(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175131
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】燃焼熱源機
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20221117BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20221117BHJP
【FI】
F24H9/00 A
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081320
(22)【出願日】2021-05-12
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】今井 誠士
(72)【発明者】
【氏名】益子 勇輝
【テーマコード(参考)】
3L034
3L036
【Fターム(参考)】
3L034BA23
3L034BB03
3L036AA06
(57)【要約】
【課題】単段熱交換器を用いる場合に缶体の温度上昇を抑制し且つ熱効率の向上を図ることを両立させる燃焼熱源機を提供する。
【解決手段】燃焼熱源機1は給水管6から低温の流体が流入しバーナ部2の燃焼排気から吸熱して低温の流体を高温の流体に加熱し出湯管7に流出する熱交換器3と、熱交換器3を収容する缶体33とを備える。熱交換器3は給水管6および出湯管7が接続される伝熱管32を複数の伝熱フィン31に貫通させて蛇行状に配設し且つ単段に配設する単段熱交換器3である。単段熱交換器3における伝熱管32の並び方向に位置する流体の入口側および出口側の缶体内壁面33a,33bに、ファン11により送風される空気のうちバーナ部2周辺を通過した短絡空気を流すとともに、単段熱交換器3の伝熱フィン31における出湯側または給水側の少なくとも一方の側端部31b又は31aと缶体内壁面33a,33bとの間を非接触とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させて燃焼排気を生成するバーナ部と、
前記バーナ部に空気を送るファンと、
低温の流体が流入する給水管と、
前記給水管から低温の流体が流入し前記バーナ部の燃焼排気から吸熱して前記低温の流体を加熱して高温の流体とする熱交換器と、
前記熱交換器を収容する缶体と、
前記高温の流体を出湯する出湯管とを備え、
前記熱交換器は、前記給水管および前記出湯管が接続される伝熱管を複数の伝熱フィンに貫通させて蛇行状に配設し、且つ、単段に配設する単段熱交換器であり、
前記単段熱交換器における伝熱管の並び方向に位置する流体の入口側および出口側の前記缶体内壁面に、前記ファンにより送風される空気のうち前記バーナ部周辺を通過した短絡空気を流すとともに、前記単段熱交換器の伝熱フィンにおける出湯側または給水側の少なくとも一方の側端部と前記缶体内壁面との間を非接触とする燃焼熱源機。
【請求項2】
前記非接触とする伝熱フィンの側端部と缶体内壁面との間に、燃焼排気流と短絡空気流とを略分離する仕切り構造を有する請求項1に記載の燃焼熱源機。
【請求項3】
前記仕切り構造は、前記伝熱フィンの側端部を折り曲げた折り曲げ部により構成する請求項2に記載の燃焼熱源機。
【請求項4】
前記伝熱フィンの折り曲げ部は、平坦な表面形状に形成されている請求項3に記載の燃焼熱源機。
【請求項5】
前記缶体内壁面と非接触にする前記伝熱フィンの側端部は、出湯側の端部とする請求項1~4のいずれか1項に記載の燃焼熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単段熱交換器を備える燃焼熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼熱源機として、例えば、給湯装置は、バーナ部で生成した燃焼排気から吸熱して水を加熱する熱交換器を備えている。熱交換器は、給水管および出湯管を接続する伝熱管と、伝熱管を貫通させ蛇行状に配設する複数枚の伝熱フィンとを有するものがある。この熱交換器として、燃焼排気の流れ方向に伝熱管を上下方向に複数段に配設する複数段熱交換器以外に、熱交換器の上下方向の小型化を図るために伝熱管を単段に配設する単段熱交換器が知られている(特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-64143号公報
【特許文献2】特開2013-11409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、単段熱交換器では、燃焼排気の流れ方向の熱交換長が短くなるため、これを補うために、複数段熱交換器に比べ、伝熱管の管ピッチを短くして伝熱管の配列数を多くすることがある。例えば、複数段熱交換器における1段の伝熱管は、5~6本程度並べて配列するが、単段熱交換器では伝熱管を7~9本程度並べて配列する場合がある。この場合、最も端側に配置する伝熱管と熱交換器を収容する缶体の内壁との距離が接近し、伝熱フィンの側端部と缶体内壁面との接触部分を通じて伝熱フィンから缶体への伝熱が大きくなる傾向となる。そのため、缶体が過熱されて缶体温度が高温になり易く、また、伝熱フィンから多くの熱が缶体に奪われて熱交換器の熱効率の向上を妨げるおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、単段熱交換器を用いる場合、缶体の温度上昇を抑制し、且つ、熱効率の向上を図ることの両立を可能とする燃焼熱源機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃焼熱源機は、
燃料を燃焼させて燃焼排気を生成するバーナ部と、
前記バーナ部に空気を送るファンと、
低温の流体が流入する給水管と、
前記給水管から低温の流体が流入し前記バーナ部の燃焼排気から吸熱して前記低温の流体を加熱して高温の流体とする熱交換器と、
前記熱交換器を収容する缶体と、
前記高温の流体を出湯する出湯管とを備え、
前記熱交換器は、前記給水管および前記出湯管が接続される伝熱管を複数の伝熱フィンに貫通させて蛇行状に配設し、且つ、単段に配設する単段熱交換器であり、
前記単段熱交換器における伝熱管の並び方向に位置する流体の入口側および出口側の前記缶体内壁面に、前記ファンにより送風される空気のうち前記バーナ部周辺を通過した短絡空気を流すとともに、前記単段熱交換器の伝熱フィンにおける出湯側または給水側の少なくとも一方の側端部と前記缶体内壁面との間を非接触とするものである。
【0007】
前記構成によれば、前記缶体内壁面に短絡空気を流すことで、低温の短絡空気によって缶体の温度を低下させることができる。また、前記伝熱フィンの側端部と缶体内壁面とを非接触とすることで、伝熱フィンから缶体への伝熱が空気によって遮断される。これにより、缶体の温度上昇を防止でき、且つ、伝熱フィンの側端部近傍の熱が缶体に奪われることが防止され、伝熱フィンの側端部近傍でも温度上昇に寄与し、ひいてはこの伝熱フィンの側端部近傍の伝熱管への熱供給に寄与できる。前記非接触の部分の隙間では短絡空気が流動しやすくなるため、短絡空気の円滑な流動によって缶体の温度低下を促進することができる。
【0008】
従って、単段熱交換器の場合、複数段熱交換器に比べ、伝熱管の管ピッチが短くなり最も端側の伝熱管と缶体内壁との距離が接近する傾向にあっても、缶体の温度上昇が抑制され、且つ、伝熱フィンの側端部近傍での温度上昇により熱効率の向上を図ることができる。よって、単段熱交換器を用いる燃焼熱源機において、缶体の温度上昇抑制と、熱効率の向上とを両立させることが可能となる。
【0009】
前記燃焼熱源機において、
前記非接触とする伝熱フィンの側端部と缶体内壁面との間に、燃焼排気流と短絡空気流とを略分離する仕切り構造を有することが望ましい。
これにより、伝熱管の管ピッチが短くて最も端側に配置する伝熱管と缶体内壁との距離が接近する傾向にある単段熱交換器において、前記仕切り構造によって、缶体内壁面に沿った短絡空気の風路と、缶体内の伝熱フィンに向かう燃焼排気の風路とが明確に区分けされる。従って、積極的に短絡空気を缶体側に流すとともに、伝熱フィンの側端部近傍を流れる燃焼排気に短絡空気が混入することを防止できる。よって、燃焼排気による伝熱フィンの温度分布は、伝熱フィンの側端部まで高く維持することができ、且つ、缶体の温度を低く維持することができる。
【0010】
前記仕切り構造は、前記伝熱フィンの側端部を折り曲げた折り曲げ部により構成することができる。
これにより、仕切り構造の形成に際して新たな部品を追加することなく、簡単に且つ低コストに仕切り構造を設けることができる。
【0011】
前記伝熱フィンの折り曲げ部は、平坦な表面形状に形成することが望ましい。
すなわち、仕切り構造を構成する伝熱フィンの折り曲げ部には、燃焼排気を攪拌させるためのスリット等を設けず、プレーンの平坦な表面形状とすることにより、燃焼排気が攪拌されて短絡空気との混合が誘発されないようにすることができる。従って、単段熱交換器における最も端側に配置する伝熱管と缶体内壁との狭い空間において、短絡空気と燃焼排気との分離をより明確に行うことが可能となる。
【0012】
また、前記燃焼熱源機は、前記缶体内壁面と非接触にする前記伝熱フィンの側端部は、出湯側の側端部としてもよい。
すなわち、単段熱交換器では、伝熱管の並び方向において給水側から出湯側に向かうにつれて伝熱管内の流体温度が高くなり、伝熱フィンの出湯側の側端部近傍は、最下流の伝熱管が配置され、最も温度の高い部分となる。従って、伝熱フィンの出湯側の側端部を缶体内壁面と非接触にすることで、伝熱フィンの出湯側の側端部近傍を十分に高い温度状態に維持でき、容易に熱効率の向上を図ることができる。また、缶体の過熱も十分に抑制でき、容易に缶体温度の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態による給湯装置(燃焼熱源機)の構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態による給湯装置(燃焼熱源機)に備える単段熱交換器の部分を示す斜視図である。
【
図3】単段熱交換器の伝熱フィンの側端部に形成した折り曲げ部(仕切り構造)を示す模式図である。
【
図4】単段熱交換器および缶体を示す平面図である。
【
図5】単段熱交換器における伝熱フィンの側端部近傍での雰囲気温度の温度分布を示すグラフであり、同図(A)は伝熱フィンの側端部と缶体内壁面とを接触する構造における雰囲気温度の温度分布を示すグラフであり、同図(B)は伝熱フィンの側端部と缶体内壁面との間を非接触とする構造(実施形態)における雰囲気温度の温度分布を示すグラフである。
【
図6】その他の形態としての単段熱交換器および缶体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
実施形態の燃焼熱源機は、単段熱交換器3を備える給湯装置1である。
図1に示すように、給湯装置1は、外装ケーシング10内に、ファン11と、バーナ部2と、一次熱交換器(単段熱交換器3)と、二次熱交換器12とが下から上へと順に配設されている。
【0015】
ファン11は、回転作動してバーナ部2に空気を供給する。バーナ部2には、燃料ガスを供給するガス供給管4が接続されている。バーナ部2は、ファン11により供給される燃焼用空気(一次空気)と燃料ガスとを混合した混合ガスを燃焼させて燃焼排気(
図1中、黒色太矢印)を生成する。このバーナ部2は、矩形状のバーナケース21内に収容されている。バーナ部2周辺とバーナケース21との間には、空隙22が設けられている。従って、ファン11によりバーナ部2側に供給される空気は、バーナ部2に向かう燃焼用空気と、バーナ部2周辺に向かってバーナ部2とバーナケース21との間の空隙22を通り抜ける短絡空気(
図1中、白色太矢印)とに分かれる。短絡空気は、一部がバーナ部2の燃焼面に流れて燃焼の二次空気にもなるが、バーナケース21の内側面に沿って一次熱交換器3側に流れて行く。
【0016】
一次熱交換器3は、フィンチューブ式の単段熱交換器3である。
図2にも示すように、この単段熱交換器3は、複数の板状の伝熱フィン31と、伝熱フィン31を貫通させて蛇行状に配設する伝熱管32とを備える。伝熱管32は、横方向に複数本並べて配列され、上下方向には単段(一段)に配設されている。この単段熱交換器3は、矩形状の缶体33内に収容されている。缶体33は、上端部と下端部とが開放され、下端部の開口部にはバーナケース21の上端開口部と接続されており、バーナ部2の燃焼排気および短絡空気が流入される。缶体33の上端部の開口部には、排気フード14が接続されている。
【0017】
二次熱交換器12は、排気フード14の上部に配設されている。二次熱交換器12は、二次側伝熱管12aを蛇行状に配設して、この二次側伝熱管12aが上下方向に複数段に配設されている。二次熱交換器12は、前壁と後壁とに開口部13a,13bを設けた矩形状の筐体13内に収容されている。筐体13の後壁の開口部13bは、排気フード14によって缶体33の上端部の開口部と連通されており、単段熱交換器3を通過した燃焼排気が後壁の開口部13bから二次熱交換器12に供給される。筐体13の前壁の開口部13aは、排気筒15が接続された排気フード14の前面開口部と対向し、二次熱交換器12を通過した燃焼排気は、排気筒15から装置1外に排出される。
【0018】
二次熱交換器12は、二次側伝熱管12aの上流側端部に上水道等に接続する第1給水管5が接続され、二次側伝熱管12aの下流側端部に第2給水管6が接続されている。第2給水管6の下流側端部は、単段熱交換器3の伝熱管32の上流側端部に接続されている。単段熱交換器3の伝熱管32の下流側端部は、出湯管7に接続されている。給湯装置1が運転されると、ファン11を作動させると共にバーナ部2を燃焼させて、第1給水管5から二次熱交換器12の二次側伝熱管12a内に流入された水が燃焼排気により加熱されて低温水として第2給水管6から単段熱交換器3の伝熱管32内に供給される。単段熱交換器3では、第2給水管6から伝熱管32内に流入された低温水が燃焼排気により加熱されて高温水として出湯管7に流出され、シャワーやカラン等の給湯端末に湯が供給される。なお、本発明の燃焼熱源機では、水の代わりに他の流体を加熱するものでもよい。
【0019】
次に、単段熱交換器3の配設部における構造について説明する。
本実施形態では、
図1および
図4に示すように、単段熱交換器3における伝熱フィン31の給水側および出湯側の側端部31a,31bと缶体33の入口側および出口側の内壁面33a,33bとの間は、非接触に構成されている。すなわち、板状の伝熱フィン31における伝熱管32の並び方向側に位置する両端の側端部31a,31bは、缶体内壁面33a,33bから離されて缶体内壁面33a,33bとの間に隙間sが設けられている。
【0020】
このように、伝熱フィン31の側端部31a,31bと缶体内壁面33a,33bとを非接触とすることで、伝熱フィン31から缶体33への伝熱が空気によって遮断される。これにより、缶体33の壁面温度の上昇を防止でき、且つ、伝熱フィン31の側端部31a,31b近傍の熱が缶体33に奪われることが防止される。従って、缶体33が高温となることが防止され、また、伝熱フィン31の側端部31a,31b近傍の温度上昇に寄与し、ひいては伝熱フィン31の側端部31a,31b近傍の伝熱管32への熱供給に寄与できる。
【0021】
単段熱交換器3の配設部では、
図1に示すように、ファン11により送風される空気のうち、バーナ部2の燃焼排気(
図1中、黒色太矢印)は、伝熱フィン31および伝熱管32を配設する缶体33中央部を流れ、バーナ部2周辺を通過した短絡空気(
図1中、白色太矢印)は、バーナケース21の内側面に沿って缶体33内に流れ込み、缶体33内に流れ込んだ短絡空気は、伝熱管32の並び方向に位置する水の入口側および出口側の缶体内壁面33a,33bに沿って流れる構成としている。すなわち、短絡空気が伝熱フィン31の側端部31a,31bと缶体内壁面33a,33bとの間の隙間sを通って缶体内壁面33a,33bに沿って流れるように缶体33とバーナケース21との位置関係、形状、大きさ等が設定されている。本実施形態では、缶体33とバーナケース21とは、同形の矩形状とされ、大きさも略同径に形成されて接続されているが、バーナケース21の方を大径にした構成であってもよい。
【0022】
このように、短絡空気を缶体内壁面33a,33bに沿って流すことで、低温の短絡空気によって缶体33壁面の温度を低下させることができる。また、伝熱フィン31の側端部31a,31bと缶体内壁面33a,33bとの間を非接触にして隙間sを設けることで、短絡空気が缶体内壁面33a,33bに沿って流動しやすくなり、短絡空気の円滑な流動によって缶体33の温度低下を促進することができる。
【0023】
また、
図3および
図4に示すように、伝熱フィン31の側端部31a,31bは、略直角に折り曲げて折り曲げ部34が形成されている。この折り曲げ部34の先端が隣りの伝熱フィン31と当接するか、または、僅かに離れているかの間隔で、複数の伝熱フィン31が並設されている。伝熱フィン31の折り曲げ部34は、缶体内壁面33a,33bとは非接触とされ、この非接触とする伝熱フィン31の側端部31a,31bと缶体内壁面33a,33bとの間に燃焼排気流と短絡空気流とを分離する仕切り構造を構成する。
【0024】
このように、伝熱フィン31の側端部31a,31bを折り曲げた折り曲げ部34により仕切り構造を構成することにより、仕切り構造の形成に際して新たな部品を追加することなく、簡単に且つ低コストに仕切り構造を設けることができる。
【0025】
単段熱交換器3は、複数段熱交換器に比べ、伝熱管32の管ピッチが短くて最も端側の伝熱管32と缶体内壁面33a,33bとの距離が接近する傾向にあるため、短絡空気を缶体内壁面33a,33bに沿って流すようにしても、短絡空気と、伝熱フィン31の側端部31a,31b近傍を流れる燃焼排気とが混合され易い。
【0026】
この点、本実施形態では、単段熱交換器3において、折り曲げ部34による仕切り構造によって、缶体内壁面33a,33bに沿って流れる短絡空気の風路と、缶体33中央の伝熱フィン31に向かって流れる燃焼排気の風路とを明確に区分けすることができる。従って、積極的に短絡空気を缶体33側に流すとともに、伝熱フィン31の側端部31a,31b近傍を流れる燃焼排気と短絡空気とが混ざり合うことを防止できる。よって、燃焼排気による伝熱フィン31の温度分布は、伝熱フィン31の側端部31a,31bまで高く維持することができ、且つ、缶体33の温度を低く維持することができる。
【0027】
また、折り曲げ部34は、平坦な表面形状に形成されている。すなわち、伝熱フィン31は、その延在面にスリットや凹凸等を形成して燃焼排気を攪拌することで燃焼排気から熱を効率よく回収する構成とすることがあるが、仕切り構造を構成する伝熱フィン31の折り曲げ部34には、燃焼排気を攪拌させるためのスリット等を設けず、プレーンの平坦な表面形状とすることにより、燃焼排気が攪拌されて短絡空気との混合が誘発されないようにする。従って、単段熱交換器3における最も端側に配置する伝熱管32と缶体33内壁との間の狭い空間において、短絡空気と燃焼排気との分離をより明確に行うことが可能となる。
【0028】
因みに、本発明者らが単段熱交換器3において伝熱フィン31の出湯側の側端部31b近傍での雰囲気温度を解析したところ、
図5(A)に示すように、出湯側における伝熱フィン31の側端部31bが缶体内壁面33bに接触する構造の場合、缶体内壁面33b近傍では、短絡空気により雰囲気温度が低下するが、その温度低下の傾きは比較的なだらかであった。すなわち、伝熱フィン31の側端部31b近傍で短絡空気と燃焼排気とが混合され、その結果、伝熱フィン31の側端部31b近傍の温度は低くなり、缶体内壁面33bの温度は比較的高くなる。これに対して、
図5(B)に示すように、伝熱フィン31の側端部31bと缶体内壁面33bとの間を非接触とし折り曲げ部34による仕切り構造を設けた本実施形態では、雰囲気温度は、伝熱フィン31の側端部31bまで高く維持され、缶体内壁面33b近傍で急激に低下する傾向となる。すなわち、伝熱フィン31の側端部31bと缶体内壁面33bとの間を非接触とし且つ仕切り構造を設けることによって、短絡空気の風路と燃焼排気の風路とが明確に区分けされ、その結果、伝熱フィン31は側端部31bまで温度が高く維持され、缶体33は温度が低く維持される。
【0029】
以上より、本実施形態によれば、単段熱交換器3の場合、複数段熱交換器に比べ、伝熱管32の管ピッチが短くなり最も端側に配置する伝熱管32と缶体内壁面33a,33bとの距離が接近する傾向にあっても、缶体33の温度上昇が抑制され、且つ、伝熱フィン31の側端部31a,31b近傍での温度上昇により熱効率の向上を図ることができる。よって、単段熱交換器3を用いる給湯装置1において、缶体33の温度上昇抑制と、熱効率の向上とを両立させることが可能となる。
【0030】
(その他の形態)
図6に示すように、単段熱交換器3Aにおける配設構造として、給水側における伝熱フィン31の側端部31aは、缶体内壁面33aと接触させているが、出湯側における伝熱フィン31の側端部31bは、缶体内壁面33bと非接触にする。すなわち、単段熱交換器3Aでは、伝熱管32内を流れる水は、複数段熱交換器のように給水側と出湯側との間を往復することなく、給水側から出湯側へ一方向に流れるため、伝熱管32の並び方向において給水側から出湯側に向かうにつれて伝熱管32内の水温が高くなり、伝熱フィン31の出湯側の側端部31b近傍は、最下流の伝熱管32が配置され、最も温度が高い部分となる。従って、伝熱フィン31の出湯側の側端部31bを缶体内壁面33bと非接触にするだけでも、伝熱フィン31の出湯側の側端部31b近傍を十分に高い温度状態に維持でき、容易に熱効率の向上を図ることができる。また、缶体33の過熱も十分に抑制でき、容易に缶体33温度の低減を図ることができる。なお、
図6の形態では、伝熱フィン31の側端部31bに折り曲げ部34(仕切り構造)を設けるが、折り曲げ部34を設けないようにしてもよい。
【0031】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な変更を行うことが可能である。
例えば、伝熱フィン31の側端部31a,31bと缶体内壁面33a,33bとの間に設ける仕切り構造は、伝熱フィン31の側端部31a,31bの折り曲げ部34に代えて、板状部材を伝熱フィン31の側端部31a,31bに当接して配置する構造でもよい。
また、実施形態の給湯装置1は、熱交換器として、二次熱交換器12を備えるが、二次熱交換器12を備えず単段熱交換器3だけを備えるものでもよい。
また、本発明に係る燃焼熱源機は、給湯装置に限らず、ふろ給湯器、給湯暖房機、ボイラー等の様々な燃焼熱源機に適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 給湯装置(燃焼熱源機)
2 バーナ部
3 単段熱交換器(一次熱交換器)
4 ガス供給管
5 第1給水管
6 第2給水管
7 出湯管
10 外装ケーシング
11 ファン
12 二次熱交換器
12a 二次側伝熱管
13 筐体
13a 前壁の開口部
13b 後壁の開口部
14 排気フード
15 排気筒
21 バーナケース
22 空隙
31 伝熱フィン
31a 給水側の側端部
31b 出湯側の側端部
32 伝熱管
33 缶体
33a 入口側の缶体内壁面
33b 出口側の缶体内壁面
34 折り曲げ部(仕切り構造)
s 隙間