(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175417
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】肩掛けひも連結具およびその肩掛けひも連結具が取り付けられたリュックサック
(51)【国際特許分類】
A45F 3/12 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
A45F3/12 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081780
(22)【出願日】2021-05-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社OPUS JAPANが運営するセレクトショップ「CATHEDRAL」にて、令和3年2月11日に公開
(71)【出願人】
【識別番号】516000767
【氏名又は名称】佐山 将信
(74)【代理人】
【識別番号】100133547
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 基文
(72)【発明者】
【氏名】佐山 将信
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA05
3B045AA35
3B045CE07
3B045GA02
3B045GB03
3B045LA10
3B045LB06
(57)【要約】
【課題】ショルダーバッグやトートバッグなどの肩掛けひもを、リュックサックの肩ベルト中央に固定することができる肩掛けひも連結具と、その肩掛けひも連結具が取り付けられたバッグを提供することを目的とする。
【解決手段】肩掛けひも連結具1を、パッド2と、一端がパッドに取り付けられ、他端がパッドに着脱自在に取り付けられる第一の帯体3と、一端4aがパッドに固着され、他端4bがパッドに着脱自在に取り付けられる第二の帯体4とで構成した。そして、第二の帯体の一端を、パッド表面の肩先から中央に寄せた位置に縫い付けて、歩いたりして肩が揺れても、ショルダーバッグなどの肩掛けひもSsが、縫い目Sの位置で、それ以上肩先側にずれないよう強制的に止める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩掛けひもを、肩に固定する肩掛けひも連結具であって、
前記肩掛けひも連結具が、パッドと、一端がパッドに取り付けられ、他端がパッドに着脱自在に取り付けられる第一の帯体と、一端がパッドに固着され、他端がパッドに着脱自在に取り付けられる第二の帯体とからなることを特徴とする肩掛けひも連結具。
【請求項2】
前記第二の帯体の一端が、パッド表面の肩先から中央に寄せた位置に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の肩掛けひも連結具。
【請求項3】
前記第二の帯体の他端が、スナップボタンによって、パッドに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の肩掛けひも連結具。
【請求項4】
前記第一の帯体の代わりに、パッド裏面に滑りにくい素材が用いられていたり、滑り止め加工が施されていたりすることを特徴とする請求項1から請求項3に記載の肩掛けひも連結具。
【請求項5】
肩掛けひもを、肩ベルトに固定できるリュックサックであって、
前記肩ベルトが、一端が肩ベルトに固着され、他端が肩ベルトに着脱自在に取り付けられる帯体を備えていることを特徴とするリュックサック。
【請求項6】
前記帯体の一端が、肩ベルト表面の肩先から中央に寄せた位置に固着されていることを特徴とする請求項5に記載のリュックサック。
【請求項7】
前記帯体の一端が、肩ベルト表面のリュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に固着されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のリュックサック。
【請求項8】
前記帯体の他端が、スナップボタンによって、肩ベルトに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項5から請求項7に記載のリュックサック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ショルダーバッグやトートバッグなどの肩掛けひもが、肩からずれ落ちないように止める滑り止めに関し、特にショルダーバッグやトートバッグなどの肩掛けひもを、リュックサックの肩ベルト中央に固定することができる肩掛けひも連結具と、その肩掛けひも連結具が取り付けられたリュックサックに関する。
【背景技術】
【0002】
肩掛けひも連結具としては、ベルト状の本体の一端に、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを引っ掛ける一対のフック片を設けることで、リュックサックの肩ベルトにショルダーバッグなどの肩掛けひもを引っ掛けて止めるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この肩掛けひも連結具では、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを、リュックサックに巻き付けた一対のフック片に引っ掛けて、肩に掛けたショルダーバッグなどが肩からずれ落ちるのを防げるようになっている。
【0003】
別の肩掛けひも連結具としては、テープの両端にクリップを備えることで、リュックサックの肩ベルトに双眼鏡やカメラなどのストラップをつり下げるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この別の肩掛けひも連結具では、双眼鏡やカメラなどのストラップを、リュックサックの肩ベルトにつり下げて、双眼鏡やカメラなどの荷重が首にかからないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3212381号公報(段落0013、
図3)
【特許文献2】特開2006-130264号公報(段落0007、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に係る肩掛けひも連結具では、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを、フック片の隙間に差し入れるようにしているために、例えば、駆け込んだりして肩が大きく揺れると、ショルダーバッグなどの肩掛けひもがフックから外れてしまうおそれがある。
【0006】
また、前記特許文献1に係る肩掛けひも連結具では、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを、いずれかのフック片に引っ掛けるようにしているところ、歩いたりして肩が揺れると、ショルダーバッグなどの肩掛けひもが肩先(腕と接する辺りのこと。肩口ともいう。)にずれて、肩先側のフック片に引っ掛かるようになる。そのため、前記特許文献1に係る肩掛けひも連結具では、ショルダーバッグなどの肩掛けひもの荷重が、肩先にかかってしまう。そこで、前記特許文献1に係る肩掛けひも連結具では、ショルダーバッグなどの重さを感じやすくなり、肩への負担が大きくなってしまう。
【0007】
さらに、前記特許文献1に係る肩掛けひも連結具では、肩掛けひも連結具をリュックサックに巻き付けたときに、一対のフック片がリュックサックの肩ベルトに対して肩先にずれている。そのため、前記特許文献1に係る肩掛けひも連結具では、ショルダーバッグなどの肩掛けひもの荷重が、更に肩先にかかってしまう。そこで、前記特許文献1に係る肩掛けひも連結具では、ショルダーバッグなどの重さを更に感じやすくなり、肩への負担がますます大きくなってしまう。
【0008】
前記特許文献2に係る肩掛けひも連結具では、リュックサックの肩ベルトに双眼鏡やカメラなどのストラップをつり下げるようにしているために、歩いたりして体が揺れると、双眼鏡やカメラなどが揺れ動いて体に当たってしまう。
【0009】
そこで、この発明では、前記した課題を解決し、特にショルダーバッグやトートバッグなどの肩掛けひもを、リュックサックの肩ベルト中央に固定することができる肩掛けひも連結具と、その肩掛けひも連結具が取り付けられたリュックサックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、肩掛けひも連結具を、パッドと、一端がパッドに取り付けられ、他端がパッドに着脱自在に取り付けられる第一の帯体と、一端がパッドに固着され、他端がパッドに着脱自在に取り付けられる第二の帯体とで構成した。そして、請求項1に係る発明では、第一の帯体によって、パッドをリュックサックの肩ベルトに取り付けるようにした。また、第二の帯体によって、パッドにショルダーバッグやトートバッグなどの肩掛けひもを固定するようにした。
【0011】
請求項2に係る発明では、第二の帯体の一端を、パッド表面の肩先から中央に寄せた位置に固着させた。
【0012】
請求項3に係る発明では、第二の帯体の他端を、スナップボタンによって、パッドに着脱自在に取り付けられるようにした。
【0013】
請求項4に係る発明では、第一の帯体の代わりに、パッド裏面に滑りにくい素材を用いたり、滑り止め加工を施したりした。
【0014】
請求項5に係る発明では、リュックサックの肩ベルトに、一端が肩ベルトに固着され、他端が肩ベルトに着脱自在に取り付けられる帯体を備えるようにした。
【0015】
請求項6に係る発明では、帯体の一端を、肩ベルト表面の肩先から中央に寄った位置に固着するようにした。
【0016】
請求項7に係る発明では、帯体の一端を、肩ベルト表面のリュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に固着するようにした。
【0017】
請求項8に係る発明では、帯体の他端を、スナップボタンによって、肩ベルトに着脱自在に取り付けられるようにした。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、第一の帯体によって、パッドをリュックサックの肩ベルトに取り付けるようにしたので、市販のリックサックに、後から肩掛けひも連結具を取り付けることができる。
【0019】
また、請求項1に係る発明によれば、第二の帯体によって、パッドにショルダーバッグやトートバッグなどの肩掛けひもを固定するようにしたので、パッドの上に肩掛けひもを掛けた状態で、肩掛けひもをまたぐように、第二の帯体の他端をパッドに取り付けるだけで、ワンタッチで、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを、リュックサックの肩ベルトに固定することができる。そして、請求項1に係る発明によれば、第二の帯体の他端をパッドから取り外すだけで、ワンタッチで、ショルダーバッグなどの肩掛けひもの固定を解除することもできる。
【0020】
このように、請求項1に係る発明によれば、ワンタッチで、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを、リュックサックの肩ベルトに固定したり、固定を解除したりすることができるので、子供からお年寄りまで、誰でも簡単に、肩掛けひも連結具を使うことができる。
【0021】
さらに、請求項1に係る発明によれば、ショルダーバッグなどの肩掛けひもをまたぐようにして、第二の帯体の他端をパッドに取り付けるようにしたので、例えば、駆け込んだりして肩が大きく揺れても、肩掛けひもが連結具から外れることがない。
【0022】
このように、請求項1に係る発明によれば、肩が大きく揺れても、ショルダーバッグなどの肩掛けひもが連結具から外れることがないので、肩掛けひもが肩からずれ落ちる心配がない。そこで、請求項1に係る発明によれば、ショルダーバッグなどの肩掛けひもが肩から落ちる心配がないので、肩ひもを掛けた方の肩を上げて、肩掛けひもが肩からずれ落ちないように気を使わなくてもよくなる。そのため、請求項1に係る発明によれば、ショルダーバッグなどを肩に掛けても、体がゆがみにくくなり、肩こりや腰痛の原因を解消することもできる。また、請求項1に係る発明によれば、ショルダーバッグなどの肩掛けひもが肩から落ちる心配がないので、両手を空けることもできる。
【0023】
請求項2に係る発明によれば、第二の帯体の一端を、パッド表面の肩先から中央に寄せた位置に固着させたので、歩いたりして肩が揺れても、ショルダーバッグなどの肩掛けひもが、パッド表面に固着された第二の帯体の一端によって、それ以上肩先側にずれないよう、強制的に止められる。そこで、請求項2に係る発明によれば、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを、パッドの中央、言い換えるとリュックサックの肩ベルトの中央に固定することができる。そのため、請求項2に係る発明によれば、ショルダーバッグなど加重をリュックサックの肩ベルトの中央で受けることができるので、ショルダーバッグなどの重さを感じにくくでき、肩への負担を軽くすることができる。
【0024】
請求項3に係る発明によれば、第二の帯体の他端を、スナップボタンによって、パッドに着脱自在に取り付けられるようにしたので、第二の帯体の着脱を感触や音で確認することができる。そのため、請求項3に係る発明によれば、第二の帯体の着脱を感触や音で確認することができるので、肩掛けひも連結具を目で見て確認しにくい位置に、例えば、リュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に取り付けても、第二の帯体を確実に着脱することができる。
【0025】
請求項4に係る発明によれば、第一の帯体の代わりに、パッド裏面に滑りにくい素材を用いたり、滑り止め加工を施したりしたので、肩掛けひも連結具をずれにくくすることができる。そのため、請求項4に係る発明によれば、肩掛けひも連結具を服の上から直(じか)に置くことができる。
【0026】
請求項5に係る発明によれば、リュックサックの肩ベルトに、一端が肩ベルトに固着され、他端が肩ベルトに着脱自在に取り付けられる帯体を備えるようにしたので、肩掛けひも連結具をシンプルな構造にすることができる。そのため、請求項5に係る発明によれば、帯体を取り付けるという一つの工程を加えるだけで、現行のリックサックにショルダーバッグやトートバッグなどの肩掛けひもを固定する機能を付け加えることができる。
【0027】
請求項6に係る発明によれば、帯体の一端を、肩ベルト表面の肩先から中央に寄った位置に固着するようにしたので、歩いたりして肩が揺れても、ショルダーバッグなどの肩掛けひもが、肩ベルト表面の肩先から中央に寄った位置に固着された帯体の一端によって、それ以上肩先側にずれないよう、強制的に止められる。そこで、請求項6に係る発明によれば、ショルダーバッグなどの肩掛けひもを、リュックサックの肩ベルトの中央に固定することができる。そのため、請求項6に係る発明によれば、ショルダーバッグなど加重をリュックサックの肩ベルトの中央で受けることができるので、ショルダーバッグなどの重さを感じにくくでき、肩への負担を軽くすることができる。
【0028】
請求項7に係る発明によれば、帯体の一端を、肩ベルト表面のリュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に固着するようにしたので、ショルダーバッグなど重さが鎖骨や肩甲骨の上といった皮膚のすぐ下に骨がある部分に加わるのを避けることができる。そのため、請求項7に係る発明によれば、肩ベルトにショルダーバッグなどの肩掛けひもを固定しても、鎖骨や肩甲骨の辺りが痛くなることがない。
【0029】
また、請求項7に係る発明によれば、帯体の一端を、肩ベルト表面のリュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に固着するようにしたので、リュックサックを背負っていても、帯体に手が届きやすい。特に、帯体とは反対側の手を使うと、帯体に手が届きやすくいので、体が硬い人でもお年寄りまで、誰でも簡単に帯体の操作をすることもできる。
【0030】
さらに、請求項7に係る発明によれば、帯体の一端を、肩ベルト表面のリュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に固着するようにしたので、帯体によってショルダーバッグなどの肩掛けひもを固定したときに、肩掛けひもが肩からずれ落ちにくくすることもできる。この効果を詳しく説明すると、帯体の一端を固着する位置を、例えば、肩ベルト表面のリュックサックを背負ったときに鎖骨の下側のくぼみに当たる位置まで下げてしまうと、ショルダーバッグなどの肩掛けひもが肩の後ろ側からずれ落ちやすくなってしまう。
【0031】
請求項8に係る発明によれば、帯体の他端を、スナップボタンによって、肩ベルトに着脱自在に取り付けられるようにしたので、帯体の着脱を感触や音で確認することができる。そのため、請求項8に係る発明によれば、帯体の着脱を感触や音で確認することができるので、帯体を目で見て確認しにくい、リュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に取り付けても、帯体を確実に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】(a)は実施形態に係る肩掛けひも連結具の表側の斜視図のうち、スナップボタンを外した状態を示す斜視図であり、(b)はスナップボタンを留(と)めた状態を示す斜視図である。
【
図2】(a)は実施形態に係る肩掛けひも連結具の裏側の斜視図のうち、第一の帯体をほどいた状態を示す斜視図であり、(b)は第一の帯体を結んだ状態を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る肩掛けひも連結具の使用状態を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係る肩掛けひも連結具が取り付けられたリュックサックの使用状態を示す斜視図である。
【
図5】(a)は他の実施形態に係る肩掛けひも連結具の表側の斜視図のうち、スナップボタンを外した状態を示す斜視図であり、(b)はスナップボタンを留めた状態を示す斜視図である。(c)は他の実施形態に係る肩掛けひも連結具の裏側の斜視図である。
【
図6】他の実施形態に係る肩掛けひも連結具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
まず、この発明の創作の基礎となる事項について簡単に説明する。発明者が立ち上げたガレージブランド「SAYAMA works」(商標登録第5854570号ほか)は、「人を助ける山道具」を理念に、トレイル&ハイクギアを製作して販売している。
【0034】
ここで、ブランドの理念である「人を助ける山道具」が意図する考えは、ブランド創設者である発明者が看護師ということに起因する。発明者は、看護師という職種の観点から、軽量な登山道具をSAYAMA worksが提供するので、お客様がご自身でエマージェンシー(英語で緊急事態、非常事態のこと)装備を補填していただくことを推奨してきた。
【0035】
また、発明者は、看護師という職種の観点から、ユニバーサルデザイン(年齢や能力のいかんにかかわらず、すべての人が使いやすいように工夫された用具や建造物などのデザインのこと)に基づいた、今までにない登山用品を開発し、日本一過酷と言われている山岳レースのトラストジャパンアルプスレース(以下、TJARという。)出場経験者による実施試験(フィールドテストともいう。)を繰り返すことで、お客様のニーズに沿った商品展開を目指してきた。
【0036】
ここで、発明者が、TJAR出場経験者に実施試験を依頼する理由は、日本一過酷な山岳レースという、ストレスを強く感じる(ストレスフルともいう。)状態の中で使いやすい登山用品は、一般登山者にも使いやすいと考えてのことである。この発明は、まさにストレスを感じさせない(ノンストレスともいう。)、ユニバーサルデザインを意識した登山用品を提供したいとの思いから創作されたものである。
【0037】
発明者は、お客様のニーズに沿った商品展開を目指す中で、下山後に着替える登山者が、汚れたりぬれたりした服やタオルなどを、リックサックとは別に、トートバッグに入れて持ち帰るのを目にした。
【0038】
また、発明者は、レジ袋の有料化に伴ってエコバッグが買い物にはなくてはならないものになり、肩掛けにできるエコバッグも多いことから、リックサックとエコバッグを一緒に使う機会が増えるとも考えた。
【0039】
そして、発明者は、日本人はなで肩が多いために、トートバッグやエコバッグを肩に掛けると、肩掛けひもが肩からずれ落ちやすいことに注目し、肩掛けひもが肩からずれ落ちやすいことを改善できないかと考えるようになった。
【0040】
そこで、発明者は、「ノンストレスな肩掛け体験を登山でも日常でも」をテーマに、今までにない登山用品を開発する中で、リックサックの肩ベルトに、トートバッグやエコバッグなどの肩掛けひもを固定できれば、肩掛けひもが肩からずれ落ちないことを見いだし、この発明を創作するに至ったものである。
【0041】
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1の(a)は、実施形態に係る肩掛けひも連結具の表側の斜視図のうち、スナップボタンを外した状態を示す斜視図である。
図1の(a)に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具1は、パッド2と、第一の帯体3と、第二の帯体4と、スナップボタン5とを有して構成されている。
【0042】
パッド2は、衝撃や摩擦などを軽減するための当て物である。パッド2は、その裏面に第一の帯体3が取り付けられるとともに、その表面に第二の帯体4が取り付けられている。パッド2は、その幅が、一般的なリュックサックの肩ベルトの幅に合わせて、より詳しくはリュックサックを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみにあてがう肩ベルトの幅に合わせられている。ここでは、パッド2は、その幅が8cmほどのほぼ正方形であり、外縁をヘリ巻きにして仕上げられている。
【0043】
第一の帯体3は、一定の幅がある細長い部材であり、ここでは面ファスナーである。そして、第一の帯体3は、その一端がパッド2に取り付けられ、他端がパッド2に着脱自在に取り付けられている。
【0044】
第二の帯体4は、一定の幅がある細長い部材である。第二の帯体4は、その一端4aがパッド2の表面であって、肩掛けひも連結具1をリュックサックの肩ベルトに取り付けときに、肩先側にあてがう一辺から中央に寄せた位置に固着されている。また、第二の帯体4は、その他端4bにはスナップボタン5が付けられている。ここでは、第二の帯体の一端4aは、肩先側にあてがう一辺から、対向する一辺までの長さの量の3分の1の位置(縫い目Sの位置)で縫い付けられている。
【0045】
スナップボタン5は、バネ機構によって開閉する機能をもつボタンである。スナップボタン5は、上に重なる第二の帯体の他端4bにメス5aが取り付かれ、下になるパッド2にオス5bが取り付けられている。ここでは、スナップボタン5は、打ち具を使ったカシメタイプである。また、ここでは、オス5bは、パッド2に縫い付けられた帯体に取り付けられている。
【0046】
図1の(b)は、実施形態に係る肩掛けひも連結具1の表側の斜視図のうち、スナップボタン5を留めた状態を示す斜視図である。
図1の(b)に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第二の帯体4を、ショルダーバッグなどの肩掛けひもSsをまたぐようにしてからスナップボタン5を留めて、肩掛けひもSsを肩掛けひも連結具1に固定できる。
【0047】
また、
図1の(b)に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第二の帯体の一端4aが、肩先側にあてがう一辺から中央に寄せた位置(縫い目Sの位置)で縫い付けられているために、歩いたりして肩が揺れても、ショルダーバッグなどの肩掛けひもSsが、縫い目Sの位置で、それ以上肩先側にずれないよう強制的に止められるようになっている。
【0048】
ここでは、第二の帯体の一端4aは、肩先側にあてがう一辺から、対向する一辺までの長さの量の3分の1の位置(縫い目Sの位置)で縫い付けられているために、標準的な15mmから25mmの幅のショルダーバッグなどの肩掛けひもSsであれば、肩掛けひもSsがパッド2の中央に固定される。
【0049】
図2の(a)は、実施形態に係る肩掛けひも連結具1の裏側の斜視図のうち、第一の帯体3をほどいた状態を示す斜視図である。
図2(a)に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具1は、その裏側に第一の帯体3が取り付けられている。
【0050】
第一の帯体3は、ここでは面ファスナーであり、その一端3aにコキカン3cが取り付けられている。第一の帯体3は、その他端3bから帯体通し2aに通して、パッド2に取り付けられる。そして、第一の帯体3は、その他端3bを第一の帯体3に重ねて面ファスナーの両面を合わせて、他端3bをパッド2に着脱自在に取り付けられる。ここでは、帯体通し2aには、滑りにくい素材が用いられていたり、滑り止め加工が施されていたりしていて、肩掛けひも連結具1がリュックサックの肩ベルトからずれにくくなっている。
【0051】
図2の(b)は、実施形態に係る肩掛けひも連結具1の裏側の斜視図のうち、第一の帯体3を結んだ状態を示す斜視図である。
図2の(b)に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第一の帯体3をリュックサックの肩ベルトBに通してからコキカン3cに通して、他端3bを第一の帯体3に重ねて面ファスナーの両面を合わすと、肩掛けひも連結具1をリュックサックの肩ベルトBに取り付けられる。
【0052】
実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第一の帯体3をパット2とは別の部材にしているために、コキカン3cが邪魔してミシン掛けがしづらいこともなく、パッド2のヘリ巻きがしやすい。
【0053】
また、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第一の帯体3を、首元にあてがう側(がわ)から帯体通し2aに通すようにすると、コキカン3cが首元側にくる。そのため、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、コキカン3cが肩に密着しやすい肩先側になるのを避けられ、コキカン3cが気になりにくい。
【0054】
さらに、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、肩掛けひも連結具1を右肩の肩ベルトBに取り付ける場合には、第一の帯体3を、
図2の(a)とは反対の方向から帯体通し2aに通すようにすると、コキカン3cが首元側にくるために、コキカン3cが気になりにくい。
【0055】
加えて、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、左利きの人が使う場合には、第一の帯体3を、
図2の(a)とは反対の方向から帯体通し2aに通すようにすると、利き手の左手で面ファスナーの着脱操作ができる。
【0056】
図3は、実施形態に係る肩掛けひも連結具1の使用状態を示す斜視図である。
図3に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、リュックサックRとショルダーバッグSbを肩に掛ける場合に、第一の帯体3(
図2(b)参照)をリュックサックの肩ベルトBに通してからコキカン3cに通して、他端3bを第一の帯体3に重ねて面ファスナーの両面を合わすと、肩掛けひも連結具1をリュックサックの肩ベルトBに取り付けられる。
【0057】
また、
図3に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第二の帯体の一端4aが、肩先側にあてがう一辺から中央に寄せた位置(縫い目Sの位置)で縫い付けられているために、歩いたりして肩が揺れても、ショルダーバッグなどの肩掛けひもSsが、縫い目Sの位置で、それ以上肩先側にずれないよう強制的に止められる。そして、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第二の帯体の一端4aが、肩先側にあてがう一辺から、対向する一辺までの長さの量の3分の1の位置(縫い目Sの位置)で縫い付けられているために、ショルダーバッグなどの肩掛けひもSsが、リュックサックの肩ベルトBの中央に固定される。
【0058】
なお、
図3は、リュックサックRとショルダーバッグSbを左肩に掛ける場合を図示しているところ、右肩に掛ける場合には、肩掛けひも連結具1を180度回転させた状態で、リュックサックRの右側の肩ベルトに取り付ければよい。
【0059】
図4は、実施形態に係る肩掛けひも連結具が取り付けられたリュックサックの使用状態を示す斜視図である。
図4に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具11が取り付けられたリュックサックRは、一端14aが肩ベルトBに固着され、他端14bが肩ベルトBに着脱自在に取り付けられる帯体14と、スナップボタン15とを有して構成されている。ここでは、リュックサックRは、肩掛けひも連結具11,11がリュックサックRの左右の肩ベルトBに備えられている。
【0060】
図4に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具11,11が取り付けられたリュックサックRでは、帯体14と、スナップボタン15を肩ベルトBに直接取り付けているために、肩掛けひも連結具1(
図3参照)よりもシンプルな構造になる。
【0061】
また、
図4に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具11,11が取り付けられたリュックサックRでは、帯体の一端14aが、肩先側にあてがう一辺から中央に寄せた位置(縫い目Sの位置)で縫い付けられているために、歩いたりして肩が揺れても、ショルダーバッグなどの肩掛けひもSsが、縫い目Sの位置で、それ以上肩先側にずれないよう強制的に止められる。そして、実施形態に係る肩掛けひも連結具11,11が取り付けられたリュックサックRでは、帯体の一端14aが、肩先側にあてがう一辺から、対向する一辺までの長さの量の3分の1の位置(縫い目Sの位置)で縫い付けられているために、ショルダーバッグなどの肩掛けひもSsが、リュックサックの肩ベルトBの中央に固定される。
【0062】
さらに、
図4に示すように、実施形態に係る肩掛けひも連結具11,11が取り付けられたリュックサックRでは、帯体14が肩ベルトBのリュックサックRを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に取り付けられているために、ショルダーバッグSbなど重さが鎖骨や肩甲骨の上といった皮膚のすぐ下に骨がある部分に加わるのを避けられる。
【0063】
加えて、実施形態に係る肩掛けひも連結具11,11が取り付けられたリュックサックRでは、上に重なる帯体の他端14bにスナップボタン15のメスが取り付けられ、下になる肩ベルトBにスナップボタン15のオスが取り付けられているために、スナップボタン15によって、帯体14の着脱を感触や音で確認できる。そのため、実施形態に係る肩掛けひも連結具11,11が取り付けられたリュックサックRでは、帯体の着脱を感触や音で確認できるために、帯体14を目で見て確認しにくい、リュックサックRを背負ったときに鎖骨の上側のくぼみに当たる位置に取り付けても、帯体14を確実に着脱できる。
【0064】
図5は、他の実施形態に係る肩掛けひも連結具の斜視図である。
図5の(a)は、スナップボタンを外した状態を示す表側の斜視図であり、
図5の(b)は、スナップボタンを留めた状態を示す表側の斜視図である。
図5の(c)は、裏側の斜視図である。
【0065】
図5の(a)に示すように、他の実施形態に係る肩掛けひも連結具21は、パッド22と、帯体24と、スナップボタン25とを有して構成されている。そして、他の実施形態に係る肩掛けひも連結具21では、パッド22がそら豆のような形をしていて、パット22を肩に置いたときに、肩に沿うようになっている。
【0066】
図5の(c)は、他の実施形態に係る肩掛けひも連結具21の裏側の斜視図である。
図5の(c)に示すように、他の実施形態に係る肩掛けひも連結具21は、パッド22の裏面に滑りにくい素材が用いられていたり、滑り止め加工が施されていたりしていて、肩掛けひも連結具21がずれにくくなっている。
【0067】
図6は、他の実施形態に係る肩掛けひも連結具21の使用状態を示す斜視図である。
図6に示すように、他の実施形態に係る肩掛けひも連結具21では、肩掛けひも連結具21がずれにくいため、肩掛けひも連結具21を服の上から直に置ける。
【0068】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、パッド2の形をほぼ正方形と説明したが、その形は丸形でも、三角形でも、どのような形でも構わない。
【0069】
また、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第二の帯体の一端4aがパッド2に縫い付けられていると説明したが、パッド2に固着されていれば、接着でも構わない。
【0070】
さらに、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、スナップボタンのオス5bは、パッド2に縫い付けられた帯体に取り付けられていると説明したが、パッド2に直接取り付けても構わない。
【0071】
加えて、実施形態に係る肩掛けひも連結具1では、第二の帯体の他端4bにはスナップボタン5が付けられていると説明したが、第二の帯体の一端4aがパッド2に着脱自在に固着されればよく、例えば面ファスナーでも構わない。
【符号の説明】
【0072】
1 肩掛けひも連結具
2 パッド
3 第一の帯体(面ファスナー)
4 第二の帯体
4a 一端
4b 他端
S 縫い目
5 スナップボタン
Ss 肩掛けひも