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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175183
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081395
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥野 仁樹
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA06
2H033AA14
2H033AA21
2H033AA23
2H033AA25
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB15
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BB36
2H033BB37
2H033BB38
2H033BE03
2H033CA04
2H033CA06
2H033CA07
2H033CA12
2H033CA30
2H033CA34
(57)【要約】
【課題】ニップ形成部におけるスポンジ状の弾性層の圧縮変形に起因する定着ベルトの軸方向における片寄りを解消する。
【解決手段】支持パッドと加圧ローラー32で定着ベルトを圧接挟持してニップ部を形成し、加圧ローラー32を駆動して定着ベルトを走行させ、ニップ部に未定着画像の形成されたシートを通紙させて定着する定着装置であって、前記加圧ローラー32にはスポンジ状の弾性層が設けられており、前記加圧ローラー32の回転軸321を、その軸方向に移動可能かつ傾動可能に保持する軸受部310と、前記加圧ローラー32に生じる軸方向の移動力を、前記加圧ローラー32の回転軸321を前記定着ベルト31の片寄りを補正する方向へ傾動させる傾動力に変換する傾動機構320とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の支持体と駆動ローラーで定着ベルトを圧接挟持してニップ部を形成し、駆動ローラーを駆動して定着ベルトを走行させ、前記ニップ部に未定着画像の形成されたシートを通過させて定着する定着装置であって、
前記支持体と駆動ローラーの少なくとも一方にスポンジ状の弾性層が設けられており、
前記駆動ローラーの軸を、その軸方向に移動可能かつ傾動可能に保持する軸受部と、
前記駆動ローラーの軸方向の移動力を、前記駆動ローラーの軸を前記定着ベルトの片寄りを補正する方向へ傾動させる傾動力に変換する変換機構と、
を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
駆動源の駆動軸の駆動力を前記駆動ローラーの軸に伝達する駆動伝達部を備え、
前記駆動伝達部が前記変換機構の機能を有する
ことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記駆動伝達部は、前記駆動源の駆動軸に取着された第1の歯車と、前記駆動ローラーの軸に取着され、前記第1の歯車に噛合する第2の歯車とを含み、
前記第1の歯車および第2の歯車の少なくとも一方がテーパー歯車からなることにより前記変換機構の機能を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記駆動ローラーの軸方向の移動範囲を規制する規制手段を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記規制手段は、前記第1の歯車と前記第2の歯車の噛合する歯幅が一定の幅以下にならないように、前記駆動ローラーの軸方向の移動範囲を規制する
ことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第2の歯車は、前記第1の歯車に対して、前記ニップ部における前記定着ベルトの走行方向における上流側もしくは下流側に配されている
ことを特徴とする請求項3から5までのいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記駆動伝達部は、前記駆動源の駆動軸および前記駆動ローラーの軸の一方に取着され、係合凹部を有する第1のカップリング部材と、他方の軸に取着され、前記第1のカップリング部材の係合凹部に挿入されて当該凹部に係合する第2のカップリング部材とを含み、
前記第1のカップリング部材および第2のカップリング部材の少なくとも一方のカップリング部材の係合面がその取り付けられた軸の方向に対して角度をなすテーパー状に形成されることにより前記変換機構の機能を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項8】
前記駆動源の駆動軸の軸心は、前記駆動ローラーの軸心に対して、定着ベルトの走行方向上流側にずれて配されていること
ことを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
【請求項9】
前記加圧ローラーの軸を、前記ニップ部における前記定着ベルトの走行方向下流側に向けて付勢する付勢手段を備える
ことを特徴とする請求項7または8に記載の定着装置。
【請求項10】
前記駆動ローラーの軸方向の移動範囲を規制する規制手段を有する
ことを特徴とする請求項7から9までのいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
前記変換機構は、前記支持体の長手方向に平行であって、かつ、前記駆動ローラーを定着ベルトに圧接したときに形成されるニップ部の少なくとも一部を含む平面と平行な平面内で前記駆動ローラーを傾動させる
ことを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項12】
シート上に未定着画像を形成する作像部と、前記未定着画像をシートに熱定着する定着部とを備えた画像形成装置であって、
前記定着部として、請求項1から11までのいずれか1項に記載の定着装置が用いられることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着ベルトを使用してシート上の未定着画像を熱定着させる定着装置および当該定着装置を備えた画像形成装置に関し、特に、定着ベルトの片寄りを解消する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、未定着トナー像が形成されたシートを、加熱回転体と加圧回転体との間に形成されたニップ部に通過させて熱定着する定着装置を備える。
【0003】
近年では、省エネルギーの観点から、熱源である加熱ローラーと、支持パッドもしくは支持ローラーなどの長尺状の支持体とで定着ベルトを張架すると共に、定着ベルトを当該支持体と加圧ローラーで挟持してニップ部を形成する定着ベルト方式の定着装置が多く採用されている。
【0004】
定着ベルトは、金属材料や樹脂材料を主要材料として形成され、比較的厚みが薄く、熱容量を少なくできるので、装置起動時や待機状態から定着温度まで昇温させるまでの時間を短縮でき、省エネルギー化に資する。
【0005】
ところが、加熱ローラーや支持体の寸法精度のばらつきや取付け精度が十分でない場合には、定着ベルトが軸方向に移動して蛇行したり斜行したりするおそれがあった。このような蛇行や斜行(以下、「斜行等」という。)は、定着に際してトナー像の位置ずれを惹起し、あるいは、定着ベルトの一定以上の軸方向の移動(片寄り)を規制するためのフランジなどに長時間当接して定着ベルト自体の破損を招くおそれがある。
【0006】
上記定着ベルトの斜行等の発生を抑制するため、例えば、特許文献1、2では、上記加熱ローラーなど定着ベルトを張架する複数のローラーのうち、ニップ部の形成に関与しない従動ローラーの回転軸を他のローラーの回転軸に対して傾斜させて定着ベルトの軸方向における斜行等を解消する構成が開示されている(このように特定のローラーの回転軸の傾きを調整することを、以下、「アライメント調整」という。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-198293号公報
【特許文献2】特開2013-228428号公報
【特許文献3】特開2008-169047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、定着装置においては、定着不良が発生しないように、加圧ローラーに弾性層を形成すると共に、これを定着ベルトに向けて強い力で付勢することにより、所定以上のニップ圧とニップ幅を確保するようにしており、最近では、さらなる省エネルギー化を達成するため、断熱性の高いスポンジ状の弾性層を採用することが主流となっている。
【0009】
しかしながら、当該弾性層は金型成形によって製造されるため、溶融した弾性材料を金型に流し込むときや金型内での冷却の際に、成形条件の部分的な差異がどうしても生じてしまい、スポンジ状の弾性層のセル(発泡体を構成している気泡構造の単位)の配列に異方性が生じる。
【0010】
これにより、ニップ部における弾性層の圧縮変形時に、定着ベルトに対し軸方向へ大きな移動力を付与する結果となる。
【0011】
図12(a)、(b)は、加圧ローラーの弾性層の圧縮変形時に、定着ベルトに対する軸方向の移動力が発生する原理を説明するための模式図である。
【0012】
図12(a)は、加圧ローラー62の軸芯621の周囲に形成された弾性層62aに定着ベルト61を圧接していない状態における弾性層62aを断面で示している。
【0013】
同図におけるハッチングは、セルの主たる配列方向を模式的に示すものであり、この例では、セルの主たる配列方向が右方向に傾斜している場合を示している。
【0014】
図12(b)のように加圧ローラー62を定着ベルト61に向けて圧接させると、弾性層62aが、セル配列がさらに右方向(X1方向)に傾くようにして圧縮変形するため、その表面がX1方向にΔxだけずれる。
【0015】
定着ベルト61は強い圧接力により弾性層62aの表面に密着しているため、定着ベルト61もX1方向に移動する(以下、この定着ベルトの軸方向の移動を、単に「片寄り」という場合もある。)。そのため定着ベルト61に斜行等が生じる。
【0016】
本願発明者の考察の結果、このような場合には、従来のような特許文献1、2のような方法では、ニップ部形成に関与しないローラーのアライメント調整では、定着ベルトの片寄りを矯正しきれないことが分かった。
【0017】
ニップ部を形成するため加圧ローラー62の圧接力は大きく、しかも定着ベルト61の表面と加圧ローラー62の表面との密着性は高いので、図12(b)に示すような場合にスポンジ状の弾性層62aにより定着ベルト61に付与される軸方向の力は、従来の他の要因により発生する斜行等に比して格段に大きいからであると考えられる。
【0018】
一方、特許文献3には、ニップ部を形成するための加圧ローラーをアライメント調整する構成が開示されている。
【0019】
図13は、上記特許文献3に開示されている定着装置の概要を示す図である。
【0020】
定着ベルト71が加熱ローラー73と出力ローラー74によって張架され、加圧ローラー72を圧接してニップ部を形成し、未定着シートSを当該ニップ部に通紙して定着を実行する。この特許文献3では、出力ローラー74が駆動される構成となっている。
【0021】
定着ベルト71の軸方向の縁部の位置が、光電センサー711、712により監視され、光電センサー711もしくは712により定着ベルト71の片寄りが検出されると、制御手段75は、アライメント部76における駆動モーター761を駆動させて、偏芯ギヤ762を回転させ、加圧ローラー72の回転軸を、定着ベルト71の片寄りを解消させる方向に傾動させてアライメント調整するように構成している。
【0022】
しかし、この特許文献3の構成でも、加圧ローラーの弾性層としてスポンジ状の弾性材料を採用した場合に生じる定着ベルトの片寄りを解消するには至らないことが分かった。
【0023】
しかも、特許文献3の構成によれば、加圧ローラー72のアライメント調整のため、光電センサー711、712、制御手段75、駆動モーター761などが必要となり、大幅なコストアップが避けられない。
【0024】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであって、省エネルギー化のためニップ形成部材にスポンジ状の弾性層を有する場合に発生する定着ベルトの片寄りを、コスト負担の少ない簡易な構成で効果的に抑制することができる定着装置および当該定着装置を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために本開示の一態様に係る定着装置は、長尺状の支持体と駆動ローラーで定着ベルトを圧接挟持してニップ部を形成し、駆動ローラーを駆動して定着ベルトを走行させ、前記ニップ部に未定着画像の形成されたシートを通過させて定着する定着装置であって、前記支持体と駆動ローラーの少なくとも一方にスポンジ状の弾性層が設けられており、前記駆動ローラーの軸を、その軸方向に移動可能かつ傾動可能に保持する軸受部と、前記駆動ローラーの軸方向の移動力を、前記駆動ローラーの軸を前記定着ベルトの片寄りを補正する方向へ傾動させる傾動力に変換する変換機構と、を備えることを特徴とする。
【0026】
また、本開示の一態様は、駆動源の駆動軸の駆動力を前記駆動ローラーの軸に伝達する駆動伝達部を備え、前記駆動伝達部が前記変換機構の機能を有する。
【0027】
また、前記駆動伝達部は、前記駆動源の駆動軸に取着された第1の歯車と、前記駆動ローラーの軸に取着され、前記第1の歯車に噛合する第2の歯車とを含み、前記第1の歯車および第2の歯車の少なくとも一方がテーパー歯車からなることにより前記変換機構の機能を有することを特徴とする。
【0028】
また、前記駆動ローラーの軸方向の移動範囲を規制する規制手段を有する。
【0029】
ここで、前記規制手段は、前記第1の歯車と前記第2の歯車の噛合する歯幅が一定の幅以下にならないように、前記駆動ローラーの軸方向の移動範囲を規制することが望ましい。
【0030】
また、前記第2の歯車は、前記第1の歯車に対して、前記ニップ部における前記定着ベルトの走行方向における上流側もしくは下流側に配されている。
【0031】
また、本開示の別の態様では、前記駆動伝達部は、前記駆動源の駆動軸および前記駆動ローラーの軸の一方に取着され、係合凹部を有する第1のカップリング部材と、他方の軸に取着され、前記第1のカップリング部材の係合凹部に挿入されて当該凹部に係合する第2のカップリング部材とを含み、前記第1のカップリング部材および第2のカップリング部材の少なくとも一方のカップリング部材の係合面がその取り付けられた軸の方向に対して角度をなすテーパー状に形成されることにより前記変換機構の機能を有する。
【0032】
ここで、前記駆動源の駆動軸の軸心は、前記駆動ローラーの軸心に対して、定着ベルトの走行方向上流側にずれて配されていることが望ましい。
【0033】
また、前記加圧ローラーの軸を、前記ニップ部における前記定着ベルトの走行方向下流側に向けて付勢する付勢手段を備えることが望ましい。
【0034】
ここで、前記駆動ローラーの軸方向の移動範囲を規制する規制手段を有することが望ましい。
【0035】
また、前記変換機構は、前記支持体の長手方向に平行であって、かつ、前記駆動ローラーを定着ベルトに圧接したときに形成されるニップ部の少なくとも一部を含む平面と平行な平面内で前記駆動ローラーを傾動させることが望ましい。
【0036】
また、本開示の別の態様に係る画像形成装置は、シート上に未定着画像を形成する作像部と、前記未定着画像をシートに熱定着する定着部とを備えた画像形成装置であって、前記定着部として、上記定着装置が用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
上記開示の態様に係る定着装置によれば、軸受部により駆動ローラーがその軸方向に移動可能で、かつ、傾動可能に保持されており、ニップ部を形成するため、支持体と駆動ローラーの少なくとも一方にスポンジ状の弾性層の圧縮変形により定着ベルトに対し軸方向に移動力が発生した際に、駆動ローラーを軸方向へ移動させる力も生じ、変換機構により当該移動力が駆動ローラーを傾動させる力に変換され、アライメント調整が自律的に実行される。
【0038】
この際、従動ローラーではなく駆動ローラー自体が傾動してニップ部において定着ベルトにその片寄りを解消する方向に強い力を付与するため、定着ベルトの片寄りが効果的に是正される。また、駆動ローラーの軸方向における直線移動量を傾動量に変換する機構は、比較的簡易に構成できるため、コストアップを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本開示の実施の形態に係る定着装置を備えたプリンターの全体構成を示す概略図である。
図2】上記プリンターの定着部の概略構成を示す断面図である。
図3】(a)、(b)は、本開示に係るアライメント機構による定着ベルトの片寄り補正の動作原理を説明するための図であって、(a)は、加圧ローラーを定着ベルトに圧接したときに、定着ベルトと加圧ローラーのそれぞれに作用する力の方向を示す概略図であり、(b)は、定着ベルトの軸方向の片寄りを補正するため、加圧ローラーの軸を傾斜させた状態を示す概略図である。
図4】本開示の第1の実施の形態に係る定着装置における加圧ローラーのアライメント調整機構の具体的な構成を示す斜視図である。
図5】(a)、(b)は、上記定着装置において定着ベルトの片寄りが、アライメント機構によって、矯正される様子を説明するための概略図である。
図6図5(a)と逆方向に定着ベルトの片寄りが生じた場合に、アライメント機構によって、矯正される様子を説明するための概略図である。
図7】アライメント機構におけるテーパー歯車の噛合状態および軸受部の様子を示すための側面図である。
図8】(a)、(b)は、本開示の第2の実施の形態に係る定着装置のアライメント機構を説明するための部分斜視図である。
図9】(a)、(b)は、上記第2の実施の形態におけるアライメント機構によって、定着ベルトの片寄りが矯正される動作を説明するための概略図である。
図10図9(a)と逆方向に定着ベルトの片寄りが生じた場合に、アライメント機構によって、矯正される様子を説明するための概略図である。
図11】(a)、(b)は、定着ベルト式の定着装置における変形例を示す概略断面図である。
図12】(a)、(b)は、スポンジ状の弾性層を有する加圧ローラーを定着ベルトに圧接することにより、加圧ローラーから、定着ベルトに加えられる移動力が発生する原理を説明するための模式図である。
図13】従来の定着ベルト式定着装置におけるアライメント機構の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本開示の実施の形態に係る定着装置を搭載した画像形成装置として、タンデム型のカラープリンター(以下、単に「プリンター」という。)を例にして図面を参照しながら説明する。
【0041】
<第1の実施の形態>
(1)プリンターの全体構成
図1は、プリンター1の全体構成を示す概略断面図である。
【0042】
同図に示すようにプリンター1は、電子写真方式によるものであり、給送部10、作像部20、定着部30、排出部40および両面搬送部50を含み、記録用のシートSの片面(表面)のみに画像をプリントする片面プリントジョブと、シートSの両面(表面と裏面)に画像をプリントする両面プリントジョブを実行可能である。
【0043】
給送部10は、シートSを収容する給紙トレイ11と、給紙トレイ11に設けられ、シートSを搬送路19に向けて1枚ずつ繰り出す繰り出しローラー12Pと、繰り出されたシートSを給紙搬送する給紙ローラー12Fと、二次転写位置29にシートSを送り出すタイミングをとるためのタイミングローラー13などを備えている。
【0044】
作像部20は、給送部10から送られたシートS上にトナー像を形成する。具体的には、4つの作像ユニット21Y、21M、21C、21Kでは、帯電された感光体ドラム25Y、25M、25C、25Kの表面を、画像データに基づき変調駆動された露光部26からのレーザー光で露光して、その表面に静電潜像を作成し、その静電潜像をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナーで現像する。
【0045】
現像により可視像化された4色のトナー像は、感光体ドラム25Y、25M、25C、25Kと、これに中間転写ベルト23を介して対向する1次転写ローラー22Y、22M、22C、22Kとの間の電界によって、各感光体ドラムの表面から中間転写ベルト23の表面上に一次転写される。この一次転写において、Y~Kの各色トナー像が中間転写ベルト23上の同じ位置に転写されるように、作像ユニット21Y~21Kにおいてトナー像の形成タイミングがずらされる。これにより中間転写ベルト23上にY~K色トナー像が多重転写されてなるカラートナー像が形成される。
【0046】
中間転写ベルト23は、感光体ドラム25Y~25Kよりも上に位置し、駆動ローラー23R、従動ローラー23Lを含む複数のローラーに張架されており、矢印A方向に周回走行される。中間転写ベルト23上のカラートナー像は、中間転写ベルト23の周回走行により、中間転写ベルト23と2次転写ローラー24との接触位置である二次転写位置29に移動する。
【0047】
中間転写ベルト23上のカラートナー像は、二次転写位置29において、中間転写ベルト23と2次転写ローラー24との間の電界により、給送部10から搬送されて来たシートSが中間転写ベルト23と2次転写ローラー24の間を通過する際に、そのシートSの表面(第1面)へ二次転写される。カラートナー像(未定着画像)が二次転写されたシートSは、2次転写ローラー24により矢印E方向に搬送されて定着部30へ向かう。
【0048】
定着部30は、定着ベルト31と加圧ローラー32とを含み、両者の間に形成されたニップ部NpにシートSが通紙されることにより、カラートナー像がシートS上に熱定着される。
【0049】
排出部40は、排出ローラー41と排紙口45を含み、カラートナー像が定着したシートSを排紙口45から排出する。排出ローラー41は、排紙口45の内側に配置され、矢印B方向に回転(正転)しながら、定着部30から搬送されて来たシートSを排紙口45から搬送して機外に排出する。排出された用紙Sは、排紙トレイ46へ収容される。これにより、シートSの第1面のみにプリントする片面プリントが完了する。
【0050】
また、両面プリントジョブの場合、表面(第1面)に対するプリント時に二次転写位置29を通過したシートSは、定着部30から排出ローラー41に搬送される。排出ローラー41により搬送されるシートSの搬送方向後端が光学センサーからなる排出センサーESの検出位置を通過すると、排出ローラー41が正転から逆転(矢印C方向に回転)に切り換わる。
【0051】
この排出ローラー41の逆転により、シートSが反転して両面搬送部50に導かれ、両面搬送ローラー51、52、53、54、55により両面搬送路を矢印D方向に搬送され、タイミングローラー13を介して、再度、二次転写位置29まで搬送され、シートSの裏面(第2面)に、カラートナー像が二次転写され、定着部30で熱定着された後、排出ローラー41を介して排紙トレイ46に排出される。
【0052】
給送部10と作像部20において、給紙、搬送のローラー類や駆動ローラー23R、感光体ドラム25Y~25Kなどを含む回転部材は、作像部20に配された駆動モーターM1の駆動力により回転する。また、定着部30における加圧ローラー32は、駆動モーター(定着モーター)M2により回転駆動され、排出ローラー41は、排出部40に配された駆動モーターM3の駆動力により正逆転し、両面搬送ローラー51~55は、両面搬送部50に配された駆動モーターM4の駆動力により回転する。
【0053】
また、制御部100は、ネットワークを介して外部の端末装置と接続され、この端末装置から送られて来るプリントジョブのデータを受信して、受信したプリントジョブのデータから印刷すべき画像データを生成し、生成した画像データをプリントに供する。
【0054】
(2)定着部の構成
(2-1)定着部の概略
図2は、定着部30の構成を示す概略断面図である。
【0055】
同図に示すように定着部30は、定着ベルト31を、加熱ローラー34(加熱部)と長尺状の支持パッド(支持体)33とで張架し、加圧ローラー32を支持パッド33方向に押圧してニップ部を形成してなる。
【0056】
図2において、加熱ローラー34の軸心の方向(長手方向)をX軸とし、鉛直方向をZ軸と、XZ軸と直交する方向をY軸とする(以下の図面においても同じ)。
【0057】
支持パッド33は、その長手方向が加熱ローラー34の回転軸と平行になるように配され、支持パッド33の、加圧ローラー32による押圧に対して定着ベルト31をバックアップする面(支持面33a)は、XZ面と平行になるように配されている。
【0058】
定着ベルト31は、例えば、ポリイミドやSUS(ステンレス鋼)等からなる基層の上に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の高い材料からなる弾性層と、PFA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)などのフッ素系樹脂からなる離型性を付与した離型層とがこの順に積層されてなる。
【0059】
加圧ローラー32は、アルミや鉄などからなる円筒状の芯金の外周面に、シリコーンゴムなどの耐熱性の高い弾性材料で形成されたスポンジ状の弾性層32aが積層される。最表層に、さらにPFAなどの離型層(不図示)が積層されてもよい。
【0060】
加圧ローラー32の回転軸321(図4参照)は、後述の軸受部310により軸方向への移動可能であって、かつ、傾動可能に支持されている。
【0061】
バネなどの弾性部材(不図示)の付勢力により、所定の荷重(圧接力)で加圧ローラー32の外周面が定着ベルト31の外周面に圧接される。この圧接により、加圧ローラー32の外周面と定着ベルト31の外周面との間にニップ部Npが形成される。
【0062】
加圧ローラー32は、定着モーターM2(図1)の回転駆動力により矢印P方向に所定の回転速度で回転駆動され、駆動ローラーとして機能する。この加圧ローラー32の回転により、加熱ローラー34、および加熱ローラー34と支持パッド33に張架されている定着ベルト31が矢印Q方向に従動回転(走行)する。
【0063】
定着ジョブ実行時において、ニップ部Npを通過するシートSの搬送速度が所定のシステム速度(基準速度)で安定するように定着モーターM2(図1)の回転速度が制御100によって制御される。
【0064】
本実施の形態では、定着ベルト31が軸方向の一方の方向に片寄ったときに、アライメント調整機構300(図4)により加圧ローラー32の回転軸321を所定量傾動させることにより、定着ベルト31の片寄りを補正するようにしている。詳しくは後述する。
【0065】
加熱ローラー34は、例えば、円筒状のアルミ中空芯金の外周面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなるコート層が積層されてなり、その軸方向両端部が定着部30の筐体を構成する不図示のフレームに回転自在に支持されている。
【0066】
円筒状の加熱ローラー34の内周側にヒーター部341が内挿されており、加熱ローラー34の軸方向(長手方向:図2における紙面奥手方向)のほぼ全範囲を加熱する第1ヒーター3411と、軸方向中央部を加熱する第2ヒーター3412とからなり、不図示の電源からの電力供給により発熱し、加熱ローラー34が加熱される。なお、本実施の形態では、第1ヒーター3411や第2ヒーター3412はハロゲンヒーターからなるが、他の熱源であっても構わない。
【0067】
支持パッド33は、本実施の形態では、樹脂製であって、加熱ローラー34の軸心と平行な長尺状であり、定着ベルト31の裏面に当接してこれを支持すると共に、加圧ローラー32との間で定着ベルト31を挟持してニップ部を形成する。
【0068】
支持パッド33の定着ベルト31との摺接面には、摩擦を低減するための表面処理および/または潤滑剤が塗布される。支持パッド33は、不図示の定着部30のフレームに固定支持されている。
【0069】
定着ベルト31の周回走行中にヒーター部341に通電されると、ヒーター部341から発せられた熱が加熱ローラー34から定着ベルト31に伝わり、定着ベルト31の周回走行によりニップ部Npに至る。
【0070】
これにより、定着ベルト31の熱が加圧ローラー32や支持パッド33に供給され、定着ベルト31と加圧ローラー32との接触領域であるニップ部Npの温度が上昇する。
【0071】
不図示の温度センサーにより、定着ベルト31における加熱ローラー34の外周面と接する部分の近傍位置に配され、定着ベルト31の表面温度を検出して、その検出結果に基づき、制御部100は、ヒーター部341に供給する電力をオンオフして、定着ベルト31が目標の温度になるように制御する。
【0072】
(2-2)アライメント調整機構
(2-2-1)定着ベルトの片寄り補正の原理
図12でも説明したように、加圧ローラーの弾性層をスポンジ状の弾性材料で形成すると、断熱性が向上する一方で、圧縮変形する際に定着ベルトに対して軸方向に移動させる力が発生し、定着ベルトの位置が軸方向に片寄る。
【0073】
図3(a)(b)は、図2の定着部30を右方向から見たときの概略図であり、加圧ローラー32の動作が分かりやすいように、そのスポンジ状の弾性層のローラー部分(以下、「スポンジローラー部」という。)を黒く塗り潰して示している。
【0074】
加圧ローラー32を定着ベルト31に圧接してニップ部を形成すると、当該ニップ部においてスポンジローラー部がセル構成の異方性により軸方向の一方の方向に向けて傾くようにして圧縮される(図12(b)参照)。
【0075】
このような定着ベルト31の片寄りを矯正するため、本実施の形態では、駆動ローラーである加圧ローラー32の回転軸321を傾斜させて、加圧ローラー32から定着ベルト31に付与する搬送力の傾きを、上記定着ベルト31の片寄りを補正する方向に傾けるようにアライメント調整している。
【0076】
加圧ローラー32のスポンジローラー部の圧縮変形により、定着ベルト31にX1方向に移動させる力が生じると、図3(b)に示すように加圧ローラー32の右側を少し上げて、支持パッド33の長手方向(水平方向)に対して傾斜させる(傾斜角θ)。
【0077】
これにより、ニップ部において加圧ローラー32が定着ベルト31に加える搬送力fが、定着ベルト31の回転走行方向に対してわずか左方向に傾くので、その軸方向の分力f2(=f×sinθ)が加圧ローラー32の移動方向X1と逆の方向に作用する。
【0078】
加圧ローラー32は、直接定着ベルト31に回転走行力を付与する駆動ローラーでもあるので、その搬送力fの軸方向の分力f2も、スポンジローラー部の圧縮変形により生じる定着ベルト31の片寄りを補正するのに十分あり、これにより定着ベルト31の片寄りが効果的に是正される。
【0079】
(2-2-2)アライメント調整機構の具体的な構成
図4は、定着ベルト31の片寄り補正のため、定着部30における加圧ローラー32の傾き量を制御するアライメント調整機構300の具体的な構成を示す斜視図である。なお、同図においては、他の定着ベルト31、支持パッド33、加熱ローラー34などの要素については、図示を省略している。
【0080】
このアライメント調整機構300は、加圧ローラー32を、傾動可能、かつ軸方向に移動可能に保持する軸受部310と、加圧ローラー32の軸方向の移動量を、定着ベルト31の片寄りが是正される方向に傾動させる傾動機構(変換機構)320とからなる。
【0081】
定着ベルト31に片寄りが生じていない初期の段階で、加圧ローラー32と加熱ローラー34は平行であり、加圧ローラー32加圧ローラー32の回転軸321の図4における左奥側の端部(第1端部321a)は、第1フレーム331に取着された球面滑り軸受332により、軸方向に移動可能に保持される。
【0082】
また、加圧ローラー32の回転軸321の右手前側の端部(第2端部321b)は、第2フレーム311のスライド部材313に取着された球面滑り軸受312により、軸方向に移動可能に保持されている。
【0083】
上記スライド部材313は、本実施の形態では、図7の側面図に示すように第2フレーム311に穿設された長穴314の横幅と同じ幅のスペーサー313cを前プレート313aと後プレート313bで挟んで、不図示のネジ等によりこれらを固定してなる。これによりスライド部材313が第2フレーム311の長穴314の長手方向(Z軸方向)にスライド可能に保持される。
【0084】
球面滑り軸受332、312は、保持した軸を一定範囲の角度で揺動可能とするため、加圧ローラー32は、軸受部310により、軸方向に移動可能であって、かつ、球面滑り軸受332で保持されている部分を中心にして、XZ平面に平行な平面内で傾動可能に保持されることになる。
【0085】
軸受部310の第1フレーム331、第2フレーム311は、不図示の付勢機構によって、定着ベルト31方向(本実施の形態ではY軸と平行な方向)に向けて力F1で付勢されており(図4)、これにより加圧ローラー32と定着ベルト31との間にニップ部が形成される。この加圧ローラー32を定着ベルト31に圧接するための付勢機構の構成は、特に本発明においては限定されず、公知の機構が用いられてよい。
【0086】
一方、傾動機構320は、定着ベルト31からの反力による加圧ローラー32を軸方向へ移動する力を、加圧ローラー32を傾動させる力(傾動力)に変換するものであって、本実施の形態では、加圧ローラー32の回転軸321の第2端部321bに取着されたテーパー歯車322と、モーターM2を駆動原とする駆動軸324に取着され、テーパー歯車322に噛合するテーパー歯車323とからなる駆動伝達部が、同時に傾動機構320として機能するように構成されている。
【0087】
図5(a)、(b)は、上記傾動機構320により、加圧ローラー32のアライメント調整が行われる動作を説明するための図である。
【0088】
図5(a)に示すように、加圧ローラー32を定着ベルト31に圧接してニップ部を形成すると、当該ニップ部においてスポンジローラー部がセル構成の異方性により軸方向に傾くようにして圧縮変形するので、本例では定着ベルト31が図の右方向(X1方向)に移動させようとする力が発生する。
【0089】
定着ベルト31は、加熱ローラー34と支持パッド33間で所定の張力で張架されており、また、支持パッド33表面との摩擦もあるため、加圧ローラー32による移動力に対し即座に移動するのではなく一定の抵抗をしつつ徐々にX1方向に移動する。
【0090】
その際、加圧ローラー32は、定着ベルト31から-X1方向に向けて反力(移動力)を受けるが、上述のように加圧ローラー32は、軸受部310により軸方向に移動可能に軸支されているので、加圧ローラー32自体が-X1方向に所定量移動する。
【0091】
すると、図5(b)に示すように、テーパー歯車322も加圧ローラー32と一体的に-X1方向に移動し、テーパー歯車322とテーパー歯車323間のテーパー作用により、それぞれ径のより大きい部分で噛合することになり、軸受部310により傾動可能に支持されている加圧ローラー32の回転軸321の右側端部がZ1方向に押し上げて回転軸321を傾動する力(傾動力)が生じ、加圧ローラー32全体がやや右肩上がりに傾斜する。
【0092】
これにより、図3(b)でも説明したように加圧ローラー32から定着ベルト31に対しニップ部で付与される搬送力fのベクトルがやや左向きに傾き、定着ベルト31を-X1方向に戻そうとする分力f2が発生し、加圧ローラー32のX1方向への片寄りが次第に是正されていく。
【0093】
この分力f2と、加圧ローラー32の弾性層32aのニップ部における弾性圧縮により定着ベルト31に与える移動力とが等しくなった時点で、定着ベルト31の軸方向の変位量と加圧ローラー32の傾動量が平衡状態となって安定するため、定着ベルト31にそれ以上の片寄りは生じない。また、回転軸321もそれ以上に移動しなくなる。この意味で、回転軸321の軸方向における移動が傾動機構320によって規制されているとも言える。
【0094】
図5(a)、(b)では、本開示の動作原理を説明するため、加圧ローラー32の傾動量をやや誇張して示したが、実際には、例えば、加圧ローラー32のローラー長さ400mmに対して、1~3mm程度だけ一方の端部を上下移動させる程度の傾きであるので、ニップ部におけるニップ圧やニップ幅が長手方向(回転軸321方向)に大きく変動することはなく、定着品質を劣化させることはない。
【0095】
なお、弾性層32aのセル構成の異方性の方向が、ロール状の弾性層32aの全周にわたって完全に同一とはいえず、ニップ部への突入時における圧縮変形により定着ベルト31に与える移動力は必ずしも均一とは言えないが、本構成によればそれに応じて加圧ローラー32の傾動量が変化して平衡状態が自律的に保たれる。
【0096】
図6は、加圧ローラー32の弾性層32aにおけるセル構成の異方性の主たる向きが、図5(a)の場合と逆方向である場合におけるアライメント調整機構における動作を示す。
【0097】
この場合、ニップ部における弾性層32aの圧縮変形により、定着ベルト31に対して、-X1方向に移動力が加えられ、その反力を受けて加圧ローラー32はX1方向に移動する。
【0098】
すると、テーパー歯車322とテーパー歯車323は、図6に示すようにテーパー作用によりそれぞれ小径部で噛合するようになり、回転軸321の右端部が下がるように加圧ローラー32が傾動する。これにより加圧ローラー32が定着ベルト31に与える搬送力fの方向も右方向に傾くため定着ベルト31をX1方向に引き戻す分力f2が作用し、やがて定着ベルト31に加えられる弾性層圧縮による-X1方向への移動力と加圧ローラー32の傾きにより生じるX1方向への復元力とが平衡状態となって定着ベルト31の走行状態が安定する。
【0099】
なお、上記の平衡状態が達成されると、回転軸321の軸方向移動が停止する筈であるが、回転軸321が過度に移動する場合もあり得るので、これを阻止するため、回転軸321の軸方向における移動量を規制する規制部材を設けることが望ましい。
【0100】
特に、上記のように加圧ローラー32の回転軸321の軸方向への移動力を、加圧ローラー32を傾動させる傾動力に変換してアライメント調整するとはいっても、回転軸321の移動によってテーパー歯車322とテーパー歯車323の良好な噛合状態が確保できなくなって十分な駆動力を伝達できなくなっては意味がないので、本実施の形態では、この観点から回転軸321の軸方向における移動量を規制する規制部材を配している。
【0101】
図7は、回転軸321の第2端部321b側における軸受部分の様子を示す概略側面図である。
【0102】
同図に示すように回転軸321には、スライド部材313に取着された球面滑り軸受312を挟んで、位置規制部材3211、3212が設けられており、回転軸321がX1、-X1のどちらの方向に移動しても、テーパー歯車322とテーパー歯車323が一定以上の噛合幅(両歯車の噛合している部分の歯幅)Wを確保できるように規制している。
【0103】
この幅Wの大きさは、テーパー歯車322、テーパー歯車323が破損することなく十分の耐久性をもって動力を伝達することができる大きさであることが望ましく、具体的には、加圧ローラー32の回転駆動に必要な回転トルクやギヤの歯の形状およびその材質などにより決定される。
【0104】
この位置規制部材3211、3212は、例えば、回転軸321に設けられたリング状の溝に嵌め込まれたEリングなどであってもよい。
【0105】
このような規制された回転軸321の移動範囲内で上記定着ベルト31の片寄りが是正できるように、テーパー歯車322、323の軸方向の長さ(幅)やテーパー角度などの仕様を実験などにより求めることができる。
【0106】
なお、万一、装置の設計上での理由やスペースの関係上、回転軸321の移動量を十分に確保できなく、加圧ローラー32の傾動量が十分でない場合であっても、少なくとも定着ベルト31の片寄りを是正する方向に力が作用する以上、従来のフランジのような定着ベルト31の片寄り規制部材に定着ベルト31の縁部が当接する力は大幅に軽減され、定着ベルト31の寿命を延ばすことができる。
【0107】
(3)第1の実施の形態の効果のまとめ
(ア)本実施の形態によれば、加圧ローラー自体を定着ベルトに搬送力を与える駆動ローラーとし、駆動ローラー自体をアライメント調整しているので、加圧ローラーの弾性層の圧縮変形による比較的大きな定着ベルトへの移動力に抗してその片寄りを是正するための大きな力を与えることができるので、非常に効果的である。
【0108】
(イ)また、定着ベルトからの反力による加圧ローラーの軸方向の移動力を加圧ローラーの傾動動作に変換することにより、自律的なアライメント調整を可能としているので、特許文献3のようにアライメント調整のため光電センサーや制御系、駆動モーターなどを要せず、大幅なコストダウンが望める。
【0109】
(ウ)さらに、駆動源から加圧ローラーの回転軸への動力伝達部にテーパー歯車を用いることにより、当該動力伝達部自体を傾動機構に兼用することができるので、構成が極めて簡易となり、さらなるコストダウンが可能となる。
【0110】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態に対して定着部30におけるアライメント調整機構300の構成のみが相違するので、以下では、この相違点を中心に説明する。
【0111】
(1)アライメント調整機構の構成
第2の実施の形態に係るアライメント調整機構300も、加圧ローラー32を傾動可能に保持する軸受部310と、加圧ローラー32の軸方向の移動量を、定着ベルト31の片寄りが是正される方向に傾動させる傾動機構320とからなるが、特に傾動機構320の構成が第1の実施の形態と異なる。
【0112】
図8(a)、(b)は、本実施の形態に係る定着部30における加圧ローラー32のアライメント調整機構300の具体的な構成を示す部分斜視図であり、図3と同じ符号のものは、第1の実施の形態と同じ構成要素であることを示しているので説明を省略する。
【0113】
なお、本図においても、定着ベルト31、支持パッド33、加熱ローラー34などは、図示が省略されている。
【0114】
図8(a)に示すように、本実施の形態では、駆動源の動力を回転軸321に伝える駆動伝達部として、カップリング330が用いられている。
【0115】
カップリング330は、加圧ローラー32の回転軸321の第2端部321bに取着され、正三角柱状の係合凹部327を有する第1カップリング部材326と、駆動源の駆動軸324に取着され上記係合凹部327に挿入される正三角錐台形状の第2カップリング部材328とからなる。
【0116】
図8(b)に示すように、第2カップリング部材328を第1カップリング部材326の係合凹部327内に挿入して係合させた状態で、駆動軸324を回転駆動させることにより、加圧ローラー32に駆動力が伝達される。
【0117】
加圧ローラー32の回転軸321は、軸受部310により第1の実施の形態と同様に軸方向(X方向)に移動可能で、かつ、XZ平面に平行な平面内で傾動可能に保持されるが、本実施の形態では、回転軸321の第2端部321b側を上方(Z方向:ニップ部における定着ベルトの走行方向下流側)に付勢するため圧縮バネ315が長穴314の底部分とスライド部材313との間に配設されている。なお、圧縮バネ315の代わりに板バネなどの他の付勢手段であっても構わないし、その配置場所も、第2端部321b側を上方に付勢するのであれば、長穴314以外の別の位置に配設されても構わない。
【0118】
図9(a)、(b)は、本実施の形態において、駆動伝達部であるカップリング330に傾動機構320の機能を果たす動作原理を説明するための模式図である。
【0119】
図9(a)に示すように、加圧ローラー32に傾きが生じていない状態において、加圧ローラー32の回転軸321と駆動軸324が平行な状態であり、駆動軸324の中心線の位置が、回転軸321の中心線の位置よりも距離dだけ-Z方向(定着ベルト31の走行方向上流側)にずれるように配置されているのが望ましい。
【0120】
この距離dの大きさは、想定される回転軸321の移動範囲内で、テーパー作用による傾動動作が円滑に行えるために、第2カップリング部材328の側面(テーパー面)が、第1カップリング部材326の係合凹部327の-Z方向側の端部と係合するのに必要な大きさであり、具体的には予め実験などにより決定される。
【0121】
図9(a)に示すように、加圧ローラー32を定着ベルト31に圧接してニップ部を形成すると、当該ニップ部においてスポンジローラー部がセル構成の異方性により軸方向に傾くようにして圧縮され、本例では定着ベルト31が図の右方向(X1方向)に移動する。
【0122】
その際、加圧ローラー32も、定着ベルト31から-X1方向に向けて反力を受けて-X1方向に移動するので、図9(b)に示すように、第1カップリング部材326の係合凹部327と、第2カップリング部材328との係合位置がずれる。
【0123】
第2カップリング部材328は正三角錐台形状であるため、その側面はテーパー状になっており、また、図8(a)に示すように回転軸321は第2フレーム311で圧縮バネ315により上方に力F2で付勢されているため、加圧ローラー32の-X1方向の移動により、図において加圧ローラー32の回転軸321がやや右肩上がりになるように傾動する。
【0124】
これにより加圧ローラー32から定着ベルト31に対しニップ部で付与される搬送力fのベクトルがやや左向きに傾き、定着ベルト31を-X1方向に戻そうとする分力f2が発生し、加圧ローラー32の片寄りが次第に是正されていく。
【0125】
この分力f2と、加圧ローラー32の弾性層32aのニップ部における弾性圧縮により定着ベルト31に与える移動力とが等しくなった時点で、定着ベルト31の軸方向における移動量と加圧ローラー32の傾動量が平衡状態となって安定するため、定着ベルト31にそれ以上の片寄りは生じない。
【0126】
図10は、加圧ローラー32の弾性層32aにおけるセル構成の異方性の向きが、図9(a)の場合と逆の場合におけるアライメント調整機構における動作を示す。
【0127】
この場合、ニップ部における弾性層32aの圧縮変形により、定着ベルト31に対して、-X1方向に移動力が加えられ、その反力として加圧ローラー32はX1方向に移動する。
【0128】
すると、第1カップリング部材326の係合凹部327は、テーパー作用により正三角円錐台形状の第2カップリング部材328の根元に近い部分(テーパー幅が広くなった部分)で係合するため、回転軸321の右端部がやや下がるように加圧ローラー32が傾動する。これにより加圧ローラー32が定着ベルト31に与える搬送力の方向も右方向に傾くため定着ベルト31をX1方向に引き戻す力が作用し、やがて定着ベルト31に加えられる-X1方向とX1方向の力が均衡し、平衡状態となって定着ベルト31の走行状態が安定する。
【0129】
なお、図9(a)(b)、図10においては、第2実施の形態における動作原理を説明するため、加圧ローラー32の傾動量をやや誇張して示したが、実際には、第1実施の形態と同様例えば、加圧ローラー32のローラー長さ400mmに対して、わずか1~3mm程度だけ一方の端部を上下移動させる程度の傾きであるので、ニップ部におけるニップ圧やニップ幅が長手方向(回転軸321方向)に大きく変動することはなく、定着品質を劣化させることはない。
【0130】
また、図9(a)(b)、図10では、回転軸321の軸方向の移動によりカップリング330の第1カップリング部材326の係合凹部327と、第2カップリング部材328との係合も、軸方向にずれに応じてテーパー作用により加圧ローラー32が傾動する様子を誇張して示しているため、係合凹部327の上部と第1カップリング部材326の係合凹部とは隙間があって接触していないように見えるが、実際には、圧縮バネ315の付勢力により、第2カップリング部材328の下方の部分と第1カップリング部材326との接触圧が一番大きいだけで、回転軸321が多少傾動しても第2カップリング部材328の他の面も第1カップリング部材326の係合凹部327に接触状態は維持されており、カップリング330による駆動力の伝達に支障が生じないことについて、本願発明者により検証されている。
【0131】
なお、カップリング330における、係合凹部327の形状と第2カップリング部材は正三角錐台のみならず、正4角錐台以上の正多角錐台であっても構わない。それに合わせて第1カップリング部材326の係合凹部327の形状も変更されるのはいうまでもない。
【0132】
また、第1カップリング部材326の係合凹部327を、開口部に向けて開く正三角錐台形状の凹部形状にして、第2カップリング部材328の方は、正三角柱形状にするようにしても、回転軸321の軸方向への移動量に応じて、回転軸321を傾動させることは可能である。また、第1カップリング部材326の係合凹部327と第2カップリング部材328の双方とも、正三角柱形状にしても構わない。
【0133】
要するに、第1カップリング部材326の係合凹部327と、第2カップリング部材328との少なくとも一方における係合面が、軸に対して角度をなすテーパー面を有しておれば、傾動機構として機能し得るものである。
【0134】
なお、本実施の形態においても、上記第1実施の形態における位置規制部材3211、3212(図7参照)と同様、回転軸321の軸方向の移動量を規制する規制部材を設けて、第1カップリング部材326と第2カップリング部材328が駆動力の伝達に必要な係合関係を維持できるようにするのが望ましい。
【0135】
(2)第2の実施の形態の効果のまとめ
本実施の形態によっても、加圧ローラー自体を定着ベルトに搬送力を与える駆動ローラーとし、駆動ローラー自体をアライメント調整しているので、弾性層の圧縮変形に起因する定着ベルトへの片寄りを是正するに十分な力を与えることができ効果的な定着ベルトの片寄りを矯正できる。
【0136】
また、加圧ローラーの軸方向の移動を利用して加圧ローラーを自律的なアライメント調整でき、光電センサーや制御系、駆動モーターなどを要しないため、大幅なコストダウンが望める。
【0137】
さらに、駆動源から加圧ローラーの回転軸への動力伝達部としてカップリングにテーパー作用を持たせる構成とすることにより、当該動力伝達部を傾動機構に兼用することができるので、構成が極めて簡易となり、さらなるコスト低減に資する。
【0138】
<変形例>
以上、本開示に係る実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
【0139】
(1)上記実施の形態に係る定着部30では、支持パッド33と加圧ローラー32により定着ベルト31を挟んでニップ部を形成した(以下、このように定着ベルト31を挟持してニップ部を形成する部材を「ニップ部形成部材」ともいう)。
【0140】
しかし、ニップ部形成部材として、支持パッド33の代わりに図11(a)に示すように、支持ローラー35を支持体として使用するようにしても構わない。この場合には、支持ローラー35が定着ベルト31を介して加圧ローラー32に従動回転するので、支持ローラー35と定着ベルト31との間に摩耗の問題がほとんど生じない。ただし、支持ローラー35の材料としてできるだけ断熱性に優れた材料が使用されるのが望ましいのはいうまでもない。
【0141】
また、場合によっては、図11(b)に示すように、支持ローラー36の方にスポンジ状の弾性層36aを設けるようにして、加圧ローラー37には、従来のソリッド型の弾性層などを形成して、駆動するようにしてもよい。
【0142】
但し、この場合には、支持ローラー36のスポンジ状弾性層36aの圧縮変形による定着ベルト31の片寄り方向と、加圧ローラー37の軸方向の移動方向は同じになると解されるので、傾動機構320による回転軸321の傾動方向が、上記実施の形態の場合とは逆になるようにテーパーの傾きを変更するか、傾動機構320を第1端部321a側に設けるなどの変更が必要となる。
【0143】
さらに、加圧ローラー32と支持ローラー(支持体)36の双方にスポンジ状の弾性層を設ける構成を採ることも可能である。加圧ローラー32の弾性層と支持ローラー36の弾性層のそれぞれの圧縮変形により定着ベルト31に与える移動力が逆方向となる場合には、そのうち大きな移動力の方向に定着ベルト31の片寄りが生じるので、これを補正するように回転軸321を傾動させるように傾動機構320が設定される。
【0144】
(2)上記実施の形態では、加圧ローラー32の傾動方向を支持パッド33の定着ベルト31との支持面33aが含まれる面(図XZ平面)と平行な平面内で傾動可能なように構成した。
【0145】
これにより駆動ローラーである加圧ローラー32が傾動した状態でも、定着ベルト31とのニップ圧を維持したまま、駆動ローラーである加圧ローラー32により効果的に定着ベルト31の片寄りを補正する力(分力f2)を定着ベルト31に与えることができる。
【0146】
しかしながら、傾動機構320による加圧ローラー32の傾動方向は、これに限らず、支持パッド33の長手方向(X軸方向)と平行で、かつ、加圧ローラー32と定着ベルト31との間で形成されたニップ部の一部でも含む平面と平行な平面内で加圧ローラー32を傾動可能にしておけば、定着ベルト31の片寄りを矯正する力を定着ベルト31に付与することが可能である。
【0147】
また、支持パッド33の長手方向に平行で、かつ、軸方向から見て加圧ローラー32を定着ベルト31に向けて付勢する力F1(図4)に直交する平面と平行な平面内で加圧ローラー32が傾動するようにしてもよい。圧接力F1を垂直に受けた部分の弾性層32aの圧縮変形が一番大きくそのニップ圧も大きいので、上記平面内で加圧ローラー32を傾動させてアライメント調整することにより、得られる片寄り補正の効果も大きいと考えられる。
【0148】
さらには、定着精度にそれほど影響を与えない範囲内のニップ圧をニップ部の長手方向において確保できるのであれば、長手方向と平行でない方向(例えば、図3におけるY軸方向)に傾動するような構成も考えることができる。この場合、軸方向においてニップ圧の大きい方からニップ圧の低い部分に向けて定着ベルト31に移動力が作用し、その反力を受けて回転軸321が移動するので、その移動量を定着ベルト31の片寄りを是正するように傾動機構320におけるテーパーの向きが設定される。
【0149】
このような場合によっても、定着ベルト31に対してその片寄りを抑制する力を与えることができる。
【0150】
(3)上記第1の実施の形態では、駆動軸324のテーパー歯車323を、加圧ローラー32の回転軸321に取着されたテーパー歯車322よりもニップ部における定着ベルト31の走行方向の上流側(図5(a)参照)に配したが、テーパー歯車322とテーパー歯車323のテーパーの向きが逆の場合には、テーパー歯車323は、テーパー歯車322よりも定着ベルト31の走行方向の下流側に配置される。
【0151】
なお、後者の場合には、回転軸321の右側端部(テーパー歯車322が取着されている側)をテーパー歯車323に向けて付勢するためばねなどの付勢手段を配するのが望ましい。自重により加圧ローラー32の右側端部が下方に降下して、テーパー歯車322がテーパー歯車323から離間して、両歯車間に良好な噛合状態が維持されず、動力伝達および傾動動作を円滑に実行できないからである。
【0152】
もっとも、第1の実施の形態の場合であっても、回転軸321の右端部を下方に付勢して、テーパー歯車322とテーパー歯車323の噛合状態をさらに良好なものとするようにしてもよい。
【0153】
この変形例(3)をまとめると、「駆動ローラー(加圧ローラー32)の軸(回軸321)を、その傾動面内において、第2の歯車(テーパー歯車322)と第1の歯車(テーパー歯車323)との噛合が確保されるように付勢する付勢手段を備える」と表現することができる。
【0154】
(4)上記実施の形態では、軸受部310において加圧ローラー32の回転軸321を球面滑り軸受332、球面滑り軸受312を用いて、加圧ローラー32を軸方向に移動可能かつ傾動可能に保持したが、このように回転軸を揺動可能に軸支する軸受(揺動ベアリング)として、他にピボット軸受などを採用することができる。
【0155】
また、傾動角度がそれほど大きくない場合には、通常の例えばボール軸受けが有する「遊び」により回転軸321の傾動動作を許容できるような場合もあり、また、第1フレーム331と第2フレーム311を一体として傾動させることも不可能ではないので、回転軸321を傾動可能に保持するために揺動ベアリングを使用することは必ずしも必須ではない。
【0156】
(5)上記第1の実施の形態では、駆動伝達部としてテーパー歯車323(第1の歯車)、テーパー歯車322(第2の歯車)を使用することにより、傾動機構320を構成したが、どちらか一方の歯車のみがテーパー歯車であれば、傾動機構320としての機能を果たすことができる。
【0157】
(6)上記第2実施の形態のようにカップリング330を用いた構成において、第2カップリング部材328を加圧ローラー32の回転軸321に取着し、係合凹部327を有する第1カップリング部材326を駆動軸324側に取着するようにしても構わない。
【0158】
(7)上記実施の形態における定着部30では、ハロゲンヒーターを内蔵した加熱ローラー34を加熱源として用いたが、これに限らず電磁誘導により定着ベルト31を加熱する構成であってもよいし、定着ベルト31に直接通電して抵抗発熱させる構成の定着装置であってもよい。
【0159】
<補足>
以上、本発明に係る定着装置および画像形成装置について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本開示は、定着ベルトを用いてシートに形成された未定着トナー像を熱定着する定着装置を有する画像形成装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0161】
1 プリンター
30 定着部
31 定着ベルト
32 加圧ローラー
33 支持パッド
34 加熱ローラー
300 アライメント調整機構
310 軸受部
312、332 球面滑り軸受
313 スライド部材
314 長穴
320 傾動機構(変換機構)
321 回転軸
322、323 テーパー歯車
324 駆動軸
330 カップリング
326 第1カップリング部材
328 第2カップリング部材
3211、3212 位置規制部材
Np ニップ部
図1
図2
図3
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