(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175268
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20221117BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20221117BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G03G15/00 480
B65H7/06
G03G21/00 510
G03G21/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081521
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】前西 潤太
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2H072AA02
2H072AA07
2H072AA16
2H072AA22
2H072AA29
2H072AB19
2H072AB20
2H072CA01
2H072EA12
2H072JA02
2H270LC11
2H270LC12
2H270LC13
2H270LC14
2H270LC19
2H270LC22
2H270LD15
2H270MF13
2H270MH09
2H270NE08
2H270RB03
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA14
3F048BB02
3F048BB05
3F048BB10
3F048CA03
3F048CC01
3F048DA06
3F048DB01
3F048DB07
3F048DB12
3F048DC09
3F048EA12
3F048EB02
3F048EB22
3F048EB24
3F048EB37
(57)【要約】
【課題】プロセッサーが起動したときに、シートが搬送路に残った状態で他のシートの供給およびプリント処理が開始されることを回避すること。
【解決手段】イベント記録部8dは、供給シート検出部5aがシートを検出するごとに不揮発性記憶装置におけるイベントデータD1を未完了状態に更新し、排出シート検出部5bの検出結果が排出変化を示すごとに前記イベントデータD1を完了状態に更新する。制御部8eは、プロセッサー81が起動したときに、複数のシート検出部5が前記シートを検出しておらず、かつ、前記イベントデータD1が前記完了状態である場合には、プリント装置4に準備処理を実行させる第1起動制御を実行し、前記イベントデータD1が前記未完了状態である場合には、供給機構2を動作させることなく搬送機構3および前記プリント装置4に前記シートの搬送動作を実行させることを含む第2起動制御を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを1枚ずつ搬送路へ供給する供給機構と、
前記シートを前記搬送路に沿って搬送し、さらに前記シートを前記搬送路から排出する搬送機構と、
前記搬送路において前記搬送機構とともに前記シートを搬送しつつ前記シートに画像を形成するプリント装置と、
それぞれ前記搬送路において前記シートを検出し、前記供給機構により前記搬送路へ供給された前記シートを検出する供給シート検出部および前記搬送機構により前記搬送路から排出される前記シートを検出する排出シート検出部を含む複数のシート検出部と、
前記供給機構、前記搬送機構および前記プリント装置を制御するプロセッサーと、を備え、
前記プロセッサーは、
前記供給シート検出部が前記シートを検出するごとに不揮発性記憶装置におけるイベントデータの記録状態を未完了状態に更新し、前記排出シート検出部の検出結果が予め定められた排出変化を示すごとに前記イベントデータの記録状態を完了状態に更新するイベント記録部と、
前記プロセッサーが起動したときに、前記複数のシート検出部が前記シートを検出しておらず、かつ、前記イベントデータの記録状態が前記完了状態である場合には、前記供給機構および前記搬送機構を動作させることなく前記プリント装置に準備処理を実行させる第1起動制御を実行し、前記イベントデータの記録状態が前記未完了状態である場合には、前記供給機構を動作させることなく前記搬送機構および前記プリント装置に前記シートの搬送動作を実行させることを含む第2起動制御を実行する制御部と、を含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2起動制御において、前記排出シート検出部の検出結果が前記排出変化を示すまで、または、予め定められた中止条件が成立するまで、前記搬送機構および前記プリント装置に前記シートの搬送動作を実行させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記イベント記録部は、前記搬送路へ供給された前記シートの長さを表すシート長データを前記不揮発性記憶装置に記録することによって前記イベントデータの記録状態を前記未完了状態に更新し、
前記中止条件は、前記未完了状態の前記イベントデータに対応する前記シート長データが予め定められた基準長さを下回る長さを表し、かつ、前記複数のシート検出部が前記シートを検出していない状態が、前記シートの搬送動作が開始されてから前記シート長データに応じて定まる時間が経過するまで継続する、という条件を含む、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記プロセッサーが起動したときに、前記複数のシート検出部が前記シートを検出しておらず、かつ、前記イベントデータの記録状態が前記未完了状態であり、かつ、前記未完了状態の前記イベントデータに対応する前記シート長データが前記基準長さを超える長さを表す場合に、操作装置に対して予め定められた解消確認操作が行われたことを条件に、前記供給機構および前記搬送機構を動作させることなく前記プリント装置に前記準備処理を実行させる、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送機構および前記プリント装置が前記シートの搬送動作を実行しているときの前記複数のシート検出部の検出結果の変化に応じてジャムが生じたか否かを判定し、前記ジャムが生じたと判定したときに前記不揮発性記憶装置におけるジャムデータの記録状態を発生状態に更新し、前記ジャムデータの記録状態を前記発生状態に更新した後に予め定められたジャム解消条件が成立したときに前記ジャムデータの記録状態を未発生状態に更新するジャム判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記プロセッサーが起動したときの前記ジャムデータの記録状態が前記未発生状態である場合に、前記イベントデータの記録状態および前記複数のシート検出部の検出状態に応じて前記第1起動制御または前記第2起動制御を実行し、
さらに前記制御部は、前記プロセッサーが起動したときの前記ジャムデータの記録状態が前記発生状態である場合に、前記第1起動制御および前記第2起動制御とは異なる第3起動制御を実行する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記プロセッサーが起動したときに、前記ジャムデータの記録状態が前記未発生状態であり、かつ、前記イベントデータの記録状態が前記未完了状態であり、かつ、前記複数のシート検出部のいずれかが前記シートを検出している場合に、前記排出シート検出部の検出結果が前記排出変化を示すまで、または、予め定められた中止条件が成立するまで、前記供給機構を動作させることなく前記搬送機構および前記プリント装置に前記シートの搬送動作を実行させる、請求項5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路内のシートを検出するシート検出部を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、搬送路に沿って搬送されるシートに画像を形成するプリント処理を実行するプリント装置を備える。さらに、前記画像形成装置は、それぞれ前記搬送路内の前記シートを検出する複数のシート検出部を備える。
【0003】
また、前記画像形成装置において、プロセッサーが、前記複数のシート検出部の検出結果の変化に応じてジャムが生じたか否かを判定する処理を実行する。前記ジャムは、前記シートが前記搬送路において詰まる現象である。
【0004】
また、前記画像形成装置において、詰まり検知部が、前記ジャムを検知したときに前記シートの搬送に関する測定時間を記憶部に保存し、位置推定部が、保存された前記測定時間に応じて前記ジャムが生じている位置を推定することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記画像形成装置において、停電などの非常の事態が生じることにより、前記シートが前記搬送路に残っており、かつ、前記ジャムが検知されない状態で、前記プロセッサーが停止する場合がある。
【0007】
上記の場合、後に前記プロセッサーが起動したときに、前記複数のシート検出部が前記シートを検出していない場合に、前記シートが前記搬送路に残ったまま、他のシートの供給および前記プリント処理が新たに開始されるおそれがある。
【0008】
前記シートが前記搬送路に残ったまま他のシートの供給および前記プリント処理が開始されると、前記プリント処理が正常に行われず、さらに、前記ジャムが生じるそれがある。
【0009】
本発明の目的は、プロセッサーが停電などの非常の事態に応じて停止した後に起動したときに、シートが搬送路に残った状態で他のシートの供給およびプリント処理が開始されることを回避できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、供給機構と、搬送機構と、プリント装置と、複数のシート検出部と、プロセッサーと、を備える。前記供給機構は、シートを1枚ずつ搬送路へ供給する。前記搬送機構は、前記シートを前記搬送路に沿って搬送し、さらに前記シートを前記搬送路から排出する。前記プリント装置は、前記搬送路において前記搬送機構とともに前記シートを搬送しつつ前記シートに画像を形成する。前記複数のシート検出部は、それぞれ前記搬送路において前記シートを検出する。前記複数のシート検出部は、前記供給機構により前記搬送路へ供給された前記シートを検出する供給シート検出部および前記搬送機構により前記搬送路から排出される前記シートを検出する排出シート検出部を含む。前記プロセッサーは、前記供給機構、前記搬送機構および前記プリント装置を制御する。前記プロセッサーは、イベント記録部と制御部とを含む。前記イベント記録部は、前記供給シート検出部が前記シートを検出するごとに不揮発性記憶装置におけるイベントデータの記録状態を未完了状態に更新し、前記排出シート検出部の検出結果が予め定められた排出変化を示すごとに前記イベントデータの記録状態を完了状態に更新する。前記制御部は、前記プロセッサーが起動したときに、前記複数のシート検出部が前記シートを検出しておらず、かつ、 前記イベントデータの記録状態が前記完了状態である場合には、前記供給機構および前記搬送機構を動作させることなく前記プリント装置に準備処理を実行させる第1起動制御を実行し、前記イベントデータの記録状態が前記未完了状態である場合には、前記供給機構を動作させることなく前記搬送機構および前記プリント装置に前記シートの搬送動作を実行させることを含む第2起動制御を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プロセッサーが停電などの非常の事態に応じて停止した後に起動したときに、シートが搬送路に残った状態で他のシートの供給およびプリント処理が開始されることを回避できる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像形成装置における制御装置の構成を表すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像形成装置における第1起動制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像形成装置における第2起動制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像形成装置における第3起動制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
図1に示されるように、実施形態に係る画像形成装置10は、1つ以上のシート収容部1、1つ以上の供給機構2、搬送機構3、プリント装置4、複数のシート検出部5および制御装置8を備える。
【0015】
供給機構2、搬送機構3、プリント装置4および複数のシート検出部5は、本体筐体100内に設けられている。また、シート9の通路をなす搬送路30が、本体筐体100内に設けられている。画像形成装置10は、操作装置801および表示装置802をさらに備える。
【0016】
シート収容部1は、複数のシート9を収容可能である。シート9は、紙または樹脂シートなどのシート状の画像形成媒体である。
図1に示される例において、画像形成装置10は複数のシート収容部1を備える。
【0017】
供給機構2は、シート収容部1に対応して設けられている。従って、画像形成装置10は、複数の供給機構2を備える。
【0018】
供給機構2は、シート9を1枚ずつシート収容部1から搬送路30へ供給する。搬送機構3は、シート9を搬送路30に沿って搬送し、さらにシート9を搬送路30から排出トレイ101上へ排出する。
【0019】
搬送機構3は、搬送路30における異なる位置に配置された複数組の搬送ローラー対31を備える。複数組の搬送ローラー対31は、それぞれ回転駆動されることによってシート9を搬送する。
【0020】
プリント装置4は、搬送路30において搬送機構3とともにシート9を搬送しつつプリント処理を実行する。前記プリント処理は、シート9に画像を形成する処理である。
【0021】
本実施形態において、プリント装置4は、電子写真方式で前記プリント処理を実行する。この場合、プリント装置4は、LSU(Laser Scanning Unit)40、1つ以上の作像部4x、転写装置44および定着装置46を備える。
【0022】
作像部4xは、感光ドラム41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45を備える。
【0023】
帯電装置42は、回転駆動される感光ドラム41の表面を帯電させる。LSU40は、ビーム光を走査することにより感光ドラム41の表面に静電潜像を書き込む。現像装置43は、感光ドラム41の表面にトナーを供給することにより前記静電潜像をトナー像へ現像する。
【0024】
転写装置44は、搬送機構3とともにシート9を搬送路30に沿って搬送しつつ前記トナー像をシート9に転写する。定着装置46は、シート9に転写された前記トナー像を加熱および加圧することにより前記トナー像をシート9に定着させる。
【0025】
ドラムクリーニング装置45は、感光ドラム41の表面に残存する廃トナーを除去する。
【0026】
本実施形態において、プリント装置4は、タンデム方式のカラープリント処理を実行可能である。そのため、プリント装置4は、それぞれ現像色が異なる複数の作像部4xを備える。
【0027】
さらに、転写装置44は、中間転写ベルト441、複数の一次転写装置442および二次転写装置443を備える。中間転写ベルト441は、その表面が複数の感光ドラム41の表面に沿う状態で回転駆動される。
【0028】
複数の一次転写装置442は、複数の作像部4xにおいて感光ドラム41上の単色の前記トナー像を中間転写ベルト441の表面に転写する。これにより、カラートナー像が中間転写ベルト441の表面に形成される。二次転写装置443は、前記カラートナー像をシート9へ転写する。
【0029】
なお、プリント装置4が、インクジェット方式などの他の方式で前記プリント処理を実行する装置であってもよい。
【0030】
複数のシート検出部5は、それぞれ搬送路30においてシート9を検出する。例えば、シート検出部5各々は、不図示の変位部材および検出センサーを備える。
【0031】
前記変位部材は、搬送路30に沿って搬送されるシート9と接触することにより、基準位置から退避位置へ変位する。前記検出センサーは、前記退避位置へ変位した前記変位部材を検出する。
【0032】
複数のシート検出部5の検出結果は、供給機構2によりシート9の供給のタイミングの制御、および、搬送機構3によるシート9の転写装置44への送り出しのタイミングの制御などに用いられる。
【0033】
複数のシート検出部5は、供給シート検出部5aおよび排出シート検出部5bを含む。供給シート検出部5aは、供給機構2により搬送路30へ供給されたシート9を検出する。本実施形態において、複数のシート検出部5は、複数の供給機構2に対応する複数の供給シート検出部5aを含む。
【0034】
排出シート検出部5bは、搬送機構3により搬送路30から排出されるシート9を検出する。
【0035】
本実施形態において、供給シート検出部5aは、搬送路30における供給機構2から最初の搬送ローラー対31に到達するまでの経路に配置されている。また、排出シート検出部5bは、搬送路30の排出口に最も近い2組の搬送ローラー対31の間に配置されている。
【0036】
操作装置801は、人の操作を受け付ける装置であり、例えば、操作ボタンおよびタッチパッドを含む。表示装置802は、情報を表示する装置であり、例えば、液晶表示ユニットなどの表示装置を含む。なお、操作装置801と表示装置802とを兼ねるタッチパネルが採用されてもよい。
【0037】
制御装置8は、各種のデータ処理および画像形成装置10の制御を実行する。
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。
【0038】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0039】
信号インターフェイス84は、各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0040】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。CPU81は、供給機構2、搬送機構3およびプリント装置4を制御するプロセッサーの一例である。
【0041】
RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0042】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主処理部8a、ジョブ制御部8bおよびジャム判定部8cなどを含む。
【0043】
主処理部8aは、操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる処理、および、表示装置802の制御などを実行する。ジョブ制御部8bは、供給機構2および搬送機構3を制御することにより、シート9の供給および搬送を制御する。
【0044】
さらに、ジョブ制御部8bは、プリント装置4を制御することにより、プリント装置4に前記プリント処理を実行させる。
【0045】
ジャム判定部8cは、ジャム判定処理を実行する。前記ジャム判定処理は、搬送機構3およびプリント装置4がシート9の搬送動作を実行しているときの複数のシート検出部5の検出結果の変化に応じてジャムが生じたか否かを判定する処理である。
【0046】
具体的には、ジャム判定部8cは、供給機構2がシート9の供給動作を開始してから予め定められた時間内に、動作した供給機構2に対応する供給シート検出部5aがシート9を検出しない場合に前記ジャムが生じたと判定する。
【0047】
さらに、ジャム判定部8cは、搬送機構3およびプリント装置4がシート9の搬送動作を実行しているときに、いずれかのシート検出部5がシート9を検出してから予め定められた時間内にシート搬送方向の下流側の隣のシート検出部5がシート9を検出しない場合に前記ジャムが生じたと判定する。
【0048】
さらに、ジャム判定部8cは、搬送機構3がシート9の搬送動作を実行しているときに、排出シート検出部5bがシート9を検出してから予め設定される排出時間が経過するまでに排出シート検出部5bがシート9を検出しない状態へ変化しない場合に前記ジャムが生じたと判定する。
【0049】
例えば、前記排出時間は、シート9の搬送方向の最大長さに対応する時間である。また、ジャム判定部8cは、供給機構2により供給されたシート9の長さを表すシート長データを取得し、前記シート長データに応じて前記排出時間を設定してもよい。
【0050】
例えば、ジョブ制御部8bは、搬送機構3がシート9の搬送動作を実行しているときに、供給シート検出部5aがシート9を検出してからシート9を検出しなくなるまでの時間を計時し、計時した時間に応じて前記シート長データを設定する。
【0051】
ジョブ制御部8bは、シート収容部1ごとに前記シート長データを設定する。換言すれば、ジョブ制御部8bは、供給シート検出部5aごとに、または、供給機構2ごとに、前記シート長データを設定する。
【0052】
さらに、ジョブ制御部8bは、設定した前記シート長データを二次記憶装置83に記録する。この場合、ジャム判定部8cは、二次記憶装置83から前記シート長データを取得する。
【0053】
また、主処理部8aが、操作装置801に対する操作に従ってシート収容部1ごとに前記シート長データを設定してもよい。主処理部8aは、設定した前記シート長データを二次記憶装置83に記録する。この場合、ジャム判定部8cは、二次記憶装置83から前記シート長データを取得する。
【0054】
また、画像形成装置10が、シート収容部1ごとにシート9の搬送方向の長さを検出するシート長検出部を備えてもよい。この場合、ジャム判定部8cは、前記シート長検出部から前記シート長データを取得する。
【0055】
例えば、前記シート長検出部は、シート後端カーソルおよびポテンショメーターを備える。前記シート後端カーソルは、シート収容部1内にシート供給方向に沿って移動可能に設けられ、シート収容部1内のシート9の後端に沿わされる部材である。前記ポテンショメーターは、前記シート供給方向における前記シート後端カーソルの位置を検出する。
【0056】
ところで、画像形成装置10において、停電などの非常の事態が生じることにより、シート9が搬送路30に残っており、かつ、前記ジャムが検知されない状態で、CPU81が停止する場合がある。
【0057】
上記の場合、後にCPU81が起動したときに、複数のシート検出部5がシート9を検出していない場合に、シート9が搬送路30に残ったまま、他のシート9の供給および前記プリント処理が新たに開始されるおそれがある。
【0058】
シート9が搬送路30に残ったまま他のシート9の供給および前記プリント処理が開始されると、前記プリント処理が正常に行われず、さらに、前記ジャムが生じるそれがある。
【0059】
一方、画像形成装置10において、CPU81は、シート9が搬送路30に残った状態で他のシート9の供給および前記プリント処理が開始されることを回避するための処理を実行する。以下、その処理について説明する。
【0060】
本実施形態において、CPU81における前記複数の処理モジュールは、イベント記録部8dおよび起動制御部8eをさらに含む。
【0061】
イベント記録部8dは、供給シート検出部5aがシート9を検出するごとに二次記憶装置83におけるイベントデータD1の記録状態を未完了状態に更新する(
図2参照)。
【0062】
さらに、イベント記録部8dは、排出シート検出部5bの検出結果が予め定められた排出変化を示すごとにイベントデータD1の記録状態を完了状態に更新する。
【0063】
前記排出変化は、搬送機構3がシート9の搬送動作を実行しているときに、排出シート検出部5bがシート9を検出する状態から検出しない状態へ変化し、さらに、排出シート検出部5bがシート9を検出しない状態が予め定められた補足時間を超えて継続することである。前記補足時間は、シート9が排出シート検出部5bの位置を通過してから搬送路30外へ排出されるまでに要する時間である。
【0064】
イベントデータD1の記録状態が前記未完了状態であることは、前記ジャムが搬送路30において生じているか否かに関わらず、シート9が搬送路30に残存していることを示す。一方、イベントデータD1の記録状態が前記完了状態であることは、シート9が搬送路30に残存していないことを表す。従って、イベントデータD1の記録状態が前記完了状態であることは、前記ジャムが生じていないことを表す。
【0065】
本実施形態において、イベント記録部8dは、シート9を検出した供給シート検出部5aに対応する前記シート長データを二次記憶装置83に記録することによってイベントデータD1の記録状態を前記未完了状態に更新する。
【0066】
より具体的には、イベント記録部8dは、供給シート検出部5aがシート9を検出するごとに、供給シート検出部5aによるシート9の検出順序に従って新たな前記シート長データを二次記憶装置83に記録する。
【0067】
一方、イベント記録部8dは、排出シート検出部5bの検出結果が前記排出変化を示すごとに、対応する前記シート長データを二次記憶装置83から削除することによってイベントデータD1の記録状態を前記完了状態に更新する。
【0068】
より具体的には、イベント記録部8dは、排出シート検出部5bの検出結果が前記排出変化を示すごとに、記録日時が最も古い前記シート長データを二次記憶装置83から削除する。
【0069】
本実施形態において、二次記憶装置83にイベントデータD1として記録されている前記シート長データの数は、搬送路30内に残存するシート9の枚数である。また、二次記憶装置83にイベントデータD1として記録されている前記シート長データは、搬送路30内に残存するシート9の搬送方向の長さを表す。
【0070】
また、本実施形態において、ジャム判定部8cは、搬送機構3およびプリント装置4がシート9の搬送動作を実行しているときに前記ジャム判定処理を実行し、前記ジャムが生じたと判定したときに二次記憶装置83におけるジャムデータD2の記録状態を発生状態に更新する(
図2参照)。
【0071】
本実施形態において、ジャム判定部8cは、生じた前記ジャムに対応するシート検出部5の識別データである検出位置データをジャムデータD2として二次記憶装置83に記録することにより、ジャムデータD2の記録状態を前記発生状態に更新する。
【0072】
また、ジャム判定部8cは、ジャムデータD2の記録状態を前記発生状態に更新した後に予め定められたジャム解消条件が成立したときに、ジャムデータD2の記録状態を未発生状態に更新する。
【0073】
本実施形態において、ジャム判定部8cは、前記ジャム解消条件が成立したときに前記検出位置データを二次記憶装置83から削除することにより、ジャムデータD2の記録状態を前記未発生状態に更新する。
【0074】
本実施形態において、前記検出位置データがジャムデータD2として二次記憶装置83に記録されていることは、前記ジャムが発生していることを表す。また、二次記憶装置83に記録されている前記検出位置データは、搬送路30における前記ジャムが発生した位置を表す。
【0075】
また、前記検出位置データが二次記憶装置83に記録されていないことは、前記ジャムが発生していない、または、発生した前記ジャムが解消したことを表す。
【0076】
例えば、画像形成装置10は、本体筐体100における搬送路30に通じる開口を開閉可能なカバー部と、前記カバー部の閉状態を検出するカバー閉検出部とを備える。
【0077】
上記の場合、前記ジャム解消条件は、前記カバー閉検出部が前記カバー部の開状態を検出し、さらに前記カバー閉検出部が前記カバー部の閉状態を検出した後、全てのシート検出部5がシート9を検出していない、という第1解消条件を含む。
【0078】
また、前記ジャム解消条件が、前記第1解消条件と以下に示される第2解消条件とを含んでいてもよい。前記第2解消条件は、前記第1解消条件が成立した後、操作装置801に対して予め定められた解消確認操作が行われた、という条件である。
【0079】
起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、イベントデータD1およびジャムデータD2の状態に応じて第1起動制御、第2起動制御または第3起動制御を実行する。
【0080】
具体的には、起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、ジャムデータD2が前記未発生状態であり、かつ、イベントデータD1が前記完了状態である場合に前記第1起動制御を実行する。
【0081】
また、起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、ジャムデータD2が前記未発生状態であり、かつ、イベントデータD1が前記未完了状態である場合に前記第2起動制御を実行する。
【0082】
また、起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、ジャムデータD2が前記発生状態である場合に前記第3起動制御を実行する。
【0083】
[第1起動制御]
以下、
図3に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第1起動制御の手順の一例について説明する。
【0084】
以下の説明において、S101,S102,…は、前記第1起動制御における複数の工程の識別符号を表す。前記第1起動制御において、まず、工程S101の処理が実行される。
【0085】
<工程S101>
工程S101において、起動制御部8eは、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出しているか否かを確認する。
【0086】
起動制御部8eは、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出している場合に処理を工程S102へ移行させ、複数のシート検出部5の全てがシート9を検出していない場合に処理を工程S103へ移行させる。
【0087】
工程S103の処理が実行される状況は、CPU81の停止前、および、CPU81の起動時において搬送路30におけるシート9の残存が確認されない通常の正常な状況である。
【0088】
一方、工程S102の処理が実行される状況は、CPU81の停止前に搬送路30におけるシート9の残存が確認されなかったにも関わらず、CPU81の起動時においてシート9の残存が確認された想定外の異常な状況である。
【0089】
<工程S102>
工程S102において、起動制御部8eは、ジャム対応処理を実行する。その後、起動制御部8eは、処理を工程S103へ移行させる。
【0090】
本実施形態において、前記ジャム対応処理は、前記第1解消条件および前記第2解消条件を含む前記ジャム解消条件が成立するまで、搬送路30にシート9が残存することを表すエラー通知を表示装置802を通じて出力する処理である。
【0091】
起動制御部8eは、供給機構2および搬送機構3を動作させずに前記ジャム対応処理を実行する。
【0092】
<工程S103>
工程S103において、起動制御部8eは、通常起動制御を実行する。その後、起動制御部8eは、前記第1起動制御を終了させる。
【0093】
起動制御部8eは、前記通常起動制御において、供給機構2および搬送機構3を動作させることなくプリント装置4に前記プリント処理のための準備処理を実行させる。例えば、前記準備処理は、定着装置46の暖機処理、および、現像装置43における前記トナーの撹拌処理などを含む。
【0094】
[第2起動制御]
次に、
図4に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第2起動制御の手順の一例について説明する。
【0095】
以下の説明において、S201,S202,…は、前記第2起動制御における複数の工程の識別符号を表す。前記第2起動制御において、まず、工程S201の処理が実行される。
【0096】
<工程S201>
工程S201において、起動制御部8eは、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出しているか否かを確認する。
【0097】
起動制御部8eは、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出している場合に処理を工程S204へ移行させ、複数のシート検出部5の全てがシート9を検出していない場合に処理を工程S202へ移行させる。
【0098】
<工程S202>
工程S202において、起動制御部8eは、イベントデータD1における前記シート長データが表すシート9の長さが予め定められた基準長さよりも長いか否かを判定する。
【0099】
前記基準長さは、隣り合う2つのシート検出部5の間の搬送路30に沿う経路長のうち最も長い経路長に対応する長さである。
【0100】
前記基準長さを超える長さのシート9が搬送路30に沿って延びた状態で搬送路30に残存している場合、複数のシート検出部5のうちの少なくとも1つがシート9を検出するはずである。
【0101】
従って、前記基準長さを超える長さのシート9が搬送路30に残存しているにも関わらず、複数のシート検出部5の全てがシート9を検出していない場合、シート9が曲がった状態で搬送路30のどこかに詰まっているおそれがある。
【0102】
起動制御部8eは、イベントデータD1における前記シート長データが表すシート9の長さが前記基準長さよりも長いと判定する場合に処理を工程S203へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S204へ移行させる。
【0103】
<工程S203>
工程S203において、起動制御部8eは、
図3の工程S102と同様に前記ジャム対応処理を実行する。その後、起動制御部8eは、処理を工程S212へ移行させる。
【0104】
<工程S204>
工程S204において、起動制御部8eは、イベントデータD1における前記シート長データが表すシート9の長さに応じて監視時間を設定する。その後、起動制御部8eは、処理を工程S205へ移行させる。
【0105】
複数のシート検出部5の全てがシート9を検出していない場合、起動制御部8eは、第1監視時間を前記監視時間として設定する。一方、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出している場合、起動制御部8eは、第2監視時間を前記監視時間として設定する。
【0106】
前記第1監視時間は、シート9が、前記基準長さから前記シート長データが表すシート9の長さを差し引いて得られる距離だけ搬送されるのに要する時間である。前記第1監視時間は、前記シート長データに応じて定まる時間の一例である。
【0107】
前記第2監視時間は、シート9が、シート9を検出しているシート検出部5の位置から前記シート搬送方向の下流側の隣のシート検出部5の位置まで搬送されるのに要する時間である。
【0108】
<工程S205>
工程S205において、起動制御部8eは、プリント装置4に対する搬送準備制御を実行する。その後、起動制御部8eは、処理を工程S206へ移行させる。
【0109】
前記搬送準備制御は、プリント装置4を、シート9の搬送を可能な状態に移行させる制御である。例えば、前記搬送準備制御は、定着装置46における加圧部材を、加熱部材に対する接触圧力が基準圧力よりも緩む弛緩位置から、前記基準圧力で前記加熱部材に接する基準位置へ変位させる制御を含む。
【0110】
<工程S206>
工程S206において、起動制御部8eは、供給機構2を動作させることなく搬送機構3およびプリント装置4にシート9の搬送動作を開始させる。その後、起動制御部8eは処理を工程S207へ移行させる。
【0111】
<工程S207>
工程S207において、起動制御部8eは、複数のシート検出部5がシート9の進行を検出したか否かを判定する。
【0112】
具体的には、複数のシート検出部5の全てがシート9を検出していなかった場合、起動制御部8eは、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出した場合に、シート9の進行が検出されたと判定する。
【0113】
また、複数のシート検出部5のいずれかがシート9を検出している場合、起動制御部8eは、シート9を検出しているシート検出部5に対し前記シート搬送方向の下流側の隣のシート検出部5がシート9を検出した場合に、シート9の進行が検出されたと判定する。
【0114】
そして、起動制御部8eは、複数のシート検出部5がシート9の進行を検出したと判定した場合に処理を工程S211へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S208へ移行させる。
【0115】
但し、排出シート検出部5bがシート9を検出している場合、起動制御部8eは、シート9の進行が検出されたとみなして処理を工程S211へ移行させる。
【0116】
<工程S208>
工程S208において、起動制御部8eは、搬送機構3およびプリント装置4によるシート9の搬送動作が開始してから前記監視時間が経過していない場合に、処理を工程S207へ移行させる。
【0117】
一方、起動制御部8eは、搬送機構3およびプリント装置4によるシート9の搬送動作が開始してから前記監視時間が経過した場合に、処理を工程S209へ移行させる。
【0118】
工程S209の処理が実行される状況は、前記ジャムの発生などに起因して、シート9の進行が前記監視時間内に検出されない状況である。
【0119】
<工程S209>
工程S209において、起動制御部8eは、搬送機構3およびプリント装置4によるシート9の搬送を停止させ、処理を工程S210へ移行させる。
【0120】
<工程S210>
工程S210において、起動制御部8eは、工程S203と同様に前記ジャム対応処理を実行する。その後、起動制御部8eは、処理を工程S212へ移行させる。
【0121】
<工程S211>
工程S211において、起動制御部8eは、排出シート検出部5bの検出結果が前記排出変化を示すか否かを判定する。起動制御部8eは、排出シート検出部5bの検出結果が前記排出変化を示すまでシート9の搬送を継続させる。
【0122】
そして、起動制御部8eは、排出シート検出部5bの検出結果が前記排出変化を示したと判定したときに、搬送機構3およびプリント装置4によるシート9の搬送を停止させた上で、処理を工程S212へ移行させる。
【0123】
なお、工程S211において、ジャム判定部8cは、前記ジャム判定処理を実行する(不図示)。そして、ジャム判定部8cが、前記ジャム判定処理によって前記ジャムが生じていると判定したときに、起動制御部8eは、処理を工程S209へ移行させる(不図示)。
【0124】
<工程S212>
工程S212において、起動制御部8eは、
図3の工程S103と同様に前記通常起動制御を実行する。その後、起動制御部8eは、前記第2起動制御を終了させる。
【0125】
[第3起動制御]
次に、
図5に示されるフローチャートを参照しつつ、前記第3起動制御の手順の一例について説明する。
【0126】
以下の説明において、S301,S302,…は、前記第3起動制御における複数の工程の識別符号を表す。前記第3起動制御において、まず、工程S301の処理が実行される。
【0127】
<工程S301>
工程S301において、起動制御部8eは、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出しているか否かを確認する。
【0128】
起動制御部8eは、複数のシート検出部5の少なくとも1つがシート9を検出している場合に処理を工程S302へ移行させ、複数のシート検出部5の全てがシート9を検出していない場合に処理を工程S304へ移行させる。
【0129】
工程S302の処理が実行される状況は、CPU81が停止する前に発生していた前記ジャムが、そのまま解消されずに継続していると考えられる状況である。一方、工程S304の処理が実行される状況は、CPU81が停止する前に発生していた前記ジャムが、ユーザーの操作によって解消されている可能性がある状況である。
【0130】
<工程S302>
工程S302において、起動制御部8eは、
図3の工程S102と同様に前記ジャム対応処理を実行する。その後、起動制御部8eは、処理を工程S303へ移行させる。
【0131】
<工程S303>
工程S303において、起動制御部8eは、
図3の工程S103と同様に前記通常起動制御を実行する。その後、起動制御部8eは前記第3起動処理を終了させる。
【0132】
<工程S304>
工程S304において、起動制御部8eは、操作装置801に対して前記解消確認操作が行われるか否かを確認する。起動制御部8eは、操作装置801に対して前記解消確認操作が行われるまで待機する。
【0133】
そして、起動制御部8eは、操作装置801に対して前記解消確認操作が行われたときに、処理を工程S303へ移行させる。
【0134】
以上に示されるように、起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、複数のシート検出部5がシート9を検出しておらず、かつ、イベントデータD1の記録状態が前記完了状態である場合には、前記第1起動制御を実行する(
図3参照)。
【0135】
前記第1起動制御は、供給機構2および搬送機構3を動作させることなくプリント装置4に前記準備処理を実行させる制御である(
図3の工程S103参照)。
【0136】
さらに、起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、イベントデータD1の記録状態が前記未完了状態である場合には、供給機構2を動作させることなく搬送機構3およびプリント装置4にシート9の搬送動作を実行させる工程S205~S211の処理を含む前記第2起動制御を実行する(
図4参照)。前記第2起動制御により、搬送路30に残存するシート9が搬送路30から自動的に排出される。
【0137】
より具体的には、起動制御部8eは、前記第2起動制御において、
図4の工程S206~S211の処理を実行する。工程S206~S211において、起動制御部8eは、排出シート検出部5bの検出結果が前記排出変化を示すまで、または、予め定められた中止条件が成立するまで、搬送機構3およびプリント装置4にシート9の搬送動作を実行させる。
【0138】
本実施形態において、起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、ジャムデータD2の記録状態が前記未発生状態であり、かつ、イベントデータD1の記録状態が前記未完了状態であり、かつ、複数のシート検出部5のいずれかがシート9を検出している場合に、
図4の工程S206~S211の処理を実行する。
【0139】
前記中止条件は、工程S202で判定されるシート長条件および工程S208で判定される時間条件の論理積の条件を含む。
【0140】
前記シート長条件は、前記未完了状態のイベントデータD1に対応する前記シート長データが予め定められた前記基準長さを下回る長さを表すという条件である。前記時間条件は、複数のシート検出部5がシート9を検出していない状態が、シート9の搬送動作が開始されてから前記シート長データに応じて定まる前記監視時間が経過するまで継続する、という条件である。
【0141】
また、起動制御部8eは、CPU81が起動したときに、複数のシート検出部5がシート9を検出しておらず、かつ、イベントデータD1の記録状態が前記未完了状態であり、かつ、前記未完了状態のイベントデータD1に対応する前記シート長データが前記基準長さを超える長さを表す場合に、操作装置801に対して予め定められた前記解消確認操作が行われたことを条件に、供給機構2および搬送機構3を動作させることなくプリント装置4に前記準備処理を実行させる(
図4の工程S202,S203,S212参照)。
【0142】
但し、本実施形態において、起動制御部8eは、CPU81が起動したときのジャムデータD2の記録状態が前記未発生状態である場合に、イベントデータD1の記録状態および複数のシート検出部5の検出状態に応じて前記第1起動制御または前記第2起動制御を実行する(
図3,4参照)。
【0143】
一方、起動制御部8eは、CPU81が起動したときのジャムデータD2の記録状態が前記発生状態である場合に、前記第1起動制御および前記第2起動制御とは異なる前記第3起動制御を実行する(
図5参照)。
【0144】
前記第3起動制御は、操作装置801に対して予め定められた前記解消確認操作が行われたことを条件に、供給機構2および搬送機構3を動作させることなくプリント装置4に前記プリント処理のための前記準備処理を実行させる制御である(
図5参照)。
【0145】
本実施形態によれば、CPU81が停電などの非常の事態に応じて停止した後に起動したときに、シート9が搬送路30に残った状態で他のシート9の供給および前記プリント処理が開始されることを回避できる。
【符号の説明】
【0146】
1 :シート収容部
2 :供給機構
3 :搬送機構
4 :プリント装置
5 :シート検出部
5a :供給シート検出部
5b :排出シート検出部
8 :制御装置
10 :画像形成装置
30 :搬送路
81 :CPU(プロセッサー)
D1 :イベントデータ
D2 :ジャムデータ