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特開2022-175113電磁弁およびそれを用いた高圧燃料ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175113
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電磁弁およびそれを用いた高圧燃料ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20221117BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20221117BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
F16K31/06 305J
F16K47/02 D
F04B53/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081268
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大西 一弘
【テーマコード(参考)】
3H066
3H071
3H106
【Fターム(参考)】
3H066AA01
3H066BA32
3H066EA02
3H071AA07
3H071BB01
3H071CC22
3H071DD26
3H106DA07
3H106DA12
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD05
3H106EE20
3H106EE33
3H106KK01
3H106KK31
(57)【要約】
【課題】電磁弁の閉弁時においてアーマチャの衝突音を低減する技術を提供する。
【解決手段】本開示の一つの態様による電磁弁60は、弁部材64と固定コア80とコイル90とアーマチャ74とを備える。弁部材は、往復移動して弁座62aから離座または弁座に着座することよりに流路212を開閉する。コイルは、通電されることにより磁束を発生する。アーマチャは、弁部材とともに往復移動し、コイルが発生する磁束により固定コア側に吸引され、弁部材が弁座に着座する方向が弁部材から離れる方向である。アーマチャまたは弁部材の一方に有底の挿入穴74aが形成されており、アーマチャまたは弁部材の他方に、弁部材とアーマチャとの往復移動方向に移動可能に挿入穴に挿入される挿入部64aが形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復移動して弁座(62a)から離座または前記弁座に着座することにより流路(212)を開閉する弁部材(64、112)と、
固定コア(80)と、
通電されることにより磁束を発生するコイル(90)と、
前記弁部材とともに往復移動し、前記コイルが発生する磁束により前記固定コア側に吸引され、前記弁部材が前記弁座に着座する方向が前記弁部材から離れる方向であるアーマチャ(74、114)と、
を備え、
前記アーマチャまたは前記弁部材の一方に有底の挿入穴(74a、112a)が形成されており、前記アーマチャまたは前記弁部材の他方に、前記弁部材と前記アーマチャとの往復移動方向に移動可能に前記挿入穴に挿入される挿入部(64a、114a)が形成されている、
電磁弁。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁弁であって、
前記挿入穴と前記挿入部とが形成する空間(220)と前記アーマチャおよび前記弁部材の周囲の空間(230)とを連通するオリフィス(240、250、252)をさらに備える、
電磁弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電磁弁であって、
前記アーマチャ(74)に前記挿入穴(74a)が形成されており、前記弁部材(64)に前記挿入部(64a)が形成されている、
電磁弁。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電磁弁であって、
前記アーマチャ(114)に前記挿入部(114a)が形成されており、前記弁部材(112)に前記挿入穴(112a)が形成されている、
電磁弁。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁弁であって、
前記アーマチャは、前記アーマチャを収容する収容部材(84)の内周面により前記往復移動方向に案内される、
電磁弁。
【請求項6】
請求項5に記載の電磁弁であって、
前記挿入穴の内周面と前記挿入部の外周面とのクリアランスは、10μm以上30μm以下である、
電磁弁。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電磁弁であって、
前記アーマチャは、前記挿入穴(74a)が前記アーマチャ(74)に形成され前記挿入部(64a)が前記弁部材(64)に形成されている場合は前記挿入穴に挿入されている前記挿入部の外周面により前記往復移動方向に案内され、前記挿入部(114a)が前記アーマチャ(114)に形成され前記挿入穴(112a)が前記弁部材(112)に形成されている場合は前記挿入部が挿入されている前記挿入穴の内周面により前記往復移動方向に案内される、
電磁弁。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の電磁弁であって、
内燃機関に燃料を供給する高圧燃料ポンプ(20)の吐出量を調量する調量弁として使用される、
電磁弁。
【請求項9】
電磁弁(60、100、110、120、130、140、150、160)により燃料の吐出量を調量する高圧燃料ポンプ(20)であって、
前記電磁弁は、
往復移動して弁座(62a)から離座または前記弁座に着座することにより流路(212)を開閉する弁部材(64、112)と、
固定コア(80)と、
通電されることにより磁束を発生するコイル(90)と、
前記弁部材とともに往復移動し、前記コイルが発生する磁束により前記固定コア側に吸引され、前記弁部材が前記弁座に着座する方向が前記弁部材から離れる方向であるアーマチャ(74、114)と、
を備え、
前記アーマチャまたは前記弁部材の一方に有底の挿入穴(74a、112a)が形成されており、前記アーマチャまたは前記弁部材の他方に、前記弁部材と前記アーマチャとの往復移動方向に移動可能に前記挿入穴に挿入される挿入部(64a、114a)が形成されている、
高圧燃料ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アーマチャと往復移動する弁部材が流路を開閉する電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
弁部材がアーマチャと往復移動して弁座から離座または弁座に着座することにより、流路を開閉する電磁弁が知られている。下記の特許文献1には、アーマチャに形成された貫通孔に弁部材が挿入され、アーマチャと接触しながらアーマチャと往復移動する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013218844号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者の詳細な検討の結果、特許文献1に記載の技術では、アーマチャに形成された貫通孔に弁部材が挿入されているので、弁部材が弁座に着座して停止しても、アーマチャは、貫通孔に弁部材が挿入されている状態でさらにストッパ側に移動する。その結果、特許文献1に記載の技術では、アーマチャがストッパに衝突する衝突音が大きくなるという課題が見出された。
【0005】
本開示の一つの局面は、電磁弁の閉弁時においてアーマチャの衝突音を低減する技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つの態様による電磁弁は、弁部材(64、112)と、固定コア(80)と、コイル(90)と、アーマチャ(74、114)と、を備える。
弁部材は、往復移動して弁座(62a)から離座または弁座に着座することよりに流路(212)を開閉する。コイルは、通電されることにより磁束を発生する。アーマチャは、弁部材とともに往復移動し、コイルが発生する磁束により固定コア側に吸引され、弁部材が弁座に着座する方向が弁部材から離れる方向である。
【0007】
さらに、アーマチャまたは弁部材の一方に有底の挿入穴(74a、112a)が形成されており、アーマチャまたは弁部材の他方に、弁部材とアーマチャとの往復移動方向に移動可能に挿入穴に挿入される挿入部(64a、114a)が形成されている。
【0008】
本開示の他の態様による高圧燃料ポンプは、上記電磁弁により燃料の吐出量を調量する。
このような構成によれば、挿入穴が有底であるから、挿入穴に弁部材が挿入されている状態で、弁部材が弁座に着座して停止することによりアーマチャが弁部材から離れようとすると、離れる方向とは反対方向の力が働く。
【0009】
この反対方向の力は、例えば、挿入穴に挿入部が挿入されている状態で、挿入部と挿入穴とが形成する空間が大きくなるときに発生する負圧により発生する。また、この反対方向の力は、挿入穴に挿入部が挿入されている状態で、弁部材とアーマチャとが互いに往復移動方向で向き合って接触する接触面に働く吸着力により発生する。
【0010】
このように、弁部材が弁座に着座して停止するときにアーマチャが弁部材から離れる方向と反対方向の力が働くことにより、弁部材が弁座で着座して停止すると、アーマチャの移動速度が低下する。したがって、電磁弁が閉弁するときに、アーマチャがストッパに衝突して停止するときの衝突音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の高圧燃料ポンプを示す模式的断面図。
図2】高圧燃料ポンプの電磁弁を示す断面図。
図3】アーマチャが固定コアに衝突した状態を示す断面図。
図4】アーマチャと弁部材とのリフト量を示すタイムチャート。
図5】第2実施形態の電磁弁を示す断面図。
図6】第3実施形態の電磁弁を示す断面図。
図7】第4実施形態の電磁弁を示す断面図。
図8】第5実施形態の電磁弁を示す断面図。
図9】第6実施形態の電磁弁を示す断面図。
図10】第7実施形態の電磁弁を示す断面図。
図11】第8実施形態の電磁弁を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す高圧燃料ポンプ20は、ポンプハウジング30と、プランジャ40と、吐出弁50と、電磁弁60と、を備える。高圧燃料ポンプ20は、低圧ポンプ4が燃料タンク2から吸い上げた燃料を加圧し、コモンレール6に供給する。コモンレール6は内燃機関に燃料を噴射するインジェクタ8に燃料を供給する。
【0013】
プランジャ40のヘッド40aは、スプリング42の荷重によりカムシャフト10のカム12と接触している。カム12が回転してカムプロフィールに応じてヘッド40aが往復移動することにより、プランジャ40は往復移動する。
【0014】
プランジャ40が下降する吸入行程において、低圧ポンプ4から供給される燃料は加圧室200に吸入される。プランジャ40が上昇する圧送行程において、加圧室200の燃料は加圧され、吐出弁50からコモンレール6に吐出される。
【0015】
電磁弁60は、図示しない電子制御装置により開閉を制御される。電磁弁60が開弁すると、低圧ポンプ4側と加圧室200とは連通する。電磁弁60が閉弁すると、低圧ポンプ4側と加圧室200との連通は遮断される。
【0016】
圧送行程において電磁弁60が閉弁すると、プランジャ40の上昇により加圧室200の燃料が加圧され、吐出弁50から吐出される。したがって、圧送行程において電磁弁60の閉弁タイミングを制御することにより、高圧燃料ポンプ20の吐出弁50から吐出される燃料の吐出量が調量される。つまり、電磁弁60は、高圧燃料ポンプ20の調量弁として使用される。
【0017】
次に、図2に基づいて、電磁弁60の構成を説明する。
電磁弁60は、弁ボディ62と、弁部材64と、スプリング座70と、スプリング72と、アーマチャ74と、スプリング76と、固定コア80と、ヨーク82と、収容部材84と、非磁性部材86と、コイル90と、を備えている。
【0018】
弁ボディ62には、低圧ポンプ4から環状の燃料流路210に供給される燃料を加圧室200に導く燃料流路212が複数形成されている。弁ボディ62は、弁部材64を往復移動可能に支持している。さらに、弁ボディ62には、弁部材64が着座する弁座62aが形成されている。
【0019】
弁部材64が弁座62aに着座すると電磁弁60は閉弁し、燃料流路212と加圧室200との連通は遮断される。弁部材64が弁座62aから離座すると電磁弁60は開弁し、燃料流路212と加圧室200とは連通する。つまり、弁部材64は、弁座62aから離座または弁座62aに着座することにより燃料流路212を開閉する。
【0020】
弁部材64の弁座62aと反対側に形成された挿入部64aは、アーマチャ74に形成された挿入穴74aに挿入されている。アーマチャ74の挿入穴74aの内周面と弁部材64の挿入部64aの外周面とのクリアランスは、10μm以上30μm以下である。
【0021】
スプリング座70は、例えば溶接等により弁部材64に固定されている。スプリング72は、スプリング座70に対して電磁弁60の閉弁方向、つまり弁部材64が弁座62aに着座する方向に荷重を加える。
【0022】
アーマチャ74は、弁部材64に対して弁座62aと反対側で固定コア80と向き合う位置に設置されている。アーマチャ74には、弁部材64の挿入部64aが挿入される有底の挿入穴74aが形成されている。電磁弁60の閉弁時、挿入穴74aの底面と挿入部64aの端面とは接触している。
【0023】
図3に示すように、弁部材64とアーマチャ74とが離れると、挿入穴74aの底面と挿入部64aの端面とが形成する空間220は大きくなる。
スプリング76は、アーマチャ74に対して電磁弁60の開弁方向、つまり弁部材64が弁座62aから離座する方向に荷重を加える。スプリング76が開弁方向にアーマチャ74に加える荷重は、スプリング72がスプリング座70に閉弁方向に加える荷重よりも大きい。
【0024】
したがって、コイル90への通電がオフでありアーマチャ74と固定コア80との間に磁気吸引力が発生しない場合、スプリング76とスプリング72との荷重の差により、弁部材64は弁座62aから離座し、電磁弁60は開弁する。
【0025】
固定コア80は、アーマチャ74に対して弁部材64と反対側に設置されている。ヨーク82は、コイル90の外周を覆っている。収容部材84は、固定コア80と弁ボディ62との間において、アーマチャ74の外周側に設置されている。
【0026】
アーマチャ74および弁部材64の周囲には、アーマチャ74と弁部材64とを収容する空間230が収容部材84の内周側に形成されている。収容部材84の内周面は、アーマチャ74の外周面を往復移動方向に案内している。
【0027】
以上説明した固定コア80とアーマチャ74とヨーク82と収容部材84とは、磁性材により形成されており、磁気回路を形成している。
非磁性部材86は、アーマチャ74の外周側において、固定コア80と収容部材84との間に設置されている。非磁性部材86は、固定コア80と収容部材84とが磁気的に短絡することを防止している。
【0028】
コイル90は、収容部材84の外周側とヨーク82の内周側との間に収容されている。コイル90への通電がオンになると、コイル90が発生する磁束が固定コア80とアーマチャ74と収容部材84とヨーク82とが形成する磁気回路を流れる。
【0029】
アーマチャ74と固定コア80との間を流れる磁束をコイル90が発生することにより、アーマチャ74が固定コア80側に吸引される磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力は、弁部材64が弁座62aに着座する方向に働く。コイル90が発生する磁束により弁部材64が弁座62aに着座する方向に働く気吸引力は、スプリング72とスプリング76との荷重の差により、弁部材64が弁座62aから離座する方向に働く力よりも大きい。
【0030】
したがって、コイル90への通電がオンになると、スプリング76とスプリング72との荷重の差により弁部材64に対して開弁方向に働く力に抗して、弁部材64は弁座62aに着座し、電磁弁60は閉弁する。
【0031】
[1-2.作動]
図2に示すように、コイル90への通電がオフの場合、スプリング76とスプリング72との荷重の差により、弁部材64は弁座62aから離座し電磁弁60は開弁する。この場合、燃料流路212と加圧室200とは連通する。
【0032】
コイル90への通電がオンになり、スプリング76とスプリング72との荷重の差に抗してアーマチャ74が固定コア80側に吸引されると、スプリング72の荷重によりスプリング座70と弁部材64とはアーマチャ74とともに閉弁方向に移動する。
【0033】
図3に示すように、弁部材64が閉弁方向に移動して弁座62aに着座すると、燃料流路212と加圧室200との連通は遮断される。
図4に示すように、弁部材64が弁座62aに着座しても、アーマチャ74はまだ固定コア80に衝突しておらず、さらに固定コア80に向けて移動する。すると、以下の(1)、(2)に説明する力がアーマチャ74に働く。
【0034】
(1)弁部材64の挿入部64aの端面と挿入穴74aの底面とが接触している状態から離れようとする。挿入部64aの端面と挿入穴74aの底面とは燃料を介して接触しているので、吸着力が働く。その結果、アーマチャ74が弁部材64から離れない方向に吸着力が働く。
【0035】
(2)弁部材64の挿入部64aの端面と挿入穴74aの底面とが接触している状態から離れようとすると、図4に示すように、挿入部64aの端面と挿入穴74aの底面との間に形成される空間220が大きくなろうとする。その結果、この空間220に負圧が発生するので、アーマチャ74が弁部材64から離れない方向に力が働く。
【0036】
前述した(1)、(2)で働く力により、弁部材64が弁座62aに着座してから、アーマチャ74が固定コア80に向かう移動速度は低下する。そして、図4の点線に示すように、速度が低下した状態でアーマチャ74は固定コア80に衝突する。
【0037】
[1-3.効果]
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1a)電磁弁60の閉弁時において、速度が低下した状態でアーマチャ74が固定コア80に衝突するので、閉弁時においてアーマチャ74が固定コア80に衝突する衝突音を低減できる。
【0038】
(1b)新たな部材を加えることなく、挿入穴74aに挿入部64aを挿入させることにより、閉弁時においてアーマチャ74が固定コア80に衝突する衝突音を低減できる。
(1c)アーマチャ74の外周面が収容部材84の内周面により往復移動方向に案内されるので、アーマチャ74を安定して往復移動方向に案内できる。
(1d)弁部材64よりも体格の大きいアーマチャ74に挿入穴74aを形成するので、挿入穴74aの加工が容易である。
【0039】
尚、上記第1実施形態では、電磁弁60が調量弁に対応し、固定コア80がストッパに対応する。
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0040】
前述した第1実施形態では、アーマチャ74の挿入穴74aの底部は閉じており、空間220は閉塞されていた。これに対し、図5に示すように、第2実施形態の電磁弁100のアーマチャ74には、アーマチャ74を貫通し、空間220と空間230とを連通するオリフィス240が形成されている点で、第1実施形態と相違する。
【0041】
オリフィス240が形成されることにより、電磁弁100の閉弁時において、弁部材64の挿入部64aの端面と挿入穴74aの底面との間に形成される空間220に発生する負圧の絶対値は小さくなる。
【0042】
[2-2.効果]
以上説明した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1d)に加え、以下の効果を得ることができる。
【0043】
(2a)オリフィス240の径を調整することにより、電磁弁100の閉弁時において、アーマチャ74が固定コア80に衝突する速度を調整できる。
尚、上記第2実施形態では、電磁弁100が調量弁に対応する。
[3.第3実施形態]
[3-1.第1実施形態との相違点]
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0044】
前述した第1実施形態では、弁部材64に形成された挿入部64aがアーマチャ74に形成された挿入穴74aに挿入されている。
これに対し、図6に示す第3実施形態の電磁弁110では、アーマチャ114に形成された挿入部114aが弁部材112に形成された挿入穴112aに挿入される点で、第1実施形態と相違する。
【0045】
収容部材84の内周面は、アーマチャ114の外周面を往復移動方向に案内している。弁部材112のアーマチャ114側に、有底の挿入穴112aが形成されている。アーマチャ114の弁部材112側には挿入穴112aに挿入される挿入部114aが形成されている。アーマチャ114の挿入部114aの外周面と弁部材112の挿入部112aの外周面とのクリアランスは、10μm以上30μm以下である。
【0046】
[3-2.効果]
以上説明した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1c)と同様の効果を得ることができる。
尚、上記第3実施形態では、電磁弁110が調量弁に対応する。
【0047】
[4.第4実施形態]
[4-1.第3実施形態との相違点]
第4実施形態は、基本的な構成は第3実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第3実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0048】
前述した第3実施形態では、アーマチャ114の挿入部114aの端面と弁部材112の挿入穴112aの底面とが形成する空間220は閉塞されていた。
これに対し、図7に示す第4実施形態の電磁弁120では、オリフィス240が、空間220と、弁部材112およびアーマチャ114の周囲の空間230とを連通する点で、第1実施形態と相違する。オリフィス240は、アーマチャ114を往復移動方向に貫通して形成されている。
【0049】
オリフィス240が形成されることにより、電磁弁120の閉弁時において、アーマチャ114の挿入部114aの端面と弁部材112の挿入穴112aの底面とが形成する空間220に発生する負圧の絶対値は小さくなる。
【0050】
[4-2.効果]
以上説明した第4実施形態によれば、前述した第3実施形態の効果に加え、以下の効果を得ることができる。
【0051】
(4a)オリフィス240の径を調整することにより、電磁弁120の閉弁時において、アーマチャ114が固定コア80に衝突する速度を調整できる。
尚、上記第4実施形態では、電磁弁120が調量弁に対応する。
【0052】
[5.第5実施形態]
[5-1.第3実施形態との相違点]
第5実施形態は、基本的な構成は第3実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第3実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0053】
前述した第3実施形態では、アーマチャ114の挿入部114aの端面と弁部材112の挿入穴112aの底面とが形成する空間220は、閉塞されていた。
これに対し、図8に示す第5実施形態の電磁弁130では、オリフィス250、252が、空間220と、弁部材1112およびアーマチャ114の周囲の空間230とを連通する点で、第3実施形態と相違する。
【0054】
オリフィス250、252は、挿入穴112aを形成する弁部材112の周壁とスプリング座70の周壁とを径方向に貫通して形成されている。オリフィス250とオリフィス252とは連通している。
【0055】
オリフィス250、252が形成されることにより、電磁弁130の閉弁時において、アーマチャ114の挿入部114aの端面と弁部材112の挿入穴112aの底面とが形成する空間220に発生する負圧の絶対値は小さくなる。
【0056】
[5-2.効果]
以上説明した第5実施形態によれば、前述した第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、上記第5実施形態では、電磁弁130が調量弁に対応する。
【0057】
[6.第6実施形態、第7実施形態、第8実施形態]
[6-1.第6実施形態と第3実施形態との相違点、第7実施形態と第4実施形態との相違点、第8実施形態と第5実施形態との相違点]
第6実施形態は基本的な構成は第3実施形態と同様であり、第7実施形態は基本的な構成は第4実施形態と同様であり、第8実施形態は基本的な構成は第5実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第3実施形態~第5実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0058】
前述した第3実施形態~第5実施形態では、アーマチャ114は収容部材84の内周面により往復移動方向に案内された。
これに対し、図9に示す第6実施形態の電磁弁140、図10に示す第7実施形態の電磁弁150、図11に示す第8実施形態の電磁弁160では、アーマチャ114が、アーマチャ114の挿入部114aが挿入されている弁部材112の挿入穴112aの内周面に往復移動方向に案内されている点で、第3実施形態~第5実施形態と相違する。
【0059】
[6-2.効果]
以上説明した第6実施形態~第8実施形態の電磁弁140、150、160によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)、(1b)と同様の効果を得ることができる。
尚、上記第6実施形態~第8実施形態では、電磁弁140、150、160が調量弁に対応する。
【0060】
[7.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0061】
(7a)上記実施形態では、高圧燃料ポンプの調量弁として電磁弁60、100、110、120、130、140、150、160を使用したが、これに限るものではない。アーマチャとともに弁部材が往復移動し、流路を開閉するのであれば、どのような用途に上記実施形態の電磁弁を使用してもよい。
【0062】
(7b)上記実施形態では、閉弁時において、固定コア80がアーマチャ74、114の移動を停止させるストッパを兼ねているが、これに限るものではない。固定コア80以外の他の部材がストッパとして使用されてもよい。
【0063】
(7c)上記第1実施形態と第2実施形態とでは、アーマチャ74は、収容部材84の内周面により往復移動方向に案内された。これに対し、アーマチャ74は、アーマチャ74の挿入穴74aに挿入されている弁部材64の挿入部64aの外周面により往復移動方向に案内されてもよい。
【0064】
(7d)上記実施形態における一つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、一つの構成要素が有する一つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、一つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される一つの機能を、一つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0065】
(7e)上記の電磁弁の他、当該電磁弁を構成要素とするシステムなど、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0066】
20:高圧燃料ポンプ、60、100、110、120、130、140、150、160:電磁弁(調量弁)、62a:弁座、64、112:弁部材、64a、114a:挿入部、74、114:アーマチャ、74a、112a:挿入穴、80:固定コア(ストッパ)、84:収容部材、90:コイル、流路:212、空間:220、230、オリフィス:240、250、252
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