(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017506
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】隠蔽膜を形成するための組成物並びにそれを製造及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/25 20060101AFI20220118BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220118BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220118BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20220118BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20220118BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q1/00
A61Q19/00
A61K8/31
A61K8/89
A61K8/894
【審査請求】未請求
【請求項の数】43
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180907
(22)【出願日】2021-11-05
(62)【分割の表示】P 2018118213の分割
【原出願日】2010-12-14
(31)【優先権主張番号】61/316,587
(32)【優先日】2010-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/290,772
(32)【優先日】2009-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】プライアー,ジェームズ・ニール
(72)【発明者】
【氏名】ミコス,ディミトリウス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AC012
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB25
4C083DD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スキンケア製品(例えばスキンクリーム)として用いるのに好適な組成物、および該組成物を製造及び使用する方法を提供する。
【解決手段】粒子状材料22;並びに非揮発性成分;及び揮発性成分;を含む流体相21;を含み、被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆組成物である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状
材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の
測定値に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するような
パーセントの粒子状材料を含む被覆組成物。
【請求項2】
粒子状材料が有機又は無機粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
粒子状材料がシリカ粒子を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の
最大光学性能比の25%以内の範囲の光学性能比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の
最大光学性能比の20%以内の範囲の光学性能比を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
最大光学性能比が少なくとも約4.0である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
最大光学性能比が少なくとも約4.5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
粒子状材料が被覆組成物の全重量を基準として約1~約80重量%を構成する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項9】
粒子状材料が被覆組成物の全重量を基準として約1~約50重量%を構成する、請求項
1に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の組成物を含む膜。
【請求項11】
膜が最外側の粗い表面を有する実質的に透明の連続膜を含む、請求項10に記載の膜。
【請求項12】
外側皮膚表面を有する皮膚;及び
外側皮膚表面上の請求項1に記載の組成物;
を含む多層物品。
【請求項13】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、被覆が少なくとも約4.0の光
学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆組成物。
【請求項14】
最大光学性能比が4.5より大きい、請求項13に記載の被覆組成物。
【請求項15】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の
重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合
する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さいか
又は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物。
【請求項16】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導
関数の最小値をとることによって求められるL値よりも15%小さいか又は大きい範囲の
L値を有する、請求項15に記載の被覆組成物。
【請求項17】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導
関数の最小値をとることによって求められるL値よりも10%小さいか又は大きい範囲の
L値を有する、請求項15に記載の被覆組成物。
【請求項18】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み;
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の
重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適
合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小さ
いか又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物。
【請求項19】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次
導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大きい範
囲の多孔度を有する、請求項18に記載の被覆組成物。
【請求項20】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次
導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも20%小さいか又は大きい範
囲の多孔度を有する、請求項18に記載の被覆組成物。
【請求項21】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料
の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることに
よって求められる多孔度よりも30%小さいか又は大きい範囲の多孔度を有するような重
量%の粒子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
【請求項22】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次
導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大きい範
囲の多孔度を有する、請求項21に記載の透明被覆。
【請求項23】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料
の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによ
って求められるL値よりも20%小さいか又は大きい範囲のL値を有するような重量%の
粒子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
【請求項24】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導
関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さいか又は大きい範囲の
L値を有する、請求項23に記載の透明被覆。
【請求項25】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の
重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値
に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセ
ントの粒子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
【請求項22】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の
一次導関数の最小値をとることによって求められる光学性能比よりも25%小さいか又は
大きい範囲の光学性能比を有する、請求項21に記載の透明被覆。
【請求項28】
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、被覆が少なくとも約4.0の光学性能比を有するようなパーセントの粒
子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
【請求項29】
最大光学性能比が4.5より大きい、請求項28に記載の透明被覆組成物。
【請求項30】
外側皮膚表面上に、
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含む組成物を適用することを含む皮膚の欠陥を隠蔽する方法であって、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の
重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適
合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小さ
いか又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む上記方法。
【請求項31】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次
導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大きい範
囲の多孔度を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
外側皮膚表面上に、
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含む組成物を適用することを含む皮膚の欠陥を隠蔽する方法であって、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の
重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値
に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセ
ントの粒子状材料を含む上記方法。
【請求項33】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の
最大光学性能比の25%以内の範囲の光学性能比を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の
最大光学性能比の20%以内の範囲の光学性能比を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
外側皮膚表面上に、
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含む組成物を適用することを含む皮膚の欠陥を隠蔽する方法であって、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、被覆が少なくとも約4.0の光
学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む上記方法。
【請求項36】
最大光学性能比が4.5より大きい、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の
重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適
合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小さ
いか又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む上記方法。
【請求項38】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次
導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大きい範
囲の多孔度を有する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆組成物が、基質上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の
重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合
する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さいか
又は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒子状材料を含む上記方法。
【請求項40】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導
関数の最小値をとることによって求められるL値よりも15%小さいか又は大きい範囲の
L値を有する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料
の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内
の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む上記方法。
【請求項42】
被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の
最大光学性能比の25%以内の範囲の光学性能比を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆組成物が、被覆が少なくとも約40の光学性能比を有するようなパーセントの粒子
状材料を含む上記方法。
【請求項44】
最大光学性能比が4.5より大きい、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、化粧ケア製品(例えばスキンクリーム)として用いるのに好適な組成
物に関する。本発明は更に、化粧ケア製品として用いるのに好適な組成物を製造及び使用
する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]シワや他の皮膚の欠陥を隠蔽する能力を有する化粧クリームが広く用いられてい
る。幾つかのクリームは、皮膚の凹みを物理的に充填して滑らかな皮膚の外観を与えるこ
とによってこの課題を達成している。シワ及び他の皮膚の欠陥を隠蔽する他の方法は、光
拡散によって欠陥を隠蔽することができる膜を皮膚表面上に形成することである。この方
法によれば、膜内に存在する粒子が光を散乱させて、下側の皮膚の拡散性の外観を生起さ
せる。この拡散性の外観のために、滑らかな皮膚の知覚が生起し、望まれない皮膚の欠陥
が隠蔽される。
【0003】
[0003]化粧用途のために光拡散性顔料を用いることが、Quantification of the Soft F
ocus Effect, Cosmetics & Toiletries, (Ralf Emmert), vol.111, pp.57-61 (1996)(以
下、「Emmert論文」)に記載されている。Emmert論文においては、シリカの屈折率(RI
=1.46)の化粧油のもの(RI=1.45~1.60)との類似性のために、光拡散
性化粧品中にシリカを用いることは行われていない。Emmert論文は、所望の光学効果(即
ち最大の光散乱)を生成させるためにはビヒクルと粒子との間の屈折率の大きな差が必要
であるという従来の考えと合致している。
【0004】
[0004]更に、光拡散性顔料の使用に関する従来の考え方は、膜内の光散乱を最大にする
ために光拡散性顔料を組成物に装填するというものである。
図1にこの原理を示す。
図1
に示すように、代表的な膜10は、ビヒクルマトリクス11を、その中に分散している光
拡散性顔料/粒子12と共に含む。光13が上表面14を通して膜10に入ると、矢印1
5によって示されるように光拡散性顔料/粒子によって光13が散乱する。上表面14の
表面の滑らかさを考えると、上表面14においては、代表的な膜10内で起こる膜内光散
乱の量と比べて非常に小さい光散乱しか起こらない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Quantification of the Soft Focus Effect, Cosmetics & Toiletries, (Ralf Emmert), vol.111, pp.57-61 (1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0005]シワ及び他の皮膚の欠陥を隠蔽する新しいアプローチを開発する努力が継続され
ている。膜又は被覆の厚さに依存しない所望の隠蔽性を有する膜及び被覆を製造するよう
に容易に配合される隠蔽組成物を開発する努力が継続されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0006]本発明は、シワ及び他の皮膚の欠陥を隠蔽する能力を有する化粧ケア製品として
用いるのに好適な組成物を見出すことに関する。本組成物は種々の用途において用いるこ
とができるが、シワ及び他の欠陥を隠蔽することができる化粧ケア製品(即ち皮膚及びケ
ラチン支持体上に適用される組成物)として特に有用である。
【0008】
[0007]開示される組成物は、少なくとも1種類の非揮発性成分及び少なくとも1種類の
揮発性成分を含む流体相内の粒子状材料(例えば、金属酸化物粒子、ポリマー粒子等)を
含む。支持体(例えば皮膚又はケラチン)上に適用すると、開示されている組成物は、望
ましくは、支持体の自然な調子(例えば自然の皮膚の調子)を膜を通して見ることを可能
にしながら、支持体内のシワ及び他の欠陥を隠蔽することができる連続的な透明膜を形成
する。更に、粗い最外側の表面を有することにより、連続的な透明膜は膜表面における光
の散乱が可能であり、膜内の光散乱に頼らない。他の態様においては、被覆は、望ましい
隠蔽効果をなお与えながら支持体を認識できるような透明なものである。
【0009】
[0008]粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被覆組成
物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を
基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合す
る曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒
子状材料を含む被覆組成物を使用することが見出された。この代表的な態様は、支持体(
例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗
さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0010】
[0009]更に、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被
覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、被覆が少なくとも約4.0の光学
性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆組成物を使用することが見出さ
れた。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠
蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0011】
[0010]更に、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被
覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重
量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合
する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小さい
か又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物を使用す
ることが見出された。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に膜として適用した
際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物を与え
る。
【0012】
[0011]更に、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被
覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重
量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合す
る曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さいか又
は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物を使用すること
が見出された。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、
優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0013】
[0012]種々の粒子状材料を用いて本発明の隠蔽組成物及び膜を形成することができるが
、幾つかの態様においては、組成物/膜中に存在する非揮発性成分のものと同等の屈折率
を有する粒子を使用することによって、得られる膜において向上した隠蔽性が得られるこ
とが見出された。これらの態様においては、膜内の粒子は光散乱物質としては実質的に効
果がないが、適当量の1種類又は複数の非揮発性物質と共に膜中に含ませると、得られる
膜は、膜の平坦でない(即ち粗い)最外側の表面の結果としての透過光の散乱によって所
望の隠蔽性を有する。光散乱を膜の最外側表面に制限することにより、膜の隠蔽性は膜厚
さに依存しない。したがって、皮膚又はケラチン支持体の上に適用した膜は、望ましくは
、膜厚さがさほど均一でない場合であっても、隠蔽性及び反射率の両方において非常に均
一な外観を支持体に与える。
【0014】
[0013]膜内の光散乱に対して膜の最外側表面における光散乱から得られる他の利益は、
粗い膜の隠蔽性が、膜内光散乱が主要な機構である膜と比べた際に、膜組成物中の粒子濃
度にあまり依存しないことである。したがって、本発明によれば、組成物/膜配合物質に
対して、(1)与えられた組成物内で粒子状材料の量を変化させ、及び(2)他の成分(
例えば、軟化剤、香料、可溶性ポリマー等)を与えられた組成物中に含ませるより大きな
自由度が可能になる。
【0015】
[0014]1つの代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む
流体相を含み;被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異な
る粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の最大光学性能比
の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆の使
用に関する。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に、優れた隠蔽性及び所望の
程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する被覆を与える。本発明は更に、本発明の組成
物を使用する方法に関する。隠蔽性の被覆組成物は、皮膚など(しかしながらこれに限定
されない)の生物及び非生物支持体のような種々の支持体上に形成することができる。
【0016】
[0015]他の代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流
体相を含み;被覆組成物が、被覆が少なくとも約4.0の光学性能比を有するようなパー
セントの粒子状材料を含む被覆の使用に関する。この代表的な態様は、支持体(例えば皮
膚)上に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する被覆を与
える。
【0017】
[0016]本発明の更なる代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含み;被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被
覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次導関数
の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小さいか又は大きい範囲の多
孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆に関する。本発明の組成物には、脱イ
オン水、保湿剤、軟化剤、香料、可溶性ポリマー、固化ポリマー、又はこれらの任意の組
合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の更なる成分を更に含ませ
ることができる。
【0018】
[0017]本発明の他の代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分
を含む流体相を含み;被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆
が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導関数の最
小値をとることによって求められるL値よりも20%小さいか又は大きい範囲のL値を有
するような重量%の粒子状材料を含む被覆に関する。
【0019】
[0018]本発明はまた、表面の欠陥を隠蔽することができる組成物を製造する方法にも関
する。1つの代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに非
揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成物
は、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基
準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する
曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子
状材料を含む。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に、優れた隠蔽性及び所望
の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する被覆を与える。
【0020】
[0019]他の代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに非
揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成物
は、被覆が少なくとも約4.0の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含
む。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最
外側表面の粗さ及び透明性を有する被覆を与える。
【0021】
[0020]他の代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに非
揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成物
は、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基
準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小さいか又は大
きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む。組成物の製造方法には、脱
イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、又はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれら
に限定されない)の1種類以上の更なる成分を混合物中に含ませることを更に含ませるこ
とができる。
【0022】
[0021]更なる代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成
物は、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を
基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さいか又は大き
い範囲のL値を有するような重量%の粒子状材料を含む。組成物の製造方法には、脱イオ
ン水、保湿剤、軟化剤、香料、又はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれらに限
定されない)の1種類以上の更なる成分を混合物中に含ませることを更に含ませることが
できる。
【0023】
[0022]本発明は更に、支持体、及び支持体の外表面上の発明の組成物を含む多層物品に
関する。1つの代表的な態様においては、多層物品は、外側皮膚表面;及び外側皮膚表面
上のここに開示する隠蔽組成物を有する皮膚を含む。
【0024】
これに限定されるものではないが、本発明は以下の態様の発明を包含する。
[1]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子
状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比
の測定値に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するよう
なパーセントの粒子状材料を含む被覆組成物。
[2]粒子状材料が有機又は無機粒子を含む、[1]に記載の組成物。
[3]粒子状材料がシリカ粒子を含む、[2]に記載の組成物。
[4]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲
線の最大光学性能比の25%以内の範囲の光学性能比を有する、[1]に記載の組成物。
[5]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲
線の最大光学性能比の20%以内の範囲の光学性能比を有する、[1]に記載の組成物。
[6]最大光学性能比が少なくとも約4.0である、[1]に記載の組成物。
[7]最大光学性能比が少なくとも約4.5である、[1]に記載の組成物。
[8]粒子状材料が被覆組成物の全重量を基準として約1~約80重量%を構成する、[
1]に記載の組成物。
[9]粒子状材料が被覆組成物の全重量を基準として約1~約50重量%を構成する、[
1]に記載の組成物。
[10][1]に記載の組成物を含む膜。
[11]膜が最外側の粗い表面を有する実質的に透明の連続膜を含む、[10]に記載の
膜。
[12]外側皮膚表面を有する皮膚;及び
外側皮膚表面上の[1]に記載の組成物;
を含む多層物品。
[13]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、被覆が少なくとも約4.0の
光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆組成物。
[14]最大光学性能比が4.5より大きい、[13]に記載の被覆組成物。
[15]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料
の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適
合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さい
か又は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物。
[16]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の
一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも15%小さいか又は大きい
範囲のL値を有する、[15]に記載の被覆組成物。
[17]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の
一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも10%小さいか又は大きい
範囲のL値を有する、[15]に記載の被覆組成物。
[18]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み;
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料
の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に
適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小
さいか又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物。
[19]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大
きい範囲の多孔度を有する、[18]に記載の被覆組成物。
[20]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも20%小さいか又は大
きい範囲の多孔度を有する、[18]に記載の被覆組成物。
[21]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料
の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることに
よって求められる多孔度よりも30%小さいか又は大きい範囲の多孔度を有するような重
量%の粒子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
[22]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大
きい範囲の多孔度を有する、[21]に記載の透明被覆。
[23]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料
の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによ
って求められるL値よりも20%小さいか又は大きい範囲のL値を有するような重量%の
粒子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
[24]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の
一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さいか又は大きい
範囲のL値を有する、[23]に記載の透明被覆。
[25]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料
の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定
値に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパー
セントの粒子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
[22]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する
曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる光学性能比よりも25%小さい
か又は大きい範囲の光学性能比を有する、[21]に記載の透明被覆。
[28]粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含み、
被覆組成物が、被覆が少なくとも約4.0の光学性能比を有するようなパーセントの粒
子状材料を含む、皮膚の欠陥を隠蔽するための透明被覆。
[29]最大光学性能比が4.5より大きい、[28]に記載の透明被覆組成物。
[30]外側皮膚表面上に、
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含む組成物を適用することを含む皮膚の欠陥を隠蔽する方法であって、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料
の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に
適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小
さいか又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む上記方法。
[31]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大
きい範囲の多孔度を有する、[30]に記載の方法。
[32]外側皮膚表面上に、
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含む組成物を適用することを含む皮膚の欠陥を隠蔽する方法であって、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料
の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定
値に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内の範囲の光学性能比を有するようなパー
セントの粒子状材料を含む上記方法。
[33]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する
曲線の最大光学性能比の25%以内の範囲の光学性能比を有する、[32]に記載の方法
。
[34]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する
曲線の最大光学性能比の20%以内の範囲の光学性能比を有する、[32]に記載の方法
。
[35]外側皮膚表面上に、
粒子状材料;並びに
非揮発性成分;及び
揮発性成分;
を含む流体相;
を含む組成物を適用することを含む皮膚の欠陥を隠蔽する方法であって、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、被覆が少なくとも約4.0の
光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む上記方法。
[36]最大光学性能比が4.5より大きい、[35]に記載の方法。
[37]粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料
の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に
適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%小
さいか又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む上記方法。
[38]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも25%小さいか又は大
きい範囲の多孔度を有する、[37]に記載の方法。
[39]粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料
の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適
合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%小さい
か又は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒子状材料を含む上記方法。
[40]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の
一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも15%小さいか又は大きい
範囲のL値を有する、[39]に記載の方法。
[41]粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料
の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の最大光学性能比の30%以内
の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む上記方法。
[42]被覆が、異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する
曲線の最大光学性能比の25%以内の範囲の光学性能比を有する、[41]に記載の方法
。
[43]粒子状材料を与え;
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を与える;
ことを含む被覆組成物の製造方法であって、
被覆組成物が、被覆が少なくとも約40の光学性能比を有するようなパーセントの粒子
状材料を含む上記方法。
[44]最大光学性能比が4.5より大きい、[43]に記載の方法。
[0023]本発明のこれらの及び他の特徴及び有利性は、開示されている態様の以下の詳細
な記載及び特許請求の範囲を検討した後には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】[0024]
図1は、膜内光散乱を最大にするための代表的な従来の光拡散性顔料/粒子装填膜を示す。
【
図2】[0025]
図2は、本発明の代表的な粒子又は粒子状材料を装填した膜を示す。
【
図3】[0026]
図3(a)~(c)は、異なる粒子状材料の装填量を有する被覆又は膜を示す。
【
図4】[0027]
図4は、本発明の代表的な粒子又は粒子状材料を装填した膜に関する光学性能比の測定値のグラフを示す。
【
図5】[0028]
図5は、本発明の代表的な粒子又は粒子状材料を装填した膜に関する光学性能比の測定値のグラフを示す。
【
図6】[0029]
図6は、本発明の代表的な粒子又は粒子状材料を装填した膜に関する多孔度の測定値のグラフを示す。
【
図7】[0030]
図7は、本発明の代表的な粒子又は粒子状材料を装填した膜に関するL値の測定値のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[0031]本発明の原理の理解を促進するために、以下において本発明の特定の態様を説明
し、特定の用語を用いて特定の態様を説明する。しかしながら、特定の用語を用いること
によって本発明の範囲を限定する意図はないことが理解されるであろう。議論される本発
明の原理の変更、更なる修正、及びかかる更なる適用は、本発明が属する技術の当業者が
通常的に想到するものであると考えられる。
【0027】
[0032]本明細書及び特許請求の範囲において用いる単数形「a」、「and」、及び「the
」は、記載が他に明確に示さない限り複数の指示物を包含することに注意すべきである。
而して、例えば「酸化物」という記載は複数のかかる酸化物を包含し、「酸化物」という
記載は1種類以上の酸化物及び当業者に公知のその均等物などの記載を包含する。
【0028】
[0033]例えば本発明の幾つかの態様の説明において用いる組成物中の成分の量、濃度、
体積、プロセス温度、プロセス時間、回収率又は収率、流速、及び同様の値、並びにそれ
らの範囲を修飾する「約」は、例えば通常の測定及び取り扱い手順を通して;これらの手
順における偶然のエラーを通して;方法を実施するために用いる成分における差;並びに
同様の近似考慮事項;を通して起こる可能性のある数量の変動を指す。「約」という用語
はまた、特定の初期濃度を有する配合物又は混合物の経時変化によって相違する量、並び
に特定の初期濃度を有する配合物又は混合物の混合又は処理によって相違する量も包含す
る。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲は
これらの量の均等範囲を包含する。
【0029】
[0034]本明細書において用いる「膜多孔度」という用語は、ASTM-D6583-0
4によって測定されるガラス上に形成された粒子状材料及び揮発性成分を含む膜の内部多
孔度を意味する。
【0030】
[0035]本明細書において用いる「流体」という用語は、揮発性及び非揮発性で天然及び
合成の流体を包含する気体、液体、及び超臨界流体を意味する。例としては、油、溶媒、
水、ポリマー、ワックス、グリセリン、他の液体、及びこれらの混合物が挙げられるが、
これらに限定されない。
【0031】
[0036]本明細書において用いる「L値」という用語は、本明細書において定義する膜又
は被覆の不透明性の尺度を意味する。透明な膜のL値は不透明な膜のものよりも低い。
[0037]本明細書において用いる「金属酸化物」とは、金属がカチオンであり酸化物がア
ニオンである二元酸素化合物として定義される。金属にはメタロイドも包含することがで
きる。金属としては、周期律表上のホウ素からポロニウムへ引かれる対角線の左側の元素
が挙げられる。メタロイド又は半金属としては、この線の右側にある元素が挙げられる。
金属酸化物の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等、及びこれらの混
合物が挙げられる。
【0032】
[0038]本明細書において用いる「光学性能比」という用語は、全反射率に対する拡散透
過率の比を意味し、材料又は被覆の隠蔽性及び透明性の尺度である。
[0039]本明細書において用いる「有機」材料は、炭素内容物を含み、天然又は合成であ
ってよい化合物又は材料を包含する。これらの材料は、ホモポリマー又はコポリマーであ
ってよい天然及び/又は合成ポリマーであってよく、バイオポリマー、フルオロポリマー
、ポリテルペン、フェノール樹脂、ポリ酸無水物、ポリエステル、ポリオレフィン、ラバ
ー、シリコーン、高吸水性ポリマー、ビニルポリマー、及びこれらの組合せが挙げられる
が、これらに限定されない。有機材料の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコーン等、及
びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
[0040]本明細書において用いる「隠蔽(obscuration)」という用語は、膜又は被覆を
用いて不均一又は欠陥を有する支持体の表面形状を隠蔽することを指す。
[0041]本明細書において用いる「粒子状材料」という用語は、例えばコロイド粒子を形
成するための溶液重合法、例えば溶融粒子を形成するための連続火炎加水分解法、例えば
ゲル化粒子を形成するためのゲル法、及び例えば沈殿粒子を形成するための沈殿法など(
しかしながらこれらに限定されない)の任意の公知の方法によって形成される多孔質又は
非多孔質の粒子を指す。粒子は、有機及び/又は無機材料及びこれらの組合せから構成す
ることができる。1つの代表的な態様においては、粒子は、金属酸化物、硫化物、水酸化
物、炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩等のような無機材料から構成されるが、好ましくは金属
酸化物である。粒子は、鎖状、棒状、又はラス形状などの種々の異なる対称、非対称、又
は不規則形状であってよい。粒子はアモルファス又は結晶質等をはじめとする異なる構造
を有していてよい。粒子は、異なる組成、寸法、形状、又は物理的構造を含むか、或いは
異なる表面処理の他は同じであってよい粒子の混合物を含んでいてよい。好ましくは、金
属酸化物粒子はアモルファスである。
【0034】
[0042]本明細書において用いる「多孔質粒子」という用語は、窒素ポロシメトリーによ
って測定して大きな内部多孔度、即ち約0.05cc/gより大きい多孔度を有する粒子
を意味し、「非多孔質」という用語は、内部多孔度が小さいか又は有しない、即ち約0.
05cc/g未満の内部多孔度を有する粒子を意味する。多孔質粒子の例としては、シリ
カゲル、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、ベーマイトアルミナ等が挙げられ、非多孔質粒
子の例としては、コロイダルシリカ、アルミナ、チタニア等が挙げられる。
【0035】
[0043]本明細書において用いる「光散乱」という用語又は他の電磁放射は、伝搬媒体又
は表面若しくは2つの媒体の間の界面における不規則性によるランダム方向の光線の偏向
である。表面又は界面からの散乱はまた、拡散反射と呼ぶこともできる。
【0036】
[0044]本明細書において用いる「実質的」という用語は、妥当な量の範囲内であるが、
絶対値の約0%~約50%、約0%~約40%、約0%~約30%、約0%~約20%、
又は約0%~約10%変動する量を包含する。
【0037】
[0045]開示される組成物は、少なくとも1種類の非揮発性成分及び少なくとも1種類の
揮発性成分を含む流体相内の粒子状材料(例えばシリカ粒子)を含む。支持体(皮膚又は
ケラチン)上に適用すると、開示されている組成物は、望ましくは、支持体の自然な調子
(例えば自然の皮膚の調子)を膜を通して見ることを可能にしながら、支持体内のシワ及
び他の欠陥を隠蔽することができる連続的な透明膜を形成する。更に、粗い最外側の表面
を有することにより、連続的な透明膜は膜表面における光の散乱が可能であり、膜内の光
散乱に頼らない。
【0038】
[0046]本発明は、(i)粒子状材料、並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含
む流体相を含む組成物に関する。本発明は更に、(i)粒子状材料、並びに(ii)非揮
発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む組成物の製造方法に関する。本発明は更に、
(i)粒子状材料、並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む被覆
又は膜を支持体上に形成する方法に関する。本発明は更に、皮膚のような支持体上の開示
されている組成物を含む、被覆又は膜、被覆支持体、及び多層物品に関する。
【0039】
[0047]本発明の組成物は、それから形成される組成物及び被覆の技術においてこれまで
取り組まれていなかった1以上の利益及び/又は技術的有利性を与える。例えば、開示さ
れている組成物及び得られる被覆は、(1)所望の程度の膜多孔度、(2)所望の程度の
透明性、及び(3)所望の程度の隠蔽性を有する被覆及び膜の形成を可能にする量の、(
i)粒子状材料、並びに(ii)非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を用いる。
【0040】
[0048]粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被覆組成
物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を
基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合す
る曲線の最大光学性能比の30%(又は25%、20%、15%、10%、又は更には5
%)以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆組成物を
使用することが見出された。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に膜として適
用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物
を与える。
【0041】
[0049]更に、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被
覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、被覆が少なくとも約4.0(又は
4.5、5.0、5.5、又は更には6.0)の光学性能比を有するようなパーセントの
粒子状材料を含む被覆組成物を使用することが見出された。この代表的な態様は、支持体
(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の
粗さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0042】
[0050]更に、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被
覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重
量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合
する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%(又は
25%、20%、15%、10%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲の多孔度を
有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物を使用することが見出された。この代
表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望
の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0043】
[0051]更に、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含み;被
覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重
量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合す
る曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%(又は15
%、10%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒
子状材料を含む被覆組成物を使用することが見出された。この代表的な態様は、支持体(
例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗
さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0044】
[0052]代表的な組成物及び組成物の成分の記載を以下に与える。
I.組成物:
[0053]本発明の組成物には数多くの個々の成分を含ませることができる。個々の成分及
び個々の成分の組合せの記載を以下に与える。更に、本発明の組成物は種々の形態で存在
させることができる。組成物のタイプの記載も以下に与える。
【0045】
A.組成物の成分:
[0054]本発明の組成物には以下の成分の1以上を含ませることができる。
1.粒子状材料:
[0055]本発明の組成物は、0より大きい粒子間及び/又は粒子内多孔度値を有する粒子
状材料を含む。0より大きい粒子間及び/又は粒子内多孔度値を有する好適な粒子状材料
としては、アルミナ、窒化ホウ素、ナイロン、シリカ、シリカ/チタニア複合体、及びこ
れらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、粒子状材料は多孔
質又は非多孔質であってよく、粉末又は水性及び非水性流体を含むスラリーの形態であっ
てよい。
【0046】
[0056]本発明において用いるのに好適な粒子状材料は、例えば粒子の組成、並びに粒子
の多孔性及び粒子の凝集の度合いによって定まる0より大きい粒子間及び/又は粒子内多
孔度値を有する。例えば、粒子が金属酸化物コロイド状粒子のように大きな多孔度を有し
ていない場合には、粒子状材料は所望の膜多孔度を与えるために測定可能な粒子間多孔度
を有していてよい。多孔質粒子を用いる態様においては、膜の多孔度は、粒子間及び粒子
内多孔度から生起し、(1)内部粒子多孔度、及び(2)粒子が凝集体を形成する傾向に
よって変動する可能性がある。
【0047】
[0057]一態様においては、金属酸化物粒子は、沈殿金属酸化物(例えばシリカ、アルミ
ナ、チタニア等)、金属酸化物ゲル、又はヒュームド金属酸化物のような多孔質材料を含
む。当該技術において周知なように、沈降シリカの形成は、まずより大きな粒子に成長さ
せることができる一次粒子の種を形成し、次に凝集させ、次にこれらの凝集体を凝塊させ
ることによる水ガラスと酸との間の反応中に起こる。反応条件によって、凝塊物を所謂強
化によって更により融合させることができる。特定の凝塊体の寸法及び濃度において、含
水シリカは反応スラリーから沈殿物として沈降し始める。スラリーから含水シリカを単離
し、粗シリカから反応電解液を除去するために、沈殿物をスラリーから濾過し、洗浄する
。得られるフィルターケーキを次に、当該技術において公知の乾燥装置を用いて乾燥する
。乾燥の方法及び程度によって、乾燥工程中にシリカ構造の強化が起こり、最初のシラノ
ール基から不可逆性のSi-O-Si結合が形成される。沈殿金属酸化物を製造する方法
としては、米国特許7,037,475-B1;5,030,286;及び4,157,
920(これらの全ての主題は参照として本明細書中に包含する)に示されているものが
挙げられる。本発明の更なる態様においては、コロイド状金属酸化物粒子は、上記に記載
した一般的な金属酸化物沈殿プロセスの一次粒子、成長粒子、凝集粒子、凝塊粒子、又は
フィルターケーキに由来する。
【0048】
[0058]金属酸化物ゲルの製造方法は当該技術において周知であり、米国特許6,380
,265(その全ての主題は参照として本明細書中に包含する)に示されているものが挙
げられる。例えば、シリカゲルは、アルカリ金属ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム)の
水溶液を、硝酸又は硫酸のような強酸と混合することによって製造され、混合は、好適な
撹拌条件下で行って、約0.5時間未満でヒドロゲル、即ちマクロゲルになる明澄なシリ
カゾルを形成する。次に得られるゲルを洗浄する。ヒドロゲル中で形成される金属酸化物
、即ちSiO2の濃度は通常は約10~約50重量%の範囲であり、このゲルのpHは約
1~約9、好ましくは1~約4である。広範囲の混合温度を用いることができ、この範囲
は通常は約20~約50℃である。新しく形成されるヒドロゲルは、水の連続移動流中に
単純に浸漬することによって洗浄し、これによって望ましくない塩を除去し、約99.5
重量%以上の純度の金属酸化物をその後に残留させる。洗浄水のpH、温度、及び時間は
、表面積(SA)及び細孔容積(PV)のようなシリカの物理特性に影響を与える。65
~90℃において8~9のpHで15~36時間洗浄したシリカゲルは、通常は250~
400のSAを有し、1.4~1.7cc/gのPVを有するエアロゲルを形成する。5
0~65℃において3~5のpHで15~25時間洗浄したシリカゲルは、700~85
0のSAを有し、0.6~1.3のPVを有するエアロゲルを形成する。これらの測定値
はN2多孔度分析によって得られる。アルミナのような金属酸化物ゲル、及びシリカ/ア
ルミナコゲルのような混合金属酸化物ゲルの製造方法も当該技術において周知である。か
かるゲルを製造する方法は、米国特許4,226,743(その内容は参照として本明細
書中に包含する)に開示されている。一般に、アルミナゲルは、アルカリ金属アルミン酸
塩と硫酸アルミニウムを混合することによって製造される。コゲルは、2種類の金属酸化
物を共ゲル化してゲルが一緒に合成されるようにすることによって製造される。例えば、
シリカアルミナコゲルは、アルカリ金属ケイ酸塩を酸又は酸塩と一緒にゲル化し、次にア
ルカリ金属アルミン酸塩を加え、混合物を熟成し、次に硫酸アルミニウムを加えることに
よって製造することができる。次に、通常の方法を用いてゲルを洗浄する。
【0049】
[0059]粒子状材料が多孔質粒子を含む態様においては、これらは一般に、粒子を望まし
い配合物成分にし、得られる膜に所望の多孔度を与える細孔容積を有する。通常は、多孔
質粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して少なくとも約0.20cc/g、より通
常的には0.30cc/gの細孔容積を有する。本発明の1つの代表的な態様においては
、多孔質粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して少なくとも約0.30cc/gの
細孔容積を有する。望ましくは、多孔質粒子は、窒素ポロシメトリーによって測定して約
0.30~約0.85cc/gの細孔容積を有する。
【0050】
[0060]本発明の多孔質粒子状材料はまた、BET法(即ちブルナウアー・エメット・テ
ラー法)によって測定して少なくとも約110m2/gの表面積を有することができる。
本発明の1つの代表的な態様においては、多孔質粒子は、約150m2/g~約220m
2/gのBET表面積を有する。本発明の更なる代表的な態様においては、多孔質粒子は
約172m2/gのBET表面積を有する。
【0051】
[0061]細孔容積及び表面積は、例えばQuantachrome Instruments (Boynton Beach, FL)
から商業的に入手できるAutosorb 6-Bユニットを用いて測定することができる。通常は、
多孔質粒子状材料の細孔容積及び表面積は、約150℃で乾燥し、真空下(例えば50ミ
リトル)、150℃において約3時間脱気した後に測定する。
【0052】
[0062]粒子状材料は、通常は約0.1~約35ミクロン(μm)の範囲の平均粒径を有
する。本明細書において用いる「平均粒径」という用語は、一組の粒子内のそれぞれの粒
子の最大寸法の平均値を指す。幾つかの代表的な態様においては、粒子状材料は約1~約
20μmの範囲の平均粒径を有する。より望ましい態様においては、粒子状材料は約2~
約10μmの範囲(例えば、約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1ミクロン以下
、及び900、800、700、600、500、400、300、200、又は100
nm、更には約100nm未満などの1ミクロンより小さい任意の寸法)の平均粒径を有
する。
【0053】
[0063]粒子状材料は、通常は組成物の全重量を基準として0重量%より多く約80重量
%以下の量で本発明の組成物中に存在する。幾つかの代表的な態様においては、組成物は
、組成物の全重量を基準として約1重量%~約50重量%、より通常的には約1重量%~
約20重量%、更により通常的には約1重量%~約10重量%の範囲の量の1種類以上の
粒子状材料を含む。クリーム配合物の幾つかの代表的な態様に関しては、配合物中に通常
存在する粒子状材料の量は、組成物の全重量を基準として0重量%より多く約20重量%
以下、より通常的には約1重量%~約10重量%、更により通常的には約2重量%~約8
重量%であってよい。粉末配合物の幾つかの代表的な態様においては、配合物中に存在す
る粒子状材料の量は、組成物の全重量を基準として約1重量%~約80重量%、約3重量
%~約70重量%、約5重量%~約60、又は更には約10重量%~約55重量%であっ
てよい。
【0054】
[0064]幾つかの代表的な態様においては、流体相(下記で議論する)において用いる1
種類以上の成分流体の屈折率に合致するか又はこれに比較的近い屈折率(RI)を有する
1種類又は複数の粒子状材料を選択することが有益である可能性がある。通常は、1種類
又は複数の粒子状材料は、約1.2~約1.8の範囲の屈折率(RI)を有する。幾つか
の代表的な態様においては、粒子状材料は、約1.4~約1.6の屈折率を有するシリカ
粒子を含む。
[0065]代表的な態様においては、粒子状材料は、表面処理して材料の表面特性を変化させ
ることができる。例えば、種々の有機材料(例えばシラン、シロキサン等)で処理するこ
とによって、粒子状材料の表面を処理してそれらを疎水性にすることができる。幾つかの
金属酸化物の表面は非常に親水性であるので(例えばシリカ)、粒子はより大きな粒子に
凝集又は凝塊する傾向がある。金属酸化物粒子の表面を疎水性材料で処理すると、粒子は
凝集せず、それによって別個の安定な粒子が維持される。かかる疎水性材料としては、シ
ラン、エステル、アルコール等のような種々の有機化合物が挙げられ、親水性の金属酸化
物を疎水性にする例は、米国特許2,786,042及び2,801,185(その全て
の主題は参照として本明細書中に包含する)において見ることができる。米国特許6,3
44,240;6,197,384;3,924,032;及び3,657,680;並
びにEP-0658523においては、本発明のこの態様において用いることができる種
々の粒子表面処理が記載されており、これらの全ての主題は参照として本明細書中に包含
する。
【0055】
[0066]他の代表的な態様においては、粒子状材料に、異なる寸法、形状、多孔度、組成
、屈折率等の粒子のような種々のタイプの粒子状材料の組合せを含ませることができる。
2.流体相材料:
[0067]本発明の組成物はまた、非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相も含む。流体
相には、互いに混和性の非揮発性成分及び揮発性成分の両方を有する単一の流体生成物、
或いは組み合わせて非揮発性成分及び揮発性成分をもたらす2以上の流体生成物(即ち別
々の相)を含ませることができる。
【0056】
[0068]流体相は、通常は組成物の全重量を基準として0重量%より多く約60.0重量
%以下の量で本発明の組成物中に存在する。幾つかの代表的な態様においては、組成物は
、組成物の全重量を基準として約10.0重量%~約98.0重量%、より通常的には約
25.0重量%~約80.0重量%、更により通常的には約35.0重量%~約65.0
重量%の範囲の量の流体相を含む。
【0057】
[0069]通常は、非揮発性成分及び揮発性成分は、Rに関する所望の値がその組合せから
得られる限りにおいて、互いに対して任意の量で存在させることができる。幾つかの代表
的な態様においては、流体相は、流体相の全重量を基準として約1.0~約60.0重量
%の非揮発性成分、及び約99.0~約40.0重量%の揮発性成分を含む。更なる代表
的な態様においては、流体相は、流体相の全重量を基準として約1.0~約40.0重量
%の非揮発性成分、及び約99.0~約60.0重量%の揮発性成分を含む。他の代表的
な態様においては、流体相は、流体相の全重量を基準として約1.6~約16.0重量%
の非揮発性成分、及び約98.4~約84.0重量%の揮発性成分を含む。
【0058】
[0070]幾つかの代表的な態様においては、1種類以上の粒子状材料の屈折率に合致する
か又はこれに比較的近い屈折率(RI)を有する1種類以上の流体を選択することが有益
である可能性がある。通常は、好適な流体は、約1.2~約1.8の範囲の屈折率(RI
)を有する。幾つかの代表的な態様においては、1種類以上の流体は約1.4~約1.6
の屈折率を有する。
【0059】
[0071]好適な非揮発性成分としては、オリーブ油、ヒマワリ油などのような油;ポリエ
チレンワックスなどのようなワックス;グリセリン;可溶性ポリマー;及びこれらの混合
物が挙げられるが、これらに限定されない。DOW CORNING(登録商標) 1501、DOW CORNIN
G(登録商標) 5329、及びDOW CORNING(登録商標) 5200(これらは全てDow Corning, C
orporation (Midland, MI)から商業的に入手できる);Crodamol CP、Crodamol DIBA、C
rodamol MM、Crodamol GTCC、Crodamol ICS(これらは全て、Croda Inc.から入手できる
);Cetiol J-600、Cetiol A、Cetiol 868、Cetiol CC、Cetiol LDO(これらは全てCogni
s Corporationから入手できる);の商品名で商業的に入手できる流体など(しかしなが
らこれらに限定されない)の非揮発性成分をもたらす数多くの商業的に入手できる生成物
を、本発明において用いることができる。
【0060】
[0072]好適な揮発性成分としては、DOW CORNING(登録商標) 245流体のような揮発性
シリコーン;水、エタノールのような溶媒;揮発性香料;など;及びこれらの混合物が挙
げられるが、これらに限定されない。
【0061】
6.更なる成分:
[0073]本発明の組成物には、1以上の更なる成分を更に含ませることができる。本発明
の組成物において用いるのに好適な更なる成分としては、脱イオン(DI)水、保湿剤、
界面活性剤、軟化剤、香料、ポリマー(二次粒子を形成することができる不溶ポリマー、
又は可溶ポリマーなど)、又はこれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0062】
[0074]通常は、本発明の組成物は脱イオン(DI)水を含む。存在する場合には、脱イ
オン(DI)水は、与えられた組成物の全重量を基準として約50~約90重量%の範囲
の量で存在する。幾つかの代表的な態様においては、脱イオン(DI)水は、組成物の全
重量を基準として約60重量%~約80重量%、より通常的には約70重量%~約76重
量%、更により通常的には約72重量%~約74重量%の範囲の量で与えられた組成物中
に存在する。しかしながら、存在する場合には、脱イオン(DI)水の量は所望のように
変動させることができる。
【0063】
[0075]脱イオン(DI)水以外のそれぞれの更なる成分(例えば、保湿剤、軟化剤、又
は香料)は、与えられた組成物の全重量を基準として0より多く約30重量%までの範囲
の量で存在させることができる。
【0064】
B.組成物の形態:
[0076]本発明の組成物は以下の形態の1以上を有することができる。
1.懸濁液又は分散液:
[0077]本発明の組成物は、通常は、粘稠な液体マトリクス(例えば流体相)、及び粘稠
な液体マトリクス内に懸濁している粒子状材料を有する懸濁液又は分散液として配合され
る。
【0065】
[0078]本発明の1つの代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含み;被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発
性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被
覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の最大光学性能比の30%(又は25%、20%
、15%、10%、又は更には5%)以内の範囲の光学性能比を有するようなパーセント
の粒子状材料を含む被覆組成物の使用に関する。この代表的な態様は、支持体(例えば皮
膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透
明性を有する組成物を与える。
【0066】
[0079]本発明の他の代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分
を含む流体相を含み;被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、被覆が少
なくとも約4.0(又は4.5、5.0、5.5、又は6.0)の光学性能比を有するよ
うなパーセントの粒子状材料を含む被覆組成物の使用に関する。この代表的な態様は、支
持体(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表
面の粗さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0067】
[0080]本発明の更なる代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含み、被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発
性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被
覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる
多孔度よりも30%(又は25%、20%、15%、10%、又は更には5%)小さいか
又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物の使用に関
する。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠
蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物を与える。本発明の組
成物には更に、脱イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、可溶性ポリマー、固化ポリマー、又
はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の更な
る成分を含ませることができる。
【0068】
[0081]本発明の更なる代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含み、被覆組成物が、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発
性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被
覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL
値よりも20%(又は15%、10%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲のL値
を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆組成物を使用することが見出された。この
代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上に膜として適用した際に、優れた隠蔽性及び所
望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する組成物を与える。
【0069】
2.膜又は被覆:
[0082]本発明の組成物はまた、皮膚のような
支持体上の膜又は被覆として存在させるこ
ともできる。通常は、本発明の与えられた組成物を膜の形態で
支持体(例えば皮膚)上に
適用した後、揮発性成分の少なくとも一部を組成物から蒸発させて、
図2に示す構造を有
する膜を残留させる。
【0070】
[0083]
図2に示すように、代表的な膜20は、ビヒクルマトリクス21(例えば流体相
)を、その中に分散している粒子状材料22と共に含む。代表的な膜20はまた粗い上表
面24を有し、これによって上表面24において相当量の光散乱を与える。通常は、代表
的な膜20は、上表面24の表面形状を考えると、存在していても非常に僅かな膜内光散
乱しか示さない。
【0071】
[0083]
図2に示すように、上表面24は、最外側の粗い表面(即ち上表面24)に沿っ
て1以上のより低い表面の点26、及び最外側の粗い表面(即ち上表面24)に沿って1
以上のより高い表面の点27を有し、ここで1以上のより低い表面の点26は、少なくと
も約0.1μm、通常は約0.1~約70μmの距離dだけz方向(即ち、代表的な膜2
0がその上に配置される
支持体に対して垂直の方向)において1以上のより高い表面の点
27から離隔している。更に、2以上のより低い表面の点の間に広がる上表面24の部分
は、約45°より大きく(又は約90°より大きく、又は約135°より大きく)、約1
80°以上の大きさである円弧角を有する円弧形状を示していてよい。より低い表面の点
26aとより低い表面の点26bとの間に示される上表面の部分28のようなかかる上表
面の部分は、距離l内で180°以上の大きさの円弧角を示し、より低い表面の点26a
とより低い表面の点26bとの間でx方向に広がっている。通常は、距離lは約20μm
未満、通常は約20~約1μmである。
【0072】
[0085]
図3(a)に示すように、膜34は内部多孔度を含まない(即ち、細孔及び粒子
間空隙は流体によって満たされている)。流体相又はマトリクス31の揮発性成分が蒸発
した後は、膜の多孔度が増加するが、最終的に平衡に達する。
図3(b)は、より高い顔
料又は粒子の装填量の結果として粗面化した表面33を示す。全ての揮発性成分が蒸発し
たら、流体相中の非揮発性成分が膜34内に保持されるので、空隙部分37は一定に保持
される。
図3(c)は、膜34が不透明になり始める程度までの内部多孔度(これによっ
て膜の透明性が大きく損なわれる)を有する膜を示す。
【0073】
[0086]本明細書において示す被覆の隠蔽効果は、被覆配合物中の用いる粒子状材料の量
など(しかしながらこれに限定されない)の被覆配合物中の種々の成分によって影響を受
けることが本出願人らによって見出された。これによって、多孔度、L値、光学性能比等
のような幾つかの被覆又は膜特性が影響を受ける。しかしながら、本明細書において示す
隠蔽膜の本質は、上記記載の特性を測定する能力を妨げることである。例えば、化粧用途
のための本発明の幾つかの被覆配合物中の膜形成性ポリマーは、通常は、乾燥又は固化し
てかかる測定を可能にする膜を与えることはない(例えば、これらは柔軟、非常に可塑性
、ワックス状、樹脂状、粘稠等で維持される)。したがって、本出願人らは、固化して上
記記載の特性の正確な測定を可能にする硬質の膜又は被覆(例えば、堅牢、耐引掻性等)
を与える膜形成性ポリマーを本発明の隠蔽被覆において用いる。かかる配合物を実施例1
~3に示す。
【0074】
[0087]本発明の1つの代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含み;被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被
覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の最大光
学性能比の30%(又は25%、20%、15%、10%、又は更には5%)以内の範囲
の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆の使用に関する。この代
表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上の優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗
さ及び透明性を有する被覆を与える。本発明は更に、本発明の組成物を使用する方法に関
する。隠蔽性の被覆組成物は、皮膚など(しかしながらこれに限定されない)の生物及び
非生物支持体のような種々の支持体上に形成することができる。
【0075】
[0088]例えば、
図4に示すように、実施例1において測定され、表1に示される膜の光
学性能比(OPR)の値を、グラフ上で異なる粒子又は顔料装填量においてプロットする
。ここで、光学性能比の値はy軸上であり、粒子装填量(重量%)はx軸上である。曲線
は、光学性能比値データから最良適合五次多項式(OPR5)を用いて得られる。所望の
光学性能比の値の範囲は、曲線(OPR5)の最大値の60%以上であるように定められ
る。即ち、X
min及びX
maxは、OPR5=0.6×OPR5である場合のXの値で
ある。この例においては、X
minは16.6重量%の粒子状材料であり、X
maxは粒
子状材料及び非揮発性成分の重量を基準として55.7重量%である。
【0076】
[0089]本発明の他の代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分
を含む流体相を含み;被覆組成物が、被覆が少なくとも約4.0(又は4.5、5.0、
5.5、又は6.0)の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む被覆の
使用に関する。この代表的な態様は、支持体(例えば皮膚)上の優れた隠蔽性及び所望の
程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する被覆を与える。
【0077】
[0090]例えば、
図5に示すように、実施例1において測定され、表1に示される膜の光
学性能比(OPR)の値を、グラフ上で異なる粒子又は顔料装填量においてプロットする
。ここで、光学性能比の値はy軸上であり、粒子装填量(重量%)はx軸上である。曲線
は、光学性能比値データから最良適合五次多項式(OPR5)を用いて得られる。所望の
光学性能比の値の範囲は、4.0以上であるように定められる。この例においては、X
m
inは17.2重量%の粒子状材料であり、X
maxは粒子状材料及び非揮発性成分の重
量を基準として55.1重量%である。五次多項式を用いてデータを曲線適合しているが
、SAS User's Guide, 1979年版(参照として本明細書中に包含する)に示されているもの
などの任意の多項式、正弦又は余弦関数、γ関数などを用いることができる。更に、Micr
osoft Corporation (Redmond, Washington)からEXCELアドインツールとして入手できるSO
LVERプログラムのような任意の商業的に入手できる曲線適合ソフトウエアを用いることが
できる。
【0078】
[0091]本発明の更なる代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含み、被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被
覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲線の一次導関数
の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%(又は25%、20%、15
%、10%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲の多孔度を有するような重量%の
粒子状材料を含む被覆に関する。本発明の組成物には更に、脱イオン水、保湿剤、軟化剤
、香料、可溶性ポリマー、固化ポリマー、又はこれらの任意の組合せなど(しかしながら
これらに限定されない)の1種類以上の更なる成分を含ませることができる。
【0079】
[0092]例えば、
図6に示すように、実施例1において測定され、表1に示される多孔度
の値を、グラフ上で異なる粒子又は顔料装填量においてプロットする。ここで、多孔度の
値はy軸上であり、粒子装填量(重量%)はx軸上である。曲線は、多孔度値データから
最良適合五次多項式(FP5)を用いて得られる。
図6から分かるように、曲線は平坦域
を通って進み、平坦域の中点(PV)は曲線の一次導関数(dFP5/dX)の最小値に
おける多孔度値(FP)及び粒子装填量(X)を求めることによって確定される。所望の
多孔度の値の範囲は、PVよりも30%小さいか又は大きいように定められる。即ち、X
minはFP5=0.7×PVである場合のX値であり、X
maxはFP5=1.3×P
Vである場合のX値である。この例においては、X
minは9.3重量%の粒子状材料で
あり、X
maxは粒子状材料及び非揮発性成分の重量を基準として51.1重量%である
。
【0080】
[0093]本発明の更なる代表的な態様は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含み、被覆が、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、被
覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線の一次導関数の
最小値をとることによって求められるL値よりも20%(又は15%、10%、又は更に
は5%)小さいか又は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒子状材料を含む被覆に
関する。
【0081】
[0094]例えば、
図7に示すように、実施例1において測定され、表1に示されるL値を
、グラフ上で異なる粒子又は顔料装填量においてプロットする。ここで、L値はy軸上で
あり、粒子装填量(重量%)はx軸上である。曲線は、L値データから最良適合五次多項
式(L5)を用いて得られる。
図7から分かるように、曲線は平坦域を通って進み、平坦
域の中点(PV)は曲線の一次導関数(dL5/dX)の最小値におけるL値(L)及び
粒子装填量(X)を求めることによって確定される。所望のL値の範囲は、PVよりも2
0%小さいか又は大きいように定められる。即ち、X
minはL5=0.8×PVである
場合のX値であり、X
maxはL5=1.2×PVである場合のX値である。この例にお
いては、X
minは13.8重量%の粒子状材料であり、X
maxは粒子状材料及び非揮
発性成分の重量を基準として51.5重量%である。
【0082】
[0095]上表面24の上記記載の表面形態のために、代表的な膜20は、通常は、表面光
散乱と比べて非常に小さい膜内光散乱を示す。幾つかの代表的な態様においては、代表的
な膜20は、代表的な膜20の光散乱の全量を基準として、約50%未満の膜内光散乱、
及び約50%より多い表面光散乱を示す。他の代表的な態様においては、代表的な膜20
は、代表的な膜20の光散乱の全量を基準として、約30%未満(又は約25%未満、又
は約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満、又は約5%未満、又は約4%未
満、又は約3%未満、又は約2%未満、又は更には約1%未満)の膜内光散乱、及び約7
0%より大きい(又は約75%より大きく、又は約80%より大きく、又は約85%より
大きく、又は約90%より大きく、又は約95%より大きく、又は約99%より大きい)
表面光散乱を示す。
【0083】
[0096]上記記載の表面粗さを有することに加えて、代表的な膜20は所望の程度の透明
性を有する。望ましくは、代表的な膜20は、代表的な膜20が約200μm以下の膜厚
さを有する場合であっても、代表的な膜20の下に配置される支持体表面(例えば皮膚表
面)の色及び調子を目視観察することを可能にする所望の程度の透明性を有する。例えば
、代表的な膜20を約100μm以下の膜厚さで皮膚上に被覆した場合、代表的な膜20
の透明性によって、代表的な膜20を通して皮膚の色及び調子を目視観察することが可能
である。更に、代表的な膜20の透明性及び組成は、代表的な膜20を通して皮膚の外観
を変化させない(即ち、代表的な膜20で被覆又は処置した皮膚は処置していない皮膚と
実質的に同じように見える)。
【0084】
[0097]上記記載の表面粗さのために、代表的な膜20はまた、代表的な膜20が約1μ
m程度の薄い膜厚さを有する場合であっても、代表的な膜20の下に配置される支持体表
面(例えば皮膚表面)における表面の欠陥を隠蔽する所望の程度の隠蔽能力を有する。開
示されている膜の優れた隠蔽性は、少なくとも部分的に、膜内光散乱に代わる代表的な膜
20の大きな表面光散乱の結果であると考えられる。
【0085】
II.組成物、被覆、及び被覆支持体を製造する方法:
[0098]本発明はまた、表面の欠陥を隠蔽することができる組成物の製造方法にも関する
。1つの代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに非揮発
性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成物は、
支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準と
して、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線
の最大光学性能比の30%(又は25%、20%、15%、10%、又は更には5%)以
内の範囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む。この代表的な態様
は、支持体(例えば皮膚)の上の優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透
明性を有する被覆を与える。
【0086】
[0099]他の代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに非
揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成物
は、被覆が少なくとも約4.0(又は4.5、5.0、5.5、又は更には6.0)の光
学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む。この代表的な態様は、支持体(
例えば皮膚)の上の優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を有する
被覆を与える。
【0087】
[0100]更なる代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成
物は、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を
基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測定値に適合する曲
線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも30%(又は25%
、20%、15%、10%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲の多孔度を有する
ような重量%の粒子状材料を含む。組成物の製造方法には更に、脱イオン水、保湿剤、軟
化剤、香料、又はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1
種類以上の更なる成分を含ませることを含ませることができる。
【0088】
[0101]更なる代表的な態様においては、被覆組成物の製造方法は、粒子状材料、並びに
非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む混合物を形成することを含み;被覆組成
物は、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を
基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定値に適合する曲線
の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%(又は15%、1
0%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲のL値を有するような重量%の粒子状材
料を含む。組成物の製造方法には更に、脱イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、又はこれら
の任意の組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の更なる成分を
含ませることを含ませることができる。
【0089】
[0102]組成物の製造方法には更に、1以上の上記記載の更なる成分を混合物中に含ませ
る工程;粒子状材料、流体相、及び任意の場合によって用いる更なる成分を室温において
混合する工程;1以上の成分を流体相に加えながら流体相を(例えば約100℃未満の温
度に)加熱する工程;及び、得られる組成物を密封可能な容器(例えば密封可能なビン、
プラスチックボトル、又は再密封可能な袋)内に収納する工程;など(しかしながらこれ
らに限定されない)の1以上の更なる工程を含ませることができる。
【0090】
[0103]1つの望ましい態様においては、組成物の製造方法は、人間の皮膚の上に適用す
るように特に配合されたスキンケア組成物を形成することを含む。
[0104]本発明はまた、被覆を形成する方法、並びに被覆支持体及び多層物品を形成する
方法にも関する。1つの代表的な態様においては、任意の上記記載の組成物を支持体上に
適用することを含む被覆を形成する方法を開示する。得られる被覆支持体は、上記記載の
懸濁液又は膜で少なくとも部分的に被覆されている支持体を含む。被覆を形成する方法に
は、組成物を適用する前に支持体を予備処置(例えば洗浄)することなど(しかしながら
これらに限定されない)の1以上の工程を更に含ませることができる。
【0091】
[0105]被覆支持体又は多層物品を形成する方法には、1以上の更なるプロセス工程を更
に含ませることができる。好適な更なるプロセス工程としては、容器から展開可能/被覆
可能な組成物を取り出すこと、約200μm未満の所望の膜厚さを有する組成物の膜が形
成されるように組成物を支持体上に展開すること、及び上記に記載の工程のいずれかを繰
り返すことが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
III.用途/使用:
[0106]上記で議論したように、本発明の組成物を用いて支持体上に被覆を形成すること
ができる。好適な支持体としては、支持体表面の欠陥又は欠点は望ましく隠されるが、支
持体表面の色及び調子が観察されることがなお必要であるものが挙げられる。かかる支持
体としては、皮膚支持体(例えば皮膚)、ケラチン支持体(例えば毛髪、爪等)、及び更
には非生物支持体が挙げられるが、これらに限定されない。1つの代表的な態様において
は、本発明の組成物は、得られる化粧処置を通して自然な皮膚の色及び調子を示しながら
、皮膚の欠陥を隠蔽するように人間の皮膚の上に化粧処置を形成するために用いる。本組
成物は、毎日の皮膚の処置のために用いることができる。
【0093】
[0107]本発明は更に、本発明の組成物を使用する方法に関する。1つの代表的な態様に
おいては、本発明の組成物を使用する方法は、支持体上に被覆を形成する方法を含み、こ
の方法は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分を含む流体相を含む被覆組成
物を含む組成物で支持体の少なくとも一部を被覆することを含み;被覆組成物は、支持体
上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子状材料の重量%を基準として、
被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の光学性能比の測定値に適合する曲線の最大
光学性能比の30%(又は25%、20%、15%、10%、又は更には5%)以内の範
囲の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む。この代表的な態様は、支
持体(例えば皮膚)の上の優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及び透明性を
有する被覆を与える。
【0094】
[0108]他の代表的な態様においては、本発明の組成物を使用する方法は、支持体上に被
覆を形成する方法を含み、この方法は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成分
を含む流体相を含む被覆組成物を含む組成物で支持体の少なくとも一部を被覆することを
含み;被覆組成物は、被覆が少なくとも約4.0(又は4.5、5.0、5.5、又は更
には6.0)の光学性能比を有するようなパーセントの粒子状材料を含む。この代表的な
態様は、支持体(例えば皮膚)の上の優れた隠蔽性及び所望の程度の最外側表面の粗さ及
び透明性を有する被覆を与える。
【0095】
[0109]更なる代表的な態様においては、本発明の組成物を使用する方法は、支持体上に
被覆を形成する方法を含み、この方法は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含む被覆組成物を含む組成物で支持体の少なくとも一部を被覆すること
を含み;被覆組成物は、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子
状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆の多孔度の測
定値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められる多孔度よりも3
0%(又は25%、20%、15%、10%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲
の多孔度を有するような重量%の粒子状材料を含む。支持体には、皮膚など(しかしなが
らこれに限定されない)の種々の生物及び非生物支持体を含ませることができる。
【0096】
[0110]更なる代表的な態様においては、本発明の組成物を使用する方法は、支持体上に
被覆を形成する方法を含み、この方法は、粒子状材料、並びに非揮発性成分及び揮発性成
分を含む流体相を含む被覆組成物を含む組成物で支持体の少なくとも一部を被覆すること
を含み;被覆組成物は、支持体上で乾燥して被覆を形成した後に、非揮発性成分及び粒子
状材料の重量%を基準として、被覆が異なる粒子状材料の濃度における被覆のL値の測定
値に適合する曲線の一次導関数の最小値をとることによって求められるL値よりも20%
(又は15%、10%、又は更には5%)小さいか又は大きい範囲のL値を有するような
重量%の粒子状材料を含む。この方法には更に、脱イオン水、保湿剤、軟化剤、香料、又
はこれらの任意の組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の更な
る成分を組成物中に含ませることを更に含ませることができる。
【0097】
[0111]本発明は更に、支持体、及び支持体の外側表面上の本発明の組成物を含む多層物
品に関する。1つの代表的な態様においては、多層物品は、外側皮膚表面を有する皮膚;
及び、外側皮膚表面上の本明細書において開示されている隠蔽組成物;を含む。所望の用
途によって、分散液には種々の他の成分を含ませることができ、及び/又は他の配合で用
いることができる。例えば、組成物が被覆配合物において用いることを意図したものであ
る場合には、組成物を粉末、分散液、又はペーストとして配合物に加えることができる。
組成物は、クリーム、粉末、又はペーストのような化粧配合物において用いることができ
る。
【実施例0098】
[0112]以下の実施例によって本発明を更に示すが、これらはいかなるようにも本発明の
範囲に対して限定を与えるように解釈すべきではない。むしろ、本解決手段は種々の他の
態様、変更、及びその均等物を有することができ、これらは本明細書中の記載を読んだ後
は、本発明の精神及び/又は特許請求の範囲から逸脱することなくそれ自体当業者が示唆
することができることが明確に理解される。
【0099】
試験法:
下記の実施例においては以下の試験法を用いた。
非揮発分含量の測定:
[0113]与えられた流体に関し、流体を秤量し、次に60℃において1時間加熱した。非
揮発分含量のパーセント(%NVC)は、式:
%NVC=[(W0-Wf)×100]/W0
(式中、W0は流体の元々の重量を表し、Wfは加熱工程後の流体の最終重量を表す)
を用いて計算した。
【0100】
被覆の多孔度の測定:
[0114]ASTM-D6583-04にしたがって、ガラス支持体上に堆積させた膜の多
孔度を測定した。
【0101】
被覆の光学特性の測定:
[0115]積分球を備えたShimazu UV-2401PC 紫外-可視分光光度計を用いて、ガラススラ
イド上に形成した膜の光学特性を550nmにおいて測定した。全透過率に対する拡散透
過率の値(%)は、式:100×(拡散透過率/全透過率)を用いることによって計算し
た。光学性能比(OPR)=拡散透過率/全反射率である。より高いOPRの値は、高い
隠蔽性を有するが、下側の支持体の色を示すことができる加えられた能力を有する膜又は
被覆を示す。低いOPRの値は、低い顔料又は粒子状材料の装填量においては低い隠蔽性
、及び高い顔料又は粒子状材料の装填量においては過度の不透明性を有する膜又は被覆を
示す。
【0102】
被覆の光沢性の測定:
[0116]与えられた被覆を、被覆の上表面に対して垂直の角度から約60°において視認
観察した。本明細書において用いる「粗い」という用語は低い反射率と同義であり、一方
、「光沢」という用語は高い反射率(即ち輝き)を同義である。
【0103】
被覆の不透明性の測定:
[0117]与えられた被覆を、被覆の上表面に対して垂直の角度から約0°において視認観
察した。本明細書において用いる「不透明」という用語は皮膚を実質的に隠すことと同義
であり、一方、「透明」は皮膚の色/調子が被覆によって実質的に影響を受けずに見られ
ることと同義である。膜の不透明性は以下のようにして評価した。被覆したガラススライ
ドを、Leneta Co.からのPlain Black Chartの上面上に配置した。このチャートの黒色は
、Konica Minolta分光光度計CM-2600dを用いて測定して0.09のL値(L*a*b表色
系に基づく)を有していた。次に、被覆したガラススライドを通してチャートのL値を測
定した。膜の不透明性は測定されたL値に基づいて評価した。透明な膜のL値は不透明な
膜のものよりも低い。
【0104】
被覆の隠蔽性の測定:
[0118]与えられた被覆を、被覆の上表面に対して垂直の角度から約0°において視認観
察した。本明細書において用いる「隠蔽」という用語は、下側の皮膚の特徴(例えば小じ
わ、ダークスポット、そばかす等)の解像が、被覆していない皮膚と比べて劣っているこ
とと同義である。
【0105】
被覆の解像度の測定:
[0119]被覆したガラススライドをRit Alphanumeric Resolution Test Object, RT-4-74
(Graphic Arts Research Center)の上面上に配置することによって、膜の解像度を評価
した。チャートは異なる寸法で印刷された文字を有していた。それぞれの寸法は番号によ
って特定する。より高い番号はより小さい印刷寸法に対応する。観察者が試験膜を通して
印刷された文字を正しく確認することができる能力にしたがって膜を等級付けした。最初
に識別できなかった文字の線に関する対応する確認番号を報告する。膜とチャートとの間
の距離は4.8mmであった。
【0106】
被覆の表面粗さの測定:
[0120]Zygo NewView5000光学表面形状測定装置を用いて、膜の表面粗さ(Ra)を測定
した。より高いRa値はより粗い表面を示す。
【0107】
種々の流体に関する非揮発分含量の測定:
[0121]上記に記載の方法を用いて、幾つかの流体に関して非揮発分含量の重量%(%N
VC)を計算した。結果を下表1に示す。
【0108】
【0109】
実施例1:ポリマーバインダーを用いた被覆配合物の性能
[0122]少量の与えられた被覆配合物をガラス支持体上に適用し、被覆配合物を乾燥し、
次に得られる被覆を評価することによって、下表2に示す試料配合物の性能を評価した。
上記記載の試験法を用いて、被覆又は膜の特性を、(i)多孔度、(ii)不透明性、(
iii)光学性能比、(iv)膜表面の粗さ、及び(v)解像度に関して評価した。
【0110】
[0123]米国特許6,380,265に開示されている方法にしたがって、アルカリ金属
ケイ酸塩(例えばケイ酸ナトリウム)の水溶液を、硝酸又は硫酸のような強酸と混合し、
混合を好適な撹拌条件下で行って、約0.5時間未満でヒドロゲル、即ちマクロゲルにな
る明澄なシリカゾルを形成することによってシリカゲルを製造する。次に、得られるゲル
を洗浄する。ヒドロゲル中で形成される無機酸化物、即ちSiO2の濃度は通常は約10
~約50重量%の範囲であり、このゲルのpHは約1~約9、好ましくは1~約4である
。広範囲の混合温度を用いることができ、この範囲は通常は約20~約50℃である。新
しく形成されるヒドロゲルは、水の連続移動流中に単純に浸漬することによって洗浄し、
これによって望ましくない塩を除去し、約99.5重量%以上の純度の無機酸化物をその
後に残留させる。洗浄水のpH、温度、及び時間は、表面積(SA)及び細孔容積(PV
)のようなシリカの物理特性に影響を与える。65~90℃において8~9のpHで15
~36時間洗浄したシリカゲルは、通常は250~400のSAを有し、1.4~1.7
cc/gのPVを有するエアロゲルを形成する。50~65℃において3~5のpHで1
5~25時間洗浄したシリカゲルは、700~850のSAを有し、0.6~1.3のP
Vを有するエアロゲルを形成する。シリカは6.4ミクロンの粒径を有する。
【0111】
[0124]顔料又は粒子状材料を水中に分散し、所望の顔料/粒子状材料とバインダーとの
比(重量基準)が得られるように、適当量のPVOHバインダー(Celanese Chemicalsか
ら入手できるCelvol-502、水中の35%溶液)を撹拌しながら加える。配合物中の全固形
分(粒子状材料及びバインダー)は、配合物の全重量を基準として15重量%であった。
次に、巻線棒を用いて被覆配合物を50ミクロンの湿潤膜厚さでガラススライド上に適用
し、加温空気の緩流下で乾燥し、次に80℃で10分間更に乾燥した。シリカの量は、最
終膜又は被覆の重量を基準として5~75重量%で変化する。
【0112】
【0113】
[0125]表2に示すように、試料1は少量の添加した粒子状材料を含んでいた。得られる
膜は、低い光学性能比(OPR)及び低いL値を有しており、これは所望の程度の減少し
た解像度を与えなかった。
【0114】
[0126]試料2~6は増加した量の粒子状材料を有する試料配合物を与え、これらは増加
したOPRを与えた。この範囲のOPRを有すると、得られる膜は所望の特性の全て、即
ち所望の程度の隠蔽性を与える粗く透明な外観を示した。
【0115】
[0127]試料7~8は増加した量の粒子状材料を有する試料配合物を与え、これらは減少
したOPR及び増加したL値を与えた。この範囲のL値を有すると、得られる膜は過度の
不透明性を示した。
【0116】
実施例2:ポリマーバインダーを用いた被覆配合物の性能
[0128]少量の与えられた被覆配合物をガラス支持体上に適用し、被覆配合物を乾燥し、
次に得られる被覆を評価することによって、下表3に示す試料配合物の性能を評価した。
上記記載の試験法を用いて、被覆又は膜の特性を、(i)多孔度、(ii)不透明性、(
iii)光学性能比、(iv)膜表面の粗さ、及び(v)解像度に関して評価した。
【0117】
[0129]顔料又は粒子状材料を水中に分散し、所望の顔料/粒子状材料とバインダーとの
比(重量基準)が得られるように、適当量のPVOHバインダー(Celanese Chemicalsか
ら入手できるCelvol-502、水中の35%溶液)を撹拌しながら加える。配合物中の全固形
分(粒子状材料及びバインダー)は、配合物の全重量を基準として15重量%であった。
次に、巻線棒を用いて被覆配合物を50ミクロンの湿潤膜厚さでガラススライド上に適用
し、加温空気の緩流下で乾燥し、次に80℃で10分間更に乾燥した。これらの試料配合
物において用いた顔料は、2.7ミクロンの粒径を有するシリカゲルであり、実施例1に
示す方法によって製造されるものである。シリカの量は、最終膜又は被覆の重量を基準と
して5~75重量%で変化する。
【0118】
【0119】
[0130]表3に示すように、試料9及び10は少量の添加した粒子状材料を含む。得られ
る膜は、低い光学性能比(OPR)及び低いL値を有しており、これは所望の程度の減少
した解像度を与えなかった。
【0120】
[0131]試料11~13は増加した量の粒子状材料を有する試料配合物を与え、これらは
増加したOPRを与えた。この範囲のOPRを有すると、得られる膜は所望の特性の全て
、即ち所望の程度の隠蔽性を与える粗く透明な外観を示した。
【0121】
[0132]試料14~16は増加した量の粒子状材料を有する与えられた試料配合物を示し
、これらは減少したOPR及び増加したL値を与えた。この範囲のL値を有すると、得ら
れる膜は望ましくない不透明性を示した。
【0122】
実施例3:ポリマーバインダーを用いた被覆配合物の性能
[0133]少量の与えられた被覆配合物をガラス支持体上に適用し、被覆配合物を乾燥し、
次に得られる被覆を評価することによって、下表4に示す試料配合物の性能を評価した。
上記記載の試験法を用いて、被覆又は膜の特性を、(i)拡散透過率、(ii)全透過率
、及び(iii)全透過率に対する拡散透過率(%)に関して評価した。
【0123】
[0134]顔料又は粒子状材料を水中に分散し、所望の顔料/粒子状材料とバインダーとの
比(重量基準)が得られるように、適当量の1.49~1.53の屈折率を有するPVO
Hバインダー(Celanese Chemicalsから入手できるCelvol-502、水中の35%溶液)を撹
拌しながら加える。2種類の粒子状材料(シリカ(1.46の屈折率)及びチタニア(2
.5の屈折率))を評価した。配合物中の全固形分(粒子状材料及びバインダー)は、配
合物の全重量を基準として15重量%であった。次に、巻線棒を用いて被覆配合物を50
ミクロンの湿潤膜厚さでガラススライド上に適用し、加温空気の緩流下で乾燥し、次に8
0℃で10分間更に乾燥した。これらの試料配合物17~22において用いた顔料は、6
.4ミクロンの粒径を有するシリカゲルであり、実施例1に示す方法によって製造される
ものである。これらの試料配合物23~29において用いた顔料は、0.4ミクロンの粒
径を有するアナターゼ型のチタニアであり、Sigma Aldrichから入手できるものである。
【0124】
【0125】
[0135]シリカとPVOHとの間のRIの類似性に基づくと、膜内散乱は最小であると予
測される。アナターゼを含む膜に関しては事実は反対であり、大きなRIの不整合によっ
て膜内散乱が導かれる。
【0126】
[0136]大きな膜内散乱(粒子とバインダーとの間の大きなRIの差)を有するこの系に
関する光学分析は、膜厚さが増加するにつれて全透過率が大きく減少する(及び関連して
不透明性が増加する)ことを示す。一方、第1のケースは、シリカゲル粒子(RI=1.
46)を用いて製造される同様に調製される試料に関する結果を示す。この場合には、最
小の膜内散乱(粒子とバインダーのRIの間の非常に小さい差)しかないが、その粗さの
ために膜表面において大きな散乱(全透過率に対する拡散透過率の値(%)で示される)
がある。この膜は、全透過率、及び全透過率に対する拡散透過率(%)の値の両方に関し
て、膜厚さによる特性の変動は望ましい最小のものである。このタイプの生成物は、適用
厚さがさほど均一でない場合であっても、皮膚に対して望ましく非常に均一な外観(隠蔽
性及び反射率の両方において)を与える。
【0127】
実施例4:種々の濃度の粒子状材料を含む被覆配合物の性能
[0137]少量の与えられた被覆配合物を皮膚上に適用し、被覆配合物を15分間の乾燥時
間乾燥し、次に得られる被覆を評価することによって、下表5に示す試料配合物の性能を
評価した。上記記載の試験法を用いて、処置した皮膚領域の外観を、(i)光沢、(ii
)不透明性、及び(iii)隠蔽性に関して評価した。
【0128】
[0138]実施例1からのシリカを、ホモジナイザーを用いて72.5gの脱イオン(DI
)水中に分散する。次に、流体相をDI水/シリカ混合物に加え、2~3分間ホモジナイ
ズし、次にSEPIGEL(商標) 305(Southern Soapers (Hampton, VA)から商業的に入手
できる)を加えた。
【0129】
[0139]DOW CORNING(登録商標) 245流体、鉱油(White Heavy)、DOW CORNING(登録
商標) 5329、及びDOW CORNING(登録商標) 5200の1以上を混合することによってそれ
ぞれの流体相を形成した。それぞれの混合物のシリカの全濃度は同等に維持した。流体相
の重量を一定に維持したが、非揮発性成分の濃度(NVC)は、性能に対するNVCの効
果を求めるために変化させた。
【0130】
【0131】
[0140]粒子状材料及びNVCの合計重量のパーセントとして少量の粒子状材料を含む試
料30は、粗く不透明な膜を与えた。
[0141]試料31~33は、増加した量のNVCを有する試料配合物を与えた。得られた
膜は、15分後に化粧クリームの所望の特性の全て、即ち下側の皮膚の特徴を隠蔽する粗
く透明な外観を示した。
【0132】
[0142]試料34は増加した量のNVCを有する試料配合物を与え、これは15分後に望
ましくない光沢を示す膜を与えた。
[0143]本発明を限られた数の態様によって説明したが、これらの特定の態様は本明細書
において他に記載され特許請求されている発明の範囲を限定することを意図するものでは
ない。更なる修正、均等物、及び変更が可能であることは、本明細書中の代表的な態様を
検討することにより当業者に明らかである。実施例及び明細書の残りの部分における全て
の部及びパーセントは、他に特定しない限り重量基準である。更に、明細書又は特許請求
の範囲において示す全ての数値範囲、例えば特性の特定の組、測定値の単位、条件、物理
的状態、又は割合を示すものは、明らかに、言及するか又は他の方法で示すかかる範囲内
に含まれる全ての数、並びにそのように示されている任意の範囲内の数の任意の部分集合
を文字通り含むものであると意図される。例えば、下限RL及び上限RUを有する数値範
囲が開示されている場合には常に、この範囲内に含まれる任意の数Rが具体的に開示され
ている。特に、この範囲内の次の数R:R=RL+k(RU-RL)(式中、kは1%の
増分で1%~100%の範囲の変数であり、例えばkは、1%、2%、3%、4%、5%
、・・・50%、51%、52%、・・・95%、96%、97%、98%、99%、又
は100%である)が具体的に開示されている。更に、上記で算出されるRの任意の二つ
の値によって表される任意の数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書において示
し記載したものに加えて、本発明の任意の修正は、上記の記載及び添付の図面から当業者
に明らかとなるであろう。かかる修正は、特許請求の範囲内に包含されると意図される。
本明細書において引用した全ての公報はその全部を参照として本明細書中に包含する。