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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175120
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221117BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081282
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】西村 宗世
(72)【発明者】
【氏名】白川 和博
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA05
5H770DA41
5H770HA02Z
5H770HA06Z
5H770JA17Z
5H770KA01W
5H770QA28
5H770QA33
5H770QA35
(57)【要約】
【課題】電力変換装置から外部に流出するノイズを低減できる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置10は、組電池20、インバータ30、回転電機40、制御装置70、電池ケース100及び共通ケース110を備えている。組電池20は、電池ケース100内に収容され、インバータ30及び回転電機40は、共通ケース110内に収容されている。組電池20の中間端子Bと、回転電機40の中性点Oとは、接続経路60を含む中性点配線により接続されている。制御装置70は、中性点配線を介して組電池20と回転電機40の巻線41U~41Wとの間に電流を流すべく、インバータ30のスイッチング制御を行う。接続経路60は、共通ケース110内に収容されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上,下アームスイッチ(QUH~QYL)の直列接続体を有し、該直列接続体が第1蓄電部(21)及び第2蓄電部(22)の直列接続体に並列接続されるインバータ(30)と、
前記インバータに電気的に接続された巻線(41U~41Y)を有する回転電機(40)と、
前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する中性点配線(60,80M,60M,81M,60I)と、
前記インバータ、前記巻線及び前記中性点配線を介して前記第1蓄電部と前記第2蓄電部との間に電流が流れるように、前記上,下アームスイッチのスイッチング制御を行う制御部(70)と、
少なくとも前記インバータを収容するとともにシールド機能を有するケース(100,110,120,130,140,150)と、を備え、
前記中性点配線の少なくとも一部は、前記ケース内に収容されている、電力変換装置(10)。
【請求項2】
前記ケースとして、
前記インバータを収容する第1ケース(120,150)と、
前記第1ケースから離間して配置され、前記回転電機を収容する第2ケース(130)と、が備えられ、
前記中性点配線のうち、前記第2ケース内に収容された部分(60M)と、前記第1ケース内に収容された部分(60I)との間の部分である中性点ケース間配線(81M)を覆うとともに、前記第2ケースと前記第1ケースとを電気的に接続するシールド線(91)を備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
各相において、前記上,下アームスイッチの接続点と、前記巻線のうち前記中性点側とは反対側の端部とを電気的に接続する動力用配線を備え、
前記シールド線は、前記動力用配線のうち、前記第2ケース内に収容された部分と、前記第1ケース内に収容された部分との間の部分(81U~81W)を、前記中性点ケース間配線とともに覆っている、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記中性点配線上に設けられた中性点スイッチ(61)を備え、
前記制御部は、前記スイッチング制御を行う場合に前記中性点スイッチをオンに切り替え、
前記第1ケース(150)は、底板部(151)と、該底板部の周縁部に設けられた壁部(152)と、を有しており、
前記中性点配線が前記壁部に設けられた端子(TM)を介して前記第1ケース内に引き込まれており、
前記中性点スイッチは、前記壁部の内側面のうち前記端子付近に設けられている、請求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記ケース(110,140)は、前記インバータ及び前記回転電機を収容している、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
上,下アームスイッチ(QUH~QYL)の直列接続体を有し、該直列接続体が第1蓄電部(21)及び第2蓄電部(22)の直列接続体に並列接続されるインバータ(30)と、
前記インバータに電気的に接続された巻線(41U~41Y)を有する回転電機(40)と、
前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する中性点配線(60,80M)と、
前記インバータ、前記巻線及び前記中性点配線を介して前記第1蓄電部と前記第2蓄電部との間に電流が流れるように、前記上,下アームスイッチのスイッチング制御を行う制御部(70)と、
前記インバータ及び前記回転電機を収容するケース(110,140)と、
各相において、前記上,下アームスイッチの接続点と、前記巻線のうち前記中性点側とは反対側の端部とを電気的に接続する動力用配線と、を備え、
前記ケースは、非金属材料により形成されており、
前記動力用配線と、前記中性点配線の少なくとも一部とは、前記ケース内に収容されており、
前記ケース内において、前記動力用配線及び前記中性点配線を覆っているシールド線を備える、電力変換装置(10)。
【請求項7】
前記ケースとして、
前記インバータを収容する第1ケース(110)と、
前記第1ケースから離間して配置され、前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部を収容する第2ケース(100)と、が備えられ、
前記中性点配線のうち、前記第2ケース内に収容された部分と、前記第1ケース内に収容された部分(60)との間の部分である電池側ケース間配線(80M)を覆うとともに、前記第1ケースと前記第2ケースとを電気的に接続するシールド線(90)を備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記シールド線は、前記電池側ケース間配線とともに、前記第1蓄電部の正極側と前記上アームスイッチの高電位側端子とを電気的に接続する配線のうち前記第1ケース及び前記第2ケースに収容されていない部分(80H)と、前記第2蓄電部の負極側と前記下アームスイッチの低電位側端子とを電気的に接続する配線のうち前記第1ケース及び前記第2ケースに収容されていない部分(80L)とを覆っている、請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記ケース(150)は、前記インバータ、前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部を収容している、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項10】
上,下アームスイッチ(QUH~QYL)の直列接続体を有し、該直列接続体が第1蓄電部(21)及び第2蓄電部(22)の直列接続体に並列接続されるインバータ(30)と、
前記インバータに電気的に接続された巻線(41U~41Y)を有する回転電機(40)と、
前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する中性点配線(60M,81M,60I)と、
前記インバータ、前記巻線及び前記中性点配線を介して前記第1蓄電部と前記第2蓄電部との間に電流が流れるように、前記上,下アームスイッチのスイッチング制御を行う制御部(70)と、
前記インバータ、前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部を収容するケース(150)と、を備え、
前記ケースは、非金属材料により形成されており、
前記第1蓄電部の正極側と前記上アームスイッチの高電位側端子とを電気的に接続する高電位側配線と、前記第2蓄電部の負極側と前記下アームスイッチの低電位側端子とを電気的に接続する低電位側配線と、前記中性点配線の少なくとも一部とは、前記ケース内に収容されており、
前記ケース内において、前記高電位側配線、前記低電位側配線及び前記中性点配線を覆っているシールド線を備える、電力変換装置(10)。
【請求項11】
前記ケース内に設けられる第1コンデンサ(32A)及び第2コンデンサ(32B)を備え、
前記ケース内において、前記上アームスイッチの高電位側端子側と前記中性点配線とが前記第1コンデンサにより電気的に接続されており、
前記ケース内において、前記下アームスイッチの低電位側端子側と前記中性点配線とが前記第2コンデンサにより電気的に接続されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記第1蓄電部の正極側と前記上アームスイッチの高電位側端子とを電気的に接続する高電位側配線に設けられた第1コイル(34A)と、
前記中性点配線に設けられた第2コイル(34B)と、
前記第2蓄電部の負極側と前記下アームスイッチの低電位側端子とを電気的に接続する低電位側配線に設けられた第3コイル(34C)と、
前記第1コイル、前記第2コイル及び前記第3コイルが巻回された共通の磁性体コアと、を有するコモンモードチョーク(33)を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記中性点に第1端が電気的に接続されるとともに、前記ケースに収容されたバイパス配線(63)と、
前記ケース(110)内に設けられる第1コンデンサ(32A)及び第2コンデンサ(32B)と、を備え、
前記ケース内において、前記上アームスイッチの高電位側端子側及び前記下アームスイッチの低電位側端子側それぞれと前記バイパス配線の第2端とが電気的に接続されており、
前記中性点配線のうち、中間部分から前記第1蓄電部及び前記第2蓄電部側が前記ケース外に配置されている、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記バイパス配線に設けられた第3コンデンサ(35)を備える、請求項13記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記中性点配線上に設けられた中性点スイッチ(61)を備え、
前記制御部は、前記スイッチング制御を行う場合に前記中性点スイッチをオンに切り替え、
前記中性点スイッチは、前記中性点配線のうち、中央部分よりも前記中性点側に設けられている、請求項1~14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インバータと、インバータに電気的に接続された巻線を有する回転電機とを備える電力変換装置が知られている。回転電機を駆動させるために、インバータを構成する上,下アームスイッチのスイッチング制御が行われる。このスイッチング制御が行われることにより、ノイズが発生する。
【0003】
特許文献1には、回転電機を収容するモータケースの上側にインバータを収容するインバータケースが配置され、インバータケースとモータケースとが一対の防振部材により接続された電力変換装置が記載されている。モータケース、防振部材及びインバータケースの経路のインピーダンスが、モータケース及びボディグランドの経路のインピーダンスよりも小さくなるように防振部材が構成されている。これにより、インバータ側から回転電機側へと伝搬するノイズを、モータケース及び防振部材を介してインバータケース側に多く還流させることができ、ボディグランドに流出するノイズを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-2610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電力変換装置としては、第1蓄電部及び第2蓄電部の直列接続体に上,下アームスイッチが並列接続されるとともに、第1蓄電部の負極側及び第2蓄電部の正極側と、巻線の中性点とを電気的に接続する中性点配線を備えるものもある。この電力変換装置では、インバータ、巻線及び中性点配線を介して第1蓄電部と第2蓄電部との間に電流が流れるように、上,下アームスイッチのスイッチング制御が行われる。このスイッチング制御が行われることによっても、ノイズが発生する。
【0006】
本発明は、第1蓄電部の負極側及び第2蓄電部の正極側と、巻線の中性点とを電気的に接続する中性点配線を備える電力変換装置であって、電力変換装置から外部に流出するノイズを低減できる電力変換装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上,下アームスイッチの直列接続体を有し、該直列接続体が第1蓄電部及び第2蓄電部の直列接続体に並列接続されるインバータと、
前記インバータに電気的に接続された巻線を有する回転電機と、
前記第1蓄電部の負極側及び前記第2蓄電部の正極側と、前記巻線の中性点とを電気的に接続する中性点配線と、
前記インバータ、前記巻線及び前記中性点配線を介して前記第1蓄電部と前記第2蓄電部との間に電流が流れるように、前記上,下アームスイッチのスイッチング制御を行う制御部と、
少なくとも前記インバータを収容するとともにシールド機能を有するケースと、を備え、
前記中性点配線の少なくとも一部は、前記ケース内に収容されている。
【0008】
本発明では、中性点配線の少なくとも一部を収容するケースがシールド機能を有していることにより、中性点配線を介して電力変換装置の外部に放射されるノイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図2】第2実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図3】第3実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図4】第4実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図5】第5実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図6】第6実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図7】第7実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図8】その他の実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図9】その他の実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図10】その他の実施形態に係る電力変換装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電力変換装置を具体化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。電力変換装置は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載されている。なお、各実施形態において、同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。
【0011】
<第1実施形態>
図1示すように、電力変換装置10は、組電池20と、インバータ30と、回転電機40とを備えている。回転電機40は、3相の同期機であり、ステータ巻線として星形結線されたU,V,W相巻線41U,41V,41Wを備えている。各相巻線41U,41V,41Wは、電気角で120°ずつずれて配置されている。回転電機40は、例えば永久磁石同期機である。本実施形態において、回転電機40は車載主機であり、車両の走行動力源となる。
【0012】
インバータ30は、上アームスイッチQUH,QVH,QWHと下アームスイッチQUL,QVL,QWLとの直列接続体を3相分備えている。本実施形態では、各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLとして、電圧制御形の半導体スイッチング素子が用いられており、具体的にはIGBTが用いられている。このため、各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLの高電位側端子はコレクタであり、低電位側端子はエミッタである。各スイッチQUH,QVH,QWH,QUL,QVL,QWLには、フリーホイールダイオードとしての各ダイオードDUH,DVH,DWH,DUL,DVL,DWLが逆並列に接続されている。
【0013】
U相上アームスイッチQUHのエミッタと、U相下アームスイッチQULのコレクタとには、U相配線32Uを介してU相巻線41Uの第1端が接続されている。V相上アームスイッチQVHのエミッタと、V相下アームスイッチQVLのコレクタとには、V相配線32Vを介してV相巻線41Vの第1端が接続されている。W相上アームスイッチQWHのエミッタと、W相下アームスイッチQWLのコレクタとには、W相配線32Wを介してW相巻線41Wの第1端が接続されている。U,V,W相巻線41U,41V,41Wの第2端同士は、中性点Oで接続されている。なお、本実施形態において、各相巻線41U,41V,41Wは、ターン数が同じに設定されている。これにより、各相巻線41U,41V,41Wは、例えばインダクタンスが同じに設定されている。なお、本実施形態において、U,V,W相配線32U,32V,32Wが「動力用配線」に相当する。
【0014】
インバータ30は、各上アームスイッチQUH,QVH,QWHのコレクタと、各下アームスイッチQUL,QVL,QWLのエミッタとを接続するコンデンサ31を備えている。なお、コンデンサ31は、インバータ30の外部に設けられていてもよい。
【0015】
電力変換装置10は、インバータ30及び回転電機40を収容する共通ケース110を備えている。つまり、電力変換装置10は、いわゆる機電一体型の装置である。共通ケース110は、例えば、底板部、底板部の周縁部に設けられた周壁部、及び周壁部のうち前記底板部側とは反対側を覆う天板部を有している。底板部、周壁部及び天板部により囲まれる収容空間において、底板部にインバータ30及び回転電機40が配置されている。本実施形態において、共通ケース110は、アルミニウムで構成されており、電磁シールド機能を有している。
【0016】
共通ケース110内において、各上アームスイッチQUH~QWHのコレクタと、共通ケース110の高電位側インバータ端子TIHとは、高電位側電力配線33Hにより接続されている。また、共通ケース110内において、各下アームスイッチQUL,QVL,QWLのエミッタと、共通ケース110の低電位側インバータ端子TILとは、低電位側電力配線33Lにより接続されている。
【0017】
電力変換装置10は、組電池20を収容する電池ケース100を備えている。電池ケース100は、例えば、底板部、底板部の周縁部に設けられた周壁部、及び周壁部のうち前記底板部側とは反対側を覆う天板部を有している。底板部、周壁部及び天板部により囲まれる収容空間において、底板部に組電池20が配置されている。本実施形態において、電池ケース100は、アルミニウムで構成されており、電磁シールド機能を有している。電池ケース100は、共通ケース110から離間した位置に配置されている。
【0018】
電池ケース100及び共通ケース110は、ボディグランドBGとして機能する車両のボディに配置されている。例えば、電池ケース100及び共通ケース110それぞれがボディに配置されたり、電池ケース100及び共通ケース110が段積みされた状態でボディに配置されたりする。
【0019】
電力変換装置10は、高電位側配線80H、低電位側配線80L及び電池側ケース間配線80Mを備えている。高電位側配線80Hは、共通ケース110の高電位側インバータ端子TIHと電池ケース100の高電位側電池端子TBHとを接続している。低電位側配線80Lは、共通ケース110の低電位側インバータ端子TILと電池ケース100の低電位側電池端子TBLとを接続している。つまり、高電位側配線80H及び低電位側配線80Lは、電池ケース100及び共通ケース110それぞれの外部に配置されている。なお、各端子TIH,TBH,TIL,TBLは、例えばコネクタである。
【0020】
組電池20は、単電池である電池セルの直列接続体として構成されている。組電池20を構成する各電池セルの端子電圧(例えば定格電圧)は、例えば互いに同じに設定されている。電池セルとしては、例えば、リチウムイオン電池等の2次電池を用いることができる。
【0021】
本実施形態では、組電池20を構成する電池セルのうち、高電位側の複数の電池セルの直列接続体が第1蓄電池21(「第1蓄電部」に相当)を構成し、低電位側の複数の電池セルの直列接続体が第2蓄電池22(「第2蓄電部」に相当)を構成している。つまり、組電池20が2つのブロックに分けられている。
【0022】
組電池20において、第1蓄電池21の負極端子と第2蓄電池22の正極端子とには中間端子Bが接続されている。
【0023】
電池ケース100には、監視ユニット50が収容されている。監視ユニット50は、組電池20を構成する各電池セルの端子電圧、SOC、SOH及び温度等を監視する。監視ユニット50の監視情報は、電力変換装置10が備える制御装置70(「制御部」に相当)に入力される。本実施形態において、制御装置70は共通ケース110内に収容されている。
【0024】
電力変換装置10は、接続経路60と、中性点スイッチ61とを備えている。接続経路60及び中性点スイッチ61は、共通ケース110内に収容されている。接続経路60は、中性点Oと、共通ケース110の中性点インバータ端子TIMとを接続する。中性点スイッチ61は、接続経路60上に設けられている。本実施形態では、中性点スイッチ61としてリレーが用いられている。中性点スイッチ61がオンされることにより、中性点インバータ端子TIMと中性点Oとが電気的に接続される。一方、中性点スイッチ61がオフされることにより、中性点インバータ端子TIMと中性点Oとの間が電気的に遮断される。
【0025】
中性点インバータ端子TIMには、電池側ケース間配線80Mを介して、電池ケース100の中性点電池端子TBMが接続されている。つまり、電池側ケース間配線80Mは、電池ケース100及び共通ケース110それぞれの外部に配置されている。なお、各端子TIM,TBMは、例えばコネクタである。また、本実施形態において、接続経路60及び電池側ケース間配線80Mが「中性点配線」に相当する。
【0026】
電力変換装置10は、電流センサ62を備えている。電流センサ62は、接続経路60に流れる電流を検出する。電流センサ62の検出値は、制御装置70に入力される。電流センサ62は、共通ケース110内に収容されている。
【0027】
制御装置70は、マイコンを主体として構成され、マイコンは、CPUを備えている。マイコンが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。
【0028】
制御装置70は、回転電機40の制御量をその指令値にフィードバック制御すべく、インバータ30を構成する各スイッチQUH~QWLのスイッチング制御を行う。制御量は、例えばトルクである。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとは交互にオンされる。制御装置70は、中性点スイッチ61をオン又はオフし、また、監視ユニット50と通信可能とされている。
【0029】
制御装置70は、中性点スイッチ61をオンした状態で昇温制御及び電圧均等化制御を行う。昇温制御は、接続経路60及び電池側ケース間配線80Mを介して、第1蓄電池21と第2蓄電池22との間に交流電流を流すためのインバータ30のスイッチング制御である。この制御により、組電池20を昇温させる。電圧均等化制御は、接続経路60及び電池側ケース間配線80Mを介して、第1蓄電池21と第2蓄電池22のうち、一方から他方へと直流電流を流すためのインバータ30のスイッチング制御である。この制御により、第1蓄電池21及び第2蓄電池22のうち、一方から他方へとエネルギが供給され、第1蓄電池21及び第2蓄電池22の電圧が均等化される。
【0030】
制御装置70は、昇温制御又は電圧均等化制御のための中性点指令電流を算出する。制御装置70は、電流センサ62により検出された電流を中性点指令電流に制御する。なお、制御装置70は、昇温制御及び電圧均等化制御を同時に行うことも可能である。また、制御装置70は、昇温制御又は電圧均等化制御を行わず、回転電機40の制御量の制御を行う場合、中性点スイッチ61をオフにする。
【0031】
電力変換装置10は、電池側シールド線90を備えている。電池側シールド線90は、高電位側配線80H、低電位側配線80L及び電池側ケース間配線80Mを一括して覆っている。回転電機40が駆動されたり、昇温制御や電圧均等化制御が行われたりする場合におけるインバータ30のスイッチング制御により、各配線80H,80L,80Mに電流が流れ、ノイズが発生する。電池側シールド線90により、各配線80H,80L,80Mを介して外部に放射されるノイズを低減することができる。
【0032】
電池側シールド線90により、高電位側配線80H、低電位側配線80L及び電池側ケース間配線80Mが束ねられた状態にされる。これにより、ノイズ放射源となる各配線80H,80L,80Mが広がることを防止し、電池側シールド線90によるノイズ低減効果を高めることができる。
【0033】
接続経路60が共通ケース110内に収容されている。共通ケース110が電磁シールドの機能を果たすことにより、接続経路60を介して共通ケース110の外部に放射されるノイズを低減することができる。
【0034】
電池側シールド線90は、電池ケース100と共通ケース110とを電気的に接続している。これにより、ボディグランドBGに流出するノイズを低減する。以下、流出ノイズを低減できる原理について説明する。
【0035】
図1において、CIは、インバータ30と共通ケース110との間に形成された浮遊容量(以下、インバータ浮遊容量)を示し、CMは、回転電機40と共通ケース110との間に形成された浮遊容量(以下、モータ浮遊容量)を示す。CBは、組電池20と電池ケース100との間に形成された浮遊容量(以下、電池浮遊容量)を示す。
【0036】
インバータ30のスイッチング制御により発生したノイズ(コモンモードノイズ)は、インバータ30からインバータ浮遊容量CIを介して共通ケース110に伝搬する。ここで、共通ケース110及び電池ケース100が電池側シールド線90により電気的に接続されている。このため、共通ケース110と電池ケース100との間のインピーダンスは、共通ケース110及び電池ケース100それぞれとボディグランドBGとの間のインピーダンスよりも低くなる。その結果、共通ケース110に伝搬したノイズの大部分は、電池ケース100及び電池側シールド線90を介して共通ケース110に還流するようになる。これにより、ボディグランドBGに流出するノイズを好適に低減することができる。
【0037】
<第1実施形態の変形例>
・電池ケース100及び共通ケース110が金属材料ではなく、電磁シールド機能を有さない非金属材料(例えば合成樹脂)により形成されていてもよい。この場合、各ケース100,110の表面に、電磁シールド機能を有するめっき処理(金属めっき処理)が施されていればよい。また、この場合、各ケース100,110のめっき部分同士が電池側シールド線90により電気的に接続されていればよい。
【0038】
・共通ケース110が電磁シールド機能を有さない非金属材料により形成されている場合、U,V,W相配線32U,32V,32Wと接続経路60とが、共通ケース110内において一括してシールド線により覆われていてもよい。これにより、共通ケース110外部への放射ノイズを低減できる。
【0039】
・共通ケース110内において、インバータ30の収容空間と、回転電機40の収容空間とを仕切る壁部が設けられていてもよい。この場合、U,V,W相配線32U,32V,32Wは、壁部に形成された貫通孔に挿通されていればよい。
【0040】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図2に示すように、インバータ30と回転電機40とが個別のケースに収容されている。
【0041】
インバータ30は、インバータケース120(「第1ケース」に相当)に収容されており、回転電機40は、モータケース130(「第2ケース」に相当)に収容されている。インバータケース120、モータケース130及び電池ケース100は、互いに離間した位置に配置されている。
【0042】
インバータケース120及びモータケース130は、例えば、底板部、底板部の周縁部に設けられた周壁部、及び周壁部のうち前記底板部側とは反対側を覆う天板部を有している。インバータケース120の底板部にインバータ30が配置され、モータケース130の底板部に回転電機40が配置されている。本実施形態において、インバータケース120及びモータケース130は、アルミニウムで構成されており、電磁シールド機能を有している。なお、本実施形態では、インバータケース120が高電位側インバータ端子TIH、中性点インバータ端子TIM及び低電位側インバータ端子TILを有している。
【0043】
U相上アームスイッチQUHのエミッタと、U相下アームスイッチQULのコレクタとには、インバータケース120のU相インバータ端子TUが接続されている。V相上アームスイッチQVHのエミッタと、V相下アームスイッチQVLのコレクタとには、インバータケース120のV相インバータ端子TVが接続されている。W相上アームスイッチQWHのエミッタと、W相下アームスイッチQWLのコレクタとには、インバータケース120のW相インバータ端子TWが接続されている。
【0044】
電力変換装置10は、U,V,W相配線81U,81V,81Wを備えている。各相配線81U~81Wは、インバータケース120及びモータケース130それぞれの外部に設けられている。
【0045】
U相インバータ端子TUには、U相配線81Uを介してモータケース130のモータU相端子TMUが接続されている。モータU相端子TMUには、U相巻線41Uの第1端が接続されている。V相インバータ端子TVには、V相配線81Vを介してモータケース130のモータV相端子TMVが接続されている。モータV相端子TMVには、V相巻線41Vの第1端が接続されている。W相インバータ端子TWには、W相配線81Wを介してモータケース130のモータW相端子TMWが接続されている。モータW相端子TMWには、W相巻線41Wの第1端が接続されている。
【0046】
モータケース130には、中性点Oと、モータケース130のモータ中性点端子TMMとを接続するモータ側中性点配線60Mが収容されている。モータ中性点端子TMMと、インバータケース120の中性点接続端子TMとは、モータ側ケース間配線81Mにより接続されている。なお、各端子TM,TMM,TU,TV,TW,TMU,TMV,TMWは、例えばコネクタである。
【0047】
インバータケース120には、中性点接続端子TMと中性点インバータ端子TIMとを接続するインバータ側中性点配線60Iと、中性点スイッチ61と、電流センサ62とが収容されている。インバータ側中性点配線60I上に中性点スイッチ61が設けられている。また、本実施形態の電流センサ62は、インバータ側中性点配線60Iに流れる電流を検出する。なお、本実施形態において、モータ側中性点配線60M、モータ側ケース間配線81M、インバータ側中性点配線60I及び電池側ケース間配線80Mが「中性点配線」に相当する。
【0048】
電力変換装置10は、モータ側シールド線91を備えている。モータ側シールド線91は、U~W相配線81U~81W及びモータ側ケース間配線81Mを一括して覆っている。これにより、インバータ30のスイッチング制御に起因して各配線81U~81W,81Mを介して外部に放射されるノイズを低減することができる。
【0049】
モータ側シールド線91により、U~W相配線81U~81W及びモータ側ケース間配線81Mが束ねられた状態にされる。これにより、ノイズ放射源となる各配線81U~81W,81Mが広がることを防止し、モータ側シールド線91によるノイズ低減効果を高めることができる。
【0050】
モータ側シールド線91は、インバータケース120とモータケース130とを電気的に接続している。これにより、ボディグランドBGに流出するノイズを低減できる。
【0051】
図1において、CIは、インバータ30とインバータケース120との間に形成されたインバータ浮遊容量を示し、CMは、回転電機40とモータケース130との間に形成されたモータ浮遊容量を示す。インバータケース120及びモータケース130がモータ側シールド線91により電気的に接続されている。このため、インバータケース120とモータケース130との間のインピーダンスは、インバータケース120及びモータケース130それぞれとボディグランドBGとの間のインピーダンスよりも低くなる。その結果、第1実施形態と同様に、ボディグランドBGに流出するノイズを低減できる。
【0052】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、上記各実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図3に示すように、インバータ30、回転電機40及び組電池20が共通のケース140内に収容されている。ケース140には、監視ユニット50、制御装置70、電流センサ62、接続経路60及び中性点スイッチ61も収容されている。
【0053】
ケース140は、例えば、底板部、底板部の周縁部に設けられた周壁部、及び周壁部のうち前記底板部側とは反対側を覆う天板部を有している。ケース140の底板部に、インバータ30、回転電機40及び組電池20が配置されている。本実施形態において、ケース140は、アルミニウムで構成されており、電磁シールド機能を有している。
【0054】
なお、図3において、CIは、インバータ30とケース140との間に形成されたインバータ浮遊容量を示し、CMは、回転電機40とケース140との間に形成されたモータ浮遊容量を示し、CBは、組電池20とケース140との間に形成された電池浮遊容量を示す。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、インバータ30のスイッチング制御により発生したノイズがケース140の外部に放射されることを好適に抑制できる。
【0056】
<第3実施形態の変形例>
ケース140内において、回転電機40の収容空間と、インバータ30の収容空間と、組電池20の収容空間とのそれぞれを仕切る壁部が設けられていてもよい。この場合、各収容空間のうち、隣り合う収容空間同士を仕切る壁部の貫通孔に配線が挿通されていればよい。
【0057】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、上記各実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図4に示すように、組電池20及びインバータ30が共通のケースに収容されている。
【0058】
組電池20及びインバータ30は、共通ケース150内に収容されている。共通ケース150は、モータケース130から離間した位置に配置されている。共通ケース150は、例えば、底板部、底板部の周縁部に設けられた周壁部、及び周壁部のうち前記底板部側とは反対側を覆う天板部を有している。共通ケース150の底板部に、組電池20及びインバータ30が配置されている。本実施形態において、共通ケース150は、アルミニウムで構成されており、電磁シールド機能を有している。なお、本実施形態では、共通ケース150がU相インバータ端子TU、V相インバータ端子TV、W相インバータ端子TW及び中性点接続端子TMを有している。
【0059】
共通ケース150内において、中性点接続端子TMと中間端子Bとがインバータ側中性点配線60Iにより接続される。共通ケース150には、監視ユニット50、制御装置70、電流センサ62、接続経路60及び中性点スイッチ61も収容されている。
【0060】
なお、図4において、CIは、インバータ30と共通ケース150との間に形成されたインバータ浮遊容量を示し、CBは、組電池20と共通ケース150との間に形成された電池浮遊容量を示す。
【0061】
モータ側シールド線91は、共通ケース150とモータケース130とを電気的に接続している。これにより、ボディグランドBGに流出するノイズを低減することができる。
【0062】
<第4実施形態の変形例>
・共通ケース150及びモータケース130が金属材料ではなく、第1実施形態の変形例と同様に、電磁シールド機能を有さない非金属材料により形成されていてもよい。この場合、各ケース130,150の表面に、電磁シールド機能を有するめっき処理(金属めっき処理)が施されていればよい。また、この場合、各ケース130,150のめっき部分同士がモータ側シールド線91により電気的に接続されていればよい。
【0063】
・共通ケース150が電磁シールド機能を有さない非金属材料により形成されている場合、高電位側電力配線33H、低電位側電力配線33L及びインバータ側中性点配線60Iが、共通ケース150内において一括してシールド線により覆われていてもよい。これにより、共通ケース150外部への放射ノイズを低減できる。
【0064】
・共通ケース150内において、インバータ30の収容空間と、組電池20の収容空間とを仕切る壁部が設けられていてもよい。この場合、高電位側電力配線33H、低電位側電力配線33L及びインバータ側中性点配線60Iは、壁部に形成された貫通孔に挿通されていればよい。
【0065】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、上記各実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図5に示すように、共通ケース110内に第1コンデンサ32A及び第2コンデンサ32Bが設けられている。第1コンデンサ32Aは、高電位側電力配線33Hと接続経路60とを接続し、第2コンデンサ32Bは、低電位側電力配線33Lと接続経路60とを接続している。
【0066】
以上説明した本実施形態によれば、中性点Oから接続経路60を介して組電池20側へと流れるノイズ(ノーマルモードノイズ)が第1コンデンサ32A及び第2コンデンサ32Bにより吸収される。これにより、このノイズを好適に低減することができる。
【0067】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、上記各実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図6に示すように、共通ケース110内にコモンモードチョーク33が収容されている。コモンモードチョーク33は、高電位側電力配線33Hに設けられた第1コイル34Aと、接続経路60に設けられた第2コイル34Bと、低電位側電力配線33Lに設けられた第3コイル34Cと、各コイル34A,34B,34Cが巻回された共通の磁性体コア(例えばフェライトコア)とを備えている。磁性体コアは、例えば円環状をなしている。高電位側電力配線33H、接続経路60及び低電位側電力配線33Lそれぞれにおいて回転電機40側から組電池20側へと電流が流れる場合に、磁性体コアを流れる磁束が互いに打ち消し合わないようにコモンモードチョーク33が構成されている。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、各コイル34A~34Cが巻回されるコアを共通化できる。このため、コモンモードチョーク33によりコモンモードノイズを低減しつつ、コモンモードチョーク33を小型化することができる。
【0069】
<第7実施形態>
以下、第7実施形態について、上記各実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図7に示すように、中性点配線の一部が共通ケース110外に配置されている。
【0070】
共通ケース110内において、共通ケース110の中性点インバータ端子TIMと中性点Oとは接続経路60により接続されている。中性点インバータ端子TIMと電池ケース100の中性点電池端子TBMとは電池側ケース間配線80Mにより接続されている。中性点スイッチ61は、電池側ケース間配線80M上に設けられている。つまり、中性点スイッチ61は、電池ケース100及び共通ケース110の外部に配置されている。なお、本実施形態において、接続経路60及び電池側ケース間配線80Mが「中性点配線」に相当する。中性点配線の一部が共通ケース110の外部に配置されているのは、共通ケース110の大型化を回避するためである。
【0071】
共通ケース110内には、バイパス配線63、第1コンデンサ32A、第2コンデンサ32B及び第3コンデンサ35が設けられている。バイパス配線63の第1端には、接続経路60の途中部分が接続されている。バイパス配線63の第2端には、第1コンデンサ32Aを介して高電位側電力配線33Hが接続されているとともに、第2コンデンサ32Bを介して低電位側電力配線33Lが接続されている。これにより、中性点O側から接続経路60を介して組電池20側に伝搬しようとするノイズを第1コンデンサ32A及び第2コンデンサ32Bで吸収できる。
【0072】
バイパス配線63には、第3コンデンサ35が設けられている。これにより、中性点O側から接続経路60を介して組電池20側に伝搬しようとする高周波のノイズ成分のみを抽出して第1コンデンサ32A及び第2コンデンサ32Bに送ることができる。このため、電圧均等化制御が行われる場合の直流電流や、昇温制御が行われる場合の交流電流がバイパス配線63に流れることを抑制できる。
【0073】
ちなみに、放射ノイズを抑制するために、電池側ケース間配線80Mが共通ケース110の表側面に当接した状態で配置されていてもよい。
【0074】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0075】
図7に示す構成において、第3コンデンサ35が設けられていなくてもよい。
【0076】
図2に示すインバータケース120の周壁部や、図4に示す共通ケース150の周壁部に中性点スイッチ61が設けられていてもよい。以下、図4に示す共通ケース150を例にして説明する。
【0077】
図8に示すように、共通ケース150は、底板部151と、底板部151の周縁部に設けられた周壁部152とを備えている。モータケース130は、底板部131と、底板部131の周縁部に設けられた周壁部132とを備えている。共通ケース150の周壁部152には中性点接続端子TMが設けられ、モータケース130の周壁部132にはモータ中性点端子TMMが設けられている。これにより、中性点配線が中性点接続端子TMを介して共通ケース150内に引き込まれている。
【0078】
中性点スイッチ61は、周壁部152のうち中性点接続端子TM付近に設けられている。また、中性点スイッチ61は、中性点Oから中間端子Bまでの中性点配線のうち、中央部分よりも中性点O側に設けられている。このように中性点スイッチ61が配置されるのは、以下に説明する理由のためである。
【0079】
昇温制御や電圧均等化制御が行われず、回転電機40の制御量の制御が行われる場合、中性点スイッチ61がオフにされる。この場合、中性点配線のうち中性点Oから中性点スイッチ61までの部分がアンテナとして機能し、ノイズを放射し得る。このため、アンテナ部分は極力短いことが望ましい。そこで、上述したように中性点スイッチ61を配置することにより、アンテナ部分を極力短くし、放射ノイズを抑制する。
【0080】
・中性点スイッチ61としては、リレーに限らない。中性点スイッチ61として、例えば、ソース同士が接続された一対のNチャネルMOSFETや、IGBTが用いられてもよい。
【0081】
・中性点スイッチ61は必須ではない。この場合、中間端子Bと中性点Oが常時電気的に接続されることとなる。
【0082】
・回転電機及びインバータとしては、5相又は7相等、3相以外のものであってもよい。図9に、5相の場合における電力変換装置を示す。図9では、インバータ30において、X相上,下アームスイッチQXH,QXL及び各ダイオードDXH,DXLが追加され、Y相上,下アームスイッチQYH,QYL及び各ダイオードDYH,DYLが追加されている。また、回転電機40において、X相巻線41XとY相巻線41Yとが追加されている。また、電力変換装置10において、X相導電部材32XとY相導電部材32Yとが追加されている。
【0083】
・電力変換装置10としては、図1に示すものに代えて、図10に示すものであってもよい。この電力変換装置10は、接続経路60、中性点スイッチ61及び電流センサ62に代えて、接続経路200、スイッチ201及び電流センサ202を備えている。接続経路200の第1端は、3相のうち一部の相の上アームスイッチのエミッタ及び下アームスイッチのコレクタに接続されている。図10に示す例では、接続経路200の第1端がU相に接続されている。接続経路200の第2端は、中性点インバータ端子TIMに接続されている。スイッチ201及び電流センサ202は、接続経路200上に設けられている。
【0084】
制御装置70は、上述した電圧均等化制御や昇温制御を行う。ここでは、中性点スイッチ61をスイッチ201に読み替える。また、電圧均等化制御や昇温制御においては、U相上,下アームスイッチQUH,QULがオフに維持され、V,W相上,下アームスイッチQVH,QVL,QWH,QWLのスイッチング制御が行われる。
【0085】
図10に示す構成においても、スイッチング制御に伴う放射ノイズを低減したり、ボディグランドBGに流出するノイズを低減したりすることができる。
【0086】
・インバータを構成する上,下アームスイッチとしては、IGBTに限らず、例えばNチャネルMOSFETであってもよい。
【0087】
・蓄電池に代えて、例えば電気二重層キャパシタが用いられてもよい。
【0088】
・電力変換装置が搭載される移動体としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。例えば、移動体が航空機の場合、航空機が備える回転電機は航空機の飛行動力源となり、移動体が船舶の場合、船舶が備える回転電機は船舶の航行動力源となる。また、電力変換装置の搭載先は、移動体に限らない。
【0089】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10…電力変換装置、21,22…第1,第2蓄電池、30…インバータ、40…回転電機、60…接続経路、61…中性点スイッチ、70…制御装置、100…電池ケース、110…共通ケース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10