(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175431
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081805
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
(72)【発明者】
【氏名】村田 宏嘉
【テーマコード(参考)】
3D101
【Fターム(参考)】
3D101BB16
3D101BB23
(57)【要約】
【課題】駆動輪及び当該駆動輪の支持機構のメンテナンス性の向上を図る。
【解決手段】走行体は、駆動輪11aを駆動する車輪駆動源11Mと、走行本体部10に対して揺動可能に設けられ、駆動輪11a及び車輪駆動源11Mを支持する支持アーム12と、走行本体部10に取り付けられて支持アーム12の揺動支点12xを支持する揺動支持部13と、弾性ユニット14と、を備えている。揺動支持部13は、走行本体部10に対して着脱自在に取り付けられている。弾性ユニット14は、支持アーム12における揺動支点12xから離間した対象箇所12pに対して揺動方向第2側Z2から当接する当接部140と、支持アーム12に当接している状態の当接部140を揺動方向第1側Z1へ向けて付勢する弾性部141と、を備えている。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送車であって、
走行面上を走行する走行体を備え、
前記走行体は、走行本体部と、駆動輪と、前記駆動輪を駆動する車輪駆動源と、前記走行本体部に対して揺動可能に設けられ、前記駆動輪及び前記車輪駆動源を支持する支持アームと、前記走行本体部に取り付けられて前記支持アームの揺動支点を支持する揺動支持部と、弾性ユニットと、を備え、
前記揺動支持部は、前記走行本体部に対して着脱自在に取り付けられ、
前記支持アームの揺動方向における、前記駆動輪を前記走行面へ向かわせる側を揺動方向第1側とし、その反対側を揺動方向第2側として、
前記弾性ユニットは、前記支持アームにおける前記揺動支点から離間した対象箇所に対して前記揺動方向第2側から当接する当接部と、前記支持アームに当接している状態の前記当接部を前記揺動方向第1側へ向けて付勢する弾性部と、を備えている、搬送車。
【請求項2】
前記弾性ユニットは、前記揺動支持部とは独立して、前記走行本体部に対して着脱自在に取り付けられている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記車輪駆動源の出力軸の回転軸心と前記駆動輪の回転軸心とが、平行状に配置されている、請求項1又は2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記対象箇所は、前記支持アームの延在方向に沿って、前記駆動輪の回転軸心を挟んで前記揺動支点とは反対側に設定されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項5】
前記対象箇所は、前記支持アームにおける上側を向く面に設定されており、
前記弾性部は、前記当接部を下方へ向けて付勢するように設けられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項6】
前記走行体は、前記支持アームの前記走行面の側への揺動を規定範囲内に制限する揺動制限機構を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第5229442号公報(特許文献1)には、車体底部に車輪が設けられた搬送車が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、駆動ユニット(10)によって、車体(1)に走行方向の推進力を付与している。駆動ユニット(10)は、駆動輪(15)と、駆動輪(15)を駆動する駆動モータ(13)と、駆動輪(15)を接地させるように走行面に向けて付勢するコイルスプリング(16)と、を備えている。駆動輪(15)、駆動モータ(13)、及びコイルスプリング(16)は、車輪取付板(11)や台車組付け用プレート(10a)を介して一体的に構成されている。これらを含んで構成される駆動ユニット(10)は、台車組付けプレート(10a)と車台(2)との連結によって、車台(2)に組み付けられている。従って、車台(2)から台車組付けプレート(10a)を取り外すことによって、駆動ユニット(10)の全体を車台(2)から取り外すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、駆動輪(15)、駆動モータ(13)、及びコイルスプリング(16)が駆動ユニット(10)の要素として一体的に構成されているため、これらを車台(2)から取り外すには、上述のように駆動ユニット(10)の全体を車台(2)から取り外すことになる。そして、駆動輪(15)、駆動モータ(13)、及びコイルスプリング(16)のそれぞれについて、別々にメンテナンスを行いたい場合には、駆動輪(15)、駆動モータ(13)、及びコイルスプリング(16)を分解する作業が更に必要になる。またこの際、圧縮された状態のコイルスプリング(16)の取り外しに手間が掛かることが多かった。そのため、特許文献1に開示された技術には、メンテナンス性の向上に向けて改善の余地がある。
【0006】
上記実状に鑑みて、駆動輪及び当該駆動輪の支持機構のメンテナンス性の向上を図ることが可能な搬送車の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
物品を搬送する搬送車であって、
走行面上を走行する走行体を備え、
前記走行体は、走行本体部と、駆動輪と、前記駆動輪を駆動する車輪駆動源と、前記走行本体部に対して揺動可能に設けられ、前記駆動輪及び前記車輪駆動源を支持する支持アームと、前記走行本体部に取り付けられて前記支持アームの揺動支点を支持する揺動支持部と、弾性ユニットと、を備え、
前記揺動支持部は、前記走行本体部に対して着脱自在に取り付けられ、
前記支持アームの揺動方向における、前記駆動輪を前記走行面へ向かわせる側を揺動方向第1側とし、その反対側を揺動方向第2側として、
前記弾性ユニットは、前記支持アームにおける前記揺動支点から離間した対象箇所に対して前記揺動方向第2側から当接する当接部と、前記支持アームに当接している状態の前記当接部を前記揺動方向第1側へ向けて付勢する弾性部と、を備えている。
【0008】
本構成によれば、走行体の重量の少なくとも一部を駆動輪が支える状態において、弾性部によって付勢された当接部が支持アームに当接することで、支持アームに支持された駆動輪を走行面の側へ押し付けて、駆動輪を走行面に接触させた状態とすることができる。これにより、駆動輪が走行面から浮いて空転し難いようにすることができる。当接部は、上記のように支持アームに対して当接しているだけであり、支持アームと一体的に連結されているわけではない。そのため、支持アームの揺動支点を支持する揺動支持部を走行本体部から取り外すことにより、支持アームと共にこれに支持された駆動輪及び車輪駆動源を、当接部及び弾性部を含む弾性ユニットとは独立して走行本体部から取り外すことができる。従って、本構成によれば、弾性部の弾性力の影響を受けにくい状態で、支持アームと駆動輪及び車輪駆動源とを、走行本体部から容易に取り外すことができる。従って、駆動輪及び当該駆動輪の支持機構のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】移載装置の第1姿勢と第2姿勢とを示す平面図
【
図9】持ち上げ装置により段積み領域の容器を持ち上げた状態を示す図
【
図10】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
【
図11】段積み領域に対する容器の掬い及び卸しの並行動作を行う場合の説明図
【
図14】低重心化制御による移載装置の動作を示す説明図
【
図15】低重心化制御を開始するタイミングを示す説明図
【
図16】低重心化制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャート
【
図19】支持アームを走行本体部から取り外す場合の説明図
【
図20】支持アームを走行本体部から取り外す場合の説明図
【
図21】駆動輪と車輪駆動源とを支持アームから取り外す場合の説明図
【
図22】弾性ユニットを走行本体部から取り外す場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
搬送車は、物品を搬送するように構成されている。以下、搬送車が、容器を搬送する搬送設備に備えられている場合を例示して、当該搬送車の実施形態について説明する。すなわち本実施形態では、搬送車は、容器を搬送するように構成されている。
【0012】
図1に示すように、搬送設備Fは、容器70(
図3参照)を収納する容器棚8と、容器70の搬出及び搬入を行う搬出入部9と、設備全体を管理する上位コントローラHと、を備えている。搬送車100は、搬出入部9によって搬入された容器70を容器棚8へ搬送し、又は、容器棚8に収納された容器70を搬出のために搬出入部9へ搬送する。
【0013】
本実施形態では、複数の容器棚8が、規定の間隔を空けつつ互いに平行に配置されている。複数の容器棚8のそれぞれは少なくとも正面が開口しており、当該正面において容器70の出し入れが行われる。そして、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間に、走行体1(搬送車100)の走行経路Rの一部が設定されている。換言すれば、隣り合う一対の容器棚8が、間隔を空けて互いに平行に配置されており、走行経路Rの一部が、一対の容器棚8の間を通るように設定されている。また、搬送設備Fに備えられた複数の容器棚8のうち最も端に配置された容器棚8は、正面を外側に向けて配置されており、当該端の容器棚8の正面に沿った領域にも走行経路Rの一部が設定されている。また、搬送設備Fには、複数の搬出入部9が設けられており、複数の搬出入部9のそれぞれを通る領域にも、走行経路Rの一部が設定されている。
【0014】
走行経路Rは、容器棚8の正面に沿って当該容器棚8の延在方向に延びる棚内経路Raと、容器棚8の配置領域の外部に設定された棚外経路Rbと、を含んでいる。棚内経路Raは、複数の容器棚8のそれぞれに対応して設定されている。本実施形態では、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間の領域に設定された走行経路Rの一部、及び、正面を外側に向けて配置された容器棚8の当該正面に沿った領域に設定された走行経路Rの一部が、棚内経路Raに相当する。また、棚外経路Rbは、複数の棚内経路Raを繋ぐように設定されている。また、棚外経路Rbは、複数の搬出入部9のそれぞれを通るようにも設定されている。本実施形態では、走行経路Rにおける棚内経路Ra以外の部分が、棚外経路Rbに相当する。
【0015】
図2に示すように、搬送設備Fには、走行体1が走行する棚領域IA及び外部領域OAが設定されている。本実施形態では、搬送設備Fには、方向変換領域DAが更に設定されている。
【0016】
棚領域IAは、各容器棚8の正面に沿って設定された領域である。棚領域IAの全体が、当該棚領域IAに対応する容器棚8の正面に対向している。換言すれば、棚領域IAは、当該棚領域IAに対応する容器棚8の正面に沿って当該容器棚8の延在方向に延びている。そして、当該棚領域IAの前記延在方向の寸法と当該容器棚8の前記延在方向の寸法とは等しくなっている。
【0017】
また、棚領域IAは、棚内経路Ra(
図1参照)が通る領域であり、棚内経路Raを走行する走行体1が容器棚8の正面に対向する領域である。本実施形態では、棚領域IAは、正面が向かい合って隣り合う一対の容器棚8の間の領域に設定されている。また棚領域IAは、搬送設備Fに備えられた複数の容器棚8のうち最も端に配置された容器棚8の正面に沿った領域にも設定されている。
【0018】
外部領域OAは、搬送設備F内における棚領域IA以外の領域である。外部領域OAは、棚外経路Rbが通る領域である。本実施形態では、外部領域OAにおける複数箇所に、方向変換領域DAが設定されている。方向変換領域DAは、走行体1が進行方向を変更(方向変換)するための領域である。複数の方向変換領域DAのうちの一部は、複数の走行経路R(棚外経路Rb)が交わる箇所に設定されている。詳細は後述するが、本実施形態に係る走行体1は、方向変換領域DAにおいて、その場で上下方向に沿う軸心まわりに回転することで、進行方向を変更する。
【0019】
〔容器棚〕
図3に示すように、容器棚8は、容器70を収納する棚部80を上下方向に複数段備えている。本実施形態では、容器棚8は、当該容器棚8の正面に沿って水平方向に延在する梁部材82を複数備えると共に、上下方向に沿って延在し、複数の梁部材82のそれぞれに連結される複数の支柱部材81を備えている。すなわち、容器棚8は、複数の支柱部材81と複数の梁部材82とを組み合わせた支持枠を備えて構成されている。
【0020】
複数の梁部材82は、上下方向に互いに離間して配置されている。そして、複数の梁部材82のそれぞれに、容器70を載置するための載置部材83が連結されている。本例では、容器70は、一対の載置部材83に載置されることにより、棚部80に収納される。また、棚部80には、一対の載置部材83の組が複数組配置されており、1つの棚部80において複数の容器70を収納可能となっている。なお、本例では、
図3に示す正面視で幅方向(左右方向)に隣接する一対の支柱部材81の間であって、上下方向に隣接する一対の梁部材82の間の領域が、容器棚8の開口に相当する。
【0021】
本実施形態では、棚部80における容器70を収納するための基準位置80Pに、当該基準位置80Pにおいて容器70を収納するための目標となる目標部82Tが設けられている。本例では、目標部82Tは、梁部材82に設けられている。目標部82Tは、一対の載置部材83の組につき1つ設けられている。図示の例では、目標部82Tは、梁部材82に形成された孔によって構成されている。
【0022】
〔容器〕
容器70は、搬送車100による搬送対象である。詳細な図示は省略するが、容器70は、上方に開口する開口部を備えた箱状に形成されている。本例では、上下方向視における容器の外形は、矩形状を成している。容器70の内部には、規定の被収容物が収容可能となっている。被収容物には、例えば、食料品や生活用品などの各種商品、又は、工場の生産ライン等において用いられる部品や仕掛品などが含まれる。上述のように、本実施形態では、容器70が「物品」に相当する。すなわち本実施形態において、物品は、被収容物を収容可能な容器70である。
【0023】
本実施形態では、容器70は、その内部に被収容物を収容した状態で、別の容器70と積み重ねることが可能に構成されている。すなわち、容器70は、上下方向に段積み可能に構成されている(
図4参照)。本例では、容器70の底部が、別の容器70の開口部に対して上方から嵌合することにより、2つの容器70が上下方向に段積みされる。
【0024】
〔搬送車〕
図4に示すように、搬送車100は、走行面99上を走行する走行体1を備えている。走行体1は、既定の走行経路R(
図1参照)に沿って走行する。本実施形態では、搬送車100は、複数の容器70を段積み状態の容器群7として規定の段積み領域2A内に支持する容器群支持部2と、容器群支持部2に支持された容器群7の容器70を持ち上げる持ち上げ装置3と、容器70の移載を行う移載装置4と、を備えている。本実施形態では、搬送車100は、走行体1、持ち上げ装置3、及び移載装置4を制御する制御装置C(
図6参照)を更に備えている。制御装置Cは、これらの他、容器群支持部2も制御する。
【0025】
容器群支持部2、持ち上げ装置3、及び移載装置4は、走行体1に搭載されている。走行体1が走行する方向を「車体前後方向L」とすると、容器群支持部2と移載装置4とは、走行体1上において車体前後方向Lに並んで配置されている。なお、以下では、上下方向に沿う上下方向視で車体前後方向Lに直交する方向を「車体幅方向W」とする。
【0026】
〔走行体〕
走行体1は、規定の走行経路R(
図1参照)を走行するように構成され、棚領域IA及び外部領域OA(
図2参照)を走行可能に構成されている。本実施形態では、走行体1は、棚内経路Raと棚外経路Rbとを走行するように構成されている。そして、走行体1は、棚内経路Raを走行又は停止している状態で棚領域IAに位置し、棚外経路Rbを走行又は停止している状態で外部領域OAに位置する。走行体1が棚領域IAと外部領域OAとの境界にある状態では、走行体1の一部が棚領域IAに位置し、走行体1の他の一部が外部領域OAに位置することになる。
【0027】
走行体1は、走行本体部10と、駆動輪11aと、駆動輪11aを駆動する車輪駆動源11Mと、を備えている。本実施形態では、走行体1は、従動輪11bを更に備えている。駆動輪11aと従動輪11bとは、走行車輪11を構成しており、走行本体部10に支持されている。車輪駆動源11Mが駆動輪11aを駆動することにより、走行体1に推進力が付与される。走行体1の詳細な構造については後述する。
【0028】
〔容器群支持部〕
容器群支持部2は、走行体1に搭載されている。容器群支持部2は、複数の容器70を段積み状態の容器群7として支持可能に構成されている。容器群支持部2の上方には、容器群7が配置される段積み領域2Aが規定されている。段積み領域2Aは、容器群支持部2から上方に延在する立体的な仮想領域である。本例では、容器群支持部2は、容器群7を載置した状態で当該容器群7を移動させることが可能なコンベヤとして構成されている。本例では、容器群支持部2は、容器群7を車体幅方向Wに沿って移動させることが可能となっている。容器群支持部2を構成するコンベヤとしては、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ、ベルトコンベヤなどの周知のコンベヤであって良い。
【0029】
搬出入部9(
図1及び
図2参照)には、複数の容器70が段積みされた状態の容器群7が搬入される。走行体1が搬出入部9に隣接した状態で、容器群支持部2は、搬出入部9から容器群7を受け取り、または、搬出入部9へ容器群7を引き渡す。すなわち、容器群支持部2は、搬出入部9との間で容器群7の受け渡しを行うように構成されている。詳細な図示は省略するが、本例では、搬出入部9は、容器70から商品等の被収容物を取り出す作業が行われるピッキングエリアに隣接している。容器群支持部2から搬出入部9へ容器群7が引き渡されると、搬出入部9に隣接するピッキングエリアにおいて容器70から被収容物が取り出される。容器70に収容された被収容物の一部又は全部が取り出された後は、当該容器70は、搬出入部9から容器群支持部2(搬送車100)に引き渡されて、再び容器棚8へ搬送される。但し、搬出入部9は、ピッキングエリアに隣接していなくても良く、他の設備や作業エリアに隣接していても良い。また、例えば、搬出入部9は、容器群支持部2から引き渡された容器群7を搬送設備Fの外部へ搬送するように構成されていても良い。
【0030】
〔持ち上げ装置〕
持ち上げ装置3は、走行体1に搭載されている。持ち上げ装置3は、容器群支持部2に支持された容器群7の容器70、換言すれば、段積み領域2Aに配置された容器群7の容器70を持ち上げるように構成されている。また、持ち上げ装置3は、段積み領域2Aの容器群7を水平方向から支持することが可能に構成されている。
【0031】
持ち上げ装置3は、走行体1から上方に立設された持ち上げ用マスト30と、持ち上げ用マスト30に連結された持ち上げ用昇降体30Bと、持ち上げ用昇降体30Bを持ち上げ用マスト30に沿って昇降させる持ち上げ用昇降体駆動部30Mと、を備えている。詳細な図示は省略するが、持ち上げ用昇降体駆動部30Mは、例えば、ベルト等の無端体が巻回された回転体を回転駆動するためのモータとして構成されている。
【0032】
持ち上げ装置3は、段積み領域2Aに段積みされた容器群7の内の任意の高さの容器70を当該容器70の下に隣接する容器70に対して持ち上げる第1持ち上げ機構31と、第1持ち上げ機構31により持ち上げられた容器70よりも下方の容器70を当該容器70の下に隣接する容器70に対して持ち上げる第2持ち上げ機構32と、を備えている。また、本実施形態では、第1持ち上げ機構31と第2持ち上げ機構32とが、上下方向に離間して配置されている。これにより、例えば
図9に示すように、第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70と、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70との、上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。また、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方にも、上下方向のスペースを形成することが可能となっている。
【0033】
本実施形態では、持ち上げ装置3は、持ち上げ用昇降体30Bから段積み領域2Aに向けて車体前後方向Lに突出する第1フレーム部31F及び第2フレーム部32Fと、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとを連結する連結フレーム部33Fと、を備えている。第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとは、上下方向に間隔を空けて配置されている。第1フレーム部31Fは、第2フレーム部32Fよりも上方に配置されている。連結フレーム部33Fは、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとを上下方向に連結している。このような構成により、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとは、相対移動しないようになっており、第1フレーム部31Fと第2フレーム部32Fとの上下方向の間隔は常に一定となっている。第1フレーム部31F、第2フレーム部32F、及び連結フレーム部33Fは、持ち上げ用昇降体30Bの昇降に伴って、一体的に昇降する。
【0034】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、第1フレーム部31Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第1フレーム部材31Faを備えている。一対の第1フレーム部材31Faは、段積み領域2Aに配置された容器70の幅(車体幅方向Wの長さ)に対応して配置されている。第2フレーム部32Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の第2フレーム部材32Faを備えている。一対の第2フレーム部材32Faは、段積み領域2Aに配置された容器70の幅に対応して配置されている。連結フレーム部33Fは、車体幅方向Wに間隔を空けて配置された一対の連結フレーム部材33Faを備えている。一対の連結フレーム部材33Faのそれぞれは、上下方向に並ぶ第1フレーム部材31Faと第2フレーム部材32Faとを連結している。
【0035】
図9に示すように、本実施形態では、第1持ち上げ機構31は、容器70を保持する第1持ち上げ保持部31aを備えている。第1持ち上げ保持部31aは、容器70を保持する保持姿勢と、容器70を保持しない非保持姿勢とに、姿勢変更可能に構成されている。
図9では、第1持ち上げ保持部31aは保持姿勢となっている。
【0036】
同様に、第2持ち上げ機構32は、容器70を保持する第2持ち上げ保持部32aを備えている。第2持ち上げ保持部32aは、容器70を保持する保持姿勢と、容器70を保持しない非保持姿勢とに、姿勢変更可能に構成されている。
図9では、第2持ち上げ保持部32aは保持姿勢となっている。
【0037】
ここで、
図9では、下から上に向けて順番に、段積み領域2Aに段積みされた各容器70に「1~5」の数字を付している。また、移載装置4によって保持された容器70に「α」の文字を付している。
【0038】
第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70と第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70との上下方向の間にスペースを形成した場合には、当該スペースに、他の容器70を卸すことが可能となっている。すなわち、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の上に、移載装置4によって他の容器70を段積みすることが可能となっている。
図10では、第1持ち上げ機構31によって持ち上げられた容器70(容器「5」)と第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70(容器「4」)との上下方向の間に形成されたスペースに、移載装置4によって保持された容器70(容器「α」)を卸す場合の例を示している。
【0039】
また、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方に上下方向のスペースを形成した場合には、当該スペースを利用して、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70の下方に配置された容器70を掬うことが可能となっている。
図10では、第2持ち上げ機構32によって持ち上げられた容器70(容器「4」)の下方に配置された容器70(容器「3」)を掬う場合の例を示している。なお、段積み領域2Aに対する容器70の卸し動作および掬い動作については後述する。
【0040】
〔移載装置〕
図4に示すように、移載装置4は、走行体1に搭載されている。移載装置4は、移載対象箇所Tに対して容器70の移載を行うように構成されている。移載装置4は、移載対象箇所Tへ容器70を移載する卸し動作と、移載対象箇所Tから容器70を移載する掬い動作と、を行うように構成されている。本実施形態では、移載対象箇所Tには、段積み領域2Aと容器棚8の棚部80とが含まれる。
【0041】
ここでは、移載装置4により移載される容器70の移動方向を「移載方向X」とする。また、移載方向Xにおける一方側を「移載方向卸し側X1」とし、他方側を「移載方向掬い側X2」とする。本例では、移載方向Xは、水平方向に沿う方向である。移載方向卸し側X1は、容器70を卸す場合に、移載方向Xに沿って容器70が移動する側である。移載方向掬い側X2は、容器70を掬う場合に、移載方向Xに沿って容器70が移動する側である。
【0042】
本実施形態では、搬送車100は、移載装置4を上下方向に沿う軸心まわりに旋回させる旋回装置5を備えている。
図5に示すように、旋回装置5は、移載装置4(詳細には移載装置4の一部)を上下方向に沿う軸心回りに旋回させて、移載方向Xを段積み領域2Aに向けた第1姿勢P1と、移載方向Xを容器棚8に向けた第2姿勢P2とに、移載装置4の向きを変更するように構成されている。このように本実施形態では、移載方向Xは、旋回装置5によって水平面内において変更され得る。
【0043】
本実施形態では、移載装置4は、移載対象箇所Tの位置に応じて姿勢を変更する。具体的には、移載装置4は、移載対象箇所Tが段積み領域2Aである場合に第1姿勢P1となり、移載対象箇所Tが容器棚8(棚部80)である場合に第2姿勢P2となる。
図4に示すように、本例では、旋回装置5は、移載装置4(詳細には移載装置4の一部)を支持する旋回台50と、移載用昇降体40Bに対して旋回台50を旋回自在に支持する旋回軸51と、旋回軸51を駆動する旋回駆動部(不図示)と、を備えている。
【0044】
図4に示すように、移載装置4は、走行体1に固定されると共に上下方向に沿うように配置された移載用マスト40と、移載用マスト40に沿って昇降する移載用昇降体40Bと、移載用昇降体40Bに連結されると共に容器70を保持する保持部Aと、容器70を移載する移載機Bと、を備えている。また、移載装置4は、移載用昇降体40Bを移載用マスト40に沿って昇降させる移載用昇降体駆動部40Mを備えている。これにより、移載装置4は、保持部A及び移載機Bを上下方向に移動させることができ、複数段の棚部80(
図3参照)のそれぞれに対して容器70を移載することが可能となっている。詳細な図示は省略するが、移載用昇降体駆動部40Mは、例えば、ベルト等の無端体が巻回された回転体を回転駆動するためのモータとして構成されている。
【0045】
保持部Aは、移載用昇降体40Bに連結されており、容器70を保持可能に構成されている。本実施形態では、保持部Aは、第1保持部41Aと、第1保持部41Aよりも下方に配置された第2保持部42Aと、を含む。第1保持部41Aと第2保持部42Aとは、それぞれ単独で容器70を保持可能に構成されている。
【0046】
本実施形態では、移載装置4は、第1保持部41Aと第2保持部42Aとを上下方向に連結する保持連結部43を備えている。保持連結部43は、第1保持部41Aと第2保持部42Aとの上下方向の間隔が一定となるように、両者を連結している。
【0047】
移載機Bは、棚部80及び段積み領域2Aのそれぞれに対して容器70を移載可能に構成されている。棚部80が移載対象箇所Tとされる場合、移載機Bは、保持部Aと棚部80との間で容器70を移載する。また、段積み領域2Aが移載対象箇所Tとされる場合、移載機Bは、保持部Aと段積み領域2Aとの間で容器70を移載する。本例では、移載機Bは、第1姿勢P1において段積み領域2Aに対して容器70を移載し、第2姿勢P2において棚部80に対して容器70を移載する(
図5参照)。
【0048】
図4に示すように、本実施形態では、移載機Bは、第1移載機41Bと、第1移載機41Bよりも下方に配置された第2移載機42Bと、を含む。第1移載機41Bは、第1保持部41Aと移載対象箇所Tとの間で容器70を移載する。第2移載機42Bは、第2保持部42Aと移載対象箇所Tとの間で容器70を移載する。
【0049】
〔制御構成〕
図6に示すように、搬送車100は、各部を制御する制御装置Cを備えている。本実施形態では、制御装置Cは、走行体1、容器群支持部2、持ち上げ装置3、移載装置4、及び、旋回装置5を制御する。容器70を支持、搬送、及び移載するための動作は、制御装置Cによる各部の制御によって実現される。本例では、制御装置Cは、後述する基準位置検出センサSe1及び収納容器検出センサSe2による検出結果に基づいて、容器70を支持、搬送、及び移載するための動作を各部に行わせる。制御装置Cは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0050】
〔移載動作〕
図7~
図11は、移載装置4が、移載対象箇所Tに対して容器70の移載動作(卸し動作又は掬い動作)を行う場合の説明図である。
【0051】
図7~
図11に示すように、本実施形態では、第1移載機41Bは、容器70の卸し動作を行う場合に容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する第1押圧部41Baと、容器70の掬い動作を行う場合に容器70に係止されて当該容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む第1係止部41Bbと、第1押圧部41Baと第1係止部41Bbとを支持する第1支持部材41Bcと、を備えている。本例では、第1支持部材41Bcは、不図示の駆動部によって駆動され、第1保持部41Aに対して移載方向Xに沿って相対移動するように構成されている。これにより、第1押圧部41Ba及び第1係止部41Bbは、第1保持部41Aに対して移載方向Xに沿って相対移動可能に構成されている。そして、第1押圧部41Baは、移載方向卸し側X1へ向けて第1保持部41Aに対して相対移動することで、卸し対象の容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。また、第1係止部41Bbは、移載方向掬い側X2へ向けて第1保持部41Aに対して相対移動することで、掬い対象の容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む。
【0052】
また本実施形態では、第2移載機42Bは、容器70の卸し動作を行う場合に容器70を移載方向卸し側X1に向けて押圧する第2押圧部42Baと、容器70の掬い動作を行う場合に容器70に係止されて当該容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む第2係止部42Bbと、第2押圧部42Baと第2係止部42Bbとを支持する第2支持部材42Bcと、を備えている。本例では、第2支持部材42Bcは、不図示の駆動部によって駆動され、第2保持部42Aに対して移載方向Xに沿って相対移動するように構成されている。これにより、第2押圧部42Ba及び第2係止部42Bbは、第2保持部42Aに対して移載方向Xに沿って相対移動可能に構成されている。そして、第2押圧部42Baは、移載方向卸し側X1へ向けて第2保持部42Aに対して相対移動することで、卸し対象の容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。また、第2係止部42Bbは、移載方向掬い側X2へ向けて第2保持部42Aに対して相対移動することで、掬い対象の容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む。
【0053】
本実施形態では、第1係止部41Bb及び第2係止部42Bbのそれぞれは、不図示の駆動部により駆動されて、容器70に係止される係止姿勢と容器70に係止されない非係止姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
図7~
図11では、係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを灰色で示し、非係止姿勢である第1係止部41Bb又は第2係止部42Bbを白色で示している。
【0054】
図7は、棚部80に対する容器70の掬い動作(移載動作)を示しており、第1移載機41Bによって、棚部80に収納された容器70を第1保持部41Aへ掬う場合を例示している。この場合、制御装置C(
図6参照)は、第1移載機41Bの位置を、棚部80の基準位置80P(
図3参照)に合せた後、第1係止部41Bbによって容器70を移載方向掬い側X2へ向けて引き込む。
【0055】
本実施形態では、移載装置4は、棚部80における基準位置80P(
図3参照)を検出する基準位置検出センサSe1を備えている。上述のように、基準位置80Pは、棚部80における容器70を収納するための基準となる位置である。
【0056】
基準位置検出センサSe1は、梁部材82に設けられた目標部82Tを検出することで、基準位置検出センサSe1を備えた移載装置4と棚部80の基準位置80Pとの位置関係を検出するように構成されている。そして、基準位置検出センサSe1による目標部82Tの検出結果に基づいて、走行体1、旋回装置5、及び移載用昇降体駆動部40Mを制御して、移載装置4の位置を補正する動作を行うことにより、棚部80に対する容器70の移載を適切に行うことが可能となる。本例では、基準位置検出センサSe1は、カメラにより構成されている。カメラとして構成される基準位置検出センサSe1の画像認識によって、移載装置4と梁部材82に設けられた目標部82Tとの位置関係を検出可能となっている。例えば、基準位置検出センサSe1は、対象との距離を検出する測距センサとしての機能を有していても良い。
【0057】
図8は、棚部80に対する容器70の卸し動作(移載動作)を示しており、第2移載機42Bによって、第2保持部42Aに保持された容器70を棚部80へ卸す場合を例示している。この場合、制御装置C(
図6参照)は、容器70を卸す対象となる棚部80に別の容器70が収納されていないと判定した場合に、第2押圧部42Baによって容器70を移載方向卸し側X1へ向けて押圧する。
【0058】
また、本実施形態では、移載装置4は、棚部80に収納された容器70を検出する収納容器検出センサSe2を備えている。
【0059】
収納容器検出センサSe2は、移載装置4が棚部80へ容器70を移載する卸し動作を行う場合に、移載しようとする棚部80における容器70の有無を検出する。移載装置4は、卸し先となる目標の棚部80に容器70が無いことが収納容器検出センサSe2によって検出された場合に、当該棚部80への容器70の卸し動作を行う。卸し先となる目標の棚部80に容器70が有ることが収納容器検出センサSe2によって検出された場合には、他の空きの棚部80へ容器70を移載するようにしても良いし、或いは、移載を中止しても良い。例えば、収納容器検出センサSe2は、目標との距離を検出する測距センサとしても構成されていても良い。これにより、移載装置4と移載対象箇所Tとの距離を測りながら移載動作を行うことができる。本実施形態では、収納容器検出センサSe2は、目標に対して光を投光する光センサとして構成されている。但し、このような構成に限定されず、収納容器検出センサSe2は、例えば超音波センサやカメラなどの周知の手段を用いて構成されていても良い。
【0060】
図9~
図11は、段積み領域2Aに対する容器70の移載動作を示している。上述したように、本実施形態では、持ち上げ装置3によって、段積み領域2Aに段積みされた複数の容器70の上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。そして、移載装置4は、これらのスペースを利用して、段積み領域2Aに対する容器70の移載を行う。本実施形態では、移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器70の掬い動作および卸し動作を行うように構成されている。詳細には、移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器70の掬い及び卸しを並行して行う並行動作を行うように構成されている。
【0061】
図9~
図11には、段積み領域2Aに、5段の容器70が容器群7として段積みされている例が示されている。図中では、下から上に向けて順番に、段積みされた各容器70に「1~5」の数字を付している。また、第1保持部41Aに保持された卸し対象の容器70に「α」の文字を付している。以下に示す例では、持ち上げ装置3によって5段目の容器70(容器「5」)と4段目の容器70(容器「4」)との上下方向の間に形成されたスペースを利用して、4段目の容器70(容器「4」)の上に卸し対象の容器70(容器「α」)を卸す。また、それに並行して、持ち上げ装置3によって4段目の容器70(容器「4」)の下方に形成されたスペースを利用して、3段目の容器70(容器「3」)を掬う。
【0062】
図10に示すように、制御装置C(
図6参照)は、係止姿勢の第2係止部42Bbを、容器70(容器「3」)に係止させた状態で第2保持部42Aに対して移載方向掬い側X2に相対移動させる。制御装置Cは、これと並行して、第1保持部41Aに保持された容器70(容器「α」)を第1押圧部41Baにより押圧した状態で、当該第1押圧部41Baを第1保持部41Aに対して移載方向卸し側X1に相対移動させる。これにより、第2係止部42Bbが、掬い対象の容器70(容器「3」)を移載方向掬い側X2に引き込み、第1押圧部41Baが、卸し対象の容器70(容器「α」)を移載方向卸し側X1に押圧する。
【0063】
そして、制御装置Cは、第2係止部42Bbにより引き込まれる掬い対象の容器70(容器「3」)を第2保持部42A上に配置すると共に、第1押圧部41Baにより押圧される卸し対象の容器70(容器「α」)を第2持ち上げ保持部32aにより持ち上げられた容器70(容器「4」)の上方に配置して当該容器70(容器「4」)に嵌合させる。これにより、段積み領域2Aの容器群7は、
図11に示すような状態となる。すなわち、段積み領域2Aに配置された複数の容器70のうち一部の容器70(容器「3」)が、新たな容器70(容器「α」)と入れ替えられる。
【0064】
〔走行体の構成〕
以下、
図12及び
図13を参照して、走行体1の構成について説明する。
【0065】
図12及び
図13に示すように、走行体1は、走行本体部10と、走行本体部10に支持された複数の走行車輪11と、を備えている。複数の走行車輪11は、一対の駆動輪11aと複数の従動輪11bとを含む。一対の駆動輪11aは、車輪駆動源11Mによって駆動される。
【0066】
一対の駆動輪11aは、車輪駆動源11Mにより、互いに同じ速度又は異なる速度で回転駆動される。本実施形態では、一対の駆動輪11aのそれぞれは、別の車輪駆動源11Mによって独立して駆動される。なお、一対の駆動輪11aが互いに異なる速度で回転駆動される場合には、一対の駆動輪11aのうち一方が正方向に回転駆動され、他方が逆方向に回転駆動される場合が含まれる。換言すれば、一対の駆動輪11aが、互いに反対方向に回転駆動される場合が含まれる。
【0067】
本実施形態では、一対の駆動輪11aのそれぞれに対して車体前後方向Lの両側に、従動輪11bが設けられている。すなわち本例では、4つの従動輪11bが、走行本体部10に支持されている。各従動輪11bは、上下方向に沿う軸心まわりに回転自在に走行本体部10に支持されている。すなわち、従動輪11bの回転軸が沿う方向は、水平面内において変更され得る。本例では、各従動輪11bは、キャスターとして構成されている。
【0068】
本実施形態では、一対の駆動輪11aが互いに反対方向に回転駆動されることで、搬送車100は、走行体1をその場で上下軸心まわりに旋回させる、いわゆるスピンターンを行うことができる。本例では、搬送車100は、方向変換領域DA(
図1参照)でスピンターンを行うことにより、走行体1の進行方向を変更するように構成されている。但し、走行体1の進行方向の変更は、スピンターン以外によっても可能である。例えば、搬送車100は、一対の駆動輪11aの一方の回転を停止させ、他方を回転させることで走行体1の進行方向を変更し、或いは、一対の駆動輪11aを同じ方向に回転させつつ互いの回転速度を異ならせることで走行体1の進行方向を変更するようにしても良い。
【0069】
〔低重心化制御〕
図14に示すように、本実施形態では、制御装置C(
図6参照)は、移載用昇降体40Bの位置を昇降可能範囲VRの中央よりも下方に設定された下部範囲UR内に位置するように制御する低重心化制御を実行可能に構成されている。制御装置Cは、移載装置4を制御することにより、低重心化制御を実行する。具体的には、制御装置Cは、移載用昇降体駆動部40Mを(
図12等参照)制御して、低重心化制御を実行する。この低重心化制御の実行により、搬送車100全体の重心を低くして、搬送車100を倒れ難くすることができる。また、スピンターンを含む旋回時の搬送車100の挙動も安定化させ易い。本実施形態では、制御装置Cは、低重心化制御において、移載用昇降体40Bを昇降可能範囲VRの最下部に位置させる。これにより、搬送車100を更に倒れ難くすることができると共に、旋回時の搬送車100の挙動も更に安定化させ易い。
【0070】
制御装置Cは、走行体1が棚領域IAにいるか外部領域OA(
図2参照)にいるかを判定し、外部領域OAの少なくとも一部において、低重心化制御を実行する。外部領域OAには、走行体1が棚領域IAにいる場合に搬送車100の支えとなり得る容器棚8のような構造物が少ない。しかし、上記のように、外部領域OAの少なくとも一部において低重心化制御が実行されることによって、搬送車100が外部領域OAにいる場合に搬送車100全体の重心を低くすることができるため、外部領域OAにいる搬送車100を倒れ難くすることができる。また上述のように、外部領域OAには、走行体1が進行方向を変更するための領域である方向変換領域DAが設けられている。そのため、搬送車100の重心を低くした状態で、方向変換領域DAにおいてスピンターン等により方向変換を行うことができる。
【0071】
本実施形態では、搬送車100は、走行体1の現在の位置情報を取得する位置情報取得部Ca(
図6参照)を備えている。本例では、制御装置Cは、位置情報取得部Caによって取得された位置情報に基づいて、走行体1が棚領域IAにいるか外部領域OAにいるかを判定する。本例では、位置情報取得部Caは、設備全体を管理する上位コントローラHから送信される走行体1の現在の位置情報を取得するように構成されている。この場合、上位コントローラHは、設備全体に存在する走行体1(搬送車100)の位置を把握しており、走行体1(搬送車100)の現在の位置情報を位置情報取得部Caに送信する。
【0072】
図15に示すように、本実施形態では、移載装置4(
図4等参照)が容器棚8との間で容器70を移載する場合の走行体1の停止位置を移載用停止位置SPとして、制御装置Cは、走行体1の走行経路Rに沿って棚領域IAから外部領域OAへ出る前の最後の移載用停止位置SPにおいて容器70の移載を完了した後、走行体1が外部領域OAに出るまでに、低重心化制御を開始する。そして、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAにいる間、低重心化制御を実行している状態を維持する。本例では、移載装置4が次の容器70の移載を行う場合には、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAへ出た後、走行体1が外部領域OAにいる間、及び、走行体1が棚領域IAに進入してから次の移載を実行するまでの間、低重心化制御を実行している状態を維持する。
【0073】
次に、
図16のフローチャートを参照して、低重心化制御を実行する場合の処理手順について説明する。
【0074】
図16に示すように、制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートであるか否かを判定する(ステップ#1)。走行体1が走行するルートは、例えば、上位コントローラHから送信される搬送指令に含まれる。この場合、制御装置Cは、当該搬送指令に基づいて、ルートの判定を行う。
【0075】
制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートではないと判定した場合には(ステップ#1:No)、ルーチンを終了する。制御装置Cは、走行体1が現在走行しているルートが、棚領域IAから外部領域OAへ向かうルートであると判定した場合には(ステップ#1:Yes)、棚領域IAにおける最後の移載が完了したか否かを判定する(ステップ#2)。
【0076】
制御装置Cは、棚領域IAにおける最後の移載が完了していないと判定した場合には(ステップ#2:No)、ステップ#2の処理を繰り返し行う。制御装置Cは、棚領域IAにおける最後の移載が完了したと判定した場合には(ステップ#2:Yes)、低重心化制御を実行する(ステップ#3)。そして、制御装置Cは、走行体1が外部領域OAを出た後、棚領域IAに進入して移載機Bによって次の容器70の移載が行われるまでの間、低重心化制御の実行を維持する(ステップ#4)。
【0077】
〔走行体のサスペンション構造〕
走行体1は、走行車輪11を走行面99に接触させ易くするため、及び、走行時の走行車輪11の振動を吸収するためのサスペンション構造を備えている。サスペンション構造は、駆動輪11aに設けられている。本実施形態では、サスペンション構造は、従動輪11bには設けられていない。以下、走行体1のサスペンション構造について、
図17及び
図18を参照して詳細に説明する。
図17は、駆動輪11aの周辺構造を拡大して示した車体幅方向W視図である。
図18は、
図13におけるXVIII-XVIII断面図である。
【0078】
走行体1は、走行本体部10と、駆動輪11aと、駆動輪11aを駆動する車輪駆動源11Mと、走行本体部10に対して揺動可能に設けられ、駆動輪11a及び車輪駆動源11Mを支持する支持アーム12と、走行本体部10に取り付けられて支持アーム12の揺動支点12xを支持する揺動支持部13と、弾性ユニット14と、を備えている。
【0079】
以下では、支持アーム12が揺動する方向を「揺動方向Z」とし、支持アーム12の揺動方向Zにおける、駆動輪11aを走行面99へ向かわせる側を「揺動方向第1側Z1とし、その反対側を「揺動方向第2側Z2」とする。
【0080】
支持アーム12は、駆動輪11a及び車輪駆動源11Mを支持する部材である。本実施形態では、支持アーム12は、車輪駆動源11Mを支持すると共に、当該車輪駆動源11Mを介して駆動輪11aを間接的に支持している(
図18参照)。
【0081】
支持アーム12の揺動支点12xの軸心、換言すれば、支持アーム12の揺動軸心は、駆動輪11aの回転軸心11axと平行状に配置されている。これにより、走行体1が凹凸のある走行面99を走行する場合の駆動輪11aの上下動を許容するように、支持アーム12が揺動する。
【0082】
本実施形態では、支持アーム12の揺動支点12xは、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4に近い側(車体前後方向第2側L2)に配置されている(
図14も参照)。そして、支持アーム12の揺動先端部は、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4とは反対側(車体前後方向第1側L1)に配置されている(
図14も参照)。本例では、後述するように、弾性ユニット14の当接部140が支持アーム12に対して当接する対象箇所12pが、支持アーム12における揺動先端部に設定されている。すなわち、上記対象箇所12pは、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向第1側L1に配置されている。
【0083】
本実施形態では、車輪駆動源11Mの出力軸16の回転軸心16xと駆動輪11aの回転軸心11axとが、平行状に配置されている。従って、出力軸16の回転軸心16x、駆動輪11aの回転軸心11ax、及び支持アーム12の揺動軸心は、互いに平行状に配置されている。本例では、車輪駆動源11Mの出力軸16の回転軸心16xと駆動輪11aの回転軸心11axとが、同一の仮想軸上に配置されている。支持アーム12の揺動軸心は、これらの回転軸心16x,11axとは異なる仮想軸上に配置されており、本例では、回転軸心16x,11axよりも車体前後方向Lにおける移載装置4に近い側(車体前後方向第2側L2)に配置されている。
【0084】
揺動支持部13は、支持アーム12の揺動支点12xを支持する部材である。揺動支持部13は、走行本体部10に対して着脱自在に取り付けられている。本実施形態では、走行本体部10は、上方を向く上面部101と、上面部101から下方に垂下する垂下壁部102と、を備えている。そして、揺動支持部13は、垂下壁部102に対してボルトBt(締結部材の一例)により固定されている。従って、ボルトBtの締結及び締結解除により、揺動支持部13を垂下壁部102に対して着脱自在となっている。本例では、揺動支持部13は、垂下壁部102に対して車体前後方向第1側L1から当接した状態でボルトBtにより垂下壁部102に締結固定されている。そして、揺動支持部13は、垂下壁部102に対して車体前後方向第1側L1において、支持アーム12の揺動支点12xを支持している。詳細な図示は省略するが、揺動支持部13は、車体幅方向Wに分割可能となっており、支持アーム12における揺動支点12xを車体幅方向Wから挟み込むようにして、当該揺動支点12xの突起に嵌合することで、当該揺動支点12xを支持するように構成されている。従って、揺動支持部13の締結を解除した場合には、支持アーム12を揺動支持部13から容易に取り外すことが可能となっている。
【0085】
本実施形態では、走行体1は、支持アーム12の走行面99の側への揺動を規定範囲内に制限する揺動制限機構15を備えている。より具体的には、揺動制限機構15は、支持アーム12の揺動先端部の走行面99の側への揺動を規定範囲内に制限する。
【0086】
本実施形態では、揺動制限機構15は、支持アーム12の一部として構成されている。具体的には、支持アーム12における揺動支点12xが設けられた部分に、支持アーム12の揺動軸心を基準とする径方向に突出する突起部121が設けられており、この突起部121が揺動制限機構15に相当する。揺動制限機構15としての突起部121は、支持アーム12の揺動先端部が走行面99の側に過度に揺動した場合に、垂下壁部102に接触して、それ以上の揺動先端部(支持アーム12)の揺動を制限する。
【0087】
図18に示すように、支持アーム12は、車輪駆動源11Mを支持する駆動源支持部120を備えている。駆動源支持部120は、車輪駆動源11M(詳細には後述する駆動源ケース160)が挿通される開口部120aと、車輪駆動源11Mを支持アーム12に対して締結するためのボルトBtが挿入されるボルト孔120h(貫通孔)と、を備えている。本例では、開口部120aは、出力軸16の回転軸心16xに沿う方向(車体幅方向W)に開口している。そして、複数の貫通孔120bが、支持アーム12における、開口部120a周りの周方向に分散して配置されている。車輪駆動源11Mは、開口部120aに挿通された状態で、ボルトBtによって締結される。このようにして、支持アーム12は、車輪駆動源11Mを支持している。
【0088】
本実施形態では、車輪駆動源11Mは、駆動源ケース160に収容されている。そして、車輪駆動源11Mの出力軸16は、駆動源ケース160に対して相対回転する回転部161に連結されている。本例では、駆動源ケース160が、上述の開口部120aに挿入されて、ボルトBtにより締結されている。なお、本実施形態では、駆動源ケース160には、車輪駆動源11Mの回転を減速する減速機構(不図示)も収容されており、出力軸16は、減速機構を介して伝達される車輪駆動源11Mの駆動力を出力する軸として構成されている。
【0089】
本実施形態では、車輪駆動源11Mは、駆動輪11aを支持する車輪支持部162によって駆動輪11aを支持している。本例では、車輪支持部162は、上述の回転部161に設けられている。従って、車輪支持部162は、回転部161と共に回転し、支持アーム12及び駆動源ケース160に対して相対回転する。このように本実施形態では、車輪駆動源11Mは、回転部161を介して駆動輪11aを支持するように構成されている。
【0090】
本実施形態では、車輪支持部162は、駆動輪11aを回転部161に対して締結するためのボルトBtが挿入されるボルト孔162h(貫通孔)を備えている。図示の例では、複数のボルト孔162hが、回転部161における、出力軸16の回転軸心16x周りの周方向に分散して配置されている。
【0091】
図17に示すように、弾性ユニット14は、支持アーム12における揺動支点12xから離間した対象箇所12pに対して揺動方向第2側Z2から当接する当接部140と、支持アーム12に当接している状態の当接部140を揺動方向第1側Z1へ向けて付勢する弾性部141と、を備えている。これにより、走行体1の重量の少なくとも一部を駆動輪11aが支える状態において、弾性部141によって付勢された当接部140が支持アーム12に当接することで、支持アーム12に支持された駆動輪11aを走行面99の側へ押し付けて、駆動輪11aを走行面99に接触させた状態とすることができる。そのため、駆動輪11aが走行面99から浮いて空転し難いようにすることができる。
【0092】
本実施形態では、対象箇所12pは、支持アーム12の延在方向に沿って、駆動輪11aの回転軸心11axを挟んで揺動支点12xとは反対側に設定されている。これにより、当接部140が支持アーム12に当接する箇所である対象箇所12pが、支持アーム12の延在方向に沿って揺動支点12xから離れた位置に設定されることになる。従って、この構成によれば、当接部140を付勢する弾性部141の付勢力を小さく抑え易い。そのため、弾性ユニット14の小型化を図ることができる。本実施形態では、対象箇所12pは、支持アーム12における揺動先端部に設定されている。このように、対象箇所12pは、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4とは反対側(車体前後方向第1側L1)に配置されている(
図14も参照)。なお、上述のように、支持アーム12の揺動支点12xは、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4に近い側(車体前後方向第2側L2)に配置されている。
【0093】
本実施形態では、対象箇所12pは、支持アーム12における上側を向く面に設定されている。詳細には、対象箇所12pは、支持アーム12の揺動先端部における上側を向く面に設定されている。そして、当接部140は、対象箇所12pに対して上方から当接するように設けられており、弾性部141は、当接部140を下方へ向けて付勢するように設けられている。当接部140は、棒状、柱状、球状など、様々な形状であって良い。詳細な図示は省略するが、弾性部141は、コイルバネや板バネなどのバネ部材、或いはゴム部材などの弾性体を含んで構成されている。
【0094】
本実施形態では、弾性ユニット14は、走行本体部10に固定される固定部142を備えている。固定部142は、当接部140及び弾性部141を支持している。本例では、固定部142は、当接部140を上下方向に移動自在に支持すると共に、弾性部141を弾性変形自在に支持している。
【0095】
本実施形態では、固定部142は、走行本体部10における上面部101に固定されている。固定部142は、上面部101に対してボルトBt(締結部材の一例)により着脱自在に取り付けられている。ここで、上述のように、支持アーム12の揺動支点12xを支持する揺動支持部13は、走行本体部10における上面部101ではなく、垂下壁部102に対して着脱自在に取り付けられている。このように、本実施形態では、弾性ユニット14は、揺動支持部13とは独立して、走行本体部10に対して着脱自在に取り付けられている。
【0096】
本実施形態では、固定部142は、当接部140及び弾性部141を収容する収容部142Aと、走行本体部10に対して連結される連結部142Bと、を備えている。
【0097】
本実施形態では、連結部142Bは、筒状に形成された収容部142Aの外周面から外側に突出するフランジ状に形成されている。連結部142Bには、固定部142を走行本体部10(本例では上面部101)に対して締結するためのボルトBtが挿入されるボルト孔142h(貫通孔)が形成されている。本例では、複数のボルト孔142hが、連結部142Bにおける、収容部142Aの周りに分散して配置されている(
図18参照)。
【0098】
本実施形態では、収容部142Aは、シリンダ状、すなわち筒状に形成されており、その内部に当接部140及び弾性部141を収容している。
【0099】
当接部140は、筒状の収容部142Aの内部を上下方向に移動可能なピストン状に形成されたピストン部140aと、ピストン部140aから下方に延在するように形成されると共に収容部142Aの下端から下方に突出するように配置された突出部140bと、を備えている。本例では、突出部140bの下端部が、支持アーム12における対象箇所12pに対して上方から当接する。
【0100】
弾性部141は、ピストン部140aを収容部142Aに対して下方へ付勢するように構成されている。本例では、弾性部141は、収容部142Aの内部の上壁とピストン部140aとの上下方向の間に配置されたバネ部材141aを備えている。ここでは、バネ部材141aは、圧縮コイルバネとして構成されている。本実施形態では、弾性部141は、バネ部材141aの弾性力を調整するための調整部141bを備えている。ここでは、調整部141bは、ボルトとして構成されている。本例では、調整部141bとしてのボルトを締めることで、バネ部材141aとしての圧縮コイルバネの圧縮量を大きくして弾性力を大きくすることができる。反対に、調整部141bとしてのボルトを緩めることで、バネ部材141aとしての圧縮コイルバネの圧縮量を小さくして弾性力を小さくすることができる。但し、上記のような構成に限定されることなく、バネ部材141aは、収容部142Aの内部の下壁とピストン部140aとの上下方向の間に配置されていても良い。この場合、バネ部材141aは、引張コイルバネとして構成されていると好適である。
【0101】
本実施形態では、収容部142Aは、上面部101を上下方向に貫通するように設けられており、上面部101から上方に突出する上方突出部142Auと、上面部101から下方に突出する下方突出部142Adと、を備えている。筒状の収容部142Aの中心線に直交する方向を筒状径方向として、上述の連結部142Bは、上方突出部142Auの外周面から筒状径方向の外側に突出するように形成されている。
【0102】
収容部142Aに収容された当接部140は、下方突出部142Adから下方に突出するように構成されている。そのため、収容部142Aは、当接部140が適切に支持アーム12の対象箇所12pに当接できるようにするため、支持アーム12の対象箇所12pに対応した位置に配置されている。上述のように、対象箇所12pは、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4とは反対側(車体前後方向第1側L1)に配置されている。従って、収容部142Aは、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4とは反対側(車体前後方向第1側L1)に配置されている。本実施形態では、収容部142Aは、移載装置4よりも移載方向卸し側X1に配置されている。これにより、
図14に示すように、昇降可能範囲VRにおける最も下方に配置された移載用昇降体40B及び当該移載用昇降体40Bに支持された各部材と、収容部142Aとが干渉しないようにできる。従って、本実施形態のように、制御装置C(
図6参照)が、移載用昇降体40Bの位置を昇降可能範囲VRの中央よりも下方に設定された下部範囲UR内に位置するように制御する低重心化制御を実行する場合であっても、収容部142Aの存在、すなわち収容部142Aを備えた弾性ユニット14の存在が、低重心化制御の妨げとなり難い。
【0103】
〔走行本体部からの各部材の取り外し〕
本開示に係る技術では、支持アーム12と駆動輪11a及び車輪駆動源11Mとを、走行本体部10から容易に取り外すことが可能となっている。これにより、駆動輪11a、及び当該駆動輪11aの支持機構である支持アーム12の、メンテナンス性の向上を図ることが可能となっている。また、本実施形態では、弾性ユニット14を、支持アーム12、駆動輪11a、及び車輪駆動源11Mとは独立して走行本体部10から取り外すことが可能となっており、弾性ユニット14のメンテナンス性の向上も図ることができる。なお、上記のメンテナンスには、各部材の分解掃除や各部材の交換等が含まれる。以下、
図19~
図22を参照して、走行本体部10からの各部材の取り外す際の要領について説明する。
【0104】
支持アーム12と駆動輪11a及び車輪駆動源11Mとを、走行本体部10から取り外す場合には、まず駆動輪11aを走行面99から浮かすことが好ましい。例えば
図19に示すように、走行本体部10と走行面99との間にリフタ98を配置して、当該リフタ98によって走行本体部10を持ち上げる。これにより、駆動輪11aが、走行面99に対して上方に配置されて浮いた状態となる。
【0105】
駆動輪11aが走行面99に対して浮いた状態では、支持アーム12は、重力の作用によって走行面99の側へ揺動する。これにより、弾性ユニット14の当接部140と、支持アーム12における対象箇所12p(支持アーム12における揺動先端部)とが離間する。この状態では、支持アーム12は、弾性ユニット14の弾性部141による弾性力の影響を受けない。従って、支持アーム12を走行本体部10から取り外す際に、弾性部141による弾性力が妨げとなり難い。
【0106】
また、上述のように、走行体1は、支持アーム12の走行面99の側への揺動を規定範囲内に制限する揺動制限機構15を備えている。本実施形態では、支持アーム12の揺動先端部が走行面99の側に過度に揺動した場合に、揺動制限機構15としての突起部121が、垂下壁部102に接触して、これ以上の揺動先端部(支持アーム12)の揺動を制限する。これにより、
図19に示すように、支持アーム12が走行本体部10から大きく(例えば垂直に)垂れ下がることを規制して支持アーム12の傾斜角度を規定範囲内に制限することができる。従って、支持アーム12を走行本体部10から取り外す際に、リフタ98によって走行本体部10を走行面99に対して持ち上げた状態で、支持アーム12が走行面99に接触しないようにすることができる。よって、支持アーム12の取り外しを容易に行い易い。
【0107】
このように、本開示に係る技術によれば、支持アーム12を走行面99の側に揺動させることで、弾性ユニット14の当接部140を支持アーム12から離間させつつ、支持アーム12が走行本体部10から大きく垂れ下がらないように規制することができる。従って、支持アーム12を走行本体部10から取り外し易い。ここで、支持アーム12は車輪駆動源11Mを支持しており、車輪駆動源11Mは駆動輪11aを支持している。従って、支持アーム12を走行本体部10から取り外すことで、駆動輪11a及び車輪駆動源11Mについても走行本体部10から取り外すことができる。支持アーム12の取り外しは、
図20に示すように、垂下壁部102(走行本体部10)に対して揺動支持部13を締結しているボルトBtを取り外すことにより行う。これにより、垂下壁部102に対する揺動支持部13の締結が解除され、揺動支持部13と共に、支持アーム12、駆動輪11a、及び車輪駆動源11Mを、走行本体部10から取り外すことができる。なお、支持アーム12、駆動輪11a、及び車輪駆動源11Mを、走行本体部10に対して取り付ける場合には、支持アーム12の揺動支点12xを揺動支持部13に支持させた状態で、当該揺動支持部13をボルトBtによって垂下壁部102(走行本体部10)に締結する。
【0108】
また、本実施形態によれば、走行本体部10から取り外した支持アーム12、駆動輪11a、及び車輪駆動源11Mを、容易に分解することができる。
図21に示すように、車輪駆動源11Mに対して駆動輪11aを締結しているボルトBtを取り外すことにより、車輪駆動源11Mから駆動輪11aを取り外すことができる。また、支持アーム12に対して車輪駆動源11Mを締結しているボルトBtを取り外すことにより、支持アーム12から車輪駆動源11Mを取り外すことができる。このように、本実施形態では、支持アーム12、駆動輪11a、及び車輪駆動源11Mを、容易に分解することができ、これらの各部材を別々にメンテナンスする場合に好適である。
【0109】
また、本実施形態によれば、弾性ユニット14を、支持アーム12、駆動輪11a、及び車輪駆動源11Mとは独立して、走行本体部10から容易に取り外すことができる。
図22に示すように、弾性ユニット14の固定部142を上面部101(走行本体部10)に対して締結しているボルトBtを取り外すことにより、走行本体部10から弾性ユニット14を取り外すことができる。このように、本実施形態では、弾性ユニット14を走行本体部10から容易に取り外すことができ、弾性ユニット14のメンテナンスを個別に行う場合に適している。なお、支持アーム12を走行本体部10から取り外すことなく、弾性ユニット14を走行本体部10から取り外す場合には、事前に調整部141bによって弾性部141の弾性力を小さくすることで、支持アーム12に対する当接部140の押圧力を小さくすると良い。これによれば、弾性部141の弾性力が、弾性ユニット14の取り外しの妨げとなり難く、弾性ユニット14を走行本体部10から容易に取り外すことができる。
【0110】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0111】
(1)上記の実施形態では、支持アーム12の揺動支点12xが、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4に近い側(車体前後方向第2側L2)に配置されており、支持アーム12の揺動先端部が、支持アーム12の車体前後方向Lの中心部分に対して、車体前後方向Lにおける移載装置4とは反対側(車体前後方向第1側L1)に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、支持アーム12の揺動支点12xと支持アーム12の揺動先端部との位置関係は、上記とは逆であっても良い。
【0112】
(2)上記の実施形態では、対象箇所12pが、支持アーム12の延在方向に沿って、駆動輪11aの回転軸心11axを挟んで揺動支点12xとは反対側に設定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、対象箇所12pは、支持アーム12の延在方向に沿って、駆動輪11aの回転軸心11axに対して揺動支点12xと同じ側に設定されていても良い。
【0113】
(3)上記の実施形態では、当接部140が、対象箇所12pに対して上方から当接するように設けられており、弾性部141が、当接部140を下方へ向けて付勢するように設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、当接部140が、支持アーム12に支持された駆動輪11aを走行面99の側へ向けて付勢するように、当接部140及び対象箇所12pの向き、並びに弾性部141の付勢方向が設定されていれば良い。例えば、対象箇所12pが支持アーム12における揺動方向第2側Z2を向く面(例えば水平方向を向く面でもよい)に形成されており、当接部140が弾性部141によって対象箇所12pを揺動方向第1側Z1へ向けて付勢するように構成されていても良い。
【0114】
(4)上記の実施形態では、車輪駆動源11Mの出力軸16の回転軸心16xと駆動輪11aの回転軸心11axとが、平行状に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、車輪駆動源11Mの出力軸16の回転軸心16xと駆動輪11aの回転軸心11axとは、互いに交差するように配置されていても良い。このような構成は、車輪駆動源11Mの出力軸16と駆動輪11aの軸とを、例えば一対の傘歯車が噛み合うギヤ機構等を介して駆動連結することにより実現可能である。
【0115】
(5)上記の実施形態では、車輪駆動源11Mの出力軸16の回転軸心16xと駆動輪11aの回転軸心11axとが、平行状に配置されている場合において、同一の仮想軸上に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、車輪駆動源11Mの出力軸16の回転軸心16xと駆動輪11aの回転軸心11axとは、平行状に配置されている場合において、異なる仮想軸上に配置されていても良い。このような構成は、車輪駆動源11Mの出力軸16と駆動輪11aの軸とを、例えば一対の平歯車が噛み合うギヤ機構等を介して駆動連結することにより実現可能である。
【0116】
(6)上記の実施形態では、弾性ユニット14が、揺動支持部13とは独立して、走行本体部10に対して着脱自在に取り付けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、弾性ユニット14は、走行本体部10に対して着脱不能に固定されていても良い。
【0117】
(7)上記の実施形態では、揺動制限機構15が、支持アーム12の一部として構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、揺動制限機構15は、支持アーム12とは別に設けられていても良い。
【0118】
(8)上記の実施形態では、走行体1が、支持アーム12の走行面99の側への揺動を規定範囲内に制限する揺動制限機構15を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、走行体1は、上記のような揺動制限機構15を備えていなくても良い。
【0119】
(9)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0120】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送車について説明する。
【0121】
物品を搬送する搬送車であって、
走行面上を走行する走行体を備え、
前記走行体は、走行本体部と、駆動輪と、前記駆動輪を駆動する車輪駆動源と、前記走行本体部に対して揺動可能に設けられ、前記駆動輪及び前記車輪駆動源を支持する支持アームと、前記走行本体部に取り付けられて前記支持アームの揺動支点を支持する揺動支持部と、弾性ユニットと、を備え、
前記揺動支持部は、前記走行本体部に対して着脱自在に取り付けられ、
前記支持アームの揺動方向における、前記駆動輪を前記走行面へ向かわせる側を揺動方向第1側とし、その反対側を揺動方向第2側として、
前記弾性ユニットは、前記支持アームにおける前記揺動支点から離間した対象箇所に対して前記揺動方向第2側から当接する当接部と、前記支持アームに当接している状態の前記当接部を前記揺動方向第1側へ向けて付勢する弾性部と、を備えている。
【0122】
本構成によれば、走行体の重量の少なくとも一部を駆動輪が支える状態において、弾性部によって付勢された当接部が支持アームに当接することで、支持アームに支持された駆動輪を走行面の側へ押し付けて、駆動輪を走行面に接触させた状態とすることができる。これにより、駆動輪が走行面から浮いて空転し難いようにすることができる。当接部は、上記のように支持アームに対して当接しているだけであり、支持アームと一体的に連結されているわけではない。そのため、支持アームの揺動支点を支持する揺動支持部を走行本体部から取り外すことにより、支持アームと共にこれに支持された駆動輪及び車輪駆動源を、当接部及び弾性部を含む弾性ユニットとは独立して走行本体部から取り外すことができる。従って、本構成によれば、弾性部の弾性力の影響を受けにくい状態で、支持アームと駆動輪及び車輪駆動源とを、走行本体部から容易に取り外すことができる。従って、駆動輪及び当該駆動輪の支持機構のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0123】
ここで、前記弾性ユニットは、前記揺動支持部とは独立して、前記走行本体部に対して着脱自在に取り付けられている、と好適である。
【0124】
本構成によれば、弾性ユニットを、支持アーム、駆動輪、及び車輪駆動源とは独立して走行本体部から取り外すことができる。従って、弾性ユニットのメンテナンス性の向上も図ることができる。
【0125】
また、前記車輪駆動源の出力軸の回転軸心と前記駆動輪の回転軸心とが、平行状に配置されている、と好適である。
【0126】
本構成によれば、車輪駆動源と駆動輪とを、同じ方向(回転軸心の方向)に沿って移動させることで、走行本体部から容易に取り外すことができる。また、これらを取り外す際に、走行本体部を大きく持ち上げる必要が無い。従って、駆動輪及び当該駆動輪の支持機構のメンテナンス性の更なる向上を図ることができる。
【0127】
また、前記対象箇所は、前記支持アームの延在方向に沿って、前記駆動輪の回転軸心を挟んで前記揺動支点とは反対側に設定されている、と好適である。
【0128】
本構成によれば、当接部が支持アームに当接する箇所である対象箇所が、支持アームの延在方向に沿って揺動支点から離れた位置に設定されることになる。従って、当接部を付勢する弾性部の付勢力を小さく抑え易い。
【0129】
また、前記対象箇所は、前記支持アームにおける上側を向く面に設定されており、
前記弾性部は、前記当接部を下方へ向けて付勢するように設けられている、と好適である。
【0130】
本構成によれば、弾性部を上下方向に沿って配置し易い。従って、弾性ユニットの平面視での寸法の小型化を図ることができる。
【0131】
また、前記走行体は、前記支持アームの前記走行面の側への揺動を規定範囲内に制限する揺動制限機構を備えている、と好適である。
【0132】
本構成によれば、リフタ等により走行本体部を走行面に対して持ち上げた場合であっても、支持アームが走行本体部から垂れ下がることを規制して支持アームの傾斜角度を所定角度に維持することができる。従って、走行本体部を走行面に対して持ち上げた状態で、支持アーム、駆動輪、及び車輪駆動源の取り外しを容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0134】
100 :搬送車
1 :走行体
10 :走行本体部
11M :車輪駆動源
11a :駆動輪
11ax :駆動輪の回転軸心
12 :支持アーム
12p :対象箇所
12x :揺動支点
13 :揺動支持部
14 :弾性ユニット
140 :当接部
141 :弾性部
15 :揺動制限機構
16 :出力軸
16x :出力軸の回転軸心
99 :走行面
Z :揺動方向
Z1 :揺動方向第1側
Z2 :揺動方向第2側