(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175179
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/10 20180101AFI20221117BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20221117BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20221117BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20221117BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20221117BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20221117BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20221117BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20221117BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20221117BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20221117BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221117BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20221117BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20221117BHJP
【FI】
F21S43/10
F21V23/00 130
F21V23/00 140
F21V19/00 150
F21V19/00 600
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:10 100
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081390
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】松尾 倫宏
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K013AA07
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】電磁気的なシールドを行うことができ、且つ、放熱性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた発光素子と;前記基板の上に設けられ、動作時に電磁波を放射する制御素子と;前記ソケットに設けられ、前記発光素子のグランドに電気的に接続された第1のソケット端子と;前記ソケットに設けられ、前記発光素子のアノードに電気的に接続された第2のソケット端子と;前記基板と対向し、前記第1のソケット端子と電気的、および機械的に接続されたシールドと;を具備している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた発光素子と;
前記基板の上に設けられ、動作時に電磁波を放射する制御素子と;
前記ソケットに設けられ、前記発光素子のグランドに電気的に接続された第1のソケット端子と;
前記ソケットに設けられ、前記発光素子のアノードに電気的に接続された第2のソケット端子と;
前記基板と対向し、前記第1のソケット端子と電気的、および機械的に接続されたシールドと;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記シールドは、前記基板と離隔させて設けられ、
前記シールドと、前記基板と、の間の空間には、前記制御素子が設けられている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記シールドは、金属を含み、
前記第1のソケット端子が設けられる開口を有する請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記シールドは、前記第2のソケット端子と電気的に接続されていない請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光モジュールを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
発光モジュールには、基板と、基板の上に設けられた発光ダイオードと、が設けられている。また、近年においては、車両用照明装置の多機能化などのために、基板の上に、集積回路やスイッチング素子などをさらに設ける場合もある。
【0003】
発光モジュールに、集積回路やスイッチング素子などが設けられていれば、車両用照明装置の多機能化などを図ることができる。しかしながら、集積回路やスイッチング素子などを動作させた際に、電磁波が放射される場合がある。
そのため、集積回路やスイッチング素子などを、導電性を有するカバーで覆う技術が提案されている。しかしながら、単に、集積回路やスイッチング素子などをカバーで覆うと、これらの放熱が妨げられるおそれがある。これらの放熱が妨げられると、発光ダイオードの温度が上昇して、発光ダイオードの寿命が短くなったり、発光ダイオードが故障したりするおそれがある。
【0004】
そこで、電磁気的なシールドを行うことができ、且つ、放熱性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電磁気的なシールドを行うことができ、且つ、放熱性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた発光素子と;前記基板の上に設けられ、動作時に電磁波を放射する制御素子と;前記ソケットに設けられ、前記発光素子のグランドに電気的に接続された第1のソケット端子と;前記ソケットに設けられ、前記発光素子のアノードに電気的に接続された第2のソケット端子と;前記基板と対向し、前記第1のソケット端子と電気的、および機械的に接続されたシールドと;を具備している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、電磁気的なシールドを行うことができ、且つ、放熱性を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】
図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
【
図3】シールドを例示するための模式斜視図である。
【
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、
図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1および
図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、伝熱部40、およびシールド50が設けられている。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0014】
装着部11には、少なくとも1つのスリット11bを設けることができる。スリット11bの内部には、後述する基板21の角部を設けることができる。スリット11bの内部に基板21の角部を設けることで、基板21の位置決めを行うことができる。また、スリット11bの内部には、後述するシールド50の角部を設けることができる。スリット11bの内部にシールド50の角部を設けることで、シールド50の位置決めを行うことができる。
【0015】
バヨネット12は、例えば、装着部11の外側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0016】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、板状を呈している。
【0018】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、フランジ13の周縁近傍に設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0019】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0020】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することが好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0021】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0022】
発光モジュール20(基板21)は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。
図1および
図2に示すように、発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、素子25、および光学要素26を有する。
基板21は、例えば、伝熱部40の上に接着される。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。
【0023】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0024】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
【0025】
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0026】
発光素子22は、基板21の上(ソケット10側とは反対側)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を互いに直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0027】
発光素子22は、例えば、チップ状の発光素子とすることができる。チップ状の発光素子22とすれば、発光素子22が設けられる領域を小さくすることができるので、基板21の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子などとすることができる。
図1および
図2に例示をした発光素子22は、上下電極型の発光素子である。上部電極型の発光素子の電極、または上下電極型の発光素子の上部電極は、配線21bにより配線パターン21aと電気的に接続することができる。この場合、配線21bは、例えば、ワイヤーボンディング法により接続することができる。フリップチップ型の発光素子22は、配線パターン21aに直接実装することができる。
【0028】
なお、発光素子22は、例えば、表面実装型の発光素子としたり、砲弾型などのリード線を有する発光素子としたりすることもできる。この場合、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、チップ状の発光素子とすることが好ましい。一方、表面実装型の発光素子や砲弾型の発光素子とすれば、枠部23、封止部24、および光学要素26を省くことができる。
【0029】
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0030】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21に接着されている。枠部23は、発光素子22を囲んでいる。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0031】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0032】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
【0033】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0034】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0035】
素子25は、例えば、抵抗25a、ダイオード25b、および制御素子25cなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、演算素子などであってもよい。
【0036】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、
図1に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0037】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0038】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、発光回路のアノードとグランドとの間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0039】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0040】
ダイオード25bは、基板21の上に設けられている。ダイオード25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。ダイオード25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。ダイオード25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。
図1に例示をしたダイオード25bは、表面実装型のダイオードである。
【0041】
制御素子25cは、基板21の上に設けられている。制御素子25cは、配線パターン21aと電気的に接続される。制御素子25cは、例えば、発光素子22の点灯と消灯を切り替えたり、点灯状態を制御したりする。制御素子25cは、例えば、点灯回路(駆動回路)、点滅回路、定電流回路の少なくともいずれかを有する。制御素子25cは、例えば、FETやバイポーラトランジスタなどのスイッチング素子、スイッチング素子が設けられた集積回路などとすることができる。
【0042】
光学要素26は、封止部24の上に設けられる。光学要素26は、例えば、発光素子22から出射した光の拡散、集光などを行う。
図1および
図2に例示をした光学要素26は、凸レンズである。凸レンズである光学要素26は、光を集光して、所定の配光特性が得られるようにする。光学要素26は、凸レンズに限定されるわけではなく、例えば、凹レンズや導光体などであってもよい。
【0043】
なお、光学要素26は必ずしも必要ではなく、省くこともできる。例えば、車両用照明装置1の用途や仕様などによっては、封止部24の上部をドーム状にして、光学要素26を省くことができる。
【0044】
給電部30は、例えば、ソケット端子31a(第1のソケット端子の一例に相当する)、ソケット端子31b(第2のソケット端子の一例に相当する)、および保持部32を有する。
ソケット端子31aは、ソケット10に設けられている。後述するように、ソケット端子31aは、発光素子22のグランドに電気的に接続される。
ソケット端子31bは、ソケット10に設けられている。後述するように、ソケット端子31bは、発光素子22のアノードに電気的に接続される。
【0045】
ソケット端子31a、31bは、例えば、棒状体である。ソケット端子31a、31bの一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。ソケット端子31a、31bは、例えば、所定の方向に並べて設けられる。ソケット端子31a、31bの一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。ソケット端子31a、31bの他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出するソケット端子31a、31bには、コネクタ105が嵌め合わされる。
ソケット端子31a、31bは、例えば、銅合金などの金属から形成される。
なお、ソケット端子31a、31bの形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0046】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素からなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、ソケット端子31a、31bと、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、ソケット端子31a、31bを保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムからなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10がソケット端子31a、31bを保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0047】
伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11cの内部に設けることができる。伝熱部40は、例えば、凹部11cの内部に接着される。伝熱部40を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、前述した、基板21と伝熱部40とを接着する接着剤と同じとすることができる。
【0048】
また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11cの内部に設けることもできる。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、無機材料を用いたフィラーが混合されたものである。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下である。
【0049】
なお、伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着したり、凹部11aの底面11a1に熱伝導グリスを含む層を介して取り付けたりすることもできる。伝熱部40は、例えば、インサート成形法を用いて、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。
【0050】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成される。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。
なお、ソケット10が金属から形成されていたり、発光モジュール20において発生する熱が少なかったりする場合には、伝熱部40を省くこともできる。伝熱部40が省かれる場合には、例えば、発光モジュール20を凹部11aの底面11a1などに接着することができる。
【0051】
ここで、前述したように、発光モジュール20には、制御素子25cが設けられている。制御素子25cが設けられていれば、車両用照明装置1の多機能化などを図ることができる。ところが、制御素子25cは、動作時に電磁波を放射する場合がある。例えば、制御素子25cがスイッチング素子であったり、スイッチング素子が設けられた集積回路などであった場合には、制御素子25cを動作させた際に、スイッチングノイズが発生する。発生したスイッチングノイズは電磁波として、例えば、制御素子25cや配線パターン21aなどから車両用照明装置1の外部に放射される。
【0052】
そこで、車両用照明装置1には、シールド50が設けられている。
図1および
図2に示すように、シールド50は、基板21と対向させて設けられている。シールド50は基板21と離隔させて設けられている。シールド50と基板21との間の空間には、素子25が設けられている。前述した様に、制御素子25cは、動作の際に電磁波を放射し得る。そのため、シールド50が、基板21と対向していれば、シールド50により制御素子25cを覆うことができる。
【0053】
シールド50の平面形状には特に限定はないが、基板21の上方のなるべく広い範囲を覆うことが好ましい。例えば、シールド50の平面形状と平面寸法は、基板21の平面形状と平面寸法と同じとすることができる。例えば、
図1に示すように、シールド50の平面形状は四角形とすることができる。この場合、基板21と同様に、シールド50の角部をスリット11bの内部に設けることができる。
【0054】
また、シールド50の平面形状と平面寸法は、凹部11aの開口の平面形状と平面寸法と同じとすることができる。例えば、
図1に示すように、凹部11aが円柱状の場合には、シールド50の平面形状は、円形とすることができる。シールド50の平面寸法は、凹部11aの開口の平面寸法と、略同じとすることができる。この場合、シールド50の側面を、凹部11aの側面に接触させることが好ましいが、僅かな隙間が設けられてもよい。
【0055】
シールド50は、例えば、凹部11aの側面やスリット11bの側面に、接着することができる。シールド50は、例えば、凹部11aの内部やスリット11bの内部に圧入することもできる。また、シールド50は、例えば、スペーサなどを介して、凹部11aの底面11a1、基板21、伝熱部40などに接着したり、ネジ止めしたりすることもできる。
【0056】
シールド50は、板状を呈し、導電性材料から形成される。シールド50は、接地されている。この様にすれば、制御素子25cなどから電磁波が放射されたとしても、放射された電磁波が車両用照明装置1の外部に漏れるのを抑制することができる。
【0057】
この場合、シールド50が、金属などの熱伝導率の高い材料から形成されていれば、発光素子22と素子25において発生した熱を、シールド50を介して外部に放出するのが容易となる。
シールド50は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレスなどから形成することができる。
【0058】
なお、シールド50は、例えば、金属メッシュ(metal mesh)や複数の孔を有する板材とすることもできる。この場合、板材に設けられた孔の寸法が、電磁波の波長よりも極めて小さければ(例えば、1mm~3mm程度)、電磁波を遮蔽することができる。また、孔を有する板材とすれば、発光素子22と素子25において発生した熱を、を対流により放出することが容易となる。
【0059】
図3は、シールド50を例示するための模式斜視図である。
図3に示すように、シールド50は、例えば、板状を呈している。この様にすれば、シールド50の形成が容易となるので、車両用照明装置1の製造コストを低減させることができる。
【0060】
また、シールド50には、厚み方向を貫通する開口51が設けられている。開口51は、発光素子22から出射した光を透過させるために設けられる。そのため、開口51は、例えば、シールド50の略中央に設けることができる。開口51の平面形状と平面寸法には特に限定はないが、開口51の平面寸法が小さすぎると光の取り出し効率が低くなる。一方、開口51の平面寸法が大きすぎると、電磁波の漏れ量が増加する。
【0061】
例えば、
図2に示すように、開口51の平面形状と平面寸法は、枠部23の平面形状(外形形状)と平面寸法(外径寸法)と同じとすることができる。また、開口51の平面形状と平面寸法は、枠部23の開口の平面形状と平面寸法と同じとすることもできる。この様にすれば、発光素子22から出射した光がシールド50により遮られるのを抑制することができる。また、制御素子25cなどから放射された電磁波が、開口51を介して外部に漏れるのを抑制することができる。
【0062】
また、シールド50の基板21側の面であって、開口51が設けられる位置には筒状の部材を設けることができる。筒状の部材は、枠部23に代えて設けることができる。そのため、筒状の部材は、発光素子22を囲むことができる。筒状の部材の内側には、封止部24を設けることができる。
【0063】
また、前述したように、シールド50は、接地される。例えば、シールド50は、発光素子22のグランドに電気的に接続されるソケット端子31a(以降、グランド側のソケット端子31aと称する)と、電気的、および機械的に接続することができる。この様にすれば、シールド50を確実に接地することができるので、電磁波の遮蔽を効果的に行うことができる。また、発光素子22と素子25において発生し、シールド50に伝わった熱を、グランド側のソケット端子31aを介してソケット10に伝えることができる。すなわち、放熱性の向上を図ることができる。
【0064】
ここで、発光モジュール20には、複数の発光回路が設けられる場合がある。複数の発光回路が設けられる場合には、それぞれの発光回路におけるグランドを共通にすることができる。例えば、
図1に例示をした発光モジュール20には、ストップランプの回路と、テールランプの回路が設けられている。
【0065】
ストップランプの回路のグランドと、テールランプの回路のグランドは、3つのソケット端子31a、31bのうちの中央に設けられるソケット端子31aに電気的に接続される。例えば、ストップランプの回路のアノードは、3つのソケット端子31a、31bのうちの一方の端に設けられるソケット端子31bに電気的に接続される。例えば、テールランプの回路のアノードは、3つのソケット端子31a、31bのうちの他方の端に設けられるソケット端子31bに電気的に接続される。この場合には、3つのソケット端子31a、31bのうちの中央に設けられるソケット端子31aがシールド50と電気的に接続される。残りの2つのソケット端子31bは、シールド50と電気的に接続されない。
【0066】
例えば、シールド50には、厚み方向を貫通する開口52を設けることができる。開口52には、グランド側のソケット端子31aが設けられる。例えば、
図2に示すように、開口52には、グランド側のソケット端子31aを圧入したり、半田付けしたりすることができる。また、開口52を設けずに、グランド側のソケット端子31aの頂部をシールド50に接触させることもできる。ただし、開口52が設けられていれば、シールド50とグランド側のソケット端子31aの電気的な接続に関する信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、シールド50には、厚み方向を貫通する開口53を設けることができる。なお、開口53は、シールド50の周端にさらに開口していてもよい。すなわち、開口53は、孔であってもよいし、切り欠きなどであってもよい。開口53の数は、発光回路のアノードに電気的に接続されるソケット端子31b(以降、アノード側のソケット端子31bと称する)の数と同じとすることができる。開口53の内部には、アノード側のソケット端子31bが設けられる。この場合、ソケット端子31bは、開口53の内壁と接触していない。
【0068】
また、ソケット端子31bと開口53の内壁との間には、絶縁性の樹脂を充填することができる。例えば、ソケット端子31bは、開口53の内壁に接着することができる。この様にすれば、開口53を小さくしても、ソケット端子31bと開口53の内壁とが接触するのを抑制することができる。また、開口53を介した電磁波の漏れを抑制することができる。
【0069】
なお、アノード側のソケット端子31bと、シールド50とが接触しないのであれば、開口53を省くことができる。例えば、アノード側のソケット端子31bの、基板21からの突出長さが短く、アノード側のソケット端子31bと、シールド50との間に隙間がある場合には、開口53を省くことができる。開口53が無ければ、開口53を介した電磁波の漏れが無くなる。
【0070】
本実施の形態に係る車両用照明装置1には、グランド側のソケット端子31aと電気的および機械的に接続されたシールド50が設けられているので、電磁気的なシールドを行うことができ、且つ、放熱性を向上させることができる。
【0071】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0072】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0073】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0074】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0075】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0076】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、
図4に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0077】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0078】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0079】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出しているソケット端子31a、31bの端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105をソケット端子31a、31bの端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0080】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0081】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 車両用照明装置、10 ソケット、20 発光モジュール、21 基板、22 発光素子、25 素子、25c 制御素子、31a ソケット端子、31b ソケット端子、50 シールド、51 開口、52 開口、53 開口、100 車両用灯具、101 筐体