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特開2022-175156顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175156
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6883 20180101AFI20221117BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20221117BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20221117BHJP
【FI】
C12Q1/6883 Z
C12Q1/686 Z
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081361
(22)【出願日】2021-05-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 悠
(72)【発明者】
【氏名】奥野 凌輔
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 祐一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 靖司
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA17
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX01
(57)【要約】
【課題】個人の顔の赤くなり易さの遺伝的素因を正確かつ簡便に判定する手段を提供すること。
【解決手段】被験者から採取したDNA含有試料について、rs11065950、rs11066001、rs144504271で特定される一塩基多型(SNP)、又はこれらのSNPと連鎖不平衡の関係にあるSNPのアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者が、顔が赤くなり易い遺伝的素因を有すると判定する工程を含む、顔の赤くなり易さの遺伝的素因を判定する方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(a1)~(a6)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者の顔が赤くなり易いと判定する工程を含む、顔の赤くなり易さの遺伝的素因を判定する方法。
(a1) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)
(a2) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(a3) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)
(a4) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(a5) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)
(a6) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
【請求項2】
前記(a2)の配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号2に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065939で特定されるSNP)、配列番号3に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs7964109で特定されるSNP)、又は配列番号4に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3815021で特定されるSNP)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(a4)の配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3782886で特定されるSNP)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(a6)の配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号8に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs2074356で特定されるSNP)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた化粧料及び/又は飲食品を該被験者に提供する、化粧料及び/又は飲食品の提供方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた美容のカウンセリング方法。
【請求項7】
配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)、配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有するプローブ、及び/又は、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)、配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む領域を増幅することのできるプライマーを含む、顔の赤くなり易さの遺伝的素因を判定するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定方法に関する。より詳しくは、顔の赤くなり易さに関連する一塩基多型(SNP)を検出することによる、顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定方法、及び該方法に用いるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の色はメラニン、ヘモグロビン、カロテン等によって調節されており、基本となる白色~黒色に加え、赤み、黄み等、様々な色を呈する。これは常に一定の色調を保っているわけではなく、紫外線等の外的要因や、加齢をはじめとした心身の変化の影響により、変動し続けている。この内、皮膚の赤みに関しては、気温の変化、緊張状態、興奮状態、運動時等、様々な場面で変化することが知られている。適度に赤みのある皮膚は血色がよく健康的で活発な印象を与えるため、そのような外観を得るためにチークが用いられることもある。一方で、顔が慢性的に赤くなってしまう皮膚疾患として酒さ等が挙げられる。酒さは、顔面紅潮、毛細血管拡張等を特徴とする慢性炎症性疾患であり、その原因として血管運動制御やホルモンバランスの異常、毛包中のダニ、活性酸素の増加等が原因として考えられているが、詳細は明らかとなっていない。
【0003】
これまでに、酒さや毛細血管拡張症と関連することが示唆されている遺伝子及び一塩基多型(SNP)を指標とした疾患の発生リスクの予測方法等が知られている(非特許文献1、2)。しかしながら、気温や緊張といった環境、精神状態に変化が起こった際の一時的な顔の赤くなり易さを予測できる遺伝子及びSNPの探索については行われていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Anne Lynn S Chang et al., Assessment of the Genetic Basis of Rosacea by Genome-Wide Association Study, J Invest Dermatol. 2015 Jun; 135(6): 1548-1555
【非特許文献2】S Mekic et al., Genetics of facial telangiectasia in the Rotterdam Study: a genome-wide association study and candidate gene approach. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2021 Mar; 35(3):749-754
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、個人の顔の赤くなり易さの遺伝的素因を正確かつ簡便に判定する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、rs11065950、rs11066001、rs144504271及びそれらのSNPと連鎖不平衡の関係にあるSNPが顔の赤くなり易さを予測できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] 被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(a1)~(a6)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者の顔が赤くなり易いと判定する工程を含む、顔の赤くなり易さの遺伝的素因を判定する方法。
(a1) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)
(a2) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(a3) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)
(a4) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(a5) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)
(a6) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
[2] 前記(a2)の配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号2に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065939で特定されるSNP)、配列番号3に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs7964109で特定されるSNP)、又は配列番号4に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3815021で特定されるSNP)である、[1]に記載の方法。
[3] 前記(a4)の配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3782886で特定されるSNP)である、[1]に記載の方法。
[4] 前記(a6)の配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号8に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs2074356で特定されるSNP)である、[1]に記載の方法。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた化粧料及び/又は飲食品を該被験者に提供する、化粧料及び/又は飲食品の提供方法。
[6] [1]~[4]のいずれかに記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた美容のカウンセリング方法。
[7] 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)、配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を有するプローブ、及び/又は、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)、配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)、若しくは該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む領域を増幅することのできるプライマーを含む、顔の赤くなり易さの遺伝的素因を判定するためのキット。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法によれば、被験者の生体試料に存在するゲノム由来のDNAに含まれる一塩基多型(SNP)のアレルを検出することにより、該被験者における顔の赤くなり易さを正確かつ簡便に判定することができる。よって、この判定結果に基づき、顔の赤くなり易さの程度に応じた化粧料や飲食品の正しい選択や美容アドバイスが可能となる。また、顔の紅潮の予防や改善のための対策を早期に講じることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定方法
本発明の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定方法は、個人の顔の赤くなり易さの遺伝的素因と関連する特定の一塩基多型(SNP)又は当該SNPと連鎖不平衡にあるSNPを用いて、顔の赤くなり易さを予測するものである。本発明において、「顔の赤くなり易さ」とは、寒暖差、緊張、興奮、感情(恥ずかしさ、怒り等)、炎天下での作業、更年期のホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)、ホルモンバランスの乱れ、運動時の発汗、発熱、洗顔やマッサージによる過度な摩擦等の誤ったスキンケア等、飲酒以外の要因で、頬や額を中心に顔が赤くなる(顔面紅潮)傾向が強いことをいう。
【0010】
上記の「連鎖不平衡」とは、2つの対立遺伝子がそれぞれ独立に遺伝する場合よりも大きな頻度で互いに連鎖して遺伝することをいう。このような連鎖不平衡を示す一群の対立遺伝子のことをハプロタイプと称する。本発明では、連鎖不平衡係数r2が0.8以上、好ましくは0.9以上、より好ましくは0.95以上、最も好ましくは1であるSNPを用いることができる。特定のSNPと連鎖不平衡にあるSNPは、例えば、Ensembl Genome Browser(https://asia.ensembl.org/index.html)やHapMapデータベース(http://www.hapmap.org/index.html.ja)等を用いて同定することができる。あるいは、複数人(通常は20~40人程度)から採取したDNAをシークエンサーにて配列解析し、連鎖不平衡にあるSNPを探索することにより同定することもできる。
【0011】
本発明の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定方法は、被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(a1)~(a6)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者の顔が赤くなり易いと判定する工程を含む。
(a1) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)
(a2) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(a3) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)
(a4) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
(a5) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)
(a6) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNP
【0012】
上記(a2)のrs11065950で特定されるSNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPとしては、rs3858705、rs11065939、rs7969300、rs58937998、rs11065953、rs10849958、rs7964109、rs6490187、rs10774626、rs11065946、rs118002600、rs7301158、rs11065941、rs11065959、rs11065960、rs11065963、rs11065965、rs142096264、rs3815021等で特定されるSNPが挙げられる。
【0013】
上記(a4)のrs11066001で特定されるSNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPとしては、rs11066015、rs3782886等で特定されるSNPが挙げられる。
【0014】
上記(a6)のrs144504271で特定されるSNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPとしては、rs2074356等で特定されるSNPが挙げられる。
【0015】
上記の顔の赤くなり易さと関連するSNP、及び該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む塩基配列([]内はSNPを表す)を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
後述の実施例の結果に示すように、上記rs11065950、rs11065939、rs7964109、rs3815021、rs11066001、rs3782886、rs144504271、rs2074356のSNPは、顔の赤くなり易さの遺伝的素因と統計学的に関連が証明されたものである。上記のSNPは1種でも顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定が可能であるが、2種以上を組み合わせることにより判定精度を高めること、また、判定の種類のパターンを増やすことができる。
【0018】
一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP、以下、「SNP」と記載する場合がある)とは、一般的には、遺伝子の塩基配列が1箇所だけ異なる状態及びその部位をいう。また、多型とは、一般的には、母集団中1%以上の頻度で存在する2以上の対立遺伝子(アレル)をいう。本発明における「SNP」は、当業者が自由に利用可能な公開されたデータベースである米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information :NCBI)のSNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)に登録されたSNPであって、そのリファレンス番号であるrs番号により特定できる。
【0019】
本明細書において「アレル」とは、あるSNP部位において取りうる、互いに異なる塩基を有するそれぞれの型をいう。また、本明細書において「遺伝型」とは、あるSNP部位において、対立するアレルの組み合わせをいう。あるSNP部位において、前記組み合わせである遺伝型には3つの型があり、同じアレルの組み合わせをホモ型とよび、異なるアレルの組み合わせをヘテロ型という。例えば、rs11065950で特定されるSNPにおいて対立するアレルの組み合わせである遺伝型には、C/C型、C/A型、A/A型の3つの型が存在する。
【0020】
本発明の判定方法において、「一塩基多型(SNP)のアレルを検出する」とは、そのSNPのアレルの塩基の種類を同定することを意味し、「一塩基多型(SNP)のアレルを検出する」の態様には、当該SNPの一方のアレルを検出すること、当該SNPの両方のアレルを検出すること、当該SNPの遺伝型を同定することを含むものとする。
【0021】
本発明の判定方法においては、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者が、顔が赤くなり易い遺伝的素因を有すると判定する。例えば、rs11065950又はrs11065950と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであるrs11065939、rs7964109、rs3815021において、rs11066001又はrs11066001と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであるrs3782886において、あるいは、rs144504271又はrs144504271と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであるrs2074356において、下記表2に示すリスクアレルが、少なくとも一方のアレルにおいて検出されれば、該リスクアレルが検出されない場合と比較して、皮膚が赤くなり易いと判定できる。逆に、リスクアレルが検出されない場合、リスクアレルが検出される場合と比較して皮膚が赤くなりにくいと判定できる。
【0022】
例えば、rs11065950で特定されるSNPの場合は、その遺伝型がC/C型であることが、C/A型又はA/A型である場合よりも顔が赤くなり易いことを示し、その遺伝型がC/A型であることが、A/A型である場合よりも顔が赤くなり易いことを示す。すなわち、C/C型、C/A型、A/A型の順で、顔の赤くなり易さが高いことを示す。言い換えれば、A/A型、C/A型、C/C型の順で顔が赤くなりにくいことを示す。
【0023】
【表2】
【0024】
本発明の判定方法において、被験者の人種は、特に限定はされないが、好ましくは東アジア人、より好ましくは日本人である。ここで、東アジア人とは、日本、朝鮮、中国、台湾及びモンゴルの人々のいずれかを起源に持つ人をいう。
【0025】
本発明の判定方法において用いるDNA含有試料としては、被験者より採取されたDNAを含有する生体試料であれば、特に限定されない。DNA含有試料に含まれるDNAは、ゲノムDNAであることが好ましいが、検出するSNPが、プロモーター等の非転写領域や、イントロン等のRNAスプライシングにより除かれる領域以外の、mRNA中に存在する領域に位置するSNPである場合には、ゲノムDNAの代わりにmRNAやtotal RNAを含む生体試料を使用してもよい。DNA含有試料としては、例えば、ゲノムDNAを採取可能な任意の体液、分泌液、組織、細胞、組織や細胞の培養物等を使用することができ、具体的には、被験者の唾液、血液、尿、喀痰、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、口腔(内頬)粘膜ぬぐい液、涙腺分泌液、汗、毛髪、爪、皮膚、粘膜、皮膚付着後に剥がしたテープストリップ等が挙げられるが、容易性及び低侵襲性の点から、唾液が好ましい。当該試料は、一般的な臨床検査で行われている方法に従って採取し、公知の抽出方法、精製方法を用いて調製することができる。その際、市販のゲノムDNA抽出キットを使用することができる。
【0026】
SNPの検出及びSNPの型の判定(SNPタイピング)の方法は、特に制限されず、例えばアレル特異的プライマー(及びプローブ)を用い、PCR法等により増幅し、増幅産物の多型を蛍光又は発光によって検出する方法等、公知の方法により行うことができる。例えば、PCR-RFLP (restriction fragment length polymorphism)法、PCR-SSCP(single-strand conformation polymorphism)法、PCR-SSO (sequence specific oligonucleotide)法、ダイレクトシークエンス(direct sequencing)法、ASO(Allele Specific Oligonucleotide)ハイブリダイゼーション法、ASP-PCR(Allele Specific Primer-PCR)法、Snapshot法、ARMS(Amplification Refracting Mutation System)法、TaqMan PCR法、インベーダー法、MALDI-TOF/MS法、RNase A切断法、DOL(Dye-labeled Oligonucleotide Ligation)法、TDI(Template-directed Dye-terminator Incorporation)等が挙げられる。上記方法はいずれも当業者に周知の方法であり、また、SNPの型の判定のための試薬やキットも市販されており、例えば、TaqMan SNP Genotyping Assays (Thermo Fisher Scientific社製)等を用いることができる。
【0027】
上記の判定方法により得られた結果は、被験者が顔の赤くなり易さの程度に応じた化粧料及び/又は飲食品を選択する上で有用な指標となる。例えば、顔が赤くなりにくい遺伝的素因を有すると判定された被験者に対しては、顔の血色を良く見せる及び/又は血行を促進する対策を推奨でき、一方、顔が赤くなり易い遺伝的素因を有すると判定された被験者に対しては、顔面紅潮を予防及び/又は改善する対策を推奨できる。よって、本発明の別の側面によれば、上記の判定方法により得られた結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた化粧料及び/又は飲食品を該被験者に提供する、化粧料及び/又は飲食品の提供方法や、上記の判定方法により得られた結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた美容のカウンセリング方法もまた提供される。具体的には、顔の血色を良く見せる及び/又は血行を促進する対策には、例えば、化粧下地(ベースメイク)やファンデーション、チーク、口紅、アイシャドウ等の血色を良く見せる化粧料、血行促進作用等を有する成分を含有した化粧料及び/又は飲食品の選択、血行を良くするマッサージ方法やストレッチ方法、入浴方法等が含まれる。また、顔面紅潮を予防及び/又は改善する対策には、例えば、赤みをカバーする化粧下地(コントロールカラー)、毛細血管収縮作用、血流改善作用、バリア機能促進作用、抗炎症作用等を有する成分を配合した化粧料及び/又は飲食品の選択、ピーリング剤やスクラブ剤等を使用しないことのアドバイスや、過度な摩擦をしない正しい洗顔やマッサージ方法等が含まれる。
【0028】
2.顔の赤くなり易さの遺伝的素因の判定用キット
上記のSNPの検出及びタイピング方法では、各方法に応じたプローブやプライマーが使用される。このようなプローブやプライマーもまた本発明の範囲に包含され、キットとして提供できる。
【0029】
プローブとしては、上記のSNP部位を含み、ハイブリダイズの有無によってSNP部位の塩基の種類を判別できるプローブが挙げられる。具体的には、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)、配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)、又は該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む10塩基以上の配列、好ましくは15塩基以上の配列又はその相補配列を有するプローブが挙げられる。プローブの長さは好ましくは15~40塩基、より好ましくは20~35塩基である。また、プローブは、適当な標識物質で標識されていてもよく、標識物質としては、例えば、酵素(ペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼ等)、蛍光物質(FITC、RITC、Cy3、Cy5等)、発光物質(ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニン等)、放射性同位元素(3H、14C、32P、125I、131I等)、ビオチン、ジゴキシゲニン、タグ配列を含むポリペプチド等が挙げられる。あるいは、蛍光物質の近傍に該蛍光物質の発する蛍光エネルギーを吸収するクエンチャー(消光物質)がさらに結合されていてもよい。
【0030】
また、プローブは固相に固定されていてもよい(DNAアレイ)。DNAアレイは、同一平面上に配置した多数のプローブに対してサンプルDNAをハイブリダイズさせ、当該平面をスキャンすることによって、各プローブに対するハイブリダイズを同時に検出することが可能である。よって、多数のSNP部位を同時に解析するには、DNAアレイは有用である。アレイに搭載するプローブとなるオリゴヌクレオチドは、通常in situで合成される。例えば、リソグラフィー方式(Thermo Fisher Scientific社)、インクジェット方式(Agilent社)、ビーズアレイ方式(Illumina社)等によるオリゴヌクレオチドのin situ合成法が知られている。
【0031】
また、プライマーとしては、上記SNP部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマー、又は上記SNP部位を配列解析(シークエンシング)するために用いることのできるプライマーが挙げられる。具体的には、配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)、配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)、又は該SNPと連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPを含む領域を増幅したり、シークエンシングしたりすることのできるプライマーが挙げられる。上記SNP部位を増幅するためのPCRに用いることのできるプライマーは、該SNP部位を含む領域のDNAを鋳型として、該SNP部位に向かって相補鎖合成を開始することができるオリゴヌクレオチドであればよく、このようなプライマーの長さは10~30塩基が好ましく、15~25塩基がより好ましい。プライマーは、SNP部位の上流又は下流の位置に設定することができる。
【0032】
当業者であれば、SNP部位を含む周辺DNA領域の塩基配列情報を基に、解析手法に応じたプローブ及びプライマーを設計することができる。また、プローブ及びプライマーとなるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの合成法として当技術分野で公知の方法、例えば、ホスホロアミダイト法、H-ホスホネート法等により、通常用いられるDNA自動合成装置を利用して合成することが可能である。
【0033】
本発明のキットには、上記のプローブ及びプライマーとして用いるオリゴヌクレオチドを少なくとも含んでいればよい。また、当該キットには、必要に応じて、DNA抽出用試薬、PCR用緩衝液やDNAポリメラーゼ等のPCR用試薬、染色剤や電気泳動用ゲル等の検出用試薬、固定化担体、標識物質、標識の検出に用いられる基質化合物、陽性や陰性の標準試料、キットの使用方法を記載した指示書等を含めることもできる。なお、キット中の試薬は溶液でも凍結乾燥物でもよい。
【実施例0034】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)顔の赤くなり易さの遺伝的素因に関連する一塩基多型(SNP)の同定
本試験を実施するにあたり、同意書、遺伝型判定等について、自社における倫理審査委員会によって承認を受けた。同意書のサインにて同意を受けたサンプル提供者よりサンプル採取を行い、遺伝型判定及び関連解析を行った。
【0036】
(1) DNAサンプル
21~50歳の日本人女性被験者652人(平均年齢40.8歳)から唾液を採取し、Maxwell RSC Stabilized Saliva DNA Kit(プロメガ社製)を使用してゲノムDNAを抽出し、DNAサンプルを得た。
【0037】
(2) 解析したSNP
SNPデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/)に登録されたSNPの内、rs11065950、rs11066001、rs144504271を解析の対象とした。さらに、Ensembl Genome Browser(https://asia.ensembl.org/index.html)を参考に、日本人における、それぞれのSNPと連鎖不平衡の関係にあるSNP(連鎖不平衡係数r2≧0.8)を表3に示した。この内、rs11065939、rs7964109、rs3815021、rs3782886、rs2074356についても解析の対象とした。また、比較例として酒さとの関連が示唆されているrs763035(比較例1)、及び毛細血管拡張症との関連が示唆されているrs4417318(比較例2)についても合わせて解析を行った。
【0038】
【表3】
【0039】
(3) 遺伝型の決定
(1)で得られたDNAサンプルについて、TaqMan SNP Genotyping Assays(Applied Biosystems社製)及びSsoAdvanced Universal Probes Supermix(Bio Rad社製)を用い、CFX384 Touch Real-Time PCR Detection System(Bio Rad社製)にて遺伝型の決定を行った。
【0040】
(4) 表現型データ(顔の赤くなり易さ)
顔の赤くなり易さに関するアンケート項目は、「飲酒時以外で顔が赤くなり易いタイプですか?(気温差、緊張した時等)」という質問に対して、「1.赤くなりにくい」、「2.時々赤くなることがある」、「3.赤くなり易い」の3つの選択肢から1つを回答するものであり、間隔尺度として扱った。
【0041】
(5) 関連解析
遺伝型データと顔の赤くなり易さの関連性について、表現型データを目的変数、遺伝型データのマイナーアレルの本数、及び年齢を説明変数とした重回帰分析を行い、前記マイナーアレルの本数の偏回帰係数のp値を評価した。10種類のSNPを解析したため、第一種の過誤の増大を回避するためにボンフェローニ法により有意水準を補正し(0.05/10)、p値が0.005(5E-03)未満の場合に有意な関連性があるものと判断した。
【0042】
(6) 結果
解析を行った各SNPが存在する染色体番号、物理位置、アレル、マイナーアレル及びリスクアレルの塩基、回帰係数、p値を表4に示す。なお、回帰係数の符号が正の場合にはマイナーアレルが、回帰係数の符号が負の場合にはメジャーアレルがリスクアレルとなる。p値の欄において、それぞれのp値は10を底とする指数形式で表示され、符号Eの前後に記載された数値はそれぞれp値を指数形式で表示した際の仮数部と指数部を示す。
【0043】
【表4】
【0044】
その結果、rs11065950、rs11066001、rs144504271は顔の赤くなり易さの遺伝的素因と有意な関連性があり、顔の赤くなり易さを判定できるSNPとして確認できた。さらに、それぞれのSNPと連鎖不平衡の関係にあるSNPについても同様の結果が得られたことから、rs11065950、rs11066001、rs144504271と連鎖不平衡の関係にあるSNPについても、顔の赤くなり易さを判定できることが分かった。一方で、酒さや毛細血管拡張症との関連が示唆されているrs763035、rs4417318については顔の赤くなり易さの遺伝的素因と有意な関連性は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の方法により、被験者が、顔の赤くなり易い遺伝的素因を有するかどうかを正確かつ簡便に判定することができる。よって、その判定結果に基づき、被験者に顔の赤くなり易さに応じた化粧料や飲食品を提供すること、また顔の赤くなり易さに応じたケア方法に関するカウンセリングやアドバイスを行うことが可能となる。
【配列表】
2022175156000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者から採取したDNA含有試料について、以下の(a1)~(a6)の1種又は2種以上の一塩基多型(SNP)のアレルを検出する工程と、検出されるアレルの塩基の少なくとも一つがリスクアレルである場合に、該被験者の顔が赤くなり易いと判定する工程を含む、顔の赤くなり易さの遺伝的素因を判定する方法(ただし、前記顔の赤くなり易さは、環境及び/又は精神状態の変化による顔の赤くなり易さを意味し、飲酒及び皮膚疾患を要因とする顔の赤くなり易さを除く)
(a1) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP、リスクアレルはC)
(a2) 配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP、リスクアレルはC)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであって、SNPデータベースにおけるrs番号がrs3858705、rs11065939、rs7969300、rs58937998、rs11065953、rs10849958、rs7964109、rs6490187、rs10774626、rs11065946、rs118002600、rs7301158、rs11065941、rs11065959、rs11065960、rs11065963、rs11065965、rs142096264、rs3815021で示されるSNP
(a3) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP、リスクアレルはC)
(a4) 配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP、リスクアレルはC)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであって、SNPデータベースにおけるrs番号がrs11066015、rs3782886で示されるSNP
(a5) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP、リスクアレルはA)
(a6) 配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP、リスクアレルはA)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPであって、SNPデータベースにおけるrs番号がrs2074356で示されるSNP
【請求項2】
前記(a2)の配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP、リスクアレルはC)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号2に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065939で特定されるSNP、リスクアレルはT)、配列番号3に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs7964109で特定されるSNP、リスクアレルはG)、又は配列番号4に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3815021で特定されるSNP、リスクアレルはA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(a4)の配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP、リスクアレルはC)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3782886で特定されるSNP、リスクアレルはC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(a6)の配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP、リスクアレルはA)と連鎖不平衡係数r2≧0.8の関係にあるSNPが、配列番号8に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs2074356で特定されるSNP、リスクアレルはA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた化粧料及び/又は飲食品を該被験者に提供する、化粧料及び/又は飲食品の提供方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法により判定された結果に基づいて、被験者の顔の赤くなり易さの遺伝的素因の程度に応じた美容のカウンセリング方法。
【請求項7】
配列番号1に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065950で特定されるSNP)、配列番号5に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11066001で特定されるSNP)、配列番号7に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs144504271で特定されるSNP)、配列番号2に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs11065939で特定されるSNP)、配列番号3に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs7964109で特定されるSNP)、配列番号4に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3815021で特定されるSNP)、配列番号6に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs3782886で特定されるSNP)、又は配列番号8に示される塩基配列の101番目の塩基におけるSNP(SNP:ID rs2074356で特定されるSNP)を含む10塩基以上の配列、又はその相補配列を含むプローブ、及び/又は、上記いずれかのSNPを含む領域を増幅することのできるプライマーを含む、顔の赤くなり易さの遺伝的素因を判定するためのキット(ただし、前記顔の赤くなり易さは、環境及び/又は精神状態の変化による顔の赤くなり易さを意味し、飲酒及び皮膚疾患を要因とする顔の赤くなり易さを除く)