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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175192
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】超音波診断装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081407
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 隆文
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB06
4C601EE10
4C601EE11
4C601KK38
4C601KK43
4C601KK44
4C601KK45
4C601LL38
(57)【要約】
【課題】ディスプレイのピボット回転の前後の表示情報と操作手段の操作との不整合を解消することである。
【解決手段】超音波診断装置100は、ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するためのディスプレイとしての表示本体部171と、操作者による操作を受け付け、入力信号を出力する操作手段としての操作入力部11と、入力信号に基づき、超音波診断装置100の制御を行う制御手段と、表示本体部171の回転状態を検出する検出手段と、を有する。制御手段は、検出手段の検出結果に応じて、操作入力部11への電力供給を遮断すること及び操作入力部11による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置であって、
ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するためのディスプレイと、
操作者による操作を受け付け、入力信号を出力する操作手段と、
前記入力信号に基づき、前記超音波診断装置の制御を行う制御手段と、
前記ディスプレイの回転状態を検出する検出手段と、を有し、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に応じて、前記操作手段への電力供給を遮断すること及び前記操作手段による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記ディスプレイは、短辺と、前記短辺と隣接する長辺と、を有する表示面を有し、
前記検出手段は、前記長辺が略縦方向になったことを検出し、
前記制御手段は、前記検出された長辺が略縦方向になったことに応じて、前記操作手段への電力供給を遮断すること及び前記操作手段による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行する特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記操作手段は、前記ディスプレイが、前記短辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと少なくとも一部が重なり、前記ディスプレイが、前記長辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと重ならないことを特徴とする請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するためのディスプレイと、
操作者による操作を受け付ける操作手段と、を有し、
前記ディスプレイは、短辺と、前記短辺と隣接する長辺と、を有する表示面を有し、
前記操作手段は、前記ディスプレイが、前記短辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと少なくとも一部が重なり、前記ディスプレイが、前記長辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと重ならないことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、操作者からのタッチ入力を受け付けるタッチ操作手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
超音波診断装置のコンピューターを、
操作者による操作を受け付け、入力信号を出力する操作手段から出力された入力信号に基づき、前記超音波診断装置の制御を行う制御手段、として機能させ、
前記制御手段は、ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するためのディスプレイの回転状態を検出する検出手段の検出結果に応じて、前記操作手段への電力供給を遮断すること及び前記操作手段による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を被検体内部に照射し、その反射波を受信して解析することにより被検体内部の検査を行う超音波診断装置が普及している。超音波診断装置は、被検体を非破壊、非侵襲で調べることができるので、医療目的の検査や建築構造物内部の検査、種々の用途に広く用いられている。
【0003】
超音波診断装置の表示部として、横の辺の長さと縦の辺の長さとが異なる(長辺と短辺とがある、縦横比(アスペクト比)が1:1でない)矩形の表示面を有するディスプレイ(表示本体部、表示パネル、モニター)を備え、当該ディスプレイの表示面に垂直な回転軸を中心に当該表示本体部を回転(ピボット回転)可能なものが知られている。
【0004】
また、ディスプレイがピボット回転可能な装置として、ピボット回転可能なディスプレイ(ディスプレイ部)を備え、ピボット回転の遷移に応じて、外部の情報端末から受信した画像を異なる態様でディスプレイに分割表示し、外部の情報端末から操作可能なディスプレイ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、タッチパネル及びディスプレイ(表示部)を備え、タッチパネルに対して、操作対象領域以外の被操作対象領域の操作を無効に設定する入力装置が知られている(特許文献2参照)。
【0006】
また、ピボット回転可能なディスプレイ及び角度センサーを備え、ディスプレイの検出されたピボット回転の角度に応じて、横長画面と縦長画面とを自動的に切り替えるディスプレイ装置が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-153049号公報
【特許文献2】特開2015-222455号公報
【特許文献3】特開2001-75546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
超音波診断装置は、トラックボール、タッチパッドなどのポインティングデバイスを有する操作手段(操作卓)を備える。このため、ピボット回転可能なディスプレイを備える超音波診断装置において、ディスプレイの長辺を横向き(水平方向)にした横向きの状態から、ディスプレイの長辺を縦向き(垂直方向)にした縦向きの状態へピボット回転すると、ディスプレイの表示情報と操作手段の操作との整合がとれない。例えば、操作者がディスプレイの横向きの状態で操作手段を介して横方向へポインターを移動する操作と同じ操作を、ディスプレイのピボット回転後の縦向きの状態で行うと、画面上のポインターの見かけの移動方向が縦方向になり、ポインターの見かけの移動方向が回転前後で異なる。特許文献1~3に記載の装置では、ディスプレイのピボット回転の前後の表示情報と操作手段の操作との不整合を解消できない。
【0009】
本発明の課題は、ディスプレイのピボット回転の前後の表示情報と操作手段の操作との不整合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
超音波診断装置であって、
ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するためのディスプレイと、
操作者による操作を受け付け、入力信号を出力する操作手段と、
前記入力信号に基づき、前記超音波診断装置の制御を行う制御手段と、
前記ディスプレイの回転状態を検出する検出手段と、を有し、
前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に応じて、前記操作手段への電力供給を遮断すること及び前記操作手段による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記ディスプレイは、短辺と、前記短辺と隣接する長辺と、を有する表示面を有し、
前記検出手段は、前記長辺が略縦方向になったことを検出し、
前記制御手段は、前記検出された長辺が略縦方向になったことに応じて、前記操作手段への電力供給を遮断すること及び前記操作手段による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行する特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記操作手段は、前記ディスプレイが、前記短辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと少なくとも一部が重なり、前記ディスプレイが、前記長辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと重ならないことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明の超音波診断装置は、
ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するためのディスプレイと、
操作者による操作を受け付ける操作手段と、を有し、
前記ディスプレイは、短辺と、前記短辺と隣接する長辺と、を有する表示面を有し、
前記操作手段は、前記ディスプレイが、前記短辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと少なくとも一部が重なり、前記ディスプレイが、前記長辺が横方向となる角度にある回転状態において、前記ディスプレイの表示面と垂直の方向に前記ディスプレイと重ならないことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波診断装置において、
前記ディスプレイは、操作者からのタッチ入力を受け付けるタッチ操作手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明のプログラムは、
超音波診断装置のコンピューターを、
操作者による操作を受け付け、入力信号を出力する操作手段から出力された入力信号に基づき、前記超音波診断装置の制御を行う制御手段、として機能させ、
前記制御手段は、ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するためのディスプレイの回転状態を検出する検出手段の検出結果に応じて、前記操作手段への電力供給を遮断すること及び前記操作手段による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ディスプレイのピボット回転の前後の表示情報と操作手段の操作との不整合を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は、本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置の外観の斜視図である。(b)は、第1の実施の形態の超音波診断装置の外観の側面図である。
図2】第1の実施の形態の超音波診断装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】操作受付処理を示すフローチャートである。
図4】(a)は、第2の実施の形態の超音波診断装置の外観の斜視図である。(b)は、第2の実施の形態の超音波診断装置の外観の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して本発明に係る第1、第2の実施の形態を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1(a)~図3を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。まず、図1(a)~図2を参照して、本実施の形態の装置構成を説明する。図1(a)は、本実施の形態の超音波診断装置100の外観の斜視図である。図1(b)は、超音波診断装置100の外観の側面図である。図2は、超音波診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
図1(a)に示すように、本実施の形態の超音波診断装置100は、病院などの医療施設の診察室などに設置され、医師、技師などの操作者に操作される超音波診断装置である。図1(a)~図2に示すように、超音波診断装置100は、超音波診断装置本体1と、超音波探触子2と、を備える。超音波探触子2は、患者の生体などの被検体内に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体内で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。超音波診断装置本体1は、超音波探触子2と接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して送信超音波を送信させるとともに、超音波探触子2にて受信した被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像データとして画像化する。
【0021】
ここで、図1(a)、図1(b)に示すように、x軸、y軸、z軸をとるものとする。超音波診断装置本体1は、筐体1a上に、操作手段としての操作入力部11、表示部17を有する。
【0022】
操作入力部11は、例えば、筐体1aの前面(+x側)に設けられている。操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンド、被検体の個人情報などのデータ、超音波画像データなどを表示部17に表示するための各種画像パラメーターの入力を受け付けるための操作要素を有し、医師、技師などの操作者からの当該操作要素への操作入力を受け付ける。操作要素は、例えば、押しボタン、エンコーダー(回転つまみ)、レバースイッチ、キーボードや、ジョイスティック、トラックボール、タッチパッドなどのポインティングデバイスや、それらを組み合わせたマルチファンクションスイッチであるものとする。
【0023】
表示部17は、筐体1aの天面(+z側)に立設されている。表示部17は、ディスプレイとしての表示本体部171と、支持部172と、を有する。表示本体部171は、超音波画像などの各種表示情報を表示するとともに、操作者からのタッチ入力を受け付ける表示面を有する表示部17の本体部である。
【0024】
表示本体部171は、表示パネル17aと、タッチパネル17bと、を備える。表示パネル17aは、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイ及びプラズマディスプレイなどで構成され、長方形(横の辺の長さと縦の辺の長さとが異なる、縦横比が1:1でない)の表示面(表示画面)を有するパネル形状でかつ当該表示面に垂直な回転軸を中心としたピボット回転が可能な表示体である。表示パネル17aの表示面は、長辺としての辺e1と、辺e1に隣り合い(隣接し)辺e1よりも短い長さの短辺としての辺e2と、を有する。表示パネル17aの表示面の縦横比(アスペクト比)は、例えば、横の辺e1の長さ(幅):縦の辺e2の長さ(高さ)が16:9であるものとするが、これに限定されるものではない。
【0025】
タッチパネル17bは、表示パネル17aの表示面上に一体的に設けられた抵抗膜圧式などのタッチパネルである。タッチパネル17bは、抵抗膜圧式に限定されるものではなく、静電容量方式など、種々の方式の中から適宜選択して使用すればよい。
【0026】
支持部172は、筐体1aに接続されたアームで構成され、表示本体部171を所定の範囲で移動自在に支持し、かつ表示本体部171をその回転軸を中心としてピボット回転可能に支持する。図1(b)において、垂直方向(z軸方向)と表示本体部171の延在方向との間の角度をチルト角φとする。
【0027】
図1(a)の矢印に示すように、実線の表示本体部171の状態から回転軸を中心として二点鎖線の表示本体部171の状態へ時計回りに±90°ピボット回転される。図1(a)、図1(b)に示すように、実線の表示本体部171の状態(回転位置)を、ピボット回転の基準の位置の状態としての表示本体部171が横方向(長辺が水平方向(y軸方向)、横向き)の状態ST1とし、二点鎖線の表示本体部171の位置の状態を、縦方向(長辺が垂直方向(z軸方向)、略縦向き)の状態ST2とする。また、表示本体部171の状態ST2から状態ST1への回転軸を中心とする逆回転方向のピボット回転も可能である。
【0028】
以下、表示本体部171の回転軸を中心とするピボット回転において、時計回りの回転角度を+で表し、反時計回りの回転角度を-で表すものとする。
【0029】
ここでは、ピボット回転の回転軸が、表示本体部171の表示面の中心点に配置されているものとする。すると、表示本体部171の状態ST1から、回転軸を中心とする+90°又は-90°のピボット回転により、表示本体部171の状態ST2に遷移する。本実施の形態では、状態ST2において、表示本体部171により操作入力部11の操作面が隠れるか否かは問わないものとする。
【0030】
図2に示すように、超音波探触子2は、超音波探触子本体2Aと、ケーブル2Bと、コネクター2Cと、を有する。超音波探触子本体2Aは、超音波を送受信する超音波探触子2のヘッダ部である。ケーブル2Bは、超音波探触子本体2A及びコネクター2Cの間に接続され、超音波探触子本体2A用の駆動信号及び超音波の受信信号が流れるケーブルである。コネクター2Cは、超音波診断装置本体1のレセプタクルのコネクター(図示略)に接続するためのプラグのコネクターである。
【0031】
超音波探触子本体2Aは、振動子2a、送信超音波を焦点に向けて集束させる音響レンズ(図示略)などを備えており、この振動子2aは、例えば、方位方向に一次元アレイ状に複数(例えば、192個)配列されている。なお、振動子2aは、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子2aの個数は、任意に設定することができる。また、超音波探触子本体2Aは、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。超音波診断装置本体1と超音波探触子2(超音波探触子本体2A)との通信は、ケーブル2Bを介する有線通信に代えて、UWB(Ultra Wide Band)などの無線通信により行うこととしてもよい。
【0032】
超音波探触子本体2Aは、超音波診断装置本体1から入力された駆動信号に応じて振動子2aから超音波を被検体に送信し、当該被検体からの反射超音波を振動子2aにより受信し受信信号を生成して超音波診断装置本体1に出力する。
【0033】
ついで、図2を参照して、超音波診断装置100の機能構成を説明する。図2に示すように、超音波診断装置本体1は、例えば、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、画像処理部15と、表示制御部16と、表示部17と、制御手段としての制御部18と、検出手段としての検出部19と、記憶部20と、電源部21と、電源スイッチ22と、を備える。
【0034】
操作入力部11は、操作者からの各操作要素への各種操作入力を受け付け、その操作情報(入力信号)を制御部18に出力する。
【0035】
送信部12は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2に電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。また、送信部12は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備える。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させ、送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。上述のように構成された送信部12は、例えば、超音波探触子2に配列された複数(例えば、192個)の振動子2aのうちの連続する一部(例えば、64個)を駆動して送信超音波を発生させる。そして、送信部12は、送信超音波を発生させる毎に駆動する振動子2aを方位方向(走査方向)にずらすことで走査(スキャン)を行う。
【0036】
受信部13は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2から電気信号である受信信号を受信して音線データを生成する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、振動子2a毎に対応した個別経路毎に、予め設定された増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をアナログ-デジタル変換(A/D変換)するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
【0037】
画像生成部14は、制御部18の制御に従って、受信部13からの音線データに対して包絡線検波処理や対数圧縮などを実施し、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することにより、受信エネルギーとしての輝度値を有する画素からなるB(Brightness)モード画像データを生成することができる。すなわち、Bモード画像データは、受信信号の強さを輝度によって表したものである。画像生成部14は、画像モードがBモードの超音波画像データとしてのBモード画像データの他、A(Amplitude)モード、M(Motion)モード、ドプラ法による画像モード(カラードプラモードなど)など、他の画像モードの超音波画像データが生成できるものであってもよい。
【0038】
画像処理部15は、制御部18の制御に従って、設定中の各種画像パラメーターに応じて、画像生成部14から出力されたBモード画像データに画像処理を施す。また、画像処理部15は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成された画像メモリー部15aを備える。画像処理部15は、制御部18の制御に従って、画像処理を施したBモード画像データをフレーム単位で画像メモリー部15aに記憶する。フレーム単位での画像データを超音波画像データあるいはフレーム画像データということがある。画像処理部15は、制御部18の制御に従って、上述したようにして生成された画像データを順に表示制御部16に出力する。
【0039】
表示制御部16は、制御部18の制御に従って、画像処理部15より受信した画像データを表示用の画像信号に変換し、表示部17(表示本体部171)に出力する。
【0040】
表示部17は、画面を表示しタッチ入力を受け付けるピボット回転の回転体としての表示本体部171と、表示本体部171を支持する支持部172と、を有する。表示本体部171は、表示パネル17aと、タッチ操作手段としてのタッチパネル17bと、を備える。表示本体部171は、制御部18の制御に従い、表示制御部16から出力された画像信号に対応する超音波画像などの各種表示情報を表示パネル17aの表示面上に表示する。
【0041】
タッチパネル17bは、操作者からの表示面上のタッチ入力を受け付け、その表示面上の二次元座標情報を含むタッチ操作情報(入力信号)を制御部18に出力する。
【0042】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備え、ROMに記憶されているシステムプログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、CPUと展開したプログラムとの協働で超音波診断装置100の各部の動作を制御する。ROMは、半導体などの不揮発メモリーなどにより構成され、超音波診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブルなどの各種データなどを記憶する。これらのプログラムは、コンピューターが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。制御部18のROMには、後述する操作入力部設定処理を実行するための操作入力部設定プログラムが記憶されているものとする。
【0043】
検出部19は、表示本体部171(表示パネル17a)のピボット回転の回転角度(例えば、表示本体部171の基準の回転状態から回転軸を中心として時計回りに回転した角度)を検出する検出部であり、例えば、角速度センサー、加速度センサーなどのセンサー、スイッチ、カメラ部などで構成されている。検出部19は、表示本体部171のピボット回転の回転角度を検出し、その検出情報を制御部18に出力する。
【0044】
記憶部20は、超音波画像データなどの情報を書き込み及び読み出し可能に記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの記憶部である。
【0045】
電源部21は、外部の商用電源又は内部の電池部(何れも図示略)から供給される電源電力を超音波診断装置本体1の各部へ供給するDC(Direct Current)/DCコンバーターなどの電源部である。特に、図2では、電源部21と操作入力部11との間の電源線を図示している。
【0046】
電源スイッチ22は、電源部21から操作入力部11への電源線上に設けられた電気式のスイッチであり、制御部18の制御に従い、電源線の導通/遮断により、電源部21から操作入力部11への電源電力の供給/遮断を切り替える。
【0047】
超音波診断装置100が備える各部について、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能は、集積回路などのハードウェア回路として実現することができる。集積回路とは、例えばLSI(Large Scale Integration)であり、LSIは集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサーで実現してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。また、各々の機能ブロックの一部又は全部の機能をソフトウェアにより実行するようにしてもよい。この場合、このソフトウェアは一つ又はそれ以上のROMなどの記憶媒体、光ディスク、又はハードディスクなどに記憶されており、このソフトウェアが演算処理器により実行される。
【0048】
つぎに、図3を参照して、超音波診断装置100の動作を説明する。図3は、操作受付処理を示すフローチャートである。
【0049】
超音波診断装置100は、電源オンにより起動されて、被検体への超音波の送受信により、超音波画像データを生成して表示部17(表示パネル17a)に超音波画像として表示する超音波画像表示処理を実行する。ここで、超音波診断装置100において、超音波画像表示処理と並行して実行される操作入力部設定処理を説明する。
【0050】
超音波診断装置100において、例えば、電源オンされたことをトリガーとして、制御部18は、ROMに記憶された操作入力部設定プログラムに従い、操作入力部設定処理を実行する。
【0051】
図3に示すように、まず、制御部18は、表示本体部171の回転軸を中心とするピボット回転の回転角度(状態ST1を基準としたピボット回転の回転角度)を検出部19から取得する(ステップS11)。
【0052】
そして、制御部18は、ステップS11で取得された回転角度が0°であるか否かを判別する(ステップS12)。回転角度が0°である場合(ステップS12;YES)、状態ST1であり、制御部18は、操作入力部11の操作入力の受付を有効にする設定を行い(ステップS13)、ステップS11に移行する。ステップS13において、例えば、操作入力部11を介して、操作者からのポインターの移動の操作入力を受け付けた場合に、表示本体部171(表示パネル17a)に表示されたポインターの見かけの移動方向と、操作入力部11の当該操作入力のポインターの移動方向とは一致する。
【0053】
回転角度が0°でない場合(ステップS12;NO)、制御部18は、ステップS11で取得された回転角度が±90°であるか否かを判別する(ステップS14)。回転角度が±90°である場合(ステップS14;YES)、状態ST2であり、制御部18は、電源スイッチ22の電源電力の導通の遮断と、操作入力部11の入力信号に基づく制御の無効の設定と、の少なくとも一方により、操作入力部11の操作入力の受付を無効に設定し(ステップS15)、ステップS11に移行する。回転角度が±90°でない場合(ステップS14;NO)、ステップS11に移行される。
【0054】
ステップS15において、例えば、仮に、操作入力部11を介して、操作者からのポインターの移動の操作入力を受け付けた場合に、表示本体部171(表示パネル17a)に表示されたポインターの見かけの移動方向と、操作入力部11の当該操作入力のポインターの移動方向とは一致しなく、表示本体部171のピボット回転の前後の表示情報と操作入力部11の操作との不整合が発生する。このため、操作入力部11の操作入力の受付を無効に設定することで、操作入力としては、タッチパネル17bを介する操作入力の受付のみが有効にされる。なお、操作入力部11の必要な操作入力に対応する操作入力をタッチ入力により受け付け可能とするように、操作入力部11の操作入力が、表示本体部171に表示されるタッチパネル17bのタッチ入力用の表示情報に追加、集約されているものとする。ステップS15の状態ST2において、操作者は、タッチパネル17bを介して、全ての操作入力を行う。
【0055】
以上、本実施の形態によれば、超音波診断装置100は、ピボット回転可能であり、超音波画像を表示するための表示本体部171と、操作者による操作を受け付け、入力信号を出力する操作入力部11と、入力信号に基づき、超音波診断装置100の制御を行う制御部18と、表示本体部171の回転状態を検出する検出部19と、を有する。制御部18は、検出部19の検出結果に応じて、操作入力部11への電力供給を遮断すること及び操作入力部11による入力信号(操作情報)に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行する。
【0056】
具体的には、表示本体部171は、短辺としての辺e2と、辺e2と隣接する長辺としての辺e1と、を有する表示面を有する。検出部19は、辺e1が略縦方向(ピボット回転の回転角度が基準としての状態ST1から±90°)になったことを検出する。制御部18は、検出された辺e1が略縦方向になったことに応じて、操作入力部11への電力供給を遮断すること及び操作入力部11による入力信号に基づく制御を無効にすることの少なくとも一方を実行する。
【0057】
このため、表示本体部171が状態ST1から状態ST2へピボット回転した場合に操作入力部11への操作が無効になるので、表示本体部171のピボット回転の前後の表示情報と操作入力部11の操作との不整合を解消でき、超音波診断装置100の誤操作を防止できる。
【0058】
また、表示本体部171は、操作者からの表示パネル17aの表示面へのタッチ入力を受け付けるタッチパネル17bを備える。このため、操作入力部11への操作が無効にされた場合にも、操作者がタッチパネル17bにより操作入力を継続できる。
【0059】
(第2の実施の形態)
図4(a)、図4(b)を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図4(a)は、本実施の形態の超音波診断装置100Aの外観の斜視図である。図4(b)は、超音波診断装置100Aの外観の側面図である。
【0060】
上記第1の実施の形態では、表示本体部171が略縦方向の状態ST2の場合に、操作入力部11の操作入力の受付を無効に設定する制御処理を行うが、本実施の形態では、制御処理をすることなく操作入力部11の操作入力の受付を無効にする。
【0061】
本実施の形態の装置構成は、図4(a)、図4(b)に示すように、超音波診断装置100Aを用いる。超音波診断装置100Aにおいて、第1の実施の形態の超音波診断装置100と同様の部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
超音波診断装置100Aは、超音波診断装置本体1Aと、超音波探触子2と、を備える。超音波診断装置本体1Aは、第1の実施の形態の超音波診断装置本体1のうち、操作入力部11を、操作手段としての操作入力部11Aに代え、表示部17を表示部17Aに代え、検出部19を削除した構成を有する。また、制御部18のROMには、操作入力部設定プログラムが記憶されていないものとする。
【0063】
表示部17Aは、表示本体部171と、支持部172Aと、を有する。支持部172Aは、筐体1aに接続されたアームで構成され、表示本体部171を所定の移動範囲で移動自在に支持し、かつ表示本体部171をその回転軸を中心としてピボット回転可能で、表示本体部171の略縦方向(表示本体部171の長辺としての辺e1がz軸方向からチルト角φ傾いた方向に延在、表示本体部171の短辺としての辺e2が横方向(y軸方向)に延在、ピボット回転の回転角度が±90°)の状態で表示本体部171が操作入力部11を隠すように支持する。このように、超音波診断装置100Aの表示本体部171の略縦方向の状態を状態ST2Aとする。
【0064】
超音波診断装置100Aの表示本体部171の横方向(表示本体部171の長辺としての辺e1がy軸方向に延在、表示本体部171の短辺としての辺e2がz軸方向からチルト角φ傾いた方向に延在、ピボット回転の回転角度が0°)の状態は、第1の実施の形態の超音波診断装置100の表示本体部171の横方向の状態ST1と同様である。
【0065】
操作入力部11Aは、上記第1の実施の形態の操作入力部11と同様であり、かつ状態ST2Aにおいて、表示本体部171の表示面の垂直の方向に、表示本体部171と操作面の全面が重なるように配置され、状態ST1において、表示本体部171の表示面の垂直の方向に、表示本体部171と操作面が重ならないように配置されている。なお、操作面は、状態ST2Aにおいて、表示本体部171の表示面の垂直の方向に、表示本体部171と操作面の少なくとも一部が重なるように配置される構成としてもよい。
【0066】
超音波診断装置100Aの表示本体部171の縦向きの状態ST2Aにおいて、表示本体部171(の表示面)により操作入力部11Aの操作面の全面が操作者の視線から隠れているため、操作者が操作入力部11を介して操作入力をすることができない。ただし、操作入力部11Aは、システムとして、操作入力の受付は有効に稼働してもよい。このため、操作入力部11Aが隠れていることで、操作入力としては、タッチパネル17bを介する操作入力のみが受け付けられる。操作者は、タッチパネル17bを介して、全ての操作入力を行う。
【0067】
以上、本実施の形態によれば、操作入力部11Aは、表示本体部171が、辺e2が横方向となる回転角度にある回転状態(状態ST2A)において、表示本体部171の表示面と垂直の方向に表示本体部171と操作面の全面が重なり、表示本体部171が、辺e1が横方向となる回転角度にある回転状態(状態ST1)において、表示本体部171の表示面と垂直の方向に表示本体部171と重ならない。このため、表示本体部171が状態ST1から状態ST2Aへピボット回転した場合に操作入力部11Aへの操作が無効になるので、表示本体部171のピボット回転の前後の表示情報と操作入力部11Aの操作との不整合を解消できる。
【0068】
以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリーなどの不揮発性メモリー、CD-ROMなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0069】
なお、上記実施の形態における記述は、本発明に係る好適な超音波診断装置及びプログラムの一例であり、これに限定されるものではない。例えば、第1の実施の形態、第2の実施の形態を適宜組み合わせる構成としてもよい。また、第1の実施の形態、第2の実施の形態の表示部、制御部、検出部などの構成を、超音波画像などの医用画像を表示する医用画像表示装置や、表示装置に適用する構成としてもよい。
【0070】
また、以上の実施の形態における超音波診断装置100,100Aを構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
100,100A 超音波診断装置
1,1A 超音波診断装置本体
1a 筐体
11,11A 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 画像生成部
15 画像処理部
15a 画像メモリー部
16 表示制御部
17,17A 表示部
171 表示本体部
17a 表示パネル
17b タッチパネル
172,172A 支持部
18 制御部
19 検出部
20 記憶部
21 電源部
22 電源スイッチ
2 超音波探触子
2A 超音波探触子本体
2a 振動子
2B ケーブル
2C コネクター
図1
図2
図3
図4