(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175308
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】硬貨収納機構、硬貨処理機および硬貨処理方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/10 20190101AFI20221117BHJP
G07D 1/00 20060101ALI20221117BHJP
G07D 9/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G07D11/10
G07D1/00 Z
G07D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081601
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(72)【発明者】
【氏名】奥山 龍一
(72)【発明者】
【氏名】信原 広志
(72)【発明者】
【氏名】當山 啓太
(72)【発明者】
【氏名】上原 圭介
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA08
3E141BA14
3E141BA15
3E141DA08
3E141FA03
3E141FG03
3E141FG13
3E141FG17
3E141FJ02
3E141GA01
3E141GA04
3E141GB03
3E141HA05
3E141HA06
3E141HA09
3E141JA03
3E141JA06
3E141JA14
3E141JA16
3E141LA02
3E141LA23
3E141LA45
(57)【要約】
【課題】各収納部に収納されている硬貨を撹拌するのに必要な力を低減することができる硬貨収納機構、硬貨処理機および硬貨処理方法を提供する。
【解決手段】硬貨収納機構60は、各々が硬貨を収納する複数の収納部60a~60fと、各収納部60a~60fに設けられ、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を撹拌するための撹拌手段620と、を備え、撹拌手段620は、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を撹拌させるタイミング調整手段(例えば、レバー626)を有し、タイミング調整手段は、少なくとも撹拌手段620の内の一つを他の撹拌手段620とは異なるタイミングで撹拌させる様に調整する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が硬貨を収納する複数の収納部と、
各前記収納部に設けられ、各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌するための撹拌手段と、
を備え、
前記撹拌手段は、各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌させるタイミング調整手段を有し、
前記タイミング調整手段は、少なくとも前記撹拌手段の内の一つを他の撹拌手段とは異なるタイミングで撹拌させる様に調整する、硬貨収納機構。
【請求項2】
各前記収納部には、前記収納部に収納されている硬貨を1枚ずつ前記収納部の外部に繰り出す繰出部が設けられており、
前記撹拌手段は各前記繰出部の上方に配置されている、請求項1記載の硬貨収納機構。
【請求項3】
各前記繰出部は、前記収納部の底部分を構成しており硬貨が集積される繰出ベルトと、前記繰出ベルトによる硬貨の搬送方向と逆方向に回転することにより前記繰出ベルトにより2枚以上の硬貨が繰り出されることを規制する逆転ローラとを有しており、前記撹拌手段は各前記逆転ローラの上方に配置されている、請求項2記載の硬貨収納機構。
【請求項4】
前記撹拌手段は掻上部を有しており、前記掻上部は、各前記収納部に収納されている硬貨を、前記繰出部が硬貨を繰り出す方向とは異なる掻上方向に掻き上げる、請求項2または3記載の硬貨収納機構。
【請求項5】
前記タイミング調整手段は、前記掻上部を前記掻上方向に移動させるための掻上補助部を有し、
前記掻上補助部が前記掻上部を移動させることにより当該掻上部が硬貨を掻き上げるタイミングが各前記収納部毎に異なるよう、各前記収納部毎に前記掻上補助部の構成が異なる、請求項4記載の硬貨収納機構。
【請求項6】
前記掻上補助部は軸を中心として回転するようになっており、前記軸に対する前記掻上補助部の回転方向の位置は、各前記収納部毎に位相が異なる、請求項5記載の硬貨収納機構。
【請求項7】
前記軸を回転させる駆動部と前記軸との間にはトルクリミッタが設けられている、請求項6記載の硬貨収納機構。
【請求項8】
前記掻上部は軸を中心として回転するようになっており、前記軸に対する前記掻上部の回転方向の位置は、各前記収納部毎に位相が異なる、請求項5記載の硬貨収納機構。
【請求項9】
各前記収納部にはそれぞれ硬貨の金種が割り当てられており、
前記掻上部の大きさは各前記収納部に割り当てられている硬貨の金種によって異なる、請求項4乃至8のいずれか一項に記載の硬貨収納機構。
【請求項10】
筐体と、
前記筐体の内部へ硬貨を繰り入れる繰入機構を有する投入部と、
前記投入部から前記繰入機構により前記筐体の内部に繰り入れられた硬貨を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される硬貨を金種毎に振り分ける振分部と、
前記振分部により振り分けられた硬貨を金種毎に収納する複数の収納部と、
各前記収納部に設けられ、各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌するための撹拌手段と、
を備え、
前記撹拌手段は、各前記収納部に収納されている硬貨を各前記収納部毎に異なるタイミングで撹拌させるタイミング調整手段を有する、硬貨処理機。
【請求項11】
複数の収納部に硬貨を収納させる工程と、
各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌手段により撹拌する工程と、
を備え、
前記撹拌手段は、各前記収納部に収納されている硬貨を各前記収納部毎に異なるタイミングで撹拌させる、硬貨処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨収納機構、硬貨処理機および硬貨処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨処理機の内部には、硬貨を金種毎に収納する複数の収納部が設けられている。硬貨の入金処理時には硬貨処理機の筐体の外部から内部に繰り入れられた硬貨が各収納部に金種毎に収納される。また、硬貨の出金処理時には各収納部に収納されている硬貨が当該収納部から繰り出されて硬貨処理機の筐体の内部から外部に排出される。このような硬貨処理機では、各収納部に収納されている硬貨を撹拌することにより、各収納部からの硬貨の繰り出し時に詰まり等のトラブルが発生することを未然に防止するようになっている。
【0003】
特許文献1には、各収納部に収納されている硬貨の撹拌手段として、硬貨の繰出機構として用いられる搬送ベルトの表面に押圧接触することで従動的に回転する撹拌ローラが用いられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるような撹拌手段では、各収納部から硬貨を一度に繰り出そうとした場合に、各収納部に設けられている搬送ベルトの駆動に合わせて各撹拌ローラが同時に回転するため、各収納部に収納されている硬貨を各撹拌ローラが撹拌するために大きな力が必要になるという問題がある。
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、各収納部に収納されている硬貨を撹拌するのに必要な力を低減することができる硬貨収納機構、硬貨処理機および硬貨処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の硬貨収納機構は、各々が硬貨を収納する複数の収納部と、各前記収納部に設けられ、各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌するための撹拌手段と、を備え、前記撹拌手段は、各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌させるタイミング調整手段を有し、前記タイミング調整手段は、少なくとも前記撹拌手段の内の一つを他の撹拌手段とは異なるタイミングで撹拌させる様に調整することを特徴とする。
【0008】
本発明の硬貨収納機構においては、各前記収納部には、前記収納部に収納されている硬貨を1枚ずつ前記収納部の外部に繰り出す繰出部が設けられており、前記撹拌手段は各前記繰出部の上方に配置されていてもよい。
【0009】
この場合、各前記繰出部は、前記収納部の底部分を構成しており硬貨が集積される繰出ベルトと、前記繰出ベルトによる硬貨の搬送方向と逆方向に回転することにより前記繰出ベルトにより2枚以上の硬貨が繰り出されることを規制する逆転ローラとを有しており、前記撹拌手段は各前記逆転ローラの上方に配置されていてもよい。
【0010】
また、前記撹拌手段は掻上部を有しており、前記掻上部は、各前記収納部に収納されている硬貨を、前記繰出部が硬貨を繰り出す方向とは異なる掻上方向に掻き上げてもよい。
【0011】
この場合、前記タイミング調整手段は、前記掻上部を掻上方向に移動させるための掻上補助部を有し、前記掻上補助部が前記掻上部を移動させることにより当該掻上部が硬貨を掻き上げるタイミングが各前記収納部毎に異なるよう、各前記収納部毎に前記掻上補助部の構成が異なっていてもよい。
【0012】
また、前記掻上補助部は軸を中心として回転するようになっており、前記軸に対する前記掻上補助部の回転方向の位置は、各前記収納部毎に位相が異なっていてもよい。
【0013】
また、前記軸を回転させる駆動部と前記軸との間にはトルクリミッタが設けられていてもよい。
【0014】
また、前記掻上部は軸を中心として回転するようになっており、前記軸に対する前記掻上部の回転方向の位置は、各前記収納部毎に位相が異なっていてもよい。
【0015】
また、各前記収納部にはそれぞれ硬貨の金種が割り当てられており、前記掻上部の大きさは各前記収納部に割り当てられている硬貨の金種によって異なっていてもよい。
【0016】
本発明の硬貨処理機は、筐体と、前記筐体の内部へ硬貨を繰り入れる繰入機構を有する投入部と、前記投入部から前記繰入機構により前記筐体の内部に繰り入れられた硬貨を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される硬貨を金種毎に振り分ける振分部と、前記振分部により振り分けられた硬貨を金種毎に収納する複数の収納部と、各前記収納部に設けられ、各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌するための撹拌手段と、を備え、前記撹拌手段は、各前記収納部に収納されている硬貨を各前記収納部毎に異なるタイミングで撹拌させるタイミング調整手段を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の硬貨処理方法は、複数の収納部に硬貨を収納させる工程と、各前記収納部に収納されている硬貨を撹拌手段により撹拌する工程と、を備え、前記撹拌手段は、各前記収納部に収納されている硬貨を各前記収納部毎に異なるタイミングで撹拌させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の硬貨収納機構、硬貨処理機および硬貨処理方法によれば、各収納部に収納されている硬貨を撹拌するのに必要な力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態による硬貨処理機の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す硬貨処理機の内部構成を示す構成図である。
【
図3】
図1等に示す硬貨処理機で用いられる硬貨収納機構、出金硬貨搬送部、硬貨出金部等の構成を示す構成図である。
【
図4】
図1等に示す硬貨処理機における硬貨収納機構を側方から見たときの構成を示す構成図である。
【
図5】
図1等に示す硬貨処理機における硬貨収納機構を側方から見たときの構成を示す構成図である。
【
図6】
図4に示す硬貨収納機構における逆転ローラや固定ガイド、撹拌手段を左側から右向きに見たときの構成を示す構成図である。
【
図7】
図4乃至
図6に示す硬貨収納機構で用いられる複数のレバーおよび軸の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す各レバーの回転方向の位相を示す説明図である。
【
図9】
図4等に示す硬貨収納機構で用いられる駆動モータやトルクリミッタ等の構成を示す斜視図である。
【
図10】(a)(b)は、変形例に係る硬貨収納機構の第1の撹拌手段を側方から見たときの構成を示す構成図である。
【
図11】(a)(b)は、変形例に係る硬貨収納機構の第2の撹拌手段を側方から見たときの構成を示す構成図である。
【
図12】別の変形例に係る硬貨収納機構における駆動モータおよびカムの構成を概略的に示す正面図である。
【
図13】
図12に示す駆動モータおよびカムを右側から左向きに見たときの構成を概略的に示す側面図である
【
図14】更に別の変形例に係る硬貨収納機構の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図3は、本実施の形態による硬貨処理機の外観および内部構成を示す図であり、
図4乃至
図9は、
図1等に示す硬貨処理機における硬貨収納機構の構成を示す図である。
【0021】
図1乃至
図3に示すように、本実施の形態の硬貨処理機1は、略直方体形状の筐体5と、硬貨を筐体5の外部から入金するための硬貨入金部10と、筐体5内に設けられ、硬貨を収納するとともに収納された硬貨を繰り出す硬貨収納機構60と、筐体5内において、硬貨入金部10から投入された硬貨を1枚ずつ硬貨収納機構60まで入金経路に沿って搬送する入金硬貨搬送部20と、入金経路に沿って設けられ、入金硬貨搬送部20で搬送される硬貨を識別して計数する硬貨識別部50とを備えている。また、
図1に示すように、筐体5の上面には、操作者が指令を入力したり操作者に所定の情報を表示したりするための操作表示部52が設けられている。本実施の形態の操作表示部52はタッチパネルとなっており、操作表示部52に直接触れることで、操作者が指令を入力することができる。
【0022】
図2に示すように、硬貨入金部10は、硬貨を投入するための硬貨入金口11と、硬貨入金口11から投入された硬貨を入金経路に繰り出す繰出ベルト12と、硬貨入金口11を開閉するためのシャッター15とを有している。なお、
図2において、繰出ベルト12は硬貨を左方向に向かって繰り出すようになっている。
【0023】
入金硬貨搬送部20は、硬貨をピンで支持し、
図2において反時計回りに硬貨を搬送する無端状のピン付きベルト21と、当該ピン付きベルト21を駆動する駆動ローラ22a、22b、22c、22d、22eと有している。駆動ローラ22a、22b、22c、22d、22eの少なくとも一つには、この駆動ローラを駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。入金経路には、入金経路に沿って硬貨が通過したことを検知するための複数の検知センサ(図示せず)が設けられている。
【0024】
入金硬貨搬送部20のピン付きベルト21は、第1駆動ローラ22aから
図2の上方向に延びる第1入金搬送領域21aと、第2駆動ローラ22bに巻き掛けられて第1入金搬送領域21aから
図2の右方向に延びる第2入金搬送領域21bと、第2入金搬送領域21bから第3駆動ローラ22cに巻き掛けられた箇所を介して
図2の左方向に延びる第3入金搬送領域21cと、第4駆動ローラ22dに巻き掛けられて第3入金搬送領域21cから
図2の上方向に延びる第4入金搬送領域21dと、この第4入金搬送領域21dから第5駆動ローラ22eに巻き掛けられた箇所を介して
図2の下方向に延びる第5入金搬送領域21eとを有している。なお、繰出ベルト12で繰り出された硬貨は、第1入金搬送領域21a、第2入金搬送領域21b、第3入金搬送領域21cおよび第4入金搬送領域21dを経て、硬貨収納機構60に収納されることとなる。本実施の形態では、第2入金搬送領域21bに上述した硬貨識別部50が設けられている。この硬貨識別部50は、硬貨の金種、真偽、正損、新旧等の識別を行うようになっている。
【0025】
図2に示すように、第4入金搬送領域21dには、後述する硬貨収納機構60の各収納部60a~60fの各々に対応する検知センサ25a~25fと、当該検知センサ25a~25fからの情報を受けて各収納部60a~60fに対応する金種の硬貨を振り分ける複数(本実施の形態では6つ)の入金振分部27a~27fが設けられている。各検知センサ25a~25fは、対応する各収納部60a~60fの上流位置に対応して設けられている。
【0026】
また、各入金振分部27a~27fの上流位置の検知センサ25a~25fにより硬貨の通過が確認されたが当該入金振分部27a~27fの下流位置の25a~25fで硬貨の通過が確認されなかった場合には、当該入金振分部27a~27fで硬貨が取り込まれて、当該入金振分部27a~27fに対応する収納部60a~60fに硬貨が収納されたと判断される。
【0027】
各収納部60a~60fは、
図2の下から順番に、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨を収納するようになっている。各収納部60a~60fは、対応する硬貨を例えば150枚~200枚程度収納することができるようになっている。各収納部60a~60fの構成の詳細については後述する。
【0028】
また、
図3に示すように、本実施の形態の硬貨処理機1は、各収納部60a~60fから繰り出された硬貨を出金経路に沿って搬送する出金硬貨搬送部80と、出金経路に繰り出されて出金硬貨搬送部80で搬送された硬貨を出金する硬貨出金部90を備えている。出金硬貨搬送部80は、硬貨を搬送する無端状の出金搬送ベルト81と、この出金搬送ベルト81を駆動する複数の駆動ローラ82とを有している。複数の駆動ローラ82のうち少なくとも1つの駆動ローラ82には、駆動ローラ82を駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されている。また、出金硬貨搬送部80は、出金搬送ベルト81の下流側端部の上方に設けられた逆転ローラ87と、出金搬送ベルト81の下流側に設けられ、略水平方向で延在するガイド板88aと、ガイド板88aの上方に設けられ、ガイド板88aとの間で硬貨を挟持して搬送する出金搬送ベルト88bとを有している。なお、出金搬送ベルト88bは横断面が円形状からなる丸ベルトとなっており、通路幅の中央で略水平方向で延在している。
【0029】
硬貨出金部90は、出金硬貨搬送部80の下流側端部に設けられており、出金硬貨搬送部80の出金搬送ベルト81で搬送されて筐体5内から硬貨を繰り出すための出金口91と、出金口91から繰り出された硬貨を受ける出金受け部92とを有している。
【0030】
また、硬貨出金部90には出金振分部86が設けられている。出金振分部86により出金経路から振り分けられた硬貨は図示しない補助収納部に収納されるようになっている。また、補助収納部内に収納された硬貨は、図示しない繰出搬送部によって入金経路の上流位置に繰り出されるようになっている。また、出金経路において、出金振分部86の直前の上流位置と出金振分部86の下流位置の各々には検知センサ85a、85bが設けられており、硬貨の通過を検知することができるようになっている。
【0031】
次に、硬貨収納機構60の構成の詳細について
図4乃至
図9を用いて説明する。
【0032】
図4等に示すように、硬貨収納機構60の各収納部60a~60fは、それぞれ、収納されている硬貨を繰り出す繰出部610を有している。繰出部610は、
図4において時計回りの方向(
図4における矢印方向)に循環移動する無端状の繰出ベルト612と、繰出ベルト612を張架する複数のローラ613と、
図4において時計回りの方向(
図4における矢印方向)に回転する逆転ローラ614とを有している。複数のローラ613のうち一つのローラ613には駆動モータ(図示せず)が接続されており、この駆動モータによりローラ613が回転させられることにより繰出ベルト612が循環移動するようになっている。各収納部60a~60fに収納される硬貨は繰出ベルト612上に集積されるようになっている。繰出ベルト612が循環移動を行うことにより、この繰出ベルト612上に集積されている硬貨が
図4における右方向に繰り出されるようになっている。
【0033】
また、繰出ベルト612の内側には略三角形形状の撹拌ローラ611が設けられており、この撹拌ローラ611はその中心から偏位した位置にある軸611aを中心として回転するようになっている。撹拌ローラ611は、その上部および下部でそれぞれ繰出ベルト612の内面に接触するようになっている。繰出ベルト612が循環移動を行うと、撹拌ローラ611が連れ回って軸611aを中心として回転することにより、繰出ベルト612と撹拌ローラ611との接触箇所が
図4等において上下するため、撹拌ローラ611の近くの位置において繰出ベルト612も上下する。このことにより、繰出ベルト612上に集積されている硬貨を撹拌することができるようになっている。
【0034】
逆転ローラ614は、繰出ベルト612の上方においてこの繰出ベルト612から離間した位置に配置されている。逆転ローラ614と繰出ベルト612との間の距離は、各収納部60a~60fにより処理される硬貨の厚さ1枚分よりも大きく、2枚の硬貨の厚さよりも小さい大きさとなっている。このことにより、繰出ベルト612により2枚以上の硬貨が重なった状態で一度に繰り出されることを防止することができる。また、逆転ローラ614の上方には固定ガイド616が設置されている。
【0035】
また、
図4等に示すように、各収納部60a~60fには、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を撹拌するための撹拌手段620が設けられている。撹拌手段620は、軸624を中心として揺動する扇形状のカム622と、カム622を移動させるためのレバー626とを有している。カム622は軸624を中心として
図4等における時計回りの方向(
図5における矢印方向)に揺動することにより、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を、繰出部610が硬貨を繰り出す方向(すなわち、
図4等における右方向)とは異なる掻上方向に掻き上げるようになっている。
図4および
図5に示す例では、掻上方向は左上方向である。このように、カム622が各収納部60a~60fに収納されている硬貨を掻上方向に掻き上げることによって、各収納部60a~60fに収納されている硬貨が撹拌されるようになる。
【0036】
レバー626は軸628を中心として
図4等における反時計回りの方向(
図5における矢印方向)に回転するようになっている。このことにより、レバー626の先端部627がカム622を押すことによって、当該カム622は軸624を中心として
図4等における時計回りの方向に揺動する。また、
図9に示すようにカム622にはバネ630の一端が取り付けられており、このバネ630の他端は各収納部60a~60fに固定されている。このことにより、カム622がレバー626の先端部627により押されなくなると、バネ630が収縮することによりカム622は
図4に示す初期位置に戻されるようになっている。
【0037】
なお、カム622にバネ630の一端を取り付け、このバネ630の他端を各収納部60a~60fに固定する代わりに、軸624にねじりバネ(図示せず)を設け、このねじりバネによりカム622を
図4に示す初期位置に戻すような構成となっていてもよい。
【0038】
図6は、
図4に示す硬貨収納機構60の各収納部60a~60fにおける逆転ローラ614や固定ガイド616、撹拌手段620を左側から右向きに見たときの構成を示す構成図である。
図6に示すように、固定ガイド616には下方に延びる左右一対の突出部617が形成されており、逆転ローラ614の外周面には各突出部617が入り込む左右一対の溝615が形成されている。このように、固定ガイド616の各突出部617が逆転ローラ614の各溝615に入り込むことにより、各収納部60a~60fに収納されている硬貨が逆転ローラ614と固定ガイド616との間の隙間に噛み込んでしまうことを防止することができる。また、カム622の外周面には左右一対の突出部623が形成されており、固定ガイド616の上部には各突出部623が入り込む左右一対の溝618が形成されている。このように、カム622の各突出部623が固定ガイド616の各溝618に入り込むことにより、各収納部60a~60fに収納されている硬貨がカム622と固定ガイド616との間の隙間に噛み込んでしまうことを防止することができる。
【0039】
図7に示すように、レバー626の軸628は6つの収納部60a~60fで共通の1本のものが用いられるようになっており、この1本の軸628に複数のレバー626(レバー626a~626f)が各収納部60a~60fに対応するよう取り付けられている。ここで、軸628に対する各レバー626a~626fの先端部627a~627fの位置は、レバー626a~626fによって異なるようになっている。
図8は、
図7に示す各レバー626a~626fの回転方向の位相を示す説明図である。
図8に示すように、軸628の長手方向に沿って各レバー626a~626fを見たときに、軸628の中心から各先端部627a~627fに向かって延びる線が各レバー626a~626fで60°ずつ異なるようになっている。このことにより、軸628に対する各レバー626a~626fの回転方向の位置は、各収納部60a~60f毎に位相が異なるようになる。このため、各収納部60a~60fにおいて各レバー626a~626fがカム622を押すタイミングも異なるようになるため、各収納部60a~60fに収納されている硬貨がカム622により掻上方向に掻き上げられるタイミングも各収納部60a~60f毎に異なるようになる。
【0040】
図9に示すように、レバー626の軸628は第1ギヤ640に取り付けられており、第1ギヤ640が回転すると軸628も回転するようになっている。また、第1ギヤ640には第2ギヤ642が噛み合っており、この第2ギヤ642は駆動モータ650により回転させられるようになっている。また、駆動モータ650と第2ギヤ642との間にはトルクリミッタ644およびカップリング646が設けられており、駆動モータ650が第2ギヤ642を回転させる際に過度のトルクがかかるとトルクリミッタ644により駆動モータ650と第2ギヤ642とが切り離されるようになっている。このことにより、各収納部60a~60fに収納されている硬貨をカム622により掻き上げる際に、カム622に硬貨が噛み込むことにより硬貨を掻き上げることができずレバー626の軸628に過度のトルクがかかった場合でも、トルクリミッタ644により駆動モータ650と第2ギヤ642とが切り離されることにより第1ギヤ640も回転しなくなる。よってカム622やレバー626等が破損してしまうことを防止することができる。
【0041】
また、別の態様として、カム622に硬貨が噛み込むことにより硬貨を掻き上げることができずレバー626の軸628に過度のトルクがかかった場合に、駆動モータ650が第2ギヤ642を逆方向に回転させることによりレバー626が逆方向に回転するようになっていてもよい。
【0042】
次に、このような硬貨処理機1における硬貨収納機構60の動作について説明する。
【0043】
硬貨処理機1において硬貨の入金処理が行われる際に、入金硬貨搬送部20により搬送される硬貨が各入金振分部27a~27fにより振り分けられると、振り分けられた硬貨は硬貨収納機構60の各収納部60a~60fに金種毎に送られ、各収納部60a~60fにおいて繰出部610の繰出ベルト612上に集積される。
【0044】
また、硬貨処理機1において硬貨の出金処理が行われる際に、各収納部60a~60fに収納されている硬貨のうち出金されるべき金種毎の枚数分の硬貨が繰出部610により各収納部60a~60fから繰り出され、出金硬貨搬送部80に送られる。より詳細には、各収納部60a~60fのうち出金硬貨の金種に対応する収納部60a~60fの繰出ベルト612が
図4等における時計回りの方向に循環移動し、繰出ベルト612上に集積されている硬貨は繰出ベルト612と逆転ローラ614との間に形成される隙間を通って1枚ずつ各収納部60a~60fから
図4等における右方向に繰り出される。
【0045】
また、硬貨処理機1において硬貨の出金処理が行われる際に、駆動モータ650が第2ギヤ642を回転させることにより第1ギヤ640も第2ギヤ642に連れ回って回転し、軸628が第1ギヤ640と一体的に回転する。このことにより、レバー626が軸628を中心として
図4等における反時計回りの方向(
図5における矢印方向)に回転し、レバー626の先端部627がカム622を押すことによって、当該カム622は軸624を中心として
図4等における時計回りの方向に揺動する。このようにして、カム622が各収納部60a~60fに収納されている硬貨を掻上方向に掻き上げることによって、各収納部60a~60fに収納されている硬貨が撹拌されるようになる。また、カム622がレバー626の先端部627により押されなくなると、バネ630が収縮することによりカム622は
図4に示す初期位置に戻される。また、上述したように、各収納部60a~60fにおいて各レバー626a~626fがカム622を押すタイミングが異なるため、各収納部60a~60fに収納されている硬貨がカム622により掻上方向に掻き上げられるタイミングも各収納部60a~60f毎に異なるようになる。
【0046】
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨収納機構60および硬貨処理方法によれば、撹拌手段620は、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を撹拌させるタイミング調整手段(具体的には、各レバー626a~626f)を有し、タイミング調整手段は、少なくとも撹拌手段620の内の一つを他の撹拌手段620とは異なるタイミングで撹拌させる様に調整する。このことにより、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を撹拌するのに必要な力を低減することができる。より詳細には、従来技術の硬貨収納機構では、各収納部から硬貨を一度に繰り出そうとした場合に、各収納部に設けられている搬送ベルトの駆動に合わせて各撹拌ローラが同時に回転するため、各収納部に収納されている硬貨を各撹拌ローラが撹拌するために大きな力が必要になるという問題があった。これに対し、本実施の形態では、各収納部60a~60fに収納されている硬貨が、各収納部60a~60f毎に異なるタイミングで撹拌されるため、このような問題が発生することを抑制することができる。このことにより、各収納部60a~60fの深さを大きくして硬貨の収納量を増やした場合でも各収納部60a~60fに収納されている硬貨を十分に撹拌することができるため硬貨の繰出不良等のトラブルが発生することを抑制することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、上述したように、各収納部60a~60fには、収納部60a~60fに収納されている硬貨を1枚ずつ収納部60a~60fの外部に繰り出す繰出部610が設けられており、撹拌手段620は各繰出部610の上方に配置されている。このことにより、各収納部60a~60fの内部において各繰出部610の上方で硬貨が詰まった場合でも、この詰まった硬貨を撹拌手段620により撹拌することができる。また、上述したように、各繰出部610は、収納部60a~60fの底部分を構成しており硬貨が集積される繰出ベルト612と、繰出ベルト612による硬貨の搬送方向と逆方向に回転することにより繰出ベルト612により2枚以上の硬貨が繰り出されることを規制する逆転ローラ614とを有しており、撹拌手段620は各逆転ローラ614の上方に配置されている。各逆転ローラ614の上には硬貨が集積されやすいが、撹拌手段620を各逆転ローラ614の上方に配置することにより、各逆転ローラ614の上に集積された硬貨を撹拌手段620により十分に撹拌することができるようになる。
【0048】
また、上述したように、撹拌手段620はカム622(掻上部)を有しており、カム622は、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を、繰出部610が硬貨を繰り出す方向とは異なる掻上方向に掻き上げるようになっている。
【0049】
また、上述したように、タイミング調整手段は、カム622(掻上部)を掻上方向に移動させるための掻上補助部として各レバー626a~626fを有している。そして、各レバー626a~626fがカム622を移動させることにより当該カム622が硬貨を掻き上げるタイミングが各収納部60a~60f毎に異なるよう、各収納部60a~60f毎に各レバー626a~626fの構成が異なるようになっている。
【0050】
また、上述したように、各レバー626a~626f(掻上補助部)は軸628を中心として回転するようになっており、軸628に対する各レバー626a~626fの回転方向の位置は、各収納部60a~60f毎に位相が異なっている。このことにより、各レバー626a~626fがカム622を押すタイミングも各収納部60a~60f毎に異なるようになるため、各収納部60a~60fに収納されている硬貨がカム622により掻き上げられるタイミングも各収納部60a~60f毎に異なるようになる。
【0051】
また、上述したように、軸628を回転させる駆動部(具体的には、駆動モータ650)と軸628との間にはトルクリミッタ644が設けられている。この場合には、各収納部60a~60fに収納されている硬貨をカム622により掻き上げる際に、カム622に硬貨が噛み込むことにより硬貨を掻き上げることができずレバー626の軸628に過度のトルクがかかった場合でも、トルクリミッタ644により駆動モータ650と軸628とが切り離されることにより軸628や各レバー626a~626fが回転しなくなる。よってカム622やレバー626等が破損してしまうことを防止することができる。
【0052】
なお、本実施の形態による硬貨収納機構は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0053】
例えば、
図4乃至
図9に示す撹拌手段620では、6つのレバー626a~626fの全てにおいて、軸628に対する回転方向の位置が異なっているが、このような例に限定されることはない。6つの626a~626fのうち一部のレバー(例えば、2つまたは3つのレバー)において軸628に対する回転方向の位置が同じであってもよい。この場合でも、6つの626a~626fの全てにおいて軸628に対する回転方向の位置が同じである場合と比較して、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を各カム622が撹拌するのに必要な力を小さくすることができ、よって各カム622を駆動するために必要な力を小さくすることができる。
【0054】
また、撹拌手段は
図4乃至
図9に示す構成のものに限定されることはない。
図4乃至
図9に示す撹拌手段620では各カム622は同一の大きさのものが用いられていたが、各収納部60a~60fに割り当てられている硬貨の金種によってカムの大きさが異なるようになっていてもよい。このような変形例に係る硬貨収納機構について
図10および
図11を用いて説明する。
【0055】
図10および
図11に示すような変形例に係る硬貨収納機構では、サイズが小さい1円硬貨、5円硬貨、50円硬貨に対応する収納部60c、60e、60fには、
図10に示すようなサイズが大きい扇形状のカム622aを有する第1の撹拌手段620aが設けられている。カム622aは軸624aを中心として回転可能となっている。また、逆転ローラ614とカム622aとの間には固定ガイド616aが設けられているが、カム622aのサイズが大きいことにより固定ガイド616aの高さは小さくなっている。このようなカム622aは図示しないレバーによって押されることにより軸624aを中心として揺動するようになっている。一方、サイズが大きい10円硬貨、100円硬貨、500円硬貨に対応する収納部60a、60b、60dには
図11に示すようなサイズが小さい扇形状のカム622bを有する第2の撹拌手段620bが設けられている。カム622bは軸624bを中心として回転可能となっている。また、逆転ローラ614とカム622bとの間には固定ガイド616bが設けられているが、カム622bのサイズが大きいことにより固定ガイド616bの高さは大きくなっている。このようなカム622bは図示しないレバーによって押されることにより軸624bを中心として揺動するようになっている。
【0056】
10円硬貨、100円硬貨、500円硬貨のようなサイズが大きい硬貨が収納部60a、60b、60dに収納されている場合には、カム622bによって硬貨が掻き上げられる際に硬貨の突き上げ力が大きくなり、逆転ローラ614とカム622bとの間で硬貨の噛み込みが発生するおそれがある。このような硬貨の噛み込みが逆転ローラ614とカム622bとの間で発生すると、収納部60a、60b、60dの内部で硬貨を十分に撹拌することができない。これに対し、
図11に示す第2の撹拌手段620bでは、カム622bのサイズを小さくして当該カム622bが硬貨を掻き上げる位置を高くすることにより、逆転ローラ614とカム622bとの間で硬貨の噛み込みが発生することを抑制することができる。
【0057】
また、1円硬貨、10円硬貨、50円硬貨のようなサイズが小さい硬貨が収納部60c、60e、60fに収納されている場合には、カム622aによって硬貨が掻き上げられる際に硬貨の突き上げ力が小さくなり、逆転ローラ614とカム622bとの間で硬貨の噛み込みが発生する可能性は比較的小さくなる。このため、
図10に示す第1の撹拌手段620aでは、カム622aのサイズを大きくすることにより収納部60c、60e、60fの内部で硬貨をより十分に撹拌することができるようになる。
【0058】
このように、
図10および
図11に示す撹拌手段620a、620bを有する硬貨収納機構では、カム622a、622b(掻上部)の大きさは各収納部60a~60fに割り当てられている硬貨の金種によって異なるようになっている。このことにより、サイズが大きい硬貨が収納部60a、60b、60dに収納される場合でも、カム622bのサイズを小さくして当該カム622bが硬貨を掻き上げる位置を高くすることにより、逆転ローラ614とカム622bとの間で硬貨の噛み込みが発生することを抑制することができる。なお、
図10および
図11において、カム622a、622b(掻上部)の大きさは各収納部60a~60fに割り当てられている硬貨の金種によって異なるようになっているがこのような態様に限定されない。カム622の大きさを一定にし、収納部60a~60fに割り当てられている硬貨の金種によって軸624の高さを異ならせる事により、カム622が硬貨を掻き上げる位置を変えるようにしてもよい。
【0059】
別の変形例に係る硬貨収納機構において、各収納部60a~60fに設けられた撹拌手段の各々に駆動装置を設け、それぞれの駆動装置でカムを収納部60a~60f毎に異なるタイミングで駆動させることにより各収納部60a~60f毎に異なるタイミングで硬貨を撹拌させるようになっていてもよい。このような態様について
図12および
図13を用いて説明する。
【0060】
別の変形例に係る硬貨収納機構には、駆動モータ650cおよびカム622cを有する撹拌手段620cが設けられている。
図12は、別の変形例に係る硬貨収納機構における駆動モータ650cおよびカム622cの構成を概略的に示す正面図であり、
図13は、
図12に示す駆動モータ650cおよびカム622cを右側から左向きに見たときの構成を概略的に示す側面図である。
図12および
図13に示すように、カム622cは軸622dを中心として回転可能となっている。また、カム622cにはギヤ622eが取り付けられている。一方、駆動モータ650cは、ギヤ622eと噛み合っているギヤ652を回転させるようになっている。このような構成により、駆動モータ650cがギヤ652を回転させるとカム622cは軸622dを中心として回転するようになる。このような駆動モータ650cおよびカム622cを有する撹拌手段620cは、各収納部60a~60fに対応して複数(具体的には、6つ)設けられている。
【0061】
また、このような硬貨収納機構において、各駆動モータ650cは図示しない制御部による制御に基づいてカム622cを収納部60a~60f毎に異なるタイミングで駆動させるようになっている。このことにより、各収納部60a~60f毎に異なるタイミングでカム622cが硬貨を掻き上げるため、各収納部60a~60fに収納されている硬貨は互いに異なるタイミングで撹拌されるようになる。
【0062】
また、更に別の変形例に係る硬貨収納機構では、各収納部60a~60fに対応する各撹拌手段のレバーの軸を共通の1本のものとしないで各レバーの軸を互いに異ならせるようにしてもよい。この場合は、各軸の間にギヤ等を配置することにより、レバーの軸を回転させるための駆動モータがある軸を回転させると、各軸に取り付けられているレバーが異なる位相で回転させられるようにする。このことにより、各収納部60a~60fに対応する各撹拌手段のレバーがカムを異なるタイミングで押すようになるため、各収納部60a~60fに収納されている硬貨は互いに異なるタイミングで撹拌されるようになる。
【0063】
また、更に別の変形例に係る硬貨収納機構では、各収納部60a~60fに対応する各撹拌手段はレバーを有しておらず、各収納部60a~60fに対応する複数のカムが1つの軸により一体的に回転させられるようになっていてもよい。このような硬貨収納機構では、共通の軸に対するカムの回転方向の位置は、各収納部60a~60f毎に位相が異なるようになっている。このような硬貨収納機構でも、軸が回転すると各収納部60a~60f毎に異なるタイミングでカムが硬貨を掻き上げるため、各収納部60a~60fに収納されている硬貨は互いに異なるタイミングで撹拌されるようになる。
【0064】
また、更に別の変形例に係る硬貨収納機構において、撹拌手段として
図14に示すものが用いられてもよい。
図14に示す硬貨収納機構では、逆転ローラ672、下部ガイド674および上部ガイド676を有する撹拌手段670が設けられている。逆転ローラ672は、繰出部610の繰出ベルト612の近傍に設けられる逆転ローラ614と同方向(すなわち、
図14における反時計回りの方向)に回転するようになっている。このような逆転ローラ672および逆転ローラ614により、収納部60a~60fに収納されている硬貨が掻き上げることにより撹拌される。ここで、逆転ローラ672には左右一対の溝673が形成されており、下部ガイド674および上部ガイド676にはそれぞれ各溝673に入り込む左右一対の突出部が形成されている。このように、下部ガイド674および上部ガイド676の各突出部が逆転ローラ672の各溝673に入り込むことにより、各収納部60a~60fに収納されている硬貨が逆転ローラ672と下部ガイド674や上部ガイド676との間の隙間に噛み込んでしまうことを防止することができる
【0065】
また、
図14に示す硬貨収納機構では、撹拌手段670の逆転ローラ672、下部ガイド674および上部ガイド676が一体的に硬貨の繰出方向および繰出方向とは逆の方向の両方向(すなわち、
図14において矢印で示す方向)に移動可能となっている。例えば、各収納部60a~60fに収納されている硬貨の量が少ない場合には逆転ローラ672、下部ガイド674および上部ガイド676が一体的に
図14における左方向に移動し、また、各収納部60a~60fに収納されている硬貨の量が多い場合には逆転ローラ672、下部ガイド674および上部ガイド676が一体的に
図14における右方向に移動する。このような硬貨収納機構では、各収納部60a~60fに深さがあり大容量の硬貨を収納するようになっている場合でも、逆転ローラ672および逆転ローラ614により硬貨を十分に撹拌することができるようになり、よって繰出部610による硬貨の繰出し不良を抑制することができるようになる。また、硬貨の収納量に応じて逆転ローラ672、下部ガイド674および上部ガイド676を
図14における左右方向に一体的に移動させることにより、硬貨の収納量に影響されることなく硬貨を十分に撹拌することができるようになる。なお、上記の説明では、逆転ローラ672、下部ガイド674および上部ガイド676は収納されている硬貨の量によって一体的に移動するとしたが、これに限らず、例えば繰出ベルト612によって各収納部60a~60fに収納されている硬貨を繰り出す際に逆転ローラ672、下部ガイド674および上部ガイド676が一体的に左右方向に揺動するようにしても良い。
【0066】
また、本実施の形態による硬貨収納機構として、上述した各構成のものとは別のものが用いられてもよい。各収納部60a~60fに収納されている硬貨を撹拌するための撹拌手段が、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を各収納部60a~60f毎に異なるタイミングで撹拌させるタイミング調整手段を有するものであれば、上述した各構成とは別の構成のものを用いても、各収納部60a~60fに収納されている硬貨を撹拌するのに必要な力を低減することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 硬貨処理機
5 筐体
10 硬貨入金部
11 硬貨入金口
12 繰出ベルト
15 シャッター
20 入金硬貨搬送部
21 ピン付きベルト
21a~21e 第1~第5入金搬送領域
22a~22e 第1~第5駆動ローラ
25a~25f 検知センサ
27a~27f 入金振分部
50 硬貨識別部
52 操作表示部
60 硬貨収納機構
60a~60f 収納部
80 出金硬貨搬送部
81 出金搬送ベルト
82 駆動ローラ
85a、85b 検知センサ
86 出金振分部
87 逆転ローラ
88a ガイド板
88b 出金搬送ベルト
90 硬貨出金部
91 出金口
92 出金受け部
610 繰出部
611 撹拌ローラ
611a 軸
612 繰出ベルト
613 ローラ
614 逆転ローラ
615 溝
616、616a、616b 固定ガイド
617 突出部
618 溝
620、620a~620c 撹拌手段
622、622a~622c カム
622d 軸
622e ギヤ
623 突出部
624、624a、624b 軸
626、626a~626f レバー
627、627a~627f 先端部
628 軸
630 バネ
640 第1ギヤ
642 第2ギヤ
644 トルクリミッタ
646 カップリング
650、650c 駆動モータ
652 ギヤ
670 撹拌手段
672 逆転ローラ
673 溝
674 下部ガイド
676 上部ガイド