(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175459
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】薄型フィルムおよび薄型フィルムを備える転写シート
(51)【国際特許分類】
A61L 15/26 20060101AFI20221117BHJP
A61L 15/28 20060101ALI20221117BHJP
A61L 15/42 20060101ALI20221117BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20221117BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61L15/26
A61L15/28
A61L15/42
A61K8/02
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081842
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼島 優一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮内 菜摘
【テーマコード(参考)】
4C081
4C083
【Fターム(参考)】
4C081AA03
4C081AA12
4C081BA17
4C081BB04
4C081CA161
4C081CA201
4C081CD082
4C081DA02
4C081DA05
4C081DC02
4C083AD092
4C083AD332
4C083CC02
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】皮膚等に貼付が可能な薄型フィルム、転写シートを提供する。
【解決手段】0.01g/m
2以上5.0g/m
2以下の単位面積当たり質量を有し、少なくとも、非水溶性高分子材料と、水溶性材料とを含む。水溶性材料が薄型フィルム全体の質量に対して、1%以上40%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、非水溶性高分子材料と、水溶性材料とを含む薄型フィルムであって、
単位面積当たりの質量が0.01g/m2以上5.0g/m2以下であり、
前記水溶性材料の含有割合が、前記薄型フィルム全体の質量の1%以上40%以下であることを特徴とする、薄型フィルム。
【請求項2】
前記薄型フィルムを構成する材料が生体適合性材料であることを特徴とする、請求項1に記載の薄型フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の薄型フィルムと、前記薄型フィルムを支持する支持基材と、を備える、転写シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型フィルム、薄型フィルムを備える転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
数μm以下の厚さを有する薄型フィルムは、生体の皮膚等の被着体の表面形状に対する高い追従性を有するため、接着剤や粘着剤を用いずとも被着体に密着する。こうした薄型フィルムを、スキンケアやメイクアップ等の美容用途や、創傷の治癒等の医療用途に用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、皮膚等の生体表面を被着体とする場合、発汗による水分の分泌等により、被着体と薄型フィルムの間に水分が留まることで被着体への密着性が低下するという課題がある。その結果、薄型フィルムが付着体表面から剥がれ、外観や装着感に違和感を生じさせる。しかしながら、これを解決するために、水分蒸散しやすい薄型フィルムは、スキンケア、とりわけ保湿の効果を十分に得るという薄型フィルムの目的に鑑みて好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る薄型フィルムは、少なくとも、非水溶性高分子材料と、水溶性材料とを含み、単位面積当たりの質量が0.01g/m2以上5.0g/m2以下であり、水溶性材料の含有割合が、薄型フィルム全体の質量の1%以上40%以下であることを特徴とする薄型フィルムである。上記構成によれば、非水溶性高分子材料と、水溶性材料とを含むことで被着体表面からの水分蒸散や発汗によって被着体表面に供給される水分を水溶性材料が吸湿、吸水もしくは溶解することで被着体と薄型フィルムの間に水分が滞留することを防止できるため、非水溶性高分子からなる薄型フィルムの密着性を維持することができる。また、水溶性材料が薄型フィルムの質量に対して1%以上40%以下であることで、水溶性材料が被着体表面から供給される水によって溶解した場合でも、薄型フィルムの形状を保ち良好に保湿効果を得ることができる。
【0006】
上記構成において、薄型フィルムを構成する材料が生体適合性材料であっても良い。上記構成によれば、生体への貼り付けに適した薄型フィルムが実現される。
【0007】
上記課題を解決する転写シートは、薄型フィルムと、薄型フィルムを支持する支持基材と、を備える。上記構成によれば、薄型フィルムが支持基材に支持されていることにより、薄型フィルムの変形が抑えられるとともに、薄型フィルムが取り扱いやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保湿等のスキンケア機能を有しつつ、被着体表面から供給される水分による密着性の低下が起こりにくい、密着性の良好な薄型フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】薄型フィルムの一実施形態について、薄型フィルムの断面構造の一例を示す図。
【
図2】転写シートの一実施形態について、転写シートの断面構造の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、薄型フィルムおよび転写シートの一実施形態を説明する。
【0011】
[薄型フィルムの基本構成]
図1に示すように、薄型フィルム10は、被着体に貼り付けられる第1面11Fと、第1面11Fと反対側の面である第2面11Rとを備えている。第2面11Rは、薄型フィルム10が被着体に貼り付けられたときに、被着体とは反対側に位置する最外面となる。薄型フィルム10は、非水溶性高分子および水溶性材料13を含む1以上の層から構成されてよい。
【0012】
薄型フィルム10は、当該フィルム単独で被着体に対する接着性を発現する程度に薄い。言い換えれば、上記接着性を発現する程度に、薄型フィルム10の単位面積当たりの質量が小さい。具体的には、薄型フィルム10の単位面積当たりの質量は、5.0g/m2以下である。単位面積当たりの質量が5.0g/m2以下であれば、被着体の表面形状に対する薄型フィルム10の追従性が良好に得られるため、薄型フィルム10と被着体との密着性が高められる。また、被着体が皮膚である場合、単位面積当たりの質量が5.0g/m2以下であれば、薄型フィルム10の貼付部分にて皮膚が引っ張られるような感覚を使用者が覚えにくい。
【0013】
また、薄型フィルム10の単位面積当たりの質量は、0.01g/m2以上である。単位面積当たりの質量が0.01g/m2以上であれば、薄型フィルム10の強度が良好に得られるため、薄型フィルム10に破れ等の欠陥が発生しにくくなる。また、単位面積当たりの質量が0.01g/m2以上であれば、連続した膜状に薄型フィルム10を形成することが容易である。
【0014】
なお、上記単位面積当たりの質量は、平面視にて1m2の面積を有する部分あたりに換算した薄型フィルム10の質量である。単位面積当たりの質量は、例えば、複数の測定領域で測定された質量の平均値から換算すること、あるいは、薄型フィルム10の膜厚の平均値に薄型フィルム10の密度を掛けることによって求められる。薄型フィルム10の密度は、例えば、1g/cm3以上3g/cm3以下である。
【0015】
薄型フィルム10を構成する高分子材料12としては、公知の材料が用いられる。例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリシロキサン類、セルロースやキチンやキトサン等の多糖類、各種のたんぱく質、ゴム、これらの高分子化合物の誘導体、変性体、共重合体、混合物である。薄型フィルムを構成する高分子材料は、水に対して不要となるように化学修飾や分子量の調整等を施したものを用いても良い。水溶性材料やそのその他の任意の添加材料、被着体との親和性、膜の硬度や伸び等の物性等を考慮して適宜選択して用いることが可能である。また、被着体が生体である場合には、薄型フィルム10を構成する高分子材料は生体適合性を有することが好ましい。
【0016】
水溶性材料13としては、公知の材料が用いられる。各種無機物質、有機物質やその塩、有機無機ハイブリッド材料、錯体など広範な材料を用いることが可能である。水溶性を示せば高分子材料やその誘導体、変性体、塩を用いても構わない。例えば、無機物質としては各種金属塩やその水和物、リン酸やリン酸塩、有機物質としては、各種水溶性アミノ酸、枸櫞酸、アスコルビン酸、コウジ酸、エチレンジアミン四酢酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、クインスシードガム、キサンタンガム、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、セルロース誘導体、水溶性コラーゲン等やこれらの塩を用いることが可能である。被着体が生体である場合には、水溶性材料13は生体適合性を有することが好ましい。
【0017】
薄型フィルム10の全体の質量に対する、薄型フィルム10に含まれる水溶性材料13の総量の割合は、1%以上40%以下であることが好ましく、5%以上30%以下がより好ましい。水溶性材料13の質量の割合が1%以上であれば、被着体表面からの水分蒸散や発汗によって被着体表面に供給される水分を水溶性材料13が吸湿、吸水もしくは溶解することで非水溶性高分子からなる薄型フィルムの密着性を維持することができる。水溶性材料13の質量の割合が40%以下であれば、水溶性材料13が溶解、薄型フィルム外部へ移動したとしても、薄型フィルムが膜として形状を維持することが可能である。
【0018】
薄型フィルム10には、添加剤を含んでもよい。添加剤は、例えば、薄型フィルム10の光学特性を調整するための高屈折率材料、低屈折率材料、光吸収剤、光散乱材、色素や、薄型フィルム10の濡れ性を調整するための改質剤、導電性材料、化粧料成分、薬効成分等である。薄型フィルム10に含有させる添加剤は、薄型フィルム10において発現させたい機能に応じて選択されればよい。
【0019】
薄型フィルム10は、公知の薄膜形成法によって形成される。例えば、溶融した材料を押し出して薄膜状に成形する溶融押出法や、材料の溶液を薄膜状に基材に塗布した後に溶媒を蒸発させる溶液キャスト法を用いることができる。形成方法は、材料に応じて選択されればよい。尚、水溶性材料13および、添加剤は、例えば、溶融押出法においては直接溶融樹脂に添加して良いし、溶液キャスト法を採用する際には、溶液に直接添加しても良いし、極性に応じて水またはアルコール等の水系溶剤に溶解・混合した後、非水溶性高分子を溶解した塗液に加え、混合または、分散しても良い。
【0020】
例えば、溶液キャスト法を用いる場合、薄型フィルム10の材料を適宜の溶媒に溶解もしくは分散させることにより塗液を生成し、塗液を樹脂等からなる基材に塗布して塗膜を形成する。塗膜が乾燥により固化されることによって、保持層が形成される。塗布方法としては、例えば、ダイレクトグラビア、リバースグラビア、小径リバースグラビア、マイヤーコート、ダイ、カーテン、スプレー、スピンコート、スクリーン印刷、コンマ、ナイフ、グラビアオフセット、ロールコート等の各種のコーティング方法が使用可能である。
【0021】
[転写シートの構成]
転写シート20は、薄型フィルム10を被着体に貼り付ける場合に用いられる。
【0022】
図2に示すように、転写シート20は、薄型フィルム10と、薄型フィルム10を支持する支持基材21とを備えている。支持基材21には、薄型フィルム10の第2面11Rが接する。
【0023】
支持基材21は、薄型フィルム10の保管時や、薄型フィルム10の使用に際して被着体上まで薄型フィルム10を移動させるときに、薄型フィルム10の変形を抑える機能を有する。支持基材21に支持されていることにより、薄型フィルム10が取り扱いやすくなる。
【0024】
支持基材21の材料は特に限定されない。支持基材21は、例えば、高分子フィルム、織物、編物、不織布、および、紙のいずれかであることが好ましい。
【0025】
高分子フィルムの材料としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリシロキサン類、セルロース、カゼイン等の各種のたんぱく質、ゴム、これらの高分子化合物の誘導体、変性体、共重合体、混合物が挙げられる。支持基材21として用いられる高分子フィルムは、エンボス加工、穴あけ加工、発泡等による多孔質化等の加工が施されたフィルムであってもよい。
【0026】
織物、編物、紙、および、不織布は、天然繊維もしくは化学繊維から構成される。天然繊維としては、綿、麻、パルプ、毛、絹等を用いることができる。化学繊維としては、ポリエステル、ポリオレフィン、キュプラ、レーヨン、リヨセル、アセテート、ジアセテート、ナイロン、アラミド、アクリル等からなる繊維を用いることができる。また、支持基材21は、天然繊維と化学繊維とが混合された繊維材料から構成されていてもよい。こうした繊維材料からなる支持基材21においては、エンボス加工、穴あけ加工、発泡等による繊維の多孔質化等の加工が施されていてもよい。
【0027】
支持基材21が繊維材料からなる場合、支持基材21の目付けは、3g/m2以上200g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上100g/m2以下であることがより好ましい。支持基材21の目付けが上記下限値以上であれば、静電気や気流に起因して縒れ等の変形が生じ難くなる程度の剛性を支持基材21が有するため、薄型フィルム10が取り扱いやすくなる。また、支持基材21の目付けが上記上限値以下であれば、支持基材21において繊維が詰まりすぎないため、転写シート20の使用に際して支持基材21を湿潤させて薄型フィルム10から剥離する転写方法を用いる場合に、支持基材21の吸液が円滑に進み、転写を好適に行うことができる。
【0028】
また、転写シート20は、薄型フィルム10の第1面11Fを覆う保護層を備えていてもよい。保護層を備えることにより、薄型フィルム10の保管時において、薄型フィルム10が保護される。保護層としては、支持基材21として例示した上述の各種の基材を用いることができる。なお、保護層と支持基材21との材料は一致していてもよいし、異なってもよい。
【0029】
なお、平面視における薄型フィルム10および転写シート20の外形形状は、特に限定されない。薄型フィルム10および転写シート20の外形形状は、例えば、矩形等の多角形形状、円形状、楕円形状、これら以外の直線や曲線で囲まれた形状等である。平面視にて、薄型フィルム10と支持基材21の形状は一致していてもよいし、支持基材21は薄型フィルム10よりも大きくてもよい。
【0030】
転写シート20は、成膜用の基材上に形成された薄型フィルム10が支持基材21上に転写されることによって形成されてもよいし、支持基材21上に薄型フィルム10が成膜されることによって形成されてもよい。成膜用の基材から支持基材21への薄型フィルム10の転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられればよい。
【0031】
転写シート20の使用に際しては、まず、被着体と薄型フィルム10の第1面11Fとが接するように、被着体上に転写シート20が配置される。そして、薄型フィルム10から支持基材21が剥離される。これにより、薄型フィルム10が被着体に転写される。
【0032】
転写シート20を貼り付ける前の被着体の表面や、転写シート20を貼り付けた後の支持基材21上に、水やローション等の液状体が供給され、転写シート20に液状体を浸透させることで、支持基材21と薄型フィルム10との剥離が促進されてもよい。
【実施例0033】
<薄型フィルムおよび転写シートの製造方法>
上述した薄型フィルムおよび転写シートについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。尚、下記記述は一例であって本発明を制限するものではない。
【0034】
<薄型フィルムおよび転写シートの製造方法>
酢酸エチルにポリ-DL-乳酸((株)武蔵野化学研究所製、重量平均分子量:10万)を溶解させ、固形分が10%となるように調整し、非水溶性高分子溶液を作製した。その後、水溶性材料であるヒアルロン酸ナトリウムを添加して攪拌し、本発明の薄型フィルム形成のための塗液とした。
【0035】
上記薄型フィルム形成のための塗液を、成膜基材であるPETシート上に、ワイヤバーを用いて塗布し、塗膜を形成した。その後、100℃の乾燥オーブンで2分乾燥し、薄型フィルムを得た。
【0036】
以上により、成膜用基材上に薄型フィルムを形成した。次いで、成膜用基材上の薄型フィルムに支持基材を重ね合わせ、成膜用基材と薄型フィルムと支持基材との積層体を成膜用基材の位置する側からゴムローラーで押圧しつつ、成膜用基材を剥離した。支持基材としては、パルプ系の繊維から構成された不織布を用いた。支持基材の目付けは、35g/m2である。以上により、転写シートを形成した。
【0037】
上記製造方法において、成膜厚さを変えることにより、単位面積当たりの薄型フィルムの質量を異ならせると共に、水溶性材料の添加量を変えることにより、薄型フィルム全体の質量に対する水溶性材料の質量割合を異ならせて、表1に示す実施例1~3、比較例1~4の薄型フィルムおよび転写シートを得た。
【0038】
<評価方法>
(転写性)
実施例1~3および比較例1~3の各々について、5つずつサンプルを用意した。被着体としてのヒトの頸部の皮膚に、0.5mlの水を供給し、供給した水を指で軽く引き伸ばした。その後、サンプルの転写シートを、薄型フィルムが皮膚に接するように、皮膚上に配置した。次いで、支持基材の上から、3秒間、指でサンプルを押圧した。そして、サンプルの端部から支持基材を指で剥離した。これにより、皮膚に薄型フィルムを貼り付けた。
【0039】
薄型フィルムを貼り付けてから1時間経過後に、皮膚上の薄型フィルムを目視によって観察し、薄型フィルムに欠け、破れ、皺、縒れのいずれかの変形が生じているかを判定した。5つのサンプルのすべてにおいて変形が生じていない場合を「〇」、3つもしくは4つのサンプルにおいて変形が生じていない場合を「△」、変形が生じていないサンプルが2つ以下であった場合を「×」とした。
【0040】
(貼付感)
上述した貼付方法により、薄型フィルムを頸部に貼り付けた後、水温40℃に設定したフットバスに両足を浸け、1時間経過後に皮膚上の薄型フィルムを目視によって観察し、薄型フィルムに欠け、破れ、皺、縒れのいずれかの変形が生じているか、また、貼付箇所に蒸れや突っ張り感等の違和感が生じているかを判定した。5つのサンプルのすべてにおいて変形が生じておらず、違和感が生じていない場合を「〇」、3つもしくは4つのサンプルにおいて変形が生じておらず、違和感が生じていない場合を「△」、変形が生じておらず、違和感を生じていないサンプルが2つ以下であった場合を「×」とした。尚、フットバスの使用にあたっては、両足を浸けてから1時間経過後に、貼付部位周辺に発汗があることを確認した。
【0041】
表1に、単位面積当たりの薄型フィルムの質量、水溶性材料の質量割合、転写性の評価、貼付感の評価、及び、総合評価を示す。総合評価は、転写性及び貼付感の評価の両方が△以上であるものを○、それ以外を×とした。
【0042】
【0043】
表1に示すように、単位当たり面積の質量が0.01g/m2以上5.0g/m2以下、且つ1%以上40%以下の範囲で水溶性材料を含んでいる実施例1~3においては、皮膚からの水分の供給があっても転写性、貼付性ともに良好な結果が得られた。
【0044】
一方で、単位面積当たりの質量が0.01g/m2を下回る比較例1ではその薄さにより連続膜が得られにくく、強度が低いために破れ等が生じて薄型フィルムの転写性が悪かった。
【0045】
また、水溶性材料の割合が1%未満である比較例2では、皮膚と薄型フィルムの間に発汗による水分が留まり、剥がれや剥がれによる欠けが生じ、貼付感が悪かった。
【0046】
また、単位面積当たりの質量が5.0g/m2超える比較例1では、その厚さに起因して、貼付後の密着性が低く、転写性が悪かった。このため貼付感についても同様に密着性の低さに起因する剥がれや、膜が厚いことによる突っ張り感のような違和感が生じ、貼付性も悪かった。
【0047】
また、水溶性材料の割合が40%を超える比較例4では、薄型フィルム全体に対する水溶性材料の割合が多すぎるため、水分によって溶解し、薄型フィルムが形状を保てず、剥がれや剥がれに起因する欠け等の違和感を生じ、貼付性が悪かった。