(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175313
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】位置決め用キーブロック
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/18 20060101AFI20221117BHJP
B21D 37/14 20060101ALI20221117BHJP
B30B 15/02 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
B23Q3/18 Z
B21D37/14 J
B30B15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081616
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】520200584
【氏名又は名称】株式会社キーレックス・ワイテック・インターナショナル
(71)【出願人】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(71)【出願人】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】和田 智生
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016HA01
3C016HB01
(57)【要約】
【課題】繰り返し使用しても使用感の良い低コストな位置決め用キーブロックを提供する。
【解決手段】位置決め用キーブロック1は、ベッド11のベッド側キー溝11bに嵌合させるとともに、ワーク10の下面に形成されたワーク側キー溝10aを外嵌合させた状態でワーク10をベッド11に載置することにより、ベッド11に対するワーク10の位置決めを行う。位置決め用キーブロック1のブロック本体2には、ベッド側キー溝11bに上方から嵌合可能な第1嵌合部2aが下側領域に設けられる一方、ワーク側キー溝10aに下方から嵌合可能な第2嵌合部2bが上側領域の一端側に設けられる。ブロック本体2の他端側下面には、他端に行くにつれて次第に上方に位置する傾斜面部2cが形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置体を載置するベッドの載置面に形成されたベッド側キー溝に嵌合させるとともに、前記載置体の下面に形成された載置体側キー溝を外嵌合させた状態で前記載置体を前記ベッドに載置することにより、当該ベッドに対する前記載置体の位置決めを行うよう構成された位置決め用キーブロックであって、
前記ベッド側キー溝に上方から嵌合可能な第1嵌合部が下側領域に設けられる一方、前記載置体側キー溝に下方から嵌合可能な第2嵌合部が上側領域の一端側に設けられたブロック本体を備え、
該ブロック本体の他端側下面には、他端に行くにつれて次第に上方に位置する傾斜面部が形成されていることを特徴とする位置決め用キーブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決め用キーブロックにおいて、
前記ブロック本体の他端側における前記傾斜面部の上方には、作業者が把持可能な棒形状をなす操作ハンドルが取り付けられていることを特徴とする位置決め用キーブロック。
【請求項3】
請求項2に記載の位置決め用キーブロックにおいて、
前記操作ハンドルは、前記ブロック本体に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする位置決め用キーブロック。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の位置決め用キーブロックにおいて、
前記操作ハンドルは、前記ブロック本体の他端から前記傾斜面部の傾斜方向と平行に、且つ、前記ブロック本体とは反対側に延びていることを特徴とする位置決め用キーブロック。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の位置決め用キーブロックにおいて、
前記ブロック本体の他端側には、上方に突出する突出部が設けられていることを特徴とする位置決め用キーブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置体を載置するベッドに対して当該ベッドに形成されたベッド側キー溝と載置体下面に設けられた載置体側キー溝との両方に嵌め込んでベッドに対する載置体の位置決めを行う位置決め用キーブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されている位置決め用キーブロックは、加工機により加工する被加工物やプレス金型等の載置体をベッドに載置する際にベッドに対して位置決めを行うものであり、側面視で略L字状をなすブロック本体を備えている。該ブロック本体の長手方向一端には、作業者が把持可能な把持部が上方に向かって突設される一方、その下方には、ブロック本体の長手方向一側を上方に付勢してブロック本体を傾斜させる付勢部材が設けられている。そして、載置体をベッドに載置する際、ベッドの載置面に形成されたベッド側キー溝に位置決め用キーブロックの長手方向他側を嵌合させるとともに、載置体の下面に形成された載置体側キー溝を位置決め用キーブロックに上方から外嵌合させた状態で付勢部材の付勢力に抗して載置体を下降させてベッドに載置することにより、ベッドに対する載置体の位置決めが行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願昭63-140988号(実開平02-65428号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の如き位置決め用キーブロックの場合、載置体の位置決め作業を繰り返し行うと、付勢部材の付勢力が次第に低下してしまい、位置決め用キーブロックの位置決め作業前における姿勢が位置決め作業を行う上で必要十分に傾いた状態にならずに使用感が悪くなってしまうおそれがある。また、特許文献1の位置決め用キーブロックは、当該位置決め用キーブロックを傾けるために付勢部材が必要であるので、部品点数が増えて部品コスト並びに組立コストが嵩むという問題もある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、繰り返し使用しても使用感の良い低コストな位置決め用キーブロックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、位置決め用キーブロックにおけるブロック本体の下面に傾斜面部を設けたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、載置体を載置するベッドの載置面に形成されたベッド側キー溝に嵌合させるとともに、前記載置体の下面に形成された載置体側キー溝を外嵌合させた状態で前記載置体を前記ベッドに載置することにより、当該ベッドに対する前記載置体の位置決めを行うよう構成された位置決め用キーブロックにおいて、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記ベッド側キー溝に上方から嵌合可能な第1嵌合部が下側領域に設けられる一方、前記載置体側キー溝に下方から嵌合可能な第2嵌合部が上側領域の一端側に設けられたブロック本体を備え、該ブロック本体の他端側下面には、他端に行くにつれて次第に上方に位置する傾斜面部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記ブロック本体の他端側における前記傾斜面部の上方には、作業者が把持可能な棒形状をなす操作ハンドルが取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、前記操作ハンドルは、前記ブロック本体に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、前記操作ハンドルは、前記ブロック本体の他端から前記傾斜面部の傾斜方向と平行に、且つ、前記ブロック本体とは反対側に延びていることを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、前記ブロック本体の他端側には、上方に突出する突出部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明では、傾斜面部を底面とした姿勢でブロック本体の第1嵌合部をベッド側キー溝に嵌合させると、ブロック本体の長手方向一端側が斜め上方に向かって延びる姿勢になって第2嵌合部が浮き上がった状態になる。したがって、載置体をベッドに載置する際に、載置体下面に設けられた載置体側キー溝を第2嵌合部に外嵌合させ易くなり、載置体側キー溝を除く載置体下面が第2嵌合部に接触して傷がついてしまうといったことを防ぐことができる。また、載置体側キー溝が第2嵌合部に外嵌合している状態において載置体をベッドに向けて徐々に降ろしていくと、それに連動して位置決め用キーブロックがベッド側キー溝と載置体側キー溝との両方に嵌合した状態を維持しながら回動して載置体がベッドに載置されるようになるので、載置体を簡単にベッドに位置決めすることができる。さらに、特許文献1の如き付勢部材を用いて位置決め用キーブロックを傾けていないので、繰り返し使用した際に経年劣化で第2嵌合部の浮き上がりが悪くなるといったことが無く、使用感の良い位置決め用キーブロックにすることができる。それに加えて、特許文献1の如き付勢部材が必要無いので、部品コスト及び組立コストを低く抑えることができる。
【0014】
第2の発明では、ベッドに対する載置体の載置作業を行う際において、作業者による位置決め用キーブロックを傾ける操作がし易くなる。したがって、作業者は、載置体の位置決め作業を効率良く行うことができる。
【0015】
第3の発明では、載置体をベッドに位置決めした後、ブロック本体から操作ハンドルを取り外すと、載置体周りで作業を行う加工機や作業者が操作ハンドルに接触しなくなる。したがって、加工機や作業者による載置体の周囲における作業を行い易くすることができる。
【0016】
第4の発明では、傾斜面部を底面にした際、操作ハンドルがベッドの載置面に平行に延びる姿勢になる。したがって、載置体側キー溝を位置決め用キーブロックに外嵌合させる際、傾斜面部を底面にした状態で位置決め用キーブロックをベッド側キー溝に沿ってスライドさせる操作がし易くなり、作業者は、載置体の位置決め作業をさらに効率良く行うことができる。
【0017】
第5の発明では、載置体をベッドに位置決めした際、突出部が載置体の周囲に位置するようになるので、突出部に対して載置体から離れる方向に力を加えることができるようになる。したがって、載置体をベッドに位置決めした後、位置決め用キーブロックを各キー溝から取り外す際、位置決め用キーブロックが各キー溝間から取り外し難くなっている場合であっても、突出部に対して載置体から離れる方向に力を加えることで位置決め用キーブロックを各キー溝から簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態1に係る位置決め用キーブロックを用いてワークをベッドに位置決めしている途中の状態を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る位置決め用キーブロックの断面図である。
【
図4】
図3の後、位置決め用キーブロックをワークに接近させた状態を示す図である。
【
図5】
図4の後、位置決め用キーブロックを傾けてワークの位置を決めている状態を示す図である。
【
図6】
図5の後、ワークを降ろしてベッドに載置させた直後の状態を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る位置決め用キーブロックの斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態3に係る位置決め用キーブロックの側面図である。
【
図9】操作ハンドルの形態を切り替えた状態を示す
図8相当図である。
【
図11】操作ハンドルの形態を切り替えた状態を示す
図10相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0020】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る位置決め用キーブロック1と、加工機(図示せず)を用いて加工を施すワーク10(載置体)と、該ワーク10を載置するベッド11とを示す。位置決め用キーブロック1は、ベッド11に対するワーク10の位置を決めるものであり、ベッド11の載置面11aには、位置決めに使用する断面略凹状のベッド側キー溝11bが略格子状に延びるように形成される一方、ワーク10の下面には、位置決めに使用する断面略凹状のワーク側キー溝10a(載置体側キー溝)が外周縁部の複数個所に形成されている(
図3乃至
図6参照)。
【0021】
位置決め用キーブロック1は、
図2に示すように、側面視で略L字状をなしており、水平方向に延びる四角柱状をなすブロック本体2を備えている。
【0022】
該ブロック本体2の略下半部分は、ベッド11におけるベッド側キー溝11bに上方から嵌合可能な第1嵌合部2aを構成する一方、ブロック本体2の一端側の略上半部分は、ワーク10のワーク側キー溝10aに下方から嵌合可能な第2嵌合部2bを構成している。
【0023】
また、ブロック本体2の他端側下面には、他端に行くにつれて次第に上方に位置する傾斜面部2cが形成されている。尚、傾斜面部2cの傾斜角度は、水平面に対して30度に設定されている。
【0024】
一方、ブロック本体2の他端側上部には、略四角柱状をなす突出部3が上方に向かって突設されている。
【0025】
該突出部3には、位置決め作業時に作業者が把持可能な棒形状をなす操作ハンドル4が取り付けられ、該操作ハンドル4は、突出部3(ブロック本体2の他端)から傾斜面部2cの傾斜方向と平行に、且つ、ブロック本体2とは反対側に延びている。
【0026】
操作ハンドル4の一端側には、雄螺子部4aが形成される一方、突出部3には、雄螺子部4aが螺合可能な雌螺子部3aが形成されていて、雄螺子部4aを雌螺子部3aに螺進螺退させることにより、操作ハンドル4をブロック本体2に対して着脱できるようになっている。
【0027】
操作ハンドル4が取り付けられた状態の位置決め用キーブロック1は、第1嵌合部2aの下面を底面とした場合と、傾斜面部2cを底面とした場合とのそれぞれにおいて姿勢が維持できる重心位置が設定されている。
【0028】
そして、位置決め用キーブロック1は、
図3乃至
図6に示すように、ワーク10を載置するベッド11の載置面11aに形成されたベッド側キー溝11bに第1嵌合部2aを嵌合させるとともに、ワーク10の下面に形成されたワーク側キー溝10aを第2嵌合部2bに外嵌合させた状態でワーク10をベッド11に載置することにより、当該ベッド11に対するワーク10の位置決めを行うよう構成されている。
【0029】
次に、位置決め用キーブロック1を用いたベッド11に対するワーク10の位置決め作業について詳述する。
【0030】
まず、作業者は、
図3に示すように、図示しないクレーン等で吊り下げられたワーク10のワーク側キー溝10aに対応するベッド11のベッド側キー溝11bに位置決め用キーブロック1の第1嵌合部2aを嵌合させる。
【0031】
次に、作業者は、
図4に示すように、ブロック本体2の一端側がワーク10のワーク側キー溝10aの下方の位置となるまで、操作ハンドル4を把持して位置決め用キーブロック1をベッド側キー溝11bに沿ってスライドさせる。
【0032】
しかる後、作業者は、
図5に示すように、操作ハンドル4を下げてブロック本体2の長手方向他側に上方から力を加える。すると、ブロック本体2が回動して傾斜面部2cを底面とするとともにブロック本体2の長手方向一端側が斜め上方に向かって延びる姿勢になって第2嵌合部2bが浮き上がった状態になる。したがって、ワーク10をベッド11に載置する際に、ワーク10下面に設けられたワーク側キー溝10aを第2嵌合部2bに外嵌合させ易くなり、ワーク側キー溝10aを除くワーク10下面が第2嵌合部2bに接触して傷がついてしまうといったことを防ぐことができる。
【0033】
その後、同様に、複数個所において位置決め用キーブロック1の第2嵌合部2bにワーク10下面の各ワーク側キー溝10aを外嵌合させた後、ワーク10をベッド11に向けて徐々に降ろしていく。すると、ワーク10の下降動作に連動して各位置決め用キーブロック1がベッド側キー溝11bとワーク側キー溝10aとの両方に嵌合した状態を維持しながら回動してワーク10がベッド11に載置される。
【0034】
このように、本発明の実施形態1の位置決め用キーブロック1を用いると、ワーク10を簡単にベッド11に位置決めすることができる。
【0035】
また、本発明の実施形態1の位置決め用キーブロック1は、特許文献1の如き付勢部材を用いて位置決め用キーブロック1を傾けていないので、繰り返し使用した際に経年劣化で第2嵌合部2bの浮き上がりが悪くなるといったことが無く、使用感の良い位置決め用キーブロック1にすることができる。さらに、位置決め用キーブロック1は、特許文献1の如き付勢部材が必要無いので、部品コスト及び組立コストを低く抑えることができる。
【0036】
また、位置決め用キーブロック1には、操作ハンドル4が取り付けられているので、ベッド11に対するワーク10の載置作業を行う際において、作業者による位置決め用キーブロック1を傾ける操作がし易くなる。したがって、作業者は、ワーク10の位置決め作業を効率良く行うことができる。
【0037】
また、操作ハンドル4は、ブロック本体2から取り外すことができるので、ワーク10をベッド11に位置決めした後、ブロック本体2から操作ハンドル4を取り外すと、ワーク10周りで作業を行う加工機や作業者が操作ハンドル4に接触しなくなる。したがって、加工機や作業者によるワーク10の周囲における作業を行い易くすることができる。
【0038】
また、操作ハンドル4は、突出部3(ブロック本体2の他端)から傾斜面部2cの傾斜方向と平行に、且つ、ブロック本体2とは反対側に延びているので、傾斜面部2cを底面にした際、操作ハンドル4がベッド11の載置面11aに平行に延びる姿勢になる。したがって、ワーク側キー溝10aを位置決め用キーブロック1に外嵌合させる際、傾斜面部2cを底面にした状態で位置決め用キーブロック1をベッド側キー溝11bに沿ってスライドさせる操作がし易くなり、作業者は、ワーク10の位置決め作業をさらに効率良く行うことができる。
【0039】
また、ワーク10をベッド11に位置決めした際、突出部3がワーク10の周囲に位置するようになるので、突出部3に対してワーク10から離れる方向に力を加えることができるようになる。したがって、ワーク10をベッド11に位置決めした後、位置決め用キーブロック1をベッド側キー溝11b及びワーク側キー溝10aから取り外す際、位置決め用キーブロック1がベッド側キー溝11b及びワーク側キー溝10aの間から取り外し難くなっている場合であっても、突出部3に対してワーク10から離れる方向に力を加えることで位置決め用キーブロック1をベッド側キー溝11b及びワーク側キー溝10aの間から簡単に取り外すことができる。
【0040】
尚、本発明の実施形態1では、ベッド側キー溝11bに位置決め用キーブロック1の第1嵌合部2aを嵌合させた状態から、ブロック本体2の長手方向他側に上方から力を加えることにより、ブロック本体2を回動させて傾斜面部2cを底面とした姿勢に変更しているが、予め傾斜面部2cを底面とした姿勢になるようにベッド側キー溝11bに位置決め用キーブロック1の第1嵌合部2aを嵌合させて位置決め作業を行ってもよい。
【0041】
《発明の実施形態2》
図7は、本発明の実施形態2の位置決め用キーブロック1を示す。この実施形態2では、操作ハンドル4をブロック本体2に着脱させる構造が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0042】
実施形態2の操作ハンドル4の一端側は、当該操作ハンドル4の中途部から他端側の領域よりも細い棒状をなす細棒状部4bが設けられ、該細棒状部4bの先端には、球状部4cが形成されている。
【0043】
一方、実施形態2のブロック本体2と突出部3との連続する部分には、スリット5が形成されている。
【0044】
該スリット5は、横断面形状が操作ハンドル4の細棒状部4bと球状部4cとに対応する形状をなしており、位置決め用キーブロック1の長手方向他側と傾斜面部2cとにそれぞれ開口している。
【0045】
そして、操作ハンドル4の細棒状部4b及び球状部4cをスリット5における傾斜面部2cの開口部分から出し入れすることにより、操作ハンドル4をブロック本体2に対して着脱できるようになっている。
【0046】
以上より、本発明の実施形態2によると、実施形態1のように操作ハンドル4をブロック本体2に着脱する際に操作ハンドル4を回転させる必要が無いので、操作ハンドル4をブロック本体2に対して簡単に着脱させることができる。
【0047】
《発明の実施形態3》
図8及び
図9は、本発明の実施形態3の位置決め用キーブロック1を示す。この実施形態3では、操作ハンドル4の構造が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0048】
実施形態3の操作ハンドル4は、ブロック本体2から離れる側の斜め上方に直線状に延びる丸棒状のガイド棒部6を備えている。
【0049】
該ガイド棒部6の一端は、ブロック本体2に固定される一方、ガイド棒部6の他端側外周面には、突起6aが径方向外側に向かって突設されている。
【0050】
ガイド棒部6には、略円筒状をなすスライドカバー7が筒中心線に沿ってスライド可能に外嵌合している。
【0051】
スライドカバー7の外周面には、筒中心線に沿って延びるスリット状のガイド孔7aが形成され、該ガイド孔7aには、ガイド棒部6の突起6aが嵌合している。
【0052】
ガイド孔7aの一端には、スライドカバー7の筒中心線を中心とした周方向一側に窪む嵌合凹部7bが形成されている。
【0053】
そして、作業者がスライドカバー7を把持してブロック本体2側に力を加えると、
図8に示すように、突起6aがガイド孔7aに案内されながらスライドカバー7がブロック本体2側にスライドして操作ハンドル4がコンパクトな形態になるよう構成されている。一方、作業者がスライドカバー7を把持してブロック本体2から離れる側に力を加えると、
図9に示すように、突起6aがガイド孔7aに案内されながらスライドカバー7がブロック本体2から離れる側にスライドして操作ハンドル4が把持し易い長さとなるよう構成されている。そして、突起6aがガイド孔7aの端部に到達した後、作業者が筒中心線を中心とした周方向の他側にスライドカバー7を回転させると、突起6aが嵌合凹部7bに嵌まってガイド棒部6に対してスライドカバー7の位置が固定されるようになっている。
【0054】
以上より、本発明の実施形態3によると、操作ハンドル4を伸縮させることができるので、位置決め用キーブロック1を用いてワーク10の位置決めを行う際には操作ハンドル4を使用し易い細長い形態に切替可能である一方、ワーク10を位置決めした後においては、操作ハンドル4を加工機や作業者の邪魔にならないようにコンパクトな形態に切り替えておくことができる。
【0055】
《発明の実施形態4》
図10及び
図11は、本発明の実施形態4の位置決め用キーブロック1を示す。この実施形態4では、操作ハンドル4の構造が実施形態1と異なっている以外は実施形態1と同様であるので、実施形態1と同様の部分には同じ符号を付し、その他、異なる部分のみを説明する。
【0056】
実施形態4の操作ハンドル4は、水平方向に延びる略帯板形状をなしている。操作ハンドル4の一端側は、突出部3の突出端にボルト8により上方から取り付けられ、操作ハンドル4は、上下方向に延びるボルト8の中心線を中心として回動可能になっている。
【0057】
そして、作業者が操作ハンドル4を回動させてブロック本体2側へと延びる姿勢となるようにすると、
図10に示すように、操作ハンドル4がブロック本体2から離れる側に飛び出さないコンパクトな形態に切り替わるようになっている。一方、作業者が操作ハンドル4を回動させてブロック本体2から離れる側へと延びる姿勢となるようにすると、
図11に示すように、操作ハンドル4が位置決め作業時において作業者の把持し易い姿勢となるようになっている。
【0058】
以上より、本発明の実施形態4によると、操作ハンドル4をブロック本体2側に延びる姿勢とブロック本体2から離れる側に延びる姿勢とに簡単に変更できるので、操作ハンドル4を位置決め作業時における作業者の把持し易い形態と位置決め作業後において邪魔にならないようなコンパクトな形態とに簡単に切り替えることができる。
【0059】
尚、本発明の実施形態1~4の位置決め用キーブロック1は、加工機で加工するワーク10をベッド11に載置する際の位置決めに使用したが、プレス金型などの他の載置体をベッド11に載置する際の位置決めにも使用可能である。
【0060】
また、本発明の実施形態1,2の操作ハンドル4は、丸棒形状をなしているが、角棒形状であってもよい。
【0061】
また、本発明の実施形態1の操作ハンドル4は、傾斜面部2cと平行に延びる姿勢となっているが、傾斜面部2cと平行に延びる姿勢でなくてもよい。
【0062】
また、本発明の実施形態1~4の位置決め用キーブロック1は、ブロック本体2の他端側に突出部3が設けられているが、突出部3の無い位置決め用キーブロック1であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、載置体を載置するベッドに対して当該ベッドに形成されたベッド側キー溝と載置体下面に設けられた載置体側キー溝との両方に嵌め込んでベッドに対する載置体の位置決めを行う位置決め用キーブロックに適している。
【符号の説明】
【0064】
1 位置決め用キーブロック
2 ブロック本体
3 突出部
4 操作ハンドル
2a 第1嵌合部
2b 第2嵌合部
2c 傾斜面部
10 ワーク(載置体)
10a ワーク側キー溝(載置体側キー溝)
11 ベッド
11a 載置面
11b ベッド側キー溝