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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175208
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/72 20180101AFI20221117BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20221117BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20221117BHJP
【FI】
F24F11/72
F24F11/62
F24F11/52
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081436
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智大
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB15
3L260BA12
3L260CA03
3L260FC03
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】空調室の換気を促す報知を適切なタイミングで行う空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機100は、空調室の在室者を検知する撮像部22及び人検出部331bと、空調室の換気を促す報知を行う表示ランプ23及びスピーカ32と、第1の所定条件が成立した場合、表示ランプ23及びスピーカ32に報知を行わせる制御部30と、を備え、制御部30は、撮像部22及び人検出部331bによって在室者が検知されている場合には、所定の積算時間を増加させ、撮像部22及び人検出部331bによって在室者が検知されていない場合には、積算時間をリセット又は減少させ、第1の所定条件は、積算時間が所定値に達することである。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室の在室者を検知する人検知部と、
前記空調室の換気を促す報知を行う報知部と、
第1の所定条件が成立した場合、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記人検知部によって在室者が検知されている場合には、所定の積算時間を増加させ、
前記人検知部によって在室者が検知されていない場合には、前記積算時間をリセット又は減少させ、
前記第1の所定条件は、前記積算時間が所定値に達することである空気調和機。
【請求項2】
空調室の在室者を検知する人検知部と、
前記空調室の換気を促す報知を行う報知部と、
第1の所定条件が成立した場合、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記人検知部によって在室者が検知されている場合には、前記報知を行うタイミングの指標となる値を増加させ、
前記人検知部によって在室者が検知されていない場合には、前記値をリセット又は減少させ、
前記第1の所定条件は、前記値が所定値に達することである空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記人検知部の検知結果に基づいて、前記空調室の在室者の活動量を算出し、前記活動量に基づいて、前記値を算出すること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
室内機に設けられる室内ファンを備え、
前記制御部は、前記人検知部によって在室者が検知されていない状態で空調運転を実行している場合、前記室内ファンの回転速度が大きいほど、前記値の減少速度の絶対値を大きくすること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記制御部は、前記人検知部の検知結果に基づく前記空調室の人の出入回数に応じて、前記値を補正すること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御部は、前記人検知部の検知結果に基づく前記空調室の人の出入回数が多いほど、又は、前記空調室の窓若しくはドアが開かれている時間が長いほど、前記値の減少速度の絶対値を大きくすること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記制御部は、空調運転の停止中でも、前記値が前記所定値に達した場合には、前記報知部に前記報知を行わせること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記値が前記所定値に達した場合に前記報知を行う設定と、前記値が前記所定値に達した場合でも前記報知を行わない別の設定と、がリモコン又は携帯端末の操作で切替可能であること
を特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記報知が行われる頻度が、リモコン又は携帯端末の操作によって変更可能であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記報知部は、室内機に設けられる表示ランプを有し、
前記制御部は、前記報知として、前記表示ランプを所定に点灯又は点滅させること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルス等の感染拡大に伴い、室内の換気を定期的に行うことが特に推奨されている。このような室内の換気に関して、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、制御部が、室内における所定の気体の濃度に関する異常の予測、及び、室内の換気制御のうち少なくともいずれかを実行することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6712509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、空調室の換気を促す報知が不必要に頻繁に行われないようにするための技術については記載されていない。例えば、ユーザが窓を開けて換気を行っているときには、空気調和された空気が窓を介して出ていく一方、外気が窓を介して空調室に入り込む。したがって、空調運転に要する消費電力量の他、ユーザの快適性等を考慮すると、空調室の換気を促す報知を適切なタイミングで行うことが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、空調室の換気を促す報知を適切なタイミングで行う空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、空調室の在室者を検知する人検知部と、前記空調室の換気を促す報知を行う報知部と、第1の所定条件が成立した場合、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記人検知部によって在室者が検知されている場合には、所定の積算時間を増加させ、前記人検知部によって在室者が検知されていない場合には、前記積算時間をリセット又は減少させ、前記第1の所定条件は、前記積算時間が所定値に達することであることとした。
【0007】
また、本発明に係る空気調和機は、空調室の在室者を検知する人検知部と、前記空調室の換気を促す報知を行う報知部と、第1の所定条件が成立した場合、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記人検知部によって在室者が検知されている場合には、前記報知を行うタイミングの指標となる値を増加させ、前記人検知部によって在室者が検知されていない場合には、前記値をリセット又は減少させ、前記第1の所定条件は、前記値が所定値に達することであることとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空調室の換気を促す報知を適切なタイミングで行う空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る空気調和機の室内機、室外機、及びリモコンの正面図である。
図2】第1実施形態に係る空気調和機の冷媒回路を含む構成図である。
図3】第1実施形態に係る空気調和機の室内機における、図1のIII-III線矢視断面図である。
図4】第1実施形態に係る空気調和機の室外機の筐体の側板・天板を取り外した状態の斜視図である。
図5】第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図6】第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図7A】第1実施形態に係る空気調和機において、換気が行われていない空調室に人がいる状態の説明図である。
図7B】第1実施形態に係る空気調和機において、換気が行われていない空調室に人がいない状態の説明図である。
図8】第2実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図9】第2実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図10】第3実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図11】第3実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図12】第4実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100の室内機20、室外機40、及びリモコン60の正面図である。
空気調和機100は、冷房運転や暖房運転等の空調を行う機器である。図1に示すように、空気調和機100は、室内(空調室)に設置される室内機20と、屋外に設置される室外機40と、ユーザによって操作されるリモコン60と、を備えている。
【0011】
室内機20は、リモコン送受信部21と、撮像部22(人検知部)と、表示ランプ23(報知部)と、を備えている。
リモコン送受信部21は、赤外線通信等によって、リモコン60との間で所定の情報をやり取りする。前記した情報として、運転/停止指令や、運転モードの変更の他、設定温度の変更、タイマの設定等が挙げられる。
【0012】
撮像部22は、空調室を撮像するものであり、室内機20に設けられている。
表示ランプ23は、空調運転等に関する所定の表示を行うものであり、室内機20に設けられている。なお、図1では省略しているが、室内機20と室外機40とは冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。
【0013】
図2は、空気調和機100の冷媒回路50を含む構成図である。
なお、図2の実線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
一方、図2の破線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
図1に示すように、空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、室外ファン13と、膨張弁14と、を備えている。また、空気調和機100は、前記した構成の他に、室内熱交換器15と、室内ファン16と、四方弁17と、を備えている。
【0014】
圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器であり、駆動源である圧縮機モータ11aを備えている。このような圧縮機11として、スクロール圧縮機やロータリ圧縮機等が用いられる。なお、図2では図示を省略しているが、圧縮機11の吸込側には、冷媒の気液分離を行うアキュムレータ36(図4参照)が設けられている。
【0015】
室外熱交換器12は、その伝熱管12b(図4参照)を通流する冷媒と、室外ファン13によって送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
室外ファン13は、室外熱交換器12に外気を送り込むファンである。室外ファン13は、駆動源である室外ファンモータ13aを備え、室外熱交換器12の付近に設けられている。
膨張弁14は、「凝縮器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の一方)で凝縮した冷媒を減圧する弁である。なお、膨張弁14で減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の他方)に導かれる。
【0016】
室内熱交換器15は、その伝熱管15b(図3参照)を通流する冷媒と、室内ファン16によって送り込まれる室内空気(空調室の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
室内ファン16は、室内熱交換器15を介して、空調室に空気を送り込むファンである。室内ファン16は、駆動源である室内ファンモータ16c(図5参照)を備え、室内機20において、室内熱交換器15の付近に設けられている。
【0017】
四方弁17は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。例えば、冷房運転時(図2の破線矢印を参照)には、冷媒回路50において、圧縮機11、室外熱交換器12(凝縮器)、膨張弁14、及び室内熱交換器15(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。一方、暖房運転時(図2の実線矢印を参照)には、冷媒回路50において、圧縮機11、室内熱交換器15(凝縮器)、膨張弁14、及び室外熱交換器12(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。
【0018】
図2の例では、圧縮機11、室外熱交換器12、室外ファン13、膨張弁14、及び四方弁17が、室外機40に設置されている。一方、室内熱交換器15や室内ファン16は、室内機20に設置されている。
【0019】
図3は、室内機20における、図1のIII-III線矢視断面図である。
図3に示す室内機20は、前記した室内熱交換器15や室内ファン16や撮像部22の他に、ドレンパン18と、筐体ベース19と、フィルタ20a,20bと、を備えている。さらに、室内機20は、前面パネル24と、左右風向板25と、上下風向板26と、を備えている。
【0020】
室内熱交換器15は、複数のフィン15aと、これらのフィン15aを貫通する複数の伝熱管15bと、を備えている。図3の例では、室内熱交換器15は、縦断面視で逆V状を呈している。
室内ファン16は、例えば、円筒状のクロスフローファンであり、駆動源である室内ファンモータ16c(図5参照)を備えている。図3に示すように、室内ファン16は、室内熱交換器15の付近に設けられている。
【0021】
ドレンパン18は、室内熱交換器15の結露水を受けるものであり、室内熱交換器15の下側に配置されている。
筐体ベース19は、室内熱交換器15や室内ファン16の他、フィルタ20a,20b等が設置される筐体である。
【0022】
フィルタ20a,20bは、室内ファン16の駆動に伴って、室内熱交換器15に向かう空気から塵埃を捕集するものである。一方のフィルタ20aは室内熱交換器15の前側に配置され、他方のフィルタ20bは室内熱交換器15の上側に配置されている。
前面パネル24は、前側のフィルタ20aを覆うように設置されるパネルであり、下端部を軸として前側に回動可能になっている。なお、前面パネル24が回動しない構成であってもよい。
【0023】
左右風向板25は、室内機20から吹き出される空気の左右方向の風向きを調整する板状部材であり、左右風向板用モータ25a(図5参照)によって左右方向に回動するようになっている。
上下風向板26は、室内機20から吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する板状部材であり、上下風向板用モータ26a(図5参照)によって上下方向に回動するようになっている。
【0024】
空気吸込口27a,27bを介して吸い込まれた空気は、室内熱交換器15の伝熱管15bを通流する冷媒と熱交換し、熱交換した空気が吹出風路28に導かれる。そして、吹出風路28を通流する空気は、左右風向板25及び上下風向板26によって所定方向に導かれ、さらに、空気吹出口29を介して室内に吹き出される。
【0025】
図4は、室外機40の筐体41の側板・天板を取り外した状態の斜視図である。
なお、図4では、膨張弁14(図2参照)や四方弁17(図2参照)の図示を省略している。
図4に示す筐体41には、圧縮機11や室外熱交換器12、室外ファン13の他、アキュムレータ36や電装品ボックス43が設けられている。具体的には、平面視でL字状を呈する室外熱交換器12が、筐体41の底板41aに設置されている。室外熱交換器12は、所定の隙間を空けて配置される多数のフィン12aと、これらのフィン12aを貫通する複数の伝熱管12bと、を備えている。そして、伝熱管12bを介して、冷媒が所定に蛇行しながら通流するようになっている。
【0026】
図4に示す仕切板42は、筐体41内の空間を、圧縮機11やアキュムレータ36が設けられる機械室R1と、室外ファン13が設けられるファン室R2と、に仕切る金属製の板である。
電装品ボックス43は、後記する室外制御回路35(図5参照)の回路基板を収容する箱であり、仕切板42の上側に設けられている。
【0027】
図5は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図5に示すように、室内機20は、リモコン送受信部21(図1も参照)や撮像部22(図1も参照)等を備えている。撮像部22は、前記したように、空調室を撮像するものであり、所定の撮像素子(図示せず)を備えている。このような撮像素子として、例えば、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる。その他にも、撮像部22として、空調室の熱画像を生成するサーモパイル等が用いられてもよい。撮像部22で生成された撮像画像情報は、室内制御回路33に出力される。
【0028】
さらに、室内機20は、前記した室内ファンモータ16cと、左右風向板用モータ25aと、上下風向板用モータ26aと、表示ランプ23(報知部:図1も参照)と、を備えている他、室内温度センサ31と、スピーカ32(報知部)と、室内制御回路33と、を備えている。
室内温度センサ31は、室内温度(空調室の温度)を検出するセンサであり、例えば、室内熱交換器15(図2参照)の空気吸込側に設置されている。室内温度センサ31の検出値は、室内制御回路33に出力される。
表示ランプ23は、室内制御回路33からの指令に基づいて、所定に点灯又は点滅するようになっている。スピーカ32は、室内制御回路33からの指令に基づいて、所定の音(音声を含む)を発するようになっている。なお、表示ランプ23及びスピーカ32は、空調室の換気を促す報知を行う「報知部」として機能する。
【0029】
室内制御回路33は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0030】
図5に示すように、室内制御回路33は、記憶部33aと、室内制御部33bと、を備えている。記憶部33aには、リモコン送受信部21を介して受信したデータや、撮像部22から入力されるデータの他、各センサの検出値等が格納される。室内制御部33bは、記憶部33aのデータに基づいて、室内ファンモータ16c、左右風向板用モータ25a、上下風向板用モータ26a、表示ランプ23、スピーカ32等を制御する。
【0031】
図5に示すように、室内制御部33bは、人検出部331b(人検知部)と、積算時間算出部332bと、を備えている。人検出部331bは、撮像部22の撮像結果に基づいて、空調室にいる人(在室者)を検出する。なお、空調室の在室者を検知する「人検知部」は、撮像部22と、人検出部331bと、を含んで構成される。
積算時間算出部332bは、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(逐次に和をとった値)を算出する。なお、人検出部331bや積算時間算出部332bが行う処理については後記する。
【0032】
室外機40は、前記した圧縮機モータ11aや室外ファンモータ13a、膨張弁14、四方弁17の他に、室外温度センサ34と、室外制御回路35と、を備えている。
室外温度センサ34は、室外温度(外気の温度)を検出するセンサであり、室外機40の所定箇所に設置されている。なお、図5では省略しているが、室外機40は、圧縮機11(図1参照)の吐出温度等を検出する他のセンサも備えている。これらの各センサの検出値は、室外制御回路35に出力される。
【0033】
室外制御回路35は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、通信線を介して室内制御回路33に接続されている。図5に示すように、室外制御回路35は、記憶部35aと、室外制御部35bと、を備えている。
【0034】
記憶部35aには、所定のプログラムや各センサの検出値の他、室内制御回路33から受信したデータ等が格納される。室外制御部35bは、記憶部35aのデータに基づいて、圧縮機モータ11a、室外ファンモータ13a、膨張弁14、四方弁17等を制御する。なお、室内制御回路33及び室外制御回路35を総称して、制御部30という。
【0035】
<室内の換気について>
例えば、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスといった感染性の病原体が室内(空調室)に存在する場合でも、室内の換気が十分に行われることで、人を介した感染が抑制される。また、換気が行われることで室内に外気が取り込まれ、室内の空気の二酸化炭素濃度が低下する一方、酸素濃度が上がるという利点もある。
【0036】
しかしながら、例えば、冷房運転中にユーザが窓を開けて換気を行った場合、空調で冷やされた空気が窓を介して出てしまう一方、高温の外気が窓を介して室内に入り込む。その結果、ユーザにとっての快適性が低下する他、空調運転に要する消費電力量が増加する。なお、暖房運転中に換気が行われた場合も同様のことがいえる。したがって、室内の換気を促す報知を適切なタイミングで行うことが望ましい。そこで、第1実施形態では、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(積算時間)に基づいて、換気を促す報知を行うようにしている。
【0037】
<制御部の処理>
図6は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図2図5を参照)。
なお、図6の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。
また、図6の一連の処理の実行中、空調室では窓やドアを介した換気は特に行われないものとする。窓やドアを介した換気の有無については、例えば、空調室の温度や湿度の変化速度に基づいて判定することが可能である。その他、撮像部22の撮像結果に基づいて、窓やドアの開閉状態を認識する方法もあるが、この方法については第3実施形態で説明する。
【0038】
また、図6の「START」時において、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(積算時間)が、ゼロよりも大きい所定の値になっていてもよいし、また、ゼロになっていてもよい。
ステップS11において制御部30は、撮像部22の撮像結果を読み込む。この撮像結果(つまり、撮像画像情報)には、撮像部22の各画素の輝度に関するデータが含まれている。
【0039】
ステップS12において制御部30は、撮像部22の撮像結果(撮像画像情報)に基づき、人検出部331bによって、空調室に人がいるか否かを判定する。なお、撮像画像情報に基づく人の検出については周知であるが、その一例を説明すると、制御部30は、撮像部22の撮像結果に基づいて、人の頭部、胸部、腕、足等を抽出し、抽出した各部の位置関係に基づいて人を検出する。ステップS12において空調室に人がいると判定した場合(S12:Yes)、制御部30の処理はステップS13に進む。
【0040】
図7Aは、換気が行われていない空調室R10に人がいる状態の説明図である。
図7Aの例では、空調室R10に3人の在室者M1,M2,M3がおり、窓W1やドアD1が閉められた状態で所定の空調運転が行われている。このような状態が長時間続くと、在室者M1,M2,M3の呼気が空調室R10に留まる。仮に、在室者M1,M2,M3の中に所定の病原体の感染者がいる場合には、時間が経過するにつれて、空調室に留まる病原体の数が多くなる。また、空調室R10の二酸化炭素濃度が徐々に高くなる。
【0041】
次に、図6のステップS13において制御部30は、積算時間算出部332bによって、積算時間を増加させる。つまり、制御部30は、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(積算時間)を増加させる。例えば、空調室に在室者M1が一人だけいた後、別の在室者M2が空調室に入ってきて在室者数が計二人になり、その後、在室者M1が空調室から出て行ったとする。このような場合でも、制御部30は、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(積算時間)を連続的に増加させる。つまり、制御部30は、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図5参照)によって在室者が検知されている場合には、所定の積算時間を増加させる。
【0042】
この積算時間は、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間が長いほど増加する値であり、また、空調室R10に残留している呼気(在室者の呼気)の総量が多いほど大きくなる値でもある。積算時間を増加させる際(S13)、制御部30は、単純に時間の積算値をとるようにしてもよいし、また、時間の積算値に所定の係数を乗算することで「積算時間」を算出するようにしてもよい。例えば、空調室の在室者の数が多い(つまり、在室者の呼気の総量が多い)ほど、前記した係数が大きな値に設定されるようにしてもよい。
一方、ステップS12において空調室に人がいないと判定した場合(S12:No)、制御部30の処理はステップS14に進む。
【0043】
図7Bは、換気が行われていない空調室R10に人がいない状態の説明図である。
一般に空調室R10が完全に密閉されていることは稀であり、空調室R10の窓W1やドアD1が閉められている状態でも、窓W1やドアD1の微小な隙間を介して、空気が出入りする。したがって、それまで空調室R10にいた在室者(図7A参照)の呼気に所定の病原体が含まれていたとしても、その後、空調室R10に人がいない状態が継続すると、時間の経過に伴って空調室R10における病原体の数が徐々に減少する。また、空調室R10における二酸化炭素濃度も徐々に減少し、外気の二酸化炭素濃度に近づいていく。
【0044】
図6のステップS14において制御部30は、積算時間算出部332bによって、積算時間を減少させる。つまり、制御部30は、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(積算時間)を減少させる。これによって、在室者がいない空調室R10に残留している呼気の経時的な減少を、前記した積算時間の減少として反映させることができる。このように、制御部30は、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図5参照)によって在室者が検知されていない場合には、積算時間を減少させる。ステップS13又はステップS14の処理を行った後、制御部30の処理はステップS15に進む。
【0045】
ステップS15において制御部30は、ステップS13又はステップS14で算出した積算時間が所定値以上であるか否かを判定する。なお、所定値は、空調室の換気を促す報知(S16)を行うか否かの判定基準となる積算時間の閾値であり、予め設定されている。ステップS15において、積算時間が所定値未満である場合(S15:No)、制御部30の処理はステップS11に戻る。この場合には、仮に、在室者によって吐き出された呼気に所定の病原体が含まれていたとしても、病原体の分布の密度が比較的低い。したがって、在室者が室内の換気を行う必要は特にない。
【0046】
一方、ステップS15において、積算時間が所定値以上である場合(S15:Yes)、制御部30の処理はステップS16に進む。
ステップS16において制御部30は、換気を促す報知を行う。例えば、制御部30は、表示ランプ23を所定に点灯させつつ、窓やドアを開けて換気を行うことを勧める内容の音声をスピーカ32から出力する。言い換えると、「第1の所定条件」が成立した場合、制御部30は、表示ランプ23(報知部)やスピーカ32(報知部)に換気を促す報知を行わせる。ここで、「第1の所定条件」とは、前記した積算時間が所定値に達すること(S15:Yes)である。このような報知によって、在室者は、空調室の換気を行った方がよいことを把握できる。
【0047】
ステップS16の処理を行った後、制御部30は、換気に関する一連の処理を終了する(END)。なお、在室者が窓やドアを開けて換気を行っている間も空調運転は所定に継続される。これによって、換気中に空調運転が中断される場合に比べて、ユーザにとっての快適性を高めることができる。また、図6に示す一連の処理は、所定に繰り返される。
【0048】
<効果>
第1実施形態によれば、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(積算時間)が所定値以上になった場合(図6のS15:Yes)、制御部30は、換気を促す報知を行う(S16)。このような報知に気付いた在室者が窓やドアを開けて換気を行うことで、病原体の感染を抑制できる他、空調室の二酸化炭素濃度を低くすることができる。
【0049】
また、第1実施形態によれば、制御部30は、空調運転の停止中でも、前記した積算時間が所定値以上になった場合には(図6のS15:Yes)、空調室の換気を促す報知を表示ランプ23(報知部)やスピーカ32(報知部)に行わせる。これによって、空調運転が停止されている状態でも、空調室の換気を行った方がよいことを在室者が把握できる。
【0050】
また、制御部30は、空調室に人がいる場合には所定の積算時間を増加させる一方(図6のS12:Yes、S13)、空調室に人がいない場合には積算時間を減少させる(S12:No,S14)。これによって、換気を促す報知(S16)が適切なタイミングで行われるため、換気を促す報知が徒に高頻度で行われることを防止できる。その結果、空調運転時の消費電力量を抑えることができ、また、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0051】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、第1実施形態で説明した積算時間算出部332b(図5参照)に代えて、二酸化炭素濃度算出部333b(図8参照)が設けられている点が、第1実施形態とは異なっている。また、第2実施形態は、制御部30A(図8参照)が、空調室の二酸化炭素濃度に基づいて換気を促す報知を行う点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0052】
図8は、第2実施形態に係る空気調和機100Aの機能ブロック図である。
図8に示すように、室内機20Aの室内制御部33Abは、人検出部331bと、二酸化炭素濃度算出部333bと、を備えている。二酸化炭素濃度算出部333bは、人検出部331bの検出結果等に基づいて、空調室の二酸化炭素濃度を算出する機能を有している。そして、二酸化炭素濃度算出部333bの算出結果に基づいて、空調室の換気を促す報知が行われるようになっている。なお、二酸化炭素濃度算出部333b等が行う処理については後記する。
【0053】
図9は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図8を参照)。
なお、図9の「START」時には、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図9の一連の処理の実行中、空調室では窓やドアを介した換気は特に行われないものとする。また、図9のステップS101,S102,108の処理については、この順で、第1実施形態(図6参照)のS11,S12,S16と同様であるから、説明を省略する。
【0054】
図9のステップS102において空調室に人がいる場合(S102:Yes)、制御部30Aの処理は、ステップS103に進む。
ステップS103において制御部30Aは、二酸化炭素濃度算出部333bによって、空調室の二酸化炭素濃度αの増加量を算出する。ここで、二酸化炭素濃度αの「増加量」とは、二酸化炭素濃度αの前回の算出値からの増加分を意味している。なお、制御部30Aは、空調室の二酸化炭素濃度αの算出を所定に繰り返すものとする。
【0055】
空調室の二酸化炭素濃度αの増加量を算出する際、制御部30Aは、空調室の容積を算出するとともに、それぞれの在室者の活動量を算出する。その具体例を挙げると、制御部30Aは、まず、空調室において隣接している壁同士の稜線や、壁と床との間の稜線を抽出する。そして、制御部30Aは、撮像画像における各稜線の位置や画素数の他、撮像部22の傾斜角度や室内機20の標準的な設置高さに基づいて、空調室の床面積を算出する。そして、制御部30Aは、前記した床面積に空調室の標準的な天井高さを乗算することで、空調室の容積を算出する。なお、空調室の容積の算出方法は、これに限定されるものではない。
【0056】
また、制御部30Aは、それぞれの在室者の活動量を算出する。具体的には、制御部30Aは、在室者の移動軌跡に基づいて、単位時間ごとの在室者の移動距離(つまり、移動速度)を算出する。そして、制御部30Aは、単位時間ごとの在室者の移動距離に基づいて、在室者の活動量を算出する。なお、「活動量」とは、人の単位表面積あたりの代謝量のことである。この活動量が大きいほど、在室者の単位時間当たりの呼吸回数や1回分の呼吸量も多くなるため、空調室の二酸化炭素濃度αが高くなりやすい傾向がある。そして、制御部30Aは、空調室の容積と、それぞれの在室者の活動量と、に基づいて、空調室の二酸化炭素濃度αの増加量を算出する。
【0057】
次に、ステップS104において制御部30Aは、二酸化炭素濃度算出部333bによって、空調室の二酸化炭素濃度αの増加量の分を積算する。すなわち、制御部30Aは、空調室の二酸化炭素濃度αの前回の算出結果に、ステップS103で算出した増加量の分を足し合わせる(積算する)ことで、現在の二酸化炭素濃度αを算出する。
【0058】
このように、制御部30Aは、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図8参照)の検知結果に基づいて、空調室の在室者の活動量を算出し、この活動量に基づいて、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)を算出する。この二酸化炭素濃度は、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間が長いほど増加する値であり、また、空調室R10に残留している呼気(在室者の呼気)の総量が多いほど大きくなる値でもある。
【0059】
制御部30Aは、空調室の二酸化炭素濃度αを算出する際、換気が行われていない空調室に人がいる場合には(S102:Yes)、時間の経過に伴って空調室の二酸化炭素濃度αを所定に増加させる(S103、S104)。つまり、制御部30Aは、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図8参照)によって在室者が検知されている場合には、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)を増加させる。ステップS104の処理を行った後、制御部30Aの処理はステップS107に進む。
【0060】
一方、ステップS102において空調室に人がいないと判定した場合(S102:No)、ステップS105において制御部30Aは、二酸化炭素濃度算出部333bによって、空調室の二酸化炭素濃度αの減少量を算出する。ここで、二酸化炭素濃度αの「減少量」とは、二酸化炭素濃度αの前回の算出値からの減分を意味している。また、換気が行われていない空調室に人がいない場合の単位時間当たりの二酸化炭素の減少量は、予め設定されている。
【0061】
なお、前回の二酸化炭素濃度が高ければ高いほど、室内と外気の二酸化炭素濃度の差が大きいため、その回の二酸化炭素濃度の減少量が大きくなるように設定されていてもよい。一方、前回の二酸化炭素濃度が低ければ低いほど、室内と外気の二酸化炭素濃度の差が小さいため、その回の二酸化炭素濃度の減少量が小さくなるように設定されていてもよい。
【0062】
ステップS105において制御部30Aは、例えば、人がいない場合の二酸化炭素の標準的な減少量と、空調室の容積と、に基づいて、二酸化炭素濃度αの減少量を算出する。
次に、ステップS106において制御部30Aは、二酸化炭素濃度算出部333bによって、空調室の二酸化炭素濃度αの減少量の分を減算する。すなわち、制御部30Aは、空調室の二酸化炭素濃度αの前回の算出結果から、ステップS105で算出した二酸化炭素濃度αの減少量の分を減算することで、現在の二酸化炭素濃度αを算出する。このように、制御部30Aは、空調室の二酸化炭素濃度αを算出する際、換気が行われていない空調室に人がいない場合には(S102:No)、時間の経過に伴って空調室の二酸化炭素濃度αを所定に減少させる(S105、S106)。
【0063】
言い換えると、制御部30Aは、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図8参照)によって在室者が検知されていない場合には、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)を減少させる。ステップS106の処理を行った後、制御部30Aの処理はステップS107に進む。
【0064】
ステップS107において制御部30Aは、ステップS104又はS106で算出した二酸化炭素濃度αが所定値α1以上であるか否かを判定する。なお、所定値α1は、空調室の換気を促す報知(S108)を行うか否かの判定基準となる二酸化炭素濃度の閾値であり、予め設定されている。
ステップS107において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1未満である場合(S107:No)、制御部30Aの処理はステップS101に戻る。この場合には、空調室の二酸化炭素濃度αが比較的低いため、仮に、在室者によって吐き出された呼気にウイルス等が含まれていたとしても、ウイルスの分布の密度が比較的低い。したがって、在室者が室内の換気を行う必要は特にない。
【0065】
一方、ステップS107において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S107:Yes)、制御部30Aの処理はステップS108に進む。
ステップS108において制御部30Aは、換気を促す報知を行う。例えば、制御部30Aは、表示ランプ23を所定に点灯させつつ、窓やドアを開けて換気を行うことを勧める内容の音声をスピーカ32から出力する。このように、制御部30Aは、撮像部22の撮像結果に基づく空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1に達した場合(S107:Yes)、表示ランプ23(報知部)やスピーカ32(報知部)に換気を促す報知を行わせる。
【0066】
言い換えると、「第1の所定条件」が成立した場合、制御部30Aは、表示ランプ23やスピーカ32に換気を促す報知を行わせる。ここで、「第1の所定条件」とは、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)が所定値に達することである。これによって、在室者は、空調室の換気を行った方がよいことを把握できる。
【0067】
ステップS108の処理を行った後、制御部30Aは、換気に関する一連の処理を終了する(END)。なお、在室者が窓やドアを開けて換気を行っている間も空調運転は所定に継続される。これによって、換気中に空調運転が中断される場合に比べて、ユーザにとっての快適性を高めることができる。また、図9に示す一連の処理は、所定に繰り返される。
【0068】
<効果>
第2実施形態によれば、空調室の二酸化炭素濃度が所定値以上になった場合(図9のS107:Yes)、制御部30Aは、換気を促す報知を行う(S108)。このような報知に気付いた在室者が窓やドアを開けて換気を行うことで、ウイルスの感染を抑制できる他、空調室の二酸化炭素濃度を低くすることができる。
【0069】
また、第2実施形態によれば、撮像部22の撮像結果に基づいて、空調室の二酸化炭素濃度が算出される。したがって、室内機20に二酸化炭素濃度センサ(図示せず)を設ける必要が特にないため、空気調和機100Aの製造コストを削減できる。
【0070】
また、第2実施形態によれば、制御部30Aは、空調運転の停止中でも、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)が所定値に達した場合には、空調室の換気を促す報知を表示ランプ23(報知部)やスピーカ32(報知部)に行わせる。これによって、空調運転の停止中においても、空調室の換気を行った方がよいことを在室者が把握できる。
【0071】
また、制御部30Aは、換気が行われていない空調室に人がいる場合には二酸化炭素濃度を所定に増加させる一方(図9のS102:Yes、S103、S104)、空調室に人がいない場合には二酸化炭素濃度を所定に減少させる(S102:No,S105、S106)。これによって、二酸化炭素濃度センサ(図示せず)を用いずとも、空調室の二酸化炭素濃度を適切に算出できる。その結果、換気を促す報知(S108)が適切なタイミングで行われるため、換気を促す報知が徒に高頻度で行われることを防止できる。また、空調運転時の消費電力量を抑えることができ、また、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0072】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、空気調和機100B(図10参照)が窓検出部334b(図10参照)を備える点が、第2実施形態とは異なっている。また、第3実施形態は、空調室に人がいないときの二酸化炭素濃度の低下量を、室内ファン16の回転速度の他、窓やドアの開閉回数等に基づいて制御部30B(図10参照)が補正する点が、第2実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第2実施形態と同様である。したがって、第2実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0073】
図10は、第3実施形態に係る空気調和機100Bの機能ブロック図である。
図10に示すように、室内機20Bの室内制御部33Bbは、人検出部331bや二酸化炭素濃度算出部333bの他に、窓検出部334bを備えている。窓検出部334bは、空調室の窓を検出する他、窓が閉まっている状態か、それとも、窓が開いている状態かを判定する機能も有している。例えば、空調室に太陽光が入射する所定の時間帯に、制御部30Bは、空調室の撮像画像に含まれる矩形状の高輝度領域を窓領域として抽出する。
【0074】
また、窓検出部334bは、窓領域に含まれる矩形状の窓枠を所定に抽出し、窓枠の横方向の位置に基づいて、窓が閉まっている状態か、それとも、窓が開いている状態かを判定する。なお、前記した窓の検出方法(窓の開閉状態に関する判定も含む)は一例であり、これに限定されるものではない。また、窓検出部334bは、空調室の窓を検出する他、空調室のドア(ドアの開閉状態に関する判定も含む)を検出する機能も兼ね備えている。窓検出部334bの検出結果は、空調室の二酸化炭素濃度の補正等に用いられる。
【0075】
図11は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図10を参照)。
なお、図11の「START」時には、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図11の一連の処理の実行中、空調室では窓やドアを介した換気は特に行われないものとする。また、図11のステップS101~S105,S107,S108の処理については、第2実施形態(図9参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0076】
図11のステップS102において空調室に人がいない場合(S102:No)、ステップS105において制御部30Bは、二酸化炭素濃度αの減少量を算出する。なお、ステップS105の処理については、第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。
【0077】
次に、ステップS121において制御部30Bは、二酸化炭素濃度αの減少量を補正する。例えば、制御部30Bは、換気が行われていない空調室に人がいない状態で空調運転を実行している場合、室内ファン16(図3参照)の回転速度が大きいほど、空調室の二酸化炭素濃度の減少量(絶対値)を大きくする。空調室の窓やドアが閉められた状態でも、室内ファン16の回転速度が大きいほど、窓やドアの微小な隙間を介して、空気が出入りする量(単位時間当たりの量)も大きくなるからである。例えば、制御部30Bは、ステップS105で算出した二酸化炭素の減少量に所定の係数(1よりも大きい係数)を乗算することで、二酸化炭素の補正後の減少量を算出する。前記した係数は、室内ファン16の回転速度に対応付けて、予め設定されている。
【0078】
次に、ステップS122において制御部30Bは、二酸化炭素濃度αの補正後の減少量の分を減算する。すなわち、制御部30Bは、空調室の二酸化炭素濃度αの前回の算出結果から、ステップS121で算出した補正後の減少量の分を減算することで、現在の二酸化炭素濃度αを算出する。つまり、制御部30Bは、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図10参照)によって在室者が検知されていない状態で空調運転を実行している場合、室内ファン16の回転速度が大きいほど、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)の減少速度の絶対値を大きくする。これによって、空調室の二酸化炭素濃度αを適切に算出できる。
【0079】
なお、室内ファン16の回転速度に基づく補正とは別の方法で、二酸化炭素濃度αの減少量(減少速度)を補正するようにしてもよい。例えば、制御部30Bは、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図10参照)の検知結果に基づく空調室の人の出入回数に応じて、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)を補正するようにしてもよい。具体的には、制御部30Bは、空調室の人の出入回数が多いほど、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)の減少速度の絶対値を大きくする。空調室の人の出入り回数が多いほど、ドアの開閉に伴って、空調室の空気が入れ換わるからである。なお、空調室の人の出入回数(所定時間当たりでの出入回数)は、例えば、空調室の人数の増減や人の移動軌跡に基づいて算出される。
【0080】
その他にも、例えば、制御部30Bは、換気が行われていない空調室に人がいない場合、撮像部22の撮像結果に基づいて、空調室の窓若しくはドアが開かれている時間が長いほど、空調室の二酸化炭素濃度の減少速度の絶対値を大きくするようにしてもよい。窓又はドアが開かれている時間が長いほど、空調室の換気が進むからである。なお、窓やドアの開閉状態は、窓検出部334bによって検出される。
ステップS122の処理を行った後、制御部30Bの処理は、ステップS107に進む。なお、ステップS107,S108については、第2実施形態(図9参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0081】
<効果>
第3実施形態によれば、制御部30Bは、空調室に人がいない場合の二酸化炭素濃度の減少量を、室内ファン16の回転速度の他、窓やドアの開閉回数等に基づいて補正する。これによって、第2実施形態よりも二酸化炭素濃度をさらに高精度に算出できるため、換気を促す報知を適切なタイミングで行うことができる。
【0082】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、空調室に人がいなくなった場合、制御部30Aが、計算上の二酸化炭素濃度をゼロ(所定の初期値)にリセットする点が、第2実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第2実施形態と同様である。したがって、第2実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0083】
図12は、第4実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図2図8を参照)。
なお、図12の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図12の一連の処理の実行中、空調室では窓やドアを介した換気は特に行われないものとする。また、図12のステップS101~S104,S107,S108については、第2実施形態(図9参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0084】
図12のステップS102において空調室に人がいない場合(S102:No)、制御部30Aの処理はステップS131に進む。
ステップS131において制御部30Aは、二酸化炭素濃度αをゼロにリセットする。すなわち、制御部30Aは、空調室の二酸化炭素濃度αを算出する際、換気が行われていない空調室に人がいない場合には(S102:No)、空調室の二酸化炭素濃度をゼロ(所定の初期値)にリセットする(S131)。言い換えると、制御部30Aは、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図8参照)によって在室者が検知されていない場合には、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)をリセットする。これによって、空調室に人がいないときに二酸化炭素濃度が一定に維持される場合に比べて、二酸化炭素濃度を適切に算出できる。ステップS131の処理を行った後、制御部30Aの処理はステップS107に進む。なお、ステップS107,S108については、第2実施形態(図9参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0085】
<効果>
第4実施形態によれば、空調室に人がいない場合(図12のS102:No)、制御部30Aは、空調室の二酸化炭素濃度をゼロにリセットする(S131)。これによって、空調室に人がいなくなっても二酸化炭素濃度が維持される場合に比べて、二酸化炭素濃度を適切に算出できる。
【0086】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100,100A,100Bについて各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第2実施形態では、制御部30Aが、撮像部22の撮像結果に基づいて、空調室にいる人の活動量を算出し、この活動量に基づいて、空調室の二酸化炭素濃度を算出する処理について説明したが、これに限らない。すなわち、制御部30Aが、撮像部22の撮像結果に基づいて、空調室にいる人の人数を特定し、この人数に基づいて、空調室の二酸化炭素濃度を算出するようにしてもよい。
【0087】
また、換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値(二酸化炭素濃度)が所定値に達した場合に換気を促す報知を行う設定と、前記した値(二酸化炭素濃度)が所定値に達した場合でも換気を促す報知を行わない別の設定と、がリモコン60(図5参照)又は携帯端末(図示せず)の操作で切替可能であることが好ましい。前記した携帯端末として、例えば、ユーザの携帯電話やスマートフォンの他、タブレット等が挙げられる。これによって、リモコン60や携帯端末の操作によって、換気を促す報知の有無をユーザが選択できるため、ユーザによる設定の自由度を高めることができる。
同様に、少なくとも一人の在室者が空調室にいる時間の積算値(積算時間)が所定値に達した場合に換気を促す報知を行う設定と、前記した積算時間が所定値に達した場合でも換気を促す報知を行わない別の設定と、がリモコン60(図5参照)又は携帯端末(図示せず)の操作で切替可能であるようにしてもよい。
【0088】
また、第2実施形態では、「換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値」として、空調室の二酸化炭素濃度を用いる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、「換気を促す報知を行うタイミングの指標となる値」は、空調室に残留している呼気(在室者の呼気)の総量が多いほど大きくなるような値であれば、他の所定の値(例えば、第1実施形態で説明した積算時間)を用いることも可能である。
【0089】
また、空調室の換気を促す報知が行われる頻度が、リモコン60(図5参照)又は携帯端末の操作によって変更可能であることが好ましい。例えば、換気を促す報知の頻度の選択肢として、高・中・低の3段階が予め設定され、ユーザによるリモコン60や携帯端末の操作によって、3段階のいずれかが選択されるようにしてもよい。これによって、換気を促す報知がきめ細かく行われたほうがよいといったユーザの要求に応じて、報知の頻度を適切に設定できる。
なお、換気を促す報知の頻度が高い設定が選択された場合には、制御部30Aによって、報知を行うか否かの判定基準となる二酸化炭素濃度の閾値(図9のS107の所定値α1)が比較的小さい値に設定される。一方、換気を促す報知の頻度が低い設定が選択された場合には、制御部30Aによって、二酸化炭素濃度αの閾値が比較的大きい値に設定される。
【0090】
また、第4実施形態では、空調室に人がいない場合(図12のS102:No)、制御部30Aが空調室の二酸化炭素濃度をゼロ(所定の初期値)にリセットする(S131)という処理について説明したが、これに限らない。例えば、換気が行われていない空調室に人がいない場合には、制御部30Aが、空調室の二酸化炭素濃度を大気中の二酸化炭素濃度の値(所定の初期値)にリセットするようにしてもよいし、また、他の所定値にリセットするようにしてもよい。このような処理でも、第4実施形態と同様の効果が奏される。なお、大気中の二酸化炭素濃度の値は、大気(外気)に占める二酸化炭素の平均的な割合に基づいて、予め設定されている。
【0091】
また、各実施形態では、空調室の在室者を検知する「人検知部」として、撮像部22(図5参照)を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、「人検知部」として、赤外線センサ等を用いるようにしてもよい。
【0092】
また、各実施形態では、空調室の換気を報知する「報知部」として、表示ランプ23及びスピーカ32が用いられる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、前記した「報知部」として、表示ランプ23及びスピーカ32のうち一方が用いられるようにしてもよい。例えば、制御部30が、空調室の換気を促す報知として、表示ランプ23を所定に点灯又は点滅させるようにしてもよい。
その他、「報知部」として、リモコン60(図5参照)の表示や音声出力を用いてもよいし、また、携帯電話やスマートフォン、タブレットといった携帯端末で所定の表示や音声出力を行うようにしてもよい。
【0093】
また、制御部30は、換気を促す報知を表示ランプ23やスピーカ32に行わせた場合において、撮像部22の撮像結果に基づいて、空調室の窓又はドアが開かれたことを検知したとき、換気を促す報知を終了させてもよい。これによって、空調室の窓やドアが開かれた後も換気を促す報知が継続されることを防止できる。
【0094】
その他にも、例えば、制御部30は、換気を促す報知を表示ランプ23やスピーカ32に行わせた場合において、空調室の温度及び湿度のうち少なくとも一方の変化速度の絶対値が所定値以上であるとき、換気を促す報知を終了させてもよい。例えば、冷房運転中に換気を促す報知を行った後、空調室の温度の変化速度が所定値以上である場合、制御部30は、ユーザによって換気が行われたと判定し、換気を促す報知を終了する。これによって、空調室の窓やドアが開かれた後も換気を促す報知が継続されることを防止できる。
【0095】
また、各実施形態は、適宜に組み合わせることが可能である。例えば、第1実施形態と第4実施形態とを組み合わせ、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図5参照)によって在室者が検知されていない場合には、制御部30が、所定の積算時間をリセットするようにしてもよい。これによって、空調室に人がいなくなった後も積算時間の値が維持される場合に比べて、積算時間を適切に算出できる。
【0096】
また、各実施形態では、室内機20(図1参照)及び室外機40(図1参照)が一台ずつ設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、並列接続された複数台の室内機を設けてもよいし、また、並列接続された複数台の室外機を設けてもよい。
また、各実施形態で説明した空気調和機100,100A,100Bは、壁掛型の空気調和機の他、さまざまな種類の空気調和機にも適用可能である。
【0097】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0098】
100,100A,100B 空気調和機
20,20A,20B 室内機
40 室外機
50 冷媒回路
60 リモコン
11 圧縮機
12 室外熱交換器
13 室外ファン
14 膨張弁
15 室内熱交換器
16 室内ファン
17 四方弁
22 撮像部(人検知部)
23 表示ランプ(報知部)
32 スピーカ(報知部)
331b 人検出部(人検知部)
332b 積算時間算出部
333b 二酸化炭素濃度算出部
334b 窓検出部
30,30A,30B 制御部
60 リモコン
M1,M2,M3 在室者
R10 空調室
W1 窓
D1 ドア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12