(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175193
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】超音波プローブの落下防止物品
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081410
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000189486
【氏名又は名称】上田日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴博
(72)【発明者】
【氏名】市川 悟志
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE16
4C601EE17
4C601GD04
(57)【要約】
【課題】無線式の超音波プローブが落下するのを防ぐ落下防止物品を提供する。
【解決手段】超音波プローブ20が入る滅菌済み袋状カバー1が指又は手首を掛ける係止部2を備える物品10であって、係止部2は、(1)滅菌済み袋状カバー1に設けられた穴11、(2)滅菌済み袋状カバー1に一体的に設けられたストラップバンド12、(3)滅菌済み袋状カバー1に着脱可能に取り付けられたストラップバンド12、(4)滅菌済み袋状カバー1に超音波プローブ20が入った場合の超音波プローブ20のくびれ部21の相当位置に取り付けられる伸縮性バンド14であり、伸縮性バンド14はストラップバンド15に連結されているように構成して上記課題を解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブが入る滅菌済み袋状カバーが指を掛ける係止部を備える物品であって、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに設けられた穴であり、前記穴は、前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブを指で掴む相当位置に設けられており、前記穴の周囲は、前記滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムの溶着部で形成されている、ことを特徴とする超音波プローブの落下防止物品。
【請求項2】
超音波プローブが入る滅菌済み袋状カバーが手首を掛ける係止部を備える物品であって、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに一体的に設けられたストラップバンドであり、前記ストラップバンドは、前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブの側縁部の相当位置に前記滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムと一体溶着された溶着部で固定されている、ことを特徴とする超音波プローブの落下防止物品。
【請求項3】
超音波プローブが入る滅菌済み袋状カバーが手首を掛ける係止部を備える物品であって、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに着脱可能に取り付けられたストラップバンドであり、前記ストラップバンドは、前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブの側縁部の相当位置に設けられた穴に取り付けられており、前記穴の周囲は、前記滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムの溶着部で形成されている、ことを特徴とする超音波プローブの落下防止物品。
【請求項4】
超音波プローブが入る滅菌済み袋状カバーが手首を掛ける係止部を備える物品であって、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブの相当位置に取り付けられる伸縮性バンドと該伸縮性バンドに連結されているストラップバンドである、ことを特徴とする超音波プローブの落下防止物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブが落下するのを防ぐための落下防止物品に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波プローブの保護手段として幾つか提案されている。例えば特許文献1では、超音波プローブの先端部に保護カバーを設けて落下時の破損を防ぐことが提案されている。また、特許文献2では、超音波プローブの先端部に保護カバーを設けてキズや汚れなどから保護することが提案されている。
【0003】
超音波プローブのうちケーブルが接続された有線式の超音波プローブでは、超音波プローブを不意に手放した場合であってもケーブルが手に掛かり、床に落下して破損する可能性は低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-34212号公報
【特許文献2】特開2014-23914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブでは、超音波プローブを不意に手放した場合にそのまま床に落下して破損してしまう。特に、滅菌された滅菌済み袋状カバーに入れて使用する場合は、滅菌済み袋状カバーで滑る等して落下することがあった。
【0006】
超音波プローブにはストラップを取り付け可能なものがあるが、そのストラップは超音波プローブに直接取り付けられている。したがって、超音波プローブを滅菌済み袋状カバーの中に入れると、ストラップも一緒に入れなければならず、ストラップを落下防止用に使用できないという難点があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決したものであった、その目的は、無線式の超音波プローブが落下するのを防ぐための落下防止物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波プローブの落下防止物品は、超音波プローブが入る滅菌済み袋状カバーが指又は手首を掛ける係止部を備える物品であって、以下の第一から第四の実施形態で構成されている。
【0009】
本発明の第一実施形態に係る超音波プローブの落下防止物品において、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに設けられた穴であり、前記穴は、前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブを指で掴む相当位置に設けられており、前記穴の周囲は、前記滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムの溶着部で形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブを滅菌済み袋状カバーに入れて使用する際に、超音波プローブを指で掴む位置に穴が設けられ、その穴の周囲が溶着部で形成されているので、使用者は使用時に指を掛けやすく、しかも溶着部で補強されている。その結果、超音波プローブが落下するのを防ぐことができる。
【0011】
本発明の第二実施形態に係る超音波プローブの落下防止物品において、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに一体的に設けられたストラップバンドであり、前記ストラップバンドは、前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブの側縁部の相当位置に前記滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムと一体溶着された溶着部で固定されている、ことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブを滅菌済み袋状カバーに入れて使用する際に、ストラップバンドが超音波プローブの側縁部の相当位置に滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムと一体溶着されて固定されているので、使用者は使用時にストラップバンドに手首を掛けやすく、しかも滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムとが一体溶着された溶着部で補強されている。その結果、超音波プローブが落下するのを防ぐことができる。
【0013】
本発明の第三実施形態に係る超音波プローブの落下防止物品において、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに着脱可能に取り付けられたストラップバンドであり、前記ストラップバンドは、前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブの側縁部の相当位置に設けられた穴に取り付けられており、前記穴の周囲は、前記滅菌済み袋状カバーの対向するフィルムの溶着部で形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブを滅菌済み袋状カバーに入れて使用する際に、ストラップバンドが超音波プローブの側縁部の相当位置の穴に取り付けられているので、使用者は使用時にストラップバンドに手首を掛けやすくししかも溶着部で補強されている。その結果、超音波プローブが落下するのを防ぐことができる。
【0015】
本発明の第四実施形態に係る超音波プローブの落下防止物品において、前記係止部は、前記滅菌済み袋状カバーに前記超音波プローブが入った場合の該超音波プローブの相当位置に取り付けられる伸縮性バンドと該伸縮性バンドに連結されているストラップバンドである、ことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブを滅菌済み袋状カバーに入れて使用する際に、伸縮性バンドが超音波プローブの相当位置(例えばくびれ部等)に取り付けられるので、使用時に、伸縮性バンドが超音波プローブを保持し、ストラップバンドが手首に掛かる。その結果、超音波プローブが落下するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、超音波プローブが入る滅菌済み袋状カバーが指又は手首を掛ける係止部を備えるので、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブを滅菌済み袋状カバーに入れて使用する際に、その超音波プローブが落下するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る第一実施形態の落下防止物品を示す構成図である。
【
図3】本発明に係る第二実施形態の落下防止物品を示す構成図である。
【
図4】本発明に係る第三実施形態の落下防止物品を示す構成図である。
【
図5】本発明に係る第四実施形態の落下防止物品を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る超音波プローブの落下防止物品について図面を参照しつつ説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の内容を包含する。
【0020】
[超音波プローブの落下防止物品]
本発明に係る超音波プローブの落下防止物品10(単に「落下防止物品10」ともいう。)は、
図1~
図5に示すように、超音波プローブ20が入る滅菌済み袋状カバー1が指又は手首を掛ける係止部2を備える物品である。そうした係止部2は、以下の第一から第四の実施形態の係止部2を含む。4つの実施形態の係止部2とは、(1)滅菌済み袋状カバー1に設けられた穴11(
図1)、(2)滅菌済み袋状カバー1に一体的に設けられたストラップバンド12(
図2)、(3)滅菌済み袋状カバー1に着脱可能に取り付けられたストラップバンド12(
図3)、又は、(4)滅菌済み袋状カバー1に超音波プローブ20が入った場合の超音波プローブ20の相当位置(例えばくびれ部21等)に取り付けられる伸縮性バンド14と、その伸縮性バンド14に連結されているストラップバンド15とで構成されている(
図4)。
【0021】
こうした落下防止物品10によれば、超音波プローブ20が入る滅菌済み袋状カバー1が指又は手首を掛ける係止部2を備えるので、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブ20を滅菌済み袋状カバー1に入れて使用する際に、その超音波プローブ20が落下するのを防ぐことができる。
【0022】
以下、第一実施形態から第四実施形態について詳しく説明する。
【0023】
(超音波プローブ)
落下防止物品10が使用される超音波プローブ20は、
図1等に示すように、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブである。この超音波プローブ20は、手術時に使用する場合に、滅菌された滅菌済み袋状カバー1に入れて使用される。超音波プローブ20としては種々のものが利用でき、特に限定されないが、一般的に使用されているリニア型、コンベックス型、セクタ型の超音波プローブや、経食道エコーや経直腸超音波検査等に用いる体腔内用プローブ、穿刺等で用いるプローブ等を挙げることができる。これらのうち、特に、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブ20を滅菌された滅菌済み袋状カバー1に入れて使用する場合、不意に手放した場合にそのまま床に落下して破損してしまうおそれがある。そのため、本発明に係る落下防止物品10は、特に無線式の超音波プローブを使用する場合に好ましく適用できる。
【0024】
図1~
図5には、本発明に係る落下防止物品10が用いられる超音波プローブ20の一例を示している。この超音波プローブ20は一例であり、この形態に限定されるものではない。超音波プローブ20は、図示のように、先端測定部22としての探触子(単に「プローブ」と呼ばれることがある。)を先端に有している。探触子は、一般的に、生体に接する先端部分から順に、音響レンズ、音響整合層、振動子、バッキングで構成されている。これらの詳しい説明は周知であるので個々では説明しないが、全体的な構造形態としては、くびれ部21を有するものが多い。図示の超音波プローブ20は無線式であるので、後端部23にはケーブルがない。こうした超音波プローブ20は、
図2に示すように、通常は、そのくびれ部21を指でつかむようにして使用する。
【0025】
<第一実施形態>
第一実施形態に係る落下防止物品10は、
図1及び
図2に示すように、超音波プローブ20が入る滅菌済み袋状カバー1が指を掛ける係止部2を備える物品であって、係止部2は、滅菌済み袋状カバー1に設けられた穴11であり、穴11の周囲は、滅菌済み袋状カバー1の対向するフィルム3,3を溶接してなる溶着部7(ヒートシール部ともいう。)で形成されている。
【0026】
穴11は、滅菌済み袋状カバー1に設けられており、超音波プローブ20が滅菌済み袋状カバー1内に入った場合の該超音波プローブ20を指で掴む相当位置に設けられている。超音波プローブ20が滅菌済み袋状カバー1内に入った場合において、超音波プローブ20のくびれ部21を指でつかむことから、「相当位置」とは、そのくびれ部21が位置する付近であり、滅菌済み袋状カバー1の先端部5から5~10cmの位置の側縁部6に設けられていることが好ましい。
図1では人差し指が入る側の一方の側縁部6に設けられているが、親指と人差し指が入るように両方の側縁部6に設けられていてもよい(図示しない)。穴11の大きさは、指が入りやすい大きさであればよく、特に限定されない。
【0027】
滅菌済み袋状カバー1は、
図1等に示すように、2枚のフィルム3,3が対向する矩形形状の袋を滅菌したものであり、超音波プローブ20を入れることができる入口部4と、袋に入れた後の超音波プローブ20の先端測定部22が位置する側の先端部5と、入口部4と先端部5との間で対向する側縁部6,6とを有している。滅菌済み袋状カバー1の全体形状は、2枚のフィルム3,3が対向して重ね合わせることができるような薄い形態である。押出法で製造されたものであってもよいし2枚のフィルム3,3の周縁を溶着して製造したものであってもよい。入口部4は、対向するフィルム3,3で開放された形態であってもよいし、一方のフィルムが折り返されて他方のフィルムに重なる形態であってもよいし、いわゆるチャック型又はファスナー型の封止構造を備えた形態であってもよい。先端部5は、超音波プローブ20の先端測定部22が位置する部位であるので、測定に支障があるような溶着部分が存在しないことが好ましい。側縁部6は、2枚のフィルム3,3の周縁を溶着して製造した場合はその溶着部分が側縁部になるが、押出法で製造された場合は側縁部6には溶着部分は存在しない。
【0028】
滅菌済み袋状カバー1の大きさは、特に限定されないが、超音波プローブ20の大きさに合わせた大きさであることが好ましい。滅菌済み袋状カバー1の材質は、滅菌処理可能な樹脂製の袋状カバーであれば特に限定されない。
【0029】
この第一実施形態の落下防止物品10は、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブ20を滅菌済み袋状カバー1に入れて使用する際に、超音波プローブ20を指で掴む位置に穴11が設けられ、その穴11の周囲が溶着部で形成されているので、使用者は使用時に指を掛けやすく、しかも溶着部7で補強されている。その結果、超音波プローブ20が落下するのを防ぐことができる。
【0030】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る落下防止物品10は、
図3に示すように、超音波プローブ20が入る滅菌済み袋状カバー1が手首を掛ける係止部2を備える物品であって、係止部2は滅菌済み袋状カバー1に一体的に設けられたストラップバンド12であり、ストラップバンド12は超音波プローブ20が入った場合の該超音波プローブ20の側縁部6の相当位置に滅菌済み袋状カバー1の対向するフィルム3,3と一体溶着された溶着部7(ヒートシール部ともいう。)で固定されている。
【0031】
ストラップバンド12は、滅菌済み袋状カバー1に一体的に溶着されて設けられている。一体溶着されている位置(「相当位置」)は、
図3の例では、先端部5側の側縁部6に設けられているが、滅菌済み袋状カバー1の一方の側縁部6であればどの位置に設けられていてもよく、側縁部6の先端部側でも中央側でも入口部側でもよい。ストラップバンド12の材質は、滅菌処理可能な樹脂製のものであれば特に限定されないが、伸縮性のあるものが好ましい。市販品では、日清紡のモビロンバンド(熱可塑性ポリウレタンをリング状に成形したもの)やそれと同様のものを使用できる。ストラップバンド12の太さは、超音波プローブ20を入れた滅菌済み袋状カバー1を支えることができる強度を担保できる太さであればよい、ストラップバンド12の大きさは、手首に掛けることができる大きさであればよく、過度に小さすぎたり大きすぎたりするもの以外であればよい。一体溶着される溶着部7は、
図3に示すように、一定の面積が溶着部となっており、ストラップバンド12が滅菌済み袋状カバー1にしっかりと溶着固定されている。
【0032】
滅菌済み袋状カバー1については、穴11とその周囲の溶着部7以外については第一実施形態で説明したものと同様であるのでここではその説明を省略する。
【0033】
この第二実施形態の落下防止物品10は、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブ20を滅菌済み袋状カバー1に入れて使用する際に、ストラップバンド12が超音波プローブ20の側縁部6の相当位置に滅菌済み袋状カバー1の対向するフィルム3,3と一体溶着されて固定されているので、使用者は使用時にストラップバンド12に手首を掛けやすく、しかも滅菌済み袋状カバー1の対向するフィルム3,3とが一体溶着された溶着部7で補強されている。その結果、超音波プローブ20が落下するのを防ぐことができる。
【0034】
<第三実施形態>
第三実施形態に係る落下防止物品10は、
図4に示すように、超音波プローブ20が入る滅菌済み袋状カバー1が手首を掛ける係止部2を備える物品であって、係止部2が滅菌済み袋状カバー1に着脱可能に取り付けられたストラップバンド12である。そのストラップバンド12は、超音波プローブ20が入った場合の該超音波プローブ20の側縁部6の相当位置に設けられた穴11に取り付けられている。穴の11周囲は、滅菌済み袋状カバー1の対向するフィルム3,3,の溶着部7(ヒートシール部ともいう。)で形成されている。
【0035】
ストラップバンド12の材質、太さ及び大きさは、第二実施形態で説明したものと同様であるのでここではその説明を省略する。また、滅菌済み袋状カバー1については、穴11とその周囲の溶着部7以外については第一実施形態で説明したものと同様であるのでここではその説明を省略する。
【0036】
ストラップバンド12は、第二実施形態の一体溶着とは異なり、側縁部6の相当位置に設けられた穴11に取り付けられている。取り付けは、
図4に示すように、リング状部材を穴に結束する一般的な手段で行われる。したがって、穴11はそうした取付手段に耐え且つ超音波プローブ20を入れた滅菌済み袋状カバー1を支えることができる強度を担保できることが必要である。そのため、
図4に示すように、穴11の周囲には一定幅の溶着部分が形成されているひつようがある。なお、一定幅は、滅菌済み袋状カバー1のフィルム3の素材強度や厚さも考慮して設定されることが好ましい。特にストラップバンド12が取り付けられる溶着部分は、破断しないように溶着されていることが望ましい。
【0037】
ストラップバンド12が取り付けられる溶着部7の位置(「相当位置」)は、
図4の例では、入口部4側の側縁部6に設けられているが、滅菌済み袋状カバー1の一方の側縁部6であればどの位置に設けられていてもよく、側縁部6の先端部側でも中央側でも入口部側でもよい。
【0038】
この第三実施形態の落下防止物品10は、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブ20を滅菌済み袋状カバー1に入れて使用する際に、ストラップバンド12が超音波プローブ20の側縁部6の相当位置の穴11に取り付けられているので、使用者は使用時にストラップバンド12に手首を掛けやすくししかも溶着部7で補強されている。その結果、超音波プローブ20が落下するのを防ぐことができる。
【0039】
<第四実施形態>
第四実施形態に係る落下防止物品10は、
図5に示すように、超音波プローブ20が入る滅菌済み袋状カバー1が手首を掛ける係止部2を備える物品であって、係止部2は、滅菌済み袋状カバー1に超音波プローブ20が入った場合の該超音波プローブ20の相当位置に取り付けられる伸縮性バンド14と、その伸縮性バンド14に連結されているストラップバンド15である。なお、滅菌済み袋状カバー1については、穴11とその周囲の溶着部7以外については第一実施形態で説明したものと同様であるのでここではその説明を省略する。
【0040】
伸縮性バンド14とストラップバンド15の連結は、
図5に示すように、伸縮性バンド14が超音波プローブ20の周囲で伸縮する範囲を確保した上で、連結部で連結されている。伸縮性バンド14とストラップバンド15は、第二実施形態で説明したものと同様のものを好ましく使用できる。具体的には、日清紡のモビロンバンド(熱可塑性ポリウレタンをリング状に成形したもの)やそれと同様の伸縮性のあるものを使用できる。
【0041】
伸縮性バンド14の太さは、滅菌済み袋状カバー1に入った超音波プローブ20を締め付けて保持することができる伸縮性と強度を担保できる太さであればよい。その締め付け保持する位置(「相当位置」)は、
図5に示すように、超音波プローブ20のくびれ部21に対応する位置であってもよいし、くびれ部以外の位置であってもよい。ストラップバンド15の太さは、滅菌済み袋状カバー1に入った超音波プローブ20を支えることができる強度を担保できる太さであればよい、ストラップバンド15の大きさは、手首に掛けることができる大きさであればよく、過度に小さすぎたり大きすぎたりするもの以外であればよい。
【0042】
この第四実施形態の落下防止物品10は、ケーブルが接続されていない無線式の超音波プローブ20を滅菌済み袋状カバー1に入れて使用する際に、伸縮性バンド14が超音波プローブ20の相当位置(例えばくびれ部21等)に取り付けられるので、使用時に、伸縮性バンド14が超音波プローブ20を保持し、ストラップバンド15が手首に掛かる。その結果、超音波プローブ20が落下するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 滅菌済み袋状カバー
2 係止部
3 フィルム
4 入口部
5 先端部
6 側縁部
7 溶着部
10 落下防止物品
11 穴
12 ストラップバンド
14 伸縮性バンド
15 ストラップバンド
20 超音波プローブ
21 くびれ部
22 先端測定部
23 後端部