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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175356
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A63F7/02 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081689
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 睦
(72)【発明者】
【氏名】小林 邦昭
(72)【発明者】
【氏名】服部 祐治
(72)【発明者】
【氏名】片山 統揚
(72)【発明者】
【氏名】一柳 和也
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA01
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】システム側に遊技場閉店時の最終ゲームをクリアする旨を示す操作を面倒に感じること、或いはその操作漏れが生じることを低減可能とする。
【解決手段】管理装置6は、天井機能を備えた遊技機の遊技情報をシミュレートするための操作に応じて、対象となる遊技機の最終Sをクリアする。これにより、別途行うシミュレートを行うことで最終Sをクリアできるようになり、システム側に最終Sをクリアする旨を示す操作を面倒に感じること、或いはその操作漏れが生じることを低減可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技価値を使用したゲームを行うことにより遊技者にとって有利な状態である特別状態を発生可能であって、初期化操作が行われた場合、或いは遊技に伴い予め設定される初期化条件が成立した場合に初期化されるゲーム数と、予め設定される天井ゲーム数とを比較した結果に応じて天井条件が成立した場合に、前記特別状態を発生させる、或いは発生させ易くする状態となる天井特典を付与するように構成された遊技機の遊技情報を管理する遊技場用システムであって、
遊技機側から出力される遊技信号により、前記ゲームの実行、及び前記初期化条件の成立を特定し、当該初期化条件の成立を特定してからのゲームの実行数である対応ゲームであって、遊技場の閉店時の最終ゲームを含む複数種類の遊技情報を遊技機単位で特定する遊技情報特定手段と、
遊技機の遊技情報、及び遊技場の営業計画の少なくとも一方のシミュレート処理をシミュレート操作に伴って行うシミュレート手段と、
前記シミュレート手段によるシミュレート結果を出力する出力手段と、
シミュレート操作に応じてシミュレート対象の遊技機の前記最終ゲームを初期化するための初期化処理を行う初期化手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記最終ゲームに対応した基準情報を予め設定する基準情報設定手段を備え、
前記初期化手段は、遊技機の遊技情報と前記基準情報との比較結果に基づいて初期化処理の対象となる遊技機を特定する請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記シミュレート操作に応じて前記初期化処理を行うか否かを予め設定する初期化設定手段を備え、
前記初期化手段は、前記シミュレート操作があった場合、前記初期化設定手段により初期化処理を行う旨が設定されていることを条件として初期化処理を行う請求項1又は2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記シミュレート操作とは異なる初期化操作を行うための初期化操作手段を備え、
前記初期化手段は、前記初期化操作が行われた場合、前記シミュレート操作に関わらず前記初期化処理を行う請求項1から3のいずれか一項に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記シミュレート手段によりシミュレートされる情報は、シミュレート対象の遊技機の前記最終ゲームを初期化処理するか否かにより異なるシミュレート結果となる情報であり、
前記シミュレート操作は、シミュレートを開始するための操作である請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の中にはゲーム数のような始動回数が規定値に達することで特別状態を発生させるような所謂天井機能を備えた遊技機がある。このような遊技機を管理するために、例えば特許文献1では前日閉店時の始動回数(以下、最終S)をクリアするかに応じた当日の遊技情報をシミュレートすることが提案されている。
【0003】
天井機能を備えた遊技機を管理する場合、最終Sをクリアしたかに応じて出率や粗利の期待値が異なることから、最終Sをクリアしたかをシステム側で管理する必要があり、その管理を行うためにはその旨を示す操作入力も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-106670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、遊技場の中にはシミュレートした結果を参照することなく例えば最終Sが基準値に達しているといった条件を満たした遊技機や、場合によっては全台を対象として最終Sを毎日クリアする遊技場も見受けられ、このような遊技場では、最終Sをクリアした旨の操作入力を面倒に感じたり、その操作漏れが生じたことから遊技情報の管理に影響が生じたりする虞があるため、その点を改善すべきといったニーズがある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、システム側に遊技場閉店時の最終ゲームをクリアする旨を示す操作を面倒に感じること、或いはその操作漏れが生じることを低減可能な遊技場用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、天井機能を備えた遊技機の遊技情報をシミュレートするための操作に応じて、対象となる遊技機の遊技場閉店時の最終ゲームをクリアするので、システム側に遊技場閉店時の最終ゲームをクリアする旨を示す操作を面倒に感じること、或いはその操作漏れが生じることを低減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を概略的に示す図
図2】遊技機のリールの展開図
図3】遊技機に設定されている内部当選役の役構成を示す図
図4】遊技機の有効ラインを示す図
図5】遊技機に設定されている内部当選テーブルを乱数の数で示す図
図6】設定情報を示す図
図7】遊技機単位の遊技履歴例を示す図
図8】天井素情報例を示す図
図9】天井情報の集計例を示す図
図10】判定対象大当り設定画面を示す図
図11】宵越しスタートに対する範囲設定画面を示す図(その1)
図12】宵越しスタートに対する範囲設定画面を示す図(その2)
図13】基準情報例を示す図
図14】基準想定情報例を示す図
図15】ゾーン情報例を示す図
図16】想定条件別の想定情報例を示す図
図17】遊技機単位遊技集計を示す図
図18】設定値別集計を示す図
図19】シミュレーションを示す図
図20】営業計画を示す図
図21】実際の遊技機に対応させるために出力される帳票を示す図
図22】複数のパターン候補を示す図
図23】抽出された一覧表示を示す図
図24】「最終Sクリア一括入力確認」ダイアログを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場には、遊技機1に対応して遊技装置2及び情報表示装置3が設置されている。2台の遊技機1、2台の遊技装置2及び情報表示装置3は1台の中継装置4に接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6(遊技情報特定手段、シミュレート手段、出力手段、初期化手段、基準情報設定手段、初期化設定手段)に接続されている。管理装置6は、遊技場内の例えば管理室に設置されており、キーボード7、モニタ8(出力手段)やプリンタ(図示せず)等が組合わされて構成されている。LAN5には景品交換処理を行うPOS等の周辺機器(図示せず)が管理装置6と通信可能に接続されている。
【0010】
尚、図1では省略しているが、数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となる。遊技機1がスロットマシンであれば、遊技価値(遊技媒体)はメダルである。遊技機1がパチンコ遊技機であれば、遊技価値はパチンコ玉である。
以下において、遊技機1としてスロットマシンについて説明するが、メダルを玉と称し、遊技価値の総称として表記する場合がある。
【0011】
遊技機1は、表示窓9、スタートレバー10、ストップ釦11~13、表示ランプ部14、液晶表示部15、メダル投入口16、BET釦17、受皿18等を備えている。遊技者は、表示窓9を通じて内部に設けられたリールの図柄を視認可能となっている。各図柄は、図2に示すように、左リール19、中リール20及び右リール21の円周面に描かれており、各リール19~21が停止した状態では、表示窓9の上段、中段及び下段に対応して停止表示される。即ち、遊技機1には、各リール19~21それぞれについて3図柄ずつ、合計9図柄分の図柄表示領域が形成されている。
【0012】
図1に戻って、遊技機1は、遊技者によってメダル投入口16からメダル(遊技価値)が投入された状態、或いはBET釦17を操作することでクレジットメダル(遊技価値)が投入された状態でスタートレバー10が操作されると(ゲームが開始されると)、内部抽選を実行すると共にリール19~21の変動を開始させ、ストップ釦11~13が操作されることによって所謂引込制御(予め規定された引込範囲、例えば4図柄までにある図柄を後述する有効ライン上に引込んで停止表示させる制御)によってリール19~21の変動を停止する。
【0013】
図3は、遊技機1に設定されている内部当選役の役構成を示している。遊技機1には、所謂ボーナス役としてのBB(ビッグボーナス)役及びRB(レギュラーボーナス)役、所謂小役としての5枚役A~F、7枚役、2枚役、1枚役A、1枚役B、及びリプレイ役が設定されている。
【0014】
遊技機1には、図4に示すように、合計4本(表示窓9の上段及び中段に対応した横方向に1本ずつの2本と斜め方向の2本の合計4本)の有効ラインが設けられており、遊技者によってストップ釦11~13が操作されていずれかの有効ライン上に内部当選役に対応する図柄が揃ったとき、即ち、有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが内部当選役に対応する図柄の組合せと一致したときに入賞となる。入賞となった場合には、特別状態であるBB状態やRB状態(ボーナス)やリプレイ等の発生、或いは対応する枚数のメダルの払出(遊技価値の付与)が行われて1ゲームが終了する。尚、遊技機1では、1ゲーム当りのメダルの投入枚数(最大BET数)は、通常状態では3枚、ボーナス中は2枚に設定されている。
【0015】
遊技機1は、ゲーム開始時の内部抽選において、0~65535の間で発生する乱数のうち1つを抽出し、抽出した乱数と図示しない抽選テーブルとを照合することにより内部当選したか否かを判定している。
図5は、遊技機1に設定されている内部当選テーブルに割り振られている乱数の数を役に対応して示している。この場合、乱数の数は、遊技機1の遊技状態に対応して設定されている。即ち、通常状態及びRT状態では、BB役及びRB役に対して64個、2種類の5枚役が同時に内部当選(以下、同時当選)する5枚役A+5枚役B~Fにそれぞれ1952個、5枚役が単独で内部当選(以下、単独当選)する5枚役Aに0個、7枚役に1312個、2枚役に656個、1枚役A及び1枚役Bにそれぞれ4096個の乱数が割り振られている。
【0016】
さらに、通常状態では、リプレイ役に8978個、ハズレに36510個の乱数が割り振られている一方、RT状態では、リプレイ役に45487個、ハズレに1個の乱数が割り振られている。つまり、RT状態では、通常状態と比べてリプレイ役の入賞確率が大幅に高められている。また、BBまたはRB状態では、5枚役Aに65535個の乱数が割り振られ、ハズレに1個の乱数が割り振られている。このような割り振りの結果、5枚役Aには、単独当選する場合と、5枚役B~Fのいずれか1つと同時当選する場合との全部で6通りが設定されており、5枚役Aが単独当選するのはボーナス中のみである。
【0017】
遊技機1は、遊技状態として、上述した通常状態、RT状態(以下、RT)及びBB・RB状態に加えてART状態(以下、ART)へも移行可能となっている。ARTへは、通常状態において2枚役が内部当選した場合の一定確率(例えば30%)で成立するART条件が成立した場合に移行する。また、ボーナスやART等の特別状態が発生(初期化条件が成立)することなく連続して行ったゲーム数(ハマリゲーム数)が天井ゲーム数(本実施形態では1530ゲーム)に達した場合にもART条件(天井条件)が成立する。
【0018】
この場合は通常のART条件が成立した場合よりも後述するARTのゲーム数の抽選や継続抽選等が遊技者に有利になる等、通常のARTよりも遊技者にとって有利な条件でARTが発生する。尚、本実施形態では特別状態の内、ARTのみを対象として天井特典の対象としているが、ボーナス等を対象としても勿論良い。また、天井特定の対象となる場合も含め、特別状態としてARTではなくRT状態、或いはAT状態等の他の特別状態を採用しても勿論良い。
【0019】
ARTは後述するAT役を入賞させるための報知を行うAT状態(以下、AT)と、リプレイ役の内部当選率が通常状態よりも向上するRTとが複合した特別状態であり、ART中またはRT中に終了役(1枚役Aまたは1枚役B)が入賞した場合には、ARTまたはRTを終了して通常状態へ移行する。AT役とは、5枚役Aが中リール20の中段に停止して3本の有効ラインが同時に入賞して15枚のメダルが払い出される役のことである。
【0020】
AT中はAT役を入賞させるためのストップ釦11~13の操作順序を遊技機1の液晶表示部15にて報知する。即ち、1ゲームの払出枚数が15枚であるAT役の入賞操作(AT役入賞操作)を補助する報知(AT役報知)を行い、遊技者がその報知通り操作すればAT役が入賞し、操作しなければ後述するAT役操作報知で説明するようにAT役でない一般役(5枚)が入賞する。
【0021】
一方、AT中は1枚役A及び1枚役Bのいずれが内部当選したかを報知する。即ち、終了役の入賞操作を回避するための報知(終了役報知)を行い、遊技者がその報知通り操作すれば終了役の入賞を回避できる。ATはART発生時等に抽選されるゲーム数を行うまで継続し、終了すればATを終了してRTへと移行する。ATが行われないRTでは終了役報知が行われないため、遊技者は終了役の入賞を回避できず、ATが終了するとほどなくRTも終了することになる。
【0022】
抽選により決定されるATのゲーム数は設定値(遊技機設定値。以下、モード)により変更可能である。即ち、モードは6段階あり、モード6の平均継続数が70ゲームで遊技者にとって最も有利となり、モード1が40ゲームで遊技者にとって最も不利となるように、モードに応じて段階的に遊技者の有利度(遊技価値の付与率)が異なっている。また、周知の設定変更操作により設定変更を行った場合、或いはモードの再設定(打直し)やRAMクリア等の所定の初期化操作を行った場合にハマリゲーム数が初期化される。ART中においても所謂上乗せ抽選を行っており、その当選に応じて継続ゲーム数が加算されることもある。
【0023】
ARTには連続性があり、ART中に抽選させる継続抽選に当選するとARTが継続するが、その間に準備期間(3ゲーム)が設定される。即ち、ARTが連荘する場合はその準備期間分、通常状態またはAT状態となり、一時的にARTが解消される。また、ART中においてもボーナスの抽選を行っており、当選した場合はARTを一時的に中断してボーナスを発生させ、その後、準備期間となってからARTを再開する。準備期間はART中ではないので、対応する状態信号の出力や、ART報知用のランプを備えた遊技機ではその点灯は行われない。
【0024】
上述したように、5枚役Aは、単独当選する場合と、5枚役B~Fのいずれか1つと同時当選する場合との全部で6通りあり、いずれの場合も5枚役Aのみが入賞する。但し、5枚役B~Fのいずれか1つと同時当選した場合は、その組合わせと押し順に応じて入賞役であるベル図柄が中リール20の上段か中段に停止するように制御されるので、上段に停止した場合(有効ライン1本で入賞)には5枚(一般役)、中段に停止した場合(有効ライン3本で入賞)には15枚のメダルが払い出される。
【0025】
具体的には、以下の押し順の場合にベル図柄が中段で停止し、その他の押し順の場合に上段で停止する。尚、以下の説明では、左は左リール19、中は中リール20、右は右リール21を示している。
・5枚役A+5枚役Bが同時当選……中リール20を最初に停止(中→左→右または中→右→左)の順に停止
・5枚役A+5枚役Cが同時当選……左→中→右の順に停止
・5枚役A+5枚役Dが同時当選……左→右→中の順に停止
・5枚役A+5枚役Eが同時当選……右→中→左の順に停止
・5枚役A+5枚役Fが同時当選……右→左→中の順に停止
【0026】
以上のように、AT役操作報知では、操作するストップ釦11~13の押し順をゲーム開始時に報知するので、遊技者は、その報知に従ってストップ釦11~13を押すことにより15枚のメダルを確実に獲得することができる。
尚、ボーナスゲーム中における5枚役Aの単独当選時は、押し順に関わらずベル図柄が中リール20の中段に停止(引込制御可能な場合)して15枚のメダルが払い出される。
【0027】
遊技機1からは遊技者による遊技に従って以下に示す遊技信号が出力される。
・アウト信号=遊技機1から出力。開始操作に応じベット状態のメダルを消費したとしてベット状態のメダル数(3枚)分がパルス出力されるので、アウト信号数×1がアウト(消費価値、使用媒体数)となる。尚、リプレイ時にも対応分を出力。
・セーフ信号=遊技機1から出力。メダルが1枚付与(払出)される毎に1パルス出力されるので、セーフ信号数×1がセーフ(入賞付与価値、払出媒体数)となる。尚、リプレイ役入賞時にも、そのゲームに使用されたメダル分を出力。
・BBまたはRB信号=遊技機1から出力。対応するボーナス状態(BB、RB)中にレベル出力されるので、信号入力期間をボーナス状態として特定する。
【0028】
尚、ARTの特定は上記のような遊技信号として出力されるARTを特定可能なART信号にて特定しても良いし、その信号が出力されない遊技機の場合にはART時に点灯するランプの点灯を光センサにより検知して特定したり、単位期間(例えば10ゲーム)における小役の入賞状況や差数やセーフ等の遊技情報と予め設定される基準値とを比較することにより特定したりする等、周知の特定方法のいずれを採用しても良い。
【0029】
遊技装置2は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部(いずれも図示せず)より動作する。遊技装置2は、貨幣が投入される貨幣投入口22、メダルを貸し出すための貸出釦23、図示しないICカードが挿入されるカード挿入口24、ICカードを発行するための発行釦25、払出操作用の払出釦26、この払出釦26の押下に応じてメダルを遊技機1の受皿18に払出す払出ノズル27等を備えている。
【0030】
遊技装置2は、貨幣を受け付け(貨幣受付処理)すると、遊技装置2に入金額が残高に加算して表示され、残高がある状態で遊技者が貸出釦23を押下(貸出操作、付与操作)すると払出単位(例えば1000円)分の貸出メダル(対価付与価値)を払出ノズル27から払い出し(対価付与処理)、その対価分を残高から減算する。尚、貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0031】
遊技装置2は、遊技者が獲得したメダルを受付可能で、受け付けた場合には持玉として管理し、その持玉を対価とした払戻処理(価値付与処理)を行った場合はその対価分(払い戻したメダルと同数)を持玉から減算する。そして、残高や持玉が残存する状態で遊技者が発行釦25を押し下げすると(発行操作を受け付けると)、残高や持玉を特定可能なICカードを発行する。尚、カード挿入口24にてICカードを受け付けた場合は、そのICカードにより特定される残高や持玉を引継ぐ(情報を記憶してICカードの情報を消去する)。
【0032】
遊技装置2は中継装置4とのシリアル通信により貨幣受付処理や対価付与処理、価値付与処理、残高、持玉、貸出メダル、払戻数、入金額や計数玉数や、貸出の対価となる売上額、及びICカードの受付や発行処理等の各種情報を特定可能であるが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定しても良い。
【0033】
情報表示装置3は、データ表示部28、複数の操作スイッチ部29等を備えている。データ表示部28は、遊技機1から入力される信号に基づき集計した遊技情報等、各種の情報を表示する。複数の操作スイッチ部29は、データ表示部28の表示内容を切替えたり、遊技者が遊技場の従業員を呼出したりするため等に操作される。
【0034】
管理装置6は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部、遊技機1や遊技装置2や情報表示装置3との間で各種信号や各種情報を送受信する送受信部等(いずれも図示せず)を備え、遊技機側から出力された遊技信号を受信すると、遊技機1の遊技情報(アウト、セーフ、差数、出率、BB回数、RB回数等)を集計したり売上情報を算出したりする。
【0035】
管理装置6は、管理者の操作入力により天井特典を考慮してシミュレート処理する場合に必要となる各種設定情報を設定可能であり、設定された情報を送信することで遊技装置2等にも設定可能である。
図6は設定情報を示しており、以下の各項目が設定されている。尚、以下においてゲーム数をGと表記する場合がある。
【0036】
・ゾーン範囲=ゲーム数を区分する単位。任意のゲーム数を設定可能で、図6の場合、100G毎にゲーム数をまとめることになる。尚、まとめたGがゾーンとなる。
・最終ゾーン=最終ゾーンをいずれのゾーンとするか。図6の場合、1501Gから始まるゾーンが最終ゾーンとなる。尚、当然ではあるが最初のゾーンは1Gから始まるゾーンとなる。
・代表G=各ゾーンのいずれのGを代表Gとするか。図6の場合、各ゾーンの開始G(最初のゲーム)が代表Gとなるが、他に終了G、平均G、開始Gから任意番目のG等、任意のGを設定可能。
・天井G=天井条件を満たすためのG(天井ゲーム数)。
【0037】
・天井条件=天井特典として特定するための条件。図6の場合、天井G以上のGにて発生したARTを天井特典として特定する。
・千円G=天井迄の差数を求める際に必要となるスペック情報で、千円分の対価付与価値(貸出レートが20円の場合は50枚)を投資した場合に、どの程度のGを遊技可能かを示す。尚、後述する図9等に示す天井迄の差数をベースにより演算する場合には設定する必要はない。ベースとの関係式は、ベース=100%-千円分の対価付与価値÷1Gの消費価値÷千円Gとなり、1Gの消費価値は最大BET数である3枚にて演算(ゲーム差情報)する。
【0038】
・閉店=閉店時のGを含めるか否か、つまり前日閉店時のG(最終S)を翌日(翌営業日)に持ち越す宵越しスタートするのか否かの設定で、図6のように含める場合は後述する図8,9のように閉店時のG(最終S)を集計対象に含め、含めない場合は閉店時(図7における閉店に対応したレコード)のGを集計対象から除外する。
・基準G(基準ゲーム)=Gに対する基準値。後述する図16のようなシミュレートを行う場合に天井条件の初期化処理の対象から除外する天井見込遊技機を特定するための閾値。
尚、特に例示しないが、台番に対応付けて機種別等により遊技機をグループ分けする所謂機種設定等の周知の設定も行い、そのグループ単位、或いは遊技機単位にて上述した設定を行っている。
【0039】
管理装置6は、周知のようにボーナスやART等の特別状態の発生(初期化条件の成立)を区切りとして遊技機単位で遊技履歴を管理している。
図7は、管理装置6により作成される遊技履歴例を示している。「通常状態」は特別状態が発生するまでの遊技情報を示し、「特別状態」は特別状態中の遊技情報を示している。即ち、レコードにより区切ったGを管理することで初期化条件の成立別に成立ゲーム数を管理するもので、特別状態の終了後に次のレコードを作成し、それ以降の対応分の記憶対象を次のレコードに移行している。尚、ART中にBBが発生した場合も次のレコードを作成するが、この場合は、ARTに対応するレコードは、BBの終了後に継続されるARTの遊技情報を含むことになる。
【0040】
遊技履歴としては、以下の各項目が設定されている。
・種別、時刻=種別はレコードに対応する種別(特別状態の種類や閉店)、時刻は対応時刻(例えば特別状態の発生時刻)を示す。
・G、ARTG=Gは前回の特別状態が終了してから今回の特別状態が発生するまでのゲーム数(対応ゲーム数)。尚、ART中にBBが発生した場合は0または空欄となる。ARTGはARTに対応するもので、ART中のGを示す。
・アウト、セーフ、差数=アウトは投入数(消費価値)、セーフは払出数(入賞付与価値)、差数はセーフ-アウト(差)。
【0041】
・獲得数=レコード特定時の獲得数(理論上の遊技者の持玉数)。レコード単位の差数合計と貸出メダルとの合計値と、前レコードの獲得数との合計値。尚、図6は客交替を考慮していないが、客交替に応じて初期値(0)としてから計上しても良い。
・売上メダル=対応する遊技装置2にて対価と引き換えに遊技者に貸し出された貸出メダル(対価付与価値)。
【0042】
図7に示す例では、NO.9にて天井条件が成立(Gが天井G(1530G)を超えてARTが発生)しているため発生したARTを天井特典として特定して黄色(図7に示す右斜線領域)にて識別出力している。
【0043】
一方、管理装置6は、図6の設定に基づいてゾーンとしてゲーム(G)数を区分して特別状態の発生状況等を特定した遊技情報である天井素情報を集計している。
図8は、一の遊技機で図7に示すように遊技が行われた場合に管理装置6により収集される遊技情報である天井素情報例を示している。「ゾーン」は図6の設定によりGを100ゲーム単位で区分した連続的な複数の範囲であり、「ボーナス」と「ART」とはボーナス(BBやRB)とARTとがいずれのゾーンにて発生したかを示し、「閉店数」はいずれのゾーンにて閉店したかを示している。例えば図7のNO.1では450GにてARTが発生しているため、NO.5のゾーン(401~500)の「ART」が対象となる。一方、NO.10では151G(最終S)にて閉店しているため、NO.2のゾーンの「閉店数」が対象として計上される。尚、「合計発生数」はボーナスとARTとの合計を示す。
【0044】
「ゾーン移行数」(移行数)は対応するゾーン(以下、対応ゾーン)に移行するのに応じて計上された回数である。図7のNO.1であれば450Gであることから、NO.5のゾーン迄の(それ以下のGに対応する)全ゾーン(NO.1~NO.5のゾーン)を対象として計上される。一方、例えば図7のNO.9のように最終ゾーンであるNO.16に到達するようなG(1535G)の場合は全てのゾーン(NO.1~NO.16)を対象として計上される。つまり、「ゾーン移行数」は、ボーナス、ART、閉店のいずれかが発生、或いは発生することなくゾーンの終了Gに到達した数を示している。
【0045】
「ゾーンG」は対応ゾーンにおけるGを示しており、Gが対応ゾーンに移行するものの特別状態が発生せず、次のゾーンに対応するGとなった場合はゾーン分のG(100G)が計上され、特別状態の発生や、閉店があった場合にはそのときのG(但し、ゾーン移行後からのG)が計上される。例えば図7におけるNO.1の450Gの場合、NO.1~NO.4迄のゾーンGとしてそれぞれ100G計上され、NO.5のゾーンGとして50(=450-100×4)Gが計上される。尚、図6にて閉店が含まれない旨の設定が行われている場合は、閉店数を集計対象から除外すると共にゾーン移行数やゾーンG等も対応分を除外して集計される。
【0046】
「天井時のアウト」と「天井時の獲得数」は天井特典として特定された特別状態に対応するアウトと差数(天井特典後は持玉がほとんど減らず貸出メダルを得る必要がないため差数としているが、貸出メダルを含む持玉としても勿論良い)とを示している。
尚、管理装置6は、同様に天井特典として特定された特別状態に対応するセーフである天井時のセーフも図示しないが管理している。また、図8は遊技に同期して更新しても良いし、図7等に基づき遡及的に作成しても良い。
【0047】
管理装置6は、図8のように集計した天井素情報を所定日数(例えば50日)集計し、その集計結果に基づき図6の設定に基づき加工することで天井情報を集計している。
図9は、管理装置6により集計された天井情報例を示している。「ART」、「閉店数」、「ゾーンG」、「ゾーン移行数」、「天井時のアウト」、「天井時の獲得数」の各項目は図8を合計した遊技情報であり、その他の項目は以下の通りである。
【0048】
・天井到達率=対応ゾーンへと移行した場合に、その後にどの程度、天井特典を得られたかを示し、天井特典数(即ち、NO.16の(正確には天井G以降のGにて発生した)ART数(天井特典の発生数))を対応ゾーンのゾーン移行数にて除した値をそれぞれ示している。
・天井迄アウト、天井迄差数(天井投資価値)=対応ゾーンにおける代表G(各ゾーンの開始G)から天井G(1530)までのアウトと、差数(セーフ-アウト)とを示している。アウトは、例えば(天井G-代表G)×1Gのアウト(例えば3)等の演算式にて求め、差数はベース(通常状態における出率=セーフ÷アウト例えば46%)や図6の千円G等を利用し、例えば天井迄アウト×(ベース-1)等の演算式にて求めている。
【0049】
・天井到達アウト、天井到達差数(天井投資価値以外の遊技情報)=1回当りの天井特典(即ち、「天井到達時のアウト」や「天井到達時の獲得数」の平均値(図9の天井到達時の獲得数であれば42642÷30=1421.4)から対応ゾーンにおける「天井迄アウト」や「天井迄差数」)を加算、或いは差し引いた値である。即ち、代表G(比較ゲーム)から天井Gとなって天井特典を得て、その後、天井特典が終了するまでのアウトと差数とを示している。
・天井期待アウト、天井期待差数(天井投資価値以外の遊技情報、天井期待情報)=対応ゾーンにおける天井到達アウトや天井到達差数に天井到達率を乗じた値を示しており、天井特典により得られるアウトや差数が天井到達率を考慮してどの程度、想定できるのかを示す指数である。
・天井期待セーフ(天井期待情報)=天井迄アウトにベースを乗じた天井迄セーフと天井時のセーフの平均値との合計である天井到達セーフに天井到達率を乗じた指数であり、当然ではあるが天井期待アウトと天井期待差数との合計値となる。
【0050】
尚、「合計または平均」は、「ART」から「天井時の獲得数」(天井素情報)までは合計、「天井到達率」から「天井期待セーフ」までは平均値が示されている。また、対応ゾーンでは平均値より遊技者に有利な値を緑色(図9に示す右斜線領域)にて識別出力している。
また、「天井到達アウト」等の「天井投資価値以外の遊技情報」は「天井期待情報」として採用し、「天井期待情報」としては「天井到達アウト」等と「天井期待アウト」等のいずれを採用しても良い。
【0051】
さて、遊技機の天井機能を考慮して遊技情報をシミュレートする場合、前日閉店時の始動回数(最終S)を含むか否かは重要であるが、始動回数はボーナスのような大当りにより初期化されるものの、近年の稼動率の低下により遊技機によっては大当りが発生しない営業日となることも珍しくない。前日に大当りが発生しない場合、前日だけでなく前々日(或いは前々日以前)の始動回数が承継されて天井機能による特別状態が発生することになるが、このように発生した特別状態を適切に対応することが難しく、前々日の始動回数により当日に想定されない少ない始動回数にて特別状態が発生する虞があり、シミュレート結果や実際の営業に影響する虞がある。
そこで、管理装置6は、図6の設定情報の「閉店」を「含める」として遊技情報をシミュレートする場合は、前日だけでなく前々日(或いは前々日以前)からの閉店時の始動回数(最終S)を次のように処理することで宵越しスタートを管理している。
【0052】
即ち、管理装置6は、発生することが天井ゲーム数の初期化条件となる大当りの発生状況を遊技履歴として管理しており、各営業日の遊技場閉店時における始動回数を翌日における前日最終Sとして特定する。
営業開始前や閉店後に遊技機を初期化するためにRAMクリアした場合には、天井ゲーム数がRAMクリアによりクリア(初期化)されるので、管理者による操作によりその旨を遊技機単位で入力し、そのRAMクリア以前は宵越しスタートの計数対象から除外する。スロットマシンは設定変更時に必ずRAMクリアされて天井ゲーム数がクリアされるが、パチンコ遊技機は設定変更しても天井ゲーム数がクリアされない機種もあるので、別途天井ゲーム数のクリア操作が必要である。
【0053】
例えばスロットマシンの場合、BBの発生は所謂天井ARTを発生させるためのゲームである天井ゲーム数の初期化条件に該当するが、RBの発生は天井ゲーム数の初期化条件に該当しないといった場合もあるので、管理装置6は、図10に示す判定対象大当り設定画面を表示可能であり、遊技場管理者は、判定対象大当り設定画面にて判定処理の対象となる大当りの種類を機種単位で設定可能である。天井によりARTが発生する場合には、ARTの発生を天井ゲーム数の初期化条件に該当させても良い。図10では、例えば機種Aについて、BB、RB、ARTにチェックを設定しているので、BB、RB、ARTの発生が天井ゲーム数の初期化条件となる。
【0054】
管理装置6は、宵越しスタートと前日最終Sとは別々に管理するようになっている。これは、宵越しスタートと前日最終Sとを纏めて管理する場合、宵越しスタートを遊技者に公開しない場合を想定すると、前日最終Sも遊技者に公開しないことになり、前日最終Sを判断して遊技するか否かを選択する遊技者に対して有益な情報を提示しないことになり、稼動の低下を招く要因となり得るからである。これに対し、宵越しスタートと前日最終Sとを別々に管理することで、宵越しスタートを遊技者に公開するか否かに拘らず、前日最終Sを遊技者に公開することができ、前日最終Sを判断して遊技するか否かを選択する遊技者に対して有益な情報を提示することができ、稼動の低下を招く要因となり得ることを回避可能となる。
【0055】
管理装置6は、図11及び図12に示すように、宵越しスタートに対する範囲設定画面を表示可能であり、遊技場管理者は当該設定画面にて宵越しスタートに対する基準値(最終ゲームに対応した基準情報)を設定し、その差や割合が所定値に達した遊技機1を抽出し、RAMクリアするかの検討候補とする。図11は管理対象がパチンコ遊技機の場合を示しており、図12は管理対象がスロットマシンの場合を示している。尚、最終ゲームとして宵越しスタートを対象とすることを例示するが、宵越しスタートに限らず、初期化条件が成立していない場合に持越さず、最終ゲームのまま利用しても勿論良い。
【0056】
例えば図11に例示する機種Aについて、天井ゲーム数(遊技機における天井時短を発生させるための図柄変動数、基準値)が1500回であることから、抽出用基準値として範囲設定1では1000回と1500回とが設定され、範囲設定2では1501回と9999回とが設定され、赤表示にチェックを設定することで、宵越しスタートが1000回から1500回の遊技機1を範囲設定1に、1501回から9999回の遊技機1を範囲設定2に該当する遊技機1として抽出する。赤表示にチェックを設定しないことで抽出対象から除外する。また、出率を調整するための設定変更機能を持たない遊技機1を設定し、上記した抽出対象から除外する。尚、設定により除外しなくとも良い。
【0057】
次に「デフォルト設定」について説明する。図11では範囲設定1に「和」が選択され、-500と0とが設定されているが、このような設定が上記の通り機種Aに反映されている。即ち、「和」の場合、天井ゲーム数である1500と上記-500との和(合計)である1000を抽出用基準値として設定する。0のような他の設定値も同様である。同様に、「割合」が選択された場合も10%であれば天井ゲーム数の10%である150が抽出用基準値として設定されるが、「固定」が選択された場合は天井ゲーム数に関わりなく設定された値が抽出用基準値として設定される。
【0058】
このような設定はデフォルト設定に所望の設定情報を入力した上で、「デフォルト設定内容で一括反映」釦30の操作により全ての機種を一括して反映した上で「登録」釦31の操作により登録可能であり、新機種が追加された場合には「デフォルト設定」による設定値が上記のようにして新機種の抽出用基準値として設定される。また、任意の機種を変更したい場合には「絞込」釦32の左の入力欄に当該機種名を入力した上で「絞込」釦32を操作すれば、当該機種を絞り込めるので、その状態で「デフォルト設定内容で一括反映」釦30を操作すれば当該機種の抽出用基準値を変更可能である。尚、抽出用基準値の数値だけであれば直接入力して変更することも可能である。
【0059】
宵越しスタートは最終Sとして出率のような遊技情報をシミュレーションする場合に利用可能とする。また、遊技者向けの情報表示装置3にて表示しても良い。宵越しスタートは遊技場全体で管理するか否かを設定可能とするが、機種単位で管理するかを設定可能としても良い。
【0060】
管理装置6は、後述するように天井特典を考慮した遊技情報をシミュレート可能であり、そのための基準となる基準情報を作成可能である。
図13は、管理装置6により作成された基準情報例を示している。基準情報としては、周知のように遊技情報の所定の集計期間(例えば50日)において遊技機別に集計した遊技情報を、その遊技機に設定した設定値により区分して遊技機1台の1営業日(シミュレートの対象期間)当りの平均値を作成する。
【0061】
尚、基準情報としては本実施形態のように実際の遊技情報の集計値を採用しても良いし、メーカより発表される大凡の値を操作入力やダウンロード等により設定した設定値を採用しても良いし、設定値別に遊技情報を特定可能であればどのように基準情報を特定しても良い。
【0062】
管理者は、遊技機1の遊技情報をシミュレートする場合は、台番に対応付けて遊技機1に設定する設定値を想定設定として入力する。すると、管理装置6は、基準情報に基づいて従来と同様に基準となる想定情報(シミュレート情報)を作成する。
図14は、管理装置6により作成された基準想定情報例を示している。即ち、図13の遊技情報をシミュレートの基準値として抽出し、グループ単位(図14であれば1番台から10番台)で平均値や合計値等をシミュレートし、更に営業割数((売上玉(=売上÷貸単価)-アウト+セーフ)÷売上玉)等もシミュレートする。出率や営業割数については、各台の平均値を演算しても良いが、想定アウト等の想定値の合計を演算対象としている。例えば1番台であれば想定設定が5であることから、図13の基準情報の設定5のアウト等を想定アウト等として抽出する。営業割数は平均、或いは合計値にて演算したグループ単位の値を示している。
【0063】
図14では想定設定を入力した上で基準想定情報を特定しているが、グループ単位の平均を指定(入力)することで設定値の組合わせのシミュレートも可能である。即ち、図14の想定粗利(4256円)を指定すると、その想定粗利、或いは当該想定粗利に近似する想定粗利(例えば想定粗利を基準として例えば±100円までの粗利範囲に属する粗利)を得られる設定値の組合わせをリストアップするので、その組合わせが複数リストアップされれば管理者等が選択すれば良い。この場合、設定値の全組合わせによる平均粗利等を算出して条件に見合う組合わせをリストアップすれば良く、条件として粗利や売上等の想定情報そのもの以外に、例えば設定値1を使わない、或いは設定値6を2台使う等、他の条件を設定した上でシミュレートしても勿論良い。また、条件としては入力した値そのものを適宜採用しても勿論良い。
【0064】
管理装置6は、図9により特定される設定値別のゾーン情報を管理している。即ち、設定値、及びゾーン別に対応ゾーン(比較ゲーム)のゲーム数にて遊技を開始した場合にどのような遊技情報を得られるかをシミュレート可能としている。
図15は、管理装置6によりシミュレートされたゾーン情報例を示している。ゾーン情報は、それぞれ対応ゾーンのゲーム数にて遊技場の営業が開始された場合に天井特典を考慮してどのような遊技情報(出率、粗利。比較基準情報)となるかを示している。例えば設定値が1(以下、設定1)であれば、図13より設定1に対応するアウト(平均値)が8561であるので、基準となるアウト(設定1アウト)はこの値を採用する。
【0065】
セーフは、NO.1のゾーンを例示すると、図9より天井期待セーフ(天井特典により得られるセーフ)が329(正確には329.26…)で、天井期待アウトは390であるので、天井期待アウトを設定1アウトから除いた残りアウト(8561-390≒8171)に図13の設定1に対応する出率(96.5%)を乗じた残りセーフは7885となる。これにより、残りセーフ(7885)と天井期待セーフ(329)との合計値である合計セーフは8214となるので、出率は8214÷8561≒95.9%となる。
【0066】
つまり、NO.1のゾーンに関しては、天井特典を考慮した出率は95.9%として特定でき、他のゾーンの出率も同様に特定できる。尚、例えば残りセーフを天井期待アウトに図13の設定1に対応する出率を乗じた376を図13の設定1に対応するセーフ8261から減算しても同様の値が得られ、どのような演算式を採用しても良いのは他も同様である。また、基準情報の出率よりも高い出率を緑色(図15に示す右斜線領域)にて識別出力している。
【0067】
粗利は、設定1アウト8561と合計セーフ8214(正確には8214.26…)と図13の設定1に対応する売上(額)21403円とから演算可能である。ここで、本実施形態では、貸出レートが1枚20円、交換レートが獲得数6枚にて100円分の景品を交換する営業運用を想定していることから、それらのレートを採用しており、売上枚数は21403÷20=1070.15となる。獲得数=売上枚数+セーフ-アウトなので、1070.15+8214.26-8561≒723.4となり、交換額が723.4÷6×100≒12057となるので、売上より差し引いた9346(円)が粗利となる。尚、平均よりも高くなる粗利を緑色(図15に示す右斜線領域)にて識別出力している。
【0068】
以上のように、本実施形態では、セーフについて基準情報の一部を天井特典分として期待されるセーフ分へと置き換えた(即ち、天井期待アウトの対応分を基準情報から差引いた残りセーフと天井期待セーフとの合計値をセーフとした)上で、シミュレート対象となる遊技情報を演算していることを特徴としている。
【0069】
尚、図15では設定値別の図13のアウトから図9の対応ゾーンの天井期待アウトを除いた残りアウトに図13の設定値別の出率を乗じた残りセーフと、図9における対応ゾーンの天井期待セーフとの合計値である合計セーフにより特定される出率や粗利を特定しているが、出率と粗利のいずれか一方のみ、或いは大当り数やアウト等の他の遊技情報を対象としても良いし、例えばARTG等セーフ以外の遊技情報を対象として、基準情報の一部を天井特典分の遊技情報へと置き換えても良い。
【0070】
管理装置6は、図14同様に、図15と最終Sとに基づき遊技機別に遊技情報を異なる想定条件でシミュレートした想定情報を作成可能である。
シミュレートの内容としては、上述したような最終Sをクリアするか否かにより初期化出率(初期化粗利)と、持越出率(持越粗利)とのいずれかとし、後述する図23のシミュレート情報の条件に見合う組合せを特定する。組合せの特定方法は設定可能な組合せを全て抽出し、条件に見合う組合せを抽出すれば良い。
【0071】
図16は、管理装置6により作成された想定情報例を示している。図16では、想定条件として初期化条件を成立させる場合、最終Sが図6の基準Gを上回る天井見込遊技機については設定値を高くすることを条件としてシミュレートしている。これは、モードを変更した場合、天井条件の成立を特定するためのゲーム数が初期化されてしまって遊技者が不満を持つことから、天井見込遊技機の設定値を変更する場合には遊技者に有利となる設定値とすることを条件としているからである。
【0072】
NO.1は図14の基準想定情報のような設定値を設定した上で営業した営業日(前日、或いは前々日)の最終ゲームを「最終S」として特定した場合のシミュレートを示し、他は図14同様、粗利や出率は基準粗利等として表している。つまり、前日の遊技情報である基準情報を想定情報として特定している。尚、「最終S」は図6の基準Gとの比較結果(基準G(図6では600)以上または超過)により天井見込遊技機と特定された遊技機を特定可能に青色(図16に示す右斜線領域)にて識別出力している。
【0073】
NO.2は最終Sのまま営業して最終Sを持ち越した上で、即ち、遊技機の設定値を変更する等により初期化条件を成立させることなく営業した場合のシミュレートを示し、最終Sと図15と対応する設定値とにより特定している。例えば、1番台であれば最終Sが128であるので対応ゾーンがNO.2のゾーンとなり、前日設定が5であることから、設定値が5(以下、設定5)のNO.2のゾーンの出率等を持越出率等として表している。つまり、前日の遊技情報であるゾーン情報の内、最終Sに対応する対応ゾーンを想定情報として特定している。尚、平均は図14同様に各台の出率の平均値ではなくそれぞれ特定したアウト(図13より抽出)とセーフ(抽出したアウトと出率との積)との合計値から演算した値を示している。
【0074】
NO.3は初期化条件を全台成立させて営業した場合のシミュレートを示し、NO.2同様に前日設定に対応する図15のNO.1のゾーンの出率等を初期化出率等として表している。つまり、前日の遊技情報であるゾーン情報の内、開始のゾーンであるNO.1のゾーンを想定情報として特定している。
【0075】
NO.4はNO.1にて最終Sが識別される基準Gに達している遊技機は初期化し、他の遊技機は初期化しないとの前提で対応出率や対応粗利のような遊技情報をシミュレートしている。例えば対応出率は1番台のような基準Gに達していない遊技機は持越出率、2番台のような基準Gに達している遊技機は初期化出率としており、対応粗利も同様である。これ以外に例えば売上額のような他の遊技情報も同様にシミュレート可能である。尚、NO.4は図12に示す範囲設定にて600を下限とした場合を示している。
【0076】
初期化有無は最終Sが基準Gに達していれば「有」となり識別され、平均欄には「有」、つまり、初期化処理の対象となった遊技機数が示されている。このように機種単位で最終Sに応じたシミュレートと遊技機を初期化した場合のシミュレートとを可能としている。一方で、初期化以外で粗利やアウトを調整すべく設定変更する場合のシミュレートも可能で、「対応設定」はシミュレート対象となる営業日における設定値を示し、NO.4では6番台について設定変更した場合を示しており、その対応設定を識別している。
【0077】
この場合、対象となる遊技機が設定値を変更することにより最終Sを初期化する必要があるタイプの遊技機であるので、対応設定における初期化出率や初期化粗利が対応出率や対応粗利として示されている。設定値の変更は操作入力により行っても良いし、図23の計画画面の右側に示すように機種単位、或いは遊技場単位で粗利やアウトが任意の値になるような組合せをシステム側の演算により導出されるようにしても良い。
【0078】
尚、図16ではNO.2のように初期化以外であっても最終Sが異なることでシミュレート結果が異なる場合を示したが、例えば初期化した場合は図16のNO.3、初期化しない場合は図16のNO.1とするといったように、最終Sに応じて異なるシミュレート結果を導出すれば、初期化するか否かだけによって異なる結果となるシミュレートを採用しても勿論良い。
【0079】
さて、遊技場を運営する場合、遊技機を調整することで利益を得るが、その調整度合いに応じてどのような粗利等になるかの営業計画を次のようにシミュレートした上で、遊技機の調整を行うようにしている。
即ち、管理装置6は、営業計画に必要となる遊技機単位で遊技情報を集計している。
図17は機種A(台番601~608の8台)の遊技機単位の1営業日における遊技情報集計例を示しており、次の各項目が設定されている。
【0080】
・設定値=管理装置6にて入力されたモード
・アウト=アウト信号に基づく遊技機1にて消費された遊技価値(消費価値)
・セーフ=セーフ信号に基づく遊技機1の入賞により遊技機1が払い出した遊技価値(入賞付与価値)
・B.B、ART=B.B、ART信号に基づいた各特別遊技状態発生回数
・ARTG=ART中のゲーム数。尚、ゲーム数は最大ベット数分のアウト(例えば3)を特定した場合や、アウト信号間の経過期間が基準期間(例えば3秒)以上となった場合、或いは別途出力されるゲーム信号を入力した場合等に特定する等、周知のどの様な遊技信号により特定する方法を採用しても良い。
【0081】
・差数=遊技価値の差引(アウト-セーフ)
・出率=払出率(セーフ÷アウト)
・売上額=遊技装置2からの売上信号に基づく、遊技機1に対応する遊技装置2にて貸し出した遊技価値(対価付与価値)の貸出料金(対価)
・粗利=遊技による遊技場側の利益(売上額-(売上額÷貸単価-差数)×交換単価)
尚、貸単価=20円、交換単価=16円で演算
【0082】
ここで、図17の「平均」は遊技機1台当りの平均値、「合計」は機種全体の合計値であり、「出率」等では「平均」はレコード平均値、「合計」は合計値(アウト及びセーフ)を演算した結果を示している。尚、図17では機種Aのみの遊技情報の集計を示しているが、管理装置6は、図18の集計を全機種分行うようになっている。
【0083】
管理装置6は、以上のように集計した全ての機種毎の集計結果を設定値により区別して管理している。
図18に示す例では機種A(台数=6台)を対象として、設定値単位での遊技情報の集計例(集計期間(200日)における1日の平均)を示している。ここで、設定値別の集計として「全体」を対象とした集計を行っていないが、集計しても勿論良い。
「台数」は集計期間(200日)における1日の平均対象台数(対応する遊技機1の延べ台数÷集計期間の日数)を示しており、平均対象台数となる台数を全て合計すると機種Aの総台数である「8」となる。尚、合計値等の他の集計方法を採用しても良いし、集計期間等は1営業日等、任意に変更可能とする。
【0084】
管理装置6は、図18の機種Aの設定値別集計に基づいて機種Aの目標情報(例えば粗利)が目標値(例えば5000の近似値)となるような設定値の組合わせをシミュレートする。
図19はシミュレーション例を示しており、入力項目として、「設定値*」が設定されている。図16では最終Sを初期化するか否かに応じたシミュレーション例を示したが、図19は最終Sを初期化するかに関わらず例えば図13に示す基準情報である場合のシミュレーションで、台番による区別がない分、簡易なシミュレーション例となる。
【0085】
図19に示す例は、機種A(台数=8台)を対象として、目標となる遊技情報である目標情報(遊技機1の平均粗利。遊技機グループの遊技情報)が、目標値(5000)に近似する値である目標近似値(±100、即ち4900~5100。目標となる条件)の値となる遊技機1に設定する設定値の配分(組合わせ)をシミュレートした例である。設定値別に設定すべき台数がシミュレートされており、アウト等のシミュレート値については、各設定値に対応する基準値(図19では図18の通常の集計値を採用)が各設定値を設定した場合に得られるとして、その場合における平均値をシミュレート値として特定し、差数や粗利についてはそのシミュレート値を演算した値を示している。
【0086】
シミュレート方法としては、設定値の組合わせを全て抽出し、その抽出した組合わせにより得られる目標情報の演算結果が目標近似値となる組合わせを抽出し、目標値に近似する順にソートしている。図19に示す例では、上記条件ではNO.1からNO.9までの9パターンが条件を満たす組合わせとなり抽出されている。尚、図19のシミュレート方法は周知であるので、その説明は省略する。
【0087】
管理装置6は所定の期間(例えば今月)を対象として一部(例えば月初めから本日までのような営業した期間)を実際に得た遊技情報集計とし、他(例えば明日から月末までのような営業を迎えていない期間)をシミュレート値とする所謂営業計画を特定可能であり、遊技情報集計を固定値としてシミュレート値を変更することで対象期間の目標情報が目標値となる遊技情報をシミュレート可能である。
【0088】
図20図16の対象となる機種Aについて所定の計画期間(1月)を対象とした遊技情報の集計値、及び計画値を示す。「状態」では遊技場が営業を行い、既に得た実際の遊技情報である旨を示す「実績」と、今後営業する上でのシミュレート値のいずれの遊技情報であるかを示す「想定」とが示されている。図20では1月13日までの営業を終え、1月14日からの遊技情報についてはシミュレート値として1月分の遊技情報の計画値を示している。
【0089】
1月14日は図16のNO.4にシミュレートした内容に基づき計画値が示されており、1月15日以降は、仮に1週間前のアウトを得た場合に出率や玉単価が任意の値(図20では出率は99.6%、玉単価は2.5)となった場合の計画値が示されているが、勿論、どのような値を計画値として採用しても、図19のようなシミュレートを採用しても良い。
集計は「実績」と「想定」を対象とした集計値で、「全期間」はそれらを合わせた計画期間全体の集計値を示している。
以上のようにして、上記営業計画や図16図19のようなシミュレートを各機種について行い、その集計値を遊技場全体の計画値として計画することができる。
【0090】
尚、基準値は集計値や操作入力値を設定すれば良いが、例えば複数の遊技場を対象として図18の様な集計を行い、その集計値を基準値として設定しても良い。この場合、複数の遊技場の遊技情報を集計するサーバを、公衆回線を等通じて遊技場の管理装置6と通信可能として、遊技情報を受信または送信する構成とすれば良い。
また、図20では「想定」におけるアウトや売上等を全ての営業日にて同一の基準値としたが、別々の値としたり、平日と土日とに分けて設定したりする等、周知のどの様な方法を採用しても良い。
【0091】
図21はシステム側で特定した設定値や最終Sの初期化する旨の情報を、実際の遊技機に対応させるために出力される帳票を示している。このような帳票は例えば紙媒体に印字したり、タブレットのような形態端末に表示したりすることで、従業員が遊技機近辺に携帯可能な状態で出力され、当該帳票を参照して遊技機を操作することで、設定値を変更したり最終Sを初期化したりすることになる。
【0092】
図21では実際の遊技島のレイアウトを模しており、遊技機が配置される箇所に台番が示され、機種単位で機種名が示されると共に、変更前と変更後、即ち前日の設定値と当日の設定値とを示している。
ここで、変更前と変更後との設定値が異なる遊技機、即ち設定変更する必要のある遊技機は変更後の設定値の枠線が太くなることで識別されている。また、設定変更に関わらず最終Sクリア対象となる遊技機は台番が反転されることで識別されている。
【0093】
つまり、図16にて説明した通り機種Aは設定変更に伴い最終Sもクリアされるので、設定変更と最終Sのクリアとのいずれかを行えば良いが、機種Eは設定変更しても最終Sがクリアされないので、27番台のように設定変更するだけとするか、29番台のように設定変更した上で最終Sをクリアするのか、28番台のように設定変更することなく最終Sをクリアするのかを選択的に行うことになる。
このような帳票に示す情報は、例えば遊技機に設けられる情報表示装置3や遊技装置2にて表示するといったように図21以外の出力対象としても良い。初期化処理としては図16図20のようなシミュレートの対象となる遊技機のシミュレート上の最終Sを初期化するだけでなく、図21のように実際の遊技機の最終ゲームを初期化するために対象となる遊技機を帳票上に示す処理も含まれ、いずれか一方のみを採用しても良い。
【0094】
管理装置6には、図16図20のような機種別の遊技機の遊技情報、及び遊技場の営業計画の少なくも一方をシミュレート処理する際に必要となる情報として、種別や設置階数(フロア)の組合せ(例えば1階の20円スロットと、1階5円スロット)が対応付けられた複数のパターン候補が予め設定されている。
【0095】
図22はシミュレート操作による営業計画のシミュレート開始時に表示される複数のパターン候補を示しており、そのいずれかが排他的に選択可能となっている。管理者がいずれかのパターン候補を排他的に選択すると、対応する条件に見合う機種を抽出して一覧表示する。
図23左側は抽出された一覧表示を示している。管理者が一覧表示されている機種の中で任意の機種を選択すると、その選択した機種を対象とした図16のNo.4のようなシミュレート内容を図23右側に示すように表示する。
【0096】
図23の右側に示す画面について説明する。上から、シミュレート情報として、選択した指定機種と、その機種が属する種別との平均値が示され、その下の台粗利(目標台粗利指標)、コイン粗利、出率のいずれかを任意で選択した上で目標数値や範囲のような条件を設定し、その下の「実行釦」を押下すると、その条件に見合う遊技機の組合せ候補が台番単位で対象となる設定値を対応付けて下方に表示され、いずれかの組合せ候補を選択してその下の「反映」釦を押下するとその機種のシミュレート情報がその組合せ候補として登録される。このようなシミュレートを他の機種についても行う。尚、図23では説明の都合上、1つの組合せ候補だけを例示しているが、図19同様に設定値による組合せを全て抽出し、上記条件に見合う複数の候補を出力している。
【0097】
初期化処理を行う場合、図23に示すように機種一覧の上部に「最終Sクリア一括」釦33(初期化操作手段)が設けられており、当該「最終Sクリア一括」釦33の押下に応じて「最終Sクリア一括入力確認」ダイアログが表示される。
図24に示す「最終Sクリア一括入力確認」ダイアログでは処理選択として全機種と指定機種とが選択可能で、指定機種を選択した場合は、「最終Sクリア一括」釦33の押下時に選択していた機種が選択された状態になる。
【0098】
「OK」釦35が選択された場合、図12のような範囲設定の条件に見合う遊技機の最終Sをクリアするが、「キャンセル」釦36が選択された場合は最終Sをクリアすることなくシミュレートする。
尚、「キャンセル」釦36を選択して修正する場合、前回処理にて最終Sがクリアされた機種はクリアされない状態に戻るようにしているが、クリアした機種はクリアしたままとしても良い。
また、最終Sをクリアする場合には、入力確認を行い、「OK」釦35が選択された場合にクリアするようにしたが、直ちにクリアするようにしても良い。
【0099】
一方、図23に示すように「最終Sクリア一括」釦33の隣には「一括モード配分」釦34が設けられ、この「一括モード配分」釦34を操作すると上述したような機種別シミュレートを一括して行い、遊技場全体の粗利や出率といった条件に見合うような遊技機の組合せを導出するが、「最終Sクリア一括」釦33と独立していることから、一括して最終Sをクリアした上で一括モード配分を行うのか、最終Sをクリアせずに一括モード配分を行うのかを選択的に実行可能としている。
このような最終Sをクリアするか否かは機種単位で選択可能で、図12の「一括操作」が対応し、「一括操作」のチェック欄にチェックを入れれば上記のようなクリア処理の対象となり、入れなければ処理の対象とならず最終Sをクリアする遊技機を個別に選択することになる。
【0100】
最終Sをクリアした旨は図21のように遊技場従業員が遊技機に対するクリア操作を行う際に参照可能に出力され、当該従業員の遊技機に対する操作によりシステム側で登録された情報が遊技機側に反映される。また、最終Sをクリアしたか否かに応じて実際に生じた遊技情報を区分して管理するといった管理方法に用いても良い。
つまり、最終Sをクリアした旨の利用用途はシミュレートに限らず、その他、その旨を示すだけであっても意義がある。
【0101】
ところで、遊技場の中にはシミュレートした結果を参照することなく最終Sが基準値に達しているといった図12のような範囲設定の条件を満たした遊技機や、場合によっては全台を対象として最終Sを毎日クリアする遊技場も見受けられ、このような遊技場では、「最終Sクリア一括」釦33によるような最終Sをクリアする旨の操作入力を面倒に感じたり、その操作漏れが生じたことから遊技情報の管理に影響が生じたりする虞がある。
【0102】
このような事情から、本実施形態では、最終Sクリア処理を毎日手動で一括クリア操作により行っている店舗では、営業計画作成前に一括クリア操作は必ず行う操作のため、システムとして自動で行えるようにすることで、操作ミスや操作漏れを低減し、計画を効率よく行えるようにした。
【0103】
即ち、管理者がシミュレート処理を行うための図22に示すパターン候補を選択する操作をした場合、そのパターン候補に対応する種別やフロアの組合わせを対象として図12のような範囲設定の条件に見合う遊技機を最終Sのクリア対象とする。
また、パターン候補が選択された場合に、最終Sをクリアするか(シミュレート操作に応じて初期化処理を行うか否か)は予め設定可能であり、このようにシミュレート操作に伴って最終Sをクリアすることを嫌う遊技場は、シミュレート操作に伴って最終Sをクリアせず、上記した「最終Sクリア一括」釦33の操作により最終Sをクリアすれば良い。
尚、最終Sをクリアするためのシミュレート操作は、シミュレートに応じた操作であれば、図22のようなシミュレートを開始するための操作だけでなく例えばシミュレート登録釦の操作のような他の操作でも良い。
【0104】
上述した本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
管理装置6は、図22のような天井機能を備えた遊技機の遊技情報をシミュレートするための操作に応じて、対象となる遊技機の最終Sをクリアするので、別途行うシミュレートを行うことで最終Sをクリアできるようになり、システム側に最終Sをクリアする旨を示す操作を面倒に感じること、或いはその操作漏れが生じることを低減可能となる。
【0105】
図12のように最終Sを対象とした基準情報が予め設定されており、最終Sクリア対象となる遊技機はその比較結果に応じて特定されるので、シミュレートに応じた操作により最終Sをクリアするにしても、クリアする必要性の低い遊技機を除外した上でのクリアが可能となる。
【0106】
パターン候補が選択された場合に、最終Sをクリアするかを予め設定可能であり、シミュレートに応じた操作により対象となる遊技機の最終Sをクリアするかを予め設定可能とするので、最終Sをクリアする遊技場だけでなく最終Sをクリアしない遊技場に対してもニーズに応じて適切に対応可能となる。
【0107】
シミュレートに応じた操作以外に、「最終Sクリア一括」釦33によるような最終Sをクリアする操作を可能とするので、クリアする操作を面倒に感じることや操作漏れといった虞を危惧する遊技場はシミュレートに応じた操作により最終Sをクリアし、そのような虞を危惧せず、又は、最終Sをクリアするかは適宜判断により決める遊技場はそれ以外の操作にてクリアするといったように遊技場のニーズに応じた操作を選択的に採用可能となる。
【0108】
図16にて示したシミュレートは最終Sをクリアするか否かにより結果が異なるシミュレートであり、シミュレートに応じた操作は当該シミュレートを開始するための操作なので、最終Sをクリアするか否かに応じた適切なシミュレートが可能となるだけでなく、最終Sをクリアするための操作がシミュレートの開始操作であるため、最終Sをクリアするための操作を面倒に感じることや、操作漏れが生ずる虞を更に低減できる。
【0109】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組合せたり、各変形例を組合わせるようにしても良い。
図22について、担当者であるか否かに関わらず種別やフロアを区分せずに種別やフロアの組合せを選択可能とすることを例示したが、担当者だけが選択可能としても良いし、同一フロアや同一種別を担当者により区分して選択できるようにしても良い。勿論、機種単位で選択できるようにしても良く、どのように選択できるようしても良い。
【0110】
初期化条件を成立させた場合の想定情報として図16のNO.3のような想定情報を例示したが、設定値別、且つ初期化条件を成立させたか否かにより区分して遊技情報を集計し、その対応する集計値を想定情報として採用しても良い。同様に図15のゾーン情報も想定情報を例示したが、図8と同様に粗利等を集計して実績値を採用しても良い。
【0111】
図16にてシミュレートする場合に持越粗利や初期化粗利となるシミュレートを例示したが、任意の粗利や粗利以外の出率や営業割数、或いはアウト等、どのような遊技情報を条件として採用しても良く、平均設定値のような他の遊技情報を対象としたシミュレートを行っても良い。また、図19のようなシミュレートを行う場合に目標となる遊技情報である平均粗利を対象とした範囲を例示したが、目標となる遊技情報に対して近似する順番にソートして例えば上位10位迄の想定情報を特定しても良い。
【0112】
図16図19に示すシミュレートを図23のような複数の機種を対象としたシミュレートを行う場合に行うことや、図20のような営業計画をシミュレートする場合に行うことを例示し、図23のシミュレート処理を図22のようなシミュレート操作に伴って行うことを例示したが、例示したようなシミュレート処理は夫々独立して行っても良く、そのようなシミュレート処理に伴う例えば図22のような開始操作やシミュレート内容の登録操作をシミュレート操作として初期化処理を行っても良い。
【0113】
ゲーム数により区分すれば必ずしもゾーンのように複数ゲームを纏める必要はなく、1ゲーム単位で天井情報等を特定しても良い。ゾーンを特定する場合等、最終ゾーンのように範囲を設定する場合には上限と下限とを必ずしもそれぞれ設定する必要はなくそれを特定できればどのような設定を行っても良い。
【0114】
基準値との比較等として「超過」と「以上」とのいずれを採用しても良い。また、「未満」と「以下」とを含め、達しているや上回る等の表現は正負の符号が同一の基準値に対してその絶対値が「超過」或いは「以上」になるとの概念となる。
図6等の設定情報は予め設定されていれば遊技場管理者が任意に設定しても、管理装置6の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバからダウンロードして設定しても良いし、実績値をそのまま設定しても良い。
【0115】
例示した全ての遊技情報は遊技信号により直接的に特定しても演算式等を利用して間接的に特定しても良い。例えば天井特典をゲーム数等の遊技情報により間接的に特定したが、天井特典が発生した旨を直接的に特定可能な遊技信号により天井特典を特定したり、天井特典を特定することで参照天井ゲーム数を特定したりする等。
【0116】
管理装置6におけるモード(遊技機設定値)の特定(設定)は管理者による操作入力により特定すれば良いが、遊技機からのモードを特定可能な遊技信号や前日のシミュレート結果により特定する等、どのような設定方法を採用しても良い。
設定値別に図13~16等の遊技情報を管理することを例示したが、遊技機に対して設定値が設定できない等の場合もあるので、必ずしも設定値別に遊技情報を管理する必要はない。
【0117】
前日設定よりも遊技者にとって有利な設定値とする場合、予め設定される設定値とする(例えば最も遊技者に有利な設定値6とする等)としても良く、必ずしも前日設定との比較した結果により設定値を特定する必要はない。
天井GとGとの比較により天井特典を特定したが、簡易的に最終ゾーンにおける対象となる特別状態を天井特典として特定しても良い。
【0118】
天井投資価値により特定される遊技情報を特定する場合、必ずしも天井投資価値自体を特定する必要はない。即ち、例えば天井到達差数を特定する場合、天井迄の差数を特定しなくとも天井迄の差数を特定可能な演算式を天井到達差数の演算式に含んでいれば特定可能であり、このような場合、天井到達差数は天井投資価値である天井迄の差数を特定しなくとも天井投資価値により特定される遊技情報を特定することとなる。
【0119】
対象となる遊技機は、スロットマシンやパチンコ遊技機等が例示できるが、パチンコ遊技機の場合、多くは図柄変動数により天井条件が設定されるので、図柄変動数等をゲーム数として特定して天井特典等を特定すれば良い。また、特別状態としてARTという複合状態を例示したが、AT状態やRT状態等の状態等を特別状態とする遊技機を対象としても良い。また、パチンコの場合には天井特典として時短状態のような特別状態の発生を例示できる。更に遊技媒体を排出せずデータ上のポイントを遊技に応じて更新する所謂封入式の遊技機等も想定できるため、玉やメダル等の遊技媒体や上記ポイントを包含する遊技価値という表現を適宜使用した。
【0120】
ハマリゲーム数が天井ゲーム数に達した場合に天井条件が成立して特別状態が発生する遊技機を例示したが、天井ゲーム数に達するのに応じて特別状態の抽選確率が高まる等、通常状態よりも特別状態を発生させ易くする状態となる天井特典を与える遊技機を対象としても良い。この場合、その後に発生する特別状態を特定することで天井特典を特定することになる。即ち、ハマリゲーム数が天井ゲーム数に達することで遊技者に有利となる天井特典であればどのような特典を天井特典としても良い。
【0121】
ハマリゲーム数をボーナスもARTも発生しない上でのゲーム数とする遊技機を例示したが、途中、ARTが発生してもBB発生間のゲーム数が天井ゲーム数に達すれば天井条件が成立する等、特定の特別状態の発生間のゲーム数が天井ゲーム数に達することにより天井条件が成立する遊技機に適用しても良い。
【0122】
この場合、その遊技機のスペックを考慮して適宜、初期化条件の成立、天井情報、天井G、或いは天井特典等を特定、或いは設定すれば良く、例えば上記した天井状態が特別状態を発生させ易くする状態であれば、遊技機に天井Gに達して天井条件が成立し、数ゲームを実行後に特別状態が発生するので、遊技機の天井ゲーム数よりも若干多いゲーム数を天井Gとして設定すること等を考慮する必要がある。尚、天井特典が発生した場合も特別状態の発生等に応じて初期化条件は成立する。また、設定変更を行った場合や設定値の打直しを行った場合にも遊技機の初期化処理が行われるので、天井条件を判定するためのゲーム数も初期化される。
【0123】
ハマリゲーム数をゲームの進行に応じて加算することを例示したが、例えば初期値を1530として減算し、天井ゲーム数を0等と設定して、ハマリゲーム数と天井ゲーム数とを比較するような遊技機を対象としても良く、どのように天井条件が成立したかを特定しても良い。この場合、例えばハマリゲーム数が1530のときに0とする等、ハマリゲーム数に対応するゲーム数を実施形態と同様に特定して対応ゲーム数として取り扱うようにしても良い。
【0124】
遊技場管理者向けの情報表示を例示したが、天井情報等は遊技機の性能を示すため遊技者も把握したい遊技情報であるため、遊技装置2や情報表示装置3等にて遊技者向け表示しても良い。また、遊技者向けの表示を行う場合に、各台に対応した情報表示装置3だけでなく島端等により複数の遊技機に対応した情報表示装置3にて表示しても良い。
【0125】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良いし、適宜採用しない項目を設けても良い。
機種単位として例示した設定情報や遊技情報を、遊技機単位で設定したり管理したりしても良い。同様に遊技機単位で例示した情報を機種単位としても良い。
抽出基準値と宵越しスタートを直接的に比較することで遊技機を抽出することを例示したが、例示した「和」や「割合」、或いは「差」といった天井ゲーム数との比較値と抽出基準値(例えば10%)とを比較することで間接的に抽出基準値と宵越しスタートとを比較しても良い。
【0126】
遊技機グループとして機種を例示したが、例えば遊技機島単位やレート単位、或いは遊技場全体の遊技機を1グループとする等、任意の遊技機グループを対象としても良い。また、図22の選択対象もレート単位の種別だけでなく機種のような他の遊技機グループ単位としても良い。
設定値別に図18等の遊技情報を管理することを例示したが、パチンコ遊技機のように設定値を設定しない遊技機等もあるので、必ずしも設定値別に遊技情報を管理する必要はない。
【0127】
遊技場管理者向けの情報表示を例示したが、遊技装置2や情報表示装置3等にて遊技者向けに表示しても良い。また、遊技者向けの表示を行う場合に、各台に対応した情報表示装置3だけでなく島端等により複数の遊技機に対応した情報表示装置3にて表示しても良い。
システム側が行う処理は、管理装置6、遊技装置2、情報表示装置3、中継装置4等の何れで行っても良いし、どのように分担して行っても良く、遊技情報の特定や管理等を行う手段はどのように構成しても良い。
【符号の説明】
【0128】
図面中、1は遊技機、6は管理装置(遊技情報特定手段、シミュレート手段、出力手段、初期化手段、基準情報設定手段、初期化設定手段)、8はモニタ(出力手段)、33は「最終Sクリア一括」釦(初期化操作手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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