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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175220
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ヘッドユニット、及び液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221117BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20221117BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/175 503
B41J2/14 611
B41J2/14 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081451
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽樹
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA18
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA01
2C056HA51
2C056KB19
2C057AG91
2C057AK07
2C057AN05
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】ヘッドユニットの傾斜姿勢において、流路接続部から液体が漏れた場合に、ヘッドユニットの電気部品に液体が付着するおそれがある。
【解決手段】ヘッドユニット20は、液体を噴射する噴射面18を有する液体噴射部10と、液体噴射部10と電気的に接続される回路基板部40と、10液体噴射部と回路基板部40との間に配置された流路構造体30とを備え、水平面F1に対して噴射面18が傾斜する傾斜姿勢で保持されるヘッドユニット20であって、流路構造体30と接続されると共に、流路構造体30の外部の流路部材7,8に対して着脱可能に接続される流路接続部50を有し、流路接続部50は、流路構造体30の回路基板部40と対向する面30aとは反対の面30bに配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する噴射面を有する液体噴射部と、前記液体噴射部と電気的に接続される回路基板部と、前記液体噴射部と前記回路基板部との間に配置された流路構造体とを備え、水平面に対して前記噴射面が傾斜する傾斜姿勢で保持されるヘッドユニットであって、
前記流路構造体と接続されると共に、前記流路構造体の外部の流路部材に対して着脱可能に接続される流路接続部を有し、
前記流路接続部は、前記流路構造体の回路基板部と対向する面とは反対の面に配置される、ヘッドユニット。
【請求項2】
前記流路接続部は、前記傾斜姿勢での前記噴射面と水平面との交線の延在方向に関して、前記回路基板部が配置された領域内に位置する、
請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
前記流路接続部は、前記傾斜姿勢において、重力方向に関して前記回路基板部よりも上方に配置される、
請求項1又は2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記流路接続部は、前記液体噴射部内の液体を外部へ排出可能な流路接続部を含む、
請求項3に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記流路接続部は、前記傾斜姿勢において、重力方向に関して前記回路基板部よりも下方に配置される、
請求項1又は2に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記流路構造体の外部の流路部材に対して前記流路接続部が着脱される際に、前記傾斜姿勢にされる、
請求項1~5の何れか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
前記流路接続部の開口は、前記回路基板部とは反対側に向けられている、
請求項1~6の何れか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項8】
前記流路構造体は、前記傾斜姿勢での前記噴射面と水平面との交線の延在方向である第1方向、及び、前記噴射面の法線方向である第2方向の両方と交差する第3方向に張り出す張出部を有し、
前記張出部は、前記第2方向に見て、前記流路接続部の開口よりも、前記第3方向に張り出している、
請求項1~7の何れか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項9】
前記回路基板部と接続され、前記回路基板部の外部の配線に対して着脱可能に接続されるコネクターを有し、
前記流路接続部の開口及び前記コネクターの開口は、互いに反対側に向けられている、
請求項1~8の何れか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項10】
前記液体噴射部は、液体を噴射するための駆動素子を有し、
前記回路基板部は、前記駆動素子を駆動するための駆動信号を生成する駆動信号生成回路を含む、
請求項1~9の何れか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項11】
前記液体噴射部は、前記傾斜姿勢での前記噴射面と水平面との交線の延在方向である第1方向に並んで設けられた複数の液体噴射ヘッドを有し、
前記流路構造体は、前記複数の液体噴射ヘッドに液体を分配する流路を有し、
前記回路基板部は、前記第1方向に沿って前記複数の液体噴射ヘッドにわたって延在し前記複数の液体噴射ヘッドと電気的に接続された中継基板を含む、
請求項1~10の何れか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットの外部の流路部材と、を備える、液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニット、及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の液体を噴射する液体噴射ヘッドを備えたヘッドユニットがある。液体噴射ヘッドには、液体を噴射するノズルが形成されている。特許文献1に記載のヘッドユニットでは、ノズルが形成された噴射面が水平面に対して傾斜するように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-171794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヘッドユニットでは、ヘッドユニットの内部の流路と連通し、外部の流路と接続するための流路接続部が、ヘッドユニットの傾斜姿勢において、電気部品の上方に配置される。このようなヘッドユニットでは、流路接続部から液体が漏れた場合に、流路接続部の下方に配置された電気部品に液体が付着するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るヘッドユニットは、液体を噴射する噴射面を有する液体噴射部と、液体噴射部と電気的に接続される回路基板部と、液体噴射部と前記回路基板部との間に配置された流路構造体とを備え、水平面に対して噴射面が傾斜する傾斜姿勢で保持されるヘッドユニットであって、流路構造体と接続されると共に、流路構造体の外部の流路部材に対して着脱可能に接続される流路接続部を有し、流路接続部は、流路構造体の回路基板部と対向する面とは反対の面に配置される。
【0006】
本発明の一態様に係る液体噴射装置は、上記のヘッドユニットと、ヘッドユニットの外部の流路部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る液体噴射装置を示す概略図である。
図2】ヘッドユニットを示す分解斜視図である。
図3】ヘッドユニットを示す平面図である。
図4】ヘッドユニットを示す断面図である。
図5】液体噴射ヘッドを示す分解斜視図である。
図6】ヘッドチップを示す断面図である。
図7】ヘッドユニットの要部を示す概略図である。
図8】第2実施形態に係るヘッドユニットの要部を示す概略図である。
図9】第3実施形態に係るヘッドユニットの流路構造体の端部及び流路接続部を示す概略図である。
図10】第4実施形態に係るヘッドユニットの流路構造体の端部及び流路接続部を示す概略図である。
図11】第5実施形態に係るヘッドユニットの流路構造体の端部及び流路接続部を示す概略図である。
図12図11に示す流路構造体の端部及び流路接続部を拡大して示す一部切り欠き断面図である。
図13】第6実施形態に係るヘッドユニットの要部を示す概略図である。
図14】第7実施形態に係るヘッドユニットを示す平面図である。
図15】第7実施形態に係るヘッドユニットの要部を示す概略図である。
図16】ヘッドユニットを備える液体噴射装置を示す概略図である。
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
以下の説明において、互いに交差する3方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する場合がある。X軸方向は、互いに反対の方向であるX1方向及びX2方向を含む。X軸方向は、第1方向の一例である。Y軸方向は、互いに反対の方向であるY1方向及びY2方向を含む。Y軸方向は、第3方向の一例である。Z軸方向は、互いに反対の方向であるZ1方向及びZ2方向を含む。Z1方向は、噴射方向の一例であり、第2方向の一例である。X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、直交している。なお、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、詳しくは後述する噴射面18を基準とした方向であり、例えば水平面F1に対する噴射面18の向きに応じて、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は変わり得る。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る液体噴射装置1の構成例を示す概略図である。液体噴射装置1は、「液体」の一例であるインクを液滴として媒体PAに噴射するインクジェット方式の印刷装置である。本実施形態の液体噴射装置1は、インクを噴射する複数のノズルが媒体PAの幅方向での全範囲にわたり分布する、いわゆるライン方式の印刷装置である。媒体PAは、典型的には印刷用紙である。なお、媒体PAは、印刷用紙に限定されず、例えば、樹脂フィルムまたは布帛等の任意の材質の印刷対象でもよい。
【0011】
図1に示されるように、液体噴射装置1は、液体容器2、制御ユニット3、媒体搬送機構4、循環機構5、及びヘッドユニット20を備える。ヘッドユニット20は、複数の液体噴射ヘッド10を有する。液体噴射ヘッド10は、液体噴射部の一例である。ヘッドユニット20は、複数の液体噴射ヘッド10を有するものに限定されず、1つの液体噴射ヘッド10を有するものでもよい。
【0012】
液体容器2は、インクを貯留する。液体容器2の具体的な態様としては、例えば、液体噴射装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及び、インクを補充可能なインクタンクが挙げられる。なお、液体容器2に貯留されるインクの種類は任意である。液体容器2は、液体貯留部の一例である。
【0013】
液体容器2は1つでも良いが、図示しないが、通常第1液体容器と第2液体容器とを含む。第1液体容器には、第1インクが貯留される。第2液体容器には、第1インクと異なる種類の第2インクが貯留される。例えば、第1インクおよび第2インクは、互いに異なる色のインクである。なお、第1インクと第2インクとが同じ種類のインクであってもよい。
【0014】
制御ユニット3は、液体噴射装置1の各要素の動作を制御する。制御ユニット3は、例えば、CPU又はFPGA等の処理回路と、半導体メモリー等の記憶回路とを含む。当該記憶回路には、各種プログラムおよび各種データが記憶される。当該処理回路は、当該プログラムを実行するとともに当該データを適宜使用することにより各種制御を実現する。CPUは、Central Processing Unitの略称である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
【0015】
媒体搬送機構4は、制御ユニット3によって制御され、媒体PAを搬送方向DMに搬送する。媒体搬送機構4は、媒体PAの幅方向に沿って長尺な搬送ローラーと、当該搬送ローラーを回転させるモーターと、を含む。なお、媒体搬送機構4は、搬送ローラーを用いる構成に限定されず、例えば、媒体PAを外周面に静電力等により吸着させた状態で搬送するドラム又は無端ベルトを用いる構成でもよい。
【0016】
液体噴射ヘッド10は、制御ユニット3によって制御され、液体容器2から循環機構5を介して供給されるインクを複数のノズルのそれぞれから媒体PAに噴射する。複数の液体噴射ヘッド10は、搬送方向DMと交差する方向に並べられてラインヘッド6を構成する。
【0017】
液体容器2に貯留されたインクは循環機構5を介して、液体噴射ヘッド10に供給される。循環機構5は、液体噴射ヘッド10にインクを供給するとともに、液体噴射ヘッド10から排出されるインクを回収する。循環機構5は、回収されたインクを再度、液体噴射ヘッド10に供給する。循環機構5は、液体噴射ヘッド10にインクを供給するための流路部材7、液体噴射ヘッド10から排出されたインクを回収するための流路部材8、回収されたインクを貯留するためのサブタンク、及びインクを移送するためのポンプ等を含む。流路部材7,8は、例えば、配管、チューブなどである。流路部材7,8は、液体が流れる溝、凹部などが形成された構造体でもよい。流路部材7,8が、ヘッドユニット20の流路構造体30の外部の流路部材の一例である。流路構造体30は、図2及び図4に示されている。流路構造体30については後述する。
【0018】
次に、図2図4を参照してヘッドユニット20について説明する。図2は、ヘッドユニット20を示す分解斜視図である。図3は、ヘッドユニット20を示す平面図である。図4は、ヘッドユニット20を示す断面図であり、図3中のIV-IV線に沿う断面を示す。なお、図3及び図4では、図2に示すカバー21の図示を省略している。図4では、水平面F1に対して傾斜している状態のヘッドユニット20を図示する。ヘッドユニット20は、複数の液体噴射ヘッド10、支持部材22、流路構造体30、回路基板部40、及びカバー21を備える。
【0019】
支持部材22は、複数の液体噴射ヘッド10、及び流路構造体30を支持する。回路基板部40及びカバー21は、支持部材22に対して固定される。液体噴射ヘッド10の大部分は、支持部材22内に収容される。液体噴射ヘッド10の噴射面18を含むZ1方向の部分は、支持部材22の外部に配置される。噴射面18は、外部に対して露出している。流路構造体30は、支持部材22内に収容される。
【0020】
支持部材22は、例えば、壁23~26を有する。壁23~26は、Z軸方向に見て、矩形の枠体を構成する。壁23,24は、X軸方向に長尺であり、Y軸方向に離間する。壁23,24の厚さ方向は、Y軸方向に沿う。壁23は、Z軸方向に見て、Y1方向に位置する。壁24は、Z軸方向に見て、Y2方向に位置する。壁25,26は、Y軸方向に沿って配置され、X軸方向に離間する。壁25は、Z軸方向に見て、X1方向に位置する。壁26は、Z軸方向に見て、X2方向に位置する。
【0021】
流路構造体30は、例えば複数の流路形成板31~33を有する。流路形成板31~33の板厚方向は、Z軸方向に沿う。流路形成板31~33には、溝及び貫通孔が形成されている。これらの溝及び貫通孔は、インクが流れる流路を構成する。流路構造体30には、流路接続部50が接続されている。流路接続部50については、後述する。流路構造体30は、複数の液体噴射ヘッド10のZ2方向に位置する。流路構造体30は、Z軸方向において、回路基板部40と、液体噴射ヘッド10との間に位置する。
【0022】
回路基板部40は、中継基板41及び制御基板42を含む。中継基板41は、流路構造体30のZ2方向に位置する。制御基板42は、中継基板41のZ2方向に位置する。中継基板41及び制御基板42は、Z軸方向に離間している。中継基板41は、例えば、支持部材22のZ2方向の端部に固定されている。中継基板41は、支持部材22に対してねじ止めされている。制御基板42は、支持部材22に対してねじ止めされている。中継基板41と制御基板42とは、不図示の配線によって電気的に接続されている。中継基板41は、X軸方向において、複数の液体噴射ヘッド10にわたって延在している。中継基板41は、Z軸方向に見て、複数の液体噴射ヘッド10に重なるように配置されている。
【0023】
中継基板41は、フレキシブル配線基板43を介して、液体噴射ヘッド10のコネクター19と電気的に接続されている。中継基板41は、例えばリジッド基板である。フレキシブル配線基板43は、例えばFFCでもよい。中継基板41には、フレキシブル配線基板43に接続されるコネクター44が設けられている。中継基板41のコネクター44は、中継基板41のZ1方向の面41aに配置されている。
【0024】
制御基板42には、1以上のICチップ及びヒートシンク45が設けられている。制御基板42は、例えばリジッド基板である。ICチップは、駆動信号生成回路を含む。駆動信号生成回路は、液体噴射ヘッド10の圧電素子90を駆動するための駆動信号を生成できる。また、ICチップは、液体噴射ヘッド10からインクが吐出される場合の基準電位となる基準電圧信号を生成できる降圧回路又は昇圧回路とを含んでもよい。圧電素子90は、駆動素子の一例である。圧電素子90は、図6に図示されている。中継基板41及び制御基板42は、配線、コネクター及びその他の電気部品を含む。中継基板41には、ヘッドユニット20の外部の電気配線と接続するためのコネクター46が設けられている。
【0025】
カバー21は、支持部材22に対して固定されている。カバー21は、支持部材22に対してねじ止めされている。カバー21は、中継基板41、制御基板42、及びヒートシンク45を覆うように配置される。なお、図2において、カバー21の一部の図示を省略している。
【0026】
次に、図5を参照して、液体噴射ヘッド10について説明する。図5は、液体噴射ヘッド10は、固定板11、複数のヘッドチップ12、ホルダー13、中継基板14、シール部材15、及びフィルター部16を備える。固定板11は、液体噴射ヘッド10の底面を構成する。固定板11は、ホルダー13に対して固定される。固定板11は、複数のヘッドチップ12のZ1方向に位置する。複数のヘッドチップ12は、固定板11に対して固定される。固定板11には、ヘッドチップ12のノズルNを露出させるための開口11aが形成されている。ノズルNは、図6に図示されている。開口11aは、V軸方向に長尺である。V軸方向は、V1方向及びV2方向を含む。V軸方向は、Z軸方向に見て、Y軸方向に対して傾斜する。
【0027】
ヘッドチップ12は、V軸方向に長尺である。複数のヘッドチップ12は、X軸方向に並んで配置される。ヘッドチップ12の内部の構造については、図6を参照して、後述する。ヘッドチップ12には、ヘッドチップ12の内部に液体を供給するための供給口71が形成されている。また、ヘッドチップ12は、COF60を有する。COF60は、ヘッドチップ12内の圧電素子90と電気的に接続されている。COFは、Chip on Filmの略称である。
【0028】
ホルダー13は、複数のヘッドチップ12を保持する。ホルダー13は、1つのヘッドチップ12を保持する構成でもよい。ホルダー13の内部には、インクが流れる流路が形成されている。ホルダー13は、インクが流れる流路を形成する複数の流路形成板を含む。流路形成板には、溝及び貫通孔が形成されている。これらの溝及び貫通孔により、インクが流れる流路が形成される。ホルダー13内の流路は、ヘッドチップ12の供給口71と連通される。また、ホルダー13には、COF60が挿通される開口13aが形成されている。COF60は、液体噴射ヘッド10の中継基板14と電気的に接続される。
【0029】
液体噴射ヘッド10は、中継基板14は、ホルダー13のZ2方向に配置される。中継基板14は、配線及び電気部品を含む。中継基板14は、図2を参照して、上述したように、フレキシブル配線基板43を介して、ヘッドユニット20の中継基板41と電気的に接続される。
【0030】
図5に示されるように、シール部材15は、中継基板14のZ2方向に位置する。シール部材15は、例えば板状を成す。シール部材15には、板厚方向に貫通する貫通孔15aが形成されている。シール部材15は、例えば、ゴム等の弾性部材から形成されていてもよい。貫通孔15aには、ホルダー13内の流路と、フィルター部16の流路とを連通する流路が形成されている。
【0031】
フィルター部16は、シール部材15のZ2方向に位置する。フィルター部16の内部には、複数のフィルター16aが設けられている。フィルター16aは、インクが流れる流路と連通する。フィルター16aは、ヘッドチップ12にインクを供給する流路に設けられている。フィルター16aは、インクに含まれる気泡及び異物を捕集する。フィルター部16には、供給口16bおよび排出口16cが設けられている。供給口16bおよび排出口16cは、図2に示されるヘッドユニット20の流路構造体30の内部の流路34と連通する。供給口16bは流路構造体30の内部の供給流路34Aから液体を導入し、排出口16cはフィルター部16の内部の液体を流路構造体30の内部の排出流路34Bへ排出する。流路34、供給流路34A、排出流路34Bについては、後述する。
【0032】
次に、図6を参照して、ヘッドチップ12について説明する。図6は、ヘッドチップ12を示す断面図である。図6では、V軸方向と交差する断面を示す。ヘッドチップ12は、共通液室R、中継流路73、圧力室C、連通流路74、圧電素子90、及び、ノズルNを含む。また、ヘッドチップ12は、ノズルプレート81、コンプライアンス基板83、連通板84、圧力室形成板85、振動板86、保護基板87、及びケース88を有する。
【0033】
ノズルプレート81は、V軸方向に延在し、所定の長さを有する。ノズルプレート81には、複数のノズルNが形成されている。ノズルNは、ノズルプレート81の板厚方向に貫通する孔である。複数のノズルNは、V軸方向に並べられたノズル列N1を形成する。複数のノズル列N1は、W軸方向に離間する。W軸方向は、W1方向及びW2方向を含む。W軸方向は、Z軸方向に見て、V軸方向と交差する方向であり、本実施形態ではV軸方向に直交する方向である。ノズルプレート81のノズル面81aは、ノズルNが開口された面である。ノズル面81aは、液体を噴射する噴射面18の一例である。なお、固定板11の面11bを、噴射面18とみなしてもよい。
【0034】
連通板84には、共通液室Rの一部、中継流路73、及び、連通流路74が形成されている。共通液室RのZ1方向の部分は、連通板84に形成されている。連通流路74は、ノズルNに連通する。複数の連通流路74は、複数のノズルNについて各々連通する。ノズルプレート81は、連通板84のZ1方向に配置されている。連通流路74のZ1方向にノズルNがそれぞれ配置される。
【0035】
コンプライアンス基板83は、連通板84のZ1方向に配置されている。コンプライアンス基板83は、共通液室R及び中継流路73を覆うように形成されている。コンプライアンス基板83は、支持板82を介して、固定板11に支持されている。支持板82は、Z軸方向から見て、共通液室R及び中継流路73を囲むように形成されている。Z軸方向において、共通液室R及び中継流路73と、固定板11との間には、隙間が形成されている。コンプライアンス基板83は、固定板11に接近又は離間するように変形することで、ヘッドチップ12の流路内のインクの圧力変動を緩和する。
【0036】
圧力室形成板85は、連通板84のZ2方向に配置されている。圧力室形成板85には、複数の圧力室Cが形成されている。複数の圧力室Cは、複数のノズルNについてそれぞれ形成されている。圧力室Cは、中継流路73と、連通流路74とに連通する
【0037】
振動板86は、圧力室形成板85のZ2方向に配置されている。振動板86は、圧力室CのZ2方向の壁面を構成する。振動板86のZ2方向の面には、複数の圧電素子90が配置されている。複数の圧電素子90は、複数の圧力室Cに対応してそれぞれ設けられている。圧電素子90は、複数の電極、及び電極間に配置された圧電体層を含む。
【0038】
振動板86のZ2方向には、保護基板87が配置されている。保護基板87は、複数の圧電素子90を覆う。保護基板87は、振動板86を補強すると共に、複数の圧電素子90を保護する。
【0039】
ケース88には、共通液室Rの一部が形成されている。共通液室Rのうち、Z2方向の部分は、ケース88に形成され、Z1方向の部分は、連通板84に形成されている。また、ケース88のZ2方向側には、上述したように供給口71が形成されている。
【0040】
図6に示されるように、インクは、供給口71を通り、共通液室Rに流入する。共通液室R内のインクは、中継流路73を通り、圧力室Cに流入する。圧力室C内のインクは、連通流路74を通り、ノズルNから噴射される。
【0041】
ヘッドチップ12は、上述したように、COF60を備える。COF60は、フレキシブル配線基板61、及び駆動回路62を備える。フレキシブル配線基板61は、可撓性を有する配線基板である。フレキシブル配線基板61は、例えばFPCである。フレキシブル配線基板61は、例えばFFCでもよい。FPCは、Flexible Printed Circuitの略称である。FFCは、Flexible Flat Cableである。
【0042】
圧電素子90は、図示しないリード電極を介して、フレキシブル配線基板61と電気的に接続されている。駆動回路62は、フレキシブル配線基板61と電気的に接続されている。フレキシブル配線基板61は、図5に示される液体噴射ヘッド10の中継基板14に電気的に接続されている。液体噴射ヘッド10の中継基板14は、図4に示されるヘッドユニット20の中継基板41及び制御基板42に接続されている。ヘッドユニット20の中継基板41及び制御基板42は、図1に示される制御ユニット3に電気的に接続されている。
【0043】
駆動回路62は、圧電素子90を駆動するためのスイッチング素子を含む。駆動回路62は、フレキシブル配線基板61、及び中継基板14を介して、制御ユニット3と電気的に接続されている。駆動回路62は、制御ユニット3から出力された駆動信号を受信する。スイッチング素子は、駆動信号を圧電素子90に供給するか否かを切り替える。駆動回路62は、指令信号に応じて圧電素子90に対して、駆動電圧又は電流を供給し、振動板86を振動させる。これにより、圧電素子90は、圧力室C内の圧力を変動させて、ノズルNからインクを噴射する。なお、液体噴射ヘッド10は、圧電素子90に代えて、発熱素子等のその他の駆動素子を備える構成でもよい。
【0044】
次に、図2図4、及び図7に示されるヘッドユニット20の流路接続部50について説明する。図7は、ヘッドユニット20の要部を示す概略図である。図16は、ヘッドユニット20を備える液体噴射装置1を示す概略図である。図4図7及び図16に示されるように、ヘッドユニット20は、噴射面18が水平面F1に対して傾斜角θ1で傾斜する傾斜姿勢で保持される。ヘッドユニット20は、液体噴射装置1の一部に支持されており、例えば液体噴射装置1の筐体1aに対して支持されて、傾斜姿勢に保持される。本実施形態の流路接続部50は、筒体51を含む。筒体51には、流路構造体30の流路34に連通する流路52が形成されている。
【0045】
本実施形態の流路34には、液体噴射ヘッド10へ液体を供給するための供給流路34Aと、液体噴射ヘッド10から排出された液体を流路構造体30から排出するための排出流路34Bとを含む。供給流路34Aはフィルター部16の供給口16bと連通し、排出流路34Bは排出口16cと連通している。以降、供給流路34Aと排出流路34Bを特に区別しない場合、流路34と呼称する。
【0046】
ヘッドユニット20は、図1図3に示されるように、流路接続部50A及び流路接続部50Bを含む。流路接続部50Aは、ヘッドユニット20内にインクを供給するための流路部材7と接続される。流路接続部50Bは、ヘッドユニット20内のインクを外部に排出するための流路部材8と接続される。流路接続部50は、外部の流路部材7,8に対して着脱可能である。例えば、メンテナンス時において、液体噴射装置1からヘッドユニット20を取り外す際には、流路接続部50は、流路部材7,8から取り外されている。なお、図1では、図を簡略化するために、1つの流路接続部50Aと、1つの流路接続部50Bが図示されている。流路接続部50A及び流路接続部50Bの数量は、例えば使用される液体の種別に応じて、適宜変更できる。
【0047】
流路接続部50は、流路構造体30の中継基板41側の面30aとは反対側に設けられている。流路構造体30は、Z軸方向に互いに離間する面30a,30bを含む。面30aは、中継基板41側の面であり、Z軸方向において、中継基板41に近い方の面である。面30bは、中継基板41とは反対側の面であり、Z軸方向において、中継基板41から遠い方の面である。面30aは、「流路構造体の回路基板部と対向する面」の一例である。流路接続部50の筒体51は、流路構造体30の面30bからZ1方向へ突出している。即ち、本実施形態の流路接続部50と流路構造体30とは一体で形成されている。なお、流路接続部50と流路構造体30とは、別体であってもよい。
【0048】
図3に示されるように、流路接続部50は、X軸方向において、回路基板部40が配置された領域S内に位置する。領域Sは、例えば、X軸方向において、中継基板41の辺41bから辺41cまでの領域でもよい。辺41bは、X1方向の辺であり、辺41cは、X2方向の辺である。流路接続部50は、X軸方向において、制御基板42が配置された領域内に配置されていてもよい。
【0049】
流路接続部50は、ヘッドユニット20の傾斜姿勢において、重力方向G1に関して回路基板部40よりも上方に配置される。「流路接続部50は、ヘッドユニット20の傾斜姿勢において、重力方向G1に関して回路基板部40よりも上方に配置される」とは、流路接続部50が、ヘッドユニット20の傾斜姿勢において、重力方向G1に関して制御基板42の端42dよりも上方に配置されることを含んでもよい。図7には、重力方向G1が矢印で示されている。また、「流路接続部50は、ヘッドユニット20の傾斜姿勢において、重力方向G1に関して回路基板部40よりも上方に配置される」とは、流路接続部50が中継基板41の端41dよりも上方に位置していることを含んでもよい。また、「流路接続部50は、ヘッドユニット20の傾斜姿勢において、重力方向G1に関して回路基板部40よりも上方に配置される」とは、流路接続部50が、Y軸方向において、中心線O1よりもY2方向に位置することを含んでもよい。中心線O1は、制御基板42のY軸方向における中心を通り、Z軸方向に平行な仮想の直線である。
【0050】
流路接続部50の開口52aは、Z軸方向において、回路基板部40と反対側に向けられている。開口52aは、「流路接続部の開口」の一例である。開口52aは、流路接続部50内の流路52に連通する。開口52aは、流路構造体30の回路基板部40に近い方の面30aではなく、反対側の面30bに近い方に配置されている。Z軸方向において、流路接続部50の開口52aと回路基板部40との間には、流路構造体30が存在する。ヘッドユニット20では、仮に、開口52aからインクが漏れたとしても、回路基板部40と開口52aとの間に流路構造体30が存在しているので、インクが回路基板部40の方に移動するおそれが低い。そのため、インクが回路基板部40に付着するおそれが抑制される。
【0051】
流路構造体30は、Y2方向に張り出す張出部36を有する。張出部36は、X軸方向に見て、流路接続部50の開口52aよりも、Y2方向に張り出している。流路構造体30は、端面30cを含む。端面30cは、流路構造体30のY2方向の端面である。端面30cは、図7に示されるヘッドユニット20の傾斜姿勢において、開口52aよりも上方に位置する。なお、X軸方向は、液体吐出ヘッド10の傾斜姿勢での噴射面18と水平面F1との交線の延在方向の一例である。Z軸方向は、噴射面18の法線方向である第2方向の一例である。Y軸方向は、第1方向及び第2方向の両方と交差する第3方向の一例である。
【0052】
回路基板部40には、回路基板部40の外部の配線に対して着脱可能に接続されるコネクター46が設けられている。コネクター46は、例えば、中継基板41に設けられている。コネクター46は、Z2方向に張り出している。コネクター46は、Z軸方向において、流路構造体30とは反対側に張り出している。コネクター46の開口46aは、流路構造体30とは反対側に向けられている。流路接続部50の開口52aと、回路基板部40のコネクター46の開口46aとは、Z軸方向において、互いに反対側に設けられている。
【0053】
このようなヘッドユニット20によれば、流路接続部50が流路構造体30に対して、回路基板部40とは反対側に設けられているので、流路接続部50からインクが漏れた場合において、回路基板部40にインクが付着することが抑制される。流路接続部50からインクが漏れた場合であっても、インクは、重力方向G1に落下する。図4に示される状態において、流路接続部50から漏れたインクは、支持部材22の壁24に沿って、Z1方向に、斜め下方に流れ落ちる。Z軸方向において、流路接続部50と回路基板部40との間には、流路構造体30が存在するので、回路基板部40に向かって、インクが流れることが抑制される。これにより、回路基板部40の電気部品における不具合の発生が低減される。
【0054】
このようなヘッドユニット20では、X軸方向において、回路基板部40が配置された領域S内に流路接続部50を配置しても、回路基板部40にインクが付着するおそれが低減される。これにより、X軸方向において、回路基板部40と重ならないように、流路接続部50を配置する場合と比較して、ヘッドユニット20の小型化を図ることができる。ヘッドユニット20では、流路接続部50から漏れたインクが回路基板部40に付着するおそれを低減しつつ、X軸方向におけるヘッドユニット20の小型化を図ることができる。
【0055】
例えば、ヘッドユニット20は、ヘッドユニット20を交換する際において、ユーザーの目線よりも下方に配置されることがある。本実施形態の傾斜姿勢でのヘッドユニット20では、流路接続部50が液体噴射ヘッド10よりも上方に配置されているので、流路接続部50を外部の流路部材7,8から取り外す際に、ユーザーは、流路接続部50を視認しやすく、流路接続部50に対するアクセスを容易に行うことができる。そのため、ユーザーは、ヘッドユニット20の取り外し作業を容易に行うことができる。同様に、ユーザーは、ヘッドユニット20の取り付け作業を容易に行うことができる。
【0056】
また、前述したように、流路接続部50は、ヘッドユニット20の傾斜姿勢において、重力方向G1に関して回路基板部40よりも上方に配置される。流路接続部50は、流路接続部50Bを含んでおり、流路接続部50Bには、インクを排出するための流路が形成されている。液体噴射ヘッド10から排出されたインクは、流路構造体30内の排出流路34Bを通り、流路接続部50Bから、ヘッドユニット20の外部に排出される。ヘッドユニット20では、インクを排出する流路が形成された流路接続部50Bが回路基板部40よりも上方に配置されているので、流路接続部50Bが回路基板部40よりも下方に配置されている構成に比べて、浮力によってインク中の気泡がヘッドユニット20から排出されやすい。
【0057】
傾斜姿勢でのヘッドユニット20によれば、液体噴射ヘッド10における流路内の気泡の排出性が向上される。例えば、メンテナンス時などに、インクを循環させる循環クリーニングを実行する場合には、液体噴射ヘッド10内のインクに含まれる気泡を効率よく、ヘッドユニット20の外部に排出できる。ヘッドユニット20内のインクに含まれる気泡は、流路接続部50Bから、ヘッドユニット20の外部に排出される。また、回路基板部40よりも重力方向G1に関して流路接続部50Bが配置されていると、流路接続部50Bからインクが漏れた際に回路基板部40に付着しやすくなってしまうが、上述のように流路接続部50Bが流路構造体30に対して回路基板部40とは反対側に設けられているので、流路接続部50Bからインクが漏れた場合において、回路基板部40にインクが付着することが抑制される。
【0058】
また、ヘッドユニット20の流路構造体30は、Y2方向に張り出す張出部36を有する。ヘッドユニット20の傾斜姿勢において、張出部36の端面30cは、流路接続部50の開口52aよりも上方に位置するので、仮に、開口52aからインクが漏れた場合であっても、インクが張出部36の端面30cを乗り越えて、流路接続部50とは反対側の面30aへ回り込むおそれは低い。その結果、ヘッドユニット20によれば、回路基板部40にインクが付着することが抑制される。
【0059】
次に、図8を参照して第2実施形態に係るヘッドユニット20Bについて説明する。図8は、第2実施形態に係るヘッドユニット20Bの要部を示す概略図である。図8に示されるヘッドユニット20Bが第1実施形態に係るヘッドユニット20と異なる点は、噴射面18の水平面F1に対する傾斜角度が異なる点である。ヘッドユニット20Bは、傾斜角度θ2の傾斜姿勢で保持される。傾斜角度θ2は、90度よりも大きい鈍角である。液体噴射ヘッド10の噴射面18は、斜め上方に向けられている。第2実施形態に係るヘッドユニット20の説明において、第1実施形態の説明と同様の説明は省略する。
【0060】
このような第2実施形態のヘッドユニット20Bにおいても、流路接続部50は、流路構造体30の面30bに配置される。Z軸方向において、流路接続部50と回路基板部40との間には、流路構造体30が配置されている。仮に、流路接続部50からインクが漏もれた場合であっても、インクは流路構造体30の面30bに沿って流れ落ちる。これにより、回路基板部40にインクが付着するおそれが低減される。その結果、ヘッドユニット20の信頼性の向上を図ることができる。
【0061】
ヘッドユニット20Bの流路構造体30は、第1実施形態と同様に、Y2方向に張り出す張出部36を有する。流路構造体30のY2方向の端面30cは、図8に示されるヘッドユニット20Bの傾斜姿勢において、開口52aよりも上方に位置する部分を含む。ヘッドユニット20Bの傾斜姿勢において、張出部36の端面30cは、流路接続部50の開口52aよりも上方に位置する部分を含むので、仮に、開口52aからインクが漏れた場合であっても、インクが張出部36の端面30cを乗り越えて、流路接続部50とは反対側の面30a側に移動するおそれは低い。その結果、ヘッドユニット20Bによれば、回路基板部40にインクが付着することが抑制される。張出部36を備える構成は、噴射面18が90度よりも大きい傾斜角度θ2の傾斜姿勢で保持されるヘッドユニット20Bにおいて、有効である。
【0062】
次に、図9を参照して、第3実施形態に係るヘッドユニット20Cについて説明する。図9は、第3実施形態に係るヘッドユニット20Cの流路構造体30Cの端部35及び流路接続部50を示す概略図である。第3実施形態に係るヘッドユニット20Cの説明において、第1実施形態の説明と同様の説明は省略する。第3実施形態に係るヘッドユニット20Cが、第1実施形態に係る20と異なる点は、流路構造体30CのY2方向の端部35の形状が異なる点である。図7に示される第1実施形態の流路構造体30は、張出部36を備えているのに対して、図10に示される第3実施形態の流路構造体30Cは、張出部36を備えていない。
【0063】
このような第3実施形態に係るヘッドユニット20Cにおいても、第1実施形態に係るヘッドユニット20と同様の作用効果を奏する。ヘッドユニット20Cにおいても、流路接続部50と回路基板部40との間に、流路構造体30Cが配置されているので、仮に、流路接続部50からインクが漏れた場合であっても、回路基板部40へのインクの付着が抑制される。なお、上記実施形態のヘッドユニット20,20Bのように、流路構造体30が張出部36を備えていると、流路接続部50から漏れたインクが、反対側の面30a側に移動するおそれは低い。
【0064】
次に、図10を参照して、第4実施形態に係るヘッドユニット20Dについて説明する。図10は、第4実施形態に係るヘッドユニット20Dの流路構造体30の端部及び流路接続部50D示す概略図である。第4実施形態に係るヘッドユニット20Dが、図7に示される第1実施形態のヘッドユニット20と違う点は、流路接続部50Dの形状が異なる点である。ヘッドユニット20Dは、第1実施形態の流路接続部50とは異なる形状の流路接続部50Dを備える。
【0065】
流路接続部50Dは、筒部54a~54cを有する。筒部54aは、流路構造体30の面30bからZ1方向に突出する。筒部54aは、Z軸方向に延びる。筒部54bは、筒部54aから湾曲するように形成されている。筒部54bは、Z1方向からY2方向に向かって湾曲する。筒部54cは、筒部54bに接続されY2方向に延在する。筒部54a~54cには、インクが流れる流路55が形成されている。筒部54cには、流路55に連通する開口55aが形成されている。開口55aは、Y2方向に向けられている。開口55aは、図10のように、流路構造体30のY2方向の端面、即ち張出部36のY2方向の端面30cよりもY2方向に位置することが好ましい。端面30cは、流路構造体30のY2方向を向く面である。
【0066】
第4実施形態に係るヘッドユニット20Dにおいても、第1実施形態に係る20と同様の作用効果を奏する。流路接続部50Dでは、開口55aがY2方向に向けられているので、開口55aが下方に向けられている場合と比較して、流路接続部50D内のインクが漏れにくい。また、流路接続部50Dでは、筒部54cがY2方向に沿って斜め上方に向けられているので、外部の流路部材7,8の取り付け、取り外し作業が容易である。
【0067】
次に、図11及び図12を参照して、第5実施形態に係るヘッドユニット20Eについて説明する。図11は、第5実施形態に係るヘッドユニット20Eの流路構造体30Eの端部35E及び流路接続部50Eを示す概略図である。図12は、図11に示す流路構造体30Eの端部35E及び流路接続部50Eを拡大して示す一部切り欠き断面図である。第5実施形態に係るヘッドユニット20Eが、図7に示される第1実施形態のヘッドユニット20と違う点は、凹部形状の流路接続部50Eを備える点である。流路構造体30Eの面30bには、外部の流路部材7,8が嵌る凹部57が形成されている。
【0068】
具体的には、図12に示されるように、流路接続部50Eは、流路構造体30Eの面30bに形成された凹部57と、凹部57内に配置された弾性材料から成るシール部材56とを有する。凹部57には、Z1方向に開口する開口57aが形成されている。開口57aは、「流路接続部の開口」の一例である。また、凹部57の底面であるZ2方向側の面には、凹部57と流路34とを接続する接続口57bが形成されている。また、シール部材56には、Z軸に沿って延在する貫通孔56aが形成されており、貫通孔56aに外部の流路部材7,8の先端が挿入されることで外部の流路部材7,8の外周面とシール部材56の貫通孔の内周面とが接触して、流路接続部50Eと外部の流路部材7,8とが液密に接続される。そのため、外部の流路部材7,8の流路接続部50Eと接続される端部は、剛性を有する材料であることが好ましい。そして、流路接続部50Eのシール部材56に流路部材7,8が嵌ることで、流路構造体30Eの内部の流路34と、流路部材7,8内の流路とが、シール部材56の貫通孔、凹部57、接続口57bを介して連通する。
【0069】
このように、流路接続部50Eは、面30bから突出する形状ではなく、面30bから凹む凹部57が形成されたものでもよい。このような第5実施形態に係るヘッドユニット20Eにおいても、第1実施形態に係るヘッドユニット20と同様の作用効果を奏する。このようなヘッドユニット20Eにおいても、流路構造体30Eの面30bに流路接続部50Eが設けられているので、仮に、流路接続部50Eからインクが漏れた場合であっても、反対側の面30aにインクが進入するおそれが低減される。そのため、回路基板部40にインクが付着するおそれが抑制される。
【0070】
次に、図13を参照して、第6実施形態に係るヘッドユニット20Fについて説明する。図13は、第6実施形態に係るヘッドユニット20Fの要部を示す概略図である。第6実施形態に係るヘッドユニット20Fが、図7に示される第1実施形態に係るヘッドユニット20と異なる点は、流路接続部50Fの配置が違う点である。ヘッドユニット20Fは、回路基板部40よりもY1方向に張り出す流路構造体30Fを備える。流路構造体30Fの端部35Fは、X軸方向に見て、回路基板部40よりもY1方向に配置されている。
【0071】
ヘッドユニット20Fは、流路構造体30Fの面30bに設けられた流路接続部50Fを備える。流路接続部50Fは、回路基板部40よりもY1方向に位置する。流路接続部50Fは、回路基板部40のY1方向の端部よりもY1方向に位置する。また、流路接続部50Fは、中心線O1よりもY1方向に位置する。中心線O1は、回路基板部40のY軸方向における中心を通り、Z軸方向に延在する仮想の直線である。流路接続部50Fは、重力方向G1に関して、回路基板部40よりも下方に位置する。
【0072】
このような第6実施形態に係るヘッドユニット20Fによれば、流路接続部50Fが、回路基板部40よりも下方に配置されているので、仮に、流路接続部50Fからインクがもれた場合であっても、流路接続部50Fの上方に配置された回路基板部40にインクが付着しない。また、Z軸方向において、流路接続部50Fと回路基板部40との間には、流路構造体30Fが存在するので、流路接続部50Fから漏れたインクが、回路基板部40に付着する可能性は低い。
【0073】
次に、図14及び図15を参照して、第7実施形態に係るヘッドユニット20Gについて説明する。図14は、第7実施形態に係るヘッドユニット20Gを示す平面図である。図15は、第7実施形態に係るヘッドユニット20Gの要部を示す概略図である。第7実施形態に係るヘッドユニット20Gが、第1実施形態に係るヘッドユニット20と異なる点は、流路接続部50Gの配置が違う点と、流路構造体30GがX軸方向において、回路基板部40よりも外側まで形成されている点である。第7実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明については省略する。
【0074】
ヘッドユニット20Gは、X軸方向において、回路基板部40の外側まで張り出す流路構造体30Gを備える。ヘッドユニット20Gは、X軸方向において、回路基板部40よりも外側に配置された複数の流路接続部50Gを備える。流路接続部50Gは、Z軸方向に見て、媒体PAと重ならない位置に配置されている。流路接続部50Gは、X軸方向において、回路基板部40よりも外側に位置する。
【0075】
図15に示されるように、流路接続部50Gは、流路構造体30Gの面30bに設けられている。流路接続部50Gは、面30bからZ1方向に張り出すように形成されている。
【0076】
このような第7実施形態に係るヘッドユニット20Gにおいても、Z軸方向において、流路接続部50Gと回路基板部40との間に流路構造体30Gが配置されているので、仮に、流路接続部50Gからインクが漏れた場合であっても、インクが回路基板部40に付着しにくい。また、ヘッドユニット20Gでは、流路接続部50GがZ軸方向に見て、媒体PAと重ならない位置に配置されているので、流路接続部50Gからインクが漏れた場合であっても、漏れたインクが媒体に付着しにくい。このような第7実施形態のヘッドユニット20Gは、第1実施形態のヘッドユニット20と同様の作用効果を奏する。
【0077】
なお、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【0078】
上記の実施形態では、複数の流路接続部50の全てが流路構造体30の面30bに設けられている場合について例示しているが、複数の流路接続部50のうち少なくとも1つが面30bに設けられていればよい。複数の流路接続部50のうち少なくとも1つが面30aに設けられていてもよい。
【0079】
上記の実施形態では、4つの流路接続部50、具体的には2つの流路接続部50Aと、2つの流路接続部50Bとを設けている場合について例示しているが、流路接続部50は1つ以上設けられていればよく、具体的には、1つ以上の流路接続部50A、又は、1つ以上の流路接続部50Bが設けられていればよい。また、面30bに設けられた流路接続部50Aおよび流路接続部50Bのうち少なくとも一方のみが設けられた構成でも構わない。
【0080】
上記の実施形態では、ヘッドユニット20の噴射面18が水平面F1に対して傾斜している状態について例示しているが、例えば、印刷時において、ヘッドユニット20の噴射面18は、水平面に対して傾斜していない場合でもよい。ヘッドユニット20は、液体噴射装置1の一部に保持されている状態において、少なくとも一時的に傾斜姿勢で保持されていてもよい。つまり、ヘッドユニット20は、循環クリーニング動作やヘッドユニット20の交換を行う等のメンテナンス時のみ傾斜姿勢で保持されてもよく、印刷時のみ傾斜姿勢で保持されてもよい。
【0081】
前述の実施形態では、ラインヘッド6を備えたライン方式の液体噴射装置1について例示しているが、液体噴射ヘッド10を搭載したキャリッジを媒体PAの幅方向に往復させるシリアル方式の液体噴射装置にも本発明を適用してもよい。
【0082】
前述の実施形態で例示した液体噴射装置1は、印刷に専用される機器のほか、ファクシミリ装置やコピー機等の各種の機器に採用され得る。もっとも、本発明の液体噴射装置の用途は印刷に限定されない。例えば、色材の溶液を吐出する液体噴射装置は、液晶表示パネル等の表示装置のカラーフィルターを形成する製造装置として利用される。また、導電材料の溶液を吐出する液体噴射装置は、配線基板の配線や電極を形成する製造装置として利用される。また、生体に関する有機物の溶液を吐出する液体噴射装置は、例えばバイオチップを製造する製造装置として利用される。
【符号の説明】
【0083】
1…液体噴射装置、7,8…流路部材、10…液体噴射ヘッド(液体噴射部)、20,20B~20G…ヘッドユニット、18…噴射面、30…流路構造体、30a…面(回路基板部と対向する面)、34…流路、36…張出部、40…回路基板部、41…中継基板(ヘッドユニットの中継基板)、42…制御基板、50,50A,50B,50D~50G…流路接続部、90…圧電素子(駆動素子)、G1…重力方向、F1…水平面、N…ノズル、S…領域(回路基板部が配置された領域)、X…X軸方向(第1方向)、Y…Y軸方向(第3方向)、Z1…Z1方向(噴射方向、第2方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16