(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175310
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】連結組子部品
(51)【国際特許分類】
A61M 25/08 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A61M25/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081610
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】596035765
【氏名又は名称】二九精密機械工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴博
(72)【発明者】
【氏名】江原 快
(72)【発明者】
【氏名】前田 行弘
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA32
4C267BB06
4C267HH02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】操作時に押し引きや回転などの力を受けた際に、部分的に過大な力が集中して大きく変形したり破損したりするリスクを低減することができる連結組子部品を提供する。
【解決手段】以下の構成を有する連結組子部品を提供する。
[1]複数の子部品が連結されてなる組子部品であり、少なくとも一対の子部品101、102同士の連結が、対となる子部品同士が1つ以上の歯止め形状100を有する螺旋状の噛み合わせ構造によって連結されてなる連結組子構造をもつことを特徴とする連結組子部品。
[2]1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造によって連結される対になる子部品が、それぞれ組成の異なる金属材料からなることを特徴とする[1]に記載の連結組子部品。
[3]螺旋状の噛み合わせ構造が樹脂チューブ103によって被覆されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の連結組子部品。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の子部品が連結されてなる組子部品であり、少なくとも一対の子部品同士の連結が、対になる子部品同士が1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造によって連結されてなる連結組子構造をもつことを特徴とする連結組子部品。
【請求項2】
1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造によって連結される対になる子部品が、それぞれ組成の異なる金属材料からなることを特徴とする請求項1に記載の連結組子部品。
【請求項3】
螺旋状の噛み合わせ構造が樹脂によって被覆されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の連結組子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つ以上子部品を組み合わせて形成する連結組子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルなど体内に挿入して治療を施すための医療具の中には、ガイドワイヤーや様々な術具を出し入れするためなどの中空管状や操作などのためのワイヤー状を有する部品を有しているものがある。様々な種類の治療に応じて中空管やワイヤー状の部品に求められる性能も多岐にわたるため、一つの中空管やワイヤー状の部品であっても先端部、中央部、末端部等の位置によって求められる性能や機能が異なることがある。そこで従来から、異なる材料の子部品を溶接やろう付け、接着などで接合することで、連結部品を得る技術が知られている。しかしながら、医療用具に用いられる細径の部品を、複数の子部品を接合することで得ようとする場合、子部品同士の接合に用いる断面積が不足して十分な接合強度を得ることが難しい。そこで、例えば、子部品同士の接合に用いる面積を大きくとるために螺旋状の切り込みを設けた子部品を用いる技術(特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような連結部品では、医療具を操作するために押し引きしたり回転させたりすると、子部品同士の連結部分に滑ってズレが発生する方向に力が働くため、接着やろう付けによる固定がなかったり不十分であったりすると管径や長さが変化してしまうという課題や、大きく変形しようとする力に耐えられずに接着やろう付けが破損してしまうという課題がある。治療のために医療具を操作している際に連結部品が変形してしまうと、医療具の位置や姿勢が狙いから外れてしまったり、変形した連結部品によって血管や消化管が圧迫されてしまったりするなどして、治療部周辺を傷つけてしまう恐れがある。また、管状連結部品の内径が細くなると、内径を通すべき治療具や薬液が目詰まりを起こしたり、採取すべき検体を吸引できなくなったりするなどして、治療目的を果たせない恐れもある。そして、大きな変形応力を受けることで接合部が破損してしまうと、破損片が被治療者の体内に残ってしまうなどの重大な事故につながる恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、操作時に押し引きや回転などの力を受けた際に、部分的に過大な力が集中して大きく変形したり破損したりするリスクを低減することで、操作性に優れ、破損した破片による周辺環境の汚染懸念を小さくすることができる連結組子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成を有する連結組子部品を提供する。
[1]複数の子部品が連結されてなる組子部品であり、少なくとも一対の子部品同士の連結が、対となる子部品同士が1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造によって連結されてなる連結組子構造をもつことを特徴とする連結組子部品。
[2]1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造によって連結される対になる子部品が、それぞれ組成の異なる金属材料からなることを特徴とする[1]に記載の連結組子部品。
[3]螺旋状の噛み合わせ構造が樹脂によって被覆されていることを特徴とする[1]または[2]に記載の連結組子部品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作時に押し引きや回転などの力を受けた際にも、変形や部品内外の寸法変化を抑制することができるため、操作性や信頼性に優れた連結組子部品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】交互に配列された四角状の歯止め形状を有する噛み合わせ構造をもつ連結組子構造の形態例を示す模式図である。
【
図3】
図2の連結組子構造を構成する子部品Aの形態例を示す模式図である
【
図4】
図3の子部品Aと対になる子部品Bの形態例を示す模式図である
【
図7】円弧状の歯止め形状を有する子部品Aの形態例を示す展開平面模式図である
【
図8】円弧状の歯止め形状を有する子部品Bの形態例を示す展開平面模式図である
【
図9】対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図である
【
図10】対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図である
【
図11】対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図である
【
図12】漸進的に面積比が変化する対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図である
【
図13】段階的に面積比が変化する対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図である
【
図14】螺旋状の噛み合わせ構造を形成する子部品部分の形態例を示す展開図である
【
図15】螺旋状の噛み合わせ構造を形成する子部品部分の形態例を示す展開図である
【
図16】子部品の面積比が漸進的に変化する噛み合わせ構造を形成する一方の子部品の形態例を示す展開図である
【
図17】子部品の面積比が段階的に変化する噛み合わせ構造を形成する一方の子部品の形態例を示す展開図である
【
図18】連結組子部品における各寸法を示す模式図である
【
図19】連結組子部品における各寸法を示す子部品の模式図である
【
図20】連結組子部品における各寸法を示す子部品の模式図である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の連結組子部品は、複数の子部品が連結されてなる中空管やワイヤー状の部品であり、少なくとも一対の子部品同士の連結が、対となる子部品同士が1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造によって連結されてなる連結組子構造をもつ。
【0010】
本発明の連結組子部品は、1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造で対となる子部品同士が連結されていることによって、押し引きや回転などの力を受けた際に子部品同士の連結部分にズレが生じて連結組子部品内外の寸法が変化する現象や、その変形に伴う接合部の破損を抑制することができる連結組子部品を提供するものである。歯止め形状とは、お互いに対となる子部品の噛み合わせ位置がズレないように制限するために設けるものであり、連結組子部品の用途やサイズなどに合わせて歯止めの形状や大きさ、その設置頻度、およびそれらの組み合わせを適宜設定することができる。歯止めの形状やその設置頻度によって噛み合わせ構造の拘束性を調整することができることから、例えば、連結組子部品に剛性を持たせたい部分では歯止めの設置頻度を上げ、柔軟性を持たせたい部分では歯止めの設置頻度を落とすなどすることができる。連結組子部品に剛性を付与するためには、螺旋状の噛み合わせ構造によって連結されてなる連結組子構造の長さLの100mm長あたりに対して、1個以上の歯止め形状を有していることは好ましく、5個以上の歯止め形状を有していることはより好ましく、10個以上の歯止め形状を有していることはさらに好ましい態様である。
【0011】
歯止め形状としては、多角形、円弧、不定形やそれらを組み合わせて用いることができる。歯止め形状が四角形など鋭角を有する場合には、歯止め形状による噛み合わせ構造の拘束性を強めることができることから、連結組子部品に剛性をもたせる上で好ましい態様である。一方、歯止め形状が三角形であるとその頂点に応力が集中することで破断やズレを誘発しやすくなることから、多角形が四角形以上であることは好ましい態様である。また、歯止め形状が円弧や鈍角を有する多角形であると、歯止め形状による噛み合わせ構造の拘束性を緩めることができることから、連結組子部品に柔軟性をもたせる上で好ましい態様である。したがって、歯止め形状を選択することでも、一つの連結組子部品の中で剛性の高い部分と柔軟性の高い部分を設けることが可能である。歯止め構造を組み付ける際の位置合わせとその修正を容易にする上で、噛み合わせ構造の少なくとも片側の末端に、内角90°以上の鈍角からなる多角形状または円弧状である歯止め形状を設けることは好ましい態様であり、噛み合わせ構造の両末端に内角90°以上の鈍角からなる多角形状または円弧状である歯止め形状を設けることはさらに好ましい態様である。噛み合わせ構造の末端に多角形の歯止め形状を有する場合、多角形状の内角が100°以上であることはより好ましく、120°以上であることはさらに好ましい。
【0012】
本発明の連結組子部品は、位置によって求められる性能が異なる中空管やワイヤー状の部品を実現するために、1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造で対になる子部品が、それぞれ異なる材質からなることは好ましい態様である。例えば、異なる特性を得るために、異なる組成の金属からなることや、金属と樹脂からなること、異なる組成の樹脂からなることができる。金属としては、Fe-18Cr-8NiやFe-18Cr-12Ni-2.5Moなどの汎用性の高いステンレススチール、Ni-44Tiのように超弾性特性を示す形状記憶合金、Ti-6Al-4Vのようなα+βチタン合金、Ti-12Mo-Zr-2FeやTi-13Nb-13Zr、Ti-15Mo-2.5Nb-0.2Si、Ti-16Nb-9.5Hf、Ti-15Moなどのβチタン合金、Co-20Cr-15Ni-7MoやCo-20Cr-15W-10Ni、Ni-35Co-20Cr-10Moなどのコバルトやニッケルの合金を組み合わせて用いることができる。1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造で対になる子部品が、超弾性特性や形状記憶性を有するNi-44Tiと汎用性の高いFe-18Cr-8Niとの組み合わせであることは好ましい態様の一つである。また、1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造で対になる子部品が異なる組成の金属からなる場合、異種金属腐食を抑制するためには、少なくとも一方の子部品表面が酸化被膜および/または窒化被膜で覆われていることは好ましい態様である。
【0013】
本発明の連結組子部品は、1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造で対になる子部品同士が連結されているが、噛み合わせ構造を形成する対となる子部品の面積比を調整することで、操作時に押し引きや回転などの力を受けた際の変形を制御することができる。例えば、噛み合わせ構造両端部の変形を抑えるためには、対となる子部品の噛み合わせ構造を形成する部分において、先端側に比べて根本側を太くとる構造は好ましいことから、螺旋部先端の歯止め形状を除いた螺旋部の幅Wtと、螺旋部末端の歯止め形状を除いた螺旋部の幅Weが、Wt<Weであることは好ましい態様である。変形を滑らかにするためには、子部品の面積比を漸進的に変化させることは好ましい態様であり、変形を明確に制御するためには、子部品の面積比を段階的に変化させることは好ましい態様である。
【0014】
本発明の連結組子部品において、噛み合わせ構造に使用する螺旋部の幅は、連結組子部品に求められる特性に合わせて設計することができる。例えば、噛み合わせ構造に使用する螺旋部の幅が狭いと連結組子部品が破断しやすくなることから、歯止め形状を除いた螺旋部の幅Wは、連結組子部品の外径Dに対して0.1D以上であることは好ましく、0.5D以上であることはより好ましく、1D以上であることはさらに好ましい。また、同様の理由により、歯止め形状を含む最も狭い位置の幅Wnが、0.1D以上であることは好ましく、0.3D以上であることはより好ましく、0.5D以上であることはさらに好ましい。一方、噛み合わせ構造に使用する螺旋部の幅が連結組子部品の外径に対して大き過ぎると噛み合わせ構造に力が掛かった場合にゆがみ易くなり中空管やワイヤー状の構造を維持するのが難しくなることから、歯止め形状を除いた螺旋部の幅Wは、連結組子部品の外径Dに対して3D以下であることは好ましく、2D以下であることはさらに好ましい。
【0015】
本発明の連結組子部品において、連結組子部品の長さ方向に対して子部品に交互に配列されており、連結組子部品の長さ方向に対する子部品の幅は、連結組子部品に求められる特性に合わせて設計することができる。例えば、連結組子部品の変形と強度のバランスを考慮した場合、連結組子部品の長さ方向に対する子部品の幅Zは、連結組子部品の外径Dに対して0.1D以上10D以下であることは好ましく、0.5D以上5D以下であることはより好ましい。また、子部品Aと子部品Bからなる連結組子部品を考えると、連結組子部品の長さ方向に対する子部品Aの幅ZAと子部品Bの幅ZBの比率ZA/ZBを変化させることで連結組子構造の物性を調整することができる。例えば、連結組子構造の両端に応力が集中して変形や破損が起こるのを抑制するためには、子部品A側の連結組子構造がZA>ZBとなっており、連結組子構造の子部品B側がZA<ZBとすることは好ましい態様である。
【0016】
本発明の連結組子部品において、噛み合わせ構造に使用する歯止め形状の高さは、連結組子部品に求められる特性に合わせて設計することができる。例えば、歯止め形状の高さが小さすぎると連結組子部品に力が加わった際に変形しやすいことから、歯止め形状の高さHは、歯止め形状を除いた螺旋部の幅Wに対して0.1W以上であることは好ましく、0.3W以上であることはさらに好ましい。一方、歯止め形状の高さが噛み合わせ構造に使用する螺旋部の幅に対して大きすぎると連結組子部品が破断しやすくなることから、歯止め形状の高さHは、歯止め形状を除いた螺旋部の幅Wに対して1W以下であることは好ましく、0.5W以下であることはより好ましい。
【0017】
本発明の連結組子部品は、1つ以上の歯止め形状を有する螺旋状の噛み合わせ構造で対になる子部品同士が連結されていることにより、押し引きや回転などの力を受けた際に子部品同士の連結部分にズレが生じて連結組子部品の管径や長さが変化する現象を抑制することが可能であり、ろう付けや溶接、接着を施すことなく使用することができる。そのような使用方法においては、連結組子部品を使用する際に、接合部分のろうや接着剤などが破損によって脱落することがないことから好ましい態様の一つである。一方、連結組子部品をより強固にするためには、噛み合わせ構造の一部もしくは全部にろう付けや溶接、接着を施すことができる。本発明の連結組子部品は、噛み合わせ構造に1つ以上の歯止め形状を有することから、噛み合わせ構造のズレや変形が抑制されるため、ろう付けや溶接、接着をほどこしても接合部分に破損が生じにくい。
【0018】
本発明の連結組子部品が中空の管状部品であることは、管状構造が変形や破断による機能不全になることを抑制できることから好ましい態様である。また、本発明の連結組子部品は、子部品同士が形成する中空の噛み合わせ構造に芯材を組み合わせることや、子部品の一方が芯材と一体化した噛み合わせ構造を有することで、ワイヤー状の部品を形成することができる。
【0019】
本発明の連結組子部品において、押し引きや回転などの力が加わった際に螺旋状の噛み合わせ構造の一部に応力が集中して変形/破損するのを抑制するためには、螺旋状の噛み合わせ構造が樹脂によって被覆されていることは好ましい態様である。また、中空の連結組子部品を用いて治療を行う際、体液が連結組子部品内部に侵入するのを防いだり、連結組子部品内部で運搬される薬液や検体液が漏れるのを防いだりするために、対になる子部品同士の少なくとも連結部分がPVDFやFEP、PE、PEBA、PTFEなどを含む樹脂チューブで被覆されていることは好ましい態様である。
【0020】
本発明の連結組子部品は、例えば、検体採取や薬液注入、針先検知のために先端部に精緻な針先加工を施すなどした短尺のNi-44Ti製子部品Aと、適度な柔軟性を持たせるために複雑なスリットパターン加工を施すなどした長尺のFe-18Cr-8Ni製子部品Bを、螺旋状の噛み合わせ構造で連結して得られる連結部品のような形や組み合わせとすることなどで、血管や消化管などの中を通して体内疾患の治療を行うカテーテルや内視鏡に好適に用いることができる。連結組子部品の構成や構造、各子部品の材質や構造は用途に合わせて適宜設計することができる。上記用途に用いられる際に想定される連結組子部品の外径Dは0.01mm~30mmであり、0.1mm~5mmの範囲で用いられることが多い。また、当該用途における螺旋状の噛み合わせ構造を被覆する樹脂被膜の厚みTは0.001mm~3mmの範囲で用いられることが多い。
【実施例0021】
以下に、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の連結組子部品の形態例を説明する模式図である。子部品Aと子部品Bが噛み合わせ構造によって連結されており、樹脂チューブによって被覆されている。
【0022】
図2は、
図3に示す噛み合わせ構造に使用する歯止め形状を除いた幅が0.77mmの螺旋部を有する外径φ0.5mm内径φ0.4mmのNi-44Ti製子部品Aと
図4に示す噛み合わせ構造に使用する歯止め形状を除いた幅が0.77mmの螺旋部を有する外径φ0.5mm内径φ0.4mmのFe-18Cr-8Ni製子部品Bを連結させて得られる、幅0.61mm高さ0.24mmの四角状の歯止め形状を11個有する長さ30mmの噛み合わせ構造をもつ連結組子構造10を示す模式図である。連結組子部品の長さ方向に対して、子部品Aと子部品Bが歯止め形状を除いて1mm幅ごとに交互に配列されている。
図5は
図3の子部品Aの展開平面模式図、
図6は
図4の子部品Bの展開平面模式図である。
図7、
図8は、円弧状の歯止め形状を有する子部品Aと子部品Bの形態例を示す展開平面模式図である。本発明の連結組子部品は、子部品の形状、材質に合わせた工程を踏むことで得ることができる。例えば、上記子部品Aと子部品Bを使用した工程例を以下に説明する。まず、子部品Bの内径にNi-44Ti製の芯金を通したのち、子部品Aの螺旋部先端を子部品Bの螺旋部末端に位置合わせし、子部品Aを子部品Bに巻きつけて螺旋部同士を組み付けて噛み合わせ構造を有する連結組子構造を形成し、芯金を抜き取ることで中空の連結組子部品を得ることができた。また、洗浄した連結組子部品の内径に芯金を通し、最小内径0.9mmの極薄PTFE熱収縮チューブを被せて加熱収縮させた後、芯金を抜き取ることによって、樹脂被膜の厚みTが0.03mmである樹脂チューブで被覆した連結組子部品を得ることができた。
【0023】
図9~
図11は、対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図である。子部品Aと子部品Bが歯止め形状によって噛み合わされることで、様々な方向から力を受けた際にも大きく変形するのを防ぐことができる。
図12は、漸進的に面積比が変化する対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図であり、
図13は、段階的に面積比が変化する対となる子部品の噛み合わせ構造の形態例を示す展開図である。
図14~
図15は、螺旋状の噛み合わせ構造を形成する子部品部分の形態例を示す展開図であり、
図16は子部品の面積比が漸進的に変化する噛み合わせ構造を形成する一方の子部品の形態例を示す展開図、
図17は子部品の面積比が段階的に変化する噛み合わせ構造を形成する一方の子部品の形態例を示す展開図である。
本発明の連結組子部品は、押し引き回転などの力を受けた際にも、部品内外の寸法変化を抑制することができることから操作性にも優れ、血管や消化管などの中を通して体内疾患の治療を行う、カテーテルや内視鏡などに好適に用いることができる。