IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナホーム株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-調湿システム 図1
  • 特開-調湿システム 図2
  • 特開-調湿システム 図3
  • 特開-調湿システム 図4
  • 特開-調湿システム 図5
  • 特開-調湿システム 図6
  • 特開-調湿システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175165
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】調湿システム
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/70 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
E04B1/70 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081374
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】山下 大樹
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001NA03
2E001ND01
2E001ND05
(57)【要約】
【課題】 住宅の快適性を向上させることが可能な調湿システム1を提供する。
【解決手段】 断熱された基礎3と、基礎3で区画された床下空間4と、床下空間4の上に設けられた床上空間5とを具えた住宅2を調湿するための調湿システム1である。この調湿システム1は、床下空間4に外気Aoを供給するための給気口18と、床下空間の空気Auを、床上空間5に供給するための供給装置19と、床下空間の空気Auを、屋外15に排気するための床下排気装置20と、外気Aoの絶対湿度を取得するための第1湿度取得装置21と、床下空間4の絶対湿度を取得するための第2湿度取得装置22と、外気Aoの絶対湿度と、床下空間4の絶対湿度との関係に基づいて、床下排気装置20の運転を制御する制御装置23とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱された基礎と、前記基礎で区画された床下空間と、前記床下空間の上に設けられた床上空間とを具えた住宅を調湿するためのシステムであって、
前記床下空間に外気を供給するための給気口と、
前記床下空間の空気を、前記床上空間に供給するための供給装置と、
前記床下空間の空気を、前記屋外に排気するための床下排気装置と、
前記外気の絶対湿度を取得するための第1湿度取得装置と、
前記床下空間の絶対湿度を取得するための第2湿度取得装置と、
前記外気の絶対湿度と、前記床下空間の絶対湿度との関係に基づいて、前記床下排気装置の運転を制御する制御装置とを含む、
調湿システム。
【請求項2】
前記制御装置は、現在が夏季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度未満である場合に、前記床下排気装置の運転を開始して、前記給気口からの前記外気の供給量を増加させる第1運転モードを実行する、請求項1に記載の調湿システム。
【請求項3】
前記制御装置は、現在が夏季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度以上である場合に、前記床下排気装置の運転を停止して、前記給気口からの前記外気の供給量を減少させる第2運転モードを実行する、請求項1又は2に記載の調湿システム。
【請求項4】
前記制御装置は、現在が冬季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度よりも大きい場合に、前記床下排気装置の運転を開始して、前記給気口からの前記外気の供給量を増加させる第3運転モードを実行する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の調湿システム。
【請求項5】
前記制御装置は、現在が冬季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度以下である場合に、前記床下排気装置の運転を停止して、前記給気口からの前記外気の供給量を減少させる第4運転モードを実行する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の調湿システム。
【請求項6】
前記床下排気装置は、前記給気口と相対する位置に配置されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の調湿システム。
【請求項7】
前記床下空間に設けられた調湿材をさらに含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の調湿システム。
【請求項8】
前記床上空間の空気を、屋外に排気するための床上排気装置をさらに含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の調湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、住宅が記載されている。この住宅は、地面、断熱された基礎及び1階の床で囲まれた地面と熱交換可能な床下空間と、床を介して床下空間の上に隣接配置された床上空間と、床下空間の空気を床上空間に供給するための換気手段とを具えている。基礎には、床下空間に外気を導入するための少なくとも1つの開口部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-172889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外気の絶対湿度は、季節や時間によって刻々と変化する。一方、床下空間の空気の絶対湿度も、外気の影響を受けて刻々と変化する。したがって、住宅の快適性を向上させるには、外気の絶対湿度に応じて、床下空間を調湿することが重要である。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、住宅の快適性を向上させることが可能な調湿システムを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、断熱された基礎と、前記基礎で区画された床下空間と、前記床下空間の上に設けられた床上空間とを具えた住宅を調湿するためのシステムであって、前記床下空間に外気を供給するための給気口と、前記床下空間の空気を、前記床上空間に供給するための供給装置と、前記床下空間の空気を、前記屋外に排気するための床下排気装置と、前記外気の絶対湿度を取得するための第1湿度取得装置と、前記床下空間の絶対湿度を取得するための第2湿度取得装置と、前記外気の絶対湿度と、前記床下空間の絶対湿度との関係に基づいて、前記床下排気装置の運転を制御する制御装置とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記制御装置は、現在が夏季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度未満である場合に、前記床下排気装置の運転を開始して、前記給気口からの前記外気の供給量を増加させる第1運転モードを実行してもよい。
【0008】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記制御装置は、現在が夏季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度以上である場合に、前記床下排気装置の運転を停止して、前記給気口からの前記外気の供給量を減少させる第2運転モードを実行してもよい。
【0009】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記制御装置は、現在が冬季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度よりも大きい場合に、前記床下排気装置の運転を開始して、前記給気口からの前記外気の供給量を増加させる第3運転モードを実行してもよい。
【0010】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記制御装置は、現在が冬季であり、かつ、前記外気の絶対湿度が、前記床下空間の絶対湿度以下である場合に、前記床下排気装置の運転を停止して、前記給気口からの前記外気の供給量を減少させる第4運転モードを実行してもよい。
【0011】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記床下排気装置は、前記給気口と相対する位置に配置されていてもよい。
【0012】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記床下空間に設けられた調湿材がさらに含まれていてもよい。
【0013】
本発明に係る前記調湿システムにおいて、前記床上空間の空気を、屋外に排気するための床上排気装置がさらに含まれていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の調湿システムは、上記の構成を採用することにより、住宅の快適性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の調湿システムが設けられた住宅を概念的に示す断面図である。
図2】本実施形態の制御装置の構成を示す概念図である。
図3】本実施形態の調湿システムの制御手順を示すフローチャートである。
図4】本実施形態の夏季調湿モードの処理手順を示すフローチャートである。
図5】第1運転モード及び第3運転モードを説明する概念図である。
図6】本発明の他の実施形態の調湿システムの制御手順を示すフローチャートである。
図7】冬季調湿モードの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0017】
[住宅の全体構造]
図1には、本実施形態の調湿システム1が設けられた住宅2を概念的に示す断面図が示されている。本実施形態の住宅2は、例えば、優れた断熱性能を具えた工業化住宅として構成されている。なお、住宅2は、工業化住宅に限定されるものではない。
【0018】
本実施形態の住宅2は、断熱された基礎3と、基礎3で区画された床下空間4と、床下空間4の上に設けられた床上空間5とを含んで構成されている。
【0019】
[基礎]
基礎3は、住宅2の外周に連続して配置されている。本実施形態の基礎3は、例えば、鉄筋コンクリート製の布基礎として構成されているが、ベタ基礎であってもよい。本実施形態の基礎3は、ベース部6と、立上り部7とを含んで構成されている。ベース部6は、地中内で水平に延びている。立上り部7は、ベース部6の幅方向の中央から上方へ延びている。本実施形態の立上り部7には、断熱材8が配されている。
【0020】
[断熱材]
本実施形態の断熱材8は、基礎3(本例では、立上り部7)の床下空間4側の側面に沿って、上下に延びている。このような断熱材8は、基礎3を介して伝えられる外気の熱を遮断することができる。これにより、住宅2は、床下空間4の空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)Auの温度変化を小さくすることができる。断熱材8には、例えば、ポリスチレンフォーム等が適宜採用されうる。
【0021】
[床下空間]
本実施形態の床下空間4は、基礎3と床9と土間10とで区画されている。
【0022】
[床]
床9は、基礎3、3の間をのびている。本実施形態の床9は、例えば、複数の板パネルが並べられたフローリングとして構成されている。
【0023】
[土間]
土間10は、床下空間4の底面を構成している。本実施形態の土間10は、基礎3、3間に敷設される土間コンクリートとして構成されているが、このような態様に限定されるものではない。
【0024】
土間10には、一年を通して温度変化が小さい地中熱が伝達されている。したがって、土間10は、地中熱と、床下空気Auとを熱交換することができる熱交換部として構成される。これにより、床下空間4には、夏季は外気Aoより冷たく、かつ、冬季は外気Aoよりも暖かい床下空気Auが蓄えられる。本実施形態の床下空間4は、断熱された基礎3により、上記のような床下空気Auを効果的に蓄えることができる。
【0025】
[調湿材]
本実施形態の床下空間4には、調湿材11が設けられている。本実施形態の調湿材11は、空気中(本例では、床下空気Au)に含まれる水分量に応じて、水分(水蒸気)の吸着(吸湿)、及び、水分の放出(放湿)を行う調湿機能を有するものである。このような調湿材11は、床下空気Au(外気Ao)を調湿して、床下空間4内での結露を抑制することができる。さらに、調湿された床下空気Auが、床上空間5に供給されることにより、住宅2(床上空間5)の快適性を維持することができる。
【0026】
本実施形態の調湿材11は、パネル状に形成されているが、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、ブロック状や粉末状等に形成されてもよい。また、本実施形態の調湿材11は、床9の内面(床下空間4側を向く面)に配されているが、例えば、土間10の上に配されてもよい。
【0027】
調湿材11には、例えば、表面が多孔質構造を有する調湿材料(図示省略)が配合されている。調湿材料には、例えば、珪藻土、珪質頁岩、アロフェン、イモゴライト、酸性白土、セオイオライト、ゼオライト、珪酸カルシウム、シリカゲル、ベントナイト、モンモリロナイト、又は、炭類等が採用されうる。これらの調湿材料が複数組み合わされることによって、調湿材11が形成されてもよい。
【0028】
本実施形態の調湿材11は、60%RH~70%RHの相対湿度域で、良好な吸放湿性能を有している。ここで、吸放湿性能(調湿性能)は、JIS A 1470-1(調湿建材の吸放湿性試験方法)に準拠して、温度23±0.5℃、相対湿度50%RH~75%RHで測定された透湿度として定義される。調湿性能は、上記調湿材料(図示省略)の組み合わせや配合量に応じて適宜設定することができる。
【0029】
[床上空間]
床上空間5は、床下空間4の上に設けられている。本実施形態の床上空間5は、床9、天井12、外壁13、及び、間仕切り壁14で区画されている。
【0030】
[床上排気装置]
本実施形態では、床上空間5の空気(以下、単に「床上空気」ということがある。)Aiを、屋外15に排気するための床上排気装置16が設けられている。床上排気装置16は、排気ファン17を含んで構成されている。本実施形態の排気ファン17は、外壁13に形成された孔(図示省略)に設けられている。
【0031】
排気ファン17は、床上空間5から屋外15に向かって送風する向きに設置されている。これにより、床上排気装置16は、床上空気Aiを屋外15に排気することができる。排気ファン17の風量は、適宜設定されうる。風量は、例えば、住宅2に必要な換気回数に基づいて設定されるのが望ましい。
【0032】
[調湿システム]
本実施形態の調湿システム1は、給気口18、供給装置19、床下排気装置20、第1湿度取得装置21、第2湿度取得装置22、及び、制御装置23を含んで構成されている。
【0033】
[給気口]
給気口18は、床下空間4に外気Aoを供給するためのものである。本実施形態の給気口18は、基礎3(本例では、立上り部7)と、断熱材8とを貫通する孔で形成されている。なお、給気口18は、床下空間4に外気Aoを供給可能なものであれば、このような態様に限定されない。また、給気口18は、1個のみであってもよいし、住宅2の大きさに応じて複数設けられてもよい。
【0034】
[供給装置]
供給装置19は、床下空間の空気(床下空気)Auを、床上空間5に供給するためのものである。本実施形態の供給装置19は、空気流路25と、ファン26とを含んで構成されている。
【0035】
本実施形態の空気流路25は、例えば、住宅2の配管スペースに配置されるダクトによって構成されている。なお、空気流路25は、ダクトに限定されるわけではなく、例えば、間仕切り壁等で囲まれた空間(図示省略)によって構成されてもよい。空気流路25の一端は、床下空間4に配されている。空気流路25の他端は、床上空間5に配されている。
【0036】
本実施形態のファン26は、床下空間4から空気流路25(床上空間5)に向かって送風する向きに設置されている。このようなファン26の駆動により、供給装置19は、床下空気Au(外気Ao)を、空気流路25を介して、床上空間5に供給することができるため、床上空間5が換気されうる。さらに、本実施形態では、床上排気装置16により、床上空気Aiが屋外15に排気されるため、床上空間5が効率よく換気されうる。ファン26の風量は、適宜設定されうる。風量は、例えば、床上排気装置16の排気ファン17と同様に、住宅2に必要な換気回数に基づいて設定されるのが望ましい。
【0037】
[床下排気装置]
床下排気装置20は、床下空間の空気(床下空気)Auを、屋外15に排気するためのものである。本実施形態の床下排気装置20は、排気ファン27を含んで構成されている。本実施形態の排気ファン27は、基礎3(本例では、立上り部7)と、断熱材8とを貫通する孔(図示省略)に設けられている。
【0038】
排気ファン27は、床下空間4から屋外15に向かって送風する向きに設置されている。これにより、床下排気装置20は、床下空気Auを屋外15に排気することができる。
【0039】
[第1湿度取得装置]
第1湿度取得装置21は、外気Aoの絶対湿度を取得するためのものである。本実施形態の第1湿度取得装置21は、相対湿度を測定可能なセンサーで構成されているが、例えば、絶対湿度を測定可能なセンサーであってもよい。
【0040】
本実施形態の第1湿度取得装置21ように、相対湿度が測定される場合には、例えば、JIS-Z8806の規定に準じ、SONNTAGの式に基づいて、相対湿度から絶対湿度に換算されるのが望ましい。これにより、外気Aoの絶対湿度を取得することができる。本実施形態において、相対湿度から絶対湿度への換算は、制御装置23によって行われる。
【0041】
本実施形態の第1湿度取得装置21は、給気口18(本例では、基礎3(立上り部7)の外面よりも内側)に設けられている。これにより、第1湿度取得装置21は、雨や太陽光に曝されるのを防ぎつつ、外気Aoの絶対湿度(相対湿度)を取得することができる。
【0042】
[第2湿度取得装置]
第2湿度取得装置22は、床下空間4の絶対湿度を取得するためのものである。本実施形態の第2湿度取得装置22は、第1湿度取得装置21と同様のものが採用されうる。
【0043】
第2湿度取得装置22が配される位置は、床下空間4の絶対湿度を取得可能であれば、特に限定されない。本実施形態の第2湿度取得装置22は、床下空間4において、給気口18から離間した位置(本例では、床下空間4の中央部)に配置されている。これにより、第2湿度取得装置22は、給気口18から供給される外気Aoの影響を抑えつつ、床下空間4の絶対湿度(相対湿度)を取得することができる。
【0044】
[制御装置]
制御装置23は、外気Aoの絶対湿度と、床下空間の空気(床下空気)Auの絶対湿度との関係に基づいて、床下排気装置20の運転を制御するためのものである。本実施形態の制御装置23は、コンピュータで構成されている。制御装置23は、例えば、間仕切り壁等に設置されているが、このような態様に限定されない。図2は、本実施形態の制御装置23の構成を示す概念図である。
【0045】
本実施形態の制御装置23は、CPU(中央演算装置)からなる演算部31と、処理手順が記憶されている記憶部32と、記憶部32に記憶された処理手順等を読み込むための作業用メモリ33とを含んで構成されている。
【0046】
演算部31には、入力手段34が接続されている。本実施形態の入力手段34は、例えば、制御装置23の筐体(図1に示す)に設けられた操作ボタンやタッチパネル等によって構成されている。このような入力手段34により、例えば、居住者等によって入力された情報が、演算部31に伝達されうる。
【0047】
演算部31には、出力手段35が接続されている。本実施形態の出力手段35は、制御装置23の筐体(図1に示す)に設けられたディスプレイとして構成されている。演算部31は、出力手段35に信号を伝達することにより、例えば、調湿システム1の運転状況等を、出力手段35に表示させることができる。
【0048】
本実施形態の演算部31には、床下排気装置20、第1湿度取得装置21、第2湿度取得装置22及び床上排気装置16が接続されている。これにより、演算部31は、例えば、床下排気装置20、第1湿度取得装置21、第2湿度取得装置22及び床上排気装置16に信号を伝達することにより、それらの運転等の制御や、運転状況の把握をすることができる。
【0049】
本実施形態の制御装置23は、第1湿度取得装置21によって取得された外気Aoの絶対湿度と、第2湿度取得装置22によって取得された床下空気Auの絶対湿度との関係に基づいて、床下排気装置20の運転が制御される。
【0050】
[調湿システムの制御(調湿方法)の第1実施形態]
図3は、本実施形態の調湿システム1の制御手順(以下、単に「調湿方法」ということがある。)を示すフローチャートである。この処理手順は、制御装置23(図2に示す)に記憶されている制御手順に基づいて実施される。
【0051】
[床下空気の供給開始]
本実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、先ず、図1に示されるように、制御装置23が、床上空間5への床下空間の空気(床下空気)Auの供給を開始する(ステップS1)。本実施形態のステップS1では、先ず、制御装置23が、供給装置19のファン26の運転を開始する。
【0052】
本実施形態のステップS1では、ファン26の運転開始により、床下空間4を負圧にすることができるため、外気Aoを、給気口18を介して床下空間4に供給することができる。そして、ステップS1では、床下空間4に供給された外気Ao(床下空気Au)は、供給装置19を介して、床上空間5に供給されるため、床上空間5を換気することができる。
【0053】
ステップS1では、制御装置23が、床上排気装置16(排気ファン17)の運転を開始してもよい。これにより、ステップS1では、床上空気Aiを屋外15に排気することができるため、床上空間5を効率よく換気することができる。
【0054】
[現在の季節を判断]
次に、図3に示されるように、本実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、現在が、いずれの季節に属するか否かが判断される(ステップS2)。本実施形態では、制御装置23(図2に示す)によって、現在の季節の判断が行われているが、住宅2の居住者によって行われてもよい。
【0055】
現在の季節は、例えば、制御装置23に設定されたカレンダーに基づいて判断されてもよいし、外気の温度等に基づいて判断されてもよい。本実施形態において、判断される季節は、夏季と、夏季以外の季節(例えば、春季、秋季及び冬季)とが含まれている。これらの季節に該当する期間は、住宅2の地域に応じて、適宜設定されうる。
【0056】
ステップS2において、現在が夏季であると判断された場合、制御装置23は、夏季調湿モードを実行する(ステップS3)。一方、ステップS2において、現在が夏季以外の季節(例えば、春季、秋季及び冬季)であると判断された場合、制御装置23は、床下排気装置20の運転を停止するステップS4が実行される。
【0057】
[夏季調湿モード]
図4は、本実施形態の夏季調湿モードの処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
[外気の絶対湿度を取得]
本実施形態の夏季調湿モード(ステップS3)では、先ず、制御装置23が、外気Aoの絶対湿度を取得する(ステップS31)。本実施形態のステップS31では、図1に示されるように、制御装置23が、第1湿度取得装置21に、外気Aoの相対湿度を測定させる。そして、測定された相対湿度が、制御装置23によって、絶対湿度に換算される。これにより、ステップS31では、外気Aoの絶対湿度が取得される。なお、第1湿度取得装置21が絶対湿度を測定可能なものであれば、上記換算は省略される。
【0059】
[床下空間の絶対湿度を取得]
次に、図4に示されるように、本実施形態の夏季調湿モード(ステップS3)では、制御装置23が、床下空間4の絶対湿度を取得する(ステップS32)。本実施形態のステップS32では、図1に示されるように、制御装置23が、第2湿度取得装置22に、床下空間4(床下空気Au)の相対湿度を測定させる。そして、測定された相対湿度が、制御装置23によって、絶対湿度に換算される。これにより、ステップS32では、床下空間4の絶対湿度が取得される。なお、第2湿度取得装置22が絶対湿度を測定可能なものであれば、上記換算は省略される。
【0060】
[絶対湿度の判断]
次に、図4に示されるように、本実施形態の夏季調湿モード(ステップS3)では、制御装置23が、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度未満であるか否かが判断する(ステップS33)。ステップS33での判断は、制御装置23(図1に示す)によって行われる。
【0061】
ステップS33において、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度未満であると判断された場合(ステップS33で「Yes」)、制御装置23が、第1運転モードを実行する(ステップS34)。一方、ステップS33において、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度以上であると判断された場合(ステップS33で「No」)、制御装置23が、第2運転モードを実行する(ステップS35)。
【0062】
[第1運転モード]
本実施形態では、ステップS2(図3に示す)及びステップS33(図4に示す)での判断により、現在が夏季であり、かつ、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度未満である場合に、第1運転モード(ステップS34)が実行される。本実施形態の第1運転モードでは、制御装置23が、床下排気装置20の運転を開始して、給気口18からの外気Aoの供給量を増加させている。
【0063】
本実施形態の住宅2では、断熱された基礎3により、外気Aoと床下空間4との間で温度差が生じる。これにより、夏季において、床下空間4の温度(床下空気Auの温度)は、外気Aoの温度(外気温)に比べて低くなる傾向がある。このため、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度未満である場合、床下空間4への供給によって外気Aoの温度が低下しても、その外気Aoの相対湿度は、床下空間4の相対湿度よりも低くなる。このような場合、外気Aoが床下空間4に積極的に供給されると、床下空間4の相対湿度(絶対湿度)を低下させることができる。
【0064】
図5は、第1運転モード及び第3運転モードを説明する概念図である。第1運転モード(ステップS34)では、床下排気装置20の運転開始により、床下排気装置20の停止時(図1に示す)に比べて、床下空間4を負圧にすることができる。これにより、第1運転モードでは、床下空間4に比べて絶対湿度が低い外気Aoを、給気口18を介して、床下空間4に積極的に供給する(供給量を増加させる)ことができるため、床下空間4の相対湿度を低下させることができる。したがって、本実施形態の調湿システム1では、床下空間4の結露を抑制することが可能となる。
【0065】
外気Aoを床下空間4に効率よく供給するために、床下排気装置20は、給気口18と相対する位置に配置されているのが望ましい。これにより、本実施形態の調湿システム1では、外気Aoが供給される方向と、床下空気Auが排気される方向とを、略同一にすることができるため、床下空間4内での乱流を抑制でき、外気Aoを床下空間4に効率よく供給することが可能となる。
【0066】
本実施形態では、床下空間4において、床下排気装置20と、給気口18とが互いに向き合うように配置されているが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、床下空間4において、互いに向き合う一対の基礎3(立上り部7)に、床下排気装置20及び給気口18がそれぞれ配置されていれば、住宅2(基礎3)の外周方向で互いに位置ずれしていてもよいし、上下方向で互いに位置ずれしていてもよい。
【0067】
また、床下排気装置20の排気ファン27の風量は、供給装置19のファン26の風量の0.5~2.0倍に設定されるのが望ましい。排気ファン27の風量がファン26の風量の0.5倍以上に設定されることで、給気口18からの外気Aoの供給量を増加させることができる。一方、排気ファン27の風量がファン26の風量の2.0倍以下に設定されることで、排気ファン27の運転コストや騒音の増加を抑制できる。
【0068】
本実施形態では、床下空間4に調湿材11が設けられているため、第1運転モードによる床下空間4の相対湿度の低下により、調湿材11に吸着されている水蒸気を、効率よく放出させることができる。これにより、調湿材11の調湿性能を回復(すなわち、再び除湿できるように回復)させることができる。さらに、水蒸気が放出された空気(高湿の床下空気Au)は、床下排気装置20によって屋外15に排出されるため、その水蒸気を多く含んだ床下空気Auが床上空間5に供給されるのを抑制することができる。したがって、本実施形態の調湿システム1は、床下空間4の結露を抑制でき、住宅2(床上空間5)の快適性を向上させることができる。
【0069】
[第2運転モード]
本実施形態では、ステップS2(図3に示す)及びステップS33(図4に示す)での判断により、現在が夏季であり、かつ、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度以上である場合に、第2運転モード(ステップS35)が実行される。本実施形態の第2運転モードでは、図1に示されるように、制御装置23が、床下排気装置20の運転を停止して、給気口18からの外気Aoの供給量を減少させている。
【0070】
上述したように、本実施形態の住宅2では、夏季において、床下空間4の温度(床下空気Auの温度)が、外気Aoの温度(外気温)に比べて低くなる傾向がある。このため、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度以上である場合、例えば、床下空間4への供給によって外気Aoの温度が低下すると、外気Aoの相対湿度は、床下空間4の相対湿度よりも高くなる可能性がある。このような場合、外気Aoが床下空間4に積極的に供給されると、床下空間4の相対湿度(絶対湿度)が高くなるおそれがある。
【0071】
第2運転モード(ステップS35)では、図1に示されるように、床下排気装置20の運転の停止により、図5に示した床下排気装置20の運転時(第1運転モード)に比べて、床下空間4への外気Aoの供給量を小さくすることができる。これにより、第2運転モードでは、床下空間4よりも絶対湿度が高い外気Aoが、床下空間4に積極的に供給されるのを防ぐことができるため、床下空間4の相対湿度が高くなるのを防ぐことができる。したがって、本実施形態の調湿システム1では、床下空間4の結露を抑制することが可能となる。
【0072】
本実施形態では、床下空間4に調湿材11が設けられているため、絶対湿度が高い外気Aoが床下空間4に供給されても、その外気Aoに含まれる水蒸気が、調湿材11に吸着されうる。したがって、本実施形態の調湿システム1では、床下空間4の相対湿度が高くなるのを防ぐことができるため、床下空間4の結露を防ぎうる。さらに、本実施形態では、相対湿度が高い床下空気Auが床上空間5に供給されるのを抑制できるため、住宅2(床上空間5)の快適性を維持しうる。
【0073】
このように、本実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、外気Aoの絶対湿度と、床下空間4の絶対湿度との関係(大小関係)に基づいて、床下排気装置20の運転を制御することができるため、床下空間4の結露の発生を抑制することが可能となる。しかも、本実施形態の調湿システム1では、温度によって変動しない絶対湿度(水蒸気量)に基づいて、外気Aoの供給による床下空間4の相対湿度への影響を把握することができるため、床下空間4の結露をより確実に防ぐことができる。
【0074】
[床下排気装置の運転停止]
図3に示されるように、本実施形態のステップS4では、床下空間4が結露する可能性が低い夏季以外の季節(本例では、春季、秋季及び冬季)において、制御装置23が、床下排気装置20の運転を停止する。なお、ステップS4において、床下排気装置20の運転が既に停止されている場合、その停止操作が省略される。これにより、本実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、床下排気装置20の排気ファン27の運転コストが増加するのを防ぐことができる。
【0075】
[停止命令の有無を判断]
次に、本実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、制御装置23が、停止命令があるか否かを判断する(ステップS5)。停止命令は、例えば、居住者によって制御装置23に入力されうる。
【0076】
ステップS5において、停止命令があると判断された場合(ステップS5で「Yes」)、制御装置23が調湿システム1(調湿方法)1を停止させる(ステップS6)。ステップS6では、図1に示した床下排気装置20の排気ファン27が運転中の場合、その排気ファン27の運転が停止される。なお、住宅2の換気を維持するために、供給装置19のファン26、及び、床上排気装置16の排気ファン17の運転は、継続されていてもよい。
【0077】
一方、ステップS5において、停止命令がないと判断された場合(ステップS5で「No」)、制御装置23は、ステップS2~ステップS5を再度実施する。
【0078】
このように、本実施形態の調湿システム1(調湿方法)1では、停止命令があるまで、外気Aoの絶対湿度と、床下空間4の絶対湿度との関係に基づいて、制御装置23が、床下排気装置20の運転を制御することができる。したがって、本実施形態の調湿システム1は、床下空間4の結露を継続して抑制でき、住宅2(床上空間5)の快適性を向上させることができる。
【0079】
[調湿システムの制御手順(調湿方法)の第2実施形態]
これまでの実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、現在が夏季である場合に、夏季調湿モードが実行され、現在が夏季以外の季節(例えば、春季、秋季及び冬季)である場合に、停止するステップが実行されたが、このような態様に限定されない。図6は、本発明の他の実施形態の調湿システム1の制御手順(調湿方法)を示すフローチャートである。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号が付され、説明が省略されることがある。
【0080】
この実施形態のステップS2において、判断される季節は、夏季と、冬季と、夏季及び冬季以外の季節(例えば、春季、秋季)とが含まれている。これらの季節に該当する期間は、住宅2の地域に応じて、適宜設定されうる。そして、ステップS2において、現在が冬季であると判断された場合、制御装置23は、冬季調湿モードを実行する(ステップS7)。
【0081】
[冬季調湿モード]
図7は、冬季調湿モードの処理手順を示すフローチャートである。
【0082】
[外気及び床下空間の絶対湿度を取得]
この実施形態の冬季調湿モード(ステップS7)では、先ず、制御装置23が、外気Aoの絶対湿度を取得し(ステップS71)、床下空間4の絶対湿度を取得する(ステップS72)。これらの絶対湿度は、図4に示した夏季調湿モード(ステップS3)と同様の手順で取得される。
【0083】
[絶対湿度の判断]
次に、この実施形態の冬季調湿モードでは、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度よりも大きいか否かが判断される(ステップS73)。ステップS73での判断は、制御装置23によって行われる。
【0084】
ステップS73において、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度よりも大きいと判断された場合(ステップS73で「Yes」)、制御装置23が、第3運転モードを実行する(ステップS74)。一方、ステップS73において、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度以下であると判断された場合(ステップS73で「No」)、制御装置23が、第4運転モードを実行する(ステップS75)。
【0085】
[第3運転モード]
この実施形態では、ステップS2(図6に示す)及びステップS73(図7に示す)での判断により、現在が冬季であり、かつ、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度よりも大きい場合に、第3運転モード(ステップS74)が実行される。この実施形態の第3運転モードでは、図5に示されるように、制御装置23が、床下排気装置20の運転を開始して、給気口18からの外気Aoの供給量を増加させている。
【0086】
外気Aoの絶対湿度が床下空間4の絶対湿度よりも大きい場合に、外気Aoが床下空間4に供給されると、床下空間4の相対湿度が上昇する。このような場合、外気Aoが床下空間4に積極的に供給されると、冬季において乾燥しやすい床下空間4の相対湿度(絶対湿度)を高めうる。
【0087】
第3運転モード(ステップS74)では、床下排気装置20の運転開始により、図1に示した床下排気装置20の停止時(第4運転モード)に比べて、床下空間4をより負圧にすることができる。これにより、第3運転モードでは、床下空間4に比べて絶対湿度が高い外気Aoを、給気口18を介して、床下空間4に積極的に供給する(供給量を増加させる)ことができるため、床下空気Auの相対湿度を高めることができる。そして、相対湿度が高められた床下空気Auが、供給装置19を介して、床上空間5に供給されることにより、床上空間5を加湿することができる。これにより、この実施形態の調湿システム1は、住宅2(床上空間5)の快適性を向上させることが可能となる。
【0088】
この実施形態では、これまでの実施形態と同様に、床下排気装置20が、給気口18と相対する位置に配置されている。このため、この実施形態では、外気Aoを床下空間4に効率よく供給することができる。これにより、この実施形態の調湿システム1は、住宅2(床上空間5)の快適性を効果的に向上させることが可能となる。床下排気装置20の排気ファン27の風量は、上述の範囲に設定されるのが望ましい。
【0089】
この実施形態では、床下空間4に調湿材11が設けられているため、第3運転モードによって床下空間4の相対湿度が高められることにより、床下空気Auに含まれる水蒸気を、調湿材11に効率よく吸着させることができる。これにより、調湿材11の調湿性能を回復(すなわち、再び加湿できるように回復)させることができる。さらに、水蒸気が吸着された空気(低湿の床下空気Au)は、床下排気装置20によって屋外15に排出されるため、その低湿の空気が床上空間5に供給されるのを抑制することができる。したがって、この実施形態の調湿システム1は、住宅2(床上空間5)の快適性を向上させることができる。
【0090】
[第4運転モード]
この実施形態では、ステップS2(図6に示す)及びステップS73(図7に示す)での判断により、現在が冬季であり、かつ、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度以下である場合に、第4運転モード(ステップS75)が実行される。この実施形態の第4運転モードでは、図1に示されるように、制御装置23が、床下排気装置20の運転を停止して、給気口18からの外気Aoの供給量を減少させている。
【0091】
上述したように、この実施形態の住宅2では、冬季において、床下空間4の温度(床下空気Auの温度)が、外気Aoの温度(外気温)に比べて高くなる傾向がある。このため、外気Aoの絶対湿度が、床下空間4の絶対湿度以下である場合、床下空間4への供給によって外気Aoの温度が上昇すると、その外気Aoの相対湿度は、床下空間4の相対湿度よりも低くなる。このような場合、外気Aoが床下空間4に積極的に供給されると、床下空間4の相対湿度(絶対湿度)が低くなる。
【0092】
第4運転モード(ステップS75)では、床下排気装置20の運転の停止により、図5に示した床下排気装置20の運転時(第3運転モード)に比べて、床下空間4への外気Aoの供給量を小さくすることができる。これにより、第4運転モードでは、床下空間4の絶対湿度以下の外気Aoが、床下空間4に積極的に供給されるのを防ぐことができるため、床下空間4の相対湿度が低くなるのを防ぐことができる。これにより、この実施形態の調湿システム1は、相対湿度の低い床下空気Auが床上空間5に供給されるのを抑制できるため、住宅2(床上空間5)の快適性を向上させることが可能となる。
【0093】
この実施形態では、床下空間4に調湿材11が設けられているため、絶対湿度が低い外気Aoが床下空間4に供給されても、調湿材11に吸着されている水蒸気が放出されうる。したがって、この実施形態の調湿システム1では、床下空間4の相対湿度が低くなるのを防ぐことができるため、相対湿度が低い床下空気Auが床上空間5に供給されるのを抑制でき、ひいては、住宅2(床上空間5)の快適性を向上しうる。
【0094】
この実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、これまでの実施形態と同様に、外気Aoの絶対湿度と、床下空間4の絶対湿度との関係に基づいて、床下排気装置20の運転を制御することができるため、夏季において、床下空間4の結露の発生を抑制しうる。さらに、この実施形態の調湿システム1では、冬季において乾燥しやすい床下空間4の絶対湿度(ひいては、相対湿度)を高めることができるため、その床下空気Auが床上空間5に供給されることにより、住宅2(床上空間5)の快適性を向上させることができる。
【0095】
この実施形態の調湿システム1(調湿方法)では、現在が夏季である場合に、夏季調湿モードが実行され、現在が冬季である場合に、冬季調湿モードが実施され、夏季及び冬季以外の季節(例えば、春季、秋季)の場合に、停止するステップが実行されたが、このような態様に限定されない。例えば、現在が冬季である場合に、冬季調湿モードが実行され、現在が冬季以外の季節(例えば、春季、夏季及び秋季)である場合に、停止するステップが実行されてもよい。
【0096】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0097】
1 調湿システム
2 住宅
3 基礎
4 床下空間
5 床上空間
15 屋外
18 給気口
19 供給装置
20 床下排気装置
21 第1湿度取得装置
22 第2湿度取得装置
23 制御装置
Ao 外気
Au 床下空間の空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7