世代ディスプレイとしてマイクロLEDの開発が活発である。マイクロLEDの課題として、マイクロサイズのLEDをパネル基板に実装するマストランスファーと呼ばれる技術が必要であり、各所で研究されている。
【0003】
マストランスファーの現在主力な方式として、スタンプ材を用いてパネル基板側にLEDを移送させる方法がある。図11は、スタンプ方式のマストランスファーを模式的に示す図である。スタンプ方式では、図11A及び図11Bに示すにように、LED101を転写材102からスタンプ材103に転写してピックアップし、図11C及び図11Dに示すように、パネル基板104の接続フィルム105上にLED101を貼り付ける。しかしながら、スタンプ材を用いる方法は、LED101のピッチはスタンプ材103のパターンに依存しており、設計の自由度が低く、チップ転写率も低く、時間も非常に掛かるため量産に適していない。
【0004】
そこで、現在注目を集めているのは、レーザーを用いたチップ配置工法である(例えば、特許文献1乃至4参照。)。図12は、レーザー方式のマストランスファーを模式的に示す図である。レーザー方式では、図12A及び図12Bに示すにように、LED111を転写材112からリリース材113に転写してピックアップし、図12Cに示すように、レーザー光をリリース材113に照射してLED111をパネル基板114の接続フィルム115上に着弾させる。レーザー方式によるチップ転写は、スタンプ材と比べて設計の自由度が高く、チップ移送タクトが非常に速い。
【0005】
しかしながら、レーザーを用いたチップ配置工法では、LEDを弾き飛ばし、非常に速いスピードでパネル基板側に着弾させるため、例えば図12Dに示すようにLEDがずれたり、変形、抜け、破壊などが発生したりし、不良を起こしてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-096144号公報
【特許文献2】特開2020-145243号公報
【特許文献3】特開2019-176154号公報
【特許文献4】特開2020-053558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、レーザー光の照射によるチップ部品の優れた着弾性及び導通性を得ることができる接続構造体の製造方法及び接続フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、前記接続フィルムが、ゴム層と接着層とを有し、前記着弾工程では、前記配線基板の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記ゴム層と前記チップ部品の電極面とを衝突させる。
【0009】
本技術に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、前記接続フィルムが、接着層を有し、前記チップ部品が、電極面にゴム層を有し、前記着弾工程では、前記配線基板の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記接着層と前記チップ部品のゴム層とを衝突させる。
【0010】
本技術に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、前記接続フィルムが、ゴム層と接着層とを有し、前記着弾工程では、前記チップ部品の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記ゴム層と前記配線基板の電極面とを衝突させる。
【0011】
本技術に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射して前記チップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、前記チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、前記接続フィルムが、接着層を有し、前記配線基板が、電極面にゴム層を有し、前記着弾工程では、前記チップ部品の電極面に前記接続フィルムが配置され、前記接着層と前記配線基板のゴム層とを衝突させる
【0012】
本技術に係る接続フィルムは、ゴム層と、接着層とを有し、前記ゴム層の厚みが、0.5μm以上3.0μm以下である。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、優れた衝撃吸収性が得られるため、チップ部品の優れた着弾性を得ることができ、優れた導通性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上の接続フィルムとを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図2図2は、対向させた発光素子と配線基板上の接続フィルムとを示す拡大図である。
図3図3は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。
図4図4は、配線基板に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。
図5図5は、基材に設けられ、電極面にゴム層を有する発光素子と、配線基板上の異方性導電接着層とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図6図6は、基材に設けられ、電極面に接続フィルムを有する発光素子と、配線基板とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図7図7は、基材に設けられ、電極面に異方性導電接着層を有する発光素子と、配線基板上のゴム層とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。
図8図8は、接続フィルムの第1の構成例を模式的に示す断面図である。
図9図9(A)は、加工により内部に空隙を有する2枚のゴム層を示す平面図であり、図9(B)は、接続フィルムの第2の構成例を模式的に示す断面図である。
図10図10は、接続フィルムの第3の構成例を模式的に示す断面図である。
図11図11は、スタンプ方式のマストランスファーを模式的に示す図である。
図12図12は、レーザー方式のマストランスファーを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接続構造体の製造方法
2.接続フィルム
3.実施例
【0016】
<1.接続構造体の製造方法>
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、基材側からレーザー光を照射してチップ部品を前記配線基板側に着弾させる着弾工程と、チップ部品と前記配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、ゴム層と接着層とを有し、着弾工程では、配線基板の電極面に接続フィルムが配置され、ゴム層とチップ部品の電極面とを衝突させる。これにより、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができ、接続工程において、チップ部品がゴム層を突き破り、優れた導通性を得ることができるため、タクトタイムの短縮化を図ることができる。
【0017】
接続フィルムにおける接着層は、導電粒子を含有する異方性導電接着層であることが好ましい。これにより、チップ部品に例えば共晶タイプの半田バンプなどの接続部位が設けられていない場合でも、チップ部品と配線基板とを接続させることが可能となる。また、チップ部品の電極が突起状などになり、配線基板の配線と電気的接続が得られる場合には、接着層は、導電粒子を含有しなくても構わない。
【0018】
チップ部品としては、半導体チップ、LEDチップなどが挙げられ、特に限定されるものではないが、本技術に係る接続構造体の製造方法は、マイクロサイズの大量のLEDチップを配線基板であるパネル基板に実装するマストランスファーに好適に用いることができる。
【0019】
以下、接続構造体の製造方法として、LEDチップである発光素子をパネル基板である配線基板に複数個配列させて発光素子アレイを構成する表示装置の製造方法について説明する。
【0020】
発光素子としては、片面に第1導電型電極と第2導電型電極とを有する所謂フリップチップ型のLEDを用いることができる。発光素子は、1画素を構成する各サブピクセルに対応して基板上に配列され、発光素子アレイを構成する。1画素は、例えば、R(赤)G(緑)B(青)の3個のサブピクセルで構成しても、RGBW(白)、RGBY(黄)の4個のサブピクセルで構成しても、RG、GBの2個のサブピクセルで構成してもよい。
【0021】
サブピクセルの配列方法としては、例えば、RGBの場合、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが挙げられる。ストライプ配列は、RGBを縦ストライプ状に配列したものであり、高精細化を図ることができる。また、モザイク配列は、RGBの同一色を斜めに配置したものであり、ストライプ配列より自然な画像を得ることができる。また、デルタ配列は、RGBを三角形に配列し、各ドットがフィールド毎に半ピッチずれたものであり、自然な画像表示を得ることができる。
【0022】
表1に、RGBの各チップを横方向に並べた場合のPPI(Pixels Per Inch)に対する推定RGB間横ピッチ、推定チップサイズ、及び推定電極サイズを示す。チップ間距離は最小で5μmと仮定し、推定RGB間距離は均等間隔に配置するときを最大とした。これは、用途を明確にして本技術を検討するための参考値として算出したものである。
【0023】
【表1】
【0024】
表1に示すように、チップサイズを10×20μmとすることで、500PPIまで対応可能であることが分かる。また、チップサイズを7×14μmとすることで、1000PPIまで対応可能であり、チップサイズをさらに小さくすることにより、1000PPI以上が実現可能である。なお、チップは、必ずしも長方形である必要はなく、正方形であってもよい。
【0025】
以下、図1図4を参照して、レーザー光を照射して発光素子を配線基板側に着弾させる着弾工程(A1)、及び発光素子と配線基板とを接続させる接続工程(B1)について説明する。
【0026】
[着弾工程(A1)]
図1は、基材に設けられた発光素子と、配線基板上の接続フィルムとを対向させた状態を模式的に示す断面図であり、図2は、対向させた発光素子と配線基板上の接続フィルムとを示す拡大図である。図1及び図2に示すように、先ず、着弾工程(A1)では、チップ部品基板10と配線基板30とを対向させる。
【0027】
チップ部品基板10は、基材11とリリース材12と発光素子20とを備え、リリース材12表面に発光素子20が貼り付けられている。基材11は、レーザー光に対して透過性を有するものであればよく、中でも全波長に亘って高い光透過率を有する石英ガラスであることが好ましい。
【0028】
リリース材12は、レーザー光の波長に対して吸収特性を有すればよく、レーザー光の照射により衝撃波を発生し、発光素子20を配線基板30側に向けて弾き飛ばす。リリース材12としては、例えばポリイミドを挙げることができる。リリース材12の厚みT12は、例えば0.5μm以上である。
【0029】
発光素子20は、本体21と、第1導電型電極22と、第2導電型電極23とを備え、第1導電型電極22と第2導電型電極23とが、同一面側に配置された水平構造を有する。本体21は、例えばn-GaNからなる第1導電型クラッド層と、例えばInAlGa1-x-yN層からなる活性層と、例えばp-GaNからなる第2導電型クラッド層とを備え、いわゆるダブルヘテロ構造を有する。第1導電型電極22は、パッシベーション層により第1導電型クラッド層の一部に形成され、第2導電型電極23は、第2導電型クラッド層の一部に形成される。第1導電型電極22と第2導電型電極23との間に電圧が印加されると、活性層にキャリアが集中し、再結合することにより発光が生じる。
【0030】
発光素子20の幅W20は、例えば1~100μmであり、発光素子20の厚みT20は、例えば1~20μmである。
【0031】
配線基板30は、基材31上に第1導電型用回路パターンと、第2導電型用回路パターンとを備え、発光素子が1画素を構成するサブピクセル(副画素)単位で配置されるように、例えばp側の第1導電型電極及びn側の第2導電型電極に対応する位置にそれぞれ第1電極32及び第2電極33を有する。また、配線基板30は、例えばマトリクス配線のデータ線、アドレス線などの回路パターンを形成し、1画素を構成する各サブピクセルに対応する発光素子をオンオフ可能とする。また、配線基板30は、透光基板であることが好ましく、基材31は、ガラス、PET(Polyethylene Terephthalate)、ポリイミドなどの透明基材であることが好ましく、回路パターン、第1電極32及び第2電極33は、ITO(Indium-Tin-Oxide)、IZO(Indium-Zinc-Oxide)、ZnO(Zinc-Oxide)、IGZO(Indium-Gallium-Zinc-Oxide)などの透明導電膜であることが好ましい。
【0032】
後述するように、接続フィルム40は、ゴム層41と異方性導電接着層42とを有し、ゴム層41側を発光素子20に対向させて配線基板30上に貼り付けられる。ゴム層41は、シリコーンゴム、アクリルゴムから選択される1種以上であることが好ましい。ゴム層41の厚みは、好ましくは0.5μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.5μm以上2.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上1.5μm以下である。また、ゴム層41は、内部に空隙を有することが好ましく、網状、突起状などの形状であることが好ましい。これにより、着弾工程においてクッション性を向上させ、接続工程において発光素子20の突き破り性を向上させることができる。異方性導電接着層42は、熱硬化性バインダー中に導電粒子43を含有するものであることが好ましい。
【0033】
接続フィルム40の厚みT40は、例えば20μm以下である。また、発光素子20と接続フィルム40との間の距離Dは、好ましくは10~1000μm、より好ましくは50~500μm、さらに好ましくは80~200μmである。
【0034】
図3は、基板側からレーザー光を照射し、発光素子を配線基板の所定位置に転写し、配列させた状態を模式的に示す断面図である。図2及び図3に示すように、着弾工程(A1)では、基板11側からレーザー光50を照射し、発光素子20を配線基板21の所定位置に転写し、接続フィルム40上に配列させる。
【0035】
発光素子20の転写には、例えば、リフト(LIFT:Laser Induced Forward Transfer)装置を用いることができる。リスト装置は、例えば、レーザー装置から出射されたパルスレーザ光を平行光にするテレスコープと、テレスコープを通過したパルスレーザ光の空間強度分布を均一に整形する整形光学系と、整形光学系により整形されたパルスレーザ光を所定のパターンにて通過させるマスクと、整形光学系とマスクとの間に位置するフィールドレンズと、マスクのパターンを通過したレーザー光をドナー基板に縮小投影する投影レンズとを備え、ドナー基板であるチップ部品基板10をドナーステージに保持し、レセプター基板である配線基板30をレセプターステージに保持する。
【0036】
レーザー装置としては、例えば波長180nm~360nmのレーザー光を発振するエキシマレーザーを用いることができる。エキシマレーザーの発振波長は、例えば193、248、308、351nmであり、これらの発振波長の中からリリース12の材料の光吸収性に応じて好適に選択することができる。
【0037】
マスクは、基材11とリリース材12との境界面における投影が、所望のレーザー光の配列となるように、所定ピッチで所定サイズの窓の配列が形成されたパターンを用いる。マスクには、基材11に例えばクロムメッキにてパターンが施され、クロムメッキが施されていない窓部分はレーザー光を透過し、クロムメッキが施されている部分はレーザー光を遮断する。
【0038】
レーザー装置からの出射光はテレスコープ光学系に入射し、その先の整形光学系へと伝搬する。整形光学系に入射する直前におけるレーザー光は、このドナーステージのX軸の移動範囲内のいずれの位置においても、概ね平行光となるよう、テレスコープ光学系により調整されているため、常に、整形光学系に対し、概ね、同一サイズ、同一角度(垂直)により入射する。
【0039】
整形光学系を通過したレーザー光は、投影レンズとの組み合わせにおいて像側テレセントリック縮小投影光学系を構成するフィールドレンズを経てマスクに入射する。マスクパターンを通過したレーザー光は、その伝搬方向を落射ミラーにより鉛直下方に変え、投影レンズに入射する。投影レンズから出射されたレーザー光は、基材11側から入射し、その表面(下面)に形成されているリリース材12の所定の位置に対し、マスクパターンの縮小サイズにて正確に投影される。
【0040】
基材11とリリース材12との界面に照射される結像されるレーザー光のパルスエネルギーは、好ましくは0.001~2J、より好ましくは0.01~1.5Jであり、さらに好ましくは0.1~1Jである。フルーエンス(fluence)は、好ましくは0.001~2J/cmであり、より好ましくは0.01~1J/cmであり、さらに好ましくは0.05~0.5J/cmである。パルス幅(照射時間)は、好ましくは0.01~1×10ピコ秒であり、より好ましくは0.1~1×107ピコ秒であり、さらに好ましくは1~1×10ピコ秒である。パルス周波数は、好ましくは0.1~10000Hz、より好ましくは1~1000Hz、さらに好ましくは1~100Hzである。照射パルス数は、好ましくは1~30,000,000である。
【0041】
このようなリフト装置を用いることにより、基材11とリリース材12との境界面において、レーザー光を照射されたリリース材12に衝撃波を発生させ、複数の発光素子20を基材11から剥離して配線基板30に向けてリフトし、複数の発光素子20を配線基板30の所定位置に接続フィルム40を介して着弾させることができる。
【0042】
接続フィルム40は、複数の発光素子20側にゴム層41を配しているため、超高速で打ち出される発光素子20が着弾する際の衝撃を緩和させ、発光素子20のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、高い着弾成功率を得ることができる。
【0043】
[接続工程(B1)]
図4は、配線基板に発光素子を実装させた状態を模式的に示す断面図である。図4に示すように、接続工程(B1)では、配線基板30の所定位置に配列した発光素子20を実装させる。
【0044】
発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法としては、公知の異方性導電フィルムにおいて用いられている接続方法を適宜選択して使用することができる。熱圧着条件としては、例えば、温度150℃~260℃、圧力5MPa~60MPa、時間5秒~300秒である。
【0045】
接続フィルム40のゴム層41は、熱圧着時に発光素子20の第1導電型電極22及び第2導電型電極23により突き破られる。そして、異方性導電接着層42の導電粒子43が発光素子20の第1導電型電極22及び第2導電型電極23と、配線基板30の第1電極32及び第2電極33との間に挟持され、異方性導電接着層42のバインダーが硬化することにより、異方性導電膜が形成される。
【0046】
第1の実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、配線基板の電極面にゴム層と接着層とを有する接続フィルムを配置し、ゴム層とチップ部品の電極面とを衝突させることにより、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができ、接続工程において、チップ部品がゴム層を突き破り、優れた導通性を得ることができる。
【0047】
第1の実施の形態では、配線基板上の全面に接続フィルムを貼り付けることとしたが、例えばマストランスファー技術を用いて、接続フィルムの個片を配線基板上の電極位置に転写してもよい。接続フィルムを全面貼付ではなく、チップ部品が飛ばされる位置のみに選択的に貼ることにより、例えば発光素子アレイの透明性を向上させることができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、ゴム層と接着層とを有する接続フィルムを配線基板に配置したが、ゴム層をチップ部品の電極面に配置し、接着層を配線基板に配置してもよい。
【0049】
すなわち、第2の実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、前記基材側からレーザー光を照射してチップ部品を配線基板側に着弾させる着弾工程と、チップ部品と配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、接着層を有し、チップ部品が、電極面にゴム層を有し、着弾工程では、配線基板の電極面に接続フィルムが配置され、接着層とチップ部品のゴム層とを衝突させる。
【0050】
以下、第1の実施の形態と同様に、接続構造体の製造方法として、LEDチップである発光素子をパネル基板である配線基板に複数個配列させて発光素子アレイを構成する表示装置の製造方法における着弾工程(A2)、及び接続工程(B2)について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
[着弾工程(A2)]
図5は、基材に設けられ、電極面にゴム層を有する発光素子と、配線基板上の異方性導電接着層とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。図5に示すように、先ず、着弾工程(A2)では、チップ部品基板10と配線基板30とを対向させる。
【0052】
チップ部品基板10は、基材11とリリース材12と発光素子20とを備え、リリース材12表面に発光素子20が貼り付けられている。また、発光素子20の電極面には、ゴム層51が貼り付けられている。ゴム層51は、第1の実施の形態におけるゴム層41と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
接続フィルム50は、異方性導電接着層52からなり、配線基板30の第1電極32上及び第2電極33上の位置に貼り付けられている。異方性導電接着層22は、第1の実施の形態における異方性導電接着層42と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
着弾工程(A2)において、発光素子20に貼り付けられたゴム層51は、超高速で打ち出された発光素子20が異方性導電接着層52に着弾する際の衝撃を緩和させ、発光素子20のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、高い着弾成功率を得ることができる。
【0055】
[接続工程(B2)]
接続工程(B2)では、配線基板30の所定位置に配列した発光素子20を実装させる。発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法は、第1の実施の形態と同様である。発光素子20に貼り付けられたゴム層51は、熱圧着時に発光素子20の第1導電型電極22及び第2導電型電極23により突き破られる。そして、異方性導電接着層52の導電粒子53が発光素子20の第1導電型電極22及び第2導電型電極23と、配線基板30の第1電極32及び第2電極33との間に挟持され、異方性導電接着層52のバインダーが硬化することにより、異方性導電膜が形成される。
【0056】
第2の実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、チップ部品の電極面にゴム層を配置し、配線基板の電極面に接着層からなる接続フィルムを配置し、ゴム層と接続フィルムとを衝突させることにより、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができ、接続工程において、チップ部品がゴム層を突き破り、優れた導通性を得ることができる。
【0057】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態では、ゴム層と接着層とを有する接続フィルムを配線基板に配置したが、接続フィルムをチップ部品の電極面に配置してもよい。
【0058】
すなわち、第3の実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、基材側からレーザー光を照射してチップ部品を配線基板側に着弾させる着弾工程と、チップ部品と配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、ゴム層と接着層とを有し、着弾工程では、チップ部品の電極面に接続フィルムが配置され、ゴム層と配線基板の電極面とを衝突させる。
【0059】
以下、第1の実施の形態と同様に、接続構造体の製造方法として、LEDチップである発光素子をパネル基板である配線基板に複数個配列させて発光素子アレイを構成する表示装置の製造方法における着弾工程(A3)、及び接続工程(B3)について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0060】
[着弾工程(A3)]
図6は、基材に設けられ、電極面に接続フィルムを有する発光素子と、配線基板とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。図6に示すように、先ず、着弾工程(A2)では、チップ部品基板10と配線基板30とを対向させる。
【0061】
チップ部品基板10は、基材11とリリース材12と発光素子20とを備え、リリース材12表面に発光素子20が貼り付けられている。また、発光素子20の電極面には、接続フィルム60が貼り付けられている。
【0062】
接続フィルム60は、ゴム層61と異方性導電接着層62とを有しており、ゴム層61側を配線基板30に対向させる。ゴム層61及び異方性導電接着層62は、第1の実施の形態におけるゴム層41及び異方性導電接着層42と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
着弾工程(A3)において、発光素子20が貼り付けられたゴム層61は、超高速で打ち出された発光素子20が配線基板30の電極面に着弾する際の衝撃を緩和させ、発光素子20のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、高い着弾成功率を得ることができる。
【0064】
[接続工程(B3)]
接続工程(B3)では、配線基板30の所定位置に配列した発光素子20を実装させる。発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法は、第1の実施の形態と同様である。発光素子20に貼り付けられたゴム層61は、熱圧着時に異方性導電接着層62の導電粒子63により突き破られる。そして、異方性導電接着層62の導電粒子63が発光素子20の第1導電型電極22及び第2導電型電極23と、配線基板30の第1電極32及び第2電極33との間に挟持され、異方性導電接着層62のバインダーが硬化することにより、異方性導電膜が形成される。
【0065】
第3の実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、チップ部品の電極面にゴム層と接着層とを有する接続フィルムを配置し、ゴム層と配線基板の電極面とを衝突させることにより、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができ、接続工程において、優れた導通性を得ることができる。
【0066】
[第4の実施の形態]
第1の実施の形態では、ゴム層と接着層とを有する接続フィルムを配線基板に配置したが、接着層をチップ部品の電極面に配置し、ゴム層を配線基板に配置してもよい。
【0067】
すなわち、第4の実施の形態に係る接続構造体の製造方法は、レーザー光に対して透過性を有する基材に設けられたチップ部品と、配線基板とを対向させ、基材側からレーザー光を照射してチップ部品を配線基板側に着弾させる着弾工程と、チップ部品と配線基板とを、接続フィルムを介して接続させる接続工程とを有し、接続フィルムが、接着層を有し、配線基板が、電極面にゴム層を有し、着弾工程では、チップ部品の電極面に接続フィルムが配置され、接着層と配線基板のゴム層とを衝突させる。
【0068】
以下、第1の実施の形態と同様に、接続構造体の製造方法として、LEDチップである発光素子をパネル基板である配線基板に複数個配列させて発光素子アレイを構成する表示装置の製造方法における着弾工程(A4)、及び接続工程(B4)について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0069】
[着弾工程(A4)]
図7は、基材に設けられ、電極面に異方性導電接着層を有する発光素子と、配線基板上のゴム層とを対向させた状態を模式的に示す断面図である。図7に示すように、先ず、着弾工程(A4)では、チップ部品基板10と配線基板30とを対向させる。
【0070】
チップ部品基板10は、基材11とリリース材12と発光素子20とを備え、リリース材12表面に発光素子20が貼り付けられている。また、発光素子20の電極面には、異方性導電接着層72からなる接続フィルム70が貼り付けられている。異方性導電接着層72は、第1の実施の形態における異方性導電接着層42と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
また、配線基板30の第1電極32上及び第2電極33上の位置には、ゴム層71が貼り付けられている。ゴム層71は、第1の実施の形態におけるゴム層41と同様であるため、説明を省略する
【0072】
着弾工程(A4)において、配線基板30に貼り付けられたゴム層71は、超高速で打ち出された発光素子20が着弾する際の衝撃を緩和させ、発光素子20のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、高い着弾成功率を得ることができる。
【0073】
[接続工程(B4)]
接続工程(B4)では、配線基板30の所定位置に配列した発光素子20を実装させる。発光素子20を配線基板30に熱圧着する方法は、第1の実施の形態と同様である。配線基板30に貼り付けられたゴム層71は、熱圧着時に異方性導電接着層72の導電粒子73により突き破られる。そして、異方性導電接着層72の導電粒子73が発光素子20の第1導電型電極22及び第2導電型電極23と、配線基板30の第1電極32及び第2電極33との間に挟持され、異方性導電接着層72のバインダーが硬化することにより、異方性導電膜が形成される。
【0074】
第4の実施の形態に係る接続構造体の製造方法によれば、チップ部品の電極面に接着層からなる接続フィルムを配置し、配線基板の電極面にゴム層を配置し、接着層とゴム層とを衝突させることにより、着弾工程において、チップ部品のずれ、変形、破壊、抜けなどの不良の発生を抑制し、チップ部品を高精度及び高効率に転写、配列させることができ、接続工程において、優れた導通性を得ることができる。
【0075】
<2.接続フィルム>
本実施の形態に係る接続フィルムは、ゴム層と、接着層とを有し、ゴム層の厚みが、0.5μm以上3.0μm以下である。これにより、例えばレーザー光によるマストランスファーを用いてチップ部品を配線基板に着弾させる場合の着弾率を向上させ、優れた導通性を得ることができる。
【0076】
接着層は、導電粒子を含有する異方性導電接着層であることが好ましい。これにより、チップ部品に半田バンプなどの接続部位が設けられていない場合でも、チップ部品と配線基板とを接続させることが可能となる。また、異方性導電接着層は、導電粒子を方向に整列して構成されていることが好ましく、導電粒子を厚み方向の配線基板側に偏在させることが好ましい。これにより、チップ部品の電極と配線基板の電極との間における導電粒子の捕捉性を向上させることができる。なお、チップ部品の電極が突起状などになり、配線基板の配線と電気的接続が得られる場合には、接着層は、導電粒子を含有しなくても構わない。
【0077】
図8は、接続フィルムの第1の構成例を模式的に示す断面図である。図8に示すように、接続フィルム40は、ゴム層41と、導電粒子43を含有する異方性導電接着層42とを有する。
【0078】
ゴム層41は、クッション性(衝撃吸収性)の高いエラストマーであれば特に限定されるものではなく、具体例として、例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系エラストマー)などを挙げることができる。これらの中でも、ゴム層41は、シリコーンゴム、アクリルゴムから選択される1種以上であることが好ましい。
【0079】
ゴム層41の厚みは、好ましくは0.5μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.5μm以上2.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上1.5μm以下である。ゴム層41の厚みが小さすぎると衝撃吸収性を得るのが困難となる傾向にあり、ゴム層41の厚みが小さすぎると導通性を得るのが困難となる傾向にある。
【0080】
ゴム層41のデュロメータA硬度は、好ましくは20~40、より好ましくは20~35、さらに好ましくは20~30である。デュロメータA硬度が高すぎる場合、ゴム層が硬すぎて、チップ部品の変形、破壊などの不良が発生し易くなる傾向にあり、デュロメータA硬度が低すぎる場合、ゴム層41が柔らかすぎて、チップ部品のずれなどの不良が発生し易くなる傾向にある。ゴム層41のデュロメータA硬度は、JIS K 6253に準拠し、デュロメータAを用いてゴム硬度(日本工業規格JIS-A硬度)で測定することができる。
【0081】
押し込み試験装置を用いた動的粘弾性試験の温度30℃、周波数200Hzにおけるゴム層41の貯蔵弾性率は、好ましくは60MPa以下、より好ましくは40MPa以下、さらに好ましくは30MPa以下である。温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率が高すぎる場合、レーザー照射で高速に弾き出されたチップ部品の衝撃を吸収できず、チップ部品の転写率が低下する傾向にある。温度30℃、周波数200Hzにおけるゴム層41の貯蔵弾性率は、押し込み試験装置を用い、例えば、直径100μmのフラットパンチを用い、目標押し込み深さを1μmとし、周波数1~200Hzの範囲を掃引して測定することができる。
【0082】
異方性導電接着層42は、導電粒子43を含有するいわゆる異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)であってもよい。導電粒子としては、公知の異方性導電フィルムにおいて使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば、ニッケル、銅、銀、金、パラジウム、半田などの金属粒子、ポリアミド、ポリベンゾグアナミン等の樹脂粒子の表面をニッケル、金などの金属で被覆した金属被覆樹脂粒子等を挙げることができる。これにより、チップ部品に半田バンプなどの接続部位が設けられていない場合でも、導通が可能となる。
【0083】
また、異方性導電接着層42は、導電粒子43を面方向に整列して構成されていることが好ましい。導電粒子が面方向に整列して構成されていることにより、粒子面密度が均一となり、非常に優れた導通性を得ることができる。また、異方性導電接着層42は、導電粒子43を厚み方向の配線基板側に偏在させることが好ましい。例えば、前述の第1の実施の形態では、異方性導電接着層42内の導電粒子43をゴム層41の面の反対の面側に偏在させてもよく、前述の第3の実施の形態では、異方性導電接着層42内の導電粒子43をゴム層41の面側に偏在させてもよい。これにより、チップ部品の電極と配線基板の電極との間における導電粒子の捕捉性を向上させることができる。
【0084】
導電粒子43の粒子径は、特に制限されないが、粒子径の下限は、1μm以上であることが好ましく、粒子径の上限は、例えば、接続構造体における導電粒子の捕捉効率の観点から、例えば50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。なお、導電粒子の粒子径は、画像型粒度分布計(一例として、FPIA-3000:マルバーン社製)により測定した値とすることができる。この個数は1000個以上、好ましくは2000個以上であることが好ましい。また、導電粒子の粒子面密度は、チップ部品の電極面積などに応じて決定することができ、例えば、500~140000pcs/mmの範囲とすることができる。
【0085】
異方性導電接着層42は、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含有する熱硬化型バインダーで構成されることが好ましい。熱硬化型バインダーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物、(メタ)アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合型樹脂組成物などが挙げられる。なお、(メタ)アクリレート化合物とは、アクリルモノマー(オリゴマー)、及びメタクリルモノマー(オリゴマー)のいずれも含む意味である。
【0086】
これらの熱硬化型バインダーの中でも、熱硬化性樹脂が、エポキシ化合物を含み、硬化剤が、熱カチオン重合開始剤であることが好ましい。これにより、レーザー光による硬化反応を抑制し、熱により速硬化させることができる。以下では、具体例として、膜形成樹脂と、エポキシ化合物と、熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物を例に挙げて説明する。
【0087】
膜形成樹脂としては、例えば平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000~80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂等の種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂を用いることが好ましい。異方性導電接着層における膜形成樹脂の含有量は、好ましくは20~50wt%、より好ましくは25~45wt%、さらに好ましくは30~40wt%である。
【0088】
エポキシ化合物は、分子内に1つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等であってもよく、ウレタン変性のエポキシ樹脂であっても構わない。これらの中でも、高純度ビスフェノールA型エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。高純度ビスフェノールA型エポキシ樹脂の具体例としては、例えば三菱ケミカル社製の商品名「YL980」を挙げることができる。異方性導電接着層におけるエポキシ化合物の含有量は、好ましくは10~55wt%、より好ましくは15~50wt%、さらに好ましくは20~45wt%である。
【0089】
熱カチオン重合開始剤としては、エポキシ化合物の熱カチオン重合開始剤として公知のものを採用することができ、例えば、熱により、カチオン重合型化合物をカチオン重合させ得る酸を発生するものであり、公知のヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、フェロセン類等を用いることができる。これらの中でも、温度に対して良好な潜在性を示す芳香族スルホニウム塩を好ましく使用することができる。芳香族スルホニウム塩系の重合開始剤の具体例としては、例えば三新化学工業株式会社製の商品名「SI-60L」を挙げることができる。異方性導電接着層における熱カチオン重合開始剤の含有量は、好ましくは1~20wt%、より好ましくは2~15wt%、さらに好ましくは3~12wt%である。
【0090】
なお、熱硬化型バインダーに配合する他の添加物として、必要に応じて、無機フィラー、シランカップリング剤、希釈用モノマー、充填剤、軟化剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤などを配合してもよい。
【0091】
無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。無機フィラーは、単独でも2種類以上を併用してもよい。異方性導電接着層における無機フィラーの含有量は、好ましくは1~30wt%、より好ましくは5~25wt%、さらに好ましくは10~20wt%である。無機フィラーを2種以上併用する場合、熱硬化型バインダー中の無機フィラーの含有量の合計が、上述した範囲内であることが好ましい。
【0092】
異方性導電接着層42の厚みの下限は、例えば導電粒子の粒子径と同じであってもよく、好ましくは導電粒子径の1.3倍以上もしくは3μm以上とすることができる。また、接続フィルムの厚みの上限は、例えば20μm以下もしくは導電粒子の粒子径の2倍以下とすることができる。また、接続フィルムは、導電粒子を含有していない接着剤層や粘着剤層を積層してもよく、その層数や積層面は、対象や目的に合わせて適宜選択することができる。また、接着剤層や粘着剤層の絶縁性樹脂としては、接続フィルムと同様のものを使用することができる。フィルム厚みは、公知のマイクロメータやデジタルシックネスゲージを用いて測定することができる。フィルム厚みは、例えば10箇所以上を測定し、平均して求めればよい。
【0093】
[変形例]
第1の構成例において、ゴム層は、内部に空隙を有することが好ましく、網状、突起状などの形状であることが好ましい。これにより、空気層により衝撃吸収性が向上し、チップ部品の着弾率を向上させることができる。また、チップ部品の接続時に、チップ部品がゴム層を突き破り易くなるため、優れた導通抵抗を得ることができる。
【0094】
図9(A)は、加工により内部に空隙を有する2枚のゴム層を示す平面図であり、図9(B)は、接続フィルムの第2の構成例を模式的に示す断面図である。図9に示すように、第2の構成例としての接続フィルム80は、ゴム層81と、導電粒子83を含有する異方性導電接着層82とを有する。ゴム層81は、第1のゴム層81Aと第2のゴム層81Bとを積層してなり、例えば網目形状(メッシュ型)からなる。第1のゴム層81A及び第2のゴム層81Bは、例えば複数の凸状の型を用いてゴムを硬化させることにより、表面に複数の穴が形成されている。また、ゴム層81は、メッシュ型ではなく、例えば多孔層であってもよい。なお、異方性導電接着層82は、異方性導電接着層42と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
図10は、接続フィルムの第3の構成例を模式的に示す断面図である。図10に示すように、第3の構成例としての接続フィルム90は、ゴム層91と、導電粒子93を含有する異方性導電接着層92とを有する。ゴム層91は、例えば、突起形状(突起型)であり、例えば複数の凸状の型を用いてゴムを硬化させることにより、表面に複数の穴が形成されている。なお、異方性導電接着層92は、異方性導電接着層42と同様であるため、説明を省略する。
【0096】
変形例のように、ゴム層が内部に空隙を有することにより、衝撃吸収性が向上し、チップ部品の着弾率を向上させることができる。また、ゴム層の突き破り性が向上し、優れた導通抵抗を得ることができる。
【実施例0097】
<3.実施例>
実施例では、石英ガラスに設けられたチップ部品とガラス基板に設けられた接続フィルムとを対向させ、基材側からレーザー光を照射してチップ部品を接続フィルム上に着弾させ、着弾性を評価した。また、接続構造体を作製し、導通性を評価した。なお、本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0098】
[異方性導電接着層の作製]
下記材料を準備した。
フェノキシ樹脂(商品名:PKHH、巴化学工業株式会社製)
高純度ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:YL-980、三菱ケミカル株式会社製)
疎水性シリカ(商品名:RY200、日本アエロジル株式会社製)
カチオン重合開始剤(商品名:SI-60L、三新化学工業株式会社製)
導電粒子(平均粒径3μm、樹脂コア金属被覆微粒子、Niメッキ0.2μm厚、積水化学工業株式会社製)
【0099】
表2に示すように各材料を所定質量部配合し、厚み0.5mmのガラス基板上に厚み6μmの異方性導電接着層を作製した。異方性導電接着層は、例えば、特許第6187665号記載の方法により、バインダー層の一方の面に粒子面密度が58000pcs/mmとなるように導電粒子を整列させた。
【0100】
【表2】
【0101】
[チップ部品の着弾性の評価]
リスト装置(MT-30C200)を用いて、石英ガラスに設けられたチップ部品をガラス基板上の接続フィルムに着弾させた。チップ部品(外形30×50μm、厚み5μm、電極厚み2μm)は、TEG(Test Element Group)を用い、石英ガラスとチップ部品との間にリリース材(ポリイミド)を設けた。
【0102】
前述のように、リスト装置は、レーザー装置から出射されたパルスレーザ光を平行光にするテレスコープと、テレスコープを通過したパルスレーザ光の空間強度分布を均一に整形する整形光学系と、整形光学系により整形されたパルスレーザ光を所定のパターンにて通過させるマスクと、整形光学系とマスクとの間に位置するフィールドレンズと、マスクのパターンを通過したレーザー光をドナー基板に縮小投影する投影レンズとを備えており、ドナー基板であるチップ部品がリリース材で保持された石英基板をドナーステージに保持し、レセプター基板である接続フィルムが貼付されたガラス基板をレセプターステージに保持し、チップ部品と接続フィルムとの間の距離を100μmとした。
【0103】
レーザー装置は、発振波長を248nmとするエキシマレーザーを用いた。レーザー光のパルスエネルギーは、600J、フルーエンス(fluence)は150J/cm、パルス幅(照射時間)は30000ピコ秒、パルス周波数は0.01kHz、照射パルス数は各ACF1小片につき1パルスとした。異方性導電接着層と基材との界面に照射される結像されるレーザー光のパルスエネルギーは、0.001~2Jであり、フルーエンス(fluence)は、0.001~2J/cmであり、パルス幅(照射時間)は、0.01~1×10ピコ秒であり、パルス周波数は、0.1~10000Hzであり、照射パルス数は、1~30,000,000であった。
【0104】
マスクは、ドナー基板である石英ガラスとリリース材の境界面における投影が、チップ部品の外形30×50μmとなるように、所定ピッチで所定サイズの窓の配列が形成されたパターンを用いた。
【0105】
合計100個のチップ部品を接続フィルムに転写し、接続フィルム上に正常に着弾されているチップ部品の個数を顕微鏡によりカウントした。正常に着弾されたチップ部品の割合は、90%以上であることが望まれる。
【0106】
[接続構造体の作製]
チップ部品を配線基板の接続フィルム上に着弾させ、温度170℃-圧力10Mpa-時間30secの条件で熱圧着し、接続構造体を作製した。チップ部品(外形50μm×50μm、厚み150μm)は、チップ部品に1対の電極(Cr/Au-plated bump 12μm×12μm)設けているTEG(Test Element Group)を用いた。配線基板は、ガラス基板(厚み0.5mm、Ti/Al/Ti pattern 12μm×12μm)を用いた。
【0107】
[導通性の評価]
配線基板側の導通配線を用いて、接続構造体の導通抵抗を測定した。導通性の評価は、抵抗値に応じて下記A~Dの判定とした。C判定以上あることが望まれる。
A:50Ω以下
B:50Ω超100Ω以下
C:100Ω超200Ω以下
D:200Ω超
【0108】
[実施例1]
シリコーン(商品名:STP-106T-UV、信越化学工業株式会社製)を塗布した後、UV(ultraviolet)硬化させ、厚み1μmのシリコーンゴム層を作製した。そして、厚み6μmの異方性導電接着層の表面に、厚み1μmのシリコーンゴム層を貼り合わせ、接続フィルムとした。
【0109】
また、シリコーンゴムについて、JIS K 6253に準拠し、デュロメータAを用いてゴム硬度(日本工業規格JIS-A硬度)を測定した。その結果、ゴム硬度は30であった。また、シリコーンゴムについて、押し込み試験装置(KLA社製iMicro型ナノインデンター)を用いて、動的粘弾性試験を行った。直径100μmのフラットパンチを用い、目標押し込み深さを1μmとし、周波数1~200Hzの範囲を掃引し、温度30℃、周波数200Hzにおける貯蔵弾性率を測定した。サンプルのポアソン比を0.5とし、各サンプルの測定点数12の平均値を算出した。その結果、貯蔵弾性率は27MPaであった。
【0110】
表3に示すように、チップ部品を接続フィルムのシリコーンゴム層上に着弾させたときのチップ着弾率は、98%であった。また、接続フィルムを介してチップ部品と配線基板とを熱圧着させた接続構造体の導通抵抗の評価は、「B」であった。
【0111】
[実施例2]
厚み0.5μmのシリコーンゴム層を作製した以外は、実施例1と同様に接続フィルムを作製した。
【0112】
表3に示すように、チップ部品を接続フィルムのシリコーンゴム層上に着弾させたときのチップ着弾率は、90%であった。また、接続フィルムを介してチップ部品と配線基板とを熱圧着させた接続構造体の導通抵抗の評価は、「A」であった。
【0113】
[実施例3]
厚み2.0μmのシリコーンゴム層を作製した以外は、実施例1と同様に接続フィルムを作製した。
【0114】
表3に示すように、チップ部品を接続フィルムのシリコーンゴム層上に着弾させたときのチップ着弾率は、100%であった。また、接続フィルムを介してチップ部品と配線基板とを熱圧着させた接続構造体の導通抵抗の評価は、「C」であった。
【0115】
[実施例4]
シリコーン(商品名:STP-106T-UV、信越化学工業株式会社製)を厚み1μm塗布した後、凸型のエンボスで直径1μmの穴を多数加工し、UV(ultraviolet)硬化させ、シリコーンゴム層を作製した。そして、厚み6μmの異方性導電接着層の表面に、合計厚みが2μmとなるように2枚のシリコーンゴム層を調整して貼り合わせ(メッシュ型)、接続フィルムとした。
【0116】
表3に示すように、チップ部品を接続フィルムのシリコーンゴム層上に着弾させたときのチップ着弾率は、100%であった。また、接続フィルムを介してチップ部品と配線基板とを熱圧着させた接続構造体の導通抵抗の評価は、「A」であった。
【0117】
[実施例5]
シリコーン(商品名:STP-106T-UV、信越化学工業株式会社製)を所定厚みに塗布した後、凸型のエンボスで直径1μmの穴を多数加工し、UV(ultraviolet)硬化させ、突起高さが1μm以上、合計厚みが2μmとなるシリコーンゴム層を作製した。そして、厚み6μmの異方性導電接着層の表面に、シリコーンゴム層を貼り合わせ(突起型)、接続フィルムとした。
【0118】
表3に示すように、チップ部品を接続フィルムのシリコーンゴム層上に着弾させたときのチップ着弾率は、100%であった。また、接続フィルムを介してチップ部品と配線基板とを熱圧着させた接続構造体の導通抵抗の評価は、「A」であった。
【0119】
[比較例1]
異方性導電接着層の表面にシリコーンゴム層を貼り合わせず、厚み6μmの異方性導電接着層のみを接続フィルムとした。
【0120】
表3に示すように、チップ部品を異方性導電接着層上に着弾させたときのチップ着弾率は、20%であった。また、接続フィルムを介してチップ部品と配線基板とを熱圧着させた接続構造体の導通抵抗の評価は、「A」であった。
【0121】
[比較例2]
シリコーン(商品名:STP-106T-UV、信越化学工業株式会社製)80質量部に対し、導電粒子(平均粒径3μm、樹脂コア金属被覆微粒子、Niメッキ0.2μm厚、積水化学工業株式会社製)を20質量部配合し、厚み0.5mmのガラス基板上に塗布・UV硬化させ、厚み6μmの導電粒子含有シリコーンゴム層を作製し、これを接続フィルムとした。
【0122】
表3に示すように、チップ部品を導電粒子含有シリコーンゴム層上に着弾させたときのチップ着弾率は、100%であった。また、接続フィルムを介してチップ部品と配線基板とを熱圧着させた接続構造体の導通抵抗の評価は、「D」であった。
【0123】
【表3】
【0124】
表3に示すように、比較例1では、異方性導電接着層上にシリコーンゴム層が設けられていないため、チップ着弾率が低かった。比較例2では、接続フィルムが導電粒子含有シリコーンゴム層であるため、導通抵抗の評価が悪かった。
【0125】
一方、実施例1~5では、異方性導電接着層上にシリコーンゴム層が設けられているため、高いチップ着弾率を得ることができた。また、実施例4、5では、シリコーンゴム層が、メッシュ型、突起型など、内部に空隙を有するため、チップ部品がシリコーンゴム層を突き破り易く、良好な導通抵抗の評価を得ることができた。
【符号の説明】
【0126】
10 チップ部品基板、11 基材、12 リリース材、20 発光素子、21 本体、22 第1導電型電極、23 第2導電型電極、30 配線基板、31 基材、32 第1電極、33 第2電極、40 接続フィルム、41 ゴム層、42 異方性導電接着層、50 接続フィルム、51 ゴム層、52 異方性導電接着層、60 接続フィルム、61 ゴム層、62 異方性導電接着層、70 接続フィルム、71 ゴム層、72 異方性導電接着層、80 接続フィルム、81 ゴム層、82 異方性導電接着層、83 導電粒子、90 接続フィルム、91 ゴム層、92 異方性導電接着層、93 導電粒子、101 LED、102 転写材、103 スタンプ材、104 パネル基板、105 接続フィルム、111 LED、112 転写材、113 リリース材、114 パネル基板、115 接続フィルム
図1
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