(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175279
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】段ボールシート印刷装置、及び段ボールシート製函機
(51)【国際特許分類】
B41F 31/06 20060101AFI20221117BHJP
B41F 31/04 20060101ALI20221117BHJP
B41F 31/08 20060101ALI20221117BHJP
B41F 5/24 20060101ALI20221117BHJP
B41F 17/14 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B41F31/06
B41F31/04
B41F31/08
B41F5/24
B41F17/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081540
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000139931
【氏名又は名称】株式会社ISOWA
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 雄介
【テーマコード(参考)】
2C034
2C250
【Fターム(参考)】
2C034AA02
2C250DB14
2C250DB21
2C250DC05
2C250DC10
(57)【要約】
【課題】切替弁のメンテナンス性を確保し、インク搬送管を配置する位置を確保しつつ、チャンバフレームの撓みを抑制して印刷精度を向上できる段ボールシート印刷装置、及び段ボールシート製函機を提供すること。
【解決手段】印刷装置13のチャンバ33は、チャンバフレーム63を間に挟んでアニロックスロール35とは反対側に鋼材67及び回収管109等が配置されている。鋼材67は、上下方向に延びるウェブ部171と、ウェブ部171における上下方向の両端のそれぞれに接続された第1フランジ部172及び第2フランジ部173を有する。ウェブ部171には、連結孔弁115等の位置に合わせてメンテナンス孔181~187が貫通して形成されている。第2フランジ部173には、回収管109等を挿入する挿入部211~217が形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを貯留するチャンバと、
前記チャンバから前記インクが転移されるアニロックスロールと、
印版が取り付け可能であり、前記アニロックスロールから前記印版に前記インクが転移され、前記印版の前記インクを段ボールシートに転写して印刷する印刷ロールと、
前記インクの供給源と前記チャンバとの間で前記インクを搬送するインク搬送管と、
前記インク搬送管を流れる前記インクの流量を切替える切替弁と、
を備え、
前記チャンバは、
前記インクを貯留するチャンバフレームと、
前記チャンバフレームに取り付けられ、前記アニロックスロールに転移させた前記インクを掻き取って、転移後の前記インクの厚みを調整するドクターブレードと、
前記チャンバフレームを間に挟んで前記アニロックスロールとは反対側に配置される鋼材と、
を有し、
前記インク搬送管は、
前記チャンバフレームを間に挟んで前記アニロックスロールとは反対側に配置され、前記チャンバフレームの前記インクを貯留するインク貯留部に連通し、
前記鋼材は、
前記チャンバの上下方向に延びるウェブ部と、
前記段ボールシートの搬送方向に延びる板形状をなす第1フランジ部と、
前記搬送方向に延びる板形状をなす第2フランジ部と、
を有し、
前記第1フランジ部は、
前記搬送方向における中間部に、前記上下方向における前記ウェブ部の上端部が接続され、
前記第2フランジ部は、
前記搬送方向における中間部に、前記上下方向における前記ウェブ部の下端部が接続され、
前記ウェブ部には、
前記切替弁の位置に合わせてメンテナンス孔が貫通して形成され、
前記第2フランジ部には、
前記インク搬送管を挿入する挿入部が形成される、段ボールシート印刷装置。
【請求項2】
前記チャンバフレームは、
前記段ボールシート印刷装置の装置幅方向に沿って延びており、
前記鋼材は、
I形鋼であり、前記装置幅方向において、前記チャンバフレームの一端から他端まで延伸して配置された1つの部材である、請求項1に記載の段ボールシート印刷装置。
【請求項3】
前記鋼材の前記ウェブ部は、
前記上下方向において、前記チャンバフレームの上端から下端の位置まで配置される、請求項1又は請求項2に記載の段ボールシート印刷装置。
【請求項4】
前記切替弁は、
前記チャンバフレームの背面に螺合部材によって固定され、
前記メンテナンス孔は、
前記チャンバフレームを背面側から見た場合に、前記螺合部材の頭部が係止された範囲よりも外側まで広がった穴の大きさで形成される、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の段ボールシート印刷装置。
【請求項5】
前記チャンバフレームを前記アニロックスロール側へ押圧する押圧力を付与する押圧装置を、さらに備え、
前記ウェブ部には、
前記押圧装置を配置するための配置孔が形成される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の段ボールシート印刷装置。
【請求項6】
前記ドクターブレードは、
前記上下方向における前記チャンバフレームの下端部に取り付けられ、
前記チャンバは、
前記段ボールシート印刷装置の装置幅方向に沿って延びる丸い棒部材と、前記チャンバフレームが位置する範囲内において前記上下方向の上方の位置で前記棒部材を保持する保持部材とを有し、
前記棒部材は、
前記インク貯留部に貯留された前記インクの液面から上方に離間した位置に配置される、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の段ボールシート印刷装置。
【請求項7】
前記棒部材及び前記アニロックスロールに液体を吹き付け、前記棒部材及び前記アニロックスロールに付着した前記インクを洗浄する洗浄装置を、さらに備え、
前記棒部材は、
少なくともその表面材が前記インクをはじく性能である撥液性を有する樹脂材料で形成される、請求項6に記載の段ボールシート印刷装置。
【請求項8】
前記チャンバフレームの前記インク貯留部と、前記供給源とを接続する余剰インク回収管を、さらに備え、
前記チャンバフレームには、
前記チャンバフレームを貫通し、前記余剰インク回収管と、前記インク貯留部とを連通する余剰連結孔が形成され、
前記インク貯留部に貯留された前記インクは、
前記余剰連結孔の位置まで貯留されると、前記余剰連結孔及び前記余剰インク回収管を通じて前記供給源に回収され、前記インク貯留部に貯留された前記インクの液面の高さが所定の高さに維持され、
前記棒部材は、
前記上下方向における前記余剰連結孔の下端の位置よりも上方の位置に配置される、請求項6又は請求項7に記載の段ボールシート印刷装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の段ボールシート印刷装置と、
前記段ボールシートを前記段ボールシート印刷装置へ送り出す段ボールシート供給装置と、
前記段ボールシート印刷装置により印刷が実行された前記段ボールシートに対する加工を実行する加工装置と、
を備える、段ボールシート製函機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、チャンバブレード方式により段ボールシートに対する印刷を実行する段ボールシート印刷装置、及びその段ボールシート印刷装置を備える段ボールシート製函機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールシートに対してフレキソ印刷を実行する印刷方式として、チャンバブレード方式がある。例えば、特許文献1のフレキソ印刷機では、チャンバフレームのインク貯留部からアニロックスロールにインクを転移させ、転写させたインクをチャンバフレームに取り付けたドクターブレードによって所定の厚さに平坦化している。フレキソ印刷機は、アニロックスロールに転移したインクを、印刷ロールに取り付けられた印版に供給し、印版から段ボールシートにインクを転写させることで印刷を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すようなチャンバブレード方式のフレキソ印刷機では、所定の速度で搬送される段ボールシートに印刷ロールの印版を押圧して印刷する際に、段ボールシートから印刷ロールに荷重を受ける。印刷ロールに付与された荷重は、印刷ロールからアニロックスロール、ドクターブレード、チャンバフレームへと伝達される。アニロックスロール等は、荷重を受けることで、撓むように振動する。
【0005】
例えば、この種のフレキソ印刷機では、段ボールシートの大きさに応じて機械幅を大きくする必要があり、印刷ロール、アニロックスロール、チャンバフレーム等の機械幅も大きくなる。機械幅の大きい部材を用いて一定の厚みと剛性を有する段ボールシートに印刷を実行すると、印刷ロール等は、段ボールシートを1枚1枚印刷する毎に、段ボールシートから大きな荷重を受ける。例えば、機械幅方向におけるアニロックスロールやチャンバフレームの中央部分が撓むように振動し、ドクターブレードの先端とアニロックスロールとが当接する力が刻々と変動し、アニロックスロールに転移されるインクの厚みが不均一となる。その結果、印刷シリンダの印版に付着するインク量が不均一となり、段ボールシートの印刷にムラが生じてしまう問題がある。
【0006】
一方で、この種のフレキソ印刷機では、チャンバフレームのインク貯留部とインクの供給源との間でインクを供給又は回収するインク搬送管がチャンバフレームの背面に設けられる。インク搬送管には、インクの流量を切替える切替弁が取り付けられる。この切替弁は、切替え動作を繰り返すことでシール部材等が劣化し交換する必要が生じる。このため、上記したチャンバフレームの撓みを抑制しつつ、インク搬送管の配設位置や切替弁を交換するメンテナンス性を確保する問題もある。
【0007】
本願は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、切替弁のメンテナンス性を確保し、インク搬送管を配置する位置を確保しつつ、チャンバフレームの撓みを抑制して印刷精度を向上できる段ボールシート印刷装置、及び段ボールシート製函機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、インクを貯留するチャンバと、前記チャンバから前記インクが転移されるアニロックスロールと、印版が取り付け可能であり、前記アニロックスロールから前記印版に前記インクが転移され、前記印版の前記インクを段ボールシートに転写して印刷する印刷ロールと、前記インクの供給源と前記チャンバとの間で前記インクを搬送するインク搬送管と、前記インク搬送管を流れる前記インクの流量を切替える切替弁と、を備え、前記チャンバは、前記インクを貯留するチャンバフレームと、前記チャンバフレームに取り付けられ、前記アニロックスロールに転移させた前記インクを掻き取って、転移後の前記インクの厚みを調整するドクターブレードと、前記チャンバフレームを間に挟んで前記アニロックスロールとは反対側に配置される鋼材と、を有し、前記インク搬送管は、前記チャンバフレームを間に挟んで前記アニロックスロールとは反対側に配置され、前記チャンバフレームの前記インクを貯留するインク貯留部に連通し、前記鋼材は、前記チャンバの上下方向に延びるウェブ部と、前記段ボールシートの搬送方向に延びる板形状をなす第1フランジ部と、前記搬送方向に延びる板形状をなす第2フランジ部と、を有し、前記第1フランジ部は、前記搬送方向における中間部に、前記上下方向における前記ウェブ部の上端部が接続され、前記第2フランジ部は、前記搬送方向における中間部に、前記上下方向における前記ウェブ部の下端部が接続され、前記ウェブ部には、前記切替弁の位置に合わせてメンテナンス孔が貫通して形成され、前記第2フランジ部には、前記インク搬送管を挿入する挿入部が形成される、段ボールシート印刷装置を開示する。
尚、本願に開示される内容は、段ボールシート印刷装置としての実施に限らず、例えば、段ボールシート印刷装置を備える段ボールシート製函機として実施しても極めて有益である。
【発明の効果】
【0009】
本願の段ボールシート印刷装置、段ボールシート製函機によれば、切替弁のメンテナンス性を確保し、インク搬送管を配置する位置を確保しつつ、チャンバフレームの撓みを抑制して印刷精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る段ボールシート製函機の全体構成を正面から見た模式図である。
【
図2】段ボールシート印刷装置を正面から見た模式図である。
【
図3】段ボールシート印刷装置を左側から見た模式図である。
【
図4】チャンバを右側の前上方から見た斜視図である。
【
図5】印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図6】鋼材を装着したチャンバを左側から見た模式図である。
【
図7】
図6に示すA-A線で切断したチャンバの断面を示す断面図である。
【
図9】チャンバを右側の下方から見た斜視図である。
【
図10】第1比較例のチャンバの断面を示す断面図である。
【
図11】第2比較例のチャンバの断面を示す断面図である。
【
図12】
図6に示すC-C線で切断したチャンバの断面を示す断面図である。
【
図13】
図6に示すD-D線で切断したチャンバの断面を示す断面図である。
【
図14】別例のチャンバの断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の段ボールシート製函機を具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。まず、段ボールシート製函機(以下、製函機という)10の全体構成について説明する。
【0012】
(製函機10の全体構成)
図1は、本実施形態に係わる製函機10の正面図を示している。
図1に示すように、製函機10は、搬送経路PLに沿って段ボールシートSHを搬送方向FD(
図1における右から左に向かう方向)に搬送し、段ボールシートSHに対する印刷や加工を実行する。尚、以下の説明では、
図1に示すように、製函機10を正面から見た方向を基準として説明する。即ち、搬送方向FDの上流側を右側、下流側を左側、装置幅方向における手前側を前側、奥側を後ろ側と称して説明する。また、左右方向及び前後方向に直交する方向を上下方向と称する。上下方向は、例えば、搬送方向FDに搬送される段ボールシートSHの平面に直交する方向となる。
【0013】
製函機10は、搬送方向FDにおける上流側(右側)から順に、段ボールシート供給装置(以下、供給装置という)11と、段ボールシート印刷装置(以下、印刷装置という)13と、クリーザ装置15と、スロッタ装置17と、ダイカッタ装置18とを備えている。供給装置11は、例えば、上下方向に積層された段ボールシートSHを1枚ずつ印刷装置13へ送り出す装置である。供給装置11は、テーブル21、フロントゲート22及びバックガイド23を有し、フロントゲート22とバックガイド23との間においてテーブル21の上に、複数の段ボールシートSHを積載して保持している。また、供給装置11は、複数の給紙ローラ24と、給紙ローラ24に対して昇降可能なグレイト25と、一対のフィードロール27とを有する。複数の給紙ローラ24は、グレイト25が複数の給紙ローラ24より下降したときに、複数の段ボールシートSHのうち最も下側にある段ボールシートSHに接触することで、段ボールシートSHを1枚ずつ一対のフィードロール27に送出する。一対のフィードロール27は、段ボールシートSHを挟んで回転することで、段ボールシートSHを印刷装置13に送り出す。
【0014】
印刷装置13は、段ボールシートSHに対して印刷を実行する装置である。印刷装置13は、印刷ロール31と、プレスロール32と、チャンバ33と、アニロックスロール35を有している。印刷ロール31は、上下方向において搬送経路PLを間に挟んでプレスロール32と対向する位置に配置されている。印刷ロール31は、外周面に印版37を装着可能となっている。印版37は、例えば、印刷ロール31の周方向における両端のそれぞれを印刷ロール31の係合部に係合され、印刷ロール31の外周面に沿って巻き付けるようにして装着される。チャンバ33は、インクを貯留してアニロックスロール35に供給する装置である。アニロックスロール35は、チャンバ33から転移されたインクを印刷ロール31の印版37へ供給するインク転移ロールとして機能する。
【0015】
クリーザ装置15は、段ボールシートSHに対して罫線を施す装置である。クリーザ装置15は、上部罫線ロール41と、上下方向において搬送経路PLを間に挟んで配置された下部罫線ロール43を有する。上部罫線ロール41及び下部罫線ロール43は、回転しながら搬送経路PLを搬送される段ボールシートSHの所望の位置に罫線を施す。
【0016】
スロッタ装置17は、段ボールシートSHに対して溝切り加工(スロット溝加工)を実行する装置である。スロッタ装置17は、搬送方向FDの上流側に配置された第1スロッタサブユニット45と、下流側に配置された第2スロッタサブユニット46を有するダブルスロッタ方式の構成である。第1及び第2スロッタサブユニット45,46の各々は、上下方向において搬送経路PLを間に挟んで配置された上部スロッタ47及び下部スロッタ48を有する。上部スロッタ47には、スロッタ刃が取り付けられ、下部スロッタ48には、スロッタ刃と嵌合可能な溝が形成されている。これら下部スロッタ48及び下部スロッタ48は、搬送されてくる段ボールシートSHの所望の位置に溝切り加工を行う。
【0017】
ダイカッタ装置18は、段ボールシートSHに対して打ち抜き加工を行う装置である。ダイカッタ装置18は、上下方向において搬送経路PLを間に挟んで配置されたダイシリンダ51と、アンビルシリンダ52を有する。段ボールシートSHを打ち抜くための打ち抜きダイ53が合板ベニヤなどの板状体に取り付けられ、この板状体が下方側のダイシリンダ51の外周面に巻き付けるようにして装着されている。打ち抜きダイ53は、連続して搬送される段ボールシートSHの所望の位置に打ち抜き加工を行う。
【0018】
尚、上記した
図1に示す製函機10の構成は、一例である。例えば、製函機10は、複数の印刷装置13を備え、複数色の印刷を一度の搬送で実施する構成でも良い。また、製函機10は、クリーザ装置15、スロッタ装置17、ダイカッタ装置18などの加工装置のうち、少なくとも1つの加工装置を備えても良い。また、製函機10は、段ボールシートSHに対して加工を行なう他の種類の加工装置を備えても良い。例えば、製函機10は、ダイカッタ装置18の下流側に、上流側の加工装置によって加工された段ボールシートを折り曲げて接着剤により接合するフォルダグルアと、このフォルダグルアから供給される段ボールシートを計数して所定数の段ボールシートのバッチを形成して後続の結束機に送り出すカウンタエジェクタとを備えても良い。フォルダグルアの基本的な構成は、特開2016-153201号公報などに開示され、公知である。また、カウンタエジェクタの基本的な構成は、特開2011-230432号公報などに開示され、公知である。
【0019】
(印刷装置13の構成)
図2は、印刷装置13を正面から見た模式図である。
図3は、印刷装置13を下流側から見た模式図である。尚、
図3は、図面が煩雑となるのを避けるため、後述する鋼材67やエアシリンダ251(
図6参照)等の図示を省略している。
図4は、チャンバ33を上流側の右上方から見た斜視図である。
図2~
図4に示すように、印刷装置13は、装置筐体61内に上記したチャンバ33等が収納されている。アニロックスロール35は、例えば、金属部材で形成され、前後方向に沿って延びる円柱形状をなしている。アニロックスロール35は、装置筐体61における前方側の前方機枠61Aに前端を支持され、装置筐体61における後方側の後方機枠61Bに後端を支持され、前後方向に沿った回転軸を中心に回転可能となっている。
【0020】
チャンバ33は、チャンバフレーム63と、ドクターブレード65と、鋼材67と、棒部材69等とを有している。チャンバフレーム63は、前後方向に沿って延びる枠状の部材であり、右側(上流側)にインク70を貯留するインク貯留部63Aが形成されている。インク70は、例えば、フレキソインクである。尚、
図2は、インク貯留部63Aにインク70を貯留させた状態を示している。
【0021】
チャンバフレーム63の下端部には、ドクターブレード65を固定するための取付部材63Bが設けられている。ドクターブレード65は、取付部材63Bに対してボルト等の螺合部材63Cによって交換可能に固定されている。ドクターブレード65は、例えば、前後方向に沿って延びる薄い一枚の板で形成されている。ドクターブレード65は、例えば、幅方向(
図2における左下から右上に向かう方向)の先端部をアニロックスロール35の外周面に接触する状態で取付部材63B(チャンバフレーム63)に対して固定されている。ドクターブレード65は、インク貯留部63Aからアニロックスロール35に転移させたインク70を掻き取って、アニロックスロール35の外周面に付着した転移後のインク70の厚みを所望の厚みに調整する。
【0022】
また、前後方向におけるチャンバフレーム63の両端には、堰止板68がそれぞれ取り付けられている。一対の堰止板68は、前後方向におけるアニロックスロール35及びドクターブレード65の端部に接触するようにして配置され、インク貯留部63Aに貯留されたインク70を、前後方向の両側から流れ出すのを抑制し、インク70をインク貯留部63Aに貯留する。従って、本実施形態のインク貯留部63Aは、チャンバフレーム63の右側面、アニロックスロール35の外周面、ドクターブレード65、一対の堰止板68により囲まれた前後方向に長い空間である。
【0023】
(インク70の供給、回収、洗浄)
図3及び
図4に示すように、チャンバフレーム63には、例えば、9つの連結孔71,72,73,74,75,76,77,78,79が形成されている。連結孔71~79は、後方から前方に向かってこの順に形成されている。9つの連結孔71~79は、例えば、円筒形状をなし、左右方向に沿ってチャンバフレーム63を貫通して形成され、チャンバフレーム63の左側(搬送方向FDの下流側)と、右側のインク貯留部63Aとを連結している。
【0024】
図5は、印刷装置13の電気的な構成を示している。印刷装置13は、制御装置81、記憶装置82、操作部83、駆動回路群84等を備えている。制御装置81は、例えば、CPUを主体とするコンピュータで構成され、印刷装置13を統括的に制御する装置である。記憶装置82は、メモリ等であり、印刷装置13に係わる各種データ、プログラムが記憶されている。制御装置81は、記憶装置82に記憶されてプログラムをCPUで実行することで、印刷装置13の動作を制御する。
【0025】
操作部83は、例えば、タッチパネルであり、制御装置81の制御に基づいて、各種の情報の表示を実行する。また、操作部83は、製函機10を設置した工場のユーザから受け付けた操作入力に応じた信号を制御装置81に出力する。また、駆動回路群84は、後述するロール駆動モータ群87などの各種装置を駆動するための複数の駆動回路であり、制御装置81の制御に基づいて、各種装置の動作を制御する。制御装置81は、例えば、製函機10の全体の動作を管理する管理装置19から、各オーダを実行するための制御情報を受け取り、その制御情報に従って、各オーダに関する印刷を実行する。例えば、ロール駆動モータ群87は、印刷ロール31、プレスロール32、アニロックスロール35の各々を回転させるためのモータ群である。制御装置81は、駆動回路群84を介してロール駆動モータ群87を制御することで、印刷ロール31等の回転を制御し、印刷を実行する。
【0026】
図3に示すように、連結孔75は、前後方向におけるチャンバフレーム63の中央位置CPに形成されている。連結孔75は、インク貯留部63Aへのインク70の供給と、インク貯留部63Aからのインク70の回収に使用される。前方機枠61Aの前方には、供給ポンプ89、インク缶91が配置されている。制御装置81は、例えば、供給ポンプ89を正転させることで、インク缶91に貯留されたインク70を、インク供給管92,93,94を通じて連結孔75へ供給する。インク供給管92等は、例えば、透過性を有するホースや金属の配管を接続して構成されている。また、制御装置81は、供給ポンプ89を逆転させることで、インク貯留部63Aに貯留されたインク70を、インク供給管92,93,94を通じてインク缶91へ回収する。
【0027】
供給ポンプ89は、インク供給管93,94を介して連結孔75と接続されている。インク供給管93,94の間には、切替え電磁三方弁96が取り付けられている。切替え電磁三方弁96は、制御装置81の制御に基づいて、連結孔75とインク供給管93(供給ポンプ89)を接続する状態と、高圧エア供給電磁弁97とインク供給管93を接続する状態とに切替えられる。制御装置81は、例えば、インク70の回収時において、供給ポンプ89を逆転させてインク70をインク缶91へ回収する制御を実行した後、回収用高圧エア供給装置98(
図5参照)を制御して、高圧エア供給電磁弁97からインク供給管93内へ高圧のエアを送り込み、インク供給管92,93に残ったインク70をインク缶91へ排出させ回収する。この際に、制御装置81は、供給ポンプ89を迂回してインク供給管92,93を接続するバイパス管101に取り付けられたバイパス電磁弁103を開いて、バイパス管101を経由させてインク70をインク缶91に排出する。これにより、高圧エアの送り込みによる供給ポンプ89の負荷上昇や故障の発生を抑制できる。
【0028】
連結孔71~74の各々は、連結孔75を中心に前後方向で連結孔76~79の各々と対称な位置に形成されている。また、連結孔72~78は、例えば、上下方向において同一の高さの位置に形成されている。連結孔72~78は、インク貯留部63Aのインク70の回収に使用される。印刷装置13には、2つの回収パン105,106と、洗浄パン107が設けられている。回収パン105、洗浄パン107、回収パン106は、この順に、後方側から前方側に向かって並んで配置されている。
【0029】
前方側の連結孔76,78の各々は、回収管109,111の各々を介して、インク貯留部63Aのインク70を回収パン106へ排出する。回収パン106は、回収管113を介してインク70をインク缶91に排出する。また、チャンバフレーム63には、連結孔76,78の各々を開閉する連結孔弁115,116が取り付けられている。連結孔弁115,116は、後述するエアシリンダ(
図7の連結孔弁エアシリンダ195参照)を駆動することで、連結孔76,78の開閉状態を切替える。制御装置81は、上記した連結孔76,78を含む連結孔72,73,74,76,77,78の各々のエアシリンダ(連結孔弁115,116や後述する連結孔弁129,157,131,158)を駆動するシリンダエア供給装置119を備えている(
図5参照)。
【0030】
シリンダエア供給装置119は、例えば、圧縮エアを生成するエアコンプレッサ、圧縮エアを連結孔弁115等のエアシリンダの駆動に利用可能な圧力まで減圧する減圧弁、減圧したエアのエアシリンダへの供給を切り替える電磁弁等を備えている。制御装置81は、インク貯留部63Aにインク70を貯留して印刷を実行する際には、シリンダエア供給装置119を制御して連結孔弁115,116等を閉じた状態にする。また、制御装置81は、インク70を回収する際には、シリンダエア供給装置119を制御して連結孔弁115,116等を開いた状態にする。
【0031】
後方側の連結孔72,74の各々は、前方側の連結孔76,78と同様に、回収管121,122の各々を介して、インク貯留部63Aのインク70を、回収パン105へ排出する。尚、連結孔72,74の排出構造は、上記した連結孔76,78と同様の構成となっているため、同様の構成の部分についての説明は省略する。回収パン105は、回収管123,124を介してインク70をインク缶91に排出する。回収管123,124の間には、回収ポンプ125が接続されている。制御装置81は、インク70の回収時に回収ポンプ125を制御して回収管123,124のインク70をインク缶91へ排出する。また、制御装置81は、インク供給管93と同様に、回収用高圧エア供給装置98から高圧エア供給電磁弁127を介して回収管124へ高圧エアを供給し、回収ポンプ125の回収で回収管124に残ったインク70をインク缶91へ排出する。これにより、装置の前方側に設けられインク缶91から遠い位置に配置された回収パン105や回収管123,124内のインク70をより確実にインク缶91へ回収することができる。制御装置81は、連結孔72,74の各々に取り付けられた連結孔弁129,131のエアシリンダをシリンダエア供給装置119で制御して、連結孔72,74の開閉を、連結孔76,78と同様に制御する。
【0032】
連結孔71,79の各々は、前後方向の両端部の各々に形成され、チャンバフレーム63の上方部分に形成されている。連結孔71は、余剰インク回収管133を介してインク貯留部63Aのインク70を回収パン105へ排出する。同様に、連結孔79は、余剰インク回収管135を介してインク貯留部63Aのインク70を回収パン106へ排出する。連結孔71,79は、常に開いた状態となっている。このため、インク貯留部63Aに貯留されたインク70は、連結孔71,79の位置まで貯留されると、余剰インク回収管133,135を通じて、余剰インクとして回収パン105,106に回収される。換言すれば、連結孔71,79は、インク貯留部63Aにインク70を貯留した場合に、最も液面が高くなる位置に形成されている。
【0033】
また、本実施形態の印刷装置13は、インク70を洗浄する洗浄機構を備えている。印刷装置13は、例えば、インク70の種類の変更に合わせて、上記したインク70の回収を実行した後、インク70の洗浄を実行する。
図3に示すように、インク缶91の下には、洗浄水WTを排出するための排水溝137が設けられている。排水溝137は、印刷装置13を設置する床の下に埋設されている。
【0034】
また、印刷装置13は、インク管移動機構139を備えている。インク管移動機構139は、インク供給管92、回収管124、及び回収管113の各々の開口部141,142,143を移動させる。インク管移動機構139は、上下ガイド部材145と、前後ガイド部材146を有し、上下ガイド部材145及び前後ガイド部材146の各々に沿って開口部141,142,143を一体的に移動させる公知の構成を備える。制御装置81は、インク管移動機構139を制御して、開口部141,142,143を各位置に移動させる。ここでいう各位置とは、例えば、インク缶91の内部に進入した下降位置、インク缶91の上端から所定の距離まで上方に移動した上昇位置、インク缶91から前方に移動し排水溝137に臨む排水位置である。
【0035】
また、印刷装置13は、洗浄ユニット149と、
図3には示していない洗浄水供給装置150(
図5参照)とを備えている。洗浄ユニット149は、印刷装置13の上部に設けられている。洗浄ユニット149は、制御装置81の制御に基づいて、前後方向及び上下方向に移動可能となっている。制御装置81は、例えば、上記したインク70の回収時には、開口部141,142,143を上昇位置に配置する。そして、制御装置81は、インク70の回収制御を終了させると、インク管移動機構139を制御して開口部141,142,143を排水位置に移動させ洗浄作業を開始する。
【0036】
洗浄水供給装置150は、洗浄作業が開始されると、制御装置81の制御に基づいて洗浄水WTを洗浄ユニット149へ供給する。洗浄ユニット149には、下方に向かって開口したノズル151が複数個設けられている。洗浄ユニット149は、制御装置81の制御に基づいてインク貯留部63Aやアニロックスロール35へノズル151から洗浄水WTを吹き付ける。制御装置81は、洗浄ユニット149を移動させながらインク貯留部63Aやアニロックスロール35に付着したインク70の洗浄を行なう。尚、インク貯留部63Aやアニロックスロール35を洗浄する液体は、水に限らず、インク70の洗浄力を高めた液体洗剤などの他の液体でも良い。
【0037】
また、連結孔73,77の各々は、排水管153,154を介して洗浄後の洗浄水WT(排水)を洗浄パン107へ排出する。洗浄パン107は、排水管155を介して洗浄水WTを排水溝137へ排水する。制御装置81は、洗浄ユニット149による洗浄作業において、連結孔73,77の各々に取り付けられた連結孔弁157,158を開いて、洗浄水WTを洗浄パン107へ排出する。この連結孔弁157,158は、上記したシリンダエア供給装置119によって制御される。
【0038】
また、連結孔75を除く連結孔71,72,73,74,76,77,78,79の各々には、洗浄水供給電磁弁161,162,163,164,165,166,167,168が設けられている。例えば、洗浄水供給装置150は、余剰インク回収管133,135、回収管109,111,121,122、排水管153,154の各々と、洗浄水管201(
図8参照)で接続され、洗浄水管201を介して余剰インク回収管133等に洗浄水WTを供給する。各洗浄水管201には、洗浄水供給電磁弁161~168がそれぞれ取り付けられている。洗浄水供給電磁弁161~168の各々は、例えば、洗浄水管201における洗浄水供給装置150に近い位置(チャンバフレーム63から離れた位置)に設置されている。尚、
図3では、説明の都合上、洗浄水供給電磁弁161~168をチャンバフレーム63に図示している。また、洗浄水供給電磁弁161~168の設置位置は、洗浄水供給装置150に近い位置に限らず、チャンバフレーム63の背面でも良い。
【0039】
制御装置81は、各連結孔71等に接続された余剰インク回収管133等内を洗浄する際に、洗浄水供給電磁弁161~168を開く制御を実行する。制御装置81は、洗浄水供給装置150から洗浄水供給電磁弁161~168の各々を介して余剰インク回収管133等に洗浄水を供給する。余剰インク回収管133等に供給された洗浄水は、回収管123等を通じて排水溝137へ排出される。これにより、連結孔71等に接続された余剰インク回収管133等を個別に洗浄することができる。
【0040】
(鋼材67の構成)
次に、鋼材67について説明する。
図2に示すように、鋼材67は、例えば、I形鋼であり、
図2におけるチャンバ33の上下方向に延びるウェブ部171と、ウェブ部171の上端部に接続された第1フランジ部172と、ウェブ部171の下端部に接続された第2フランジ部173とを有する。鋼材67のI形鋼の形状・寸法は、例えば、JIS G3192等の規格で規定されたものである。尚、本願の鋼材は、I形鋼に限らず、H形鋼などの他の形状・構造の鋼材でも良い。
【0041】
図6は、鋼材67を装着したチャンバ33を左側(下流側)から見た状態を模式的に示している。
図2及び
図6に示すように、鋼材67は、前後方向に沿って延びた1つの部材で構成されている。ウェブ部171は、上下方向の幅を同一としながら前後方向に延びる板形状をなしている。ウェブ部171は、上下方向においてチャンバフレーム63の上端から下端の位置まで配置され、左右方向において所定の厚みを有している。また、第1フランジ部172及び第2フランジ部173は、左右方向の幅を同一としながら前後方向に延びる板形状をなしている。ウェブ部171の上端部は、左右方向における第1フランジ部172の中間部172Aに固定されている。中間部172Aは、左右方向における第1フランジ部172の中点となる部分である。また、ウェブ部171の下端部は、左右方向における第2フランジ部173の中間部173Aに固定されている。中間部173Aは、左右方向における第2フランジ部173の中点となる部分である。第1フランジ部172及び第2フランジ部173は、ウェブ部171に対して直交する方向に沿った状態で、ウェブ部171に接続されている。
【0042】
鋼材67は、前方側の端部に設けられた回転軸175(
図9参照)を前方機枠61A(
図3参照)に支持され、後方側の端部に設けられた回転軸175を後方機枠61Bにより支持されている。鋼材67は、一対の回転軸175に沿った軸を中心に前方機枠61A及び後方機枠61Bにより回転可能に支持されている。回転軸175は、例えば、ウェブ部171の下端部付近に設けられ(
図2参照)、前後方向の外側へ突出するようにして鋼材67に取り付けられている(
図9参照)。鋼材67は、例えば、回転軸175を中心に、
図2に示す印刷を実行する位置(以下、印刷位置という)と、印刷位置から
図2における反時計回り方向(
図2中の矢印参照)に90度だけ回転したメンテナンス位置(
図2の2点鎖の位置)とに回転可能となっている。チャンバフレーム63は、鋼材67に対して金属部材177により固定されている。チャンバフレーム63及び後述する棒部材69を含むチャンバ33は、回転軸175を中心に回転する。ユーザは、チャンバ33をメンテナンス位置に回転させることで、ドクターブレード65の交換等を実施することができる。
【0043】
図6に示すように、ウェブ部171には、2つの切欠部178,179が形成されている。切欠部178,179の各々は、ウェブ部171を貫通して形成されている。切欠部178,179は、余剰インク回収管133,135の各々に洗浄水WTを供給する洗浄水管201(
図8参照)と、ウェブ部171との干渉を低減するために形成されている。このため、切欠部178,179の各々は、洗浄水管201を余剰インク回収管133,135の各々に接続する位置や、洗浄水管201を折り曲げる位置等に応じて形成され、洗浄水管201の一部が挿入可能となっている。
【0044】
また、ウェブ部171には、7つのメンテナンス孔181,182,183,184,185,186,187がそれぞれ形成されている。メンテナンス孔181~187の各々は、連結孔72~78(
図3参照)の各々の位置に合わせて形成され、上下方向で同一高さとなる位置で前後方向に並んで配置されている。メンテナンス孔181~187は、同様の構成となっている。このため、以下の説明では、最も前側のメンテナンス孔187について主に説明し、他のメンテナンス孔181~186の説明を適宜省略する。
【0045】
図7は、
図6に示すA-A線(メンテナンス孔187の位置)で切断したチャンバ33の断面を示している。
図8は、メンテナンス孔187の拡大図を示している。尚、
図6に示すメンテナンス孔181~187や後述する連結孔弁エアシリンダ195がない位置でチャンバ33を切断した場合(
図6のB-B線参照)、ウェブ部171は、
図2に示すように、上下方向に連続して形成された(貫通孔が形成されていない)構造となっている。また、第2フランジ部173も、後述する挿入部211~217が形成されていない構造となっている。
【0046】
図7及び
図8に示すように、連結孔78は、上下方向におけるチャンバフレーム63の下方側に形成されている。連結孔78は、例えば、左右方向(搬送方向FD)に沿ってチャンバフレーム63を貫通する円筒形状をなしている(
図4参照)。連結孔78の左側には、連結ブロック191が取り付けられている。連結ブロック191は、例えば、箱形形状をなす金属部材である。連結ブロック191内には、インク70を流すための通路191Aが形成されている。通路191Aは、連結孔78の左側の開口と、回収管111を連通させている。従って、連結孔78は、連結ブロック191を介して回収管111に接続されている。連結ブロック191は、ボルト等の螺合部材193によってチャンバフレーム63に固定されている。連結ブロック191の左側(下流側)には、連結孔弁エアシリンダ195が固定されている。連結孔弁エアシリンダ195は、例えば、ボルト等の螺合部材194によって連結ブロック191の背面に固定されている。従って、連結ブロック191及び連結孔弁エアシリンダ195の各々は、複数(図示例では4つ)の螺合部材193と、複数(図示例では4つ)の螺合部材194によって、チャンバフレーム63における所定の範囲内に固定されている。
【0047】
連結孔弁116は、連結孔弁エアシリンダ195の作動ロッド195Aの先端に固定されている。また、連結孔弁エアシリンダ195には、装着部材197を介してエアホース199が接続されている。装着部材197は、例えば、エアホース199の先端部に取り付けられ、外周面に雄ネジが形成されている。装着部材197は、連結孔弁エアシリンダ195の上部に設けられた雌ネジに螺合されることで、エアホース199を連結孔弁エアシリンダ195に接続する。エアホース199は、シリンダエア供給装置119(
図5参照)に接続されており、シリンダエア供給装置119から供給されるエアを連結孔弁エアシリンダ195内に供給する。連結孔弁エアシリンダ195は、シリンダエア供給装置119から供給されるエアの圧力に応じて、作動ロッド195Aを左右方向へ移動させる。連結孔弁エアシリンダ195は、作動ロッド195Aを右側に移動させることで、連結孔78を閉じる閉鎖位置(
図7の位置)と、連結孔78を開放する開放位置の何れかの位置に連結孔弁116を移動させる。連結孔78は、連結孔弁116が開放位置に位置する場合に、回収管111と連通する状態になる。尚、他の連結孔弁115,129,131,157,158も、上記した連結孔弁116と同様に、連結孔72~77の各々に設けられた連結孔弁エアシリンダ195の作動により、連結孔72~77をそれぞれ開閉する。
【0048】
また、連結ブロック191には、回収管111に洗浄水WTを供給するための洗浄水管201が接続されている。洗浄水管201の先端には、装着部材203が取り付けられている。装着部材203は、例えば、外周面に雄ネジが形成され、連結ブロック191の側面(
図8に示す例では、前側側面)に設けられた雌ネジに螺合されることで、洗浄水管201を連結ブロック191に接続する。洗浄水管201は、例えば、連結孔弁116を閉鎖位置に配置した状態において、連結ブロック191内を通じて回収管111と連通される。洗浄水管201は、洗浄水供給装置150(
図5参照)から供給された洗浄水WTを、連結ブロック191を介して回収管111に供給する。これにより、連結孔78を閉じた状態において、回収管111内を洗浄することができる。
【0049】
ここで、連結孔弁エアシリンダ195は、連結孔78の開閉動作を繰り返すことで連結孔弁116のシール部材等が劣化し交換する必要が生じる。また、連結ブロック191も、連結孔78の周囲と接触させるシール部材等が経年劣化し、交換が必要となる場合がある。ユーザは、定期的に連結孔弁エアシリンダ195や連結ブロック191を交換する必要がある。例えば、連結孔弁エアシリンダ195を交換する場合、ユーザは、装着部材197をスパナ等の工具で回して装着部材197及びエアホース199を連結孔弁エアシリンダ195から取り外する必要がある。また、ユーザは、螺合部材194を工具で回し、連結孔弁エアシリンダ195を連結ブロック191から取り外す必要がある。また、新しい連結孔弁エアシリンダ195を連結ブロック191に取り付ける場合にも同様の作業が必要となる。また、連結ブロック191の劣化によって連結ブロック191を交換する場合にも、連結孔弁エアシリンダ195を交換する場合と同様に、エアホース199、洗浄水管201の取り外しや、螺合部材193の取り外しが必要となる。
【0050】
メンテナンス孔187は、上記した交換作業をユーザがし易い形状に形成されている。詳述すると、連結ブロック191及び連結孔弁エアシリンダ195を、左側から平面視した場合に、連結ブロック191は、連結孔弁エアシリンダ195よりも外側まで広がっている。メンテナンス孔187は、螺合部材194や螺合部材193の頭部が形成された範囲、例えば、連結ブロック191を固定する複数の螺合部材193について隣り合う螺合部材193の頭部を結ぶ線で囲まれた範囲(
図8では四角形の範囲)よりも外側まで広がった大きさで形成されている。これにより、螺合部材193や螺合部材194を取り外す工具と、ウェブ部171との干渉を抑制し、ユーザの作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、メンテナンス孔187は、ウェブ部171を左側から平面視した場合に、上方及び左右方向に突出した凸形状をなしている。メンテナンス孔187は、上方へ突出する上方凸部187Aと、前方側に突出する前方凸部187Bと、後方側に突出する後方凸部187Cを有している。メンテナンス孔187は、例えば、前後方向における中央を通り、上下方向に沿った直線に対して線対称な形状をなしている。従って、後方凸部187Cは、187Bを180度回転させた対称な形状をなしている。
【0052】
前後方向における上方凸部187Aの幅は、連結ブロック191の幅に比べて大きくなっている。上方凸部187Aは、連結ブロック191の上面から所定の距離だけ離れた上方の位置まで広がる大きさで形成されている。これにより、連結孔弁エアシリンダ195の上面に取り付けられた装着部材197を着脱する際に、ユーザは、手や工具を上方凸部187Aに挿入し、比較的容易に作業を行なうことができる。
【0053】
また、上下方向における前方凸部187Bの幅は、連結ブロック191の幅と略同一の大きさとなっている。前方凸部187Bは、連結ブロック191の前側面から所定の距離だけ離れた前方の位置まで広がる大きさで形成されている。これにより、連結ブロック191の前側面に取り付けられた装着部材203を着脱する際に、ユーザは、手や工具を前方凸部187Bに挿入し、比較的容易に作業を行なうことができる。
【0054】
また、連結孔78以外の連結孔72,73,74,76,77に取り付けられた連結孔弁エアシリンダ195についても、
図8に示す連結孔弁エアシリンダ195と同様に、上面に装着部材197が取り付けられている。また、ウェブ部171には、連結孔72,73,74,76,77の各連結孔弁エアシリンダ195の位置に合わせて、メンテナンス孔187と同一形状のメンテナンス孔181,182,183,185,186が形成されている。これにより、他の連結孔72等においても、装着部材197の着脱を容易に行なうことができる。
【0055】
また、前後方向におけるチャンバフレーム63の中央よりも前方側に設けられた連結孔76,77の連結ブロック191は、
図8に示す連結孔78の連結ブロック191と同様に、前側面に装着部材203が取り付けられている。一方、後方側の連結孔72,73,74の連結ブロック191は、
図8に示す連結孔78の連結ブロック191とは前後方向で対称に、後方の側面に装着部材203及び洗浄水管201が取り付けられている。上記したように、後方凸部187Cは、前方凸部187Bと対称な形状をなしている。このため、連結ブロック191の前側面又は後ろ側面のどちらに装着部材203を取り付けたとしても、メンテナンス孔181~183,185~187を同一形状とし前方凸部187B及び後方凸部187Cを形成することで、装着部材203の着脱作業の作業効率を向上できる。また、メンテナンス孔181~183,185~187を同一形状とすることで、鋼材67に対してメンテナンス孔181~183,185~187を形成する加工作業の作業効率を向上できる。引いては、メンテナンス孔181~183,185~187を備える鋼材67の製造コストを低減できる。尚、前後方向における中央の連結孔75のメンテナンス孔184も、メンテナンス孔187と同一形状をなしている。これにより、切替え電磁三方弁96の交換作業等において、切替え電磁三方弁96に接続された配線の着脱が容易となる。また、メンテナンス孔184を、メンテナンス孔187と同一形状とすることで、鋼材67の製造コストを低減できる。
【0056】
また、
図6に示すように、第2フランジ部173には、挿入部211,212,213,214,215,216,217が形成されている。挿入部211~217は、この順番に、回収管121、排水管153、回収管122、インク供給管93、回収管109、排水管154、回収管111がそれぞれ挿入されている(
図3参照)。また、前後方向における最も前側の挿入部217には、回収管111に加え、余剰インク回収管135が挿入されている。また、最も後ろ側の挿入部211には、回収管121に加え、余剰インク回収管133が挿入されている。残りの挿入部212~216は、例えば、1つの配管(回収管122など)が挿入されている。挿入部211~217は、上記した余剰インク回収管133,135が挿入されている点(挿入されている配管の数が異なる点)や穴の大きさ(内径)を除いて、同様の構成となっている。このため、以下の説明では、最も前側の挿入部217について主に説明し、他の挿入部211~216の説明を適宜省略する。
【0057】
図9は、チャンバ33を右側の下方から見た斜視図を示している。
図8及び
図9に示すように、第2フランジ部173には、挿入部217が形成されている。挿入部217には、上記したように、回収管111に加え、余剰インク回収管135が挿入されている。挿入部217は、例えば、右側(チャンバフレーム63側)に開口を有し、第2フランジ部173を右側(上流側)端部から左側(下流側)に向かって切り欠いた(凹設した)切り欠き部で構成されている。挿入部217は、左右方向の幅W1を略一定とし、前後方向に沿って幅W2で形成されている。
【0058】
挿入部217の左右方向の幅W1は、例えば、回収管111や余剰インク回収管135の外径(直径)よりも若干だけ大きくなっている。
図7に示すように、例えば、挿入部217は、ウェブ部171の下端部と第2フランジ部173とが接続される中間部173Aよりも右側(チャンバフレーム63)側の範囲内に形成されている。換言すれば、ウェブ部171は、挿入部217を形成することで、その一部を除去されていない。また、挿入部217の前端は、前後方向において堰止板68の位置(ドクターブレード65の前端の位置)となっている。
【0059】
また、前後方向における最も後方の挿入部211は、挿入部217と同様の形状をなし、余剰インク回収管133と回収管121が挿入されている。また、前後方向の両端の挿入部211,217を除く他の挿入部212~216は、例えば、2本のインク搬送管を挿入しない分だけ前後方向の幅W2が挿入部211,217よりも小さくなっている。また、挿入部212~216の左右方向の幅W1は、例えば、挿入部211,217と同一となっている。尚、
図7~
図9に示す挿入部217の形状は、一例である。挿入部217は、第2フランジ部173を貫通する貫通孔(外周が第2フランジ部173で囲まれた穴)でも良い。また、挿入部217の一部がウェブ部171の下端部まで広がっても良い。また、挿入部211~217は、互いに異なる形状でも良い。
【0060】
ここで、本実施形態のチャンバ33は、上記した構成によって連結孔弁エアシリンダ195の交換作業などのメンテナンス性を向上しつつ、チャンバ33の剛性を高めることができる。詳述すると、
図10は、第1比較例のチャンバ221を示している。
図11は、第2比較例のチャンバ222を示している。尚、
図10、
図11の説明では、上記した
図7に示すチャンバ33と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0061】
図10に示すチャンバ221は、C形鋼の鋼材223を備えている。
図10に示すように、C形鋼の鋼材223のウェブ部225を左側とし、鋼材223の開口を右側として鋼材223を配置した場合、前後方向におけるチャンバフレーム63とウェブ部225との間の距離L1が長くなる。例えば、連結孔弁エアシリンダ195の全体が鋼材223とチャンバフレーム63で囲まれた空間内に収容された状態となる。このような構成では、メンテナンス孔187から装着部材197,203等が離れた位置(メンテナンス孔187の開口から深い位置)となる。メンテナンス孔187から入れたユーザの手や工具が、装着部材197,203に届きにくくなり作業効率が低下する。また、作業効率を向上させるために、メンテナンス孔187を大きくすると、鋼材223の剛性が低下する。
【0062】
一方で、本実施形態のチャンバ33では、
図7に示すように、鋼材67としてI形鋼を用いることで、前後方向におけるウェブ部171とチャンバフレーム63の間の距離L2を短くすることができる。例えば、連結孔弁エアシリンダ195は、メンテナンス孔187内に、その一部又は全部を挿入した状態となる。これにより、ユーザの手や工具が、装着部材197等に届きやすくなり、作業効率を向上させることができる。
【0063】
また、
図11に示すチャンバ222は、
図10のC形鋼の鋼材223を180度回転させた鋼材227を備えている。鋼材227のウェブ部229は、前後方向においてチャンバフレーム63に近接した位置となる。この場合、メンテナンス孔187もチャンバフレーム63に近接した位置となり、連結孔弁エアシリンダ195の交換作業等が容易となる。一方で、回収管111や余剰インク回収管135(
図3参照)を挿入するスペースを確保するために、ウェブ部229等を大きく取り除いた切り欠き部229A(切欠きや穴)を形成する必要がある。
図11に示すように、例えば、回収管111を配設する位置に合わせて切り欠き部229Aをウェブ部229の下半分や第2フランジ部231まで形成する必要がある。その結果、ウェブ部229や第2フランジ部231の一部と、ウェブ部229と第2フランジ部231の接続部分を取り除く必要が生じ、鋼材227の剛性が著しく低下する。
【0064】
一方、本実施形態のチャンバ33では、
図7に示すように、前後方向においてチャンバフレーム63から一定の距離だけ離れた位置にウェブ部171を配置することで、ウェブ部171に形成するメンテナンス孔187の大きさを小さくできる。また、ウェブ部171と第2フランジ部173の接続部分(中間部173A)に挿入部217を形成しなくとも良くなる。その結果、メンテナンス孔181~187や挿入部211~217を形成したとしても、鋼材67を所望の剛性で維持することができる。
【0065】
(棒部材69の構成)
次に、棒部材69の構成について説明する。
図4に示すように、チャンバ33は、複数の棒部材69を備えている。複数の棒部材69の各々は、同一形状をなし、前後方向に沿った円柱形状をなしている。複数の棒部材69の各々は、前後方向と平行な直線に沿って一列に並んで配置されている。前後方向で隣り合う2つの棒部材69は、前後方向において互いに近接した位置に配置されている。尚、棒部材69は、前後方向に沿った1つの部材でも良い。
【0066】
図7に示すように、複数の棒部材69の各々は、例えば、金属製の芯材69Bに、樹脂材料69Aを表面コーティングして形成されている。棒部材69は、外周面の全周に亘って樹脂材料69Aで表面コーティングされている。表面の樹脂材料69Aは、例えば、インク70をはじく性能である撥液性を有する樹脂材料である。これにより、洗浄ユニット149による洗浄作業においてノズル151から棒部材69へ洗浄水WTを吹き付けた際に、洗浄水WTの吹き付けに対する棒部材69のインク70の落ち易さを高めることができる。尚、上記した棒部材69の構成は一例である。棒部材69は、外周面の一部が撥液性を有する樹脂材料69Aで表面コーティングされる構成でも良い。例えば、棒部材69は、右側や下面側、即ち、インク70が付着する可能性が高い部分のみ、樹脂材料69Aで表面コーティングされる構成でも良い。あるいは、棒部材69は、芯部分も含める全体が樹脂材料69Aで形成される構成でも良く、金属性の芯材69Bで全体が形成される(樹脂材料69Aを有しない)構成でも良い。
【0067】
図4及び
図7に示すように、チャンバ33は、複数の棒部材69の各々を保持する複数の保持部材235を有している。複数の保持部材235の各々は、例えば、薄い金属板を折り曲げ加工して形成されている。複数の保持部材235の各々は、例えば、同様の構造をなしており、ベース部235Aと、複数の爪部235Bを有している。ベース部235Aは、第1フランジ部172の上面及びチャンバフレーム63の上面と、チャンバフレーム63の右側面の上部に沿うように折り曲げて形成されている。複数の保持部材235の各々は、螺合部材237によって第1フランジ部172に対して固定されている。螺合部材237は、例えば、ベース部235Aの貫通孔を通じて第1フランジ部172の被螺合部に螺合されるネジにハンドルを取り付けた構成となっている。ベース部235Aは、前後方向の両端に設けられた2つの螺合部材237を第1フランジ部172に螺合されることで、第1フランジ部172に対して固定されている。
【0068】
複数の爪部235Bの各々は、ベース部235Aにおけるチャンバフレーム63の右側面に沿って形成された部分の下端部から下方へ突出して形成されている。1つの保持部材235には、例えば、8本の爪部235Bが形成されている。複数の爪部235Bの各々は、ベース部235Aの下端部から上下方向に沿って下方へ延びた細い板状をなしている。複数の爪部235Bの各々の下端部は、右側(上流側)へと折り曲げられた後、さらに上方へと折り曲げられている。爪部235Bの先端は、前後方向から見た場合に、上部を開口させた略C形状に折り曲げられている。複数の棒部材69の各々は、この爪部235Bの折り曲げられた先端部に挟み込まれるようにして配置されている。
【0069】
また、複数の爪部235Bのうち、所定の爪部235Bには、係止爪235Cが形成されている。例えば、
図4に示す最も前方側の保持部材235には、前方から1番目の爪部235Bと、2番目の235Bと、後方から2番目の爪部235Bのそれぞれに、合計3つの係止爪235Cが形成されている。前方から1番目の爪部235Bに形成された係止爪235Cは、爪部235Bにおける棒部材69の背面(左側)となる位置から前方側に突出し、右側に折り曲がった先端が棒部材69の前面に接触している。棒部材69は、この係止爪235Cによって前面を保持されている。同様に、図示は省略するが、最も後方側の棒部材69は、最も後方側の保持部材235における後方から1番目の爪部235Bに形成された係止爪235Cによって後面を保持されている。
【0070】
また、前方から2番目の爪部235Bに形成された係止爪235Cは、爪部235Bにおける棒部材69の上方となる位置から前方側に突出し、右側に折り曲がった形状をなしている。これとは対称に、後方から2番目の爪部235Bに形成された係止爪235Cは、爪部235Bにおける棒部材69の上方となる位置から後方側に突出し、右側に折り曲がった形状をなしている。この2つの係止爪235Cは、爪部235Bの先端に取り付けた棒部材69の上面に接触する位置に形成されている。また、例えば、前後方向における両端の保持部材235を除く他の保持部材235には、上記した前方から2番目の爪部235Bと後方から2番目の爪部235Bのそれぞれに係止爪235Cが合計2個形成され、前方から1番目の係止爪235Cは形成されていない。そして、各棒部材69は、下方を爪部235Bの先端部で保持され、上面を各保持部材235の2つの係止爪235Cで係止され、爪部235Bと2つの係止爪235Cによって上下方向の両側から挟まれることで、回転を規制された状態となっている。尚、棒部材69は、自由に回転する構成でも良い。
【0071】
複数の棒部材69の各々は、複数の保持部材235の各々によって保持されることで、上下方向で所定の高さの位置であって、左右方向においてチャンバフレーム63の右側となる位置に保持される。各棒部材69は、チャンバフレーム63の右側となる範囲内において、上方となる位置に保持されている。換言すれば、各保持部材235は、チャンバフレーム63が位置する範囲内において上下方向の上方の位置で各棒部材69を保持する。また、複数の棒部材69の各々は、アニロックスロール35の外周面との間に、所定の隙間を設けて配置されている。即ち、各棒部材69は、アニロックスロール35と離間した状態で配置されている。
【0072】
図12は、
図6に示すC-C線の位置であって、連結孔79の位置で切断したチャンバ33の断面を示している。
図12に示すように、棒部材69は、インク貯留部63Aに貯留されたインク70の液面から上方に離間した位置に配置されている。詳述すると、連結孔79は、チャンバフレーム63における上下方向の所定の高さとなる位置に形成されている。連結孔79は、例えば、左右方向に沿ってチャンバフレーム63を貫通する円筒形状をなしている(
図9参照)。連結孔79の左側には、連結ブロック239が取り付けられている。連結ブロック239は、例えば、ボルト等の螺合部材(図示略)によってチャンバフレーム63の左側の面(背面)に固定されている。
【0073】
連結ブロック239は、例えば、箱形形状をなす金属部材である。連結ブロック239の下端には、余剰インク回収管135が接続されている。連結ブロック239内には、インク70を流すための通路239Aが形成されている。通路239Aは、連結孔79の左側の開口と、余剰インク回収管135とを連通させている。インク貯留部63Aに貯留されたインク70は、連結孔79の位置まで貯留されると、連結孔79から連結ブロック239を通じて余剰インク回収管135に流れ出し、余剰インク回収管135を介してインク缶91(
図3参照)に回収される。これにより、インク貯留部63Aに貯留されたインク70の液面の高さは、所定の高さに維持される。また、連結ブロック239の前側側面には、洗浄水管241が接続されている。洗浄水管241は、洗浄水供給装置150から供給された洗浄水WTを、通路239Aを介して余剰インク回収管135内に供給し、余剰インク回収管135を洗浄する。
【0074】
棒部材69は、保持部材235によって保持されることで、上下方向における連結孔79の下端の位置から所定の距離L3だけ上方の位置に配置されている。同様に、後方側において、棒部材69は、保持部材235によって保持されることで、上下方向における連結孔71の下端の位置から所定の距離L3だけ上方の位置に配置されている。ここで、インク貯留部63Aにインク70を貯留した状態でアニロックスロール35を回転させると、アニロックスロール35がインク70内に空気を巻き込むようにして回転することで、インク70が泡立つ。特に、印刷効率を上げるためにアニロックスロール35を高速で回転させると、泡だったインク70が周囲に飛び散ってしまう。これに対し、インク70の液面から所定の距離L3だけ上方となる位置に棒部材69を配置することで、発生した泡が棒部材69に当たって割れ泡立ちが抑制される。本出願人が棒部材69の形状を変更して実験をした結果、特に、棒部材69の形状を円柱形状とすることで、高い泡立ち抑制効果が得られることが分かった。また、距離L3は、上記した泡立ち抑制効果がより高まる距離に設定されている。換言すれば、保持部材235は、より泡立ち抑制効果の高い位置で棒部材69を保持している。
図4及び
図12に示すように、保持部材235は、例えば、上下方向において棒部材69の下端部が連結孔79の上端と略同一の高さとなる位置で、棒部材69を保持している。
【0075】
(押圧装置243の構成)
次に、印刷装置13が備える押圧装置243について説明する。
図6に示すように、本実施形態の印刷装置13は、チャンバ33をアニロックスロール35側(右側)へ押圧する押圧力を付与する装置として押圧装置243を備えている。押圧装置243は、低圧エア供給装置245、高圧エア供給装置246、複数(本実施形態では10個)のエアシリンダ251~260を備えている。複数のエアシリンダ251,252,253,254,255,256,257,258,259,260の各々は、この順に前後方向の後方から前方に向かって並んで鋼材67のウェブ部171に取り付けられている。エアシリンダ251~260は、前後方向に沿って所定の間隔を間に設けて並んで配置されている。エアシリンダ251は、前後方向において連結孔71と連結孔72(
図3参照)との間に取り付けられている。同様に、エアシリンダ252は、連結孔72,73の間に取り付けられている。エアシリンダ253は、連結孔73,74の間に取り付けられている。エアシリンダ254,255は、連結孔74,75の間に取り付けられている。エアシリンダ256,257は、連結孔75,76の間に取り付けられている。エアシリンダ258は、連結孔76,77の間に取り付けられている。エアシリンダ259は、連結孔77,78の間に取り付けられている。エアシリンダ260は、連結孔78,79の間に取り付けられている。
【0076】
前後方向に並ぶエアシリンダ251~260のうち、中央の4個のエアシリンダ254~257は、高圧エア供給管264を介して高圧エア供給装置246に接続されている。また、中央の4個のエアシリンダ254~257の後方側に配置されるエアシリンダ251~253と、前方側に配置されるエアシリンダ258~260(合計6個のエアシリンダ)は、低圧エア供給管263を介して低圧エア供給装置245に接続されている。低圧エア供給装置245は、例えば、圧縮エアを生成するエアコンプレッサ、圧縮エアをエアシリンダ251~253,258~260の駆動に利用可能な圧力まで減圧する減圧弁、減圧したエアのエアシリンダ251等への供給を切り替える電磁弁等を備えている。同様に、高圧エア供給装置246は、エアコンプレッサ等を備え、所望の圧縮エアをエアシリンダ254~257へ供給する。
【0077】
低圧エア供給装置245は、エアシリンダ251~253,258~260の各々に所定の圧力の圧縮エアを供給する。また、高圧エア供給装置246は、低圧エア供給装置245に比べて高い圧力の圧縮エアをエアシリンダ254~257の各々に供給する。後述するように、エアシリンダ251~260は、例えば、同一構造となっており、低圧エア供給装置245又は高圧エア供給装置246から供給される圧縮エアの圧力に応じた押圧力でチャンバフレーム63を押圧する。従って、前後方向において中央に配置された4つのエアシリンダ254~257は、前後方向における両側に配置された他のエアシリンダ251~253,258~260の押圧力(以下、第1押圧力という)に比べて大きい押圧力(以下、第2押圧力という)をチャンバフレーム63に付与する。尚、エアシリンダ251~260は、異なる構造でも良い。
【0078】
エアシリンダ251~260は、供給される圧縮エアの圧力が異なる点を除いて同様の構成となっている。このため、以下の説明では、エアシリンダ251について主に説明し、他のエアシリンダ252~260についての説明を適宜省略する。
図13は、
図6に示すD-D線で切断した、即ち、エアシリンダ251の位置で切断した断面図を示している。
図13に示すように、エアシリンダ251は、シリンダチューブ251Aと、シリンダチューブ251A内のピストン251Bに付与される圧力に応じて移動するロッド251Cとを備えている。
【0079】
ウェブ部171には、エアシリンダ251を取り付ける位置に、配置孔171Aが形成されている。配置孔171Aは、左右方向に沿ってウェブ部171を貫通して形成され、シリンダチューブ251Aの大きさに合わせた内径で形成されている。エアシリンダ251は、例えば、シリンダチューブ251Aの一部を配置孔171Aに挿入した状態で螺合部材271によってシリンダチューブ251Aをウェブ部171に対して固定されている。
【0080】
また、チャンバフレーム63の左側面には、エアシリンダ251の位置に合わせて凸部63Eが形成されている。凸部63Eは、左方向、即ち、ウェブ部171側に向かって突出している。凸部63Eは、例えば、チャンバフレーム63の左側面から直交する方向に沿って延びる柱形状をなし、チャンバフレーム63に対して固定されている。ロッド251Cは、シリンダチューブ251Aから右側へ突出しており、先端部が凸部63Eに接触している。換言すれば、エアシリンダ251は、ロッド251Cによって凸部63Eを押圧できる位置に、上下方向、左右方向、前後方向の位置が調整されている。例えば、ロッド251Cは、凸部63Eが延びる左右方向、即ち、チャンバフレーム63の左側面に直交する方向に沿って凸部63Eを押圧する。これにより、エアシリンダ251からチャンバフレーム63へ押圧力を効率良く伝えることができる。
【0081】
本実施形態では、エアシリンダ251によってチャンバフレーム63を押圧する押圧箇所273は、凸部63Eとロッド251Cが接触する位置となる。エアシリンダ251は、上下方向において鋼材67及びチャンバフレーム63の中央となる位置に配置されている。押圧箇所273は、上下方向において鋼材67及びチャンバフレーム63の中央となる位置となっている。換言すれば、ロッド251Cや凸部63Eは、上下方向において鋼材67及びチャンバフレーム63の中央となる位置に配置されている。同様に、他のエアシリンダ252~260の押圧箇所273も、上下方向において鋼材67及びチャンバフレーム63の中央となる位置となっている。従って、第1押圧力のエアシリンダ251~253,258~260の押圧箇所273(本願の第1押圧箇所の一例)も、第2押圧力のエアシリンダ254~257の押圧箇所273(本願の第2押圧箇所の一例)も、上下方向において鋼材67及びチャンバフレーム63の中央となる位置となっている。以下の説明では、説明の便宜上、エアシリンダ251~253,258~260の押圧箇所273を第1押圧箇所273A、エアシリンダ254~257の押圧箇所273を第2押圧箇所273Bという。また、第1押圧箇所273A及び第2押圧箇所273Bを含む押圧箇所を総称する場合は、押圧箇所273と記載する。また、第1押圧力とは、エアシリンダ251~253,258~260の各々が第1押圧箇所273Aを押圧する力となる。第2押圧力とは、エアシリンダ254~257の各々が第2押圧箇所273Bを押圧する力となる。
【0082】
尚、
図13に示すエアシリンダ251、ロッド251C、第1押圧箇所273A、凸部63Eの位置等は一例である。例えば、
図14に示すように、印刷装置13は、左右方向においてチャンバフレーム63を間に挟んでドクターブレード65と対向する位置、例えば、ドクターブレード65の先端(上端)と対向する位置にエアシリンダ251~260の押圧箇所273が配置される構成でも良い。あるいは、印刷装置13は、左右方向においてチャンバフレーム63を間に挟んでドクターブレード65の下端(取付部材63B)と対向する位置に押圧箇所273が配置される構成でも良い。
【0083】
エアシリンダ251のシリンダチューブ251Aには、低圧エア供給管263が接続されている。低圧エア供給管263は、低圧エア供給装置245から低圧の圧縮エアを、シリンダチューブ251Aへ供給する。ロッド251Cは、シリンダチューブ251A内の圧力に応じて凸部63E(第1押圧箇所273A)を右方向へと押圧する。同様に、他の低圧のエアシリンダ252~253,258~260も、低圧エア供給装置245の圧力制御に応じて各第1押圧箇所273Aを押圧する。また、高圧のエアシリンダ254~257は、高圧エア供給装置246の圧力制御に基づいて各第2押圧箇所273Bを押圧する。
【0084】
エアシリンダ251に接続された低圧エア供給管263は、
図13に示すように、例えば、挿入部211に挿入され、低圧エア供給装置245に接続されている。他のエアシリンダ252~260の低圧エア供給管263や高圧エア供給管264も、挿入部212等に挿入され、低圧エア供給装置245や高圧エア供給装置246に接続されている。尚、低圧エア供給管263や高圧エア供給管264を通すための専用の穴を、第2フランジ部173に形成しても良い。また、低圧エア供給管263や高圧エア供給管264を、ウェブ部171の左側(外側)で、エアシリンダ251等に接続しても良い。この場合、第2フランジ部173に低圧エア供給管263等を通すための穴を形成する必要がなくなる。
【0085】
また、上記したエアシリンダ251~260は、本願の流体シリンダの一例である。尚、本願の流体シリンダとしては、エアシリンダに限らず、油圧シリンダ等の他の流体シリンダを採用しても良い。また、チャンバフレーム63を押圧する押圧装置243は、流体シリンダに限らず、流体を用いないアクチュエーター(電動シリンダ)等の他の押圧装置でも良い。
【0086】
ここで、印刷装置13のようなフレキソ印刷機では、所定の速度で搬送される段ボールシートSHに印刷ロール31の印版37を押圧して印刷する際に、段ボールシートSHから印刷ロール31に荷重を受ける。その結果、アニロックスロール35等は、荷重を受けることで、撓むように振動する。本実施形態の印刷装置13では、例えば、前後方向(機械幅方向)におけるアニロックスロール35やチャンバフレーム63の中央部の撓みや振動が、前後方向における中央部に対して両外側領域に当たる両端部の撓みや振動に比べてより大きくなる。これに対し、押圧装置243は、前後方向における中央のエアシリンダ254~257の第2押圧力を、前後方向の外側のエアシリンダ251等の第1押圧力に比べて大きくする。換言すれば、エアシリンダ254~257の第2押圧箇所273Bは、押圧装置243による押圧を実施していない状態において、段ボールシートSHに対する印刷の実行にともなって印刷ロール31からアニロックスロール35を介してチャンバフレーム63に伝達された荷重によってチャンバフレーム63に生じる撓みが、エアシリンダ251~253,258~260の第1押圧箇所273Aに比べて大きくなる箇所となっている。これにより、撓みや振動が大きくなる箇所をより大きい押圧力で押圧することで、チャンバフレーム63の撓み等を効果的に抑制できる。
【0087】
高圧エア供給装置246が供給する圧縮エアの圧力は、例えば、初期値として、低圧エア供給装置245が供給する圧縮エアの圧力に比べて20%高い圧力となっている。また、本実施形態の押圧装置243は、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の各々が供給する圧縮エアの圧力値、即ち、第1押圧力及び第2押圧力を変更可能となっている。
図3に示すように、例えば、前方機枠61Aの前方側には、低圧エア供給装置245の減圧弁245Aと、高圧エア供給装置246の減圧弁246Aが設けられている。ユーザは、減圧弁245Aのハンドルを操作することで低圧エア供給装置245から供給する圧縮エアの圧力、即ち、第1押圧力を調整することができる。同様に、ユーザは、減圧弁246Aのハンドルを操作することで、高圧エア供給装置246から供給する圧縮エアの圧力(第2押圧力)を調整することができる。
【0088】
また、
図5に示すように、制御装置81は、駆動回路群84を介して低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246を制御可能となっている。例えば、制御装置81は、印刷装置13の操作部83において低圧エア供給装置245や高圧エア供給装置246の圧力値の入力を受け付け、入力された圧力値に基づいて減圧弁245A,246A等を制御して圧力を調整する。
【0089】
尚、押圧力の変更指示を受け付ける方法は、上記した圧力値の入力を受け付ける方法に限らない。例えば、制御装置81は、複数の圧力値を操作部83に表示して、表示した中から圧力値の選択を受け付けても良い。また、制御装置81は、例えば、エアシリンダ251~260の各々が凸部63Eを押圧する押圧力の大きさの値、印刷対象の段ボールシートSHの厚みの値、前後方向に沿った段ボールシートSHの幅の値、段ボールシートSHの坪量の値、段ボールシートSHのフルートの種類のうち、少なくとも1つを操作部83で受け付けても良い。ここでいうフルートの種類とは、例えば、Aフルート、Bフルートなどのフルートの種類そのものを示す情報でも良く、段山の数などフルートの構造を示す情報でも良い。段ボールシートSHからチャンバフレーム63に加わる荷重は、これらの厚み、幅、坪量、フルートの種類に応じて変動する。このため、制御装置81は、段ボールシートSH等の厚みに応じて圧力値を変更し押圧力を調整しても良い。具体的には、例えば、
図5に示すように、印刷装置13の記憶装置82には、圧力値を決定するための圧力データベース82Aが記憶されている。圧力データベース82Aには、上記した押圧力の大きさ、段ボールシートSHの厚み、幅、坪量、フルートの種類の条件と、圧力値が対応付けられている。ユーザは、例えば、これらの押圧力や厚み等の値を操作部83で入力又は選択する。制御装置81は、操作部83で入力等された押圧力等から圧力データベース82Aに基づいて圧力値を決定する。制御装置81は、決定した圧力値で空気を圧縮するように低圧エア供給装置245等を制御する。これにより、ユーザが望む押圧力や、印刷対象の段ボールシートSH等の厚みに応じて押圧力を調整することができる。
【0090】
また、印刷装置13は、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246から供給する圧縮エアの圧力をユーザが調整できない構成でも良い。例えば、印刷装置13は、操作部83による圧力値の変更を受け付けず、ユーザが操作可能な位置に減圧弁245A等が設けられていない構成でも良い。また、印刷装置13は、低圧エア供給装置245等からエアシリンダ251~260の各々に供給する圧縮エアの圧力値を、エアシリンダ毎(個別に)変更可能な構成でも良い。例えば、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246は、エアシリンダ251~260の各々の圧力を調整する減圧弁245A,246Aをそれぞれ(例えば、合計10個)備え、制御装置81によって制御可能な構成でも良い。制御装置81は、エアシリンダ251~260の各々について操作部83に対する操作入力に基づいて圧縮エアの圧力値を決定し、決定した圧力値に基づいて複数の減圧弁245A,246Aを個別に制御し各押圧箇所273の押圧力を変更しても良い。これにより、ユーザは、エアシリンダ251~260の各々がチャンバフレーム63に付与する押圧力を個別に変更することができる。
【0091】
また、印刷装置13は、管理装置19等の他の装置から圧力値の設定情報や変更の指示を受け付けても良い。印刷装置13は、例えば、段ボールシートSHの種類や印刷内容を変更するオーダ変更時に、管理装置19から圧力値を取得し、取得した圧力値に基づいて減圧弁245A等を制御して圧力値を変更しても良い。あるいは、印刷装置13は、上記した押圧力の大きさの値、段ボールシートの厚みの値等を管理装置19から取得し、圧力データベース82Aに基づいて圧力値を決定しても良い。
【0092】
(印刷時における押圧制御)
次に、上記した押圧装置243の印刷時における制御について説明する。例えば、実行すべき印刷の命令(以下、オーダという場合がある)に係わる制御情報が、管理装置19から印刷装置13に送られる。印刷装置13の制御装置81は、取得した制御情報に基づいて、オーダの実行を開始する。制御装置81は、取得した制御情報中の搬送速度の値に応じてロール駆動モータ群87を制御し、印刷ロール31、プレスロール32及びアニロックスロール35を所定の速度で回転させる。印刷が実行される間、印刷ロール31、プレスロール32、及びアニロックスロール35は、
図2に示す矢印の回転方向に回転される。
【0093】
制御装置81は、オーダの実行開始に伴い、シリンダエア供給装置119を制御して、連結孔弁115,116,129,131,157,158を閉塞させる。また、制御装置81は、バイパス電磁弁103を閉塞させる。また、制御装置81は、洗浄水供給電磁弁161~168を閉塞させる。また、制御装置81は、切替え電磁三方弁96を制御して、連結孔75とインク供給管93を連通させる状態に切り換える。尚、制御装置81は、インク管移動機構139を制御して、洗浄ユニット149を退避位置に移動させる。
【0094】
制御装置81は、例えば、供給ポンプ89を正転させつつ、回収ポンプ125を逆転させる。供給ポンプ89は、インク供給管92を介してインク缶91内のインク70をインク供給管93に向かって送り出す。回収ポンプ125は、回収管123内のインク70を回収管124へ送り出す動作を開始する。印刷が実行される間、供給ポンプ89は正転され、回収ポンプ125は逆転される。インク缶91内のインク70は、供給ポンプ89の正転により、インク供給管92,93,94、及び連結孔75を介してインク貯留部63Aに供給される。インク貯留部63Aに供給されたインク70は、連結孔71,79が配置された高さの位置に相当するインク量まで貯留される。連結孔71,79内に流れ込んだインク70は、余剰インクとして、余剰インク回収管133,135、回収パン105,106等を通じてインク缶91に回収される。
【0095】
また、制御装置81は、押圧装置243の低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246を駆動して圧縮エアの生成を実行する。制御装置81は、例えば、上記したユーザからの入力値や圧力データベース82Aに基づいて決定した圧力値の圧縮エアを生成するように、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246を制御する。制御装置81は、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の電磁弁を開いて圧縮エアの供給を開始させる。低圧エア供給装置245は、低圧の圧縮エアをエアシリンダ251~253,258~260に供給する。高圧エア供給装置246は、高圧の圧縮エアをエアシリンダ254~257へ供給する。エアシリンダ251~260の各々は、所定の第1押圧力又は第2押圧力によりチャンバフレーム63をアニロックスロール35側へ押圧する。これにより、ウェブ部171は、前後方向における中央部を、外側の第1押圧力に比べて大きい第2押圧力で押圧される。
【0096】
供給装置11は、印刷装置13等の下流の装置の準備が完了すると、段ボールシートSHを印刷装置13へ順次送り出す。下流の装置の準備が完了したか否かを確認する方法は、特に限定されない。例えば、管理装置19が各装置の準備完了を確認し、準備の完了を各装置へ通知しても良い。あるいは、各装置は、オーダの実行開始の指示を取得してから一定時間が経過したことを条件に、準備が完了したと判断しても良い。
【0097】
印刷装置13は、段ボールシートSHに対する印刷実行にともなって、段ボールシートSHから印刷ロール31等へ荷重を付与される。チャンバフレーム63は、押圧装置243により押圧力を付与されているため、撓みや振動が抑制される。これにより、前後方向における各位置においてドクターブレード65の先端をアニロックスロール35により均一に接触させることができる。引いては、アニロックスロール35に転移させたインク70の厚みをより均一にでき、精度良く印刷を実行することができる。
【0098】
そして、複数の段ボールシートSHに対する印刷が実行され、オーダの制御情報に関して定められるシート枚数まで段ボールシートSHが供給装置11から送り出される。印刷装置13が最後の段ボールシートSHに印刷を実行し、ダイカッタ装置18が最後の段ボールシートSHの加工を終了する。これにより、1つのオーダに応じた印刷及び加工が終了する。
【0099】
制御装置81は、例えば、押圧装置243を制御して、1つのオーダを実行し複数の段ボールシートSHに対する印刷を実行する間、第1押圧力及び第2押圧力のそれぞれを印刷前に設定された所定の押圧力で維持する。例えば、制御装置81は、1つのオーダを実行する間、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246で生成する圧縮エアの圧力値を一定とし、第1押圧力及び第2押圧力を一定に維持する。
【0100】
ここで、ドクターブレード65は、印刷の実行を繰り返すと、アニロックスロール35との接触により摩耗する。ドクターブレード65が摩耗すると、ドクターブレード65によるインク70の掻き取りが不十分となり、アニロックスロール35のインク70の厚みが厚くなるなどの不具合が発生する。そこで、制御装置81は、押圧装置243を制御して、ドクターブレード65が摩耗する摩耗期間の経過に応じて、第1押圧力及び第2押圧力の両方の大きさを増加させる。例えば、制御装置81は、1つオーダの印刷を実行する間は、所定の圧力値で低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の圧力値を維持する。制御装置81は、1つのオーダの印刷が完了するごとに、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の圧力値を増加させる制御を実行し、増加させた圧力値を維持して次のオーダの印刷を実行する。
【0101】
また、圧力データベース82Aには、例えば、オーダの実行回数に応じた圧力値が設定されている。設定されている圧力値は、実行回数が増加するごとにより大きな値が設定されている。制御装置81は、オーダを実行するごと圧力データベース82Aを確認し、確認した圧力値まで低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の圧力値を増加させる。これにより、ドクターブレード65の摩耗期間の経過に応じて、第1押圧力及び第2押圧力の両方の大きさを増加させることができる。
【0102】
尚、第1押圧力及び第2押圧力を増加させる方法は、上記した方法に限らない。例えば、制御装置81は、低圧エア供給装置245又は高圧エア供給装置246の一方の圧力値、即ち、第1押圧力又は第2押圧力の一方だけをオーダの実行回数に応じて増加させても良い。また、制御装置81は、段ボールシートSHの印刷枚数ごとに押圧力を変更しても良い。例えば、制御装置81は、使用中のドクターブレード65について印刷枚数を計測する。制御装置81は、ドクターブレード65を新しいものに交換した旨の操作を操作部83で受け付けると、それまで計測した印刷枚数をリセットし、印刷枚数の計測を再開する。また、例えば、印刷枚数に応じた圧力値を圧力データベース82Aに設定しても良い。制御装置81は、印刷枚数の増加に応じて圧力データベース82Aを確認し、圧力値を増加させる枚数まで印刷枚数が増加すると、設定された圧力値に基づいて低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の圧力値を増加させる。この場合にも、ドクターブレード65の摩耗期間の経過に応じて、第1押圧力及び第2押圧力の両方の大きさを増加させることができる。
【0103】
また、例えば、制御装置81は、ドクターブレード65の使用期間(交換してからの時間)を計測し、使用期間の経過に応じて第1押圧力及び第2押圧力を増加させても良い。また、制御装置81は、印刷枚数や使用期間に応じて、低圧エア供給装置245等を制御する圧力値に係数等を乗算し、圧力値を調整しても良い。
【0104】
また、第1押圧力及び第2押圧力を、ドクターブレード65が摩耗する摩耗期間の経過に応じて増加させなくとも良い。例えば、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の圧力値の初期値として、上記したドクターブレード65が摩耗する摩耗期間が経過した場合でも、チャンバフレーム63の撓みや振動を抑制して摩耗したドクターブレード65をアニロックスロール35に接触させることが可能な圧力値(高い圧力値)を設定しても良い。より具体的には、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の圧力値の初期値として、交換が必要な状態まで摩耗したドクターブレード65を使用した際にも、摩耗したドクターブレード65をアニロックスロール35に好適に接触させることが可能な高い圧力値、換言すれば、ドクターブレード65の摩耗が最も進行した状態で接触させることが可能な値を設定しても良い。
【0105】
因みに、上記実施形態において、インク缶91は、本願の供給源の一例である。回収管109,111,121,122、排水管153,154、インク供給管93は、インク搬送管の一例である。洗浄水WTは、液体の一例である。連結孔71,79は、余剰連結孔の一例である。クリーザ装置15、スロッタ装置17、ダイカッタ装置18は、加工装置の一例である。
【0106】
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の印刷装置13は、インク70を貯留するチャンバ33と、チャンバ33からインク70が転移されるアニロックスロール35と、印版37が取り付け可能であり、アニロックスロール35から印版37にインク70が転移され、印版37のインク70を段ボールシートSHに転写して印刷する印刷ロール31と、を備えている。また、印刷装置13は、インク70の供給源であるインク缶91とチャンバ33との間でインク70を搬送するインク搬送管として、回収管109,111,121,122、排水管153,154、インク供給管93(以下、回収管109等という)を備えている。また、印刷装置13は、回収管109等を流れるインク70の流量を切替える切替弁として、連結孔弁115,116,129,131,157,158、切替え電磁三方弁96(以下、連結孔弁115等という)を備えている。チャンバ33は、インク70を貯留するチャンバフレーム63と、チャンバフレーム63に取り付けられ、アニロックスロール35に転移させたインク70を掻き取って、転移後のインク70の厚みを調整するドクターブレード65と、チャンバフレーム63を間に挟んでアニロックスロール35とは反対側に配置される鋼材67と、を有する。回収管109等は、チャンバフレーム63を間に挟んでアニロックスロール35とは反対側に配置され、チャンバフレーム63のインク70を貯留するインク貯留部63Aに連通している。鋼材67は、チャンバ33の上下方向に延びるウェブ部171と、段ボールシートSHの搬送方向FD(左右方向)に延びる板形状をなす第1フランジ部172と、左右方向に延びる板形状をなす第2フランジ部173と、を有する。第1フランジ部172は、左右方向における中間部172Aに、上下方向におけるウェブ部171の上端部が接続されている。第2フランジ部173は、左右方向における中間部173Aに、上下方向におけるウェブ部171の下端部が接続されている。ウェブ部171には、連結孔弁115等の位置に合わせてメンテナンス孔181~187が貫通して形成されている。第2フランジ部173には、回収管109等を挿入する挿入部211~217が形成されている。
【0107】
鋼材67は、チャンバフレーム63の背面側に配置され、ウェブ部171と、第1フランジ部172と、第2フランジ部173を備えるI形鋼である。これにより、上下方向や左右方向への荷重に対するチャンバ33の剛性を高めることができ、チャンバフレーム63に発生する撓みや振動を抑制できる。撓み等を抑制することで、アニロックスロール35に転移させたインク70の厚みをドクターブレード65によってより均一に平坦化することができる。その結果、撓みの影響を低減し、印刷ロール31の印版37を介して段ボールシートSHにインク70をより均一に転写させ印刷精度を向上できる。
【0108】
また、鋼材67は、連結孔弁115等の位置に合わせて形成されたメンテナンス孔181~187をウェブ部171に備える。これにより、チャンバ33に必要な剛性を鋼材67で確保しつつ、連結孔弁115等の交換に必要なメンテナンス孔181~187を設けることができる。ユーザは、メンテナンス孔181~187から手を挿入するなどして、連結孔弁115等の交換等を実行できる。また、鋼材67は、回収管109等を挿入可能な挿入部211~217を、下側の第2フランジ部173に備える。これにより、チャンバ33に必要な剛性を鋼材67で確保しつつ、回収管109等をチャンバフレーム63の背面側に配設することがきる。チャンバ33の剛性を高めながら、連結孔弁115等のメンテナンス性を確保し、且つ、回収管109等を配置する位置を確保できる。
【0109】
(2)チャンバフレーム63は、印刷装置13の装置幅方向である前後方向に沿って延びている。鋼材67は、I形鋼であり、前後方向において、チャンバフレーム63の一端から他端まで延伸して配置された1つの部材である。これにより、前後方向に延びるI形鋼を、チャンバフレーム63の背面側の全域に配置する。1つのI形鋼でチャンバ33を支持することで支持部材の部品点数を低減しつつ、チャンバの剛性をより高めることができる。
【0110】
(3)鋼材67のウェブ部171は、上下方向において、チャンバフレーム63の上端から下端の位置まで配置されている。これによれば、チャンバフレーム63の背面側において上端から下端までウェブ部171を配置することで、チャンバフレーム63を鋼材67で背面側から安定して支持できる。チャンバフレーム63に生じる撓み等をより抑制することができる。
【0111】
(4)連結孔弁115等は、チャンバフレーム63の背面に螺合部材193,194によって固定されている。メンテナンス孔181~187は、チャンバフレーム63を背面側から見た場合に(
図8)、複数の螺合部材193の頭部が係止された範囲よりも外側まで広がった穴の大きさで形成されている。これによれば、手や工具を入れるスペースをメンテナンス孔181~187で確保することで、ユーザによる螺合部材193,194や連結孔弁115等を着脱する作業負担を軽減することができる。
【0112】
(5)印刷装置13は、チャンバフレーム63をアニロックスロール35側へ押圧する押圧力を付与する押圧装置243を備えている。ウェブ部171には、押圧装置243を配置するための配置孔171Aが形成されている。これによれば、押圧装置243の押圧力を調整することで、アニロックスロール35に転移させたインク70をドクターブレード65によって掻き取る量を調整することができる。また、押圧装置243によってチャンバフレーム63をアニロックスロール35側へ押圧することで、チャンバフレーム63やドクターブレード65に生じる撓みや振動を抑制することができる。即ち、ウェブ部171に配置孔171Aを設けることでチャンバ33の剛性を確保しつつ押圧装置243を配置でき、鋼材67と押圧装置243によってチャンバフレーム63の撓み等をより抑制できる。その結果、アニロックスロール35に転移させたインク70の厚みをドクターブレード65によってより均一に平坦化でき、印刷精度を向上できる。
【0113】
(6)ドクターブレード65は、上下方向におけるチャンバフレーム63の下端部に取り付けられている。チャンバ33は、前後方向に沿って延びる丸い棒部材69と、チャンバフレーム63が位置する範囲内において上下方向の上方の位置で棒部材69を保持する保持部材235とを有している。棒部材69は、インク貯留部63Aに貯留されたインク70の液面から上方に離間した位置に配置されている。印刷にともなってアニロックスロール35を高速で回転させると、チャンバフレーム63に貯留されたインク70の液面が泡立ち、インク70が飛び散る可能性がある。これに対し、チャンバフレーム63のインク貯留部63Aに貯留されたインク70の液面から上方に離間した位置に丸い棒部材69を配置することで、アニロックスロール35の回転に伴うインク70の泡立ちを抑制することができる。インク70の飛散を抑制し、清掃作業などのユーザの作業負担を軽減できる。
【0114】
(7)印刷装置13は、棒部材69及びアニロックスロール35に洗浄水WTを吹き付け、棒部材69及びアニロックスロール35に付着したインク70を洗浄する洗浄ユニット149を備えている。棒部材69は、少なくともその表面材がインク70をはじく性能である撥液性を有する樹脂材料69Aで形成されている。インク70の色や種類を変更する場合、棒部材69やアニロックスロール35から使用済みのインク70を取り除く必要がある。上記構成によれば、洗浄ユニット149から吹き付けた洗浄水WTによって、棒部材69等に付着したインク70を洗い落とすことができる。さらに、棒部材69の少なくとも表面材を、撥液性を有する樹脂材料69Aで形成することで、洗浄水WTの吹き付けに対する棒部材69のインク70の落ち易さを高めることができ、棒部材69の洗浄時間の短縮を図れる。インク70の交換作業の作業時間を短縮できる。
【0115】
(8)印刷装置13は、チャンバフレーム63のインク貯留部63Aと、インク缶91とを接続する余剰インク回収管133,135を備えている。チャンバフレーム63には、チャンバフレーム63を貫通し、余剰インク回収管133,135と、インク貯留部63Aとを連通する連結孔71,79が形成されている。インク貯留部63Aに貯留されたインク70は、連結孔71,79の位置まで貯留されると、連結孔71,79及び余剰インク回収管133,135を通じてインク缶91に回収され、インク貯留部63Aに貯留されたインク70の液面の高さが所定の高さに維持される。棒部材69は、上下方向における連結孔71,79の下端の位置よりも上方の位置に配置されている。
【0116】
これによれば、インク貯留部63Aに貯留するインク70を連結孔71,79及び余剰インク回収管133,135を通じてインク缶91に回収させることで、インク貯留部63Aに貯留するインク70の液面の高さを所定の高さに維持できる。この連結孔71,79の位置と棒部材69の位置を調整することで、棒部材69を液面から上方に離れた位置、即ち、インク70の泡立ちを抑制するのに好適な位置に配置することができる。換言すれば、インク70を連結孔71,79の位置まで貯留させることで、インク70の液面と棒部材69の位置関係を好適な位置関係に容易に調整できる。
【0117】
尚、本願の内容は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本願の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、特に言及していないが、本願の段ボールシート印刷装置は、印刷ロール31に取り付けられた印版37を交換するためのスペース(階段や作業場所などの常設のスペース)が確保された所謂、固定式の印刷装置でも良く、交換スペースが設けられておらず、印版37を交換する際に印刷装置13等を左右方向に開くようにスライド移動させて確保したスペースにユーザが入って印版37の交換を行なう、所謂開閉式の印刷装置でも良い。
また、上記実施形態の印刷装置13の構成は、一例である。例えば、印刷装置13は、回収用高圧エア供給装置98など高圧エアによる洗浄機能を備えなくとも良い。この場合、印刷装置13は、洗浄水WTのみで回収管124等に残ったインク70の洗浄を行なっても良い。また、印刷装置13は、洗浄水供給電磁弁161等の洗浄水WTによって余剰インク回収管133等を洗浄する機能を備えなくとも良い。この場合、印刷装置13は、回収用高圧エア供給装置98の高圧エアによって余剰インク回収管133等の残留するインク70を回収しても良い。
印刷装置13は、押圧装置243を備えない構成でも良い。
【0118】
押圧箇所273は、前後方向に一列に並んでいなくとも良く、10箇所に限らず、他の複数箇所でも良い。また、上下方向に沿って並ぶ2つの押圧箇所273を設定しても良い。
チャンバフレーム63は、前後方向(装置幅方向)において分割された構成でも良い。また、複数のチャンバフレーム63のうち、前後方向で隣り合う2つのチャンバフレーム63が上下方向でズレた位置(前後方向に並ばない位置)に配置された構成でも良い。
また、押圧装置243は、オーダの実行回数や印刷回数に係わらず、低圧エア供給装置245及び高圧エア供給装置246の圧力値を一定に維持しても良い。即ち、ドクターブレード65の摩耗状態の経過に係わらず、圧力値を一定に維持しても良い。
【0119】
鋼材67は、前後方向に延びる1つの部材であっても良いし、複数の部材で構成されても良い。例えば、鋼材67は、前後方向において複数の部材に分割され、ボルト等によって互いに連結される構成でも良い。
鋼材67は、前後方向のチャンバフレーム63の一端から他端までチャンバフレーム63の背面の全域に配置される構成であったが、これに限らない。例えば、鋼材67は、前後方向における中央部だけに配置される構成でも良い。
鋼材67は、上下方向のチャンバフレーム63の上端から下端の位置まで配置される構成であったが、これに限らない。例えば、鋼材67は、上下方向におけるチャンバフレーム63の下部だけに配置される構成でも良い。
鋼材67は、回収管109,111,121,122、余剰インク回収管133,135、排水管153,154、インク供給管93の各々を挿入する挿入部211~217のうち、少なくとも1つを備える構成でも良い。
【0120】
本願のメンテナンス孔の形状や大きさは、上記実施形態のメンテナンス孔181~187の形状等に限定されない。例えば、メンテナンス孔181~187は、チャンバフレーム63を背面側から見た場合に(
図8)、複数の螺合部材193の頭部が係止された範囲よりも外側まで広がった穴の大きさで形成されていたが、これに限らない。例えば、メンテナンス孔181~187は、
図8に示す4つの螺合部材193の頭部について隣り合う螺合部材193の頭部を結ぶ直線で囲まれた範囲よりも小さい穴の大きさでも良い。また、メンテナンス孔181等の形状は、長方形、正方形、円、楕円等でも良い。
ドクターブレード65を、上下方向におけるチャンバフレーム63の中間位置や上部に取り付けても良い。
棒部材69を配置する位置は、インク貯留部63Aに貯留されたインク70の液面から上方に離れた位置に限らず、液面に接する位置でも良い。
棒部材69の形状は、円柱に限らず、四角柱などの他の形状でも良い。
印刷装置13は、洗浄ユニット149、インク管移動機構139など、アニロックスロール35等の洗浄を行なう装置を備えない構成でも良い。
【符号の説明】
【0121】
10 段ボールシート製函機、11 供給装置、13 段ボールシート印刷装置、15 クリーザ装置(加工装置)、17 スロッタ装置(加工装置)、18 ダイカッタ装置(加工装置)、31 印刷ロール、33 チャンバ、35 アニロックスロール、37 印版、63 チャンバフレーム、65 ドクターブレード、67 鋼材、69 棒部材、69A 樹脂材料、70 インク、71,79 連結孔(余剰連結孔)、91 インク缶(供給源)、109,111,121,122 回収管(インク搬送管)、133,135 余剰インク回収管、149 洗浄ユニット、153,154 排水管(インク搬送管)、93 インク供給管(インク搬送管)、171 ウェブ部、172 第1フランジ部、172A 中間部、173 第2フランジ部、173A 中間部、181~187 メンテナンス孔、211~217 挿入部、193,194 螺合部材、235 保持部材、243 押圧装置、171A 配置孔、FD 搬送方向、WT 洗浄水(液体)。