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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175209
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20221117BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20221117BHJP
【FI】
F24F11/52
F24F11/62
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081437
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智大
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA12
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA20
3L260CA32
(57)【要約】
【課題】空調室の換気を促す報知を適切に行う空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機100は、空調室の換気を促す報知を行う表示ランプ23及びスピーカ32と、第1の所定条件が成立したときに、表示ランプ23及びスピーカ32に報知を行わせる制御部30と、を備え、制御部30は、第1の所定条件が成立したときであっても、第2の所定条件が成立したときには、表示ランプ23及びスピーカ32による報知を行わせない。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室の換気を促す報知を行う報知部と、
第1の所定条件が成立したときに、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の所定条件が成立したときであっても、第2の所定条件が成立したときには、前記報知部による前記報知を行わせない空気調和機。
【請求項2】
前記第2の所定条件は、
前記空調室の温度が所定範囲外であること、
外気の温度が所定範囲外であること、
前記空調室の温度と外気の温度との差の絶対値が所定値以上であること、
及び、
前記空調室の温度と空調運転時の設定温度との差の絶対値が所定値以上であることのうち、少なくとも一つであること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記空調室の照度を検出する照度センサを備え、
前記第2の所定条件は、前記照度センサによって検出される照度が所定値以下であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記空調室に空気を送り込む室内ファンと、を備え、
前記第2の所定条件は、前記圧縮機及び前記室内ファンのうち少なくとも一方の回転速度を通常の空調運転時よりも小さくするおやすみモードの実行中であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空調室の在室者を検知する人検知部を備え、
前記第2の所定条件は、前記人検知部に基づいて、前記空調室に人がいないことが検知されることであること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第2の所定条件は、
空調運転の開始時から所定時間が経過していないこと、
空調運転の停止時から所定時間が経過していないこと、
又は、
空調運転中に運転モードが変更されてから所定時間が経過していないことであること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
室内機の設置場所を含む地域の気象情報を取得する情報取得部を備え、
前記第2の所定条件は、前記気象情報に基づく前記地域の天気が雨、雪、又は強風であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記第2の所定条件は、空調運転の開始又は停止の遠隔操作信号をユーザの携帯端末から受信することであること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項9】
日付及び時間帯を特定、又は、季節及び時間帯を特定する時間帯特定部を備え、
前記第2の所定条件は、当該第2の所定条件が成立しているか否かの判定時が、夏季の昼間である、又は、冬季の朝若しくは夜間であること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項10】
室内機に設けられる表示ランプを備え、
前記制御部は、前記報知として、前記表示ランプを所定に点灯又は点滅させること
を特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウイルス等の感染拡大に伴い、室内の換気を定期的に行うことが特に推奨されている。このような室内の換気に関して、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、制御部が、室内における所定の気体の濃度に関する異常の予測、及び、室内の換気制御のうち少なくともいずれかを実行することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6712509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、夏季の冷房運転中にユーザが窓を開けて換気を行った場合、空調で冷やされた空気が窓を介して出ていく一方、高温の外気が窓を介して空調室に入り込む。このように、窓を開けて換気を行うことがユーザにとっての快適性を損なうこともあるため、換気を促す報知を不必要に行わないことが望ましい。しかしながら、特許文献1には、換気を促す報知を不必要に行わないようにする技術については記載されていない。
【0005】
そこで、本発明は、空調室の換気を促す報知を適切に行う空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、空調室の換気を促す報知を行う報知部と、第1の所定条件が成立したときに、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の所定条件が成立したときであっても、第2の所定条件が成立したときには、前記報知部による前記報知を行わせないこととした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、空調室の換気を促す報知を適切に行う空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る空気調和機の室内機、室外機、及びリモコンの正面図である。
図2】第1実施形態に係る空気調和機の冷媒回路を含む構成図である。
図3】第1実施形態に係る空気調和機の室内機における、図1のIII-III線矢視断面図である。
図4】第1実施形態に係る空気調和機の室外機の筐体の側板・天板を取り外した状態の斜視図である。
図5】第1実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図6】第1実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図7A】第1実施形態に係る空気調和機において、空調運転中に換気が行われていない状態の説明図である。
図7B】第1実施形態に係る空気調和機において、空調運転中に換気が行われている状態の説明図である。
図8】第2実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図9】第3実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図10】第3実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図11】第4実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図12】第5実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図13】第6実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図14】第6実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図15】第7実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図16】第7実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図17】第8実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図18】第8実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである。
図19】変形例に係る空気調和機の室内機が備えるフィルタ及びフィルタ清掃部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100の室内機20、室外機40、及びリモコン60の正面図である。
空気調和機100は、冷房運転や暖房運転等の空調を行う機器である。図1に示すように、空気調和機100は、室内(空調室)に設置される室内機20と、屋外に設置される室外機40と、ユーザによって操作されるリモコン60と、を備えている。
【0010】
室内機20は、リモコン送受信部21と、撮像部22(人検知部)と、表示ランプ23(報知部)と、を備えている。
リモコン送受信部21は、赤外線通信等によって、リモコン60との間で所定の情報をやり取りする。前記した情報として、運転/停止指令や、運転モードの変更の他、設定温度の変更、タイマの設定等が挙げられる。
【0011】
撮像部22は、空調室を撮像するものであり、室内機20に設けられている。
表示ランプ23は、空調運転等に関する所定の表示を行うものであり、室内機20に設けられている。なお、図1では省略しているが、室内機20と室外機40とは冷媒配管を介して接続されるとともに、通信線を介して接続されている。
【0012】
図2は、空気調和機100の冷媒回路50を含む構成図である。
なお、図2の実線矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
一方、図2の破線矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
図2に示すように、空気調和機100は、圧縮機11と、室外熱交換器12と、室外ファン13と、膨張弁14と、を備えている。また、空気調和機100は、前記した構成の他に、室内熱交換器15と、室内ファン16と、四方弁17と、を備えている。
【0013】
圧縮機11は、冷媒を圧縮する機器である。すなわち、圧縮機11は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器であり、駆動源である圧縮機モータ11aを備えている。このような圧縮機11として、スクロール圧縮機やロータリ圧縮機等が用いられる。なお、図2では図示を省略しているが、圧縮機11の吸込側には、冷媒の気液分離を行うアキュムレータ36(図4参照)が設けられている。
【0014】
室外熱交換器12は、その伝熱管12b(図4参照)を通流する冷媒と、室外ファン13によって送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
室外ファン13は、室外熱交換器12に外気を送り込むファンである。室外ファン13は、駆動源である室外ファンモータ13aを備え、室外熱交換器12の付近に設けられている。
膨張弁14は、「凝縮器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の一方)で凝縮した冷媒を減圧する弁である。なお、膨張弁14で減圧された冷媒は、「蒸発器」(室外熱交換器12及び室内熱交換器15の他方)に導かれる。
【0015】
室内熱交換器15は、その伝熱管15b(図3参照)を通流する冷媒と、室内ファン16によって送り込まれる室内空気(空調室の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。
室内ファン16は、室内熱交換器15を介して、空調室に空気を送り込むファンである。室内ファン16は、駆動源である室内ファンモータ16c(図5参照)を備え、室内熱交換器15の付近に設けられている。
【0016】
四方弁17は、空気調和機100の運転モードに応じて、冷媒の流路を切り替える弁である。例えば、冷房運転時(図2の破線矢印を参照)には、冷媒回路50において、圧縮機11、室外熱交換器12(凝縮器)、膨張弁14、及び室内熱交換器15(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。一方、暖房運転時(図2の実線矢印を参照)には、冷媒回路50において、圧縮機11、室内熱交換器15(凝縮器)、膨張弁14、及び室外熱交換器12(蒸発器)を順次に介して、冷媒が循環する。
【0017】
図2の例では、圧縮機11、室外熱交換器12、室外ファン13、膨張弁14、及び四方弁17が、室外機40に設置されている。一方、室内熱交換器15や室内ファン16は、室内機20に設置されている。
【0018】
図3は、室内機20における、図1のIII-III線矢視断面図である。
図3に示す室内機20は、前記した室内熱交換器15や室内ファン16の他に、ドレンパン18と、筐体ベース19と、フィルタ20a,20bと、を備えている。さらに、室内機20は、前面パネル24と、左右風向板25と、上下風向板26と、を備えている。
【0019】
室内熱交換器15は、複数のフィン15aと、これらのフィン15aを貫通する複数の伝熱管15bと、を備えている。図3の例では、室内熱交換器15は、縦断面視で逆V状を呈している。
室内ファン16は、例えば、円筒状のクロスフローファンであり、駆動源である室内ファンモータ16c(図5参照)を備えている。図3に示すように、室内ファン16は、室内熱交換器15の付近に設けられている。
【0020】
ドレンパン18は、室内熱交換器15の結露水を受けるものであり、室内熱交換器15の下側に配置されている。
筐体ベース19は、室内熱交換器15や室内ファン16の他、フィルタ20a,20b等が設置される筐体である。
【0021】
フィルタ20a,20bは、室内ファン16の駆動に伴って、室内熱交換器15に向かう空気から塵埃を捕集するものである。一方のフィルタ20aは室内熱交換器15の前側に配置され、他方のフィルタ20bは室内熱交換器15の上側に配置されている。
前面パネル24は、前側のフィルタ20aを覆うように設置されるパネルであり、下端部を軸として前側に回動可能になっている。なお、前面パネル24が回動しない構成であってもよい。
【0022】
左右風向板25は、室内機20から吹き出される空気の左右方向の風向きを調整する板状部材であり、左右風向板用モータ25a(図5参照)によって左右方向に回動するようになっている。
上下風向板26は、室内機20から吹き出される空気の上下方向の風向きを調整する板状部材であり、上下風向板用モータ26a(図5参照)によって上下方向に回動するようになっている。
【0023】
空気吸込口27a,27bを介して吸い込まれた空気は、室内熱交換器15の伝熱管15bを通流する冷媒と熱交換し、熱交換した空気が吹出風路28に導かれる。そして、吹出風路28を通流する空気は、左右風向板25及び上下風向板26によって所定方向に導かれ、さらに、空気吹出口29を介して室内に吹き出される。
【0024】
図4は、室外機40の筐体41の側板・天板を取り外した状態の斜視図である。
なお、図4では、膨張弁14(図2参照)や四方弁17(図2参照)の図示を省略している。
図4に示す筐体41には、圧縮機11や室外熱交換器12、室外ファン13の他、アキュムレータ36や電装品ボックス43が設けられている。具体的には、平面視でL字状を呈する室外熱交換器12が、筐体41の底板41aに設置されている。室外熱交換器12は、所定の隙間を空けて配置される多数のフィン12aと、これらのフィン12aを貫通する複数の伝熱管12bと、を備えている。そして、伝熱管12bを介して、冷媒が所定に蛇行しながら通流するようになっている。
【0025】
図4に示す仕切板42は、筐体41内の空間を、圧縮機11やアキュムレータ36が設けられる機械室R1と、室外ファン13が設けられるファン室R2と、に仕切る金属製の板である。
電装品ボックス43は、後記する室外制御回路35(図5参照)の回路基板を収容する箱であり、仕切板42の上側に設けられている。
【0026】
図5は、空気調和機100の機能ブロック図である。
図5に示すように、室内機20は、リモコン送受信部21(図1も参照)や撮像部22(図1も参照)等を備えている。撮像部22は、前記したように、空調室を撮像するものであり、所定の撮像素子(図示せず)を備えている。このような撮像素子として、例えば、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる。その他にも、撮像部22として、空調室の熱画像を生成するサーモパイル等が用いられてもよい。撮像部22で生成された撮像画像情報は、室内制御回路33に出力される。
【0027】
さらに、室内機20は、前記した室内ファンモータ16cと、左右風向板用モータ25aと、上下風向板用モータ26aと、表示ランプ23(報知部:図1も参照)と、を備えている他、室内温度センサ31と、スピーカ32(報知部)と、室内制御回路33と、を備えている。
【0028】
室内温度センサ31は、室内温度(空調室の温度)を検出するセンサであり、例えば、室内熱交換器15(図2参照)の空気吸込側に設置されている。室内温度センサ31の検出値は、室内制御回路33に出力される。
表示ランプ23は、室内制御回路33からの指令に基づいて、所定に点灯又は点滅するようになっている。スピーカ32は、室内制御回路33からの指令に基づいて、所定の音(音声を含む)を発するようになっている。なお、表示ランプ23及びスピーカ32は、空調室の換気を促す報知を行う「報知部」として機能する。
【0029】
室内制御回路33は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0030】
図5に示すように、室内制御回路33は、記憶部33aと、室内制御部33bと、を備えている。記憶部33aには、リモコン送受信部21を介して受信したデータや、撮像部22から入力されるデータの他、各センサの検出値等が格納される。室内制御部33bは、記憶部33aのデータに基づいて、室内ファンモータ16c、左右風向板用モータ25a、上下風向板用モータ26a、表示ランプ23、スピーカ32等を制御する。
【0031】
図5に示すように、室内制御部33bは、人検出部331b(人検知部)と、二酸化炭素濃度算出部332bと、を備えている。人検出部331bは、撮像部22の撮像結果に基づいて、空調室にいる人(在室者)を検出する。なお、空調室の在室者を検知する「人検知部」は、撮像部22と、人検出部331bと、を含んで構成される。
二酸化炭素濃度算出部332bは、人検出部331bの検出結果等に基づいて、空調室の二酸化炭素濃度を算出する。なお、人検出部331bや二酸化炭素濃度算出部332bが実行する処理については後記する。
【0032】
室外機40は、前記した圧縮機モータ11aや室外ファンモータ13a、膨張弁14、四方弁17の他に、室外温度センサ34と、室外制御回路35と、を備えている。
室外温度センサ34は、室外温度(外気の温度)を検出するセンサであり、室外機40の所定箇所に設置されている。なお、図5では省略しているが、室外機40は、圧縮機11(図1参照)の吐出温度等を検出する他のセンサも備えている。これらの各センサの検出値は、室外制御回路35に出力される。
【0033】
室外制御回路35は、図示はしないが、CPU、ROM、RAM、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成され、通信線を介して室内制御回路33に接続されている。図5に示すように、室外制御回路35は、記憶部35aと、室外制御部35bと、を備えている。
【0034】
記憶部35aには、所定のプログラムや各センサの検出値の他、室内制御回路33から受信したデータ等が格納される。室外制御部35bは、記憶部35aのデータに基づいて、圧縮機モータ11a、室外ファンモータ13a、膨張弁14、四方弁17等を制御する。なお、室内制御回路33及び室外制御回路35を総称して、制御部30という。
【0035】
<室内の換気について>
例えば、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスといった感染性の病原体が室内(空調室)に存在する場合でも、室内の換気が十分に行われることで、人を介した感染が抑制される。また、室内の換気が行われることで、室内の空気の二酸化炭素濃度が低下する一方、酸素濃度が上がるという利点もある。
【0036】
しかしながら、例えば、冷房運転中にユーザが窓を開けて換気を行った場合、高温の外気が窓を介して室内に入り込むため、ユーザにとっての快適性が損なわれることがある。したがって、室内の換気を促す報知を不必要に行わない(つまり、報知を適切に行う)ことが望ましい。そこで、第1実施形態では、次に説明するように、室外温度が所定範囲外である場合には、制御部30が換気を促す報知を行わないようにしている。
【0037】
<制御部の処理>
図6は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図2図5を参照)。
なお、図6の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。
また、図6の「START」時において、空調室では窓やドアを介した換気は特に行われていないものとする。窓やドアを介した換気の有無については、例えば、空調室の温度や湿度の変化速度に基づいて判定することが可能である他、撮像部22の撮像結果に基づいて、窓やドアの開閉状態を認識することも可能である。
【0038】
ステップS101において制御部30は、撮像部22の撮像結果を読み込む。この撮像結果(つまり、撮像画像情報)には、撮像部22の各画素の輝度に関するデータが含まれている。
【0039】
ステップS102において制御部30は、撮像部22の撮像結果(撮像画像情報)に基づき、人検出部331bによって、空調室の人を検出する。例えば、制御部30は、撮像部22の撮像結果に基づいて、人の頭部、胸部、腕、足等を抽出し、抽出した各部の位置関係に基づいて人を検出する。なお、撮像画像情報に基づく人の検出については周知であるから、詳細な説明を省略する。
【0040】
ステップS103において制御部は30、空調室の二酸化炭素濃度αを算出する。二酸化炭素濃度αを算出する際、制御部30は、空調室の容積を算出するとともに、それぞれの在室者の活動量を算出する。その具体例を挙げると、制御部30は、まず、空調室において隣接している壁同士の稜線や、壁と床との間の稜線を抽出する。そして、制御部30は、撮像画像における各稜線の位置や画素数の他、撮像部22の傾斜角度や室内機20の標準的な設置高さに基づいて、空調室の床面積を算出する。そして、制御部30は、前記した床面積に空調室の標準的な天井高さを乗算することで、空調室の容積を算出する。なお、空調室の容積の算出方法は、これに限定されるものではない。
【0041】
また、制御部30は、それぞれの在室者の活動量を算出する。具体的には、制御部30は、在室者の移動軌跡に基づいて、単位時間ごとの在室者の移動距離(つまり、移動速度)を算出する。そして、制御部30は、単位時間ごとの在室者の移動距離に基づいて、在室者の活動量を算出する。なお、「活動量」とは、人の単位表面積あたりの代謝量のことである。この活動量が大きいほど、在室者の単位時間当たりの呼吸回数や1回分の呼吸量も多くなるため、空調室の二酸化炭素濃度αが高くなりやすい傾向がある。そして、制御部30は、空調室の容積と、それぞれの在室者の活動量と、に基づいて、空調室の二酸化炭素濃度αを算出する。
【0042】
ステップS104において制御部30は、第1の所定条件として、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上であるか否かを判定する。なお、所定値α1は、空調室の換気を促す報知(S107)を行うか否かの判定基準となる二酸化炭素濃度の閾値であり、予め設定されている。ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1未満である場合(S104:No)、制御部30の処理はステップS101に戻る。この場合には、空調室の二酸化炭素濃度αが比較的低いため、仮に、在室者によって吐き出された呼気にウイルス等が含まれていたとしても、ウイルスの分布の密度が比較的低い。したがって、在室者が空調室の換気を行う必要は特にない。
【0043】
一方、ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30の処理はステップS105に進む。つまり、前記した「第1の所定条件」が成立した場合、制御部30の処理はステップS105に進む。
ステップS105において制御部30は、室外温度Toを読み込む。なお、室外温度Toは、前記したように、室外温度センサ34(図5参照)によって検出される。
次に、ステップS106において制御部30は、第2の所定条件として、室外温度Toが所定範囲外であるか否かを判定する。この所定範囲は、換気を促す報知を行うか否かの判定基準となる室外温度Toの範囲であり、予め設定されている。
【0044】
ステップS106において室外温度Toが所定範囲外である場合(S106:Yes)、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、制御部30は、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上であっても(S104:Yes)、室外温度Toが所定範囲外であるときには(S106:Yes)、空調室の換気を促す報知を行わないようにする。換言すると、制御部30は、前記した「第1の所定条件」が成立したときであっても(S104:Yes)、「第2の所定条件」が成立したときには(S106:Yes)、表示ランプ23(報知部)やスピーカ32(報知部)による報知を行わせない。
【0045】
例えば、室外温度Toが所定範囲の上限値よりも高い状況で、仮に、ユーザが窓を開けた場合、空調で冷やされた空気が窓を介して出ていく一方、高温の外気が空調室に入り込む。このような状況で制御部30が換気を促す報知を行ったとしても、ユーザが報知自体を不快に感じるに留まり、換気を行わない(つまり、空調室の窓やドアを開けない)可能性が高い。なお、室外温度Toが所定範囲の下限値よりも低い場合についても同様のことがいえる。
【0046】
そこで、第1実施形態では、室外温度Toが所定範囲外である場合には(S106:No)、制御部30が、換気を促す報知を行わないようにしている。これによって、ユーザにとっての快適性を維持できる他、消費電力量の増加を抑制できる。このように、制御部30は、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関して、第2の所定条件が成立したときには、表示ランプ23(報知部)やスピーカ32(報知部)による報知を行わないようにする。
【0047】
なお、第1実施形態では、前記した「第2の所定条件」として、室外温度Toが所定範囲外である(S106:Yes)、という条件を用いている。これによって、換気を促す報知が不必要に行われることが抑制されるため、ユーザにとっての快適性が高められる。
【0048】
また、ステップS106において室外温度Toが所定範囲内である場合(S106:No)、制御部30の処理はステップS107に進む。
ステップS107において制御部30は、換気を促す報知を行う。例えば、制御部30は、表示ランプ23を所定に点灯(又は点滅)させつつ、窓やドアを開けて換気を行うことを勧める内容の音声をスピーカ32から出力する。すなわち、制御部30は、撮像部22の撮像結果に基づいて、表示ランプ23(報知部)やスピーカ32(報知部)に換気を促す報知を行わせる。これによって、在室者は、空調室の換気を行った方がよいことを把握できる。
【0049】
なお、室外温度Toは所定範囲内であるため(S106:No)、ユーザが窓やドアを開けて換気を行っても、ユーザにとっての快適性が損なわれる可能性は低い。ステップS107の処理を行った後、制御部30は、一連の処理を終了する(END)。
【0050】
図7Aは、空調運転中に換気が行われていない状態の説明図である。
図7Aの例では、空調室に3人の在室者M1,M2,M3がおり、窓W1が閉められた状態で所定の空調運転が行われている。このような状態が長時間続くと、在室者M1,M2,M3の呼気が空調室に留まるため、空調室R10の二酸化炭素濃度が徐々に増加する。ただし、第1実施形態では、室外温度Toが所定範囲外である場合には(図6のS106:Yes)、制御部30が、換気を促す報知を敢えて行わないようにしている。
【0051】
図7Bは、空調運転中に換気が行われている状態の説明図である。
図7Bの例では、在室者M1が窓W1を開けている他、別の在室者M2がドアD1を開けることで、換気が行われている。これによって、空調室R10の空気が入れ替わるため、二酸化炭素濃度が低下する他、在室者M1,M2,M3の間でウイルスの感染が生じることを抑制できる。
【0052】
<効果>
第1実施形態によれば、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上であって(図6のS104:Yes)、室外温度Toが所定範囲内であるとき(S106:No)、制御部30は、空調室の換気を促す報知を行う(S107)。このような報知に気付いた在室者が窓やドアを開けて換気を行うことで、ウイルスの感染を抑制できる他、二酸化炭素濃度を低くすることができる。
【0053】
また、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上であって(図6のS104:Yes)、室外温度Toが所定範囲外であるときには(S106:Yes)、制御部30は、空調室の換気を促す報知を行わない。これによって、例えば、夏季に室外温度が非常に高い状況や、冬季に室外温度が非常に低い状況では、換気を促す報知が不必要に行われないため、ユーザにとっての快適性を高めることができる。このように、第1実施形態によれば、空調室の換気を促す報知を適切に行う空気調和機100を提供できる。
【0054】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、室外温度と室内温度との差の絶対値が所定値以上である場合、制御部30が換気を促す報知を行わないようにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(空気調和機100の構成等:図2図5参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0055】
図8は、第2実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図5を参照)。
なお、図8の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図8のステップS101~S104については、第1実施形態(図6参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0056】
ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30の処理はステップS105aに進む。つまり、第1の所定条件が成立した場合、制御部30の処理はステップS105aに進む。
ステップS105aにおいて制御部30は、室外温度To及び室内温度Tiを読み込む。前記したように、室外温度Toは、室外温度センサ34(図5参照)によって検出される。一方、室内温度Tiは、室内温度センサ31(図5参照)によって検出される。
【0057】
次に、ステップS106aにおいて制御部30は、第2の所定条件として、室外温度Toと室内温度Tiとの差の絶対値(|To-Ti|)が所定値以上であるか否かを判定する。なお、所定値は、換気を促す報知を行うか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
ステップS106aにおいて、室外温度Toと室内温度Tiとの差の絶対値(|To-Ti|)が所定値以上である場合(S106a:Yes)、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、前記した「第2の所定条件」が成立している場合、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わないようにする。
【0058】
例えば、冷房運転中、室外温度Toよりも室内温度Tiのほうが所定値以上低い状態で換気を促す報知を行った場合、仮に、ユーザが窓を開けたとすると、ユーザにとっての快適性が損なわれる。また、このような状況で制御部30が換気を促す報知を行ったとしても、ユーザが報知自体を不快に感じるに留まり、換気を行わない(つまり、窓やドアを開けない)可能性が高い。なお、暖房運転中に室外温度Toよりも室内温度Tiのほうが所定値以上高い場合についても同様のことがいえる。
【0059】
そこで、第2実施形態では、室外温度Toと室内温度Tiとの差の絶対値(|To-Ti|)が所定値以上である場合(S106a:Yes)には、制御部30が、換気を促す報知を行わないようにしている。これによって、換気を促す報知が不必要に行われることが抑制されるため、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0060】
このように、第2実施形態では、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、空調室の温度(室内温度Ti)と外気の温度(室外温度To)との差の絶対値が所定値以上である(S106a:Yes)、という条件を用いている。
【0061】
また、図8のステップS106aにおいて、室外温度Toと室内温度Tiとの差の絶対値(|To-Ti|)が所定値未満である場合(S106a:No)、制御部30の処理はステップS107に進む。
ステップS107において制御部30は、換気を促す報知を行った後、一連の処理を終了する(END)。
【0062】
<効果>
第2実施形態によれば、室外温度Toと室内温度Tiとの差の絶対値が所定値以上である場合(図8のS106a:Yes)、制御部30は、換気を促す報知を行わない。これによって、例えば、夏季や冬季に室外温度と室内温度との差(絶対値)が非常に大きい状況では、換気を促す報知が不必要に行われないため、ユーザにとっての快適性を高めることができる。
【0063】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、室内機20A(図9参照)に照度センサ37(図9参照)が設けられている点が、第1実施形態とは異なっている。また、第3実施形態は、空調室の照度が所定値以下である場合、制御部30(図9参照)が、換気を促す報知を行わないようにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0064】
図9は、第3実施形態に係る空気調和機100Aの機能ブロック図である。
図9に示す空気調和機100Aは、第1実施形態(図5参照)の構成に加えて、照度センサ37を備えている。照度センサ37は、空調室の照度を検出するセンサであり、室内機20Aに設けられている。照度センサ37の検出値は、室内制御回路33に出力される。
【0065】
図10は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図9を参照)。
なお、図10の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図10のステップS101~S104については、第1実施形態(図6参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0066】
ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30の処理はステップS105bに進む。つまり、第1の所定条件が成立した場合、制御部30の処理はステップS105bに進む。
ステップS105bにおいて制御部30は、空調室の照度Eを読み込む。前記したように、空調室の照度Eは、照度センサ37(図8参照)によって検出される。
次に、ステップS106bにおいて制御部30は、第2の所定条件として、空調室の照度Eが所定値以下であるか否かを判定する。なお、所定値は、換気を促す報知(S107)を行うか否かの判定基準となる閾値であり、予め設定されている。
【0067】
ステップS106bにおいて、空調室の照度Eが所定値以下である場合(S106b:Yes)、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、前記した「第2の所定条件」が成立している場合、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わないようにする。
例えば、夜間に空調室の照明がオフ状態であるときには、空調室が暗いため、照度Eが所定値以下になる。このような場合、空調室には人がいなかったり、ユーザが就寝していたりする可能性が高い。このような状態で換気を促す報知が行われると、ユーザが目を覚まして不快に感じる可能性があり、また、ユーザが報知に気付いても換気を行わない可能性が高い。したがって、第3実施形態では、空調室の照度Eが所定値以下である場合(S106b:Yes)、制御部30が、換気を促す報知を行わないようにしている。
【0068】
このように、第3実施形態では、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、照度センサ37によって検出される照度が所定値E以下である(S106b:Yes)、という条件を用いている。
【0069】
また、図10のステップS106bにおいて、空調室の照度Eが所定値よりも高い場合(S106b:No)、制御部30の処理はステップS107に進む。
ステップS107において制御部30は、換気を促す報知を行った後、一連の処理を終了する(END)。
【0070】
<効果>
第3実施形態によれば、空調室の照度Eが所定値以下である場合(図10のS106b:Yes)、制御部30は、換気を促す報知を行わない。これによって、就寝しているユーザの快適性が損なわれることを防止できる他、誰もいない空調室で換気を促す報知が不必要に行われることを防止できる。
【0071】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、おやすみモードの実行中である場合、制御部30が、換気を促す報知を行わないようにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(空気調和機100の構成等:図2図5参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0072】
図11は、第4実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図5を参照)。
なお、図11の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図11のステップS101~S104については、第1実施形態(図6参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0073】
ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30の処理はステップS106cに進む。つまり、第1の所定条件が成立した場合、制御部30の処理はステップS106cに進む。
ステップS106cにおいて制御部30は、第2の所定条件として、おやすみモードの実行中であるか否かを判定する。ここで、「おやすみモード」とは、圧縮機11(図2参照)及び室内ファン16(図2参照)のうち少なくとも一方の回転速度を通常の空調運転時よりも小さくして、騒音を抑制する運転モードであり、ユーザが就寝している時間帯に実行される。
【0074】
ステップS106cにおいて、おやすみモードの実行中である場合(S106c:Yes)、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、前記した「第2の所定条件」が成立している場合、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わないようにする。おやすみモードの実行中に換気を促す報知を行うと、就寝中のユーザが目を覚ます可能性があり、また、ユーザが報知に気付いても、遅い時間帯に窓やドアを開けて換気を行う可能性は低いからである。
【0075】
このように、第4実施形態では、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、おやすみモードの実行中である(S106c:Yes)、という条件を用いている。
【0076】
また、図11のステップS106cにおいて、おやすみモードの実行中でない場合(S106c:No)、制御部30の処理はステップS107に進む。この場合には、ユーザが就寝している可能性は低いため、換気を促す報知を行ってもユーザが不快に感じる可能性は低い。
ステップS107において制御部30は、換気を促す報知を行った後、一連の処理を終了する(END)。
【0077】
<効果>
第4実施形態によれば、おやすみモードの実行中である場合(S106c:Yes)、制御部30は、換気を促す報知を行わない。これによって、就寝中のユーザの快適性が損なわれることを防止できる。
【0078】
≪第5実施形態≫
第5実施形態は、空調室に人がいない場合、制御部30が換気を促す報知を行わないようにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点(空気調和機100の構成等:図2図5参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0079】
図12は、第5実施形態に係る空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図5を参照)。
なお、図12の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図12のステップS101~S104については、第1実施形態(図6参照)と同様であるが、ステップS102の処理(空調室の人を検出)には、空調室に人がいないことの検知も含まれるものとする。
【0080】
ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30の処理はステップS106dに進む。つまり、第1の所定条件が成立した場合、制御部30の処理はステップS106dに進む。
ステップS106dにおいて制御部30は、第2の所定条件として、空調室に人がいないか否かを判定する。空調室に人がいない場合(S106d:Yes)、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、前記した「第2の所定条件」が成立している場合、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わないようにする。換気を促す報知を行っても、空調室に人がいないため、実際に換気が行われる可能性がほとんどないからである。
【0081】
このように、第5実施形態では、換気を促す報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の報知に関する「第2の所定条件」として、「人検知部」(撮像部22及び人検出部331b:図5参照)に基づいて、空調室に人がいないことが検知される(S106d:Yes)、という条件を用いている。なお、撮像部22に限られず、他の人検知部(例えば、赤外線センサ)の検知結果に基づいて、空調室に人がいないことを検知してもよい。
【0082】
また、ステップS106dにおいて、空調室に人がいる場合(S106d:No)、制御部30の処理はステップS107に進む。
ステップS107において制御部30は、換気を促す報知を行った後、一連の処理を終了する(END)。これによって、換気を行った方がよいことを空調室にいる人に気付かせることができる。
【0083】
<効果>
第5実施形態によれば、空調室に人がいない場合(S106d:Yes)、制御部30は、換気を促す報知を行わない。これによって、換気を促す報知が不必要に行われることを防止できる。
【0084】
≪第6実施形態≫
第6実施形態は、サーバ70(図13参照)から気象情報を取得する情報取得部38(図13参照)が室内機20B(図13参照)に設けられている点が、第1実施形態とは異なっている。また、第6実施形態は、現在の天気が雨、雪、又は強風である場合、制御部30が換気を促す報知を行わない点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0085】
図13は、第6実施形態に係る空気調和機100Bの機能ブロック図である。
図13に示す空気調和機100Bは、第1実施形態(図5参照)の構成に加えて、情報取得部38を備えている。情報取得部38は、サーバ70からネットワーク(図示せず)を介して、室内機20Bの設置場所を含む地域の気象情報を取得する。情報取得部38で取得された気象情報は、室内制御回路33に出力される。
【0086】
図14は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図13を参照)。
なお、図14の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図14のステップS101~S104については、第1実施形態(図6参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0087】
ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30の処理はステップS105eに進む。つまり、第1の所定条件が成立した場合、制御部30の処理はステップS105eに進む。
ステップS105eにおいて制御部30は、情報取得部38で取得した気象情報を読み込む。この気象情報には、室内機20Bの設置場所を含む地域の現在の天気(又は直近の天気)に関するデータが含まれている。
【0088】
次に、ステップS106eにおいて制御部30は、第2の所定条件として、室内機20Bの設置場所を含む地域の現在の天気が雨、雪、又は強風であるか否かを判定する。現在の天気が雨、雪、又は強風である場合(S106e:Yes)、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、前記した「第2の所定条件」が成立している場合、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わないようにする。仮に、ユーザが窓を開けて換気を行った場合、雨や雪や強風が空調室に吹き込む可能性が高いからである。このような状況で制御部30が換気を促す報知を行ったとしても、ユーザが報知自体を不快に感じるに留まり、換気を行わない可能性が高い。
【0089】
このように、第6実施形態では、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、気象情報に基づく地域(室内機20Bの設置場所を含む地域)の天気が雨、雪、又は強風である(S106e:Yes)、という条件を用いている。
【0090】
また、図14のステップS106eにおいて、現在の天気が雨、雪、及び強風のいずれにも該当しない場合(S106e:No)、制御部30の処理はステップS107に進む。
ステップS107において制御部30は、換気を促す報知を行った後、一連の処理を終了する(END)。
【0091】
<効果>
第6実施形態によれば、現在の天気が雨、雪、又は強風である場合(S106e:Yes)、制御部30は、換気を促す報知を行わない。これによって、開かれた窓を介して雨や雪や強風が空調室に吹き込むことを防止し、ひいては、ユーザにとっての快適性が損なわれることを防止できる。
【0092】
≪第7実施形態≫
第7実施形態は、ユーザの携帯端末80(図15参照)との間でデータのやり取りを行う端末用送受信部39(図15参照)が室内機20C(図15参照)に設けられている点が、第1実施形態とは異なっている。また、第7実施形態は、ユーザの携帯端末80から遠隔操作信号を受信した場合、制御部30が換気を促す報知を行わないようにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0093】
図15は、第7実施形態に係る空気調和機の機能ブロック図である。
図15に示す空気調和機100Cは、第1実施形態(図5参照)の構成に加えて、端末用送受信部39を備えている。端末用送受信部39は、携帯電話やスマートフォン、タブレット等のユーザの携帯端末80との間で情報を所定にやり取りする。端末用送受信部39が受信した情報は、室内制御回路33に出力される。
【0094】
図16は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図15を参照)。
なお、図16の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図16のステップS101~S104については、第1実施形態(図6参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0095】
ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30の処理はステップS106fに進む。つまり、第1の所定条件が成立した場合、制御部30の処理はステップS105aに進む。
ステップS106fにおいて制御部30は、第2の所定条件として、携帯端末80から所定の遠隔操作があったか否かを判定する。その具体例として、制御部30は、空調運転の開始又は停止の遠隔操作信号を携帯端末80から受信してから所定時間が経過していないか否かを判定する。
【0096】
ステップS106fにおいて携帯端末80から所定の遠隔操作があった場合(S106f:Yes)、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、前記した「第2の所定条件」が成立している場合、制御部30は、換気を促す報知(S107)を行わないようにする。この場合において、ユーザが携帯端末80を持って屋外に出かけていてもよいし、また、携帯端末80を持っているユーザが空調室にいてもよい。
【0097】
例えば、空調運転を開始する旨の遠隔操作信号が屋外の携帯端末80から出された場合、まもなくユーザが帰宅する可能性が高い。また、空調運転を停止する旨の遠隔操作信号が屋外の携帯端末80から出された場合、ユーザが外出する際に空調運転を停止し忘れていて、外出後に気付いた可能性が高い。これらの遠隔操作が行われた時点では、通常、空調室に誰もいないことが多いため、換気を促す報知を行っても、実際に換気が行われる可能性は低い。
【0098】
また、空調運転を開始する旨の遠隔操作信号が空調室の携帯端末80から出された場合、空調運転の開始直後に換気を促す旨の報知を行うと、ユーザが報知自体を不快に感じるに留まり、換気を行わない可能性が高い。また、空調運転を停止する旨の遠隔操作信号が空調室の携帯端末80から出された場合、その後に空調室において人がいなくなることが多いため、換気を促す報知を行っても、実際に換気が行われる可能性は低い。したがって、第7実施形態では、空調運転の開始又は停止の遠隔操作信号をユーザの携帯端末80から受信した場合(S106f:Yes)、制御部30が換気を促す報知を行わないようにしている。
【0099】
このように、第7実施形態では、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、空調運転の開始又は停止の遠隔操作信号をユーザの携帯端末80から受信する(S106f:Yes)、という条件を用いている。
【0100】
また、図16のステップS106fにおいて、携帯端末80から遠隔操作がない場合(S106f:No)、制御部30の処理はステップS107に進む。
ステップS107において制御部30は、換気を促す報知を行った後、一連の処理を終了する(END)。
【0101】
<効果>
第7実施形態によれば、ユーザの携帯端末80から所定の遠隔操作信号を受信した場合(図16のS106f:Yes)、制御部30は、換気を促す旨の報知を行わない。これによって、換気を促す旨の報知が不必要に行われることを防止できる。
【0102】
≪第8実施形態≫
第8実施形態は、室内制御部33Db(図17参照)が時間帯特定部333b(図17参照)を備えている点が、第1実施形態とは異なっている。また、第8実施形態は、夏の昼間の他、冬の朝や夜間には、制御部30が換気を促す報知を行わないようにする点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0103】
図17は、第8実施形態に係る空気調和機100Dの機能ブロック図である。
図17に示す空気調和機100Dの室内制御部33Dbは、第1実施形態(図5参照)の構成に加えて、時間帯特定部333bを備えている。時間帯特定部333bは、現在の日付(年・月・日)及び時間帯を特定する機能を有している。このような時間帯特定部333bとして、Wi-Fi(登録商標)等の所定の通信機能が用いられてもよい。時間帯特定部333bによって特定された日付や時間帯の情報は、記憶部33aに格納される。
【0104】
図18は、空気調和機の制御部が実行する処理のフローチャートである(適宜、図17を参照)。
なお、図18の「START」時において、冷房運転や暖房運転といった所定の空調運転が行われていてもよいし、また、空調運転が停止されている状態であってもよい。また、図18のステップS101~S104については、第1実施形態(図6参照)と同様であるから、説明を省略する。
【0105】
ステップS104において、空調室の二酸化炭素濃度αが所定値α1以上である場合(S104:Yes)、制御部30Dの処理はステップS105gに進む。つまり、第1の所定条件が成立した場合、制御部30Dの処理はステップS105gに進む。
ステップS105gにおいて制御部30Dは、時間帯特定部333bによって、現在の日付及び時間帯を特定する。なお、時間帯の特定には、現在時刻が所定の時間帯に含まれるか否かの判定も含まれている。
【0106】
次に、ステップS1061において制御部30Dは、第2の所定条件として、現在が夏の昼間であるか否かを判定する。なお、どの期間(日付)が「夏」に該当し、また、どの時間帯が「昼間」に該当するかは、予め設定されている。ステップS1061において、現在が夏の昼間である場合(S1061:Yes)、制御部30Dは、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。つまり、前記した「第2の所定条件」が成立している場合、制御部30Dは、換気を促す報知(S107)を行わないようにする。仮に、夏の昼間にユーザが窓を開けて換気を行った場合、高温の外気が窓を介して空調室に入り込む。このような状況で制御部30Dが換気を促す報知を行ったとしても、ユーザが報知自体を不快に感じるに留まり、換気を行わない可能性が高い。
【0107】
一方、ステップS1061において、現在が夏の昼間でない場合(S1061:No)、制御部30Dの処理はステップS1062に進む。
ステップS1062において制御部30Dは、現在が冬の朝又は夜間であるか否かを判定する。なお、どの期間(日付)が「冬」に該当し、また、どの時間帯が「朝」や「夜間」に該当するかは、予め設定されている。ステップS1062において、現在が冬の朝又は夜間である場合(S1062:Yes)、制御部30Dは、換気を促す報知(S107)を行わずに、一連の処理を終了する(END)。冬の朝や夜間に制御部30Dが換気を促す報知を行ったとしても、ユーザが報知自体を不快に感じるに留まり、換気を行わない可能性が高いからである。
【0108】
このように、第8実施形態では、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、この第2の所定条件が成立しているか否かの判定時が、夏季の昼間である(S1061:Yes)、又は、冬季の朝若しくは夜間である(S1062:Yes)、という条件を用いている。
【0109】
また、図18のステップS1062において、現在が冬の朝ではなく、さらに、冬の夜間でもない場合(S1062:No)、制御部30Dの処理はステップS107に進む。
ステップS107において制御部30Dは、換気を促す報知を行った後、一連の処理を終了する(END)。
【0110】
<効果>
第8実施形態によれば、現在が夏の昼間である場合の他(S1061:Yes)、冬の朝や夜間である場合(S1062:Yes)、制御部30Dは、換気を促す旨の報知を行わない。このように、夏の昼間の他、冬の朝や夜間に換気を促す報知が行われないようにすることで、換気を促す報知自体をユーザが不快に感じることを抑制できる。
【0111】
≪変形例≫
以上、本発明に係る空気調和機100等について各実施形態で説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第1実施形態では、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、外気の温度が所定範囲外である、という条件が用いられる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、前記した「第2の所定条件」として、空調室の温度(室内温度)が所定範囲外であるという条件が用いられてもよい。また、「第2の所定条件」として、空調室の温度(室内温度)と空調運転時の設定温度との差の絶対値が所定値以上である、という条件が用いられてもよい。このような条件を用いても、換気を促す報知が不必要に行われることを低減できる。
【0112】
また、前記した「第2の所定条件」として、空調室の温度や外気の温度、設定温度等が適宜に組み合わされてもよい。すなわち、「第2の所定条件」は、空調室の温度が所定範囲外であること、外気の温度が所定範囲外であること、空調室の温度と外気の温度との差の絶対値が所定値以上であること、及び、空調室の温度と空調運転時の設定温度との差の絶対値が所定値以上であることのうち、少なくとも一つであってもよい。
【0113】
また、前記した「第2の所定条件」(換気を促す報知を行わないか否かの判定条件)として、空調運転の開始時から所定時間が経過していないという条件が用いられてもよい。これによって、空調運転の開始直後に換気を促す報知が行われることを防止し、ひいては、換気の報知を聞いたユーザに煩わしさを感じさせることを抑制できる。
また、前記した「第2の所定条件」として、空調運転の停止時から所定時間が経過していないという条件が用いられてもよい。空調運転の停止後には、空調室から人がいなくなる可能性が高いからである。
その他にも、前記した「第2の所定条件」として、空調運転中に運転モードが変更されてから所定時間が経過していないという条件が用いられてもよい。運転モードの変更直後に換気を促す報知が行われると、ユーザが不快に感じる可能性があるからである。
【0114】
また、第8実施形態では、時間帯特定部333b(図17参照)が、現在の日付及び時間帯を特定する場合について説明したが、これに代えて、現在の季節及び時間帯を特定するようにしてもよい。この場合において、例えば、何月が「夏季」や「冬季」であるかは予め設定されているものとする。そして、現在が夏季の昼間である場合の他、冬季の朝や夜間である場合、制御部30Dは、換気を促す報知を行わないようにする。これによって、換気を促す報知でユーザが不快に感じることを抑制できる。一方、夏季の朝や夜間の他、冬季の昼間には、制御部30Dが換気を促す報知の頻度を増やすようにしてもよい。これによって、夏季の涼しい時間帯(朝又は夜間)の他、冬季の暖かい時間帯(昼間)に換気を促すことができる。
その他、現在の日付、季節、時間帯、外気の温度、室内温度、及び室内の湿度のうち少なくとも一つを「第2の所定条件」として設定し、この「第2の所定条件」に基づいて、制御部30Dが換気を促す報知を行わないようにしてもよい。
【0115】
また、前回の報知(換気を促す報知)を行ってから所定時間が経過していない場合には、空調室の二酸化炭素濃度が所定値に達しても、制御部30が換気を促す報知を行わないようにしてもよい。これによって、換気を促す報知が頻繁に行われることを抑制できる。
【0116】
また、空調室の二酸化炭素濃度が所定値に達した場合に換気を促す報知を行う第1の設定と、空調室の二酸化炭素濃度が所定値に達した場合でも換気を促す報知を行わない第2の設定と、がリモコン60(図15参照)又は携帯端末80(図15参照)の操作で切替可能となるようにしてもよい。これによって、ユーザによる設定の自由度を高めることができる。
【0117】
また、空調室の換気を促す報知が行われる頻度が、リモコン60(図15参照)又は携帯端末80(図15参照)の操作によって変更可能となるようにしてもよい。例えば、換気を促す報知の頻度の選択肢として、高・中・低の3段階が予め設定され、ユーザによるリモコン60や携帯端末80の操作によって、3段階のうちいずれかが選択されるようにしてもよい。これによって、換気を促す報知がきめ細かく行われたほうがよいといったユーザの要求に応じて、報知の頻度を適切に設定できる。
なお、換気を促す報知の頻度が高い設定が選択された場合には、制御部30によって、報知を行うか否かの判定基準となる二酸化炭素濃度の閾値(図6のS104の所定値α1)が比較的小さい値に設定される。一方、換気を促す報知の頻度が低い設定が選択された場合には、制御部30によって、二酸化炭素濃度αの閾値が比較的大きい値に設定される。
【0118】
また、各実施形態では、空調室の換気を報知する「報知部」として、表示ランプ23及びスピーカ32が用いられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、前記した「報知部」として、表示ランプ23やスピーカ32の他、リモコン60(図15参照)やユーザの携帯端末80(図15参照)のうち少なくとも一つが用いられるようにしてもよい。また、ユーザによるリモコン60又は携帯端末80の操作によって、複数種類の「報知部」のうち、換気を促す報知を実際に行うものを選択できるようにしてもよい。これによって、ユーザによる設定の自由度を高めることができる。
また、室内機20のクリーン運転の実行中でも、次に説明するように、制御部30が換気を促す報知を適宜に行うようにしてもよい。
【0119】
図19は、変形例に係る空気調和機の室内機20Eが備えるフィルタ20a,20b及びフィルタ清掃部45の斜視図である。
図19の例では、室内機20Eは、フィルタ20a,20bを清掃する可動式のフィルタ清掃部45を備えている。フィルタ清掃部45は、枠体45aと、フィルタ清掃用ブラシ45bと、フィルタ清掃用モータ(図示せず)と、を備えている。
枠体45aは、逆L字状を呈し、フィルタ20a,20bの外側に配置されている。フィルタ清掃用ブラシ45bは、フィルタ20a,20bに付着した塵埃を掻き取るブラシであり、枠体45aの内側に設置されている。そして、フィルタ清掃用モータ(図示せず)によって、枠体45aが左右方向に移動し、フィルタ20a,20bの外側の塵埃がフィルタ清掃用ブラシ45bによって掻き取られるようになっている。
このような構成において、制御部30(図5参照)は、フィルタ清掃部45によるクリーン運転の実行中であっても、空調室の二酸化炭素濃度が所定値に達し、さらに、第1実施形態等で説明した「第2の所定条件」が成立していない場合には、換気を促す報知を行うようにしてもよい。これによって、クリーン運転中も換気を促す報知を適宜に行うことができる。
また、例えば、フィルタ清掃部45によるクリーン運転の実行中である、という条件を「第2の所定条件」として設定するようにしてもよい。このような構成において、空調室の二酸化炭素濃度が所定値に達した場合でも、クリーン運転の実行中であるときには、制御部30が、換気を促す報知を行わないようにしてもよい。
【0120】
また、各実施形態では、制御部30が換気を促す報知を行うか否かの指標(第1の所定条件)として、空調室の二酸化炭素濃度が用いられる場合について説明したが、これに限らない。例えば、撮像部22の撮像結果に基づいて、人が密集している度合いを制御部30が数値化し、換気を促す報知を行う際の指標として、前記した密集度合いを用いるようにしてもよい。これによって、密集している状態の人の間でウイルスの感染が生じることを抑制できる。また、在室者の有無を検知する人検知部として赤外線センサを備え、赤外線センサの検知結果に基づいて、不特定の在室者の在室時間を計測し、換気を促す報知を行う際の指標として、前記した在室時間を用いるようにしてもよい。その他にも、制御部30が換気を促す報知を行うか否かの指標(第1の所定条件)として、空調運転の有無を用いるようにしてもよい。例えば、空調運転の実行中は、空調室に人がいることが多いため、制御部30が空調室の二酸化炭素濃度(計算値)を増加させるようにしてもよい。この場合において、撮像部22等の「人検知部」が設けられていなくても特に支障はない。
【0121】
また、ユーザが不快に感じる可能性が高い場合の報知(空調室の換気を促す報知)、及び/又は、報知を行ってもユーザが換気を行わない可能性が高い場合の当該報知に関する「第2の所定条件」として、各実施形態で説明したものは例示であり、これに限定されるものではない。
【0122】
また、各実施形態を適宜に組み合わせることも可能である。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせ、室外温度が所定範囲外であり(第1実施形態)、さらに、室外温度と室内温度との温度差の絶対値が所定値以上である場合には(第2実施形態)、制御部30が換気を促す報知を行わないようにしてもよい。
また、例えば、第5実施形態と第7実施形態とを組み合わせ、空調室が人がいない状態であって(第5実施形態)、さらに、空調運転の開始又は停止の遠隔操作信号をユーザの携帯端末80から受信した場合(第7実施形態)、制御部30が換気を促す報知を行わないようにしてもよい。なお、その他の様々な組合せも可能である。
【0123】
また、各実施形態では、室内機20(図1参照)及び室外機40(図1参照)が1台ずつ設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、並列接続された複数台の室内機を設けてもよいし、また、並列接続された複数台の室外機を設けてもよい。
また、各実施形態で説明した空気調和機100等は、壁掛型の空気調和機の他、さまざまな種類の空気調和機にも適用可能である。
【0124】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0125】
100,100A,100B,100C,100D 空気調和機
20,20A,20B,20C,20D,20E 室内機
40 室外機
50 冷媒回路
60 リモコン
11 圧縮機
12 室外熱交換器
13 室外ファン
14 膨張弁
15 室内熱交換器
16 室内ファン
17 四方弁
22 撮像部(人検知部)
23 表示ランプ(報知部)
32 スピーカ(報知部)
331b 人検出部(人検知部)
332b 二酸化炭素濃度算出部
333b 時間帯特定部
30,30D 制御部
37 照度センサ
38 情報取得部
39 端末用送受信部
60 リモコン
80 携帯端末
M1,M2,M3 在室者(人)
R10 空調室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2022-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調室の換気を促す報知を行う報知部と、
第1の所定条件が成立したときに、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の所定条件が成立したときであっても、第2の所定条件が成立したときには、前記報知部による前記報知を行わせず、
前記制御部は、空調運転の停止中に前記第1の所定条件が成立した場合において、前記第2の所定条件が成立していないとき、前記報知部に前記報知を行わせる、空気調和機。
【請求項2】
空調室の換気を促す報知を行う報知部と、
室内機のフィルタを清掃するフィルタ清掃部と、
第1の所定条件が成立したときに、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の所定条件が成立したときであっても、第2の所定条件が成立したときには、前記報知部による前記報知を行わせず、
前記制御部は、前記フィルタ清掃部による前記フィルタの清掃中でも、前記第1の所定条件が成立し、さらに、前記第2の所定条件が成立していないときには、前記報知部に前記報知を行わせる、空気調和機。
【請求項3】
空調室の換気を促す報知を行う報知部と、
室内機のフィルタを清掃するフィルタ清掃部と、
第1の所定条件が成立したときに、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第1の所定条件が成立したときであっても、第2の所定条件が成立したときには、前記報知部による前記報知を行わせず、
前記第2の所定条件は、前記フィルタ清掃部による前記フィルタの清掃中であるという条件である、空気調和機。
【請求項4】
前記第2の所定条件は、
前記空調室の温度が所定範囲外であること、
外気の温度が所定範囲外であること、
前記空調室の温度と外気の温度との差の絶対値が所定値以上であること、
及び、
前記空調室の温度と空調運転時の設定温度との差の絶対値が所定値以上であることのうち、少なくとも一つであること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空調室の照度を検出する照度センサを備え、
前記第2の所定条件は、前記照度センサによって検出される照度が所定値以下であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項6】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記空調室に空気を送り込む室内ファンと、を備え、
前記第2の所定条件は、前記圧縮機及び前記室内ファンのうち少なくとも一方の回転速度を通常の空調運転時よりも小さくするおやすみモードの実行中であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記空調室の在室者を検知する人検知部を備え、
前記第2の所定条件は、前記人検知部に基づいて、前記空調室に人がいないことが検知されることであること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記第2の所定条件は、
空調運転の開始時から所定時間が経過していないこと、
空調運転の停止時から所定時間が経過していないこと、
又は、
空調運転中に運転モードが変更されてから所定時間が経過していないことであること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項9】
室内機の設置場所を含む地域の気象情報を取得する情報取得部を備え、
前記第2の所定条件は、前記気象情報に基づく前記地域の天気が雨、雪、又は強風であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記第2の所定条件は、空調運転の開始又は停止の遠隔操作信号をユーザの携帯端末から受信することであること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項11】
日付及び時間帯を特定、又は、季節及び時間帯を特定する時間帯特定部を備え、
前記第2の所定条件は、当該第2の所定条件が成立しているか否かの判定時が、夏季の昼間である、又は、冬季の朝若しくは夜間であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項12】
室内機に設けられる表示ランプを備え、
前記制御部は、前記報知として、前記表示ランプを所定に点灯又は点滅させること
を特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の空気調和機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明に係る空気調和機は、空調室の換気を促す報知を行う報知部と、第1の所定条件が成立したときに、前記報知部に前記報知を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の所定条件が成立したときであっても、第2の所定条件が成立したときには、前記報知部による前記報知を行わせず、前記制御部は、空調運転の停止中に前記第1の所定条件が成立した場合において、前記第2の所定条件が成立していないとき、前記報知部に前記報知を行わせることとした。なお、その他については、実施形態の中で説明する。