(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175228
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】表面検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
G01N21/892 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081462
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】308014053
【氏名又は名称】株式会社アイキューブテクノロジ
(71)【出願人】
【識別番号】591027330
【氏名又は名称】日鉄物産荒井オートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】上原 智
(72)【発明者】
【氏名】操田 寛英
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AA44
2G051AB02
2G051BA01
2G051BB02
2G051CA04
2G051CB01
2G051DA08
2G051EA12
(57)【要約】
【課題】従来の表面検査装置は、屈曲部を有する棒状の被検査体の検査を行うことが難しい問題があった。
【解決手段】本発明の表面検査装置は、屈曲部を有する棒状の被検査体の一方の端部から続く第1の直線部WKmを保持する保持具155と、被検査体の他方の端部又は前記他方の端部から続く第2の直線部WKrを保持して、第1の直線部WKmの軸中心を回転中心軸として被検査体を回転させる回転駆動部152と、第1の直線部WKmを撮影する撮影ユニット12と、撮影ユニット12で撮影された画像に基づき被検査体の欠陥を検出する欠陥検出処理部と、を有し、保持具155は、第1の直線部WKmを保持する円筒の一部に欠けた部分を形成し、当該欠けた部分を観察窓WNとし、撮影ユニット12は、観察窓WNの部分を含む被検査体の表面の画像を撮影する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲部を有する棒状の被検査体の一方の端部から続く第1の直線部を保持する保持具と、
前記被検査体の他方の端部又は前記他方の端部から続く第2の直線部を保持して、前記第1の直線部の軸中心を回転中心軸として前記被検査体を回転させる回転駆動部と、
前記第1の直線部を撮影する撮影ユニットと、
前記撮影ユニットで撮影された画像に基づき前記被検査体の欠陥を検出する欠陥検出処理部と、を有し、
前記保持具は、前記第1の直線部を保持する円筒の一部に欠けた部分を形成し、当該欠けた部分を観察窓とし、
前記撮影ユニットは、前記観察窓の部分を含む前記被検査体の表面の前記画像を撮影する表面検査装置。
【請求項2】
前記観察窓の前記被検査体の回転方向の一方の端部と前記回転中心軸を結ぶ第1の窓設定線と、前記観察窓の前記被検査体の回転方向の他方の端部と前記回転中心軸を結ぶ第2の窓設定線と、が成す角度を第1の角度とすると、
前記撮影ユニットは、前記第1の直線部を前記第1の角度よりも小さな第2の角度毎の画像が含まれる複数の画像を取得する請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記回転駆動部は、前記被検査体を停止させないように連続して回転させる請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記回転駆動部は、前記第1の直線部を前記第1の角度よりも小さな第2の角度のステップで回転を止め、かつ、前記撮影ユニットが前記画像を取得する際に利用する撮影領域内で前記第2の直線部が停止しないように前記被検査体を回転させる請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記被検査体は、U字形状を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記欠陥検出処理部は、前記画像に対して異なるフィルタ効果を与える複数のフィルタ処理部を有し、検出したい欠陥に応じて前記画像に適用するフィルタ効果を切り替える請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表面検査装置。
【請求項7】
前記第2の直線部及び前記第2の直線部に続く曲線部の少なくとも一部と、前記第1の直線部と、の間の見通しを遮蔽する遮蔽板をさらに有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表面検査装置。
【請求項8】
前記遮蔽板は、上下に昇降するように前記回転駆動部に取り付けられる請求項7に記載の表面検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面検査装置に関し、例えば、棒状の被検査体の表面の不具合を検査する表面検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物を生産する場合、生産物の表面の傷やくすみ等の外観上の欠陥を検査する検査工程がある。このような表面検査に関する技術が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の表面検査装置は、円柱状または円筒状の被検査体を周方向に回転させる回転機構と、周方向に回転している前記被検査体の周表面を抑える抑え機構と、を備えており、前記抑え機構は、前記周表面に光を照射する光源部と、前記光が照射された前記周表面を撮像して画像を取得する撮像部と、前記周表面を抑えている前記抑え機構を、周方向に回転している前記被検査体の軸方向に沿って移動させる移動体と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、被検査体が屈曲部を有している場合には回転機構により被検査体を回転させることができず、屈曲部を有する被検査体に対応できない問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屈曲部を有する被検査体の表面検査を行うことをを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる表面検査装置の一態様は、屈曲部を有する棒状の被検査体の一方の端部から続く第1の直線部を保持する保持具と、前記被検査体の他方の端部又は前記他方の端部から続く第2の直線部を保持して、前記第1の直線部の軸中心を回転中心軸として前記被検査体を回転させる回転駆動部と、前記第1の直線部を撮影する撮影ユニットと、前記撮影ユニットで撮影された画像に基づき前記被検査体の欠陥を検出する欠陥検出処理部と、を有し、前記保持具は、前記第1の直線部を保持する円筒の一部に欠けた部分を形成し、当該欠けた部分を観察窓とし、前記撮影ユニットは、前記観察窓の部分を含む前記被検査体の表面の前記画像を撮影する。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる表面検査装置によれば、屈曲部を有する被検査体の表面検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる表面検査装置の全体の外観図である。
【
図2】実施の形態1にかかる表面検査装置の検査ボックスと制御ボックスの構成を説明する図である。
【
図3】実施の形態1にかかる検査ボックス内に設けられる被検査体保持ユニット、カメラ及び照明の構成を説明する図である。
【
図4】実施の形態1にかかる表面検査装置のブロック図である。
【
図5】実施の形態1にかかる表面検査装置の表面検査方法を説明する図である。
【
図6】実施の形態1にかかる表面検査装置の遮蔽板による映り込み防止範囲を説明する図である。
【
図7】実施の形態1にかかる表面検査装置における検査時の被検査体の動かし方を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0012】
実施の形態1
以下の説明では、被検査体の表面欠陥を検出する表面検査装置について説明する。
図1に実施の形態1にかかる表面検査装置の全体の外観図を示す。
図1では、表面検査装置1を前方から見た斜視図と、後方から見た斜視図とを示した。
図1に示すように、実施の形態1にかかる表面検査装置1は、検査ボックス10、制御ボックス20、ディスプレイ30が一体になった筐体を有する。検査ボックス10には、蓋11が設けられる。そして、表面検査装置1は、蓋11を明けた状態で検査ボックス10に被検査体の出し入れを行い、蓋11を閉めた状態で被検査体の表面検査を行う。また、検査ボックス10の前面には操作インタフェース31として複数のボタンインタフェースが設けられる。操作インタフェース31に設けるボタンは、機械的スイッチでも、タッチパネル機能を有する画面上に表示されるソフトウェア的に実装されたボタンであっても良い。
【0013】
制御ボックス20には、操作インタフェース31から与えられた指示に基づき検査ボックス10内の検査構造を動作させ、検査結果をディスプレイ30に表示するための機構及び演算装置が設けられる。
【0014】
ここで、検査ボックス10の内部構造について説明する。
図2に実施の形態1にかかる表面検査装置1の検査ボックス10と制御ボックスの構成を説明する図に示す。
図2は、検査ボックス10及び制御ボックス20の内部構造を図示した物である。なお、
図2では、検査ユニット駆動部21及び回転位置検出センサ22以外の構造及び演算装置として設けられる演算装置については図示を省略した。
【0015】
図2に示すように、検査ボックス10には、蓋11が設けられており、蓋11を開閉することで検査ボックス10内への被検査体WKの出し入れがなされる。検査ボックス10の内部には、カメラ12、面照明ユニット13、上側照明ユニット141、下側照明ユニット142、被検査体保持ユニット15が設けられる。また、被検査体保持ユニット15には、検査端保持ユニット151、回転駆動部152、遮蔽板153が設けられる。検査端保持ユニット151には、被検査体WKの保持に用いられる被検査端保持部154及び保持具155が備え付けられる。
【0016】
また、
図2に示すように、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、被検査体WKとして、屈曲部を有する棒状の被検査体WKを検査対象とする。より具体的には、被検査体WKは、L字形状であっても良く、U字形状であっても良いが、U字形状であることがより好ましい。また、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、被検査体WKの屈曲部に続く直線部の表面検査を行う。
【0017】
カメラ12は、撮影ユニットであり、被検査体WKの傷等の不具合箇所を検出するための画像を得る。面照明ユニット13、上側照明ユニット141及び下側照明ユニット142は、検査時に被検査体WKに照射する光を発する発光ユニットである。被検査体保持ユニット15は、制御ボックス20に設けられた検査ユニット駆動部21により回転させられる。このとき被検査体保持ユニット15は、被検査体WKの軸のうち被検査端保持部154及び保持具155により保持される側の直線部の中心軸を中心に被検査体WKを回転させるように回転する。また、被検査体保持ユニット15の回転角は、ベルトにより回転位置が回転位置検出センサ22に伝えられる。回転位置検出センサ22は検出した被検査体保持ユニット15の回転角度情報を制御ボックス20に設けられる検査制御部に伝える。
【0018】
被検査体保持ユニット15には、検査端保持ユニット151及び回転駆動部152が設けられる。検査端保持ユニット151は、被検査体WKの回転中心となる側の直線部を保持する。より具体的には、検査端保持ユニット151には、被検査端保持部154及び保持具155が設けられる。被検査端保持部154は、検査端保持ユニット151が保持する被検査体WKの端部を回転可能に保持する。保持具155は、屈曲部を有する棒状の被検査体の一方の端部から続く第1の直線部を回転可能に保持する。
【0019】
回転駆動部152は、被検査体WKの他方の端部又は他方の端部から続く第2の直線部を保持して、第1の直線部の軸中心を回転中心軸として被検査体WKを回転させる。
図2に示す例では、回転駆動部152は、被検査体WKの直線部のうち検査端保持ユニット151に保持されない側の直線部の端部を保持する。なお、被検査体WKにおいて他方の端部側の保持は、保持具155に保持されていない他方の端部に続く第2の直線部であっても良い。
【0020】
遮蔽板153は、回転駆動部152に保持される第2の直線部及び第2の直線部に続く曲線部の少なくとも一部と、第1の直線部と、の間の見通しを遮蔽する。これにより、第2の直線部及び第2の直線部に続く屈曲部から発せられる反射光が、検査対象である第1の直線部の表面に映り込むことを防止する。遮蔽板153は、非反射部材であることが好ましい。また、遮蔽板153は、上下方向(例えば、第1の直線部の延在方向)に昇降できるように回転駆動部152に取り付けられる。このように遮蔽板153を上下方向に昇汞可能に取り付けることで、屈曲部の位置が様々な高さにある異なる被検査体WKに対応可能になる。また、遮蔽板153を回転駆動部152に取り付けることで被検査体保持ユニット15が回転した際に第2の直線部と遮蔽板の位置関係を一定に保つことが出来る。
【0021】
続いて、
図3を参照して、検査ボックス10内に設けられる構造についてさらに詳しく説明する。
図3は、実施の形態1にかかる検査ボックス10内に設けられる被検査体保持ユニット15、カメラ12及び照明の構成を説明する図である。
図3に示すように、検査ボックス10では、ベースプレート16上に設けられたフレームにカメラ12、面照明ユニット13上側照明ユニット141、下側照明ユニット142が設けられる。また、被検査体保持ユニット15は、ベースプレート16を挟むようにして検査ユニット駆動部21及び回転位置検出センサ22に連結される。
【0022】
実施の形態1にかかる表面検査装置1では、カメラ12を覆うように面照明ユニット13が設けられる。面照明ユニット13には、カメラが露出するように穴が設けられており、この穴を介してカメラ12は、被検査体WKを撮影する。上側照明ユニット141及び下側照明ユニット142は、面照明ユニット13の上下に配置される。面照明ユニット13と上側照明ユニット141及び下側照明ユニット142とは、検査対象とする傷やシミ等の種類によって同時、或いは、片方のみが発行するように制御される。
【0023】
また、
図3に示すように、遮蔽板153は、被検査体WKの検査対象である検査端保持ユニット151に保持される側の第1の直線部と、被検査対象となる第2の直線部との間の見通しを遮るように配置される。
【0024】
ここで、実施の形態1にかかる表面検査装置1において、検査ボックス10及び制御ボックス20内に設けられる処理ブロックの接続関係について説明する。
図4に実施の形態1にかかる表面検査装置1のブロック図を示す。なお、
図4では説明のために、表面検査装置1と同時に用いられるロボットアーム40を追加して示している。
【0025】
図4に示すように、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、制御ボックス20内に設けられる回転制御部23、検査制御部24を用いて、に設けられるカメラ12、被検査体保持ユニット15、ディスプレイ30を操作する。また、実施の形態1にかかる表面検査装置1は、カメラ12から得た画像に対して欠陥検出処理部25を用いて画像処理を行うことで被検査体WKの表面の傷やシミ等の不具合を検出する。表面検査装置1では、当該検出結果を結果表示部となるディスプレイ30に表示する。また、表面検査装置1は、装置のオペレータが操作インタフェース31を介して与える操作指示を検査制御部24が受信して動作する。
【0026】
検査制御部24は、操作インタフェース31を介してオペレータから与えられた指示に基づき予め設定された検査シーケンスを実行する。具体的には、検査制御部24は、ロボットアーム40に動作指示を与えて、被検査体保持ユニット15に被検査体WKを挿入する。そして、検査制御部24は、被検査体保持ユニット15に被検査体WKが保持されたことに応じて、蓋11(
図4では不図示)を閉じて検査ボックス10内を暗室とする。
【0027】
その後、検査制御部24は、面照明ユニット13、上側照明ユニット141及び下側照明ユニット142を操作して被検査体WKに光を照射する。また、検査制御部24は、回転制御部23に動作指示を与える。回転制御部23は、検査制御部24から与えられた動作指示に従って、被検査体保持ユニット15を回転させる。この時、検査制御部24は被検査体WKを停止せずに連続して回転させても良く、所定の間隔で停止させながら回転させても良い。所定の間隔で被検査体WKを停止させながら回転させる場合、検査制御部24は、
図4では図示を省略した回転位置検出センサ22から被検査体保持ユニット15の回転角情報を得て、被検査体保持ユニット15が予め設定した角度で停止しながら1回転するように回転制御部23に動作指示を与える。なお、実施の形態1における被検査体WKの回転方法の詳細は後述する。
【0028】
また、カメラ12は、被検査体保持ユニット15が停止する毎に被検査体WKを撮影した画像を取得して欠陥検出処理部25に与える。欠陥検出処理部25は、カメラ12から受信した画像に所定のフィルタ処理を加えて被検査体WKに欠陥有りと判断した場合には、ディスプレイ30に検査NGを表示し、被検査体WKに欠陥がないと判断した場合は、ディスプレイ30に検査OKを表示する。
【0029】
続いて、実施の形態1にかかる表面検査装置1における被検査体の撮影範囲について説明する。そこで、
図5に実施の形態1にかかる表面検査装置の表面検査方法を説明する図を示す。なお、
図5を参照した説明において、
図4以前で説明した内容については説明を省略する。
図5では、カメラ12の撮影領域PAにハッチングを付した。カメラ12は、撮影領域PAの先にある第1の直線部WKmの撮影範囲WDの画像を取得する。
【0030】
図5に示すように、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、保持具155が屈曲部を有する棒状の被検査体の一方の端部から続く第1の直線部WKmを保持する。このとき、保持具155は、第1の直線部WKmを回転可能なように隙間嵌合するように第1の直線部WKmを保持する。また、保持具155は、第1の直線部WKmを保持していない状態では爪が開き、第1の直線部WKmを保持している状態で爪を閉じる。さらに、保持具155は、第1の直線部WKmを保持する円筒の一部に欠けた部分を形成し、当該欠けた部分を観察窓WNとする。
【0031】
そして、カメラ12は、観察窓WNを含む第1の直線部WKmの検査面を撮影範囲WDに設定し、当該撮影範囲WDを含む領域の撮影画像から切り出すことで、撮影範囲WDの画像を出力する。実施の形態1にかかる表面検査装置1では、この観察窓WNを設けることで、第1の直線部WKmを1回転させるのみで検査対象の全体を検査することが可能になる。
【0032】
また、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、遮蔽板153を設けるとことで、第2の直線部WKrの映り込み防止範囲MAの部分から発せられる反射光が撮影範囲WDに映り込むことを防止する。また、
図5に示すように、遮蔽板153は、上側先端が他の部分より幅の広いしゃもじ形状を有する。被検査体WKは、屈曲部を有するため、第2の直線部WKr側の屈曲部で反射される反射光の映り込みを防止する為には、遮蔽板153の上側先端の幅を広くすることが好ましい。また、この屈曲部の屈曲角度は、被検査体WKにより様々である。そのため、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、遮蔽板153の上側先端の幅が他の部分より広く、かつ、遮蔽板153が上下に昇降可能な構造とすることで様々な形状の被検査体WKにおいて映り込みを防止することができる。
【0033】
ここで、遮蔽板153による映り込み防止範囲MAについて詳細に説明する。
図6に、実施の形態1にかかる表面検査装置1の遮蔽板153による映り込み防止範囲を説明する図を示す。
図6では、映り込み防止範囲MAとなる部分にハッチングを付した
図6に示すように、第1の直線部WKmの撮影範囲WDから見て遮蔽板153により見通しが遮られる部分が映り込み防止範囲MAとなる。この時、映り込み防止範囲MAは、撮影領域PAを阻害しない範囲となるように遮蔽板153の幅及び高さを設定することが重要である。実施の形態1にかかる表面検査装置1では、遮蔽板153があることで映り込み防止範囲MAにある第2の直線部WKrからの反射光が第1の直線部WKmに映り込むことを防止する。
【0034】
続いて、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、第1の直線部WKmの回転が第1の直線部WKmと屈曲部を介して繋がる第2の直線部WKr側の端部を回転駆動部152により回転させることで行われる。実施の形態1にかかる表面検査装置1では、被検査体WKを停止させずに連続して回転させながら表面画像を取得する方法と、被検査体WKを所定の間隔で停止させながら表面画像を取得する方法と、のいずれの回転方法をとることもできる。
【0035】
連続して被検査体WKを回転させることで、検査時間を短縮することができる。また、連続して被検査体WKを回転させる場合、所定のサンプリングタイミング毎に被検査体WKの表面の画像を取得し、欠陥検出処理部25において、以下で説明する検査面の画像を撮影した複数の画像から取得する。このとき、欠陥検出処理部25は、回転位置検出センサ22で得られる角度情報を用いても良い。
【0036】
また、被検査体WKを停止させながら検査面の画像を取得する場合、検査面の鮮明な画像を取得できるため検査精度が向上する。この場合、欠陥検出処理部25は、取得した画像をそのまま利用して欠陥の解析を行う。
【0037】
図7に実施の形態1にかかる表面検査装置1における検査時の被検査体WKの動かし方を説明する図を示す。
【0038】
図7に示すように、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、保持具155の観察窓WNの大きさと、第2の直線部WKrの回転ステップ角度との関係に特徴の1つを有する。具体的には、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、カメラ12が撮影範囲WDを撮影する際の空間を撮影領域PAとすると、カメラ12による撮影範囲WDの撮影タイミングに撮影領域PA内で第2の直線部WKrが停止しない制御、或いは、撮影画像から撮影領域PA内を第2の直線部WKrが横切る期間の画像の破棄が行われる。
【0039】
また、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、第1の直線部WKmが1回転する間に第1の直線部WKmの外周表面の全てが撮影されるように被検査体WKを回転させる。なお、被検査体WKを停止させながら回転させる場合は、表面検査装置1は、第1の直線部WKmの外周表面の全てが撮影されるように第1の直線部WKmの1ステップの回転角を設定する。
【0040】
より具体的には、観察窓WNの回転方向の端部の一方と第1の直線部WKmの回転中心軸とを結ぶ第1の窓設定線L1と、観察窓WNの回転方向の端部の他方と第1の直線部WKmの回転中心軸とを結ぶ第2の窓設定線L2のなす角を第1の角度θ1とする。そして、第2の直線部WKrの回転ステップの角度を第2の角度θ2とする。そして、実施の形態1では、第2の角度θ2を第1の角度θ1よりも小さく設定する。このような設定とすることで、
図7に示す検査面A1~A8の幅は、それぞれ観察窓WNの開口幅よりも小さくなるように設定される。
【0041】
そして、被検査体WKを停止させながら回転させる場合は、
図7に示すように、撮影タイミングごとに第2の直線部WKrをP1~P8で停止させながら第1の直線部WKmを回転させることで検査面A1~A8が順次撮影される。一方、被検査体WKを連続して回転させる場合は、欠陥検出処理部25が撮影した複数の画像からこの検査面A1~A8の画像を抽出する。
【0042】
上記説明より、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、保持具155が検査対象の第1の直線部WKmが所定の範囲でカメラ12に向かって露出する観察窓WNを有する。そして、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、
図7の第2の角度θ2を第1の角度θ1よりも小さくなるように設定することで、第1の直線部WKmを1回転させるだけで第1の直線部WKmの外周面の全てを撮影する。
【0043】
上記特徴により、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、被検査体が屈曲部を有していても、被検査体の直線部の表面検査を行うことができる。また、実施の形態1にかかる表面検査装置1は、屈曲部を有する被検査体であっても当該屈強部以外の部分を、単に被検査体を1回転させるだけで検査可能でる。つまり、実施の形態1にかかる表面検査装置1は、検査体或いは装置の動きとして少ない動きで検査を完了できるため、検査時間を短縮することができる。
【0044】
また、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、連続して被検査体WKを回転させることでも検査時間を短縮することができる。一方、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、被検査体WKを停止させながら回転させることで、鮮明な画像により検査精度を向上させることができる。
【0045】
さらに、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、欠陥検出処理部25が複数のフィルタ処理を切り替えて画像処理を行うことで、表面の複数の欠陥形態の検出を1つの装置で実施することが可能になる。
【0046】
また、実施の形態1にかかる表面検査装置1では、遮蔽板153を設けることで、面照明ユニット13、上側照明ユニット141及び下側照明ユニット142が検査ボックス10内で発する光が第2の直線部WKrで反射して、当該反射光が第1の直線部WKmに映り込み本来傷やシミがない良品を不良品として誤判定することを防止することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 表面検査装置
10 検査ボックス
11 蓋
12 カメラ
13 面照明ユニット
141 上側照明ユニット
142 下側照明ユニット
15 被検査体保持ユニット
151 検査端保持ユニット
152 回転駆動部
153 遮蔽板
154 被検査端保持部
155 保持具
16 ベースプレート
20 制御ボックス
21 検査ユニット駆動部
22 回転位置検出センサ
23 回転制御部
24 検査制御部
25 欠陥検出処理部
30 ディスプレイ
31 操作インタフェース
40 ロボットアーム
WK 被検査体
WKm 第1の直線部
WKr 第2の直線部
WN 観察窓
WD 撮影範囲
PA 撮影領域
MA 映り込み防止範囲
L1 第1の窓設定線
L2 第2の窓設定線