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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175383
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A41D13/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081731
(22)【出願日】2021-05-13
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】391016587
【氏名又は名称】出雲造機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116861
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 義博
(72)【発明者】
【氏名】宮内 幸一
(57)【要約】
【課題】常時着用でありながら、見栄えを損ねず、着用の負担感を低減し、シーンに応じて着用態様を素早く切り替えることができるマスクを提供すること。
【解決手段】 口元を覆う本体部10と、耳に掛け渡す紐部20と、により構成されるマスク1であって、紐部20は、一本の紐体であって、両端が本体部10の左右上方に接合し、中央部分が本体部10下方裏側に着脱可能に構成され、着状態と脱状態とで、本体部10の口元への密着の度合いを可変にしたことを特徴とするマスク1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口元を覆う本体部と、耳に掛け渡す紐部と、により構成されるマスクであって、
紐部は、一本の紐体であって、両端が本体部の左右上方に接合し、中央部分が本体部下方裏側に着脱可能に構成され、
着状態と脱状態とで、本体部の口元への密着の度合いを可変にしたことを特徴とするマスク。
【請求項2】
口元を覆う本体部と、耳に掛け渡す紐部と、により構成されるマスクであって、
紐部は、一本の紐体であって、両端が本体部の左右上方に接合し、中央部分は本体部の左右下方にあけられた、紐体と略同径の孔に挿通されて本体部裏側を通るように構成され、
着用時に本体部下端を顎から離間させ鼻から顎にかけての空洞を作出可能とし、本体部両下端を左右に引っ張り本体部を再度口元へ密着させることも可能とし、本体部の口元への密着の度合いを可変にしたことを特徴とするマスク。
【請求項3】
本体部は、それぞれ横長である二枚の上本体部と下本体部により構成され、上本体部の下部は、下本体部の上部より顔面外側に位置して重なり、
上本体部の下部および/または下本体部上部には、当該部分の形状を保持するワイヤが付加されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常時着用でも装着の負担感を軽減するマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型コロナウィルスの蔓延など、人々の生活様式が変わり、マスクの常時着用が求められている。
特に、会社などでは、来訪者の前では先方を不快にさせる可能性をなくすため、必ずマスクをつけて対応する必要がある。
一方でデスクワーク時には隣とも距離があったり、換気が十分であったりするため、対面時のようなマスク着用態様でなくともよい場合がある。特に、長時間の常時着用は、息苦しく感じたり眼鏡が曇る煩わしさがあったりして作業性が低下し、また、皮膚が弱い場合にはかぶれるなど、副次的にも悪影響が出てくる状況下にあった。
しかしながら、ずらして顎にかけた姿や、片耳がけなどの姿は、だらしなく見えてしまうので、それはそれで問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3136084
【特許文献2】実用新案登録第3229017
【特許文献3】特開平9-239050
【特許文献4】特開2016-79532
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、常時着用でも見栄えを損ねず装着の負担感を軽減可能なマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のマスクは、口元を覆う本体部と、耳に掛け渡す紐部と、により構成されるマスクであって、紐部は、一本の紐体であって、両端が本体部の左右上方に接合し、中央部分が本体部下方裏側に着脱可能に構成され、紐体の着状態と脱状態とで、本体部の口元への密着の度合いを可変にしたことを特徴とする。
【0006】
すなわち、請求項1にかかる発明は、普通にマスクをつけている状態と、マスクをつけつつ下方を解放して装着の負担感を軽減する状態とを、容易に切り替えることができる。
【0007】
本体部とは、口元を含み場合により目の下から顎にかけて顔面を被覆する布地体をいう。材質は特に限定されないが、不織布、綿その他の天然繊維の生地、ウレタン素材とすることができる。本体部は、装着時に顔の正面の中心線に対して左右対称の形状であることが好ましく、外形が長方形、扁平5角形、扁平6角形、樽形、楕円形を基調とすることができる。なお、本願では特に断らない限り、装着者が立った状態におけるマスクの着用時を基準として、左右や水平等を概念するものとする。
本体部は、水平に複数の折り込みをいれ装着時に立体的な形状となり顔面に沿うようなものであっても当然によい。また、本体部上部中央には、扁平な金属ワイヤまたはプラスチックワイヤを水平方向に埋入もしくは貼着して、鼻の凸にも追従してマスク上辺が顔面表皮に沿うように構成することが好ましい。
本体部は、また、ウレタンマスクに代表されるように、二枚の布地体の一辺が弧を描くように接合され、この接合線が中心線となり、左右に広げると自ずと立体的形状が作出されるようなものであってもよい。
紐体とは広義であり、長いことに由来して紐様であることを概念できれば特に限定されない。所定幅をもって本体部から一体的に境目なく延伸して形成されているものも紐体に含まれる。従って、接合とは、別のものや異なるものが結合していることに限定されず、両者がつながっていれば接合に含まれる。
また、一本とは、同素材が一様に連続したものであることに限らず、中途、たとえば中央部分が別素材であったり異なる太さや幅となっていたりしても、つながっていれば一本に含まれる。紐体は全部もしくは部分的に伸縮性のある素材により構成するのが好ましい。編み方や織り方により伸縮性のある構造としてもよい。
着脱可能とする態様も特に限定されず、紐体中央の所定長さ部分と、本体部下方裏側(本体部下方内側)とが、面ファスナーとして形成されている例を挙げることができる(このとき紐体中央部分は所定幅の帯紐様としてもよい)。この面ファスナーは、下方裏側の全面でなくスポット的に形成して、たとえば左右下端裏側と中央下端裏側の3点で接合させるようにすることもできる。使用の態様により粘着テープを用いることもできる。また、本体部下方左右端においてスナップボタン等を用いた接合とすることもできる。なお、裏側または内側とは顔面側をいう。
密着の度合いを可変にした、とは、顔面に沿って口まわりや鼻まわりを十全に覆う、いわば、通常のマスクのモードと、正面からみて通常のマスク着用姿とほとんど変わらず本体部の上辺が鼻を含めて顔面の凹凸に沿っているものの、本体部の主として下側が解放された(しかしながら呼気は前方へは吹き出さない)、いわば長時間使用でもストレスを感じにくいモードと、が存在することをいう。
【0008】
請求項2に記載のマスクは、口元を覆う本体部と、耳に掛け渡す紐部と、により構成されるマスクであって、紐部は、一本の紐体であって、両端が本体部の左右上方に接合し、中央部分は本体部の左右下方にあけられた、紐体と略同径の孔に挿通されて本体部裏側を通るように構成され、マスク着用時に本体部下端を顎から離間させ鼻から顎にかけての空洞を作出可能とし、本体部両下端を左右に引っ張り本体部を再度口元へ密着させることも可能とし、本体部の口元への密着の度合いを可変にしたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項2にかかる発明は、普通にマスクをつけている状態と、マスクをつけつつ下方を解放して装着の負担感を軽減する状態とを、容易に切り替えることができる。
【0010】
左右下方とは、概ね本体部の下の左右が概念できれば足りるものとする。下方を下端ないし下端部分と表現してもよい。
略同径の孔とは、孔が紐体上を滑らずとどまる程度の摩擦関係、係止関係、留め関係、であれば特にその孔形状は限定されない。
孔の数は限定されない。孔を左右1つずつとするときには、紐体が外側から内側に入り、本体部裏側下方をわたって他端の内側から外側に抜ける様にすればよい。孔の数を左右2つずつとする場合は、紐体が内側から外側に一旦でて再び内側に入り、本体部裏側下方をわたって他端の内側から外側にでて再び内側にはいって抜ける様にすればよい。左右2つずつの場合は、紐体の固定性がより高まる。
なお、位置決めがしやすいように、また、本体部の形状がいびつにならないようにするために、紐体の中央から左右対称の所定距離の位置にコブを設けそれ以上またはそれ以下には孔が移動できないようにしてもよい。また、請求項1の構成と同様に、中央部分を本体部下方裏側に着脱可能に構成してもよい。このとき、紐体の中央から左右対称の所定長さについては、所定幅の帯紐様とすることもできる。
密着の度合いを可変にした、とは、顔面に沿って口まわりや鼻まわりを十全に覆う、いわば、通常のマスクのモードと、本体部の上辺は鼻を含めて顔面の凹凸に沿っているものの、本体部の下側を顎ないし顎下から浮かせて呼気を前方へは吹き出させず、楽な呼吸を確保する、いわばストレスが軽減されるモードと、が存在することをいう。この軽減モードは、本体部下辺の浮き上がりひいてはそれにより形成される空洞の大きさを調整できるので連続的なものとなる。
【0011】
請求項3に記載のマスクは、請求項1または2に記載のマスクにおいて、本体部は、それぞれ横長である二枚の上本体部と下本体部により構成され、上本体部の下部は、下本体部の上部より顔面外側に位置して重なり、上本体部の下部および/または下本体部上部には、当該部分の形状を保持するワイヤが付加されていることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項3にかかる発明は、ワイヤによって本体部の形状を整えて顔に沿わせ、かつ、鼻からの息抜けも良好にし、呼気を前方に放散せず眼鏡もくもりにくくすることができる。
【0013】
上本体部も下本体部も、水平に複数の折り込みをいれ装着時に立体的な形状となり顔面に沿うようなものとしてもよいことはいうまでもない。また、使用の態様により、上本体部の下部裏側(下部内側)と、下本体部の上部表側(上部外側)は、面ファスナーなどにより封止し一体化が可能に構成してもよい。
ワイヤは、所定幅所定長さの薄い帯板状であることが好ましい。付加とは本体部に埋入もしくは貼着する態様を挙げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、常時着用でありながら、見栄えを損ねず、着用の負担感を低減し、シーンに応じて着用態様を素早く切り替えることができるマスクを提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1のマスクの構成例を示した説明図である。図1aは正面図、図1bは背面図である。
図2】実施の形態1のマスクの着用の様子を示した説明図である。図2aは、通常モード、図2bは、解放モード1の状態を示している。
図3】実施の形態2のマスクの構成例を示した説明図である。図3aは正面図、図3bは背面図である。図3cは、重なり部分の拡大断面図である。
図4】実施の形態2のマスクの着用の様子を示した説明図である。図4aは、通常モード、図4bは、分離モードの状態を示している。なお、図4では、ワイヤ34の描画を省略している。
図5】実施の形態3のマスクの構成例を示した説明図である。図5aは正面図、図5bは背面図である。図5cは、図5bのA-A断面図、図5dは、図5bのB-B断面図である。
図6】実施の形態3のマスクの着用の様子であって、解放モード2の状態を顔面側から描画した概要説明図である。なお、帯部62は描画しない顔面(顎近傍)に当接したままである。 なお、各図においては、説明および表示の便宜上、各要素の縮尺は必ずしも統一していない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1のマスクの構成例を示した説明図である。図2は、実施の形態1のマスクの着用の様子を示した説明図である
マスク1は、口元を覆う本体部10と、耳に掛け渡す紐部20と、により構成される。
【0018】
本体部10は、外形が横長の長方形の不織布により形成されている。大きさは横175mm、縦95mmである。また、本体部10は、水平に3段の、深さ10mmの折り返し11が形成されており、着用時には折り返し11が展開し、口元を含み、鼻元(鼻根部)から顎の下までの顔面を被覆する。
また、本体部10の上辺直下には長さ90mm、幅3mm、厚み1mmのポリエチレン製のワイヤ12が一本埋入されている。このワイヤ12は可塑性であり、鼻の凸形状を含み顔面に追従し、本体部10の特に上部を顔面に密着させる働きをする。これにより、上方への息漏れが抑制され眼鏡が曇りにくくなる。
更に、本体部10の下部の裏側(顔面に接する側)には、接合部13が形成されており、後述の帯部22と脱着する。接合部13は、幅7mm長さ170mmであり面ファスナーのループ側により形成される。
【0019】
紐部20は、中にごく細いゴム紐を有し(図示せず)、外側を伸縮性を持たせる編み方により形成されたポリエステル製の2本の掛紐21と、その間に介在させる細長の帯部22と、により構成される。掛紐21は、自然長の状態で太さ2mm×3mm×170mmの紐であり、450mm程度までは延伸可能である。帯部22は、幅7mm長さ170mmの面ファスナー(フック側)である(適宜同形の不織布と合着させてもよい)。掛紐21の両端は、本体部の左右上方に熱溶着して取り付けられる。
紐部20は以上であるので、面ファスナーを閉じた場合には、マスク1全体を正面視すると、本体部10の左右上下からそれぞれ掛け紐21が輪になった、一般的なマスクに見える。一方、面ファスナーを外すと、1本の輪の紐部20に本体部10がとりついた構成に見える。
【0020】
次に、マスクの使用態様について説明する。
マスク1を通常着用するときは、帯部22を接合部13につけて、すなわち、面ファスナーを閉じて使用する。この使用態様は、通常のマスクと何ら変わらず、機能も着用姿も通常のマスクそのものである(この状態を通常モードと以降適宜称する)。
一方、マスク1は、帯部22を接合部13から外し、すなわち、面ファスナーを外し、本体部10は口元を覆ったまま本体部10の下部を解放することもできる(この状態を解放モード1と以降適宜称する)。
このとき、掛紐21は、耳がけしたままであり帯部22は適度な張力を以て喉に掛けることができる。従って、解放モード1でも、本体部10がずれ落ちたりすることはなく、着用姿も通常のマスクとほとんど変わることがない。すなわち、解放モード1では、息が前方に放散せずに息抜けはよく、長時間の着用でも息苦しさといったストレスを感じにくくなり、また、眼鏡の曇りも十分に抑制される。加えて、急な来客等があっても、着用姿は普通のマスクとほとんど変わらず悪い印象を与えることがない。また、必要に応じて帯部22を接合部13に着け直せば通常モードに素早く移行でき、利便性に優れる。
【0021】
<実施の形態2>
次に、本体部が二枚に分離した態様について説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図3は、実施の形態2のマスクの構成例を説明した説明図である。図4は、実施の形態2のマスクの着用の様子を示した説明図である
マスク2は、口元を覆う本体部30と、耳に掛け渡す紐部40と、により構成される。
【0022】
本体部30は、横長さが同一の二枚の横長の長方形の不織布により形成されている(上に位置する方を上本体部31、下に位置する方を下本体部32と称することとする)。大きさはいずれも横175mm、縦60mmであり、上本体部31の下部と下本体部32の上部は下本体部32が内側(顔面側)に来るようにして25mm重なりあっている。
また、いずれの本体部も水平に1段の深さ15mmの折り返し33が形成されており、着用時には折り返し33が展開し、口元を含み、鼻元(鼻根部)から顎の下までの顔面を被覆する。
また、上本体部31の上辺直下には長さ90mm、幅3mm、厚み1mmのポリエチレン製のワイヤ12が一本埋入されている。さらに、上本体部31の下辺直上にも長さ160mm、幅3mm、厚み1mmのポリエチレン製のワイヤ34が一本埋入されている。ワイヤ34は、後述するように、上本体部31と下本体部32とを離間して着用する際に、鼻先以下の上本体部31の形状ないし姿勢を保つために用いられる。
また、上本体部31の下部の裏側には上接合部35が形成されており、後述の下接合部36と脱着する。この上接合部35も接合部13と同様、幅7mm長さ170mmであり面ファスナーのフック側により形成される。
一方、下本体部32の上辺から15mm下がった位置までを幅として水平に170mmの面ファスナーのループ側が取り付けられた下接合部36が形成されている。上接合部35と下接合部36が合接しているときは、正面視において通常のマスクと何ら変わるところがなく、呼気も前方に放散しない。
更に、下本体部32の下部の裏側(顔面に接する側)には、接合部13が形成されておりフック部41と脱着する。接合部13は、幅7mm長さ170mmであり面ファスナーのループ側により形成される。
【0023】
紐部40は、中にごく細いゴム紐を有し(図示せず)、外側を伸縮性を持たせる編み方により形成されたポリエステル製の2本の掛紐21と、その間に介在させる細長のフック部41と、により構成される。フック部41は、面ファスナーのフック側により形成された長さ170mmの紐である。太さは、フックの平均長さも含めれば4mmΦである。
【0024】
マスク2を通常着用するときは、フック部41を接合部13に着けて使用する(通常モード)。
一方、帯部22を接合部13から外し、マスク2を着用したまま本体部10の下部を解放することもできる(解放モード1)。
更に、面ファスナーを剥がし、上本体部31を下本体部32から浮かして使用することもできる(この状態を分離モードと以降適宜称する)。このとき、ワイヤ34により上本体部31の形状を整える。主として鼻先から頬部分にかけて空洞を形成すればよいが、このとき呼気が下方に向くようになる形状とするのが好ましい。
もともと上本体部31と下本体部32には重なりがあるので、分離モードでの着用姿も通常のマスクとほとんど変わることがない。すなわち、分離モードでも、息が前方に放散せずに息抜けはよく、長時間の着用でも息苦しさといったストレスを感じにくくなり、また、眼鏡の曇りも十分に抑制される。加えて、急な来客等があっても、着用姿は普通のマスクとほとんど変わらず悪い印象を与えることがない。また、必要に応じて上接合部35を下接合部36に着け直せば通常モードに素早く移行でき、利便性に優れる。
なお、仕様の態様により、分離モードかつ解放モード1とすることもできる。
また、下本体部32の上部にもワイヤを埋入させてもよい。
面ファスナーにかえて、繰り返し脱着が可能な粘着テープを用いることもできる。
【0025】
<実施の形態3>
次に、本体下部の左右に空けられた孔に紐部が挿通された態様について説明する。なお、実施の形態1または2と同様な構成については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図5は、実施の形態3のマスクの構成例を示した説明図である。図6は、実施の形態3のマスクの着用の様子であって、解放モード2の状態を顔面側から描画した概要説明図である。
マスク3は、口元を覆う本体部50と、耳に掛け渡す紐部60と、により構成される。
【0026】
本体部50は、略台形形状であって台形の下底が弧51を描いた同形の二枚の不織布により形成され、この弧51に沿って両者が接合したものである。2つの上底部分を左右に広げると弧51が中心線となり、口元を含み、鼻元(鼻根部)から顎の下までの顔面を被覆する立体形状が作出される。なお、この立体形状の幅は、マスク1の幅とほぼ同形であり、着用時の外形は、通常モードにおけるマスク1と概ね同様の形状となる(ただし図5では正面視においてマスクが傾いているので上部と下部との長さが異なって見える)。
本体部50の左右下端近傍には切れ込みによる孔52が形成されており、紐部60が挿通される。
更に、本体部50の下辺直上にも長さ110mm、幅3mm、厚み1mmのポリエチレン製のワイヤ53が一本埋入されており、後述するように、下辺を顎から浮かす際に、本体部50の特に下方の形状ないし姿勢を保持する。
加えて、本体部50の裏側であってワイヤ53端と孔52との間に、幅7mm長さ15mmの、面ファスナーのループ側による接合部54を2箇所形成している。
【0027】
紐部60は、長さ200mmの2本の掛紐61と、その間に介在させる細長の帯部62と、により構成される。帯部62は、幅7mm長さ110mmのポリエチレン製の不織布に同形の面ファスナーのフック側が合着されたものである。
掛紐61には、端部から170mmのところにそれぞれコブ63を設けてある。コブ63は孔52の径より若干大きくして通り抜けしにくくしてある。
帯部62は、本体部50の裏側に位置し、掛紐61とコブ63は孔52をそれぞれとおり、掛紐61の両端は、本体部50の左右上方に熱溶着して取り付けてある。
なお、仕様の態様により帯部62にはワイヤを埋入させてもよい。
【0028】
マスク3を通常着用するときは、接合部54を張って帯部62に着け、帯部62と本体部50の下辺が一体となるようにして使用する(通常モード)。
一方、マスク3は、接合部54を帯部62から一旦離して中心に寄せてから再度帯部62に着け、本体部50の下辺を、帯部62から浮かし(顎から浮かせて)使用することができる(この状態を解放モード2と適宜称する。図6)。ワイヤ53により好みの空洞を作出できる.このとき、掛紐61は、耳がけしたままであり、着用姿が通常のマスクとほとんど変わることがない。すなわち、解放モード2でも、息が前方に放散せずに息抜けはよく、長時間の着用でも息苦しさといったストレスを感じにくくなり、また、眼鏡の曇りも十分に抑制される。加えて、急な来客等があっても、着用姿は普通のマスクとほとんど変わらず悪い印象を与えることがない。
また、必要に応じて本体部50の左右下端を広げれば、コブ63を手がかりとして左右対象に素早く広げて着け直すことができ通常モードに素早く移行でき、利便性に優れる。
なお、本実施の形態では、帯部62にある程度の太さがあるので孔52を通り抜けないが、帯部62がなく掛紐61のみの場合には、別途内側、たとえば、図5の帯部62の両端位置にもコブを更に2つ設けて掛紐61の過度の移動や撓みを生じなくするようにしてもよい。
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、常時着用でありながら、見栄えを損ねず、着用の負担感を低減し、シーンに応じて密着度を含めた着用態様を素早く切り替えることができるマスクを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、会社員だけでなく、子供や老人、また、アスリートも利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 マスク
10 本体部
11 折り返し
12 ワイヤ
13 接合部
20 紐部
21 掛紐
22 帯部
2 マスク
30 本体部
31 上本体部
32 下本体部
33 折り返し
34 ワイヤ
35 上接合部
36 下接合部
40 紐部
41 フック部
3 マスク
50 本体部
51 弧
52 孔
53 ワイヤ
54 接合部
60 紐部
61 掛紐
62 帯部
63 コブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6