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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175236
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】吊下げ装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 97/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A47B97/00 C
A47B97/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081480
(22)【出願日】2021-05-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
(57)【要約】      (修正有)
【課題】収容家具の吊下げ位置、吊下げ高さの制約を受けず、さらに地震時において、家具の変位を抑制できる吊下げ装置を提供する。
【解決手段】天井100に装着された吊下げ部材10は、仮想直線H1と仮想直線V1の交点の位置に設けられている。吊下げ部材10は、固定金具12によって天井梁110に固定されている。また、収容筐体21の一部と連結部30は、天井板120から突設して設けられている。収容筐体21の下端部は、円筒形状の防振ゴム20(防振部)が収容されている。接続金具31の上端部は、防振ゴム20の上端部に固定されるとともに、中間部は防振ゴム20に摺動可能に固定されている。防振ゴム20は、接続金具31を介して連結部30と連結している。連結部30には、収納家具、変位拘束部材と連結するための雌ネジ30aが切られている
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に装着されて、収納家具を吊下げる吊下げ装置であって、
前記収納家具を防振するための防振部と、前記防振部に固定された状態で前記収納家具を着脱可能に連結する連結部と、を有する吊下げ部材を備えることを特徴とする吊下げ装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記収納家具に固定される連結ロッドを介して前記収納家具と着脱可能に連結することを特徴とする請求項1に記載の吊下げ装置。
【請求項3】
前記天井は、支持部材と、前記支持部材に吊下げられた天井板と、を有し、
前記防振部は前記支持部材に固定され、前記連結部は、前記天井板から突出した状態で、前記防振部と接続することを特徴とする請求項1または2に記載の吊下げ装置。
【請求項4】
前記吊下げ部材は、所定の間隔で、かつ平行に縦横に延びる複数の仮想直線の交点の位置に配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吊下げ装置。
【請求項5】
前記天井は、所定の間隔で平行に配置される複数のハンガーレールを有し、
前記吊下げ部材は、前記ハンガーレールに沿ってスライド可能に連結することを特徴とする請求項1または2に記載の吊下げ装置。
【請求項6】
前記収納家具は、変位拘束部材を介して前記連結部と着脱可能に連結し、
前記変位拘束部材は、環状に設けられた側板と、前記側板に外縁端が接触するダイヤフラム板と、を有し、
前記側板と、前記ダイヤフラム板は協働して前記収納家具の側方変位及び回転変位を拘束することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の吊下げ装置。
【請求項7】
前記側板、および前記ダイヤフラム板は、規則的に配列されたセルが形成された紙製のコア材を、紙製のシートが挟持した構造であることを特徴とする請求項6に記載の吊下げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納家具を吊下げる吊下げ装置に関する。なお、本発明の吊下げ装置は、天井に設けられている。
【背景技術】
【0002】
地震に起因する家具の振動、移動、転倒の防止を目的として様々な対策が講じられている。対策の一つとして家具を吊下げ支持することが提案されている。
【0003】
特許文献1では、什器または機器類は構造物または構造物に固定された部材から吊り部材によって吊り下げ支持され、吊り部材の長さは調整されて、什器または機器類の固有周期が地震動の卓越周期帯域から外れるように、吊り下げ支点から什器または機器類の重心間の長さが設定されている発明が提案されている。
【0004】
特許文献2では、地震発生時に家具を吊持することにより家具の重心バランスをとりつつ、震動の大きさに応じた家具の段階的な傾斜を可能とし、家具の前倒防止を図れる転倒防止装置が提案されている。壁面または天井に設けられた滑車を支点として、家具の天面に配置された第1点と第2点とで家具を吊持する吊持部と、床に配置された下架台部と、家具の底面に配置され、下架台部上を傾斜しながら前方向に摺動する上架台部と、を備え、上架台部は後方向への揺り戻しを規制する第1の規制部を有し、下架台部は第1の規制部に係合する第1の規制面を前後方向に複数有し、吊持部は上架台部の傾斜に応じて、滑車から第1点までの距離と、滑車から第2点までの距離との比率を変化させる発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-183993号公報
【特許文献2】特開2018-117996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1で提案されている発明は、吊り下げ支点から什器または機器類の重心間の長さを什器または機器類の固有周期が地震動の卓越周期帯域から外れるように設定する必要があることから、吊下げる什器の重量、吊下げ位置に一定の制約が課される。特許文献2で提案されている発明は、天井と床面の双方で家具を支持する必要があることから、吊下げる家具の高さを自由に設定することはできない。
【0007】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、収容家具の吊下げ位置、吊下げ高さの制約を受けず、さらに地震時において、家具の変位を抑制できる吊下げ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための発明は、天井に装着されて、収納家具を吊下げる吊下げ装置であって、収納家具を防振するための防振部と、防振部に固定された状態で収納家具を着脱可能に連結する連結部を有する吊下げ部材を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、吊下げ位置、吊下げ高さの制約を受けず収納家具を吊下げることができる。また、防振部を有するので、地震に起因する収納家具の変位を抑制できる。
【0010】
ここでいう収納家具とは、家財道具や服飾品、食品などを整理して収納するための家具であって、具体的には、衣類や小物を保管するために用いる箪笥類や、本棚、戸棚、食器棚、下駄箱などである。
【0011】
好ましくは、連結部は、収納家具に固定される連結ロッドを介して収納家具と着脱可能に連結することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、連結部は、収納家具に固定される連結ロッドを介して収納家具と着脱可能に連結するので、既存の収納家具に連結ロッドを固定することで、既存の収納家具を天井から吊下げることができる。
【0013】
好ましくは、天井は、支持部材と、支持部材に吊下げられた天井板を有し、防振部は支持部材に固定され、連結部は、天井板から突出した状態で、防振部と接続することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、防振部は天井板とともに支持部材に固定されて、連結部は、天井板から突出した状態で、防振部と接続するので、連結部の振動によって天井板が損傷を受ける事象を回避できる。
【0015】
好ましくは、吊下げ部材は、所定の間隔で、かつ平行に縦横に延びる複数の仮想直線の交点の位置に配置されることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、吊下げ部材は、所定の間隔で、かつ平行に縦横に延びる複数の仮想直線の交点の位置に配置される、すなわち格子の交点の位置に一定の間隔で規則的に配置されるので、吊下げ部材の取付範囲、取付の間隔を適宜設定することで、複数の収納家具が取付できて、しかも、取付位置も制約を受けることはない。
【0017】
好ましくは、天井は、所定の間隔で平行に配置される複数のハンガーレールを有し、吊下げ部材は、ハンガーレールに沿ってスライド可能に連結することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、ハンガーレールの延びる方向に沿って任意の位置に、簡単に収納家具を配置できる。
【0019】
好ましくは、収納家具は、変位拘束部材を介して連結部と着脱可能に連結し、変位拘束部材は、環状に設けられた側板と、側板に外縁端が接触するダイヤフラム板を有し、側板と、ダイヤフラム板は協働して収納家具の側方変位及び回転変位を拘束することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、収納家具は、変位拘束部材を介して連結部と着脱可能に連結するので、変位拘束部材の高さを適切に選定することによって、収納家具の取付高さを自由に設定できる。また、側板と、ダイヤフラム板は協働して収納家具の側方変位及び回転変位を拘束するので、地震に起因する、また通常時における収納家具の変位を抑制できる。
【0021】
好ましくは、側板、およびダイヤフラム板は、規則的に配列されたセル層が形成された紙製のコア材を、紙製のシートが挟持した構造であることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、側板、およびダイヤフラム板は、規則的に配列されたセル層が形成された紙製のコア材を、紙製のシートが挟持した構造であるので、所定の強度を確保した上で、変位拘束部材の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態1における吊下げ部材の配置を説明する斜視図である。
図2】(a)は、実施形態1における吊下げ部材の正面図である。(b)は、同、側面図である。
図3】(a)は、実施形態1において、キャビネットが吊下げられているときの正面図である。(b)は、実施形態1において、変位拘束部材を介してキャビネットが吊下げられているときの正面図である。
図4】キャビネットの斜視図である。
図5】変位拘束部材の分解斜視図である。
図6】実施形態2における天井の斜視図である。
図7】実施形態2における吊下げ部材の正面図である。
図8】側板およびダイヤフラム板の構造を説明する部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1~5を参照して、本発明の実施形態1を詳述する。
【0025】
図1に示す通り、吊下げ装置1は複数個の吊下げ部材10を有している。天井100に装着された吊下げ部材10は、仮想直線H1と仮想直線V1の交点の位置に設けられている。仮想直線H1は壁面151と平行かつ等間隔な複数の天井100に描かれた仮想直線で構成され、仮想直線V1は壁面150と平行かつ等間隔な複数の天井100に描かれた仮想直線で構成されている。また、仮想直線H1と、仮想直線V1は直交している。
【0026】
図2(a)、(b)に示す通り、天井100は、天井板120が天井吊材130を介して天井梁110(支持部材)に支持されている構造である。吊下げ部材10は、一端が天井梁110に固定されて、他端が天井板120から床160の方向に向かって突出している。
【0027】
以下、吊下げ部材10について詳述する。
【0028】
吊下げ部材10は、上端部に固定金具12が装着されている。固定金具12の側面12aは、4本のビス15によって天井梁110に固定されている。固定金具12の底面12bは、天井板120の方向に向かって延びる調整ロッド13が固定されている。調整ロッド13には雄ネジ13aが切られている。側面12aと底面12bは、ブラケット12cを介して相互に固定されている。
【0029】
収容筐体21の上端部は、雄ネジ13aに螺合する調整ナット22が装着されている。調整ナット22を回動することで、収容筐体21は、雄ネジ13aに沿って転動しながら上下方向に移動する。これにより、収容筐体21の取付高さを調整できる。収容筐体21の下端部は、円筒形状の防振ゴム20(防振部)が収容されている。
【0030】
収容筐体21の一部と連結部30は、天井板120から突設して設けられている。連結部30は雌ネジ30aが切られた略円筒形の部材であり、接続金具31を介して防振ゴム20に固定されている。
【0031】
接続金具31の上端部は、防振ゴム20の上端部に固定されるとともに、中間部は防振ゴム20に摺動可能に固定されている。具体的には、円筒形状の防振ゴム20の空洞部分に接続金具31の中間部が摺動可能に挿入されている状態である。また、接続金具31の下端部は連結部30と連結している。これにより、防振ゴム20の伸縮に伴って、連結部30は上下方向に移動する。
【0032】
図3(a)に示す通り、キャビネット50は、四隅から上方に向かって突設する連結ロッド52が固定されている。連結ロッド52の先端部は、連結ネジ51が軸支されている。連結部30と、連結ネジ51を螺合して連結することで、キャビネット50は、連結ロッド52を介して連結部30に連結する。また、図3(b)に示す通り、キャビネット50と吊下げ部材10との間に変位拘束部材60を介在させてもよい。変位拘束部材60を介在させることで、キャビネット50の取付高さを調整できるので、収納物を希望する高さに収納できる。キャビネット50の取付高さは、真下を歩行しても頭に接触せず、かつ収容物を取り出しやすい高さとすることが好ましい。
【0033】
図4に示す通り、キャビネット50は、棚55が適宜設けられるとともに、観音開きの扉54が設けられている。また、四隅から上方に向かって突設する連結ロッド52が固定されている。連結ロッド52の先端部は、連結ネジ51を軸支している。連結ネジ51は、雌ネジ30aに螺合する雄ネジ51aが切られている。連結ネジ51を回動することで、雄ネジ51aと、雌ネジ30aは螺合する。これにより、キャビネット50は、吊下げ部材10を介して天井100に固定される。
【0034】
図5に示す通り、変位拘束部材60は、梯子形状の一対のフレーム61、61と、側板62と、2枚のダイヤフラム板63で構成されている。フレーム61は、円筒形の棒部材を梯子状に組立て、上端に、連結ネジ51と同様の構造である連結ネジ64を軸支し、また、下端に、連結部30と同様の構造である連結部65を固定した構成となっている。
【0035】
環状に設けられた側板62は、4個の平板62a、62b、62c、62dで構成され、それぞれがフレーム61に着脱可能に連結されている。
【0036】
2枚のダイヤフラム板63は、4個の平板62a、62b、62c、62dの上縁端、または下縁端に当接する状態で、フレーム61に着脱可能に連結されている。
【0037】
側板62、およびダイヤフラム板63は、紙製のサンドイッチパネル構造であることが好ましい。具体的には、図8に示す通り、規則的に配列されたハニカム形状のセル71aが形成された紙製のコア材71を、紙製のシート72が挟持した構造である。これにより、所定の強度を確保した上で、側板62、ダイヤフラム板63の軽量化が図れるので、大きな労力を要することなく簡単に吊下げ部材10と接続することができる。
【0038】
ここで、変位拘束部材60の取付手順について説明する。
【0039】
平板62b、62dを取り付けた一対のフレーム61、61を所定の間隔で吊下げ部材10に取り付ける。取付は、連結部30に切られた雌ネジ30aと、フレーム61の上端に軸支される連結ネジ64に切られた雄ネジ64aを螺合することで、フレーム61と、吊下げ部材10は連結する。ダイヤフラム板63、平板62a、62cをフレーム61に順次取付けることで、変位拘束部材60は、吊下げ部材10を介して天井100に固定される。
【0040】
本実施形態1では、ダイヤフラム板63を2枚取り付けたが、1枚であってもよく、また3枚以上であってもよい。
【0041】
キャビネット50を天井100から吊下げるときは、ワイヤーを用いるのが一般的である。しかし、吊下げられたキャビネット50は、常時揺れることから、揺れを抑制するためにワイヤーを斜めに張り渡す必要がある。この場合、ワイヤーを斜めに張り渡す空間を確保する必要があることから、キャビネット50の吊下げ位置はワイヤーを斜めに張り渡す空間を確保できる位置に限定される。
【0042】
一方で、本実施形態1のように変位拘束部材60を介してキャビネット50を天井100に吊下げたときは、変位拘束部材60によってキャビネット50の側方変位が拘束されるので、吊下げ部材10が配置される位置であればいずれの場所でも吊下げできる。すなわち、天井100の全面に渡って規則的に吊下げ部材10を配置することでキャビネット50は、吊下げ位置の制約を受けることはない。
【0043】
また、ワイヤーを斜めに張り渡してキャビネット50を吊下げた状態では、地震が発生した場合、地震の横揺れによって、それぞれのワイヤーの張力差が大きくなる。そのため、キャビネット50は大きく横揺れする。
【0044】
一方で、変位拘束部材60を介してキャビネット50を天井100に吊下げたときは、地震力によって変位拘束部材60は変形し、これに伴ってキャビネット50は変形しようとする。しかし、地震力が発生したとき、側板62、ダイヤフラム板63のそれぞれは、斜めに変形することで、協働して地震力に抗する。側板62、ダイヤフラム板63のような平板は大きなせん断剛性を具備していることから変位拘束部材60の側方への変形は軽微となる。また、縦揺れに対しては、防振ゴム20で衝撃が緩和されて大きな揺れを生じることはない。
【0045】
本実施形態1では、複数のキャビネット50を直接、または変位拘束部材60を介して吊下げ部材10に吊下げることができる。また、壁に沿って吊下げてもよいし、室内の中央に吊下げてもよい。すなわち、吊下げるキャビネット50の個数、大きさ、位置、および吊下げ方法を適宜適切に選定することで、利便性にすぐれた天井収納システムを構築できる。
【0046】
収納家具を床に設置した状態で部屋を掃除する場合は、収納家具と床との隙間は収納家具が取り付けられた脚部が支障になり、掃除が行き届かない領域が生じることがある。しかし、本実施形態1で例示したキャビネット50を用いて天井収納システムを構築する場合は、キャビネット50と床との間に所定の隙間を設けることができるので、掃除ロボットによって、部屋全体を余すことなく清掃できる。
【0047】
また、床に直置きすると室内の移動に障害となるもの、例えば雑誌、新聞、書類、趣味で使用する道具類などは、すべて天井収納システムに収容できることから、小さな子供がいる家庭では、子供を、室内で安全に遊ばせることができる。
【0048】
実施形態2について、図6、7を参照して説明する。実施形態1と実施形態2は、ほぼ同じ構成となる部分が多いことから、主に相違する構成について説明する。実施形態1と同一の構成については、同様の符号を付し、異なる構成については200番台の符号を付す。
【0049】
吊下げ装置201は、吊下げ部材210およびハンガーレール270を有している。図6に示す通り、5本のハンガーレール270は一定の間隔を保って壁面151に平行な状態で、天井100に装着されている。ハンガーレール270の本数、およびハンガーレール270間の間隔、および位置は、吊下げる収納家具を勘案して適宜定めればよい。
【0050】
図7に示す通り、ハンガーレール270の内部空間を転動するローラー271が吊下げロッド213に軸支されている。これにより、吊下げ部材210は、ハンガーレール270が伸びる方向に移動できる。
【0051】
吊下げロッド213には雄ネジ213aが切られている。収容筐体21の上端部は、雄ネジ213aに螺合する調整ナット22を有している。調整ナット22を回動することで、収容筐体21は、雄ネジ213aに沿って転動しながら上下方向に移動する。収容筐体21をハンガーレール270に向かって上方に移動させることで、収容筐体21とハンガーレール270は圧縮力が負荷された状態で接触する。このときに生じる摩擦力によって、ローラー271にブレーキがかかった状態となり、転動は制限される。これにより吊下げ部材210の移動は制限される。また、調整ナット22を回動して収容筐体21とハンガーレール270の接触状態を解放することで、ローラー271はハンガーレール270に沿って転動でき、ローラー271はハンガーレール270に沿って移動できる。
【0052】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、キャビネット50を、変位拘束部材と同様の素材を用いて、組立分解できる構造としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の吊下げ装置は、歩行に支障となる障害物を床に置く必要がなくなることから、足の不自由な方々、例えば車椅子での移動を余儀なくされる方々の移動の負担を軽減できる。また、空間の効率的な活用が可能となり、特に賃貸アパートに適用することで他の賃貸アパートとの差別化を図ることができることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0054】
1、201:吊下げ装置
10、210:吊下げ部材
20:防振ゴム(防振部)
30:連結部
50:キャビネット(収納家具)
52:連結ロッド
60:変位拘束部材
61:フレーム
62:側板
63:ダイヤフラム板
71:コア材
71a:セル
72:シート
270:ハンガーレール
100:天井
110:天井梁(支持部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8