(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175118
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電力変換装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20221117BHJP
H02P 23/03 20060101ALI20221117BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20221117BHJP
【FI】
H02P27/06
H02P23/03
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081280
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】西村 宗世
(72)【発明者】
【氏名】谷 敬弥
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD03
5H505DD08
5H505EE41
5H505EE49
5H505FF05
5H505FF07
5H505GG04
5H505HA06
5H505HA09
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505JJ23
5H505JJ24
5H505JJ25
5H505JJ28
5H505KK06
5H505LL22
5H505LL41
5H505LL43
5H505LL58
5H505MM02
5H505MM12
5H770BA02
5H770DA04
5H770DA05
5H770DA41
5H770EA01
5H770GA17
5H770HA02Y
5H770HA06W
5H770JA17Z
5H770LA02Z
5H770LA04W
5H770LA04X
5H770LB07
5H770PA11
5H770PA42
(57)【要約】
【課題】回転電機の駆動中に電流集中が発生する場合において、インバータを適正に保護することができる電力変換装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】電力変換装置10は、インバータ30と、インバータ30に電気的に接続された巻線41U~41Wを有する回転電機40と、接続経路60と、制御装置70とを備えている。接続経路60は、第1蓄電池21の負極側及び第2蓄電池22の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する。制御装置70は、モータロック状態になった場合、各相のうち巻線に流れる電流の絶対値が最も大きい相の巻線に流れる電流の絶対値を低下させつつ、各相の巻線41U~41Wに流れる電流の絶対値を互いに近づけるように各相の巻線41U~41W及び接続経路60に電流を流すためのインバータ30のスイッチング制御を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上,下アームスイッチ(QUH~QYL)の直列接続体を有し、該直列接続体が第1蓄電部(21)及び第2蓄電部(22)の直列接続体に並列接続されるインバータ(30)と、
前記インバータに電気的に接続された巻線(41U~41Y)を有する回転電機(40)と、
前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する接続経路(60)と、
各相のうち少なくとも1相の前記巻線に流れる電流の絶対値が電流閾値を超えたと判定したことを条件として、各相のうち前記巻線に流れる電流の絶対値が最も大きい相の前記巻線に流れる電流の絶対値を低下させつつ、各相の前記巻線に流れる電流の絶対値を互いに近づけるように各相の前記巻線及び前記接続経路に電流を流すための前記上,下アームスイッチのスイッチング制御であるバランス制御を行う制御部(70)と、を備える電力変換装置(10)。
【請求項2】
前記制御部は、前記回転電機のロータが回転停止状態又は極低速回転状態であると判定したことを条件として、前記バランス制御を行う、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記バランス制御を行うに先立ち、各相のうちいずれかの相の前記巻線に電流が流れていないと判定した場合、前記上,下アームスイッチのスイッチング制御態様を変更することにより各相の前記巻線に電流が流れる状態にした後、前記バランス制御を行う、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記バランス制御の実行前において最大トルク最小電流制御により前記上,下アームスイッチのスイッチング制御を行っていた場合、前記最大トルク最小電流制御によって定まる電流位相を変更することにより、各相の前記巻線に電流が流れる状態にする、請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記接続経路上に設けられ、オンされることにより前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と前記中性点とを電気的に接続し、オフされることにより前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と前記中性点との間を電気的に遮断する接続スイッチ(61)を備え、
前記制御部は、前記バランス制御を行う場合に前記接続スイッチをオンに切り替える、請求項1~4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記バランス制御において、前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部の温度が低いほど、前記接続経路に流す電流を小さくする、請求項1~5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記バランス制御において、前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部のうち、前記接続経路に電流を流すことによって充電される側の蓄電池のSOCが高いほど、前記接続経路に流す電流を小さくする、請求項1~6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記バランス制御において、各相の前記巻線に流れる電流の絶対値を等しくする、請求項1~7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記インバータの素子温度が高いほど、前記電流閾値を小さくする、請求項1~8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
移動体に搭載される電力変換装置において、
前記制御部は、前記移動体の移動速度が低いほど、前記電流閾値を小さくする、請求項1~9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記回転電機の制御量を指令値に制御するための変調率と、前記接続経路に流す電流を指令電流に制御するための変調率とに基づいて、前記バランス制御を行う、請求項1~10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記接続経路の電流許容値は、前記第1蓄電部の正極側及び前記第2蓄電部の負極側それぞれと前記インバータとを電気的に接続する経路の電流許容値以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項13】
上,下アームスイッチ(QUH~QYL)の直列接続体を有し、該直列接続体が第1蓄電部(21)及び第2蓄電部(22)の直列接続体に並列接続されるインバータ(30)と、
前記インバータに電気的に接続された巻線(41U~41Y)を有する回転電機(40)と、
前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する接続経路(60)と、
コンピュータ(70a)と、を備える電力変換装置(10)に適用されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
各相のうち少なくとも1相の前記巻線に流れる電流の絶対値が電流閾値を超えたと判定したことを条件として、各相のうち前記巻線に流れる電流の絶対値が最も大きい相の前記巻線に流れる電流の絶対値を低下させつつ、各相の前記巻線に流れる電流の絶対値を互いに近づけるように各相の前記巻線及び前記接続経路に電流を流すための前記上,下アームスイッチのスイッチング制御であるバランス制御を行う制御部(70)として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インバータと、インバータに接続された回転電機とを備える電力変換装置が知られている。回転電機の巻線に通電されて回転電機が駆動されている場合において、回転電機の出力トルクと回転電機のロータに作用する負荷トルクとが釣り合うと、ロータの回転が停止する。この場合、回転電機の電気角が変化しなくなり、各相のうちいずれかの相の巻線に電流が集中し得る。その結果、インバータを構成するスイッチが過熱状態となり、インバータの信頼性が低下する懸念がある。なお、ロータが極低速回転する場合にも、各相のうちいずれかの相の巻線に電流が集中し得る。
【0003】
特許文献1には、回転電機の駆動中において、ロータの回転が停止したり、ロータが極低速回転したりするモータロック状態になる期間にわたって、回転電機の指令トルクを低下させる技術が開示されている。指令トルクの低下により、各相の巻線に流れる電流が減少させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モータロック状態となる期間にわたって指令トルクが低下させられると、各相の巻線に流れる電流は低下するものの、回転電機の出力トルクの低下も大きくなってしまう。このため、回転電機の駆動中に電流集中が発生する場合においてインバータを保護する技術については、未だ改善の余地を残すものとなっている。
【0006】
本発明は、回転電機の駆動中に電流集中が発生する場合において、インバータを適正に保護することができる電力変換装置及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上,下アームスイッチの直列接続体を有し、該直列接続体が第1蓄電部及び第2蓄電部の直列接続体に並列接続されるインバータと、
前記インバータに電気的に接続された巻線を有する回転電機と、
前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する接続経路と、
各相のうち少なくとも1相の前記巻線に流れる電流の絶対値が電流閾値を超えたと判定したことを条件として、各相のうち前記巻線に流れる電流の絶対値が最も大きい相の前記巻線に流れる電流の絶対値を低下させつつ、各相の前記巻線に流れる電流の絶対値を互いに近づけるように各相の前記巻線及び前記接続経路に電流を流すための前記上,下アームスイッチのスイッチング制御であるバランス制御を行う制御部と、を備える。
【0008】
本発明の上記バランス制御によれば、電流集中が発生し、各相のうち少なくとも1相の巻線に流れる電流の絶対値が電流閾値を超えた状況において、各相のうち巻線に流れる電流の絶対値が最も大きい相の巻線に流れる電流の絶対値を低下させることができる。このため、インバータの信頼性が低下する事態の発生を抑制できる。
【0009】
また、接続経路に電流を流すことにより、各相のうち電流の絶対値を低下させた相以外の相において巻線に流れる電流の絶対値を大きくし、各相の巻線に流れる電流の絶対値を互いに近づけることができる。このため、特許文献1に記載の技術と比較して、回転電機の出力トルクの低下を抑制したり、出力トルクを維持したりすることができる。
【0010】
このように、本発明によれば、回転電機の駆動中に電流集中が発生する場合において、トルク低下の影響を抑制しつつ、インバータを適正に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】電池温度Td及び電流制限値Ilimの関係を示す図。
【
図4】SOC及び電流制限値Ilimの関係を示す図。
【
図5】バランス制御処理を含む制御装置が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【
図6】バランス制御が行われる場合における各相電流の推移を示すタイムチャート。
【
図7】比較例における各相電流の推移を示すタイムチャート。
【
図9】バランス制御が行われる場合における各相電流、中性点電流及び出力トルクの計算結果を示すタイムチャート。
【
図10】回転電機の電流位相の変更態様を説明するための図。
【
図11】電流位相が変更された場合における各相電流の推移を示すタイムチャート。
【
図12】その他の実施形態に係る電力変換装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る電力変換装置を具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載されている。
【0013】
図1示すように、電力変換装置10は、インバータ30と、回転電機40とを備えている。回転電機40は、3相の同期機であり、ステータ巻線として星形結線されたU,V,W相巻線41U,41V,41Wを備えている。各相巻線41U,41V,41Wは、電気角で120°ずつずれて配置されている。回転電機40は、例えば永久磁石同期機である。本実施形態において、回転電機40は車載主機であり、車両の走行動力源となる。
【0014】
インバータ30は、上アームスイッチQUH,QVH,QWHと下アームスイッチQUL,QVL,QWLとの直列接続体を3相分備えている。本実施形態では、各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられており、具体的にはIGBTが用いられている。このため、各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLの高電位側端子はコレクタであり、低電位側端子はエミッタである。各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLには、フリーホイールダイオードとしての各ダイオードDUH,DVH,DWH,DUL,DVL,DWLが逆並列に接続されている。
【0015】
U相上アームスイッチQUHのエミッタと、U相下アームスイッチQULのコレクタとには、バスバー等のU相導電部材32Uを介して、U相巻線41Uの第1端が接続されている。V相上アームスイッチQVHのエミッタと、V相下アームスイッチQVLのコレクタとには、バスバー等のV相導電部材32Vを介して、V相巻線41Vの第1端が接続されている。W相上アームスイッチQWHのエミッタと、W相下アームスイッチQWLのコレクタとには、バスバー等のW相導電部材32Wを介して、W相巻線41Wの第1端が接続されている。U,V,W相巻線41U,41V,41Wの第2端同士は、中性点Oで接続されている。なお、本実施形態において、各相巻線41U,41V,41Wは、ターン数が同じに設定されている。これにより、各相巻線41U,41V,41Wは、例えばインダクタンスが同じに設定されている。
【0016】
各上アームスイッチQUH,QVH,QWHのコレクタと、組電池20の正極端子とは、バスバー等の正極側母線Lpにより接続されている。各下アームスイッチQUL,QVL,QWLのエミッタと、組電池20の負極端子とは、バスバー等の負極側母線Lnにより接続されている。
【0017】
電力変換装置10は、正極側母線Lpと負極側母線Lnとを接続するコンデンサ31を備えている。なお、コンデンサ31は、インバータ30に内蔵されていてもよいし、インバータ30の外部に設けられていてもよい。
【0018】
組電池20は、単電池である電池セルの直列接続体として構成されている。組電池20を構成する各電池セルの端子電圧(例えば定格電圧)は、例えば互いに同じに設定されている。電池セルとしては、例えば、リチウムイオン電池等の2次電池を用いることができる。なお、組電池20は、例えば電力変換装置10の外部に設けられている。
【0019】
本実施形態では、組電池20を構成する電池セルのうち、高電位側の複数の電池セルの直列接続体が第1蓄電池21(「第1蓄電部」に相当)を構成し、低電位側の複数の電池セルの直列接続体が第2蓄電池22(「第2蓄電部」に相当)を構成している。つまり、組電池20が2つのブロックに分けられている。
【0020】
組電池20において、第1蓄電池21の負極端子と第2蓄電池22の正極端子とには中間端子Bが接続されている。
【0021】
電力変換装置10は、監視ユニット50を備えている。監視ユニット50は、組電池20を構成する各電池セルの端子電圧、SOC、SOH及び温度等を監視する。監視ユニット50の監視情報は、電力変換装置10が備える制御装置70(「制御部」に相当)に入力される。
【0022】
電力変換装置10は、接続経路60と、接続スイッチ61とを備えている。接続経路60は、組電池20の中間端子Bと中性点Oとを電気的に接続する。接続スイッチ61は、接続経路60上に設けられている。本実施形態では、接続スイッチ61としてリレーが用いられている。接続スイッチ61がオンされることにより、中間端子Bと中性点Oとが電気的に接続される。一方、接続スイッチ61がオフされることにより、中間端子Bと中性点Oとの間が電気的に遮断される。
【0023】
電力変換装置10は、電流センサ62と、相電流センサ63とを備えている。電流センサ62は、接続経路60に流れる電流を検出する。相電流センサ63は、少なくとも2相分の相電流を検出する。相電流センサ63は、例えば、各導電部材32U~32Wのうち少なくとも2相分の導電部材に流れる電流を検出する。各電流センサ62,63の検出値は、制御装置70に入力される。
【0024】
制御装置70は、マイコン70aを主体として構成され、マイコン70aは、CPUを備えている。マイコン70aが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコン70aがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコン70aは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する
図2~
図5等に示す処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えば、インターネット等のネットワークを介して更新可能である。
【0025】
制御装置70は、回転電機40の制御量をその指令値にフィードバック制御すべく、インバータ30を構成する各スイッチのスイッチング制御を行う。本実施形態において、制御量はトルクである。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとは交互にオンされる。
【0026】
制御装置70は、接続スイッチ61をオン又はオフし、また、監視ユニット50と通信可能とされている。
【0027】
図2に、制御装置70が実行する処理のブロック図を示す。
【0028】
d軸偏差算出部71dは、d軸指令電流Id*からd軸電流Idrを減算することにより、d軸電流偏差ΔIdを算出する。q軸偏差算出部71qは、q軸指令電流Iq*からq軸電流Iqrを減算することにより、q軸電流偏差ΔIqを算出する。ここで、d軸指令電流Id*及びq軸指令電流Iq*は、回転電機40の制御量の指令値(以下、指令トルクTrq*)に基づいて設定される。また、本実施形態において、d軸指令電流Id*及びq軸指令電流Iq*は、最大トルク最小電流制御(MTPA)により設定される。d軸電流Idr及びq軸電流Iqrは、相電流センサ63の検出値及び回転電機40の電気角に基づいて算出される。なお、電気角は、レゾルバ等の回転角センサの検出値であってもよいし、位置センサレス制御で推定された推定値であってもよい。
【0029】
なお、指令トルクTrq*は、車両ユーザのアクセル操作部材(例えば、アクセルペダル)の操作量に基づいて設定される。
【0030】
d軸制御部72dは、算出されたd軸電流偏差ΔIdを0にフィードバック制御するための操作量として、d軸電圧Vdを算出する。q軸制御部72qは、算出されたq軸電流偏差ΔIqを0にフィードバック制御するための操作量として、q軸電圧Vqを算出する。本実施形態では、各制御部72d,72qのフィードバック制御として比例積分制御が用いられる。なお、フィードバック制御としては、比例積分制御に限らず、例えば比例積分微分制御であってもよい。
【0031】
3相変換部73は、d軸電圧Vd、q軸電圧Vq及び上記電気角に基づいて、3相固定座標系におけるU~W相指令電圧Vu~Vwを算出する。各相指令電圧Vu~Vwは、電気角で120度ずつ位相がずれた信号(具体的には例えば、正弦波状の信号)である。
【0032】
U相重畳部74Uは、U相指令電圧Vuにオフセット補正量CFを加算することにより、U相最終指令電圧「Vu+CF」を算出する。V相重畳部74Vは、V相指令電圧Vvにオフセット補正量CFを加算することにより、V相最終指令電圧「Vv+CF」を算出する。W相重畳部74Wは、W相指令電圧Vwにオフセット補正量CFを加算することにより、W相最終指令電圧「Vw+CF」を算出する。なお、オフセット補正量CFの算出方法については、後に詳述する。
【0033】
なお、制御装置70は、車両の走行要求信号を取得した場合、回転電機40の駆動要求があると判定し、回転電機40のロータを回転駆動させるためのスイッチング制御を行う。この場合、上述したように、各相指令電圧Vu~Vwは、電気角で120度ずつ位相がずれた信号となる。一方、車両が停車中の場合、指令トルクTrq*が0にされ、各相指令電圧Vu,Vv,Vwが0となる。このため、各相の最終指令電圧はオフセット補正量CFとなる。
【0034】
U相変調部75Uは、U相最終指令電圧「Vu+CF」を電源電圧Vdcで除算することにより、U相変調率Muを算出する。ここで、電源電圧Vdcは、監視ユニット50から取得した第1蓄電池21の端子電圧VBH及び第2蓄電池22の端子電圧VBLの合計値である。V相変調部75Vは、V相最終指令電圧「Vv+CF」を電源電圧Vdcで除算することにより、V相変調率Mvを算出する。W相変調部75Wは、W相最終指令電圧「Vw+CF」を電源電圧Vdcで除算することにより、W相変調率Mwを算出する。
【0035】
U,V,W相比較部76U,76V,76Wの非反転入力端子には、U,V,W相変調率Mu,Mv,Mwが入力される。U,V,W相比較部76U,76V,76Wの反転入力端子には、U,V,W相キャリア生成部77U、77V,77Wにより生成されたU,V,W相キャリア信号Sgu,Sgv,Sgwが入力される。本実施形態において、各キャリア信号Sgu,Sgv,Sgwは、漸増速度と漸減速度とが等しい三角波信号である。また、各キャリア信号Sgu,Sgv,Sgwの振幅を1とする。各キャリア信号Sgu,Sgv,Sgwは、0を中心として、-1から1までの範囲の値を取る。本実施形態では、各キャリア信号Sgu,Sgv,Sgwが共通のキャリア信号であるとする。
【0036】
制御装置70は、U相比較部76Uから出力されるPWM信号に基づいて、U相上,下アームスイッチQUH,QULのゲート信号を生成し、生成したゲート信号をU相上,下アームスイッチQUH,QULのゲートに供給する。これにより、U相上,下アームスイッチQUH,QULのスイッチング制御が行われる。同様に、制御装置70は、V相比較部76Vから出力されるPWM信号に基づいて、V相上,下アームスイッチQVH,QVLのスイッチング制御を行い、W相比較部76Wから出力されるPWM信号に基づいて、W相上,下アームスイッチQWH,QWLのスイッチング制御を行う。
【0037】
上記オフセット補正量CFは、電流バランス制御のために必要なパラメータである。以下、オフセット補正量CFを算出するための構成について説明する。
【0038】
指令値算出部81は、相電流センサ63の検出値に基づいて、中性点指令電流IM*を算出する。中性点指令電流IM*は、後述するモータロック状態となった場合において、各相電流の絶対値を等しくするために接続経路60に流す電流の直流指令値である。中性点指令電流IM*は、3相のうち巻線に流れる電流の絶対値が最も大きい相における相電流絶対値の低下量に相当し、また、残り2相における相電流絶対値の増加量の加算値に相当する。
【0039】
制限部82は、指令値算出部81により算出された中性点指令電流IM*の絶対値が電流制限値Ilimを超える場合、中性点指令電流IM*の絶対値を電流制限値Ilimにして出力する。
【0040】
制限部82は、
図3に示すように、監視ユニット50から取得した組電池20の温度(以下、電池温度Td)が温度判定値Tth以上の場合、電流制限値Ilimを一定値にする。一方、電池温度Tdが温度判定値Tthを下回る場合、電池温度Tdが低いほど、電流制限値Ilimを連続的又は段階的に小さくし、電池温度Tdが所定温度になる場合に電流制限値Ilimを0にする。温度判定値Tthは、低温環境下における組電池20の劣化を抑制する観点から設定される。
【0041】
組電池20の低温時において接続経路60を介して組電池20に電流の直流成分が流れると、組電池20の劣化が促進されてしまう。特に、第1蓄電池21及び第2蓄電池22のうち、上記直流成分により充電される側の蓄電池の劣化が促進されてしまう。そこで、電池温度Tdに基づく電流制限値Ilimが設定されることにより、低温時における組電池20の劣化を抑制する。
【0042】
制限部82は、
図4に示すように、監視ユニット50から取得した組電池20のSOCがSOC判定値Sth以下の場合、電流制限値Ilimを一定値にする。一方、SOCがSOC判定値Sthを超える場合、SOCが高いほど、電流制限値Ilimを連続的又は段階的に小さくし、SOCが所定SOCになる場合に電流制限値Ilimを0にする。SOC判定値Sthは、組電池20の劣化を抑制する観点から設定される。SOC判定値Sthの設定に用いられるSOCは、第1蓄電池21及び第2蓄電池22のうち、接続経路60により電流を流すことにより充電される側の蓄電池のSOCである。
【0043】
蓄電池のSOCが高い状態で蓄電池が充電されると、蓄電池の劣化が促進されてしまう。そこで、SOCに基づく電流制限値Ilimが設定されることにより、組電池20の劣化を抑制する。なお、電流制限値Ilimの設定に用いられる蓄電量を示すパラメータとして、SOCに代えて、端子電圧又は電池容量[Ah]が用いられてもよい。
【0044】
中性点偏差算出部83は、制限部82から出力された中性点指令電流IM*から、電流センサ62により検出された電流である中性点電流IMrを減算することにより、中性点電流偏差ΔIMを算出する。
【0045】
中性点制御部84は、算出された中性点電流偏差ΔIMを0にフィードバック制御するための操作量として、オフセット補正量CFを算出する。本実施形態では、このフィードバック制御として比例積分制御が用いられる。なお、フィードバック制御としては、比例積分制御に限らず、例えば比例積分微分制御であってもよい。
【0046】
続いて、
図5を用いて、制御装置70により実行されるバランス制御の手順について説明する。
【0047】
ステップS10では、回転電機40のロータの回転速度Nmが速度閾値Nthを下回るか否かを判定する。速度閾値Nthは、ロータが回転停止状態、又は回転停止状態に近い状態でロータが回転する極低速回転状態であることを判定できる値に設定されている。なお、回転速度Nmは、例えば、上記回転角センサの検出値に基づいて算出されればよい。また、速度閾値Nthと比較される値は、例えば、回転電機40の電気角速度であってもよい。ステップS10の条件は、バランス制御の実行条件の1つである。
【0048】
ステップS10において回転速度Nmが速度閾値Nth以上であると判定した場合には、中性点指令電流IM*を0にするとともに、接続スイッチ61をオフにし、
図2に示す処理を行う。
【0049】
一方、ステップS10において回転速度Nmが速度閾値Nthを下回ると判定した場合には、ステップS11に進み、バランス制御の実行条件である第1条件及び第2条件の双方が成立しているか否かを判定する。
【0050】
第1条件は、指令トルクTrq*がトルク閾値Trqthを上回っているとの条件である。ここで、トルク閾値Trqthは、例えば回転電機40の連続許容トルクに設定されればよい。
【0051】
第2条件は、インバータ30から回転電機40の巻線への出力電流Iinvが電流閾値Ithを上回っているとの条件である。ここで、電流閾値Ithは、各スイッチQUH~QWLの信頼性の低下を防止する観点から設定され、例えば各スイッチQUH~QWLの許容上限電流に設定されている。出力電流Iinvとしては、例えば、相電流センサ63により検出された相電流のピーク値、相電流の実効値、又は回転電機40の巻線に流れる電流ベクトルの振幅を用いることができる。
【0052】
なお、ステップS11において、各スイッチQUH~QWLのうち少なくとも1つの温度が温度閾値を超えるとの第3条件が追加されてもよい。
【0053】
ステップS11において第1,第2条件の双方が成立していると判定した場合には、モータロック状態であると判定し、接続スイッチ61をオンに切り替える。バランス制御の実行時においてのみ接続スイッチ61をオンするため、電力変換装置10の効率の低下を抑制できる。
【0054】
モータロック状態は、例えば、車両が上り勾配の走行路面にある場合において、ユーザのアクセルペダル操作により、車両の走行速度が0近傍になることにより発生し得る。また、モータロック状態は、例えば、車両が段差を乗り越える場合に発生し得る。
【0055】
続くステップS12では、相電流センサ63の検出値に基づいて、U,V,W相巻線41U,41V,41Wそれぞれに相電流が流れているか否かを判定する。
【0056】
ステップS12においてU,V,W相巻線41U,41V,41Wそれぞれに相電流が流れていると判定した場合には、ステップS13に進み、
図2に示す処理により中性点指令電流IM*を算出する。そして、中性点電流IMrを中性点指令電流IM*にフィードバック制御するとともに、回転電機40のトルクを指令トルクTrq*に制御すべく、各スイッチQUH~QWLのスイッチング制御を行う。つまり、バランス制御を行う。
【0057】
図6に、バランス制御が行われる場合における各相電流の推移を示す。
【0058】
時刻t1においてモータロック状態になったと判定される。このため、バランス制御が開始され、中性点電流IMrが中性点指令電流IM*に制御される。その結果、各相電流IUr,IVr,IWrの絶対値が等しくされる。
図6に示す例では、時刻t1においてU相電流IUrの絶対値がIであるとする。バランス制御により、U相電流IUrの絶対値がI/4低下し、U相電流IUrの絶対値が3I/4となる。また、接続経路60に3I/4の電流が流れることにより、V,W相電流IVr,IWrが3I/4となる。
【0059】
ちなみに、
図7には、バランス制御が行われない比較例における各相電流IUr,IVr,IWrの推移を示す。比較例では、U相電流IUrの絶対値がIに維持されたままとなり、インバータ30の信頼性が低下してしまう。
【0060】
バランス制御について、
図8を用いてさらに説明する。
図8(a)は、モータロック状態になった場合において、U相巻線41Uに電流が集中しているときを示している。この状態でバランス制御が行われると、
図8(b)に示すように、中性点O側に向かう方向に接続経路60に電流「3I/4」が流れる。これにより、各相電流IUr,IVr,IWrがI/4オフセットする。接続経路60に流れる電流がU,V,W相巻線41U,41V,41Wに分配されることにより、各相電流IUr,IVr,IWrの絶対値を均等化することができる。これにより、電流集中を解消することができる。
【0061】
図9にバランス制御が行われる場合の計算結果を示す。
図9(a)は各相電流IUr,IVr,IWrの推移を示し、
図9(b)は中性点電流IMrの推移を示し、
図9(c)は回転電機40の出力トルクの推移を示す。
図9において、時刻t1は、モータロック状態であると判定されたタイミングである。バランス制御が行われる場合であっても、出力トルクが維持されている。
【0062】
ちなみに、接続経路60の電流許容値を、正極側母線Lp及び負極側母線Lnの電流許容値以下にしてもよい。これにより、接続経路60の断面積を小さくできる等、接続経路60の体格及び重量を小さくできる。
【0063】
先の
図5の説明に戻り、バランス制御を行っている場合において、ステップS10又はS11で否定判定すると、モータロック状態が解消したと判定し、バランス制御を停止する。これにより、接続スイッチ61がオフに切り替えられ、接続経路60に電流が流れなくなる。
【0064】
ステップS12においていずれかの相に相電流が流れていないと判定した場合には、ステップS14に進み、各スイッチQUH~QWLのスイッチング制御態様を変更することにより、各相電流IUr,IVr,IWrの絶対値を0以外の値にする。その後、ステップS13に進み、バランス制御を行う。
【0065】
モータロック状態になった場合において、各相のいずれかに電流が流れていない場合、残り2相の電流の絶対値は同じ又は同等になる。バランス制御では、各相電流IUr,IVr,IWrを「IMr/3」ずつしかオフセットできないため、バランス制御によって相電流絶対値がかえって増加してしまうおそれがある。このような事態の発生を抑制すべく、ステップS14の処理を行う。
【0066】
図10を用いて、スイッチング制御態様の変更方法について説明する。
図10は、d軸電流Id及びq軸電流Iqで規定される座標系を示す。
図10において、CPは、d,q軸指令電流Id*,Iq*で定まる現在の電流ベクトルの先端(つまり、動作点)を示し、βは電流ベクトルの位相(以下、電流位相)を示す。CIは、現在の電流ベクトルの大きさで規定される電流円を示し、Cmtpaは、最大トルク最小電流制御により定まるd,q軸指令電流Id*,Iq*を示し、Ctrは、現在の動作点CPに対応する等トルク線を示す。
【0067】
スイッチング制御態様の変更方法としては、例えば以下に説明するものが挙げられる。
【0068】
・動作点CPを等トルク線Ctr上に位置させることを条件として、電流位相βを、最大トルク最小電流制御により定まる電流位相から変更する。この場合、電流位相βの変更前後において出力トルクの変化を抑制できる。
【0069】
・動作点CPを電流円CI上に位置させることを条件として、電流位相βを、最大トルク最小電流制御により定まる電流位相から変更する。
【0070】
ステップS14の処理によれば、
図11に示すように、各相巻線41U,41V,41Wに電流が流れる状態になる。
図11において、時刻t1は、電流位相βが変更されたタイミングを示す。
【0071】
以上詳述したように、本実施形態によれば、モータロック状態になった場合において、バランス制御が行われることにより、各相のうち巻線に流れる電流の絶対値が最も大きい相の巻線に流れる電流の絶対値が低下する。このため、インバータ30の信頼性が低下する事態の発生を抑制できる。
【0072】
また、接続経路60に電流を流すことにより、各相のうち電流の絶対値を低下させた相以外の相において巻線に流れる電流の絶対値を大きくし、各相の巻線に流れる電流の絶対値を等しくする。このため、バランス制御の実行に伴い、回転電機40の出力トルクが低下する事態の発生を抑制できる。
【0073】
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0074】
・
図5のステップS11において、インバータ30の素子温度、回転電機40及びインバータ30を冷却する冷却流体(具体的には例えば、冷却水)の温度、又は回転電機40及びインバータ30の雰囲気温度が高いほど、電流閾値Ithを連続的又は段階的に小さくしてもよい。これにより、各スイッチQUH~QWLの放熱量が小さくなる状況において、インバータ30を構成する各スイッチQUH~QWLを過熱異常から的確に保護することができる。なお、電流閾値Ithの設定に用いられる上記素子温度は、例えば、感温ダイオードにより検出された温度であればよい。感温ダイオードは、例えば、インバータ30の上,下アームスイッチそれぞれとモジュール化されている。また、電流閾値Ithの設定に用いられる冷却流体の温度は、例えば、冷却流体の温度を検出するセンサの検出値であればよい。また、電流閾値Ithの設定に用いられる雰囲気温度は、例えば、雰囲気温度を検出するセンサの検出値であればよい。
【0075】
また、
図5のステップS11において、車両の走行速度が低いほど、電流閾値Ithを連続的又は段階的に小さくしてもよい。
【0076】
・上記実施形態では、バランス制御において、各相電流IUr,IVr,IWrの絶対値を等しくしたがこれに限らず、各相電流IUr,IVr,IWrの絶対値のうち少なくとも2つを異なる値にしてもよい。この場合であっても、モータロック状態になった時点において最も絶対値が大きい相電流を低下させることはできる。
【0077】
・回転電機及びインバータとしては、5相又は7相等、3相以外のものであってもよい。
図12に、5相の場合における電力変換装置を示す。
図12では、インバータ30において、X相上,下アームスイッチQXH,QXL及び各ダイオードDXH,DXLが追加され、Y相上,下アームスイッチQYH,QYL及び各ダイオードDYH,DYLが追加されている。また、回転電機40において、X相巻線41XとY相巻線41Yとが追加されている。また、電力変換装置10において、X相導電部材32XとY相導電部材32Yとが追加されている。
【0078】
・
図2において、d,q軸指令電流Id*,Iq*を定めるための制御としては、最大トルク最小電流制御に限らず、例えば
図10に示すCmtpaから動作点が外れる制御であってもよい。
【0079】
・接続スイッチ61としては、リレーに限らない。接続スイッチ61として、例えば、ソース同士が接続された一対のNチャネルMOSFETや、IGBTが用いられてもよい。
【0080】
・接続スイッチ61は必須ではない。この場合、中間端子Bと中性点Oが常時電気的に接続されることとなる。
【0081】
・インバータを構成する上,下アームスイッチとしては、IGBTに限らず、例えばNチャネルMOSFETであってもよい。
【0082】
・
図1において、蓄電池に代えて、例えば電気二重層キャパシタが用いられてもよい。
【0083】
・電力変換装置が搭載される移動体としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。例えば、移動体が航空機の場合、航空機が備える回転電機は航空機の飛行動力源となり、移動体が船舶の場合、船舶が備える回転電機は船舶の航行動力源となる。また、電力変換装置の搭載先は、移動体に限らない。
【符号の説明】
【0084】
10…電力変換装置、21,22…第1,第2蓄電池、30…インバータ、40…回転電機、60…接続経路、70…制御装置。