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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175464
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/023 20120101AFI20221117BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20221117BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20221117BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20221117BHJP
   B60W 50/035 20120101ALI20221117BHJP
   B60W 50/04 20060101ALI20221117BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20221117BHJP
【FI】
B60W50/023
H02H3/08 P
H02H7/00 K
B60R16/03 A
B60W50/035
B60W50/04
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081854
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】森下 紗妃
【テーマコード(参考)】
3D241
5G004
【Fターム(参考)】
3D241BA63
3D241BA64
3D241BA65
3D241BB71
3D241CD24
3D241DA67Z
5G004AA04
5G004AB03
(57)【要約】
【課題】異常の発生状況に応じた適切な退避走行制御を行うことができる車両制御装置を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る車両制御装置は、制御部を備える。制御部は、電源装置が有する第1電源から第1系統を介して電力が供給される第1負荷と、電源装置が有する第2電源から第2系統を介して電力が供給される第2負荷とを用いて自動運転を行うとともに、第1系統または第2系統の一方の系統に異常が発生した場合には、他方の系統により退避走行制御を行う。制御部は、異常の発生箇所に応じて退避走行制御の内容を変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置が有する第1電源から第1系統を介して電力が供給される第1負荷と、前記電源装置が有する第2電源から第2系統を介して電力が供給される第2負荷とを用いて自動運転を行うとともに、前記第1系統または前記第2系統の一方の系統に異常が発生した場合には、他方の系統により退避走行制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記異常の発生箇所に応じて前記退避走行制御の内容を変更すること
を特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記退避走行制御は、
運転者に運転操作の交替要求を行うTORと、車両を退避させる制御を行うMRMとを含み、
前記第1系統は、主系統であり、
前記第2系統は、バックアップ系統であり、
前記制御部は、
前記発生箇所が前記第1系統であった場合、前記TORを実施せずに前記MRMを実施する前記退避走行制御を行い、
前記発生箇所が前記第2系統であった場合、前記TORを実施し、前記TORが非成立の場合に前記MRMを実施する前記退避走行制御を行うこと
を特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記第1負荷は、前記第1系統に第1ヒューズを介して接続され、
前記制御部は、
前記第1負荷および前記第1ヒューズの間に前記異常が発生することで当該第1ヒューズが切れた場合において前記退避走行制御が完了した後、前記第1系統の電圧が復帰した場合には、前記自動運転を禁止すること
を特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1電源および前記第1ヒューズの間で前記異常が発生した場合において前記退避走行制御が完了した後、前記第1系統の電圧が復帰した場合には、前記自動運転を許可し、前記第1系統の電圧が復帰しなかった場合には、走行を禁止すること
を特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記第2負荷は、前記第2系統に第2ヒューズを介して接続され、
前記制御部は、
前記第2負荷および前記第2ヒューズの間に前記異常が発生することで当該第2ヒューズが切れた場合において前記退避走行制御が完了した後、前記自動運転を禁止すること
を特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第2電源および前記第2ヒューズの間で前記異常が発生した場合において前記退避走行制御が完了した後、前記第2系統の電圧が復帰した場合には、前記自動運転を許可し、前記第2系統の電圧が復帰しなかった場合には、前記自動運転を禁止すること
を特徴とする請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記第1系統は、前記自動運転とは関わりが無い一般負荷である第3負荷が第3ヒューズを介して接続され、
前記制御部は、
前記第3負荷および前記第3ヒューズの間に前記異常が発生することで当該第3ヒューズが切れた後、前記第1系統の電圧が復帰した場合、前記自動運転を許可すること
を特徴とする請求項2~6のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行中に電源失陥が発生しても、安全な場所まで退避走行させて停車させることができるように、第1電源と第2電源とを備え、一方の電源系統に地絡等の異常が発生した場合に、他方の電源系統によって車載機器(負荷)へ電力を供給する冗長電源システムがある。
【0003】
冗長電源システムは、第1電源から第1負荷へ電力を供給する第1系統と、第2電源から第1負荷と同一の機能を備える第2負荷へ電力を供給する第2系統と、第1系統および第2系統間を接続切断可能な系統間スイッチとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、冗長電源システムは、通常時には、系統間スイッチを接続して第1電源から第1負荷および第2負荷へ電力を供給するとともに、第1系統に地絡等の電源失陥が発生すると、系統間スイッチを遮断して第2電源から第2負荷へ電力を供給してバックアップ制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-62727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の冗長電源システムでは、異常の発生箇所によって、電源の冗長性が確保できない場合や、負荷の冗長性が確保できない場合等のように異なる状況となった場合に、状況に応じた退避走行制御の内容を行う点でさらなる改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異常の発生状況に応じた適切な退避走行制御を行うことができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、制御部を備える。前記制御部は、電源装置が有する第1電源から第1系統を介して電力が供給される第1負荷と、前記電源装置が有する第2電源から第2系統を介して電力が供給される第2負荷とを用いて自動運転を行うとともに、前記第1系統または前記第2系統の一方の系統に異常が発生した場合には、他方の系統により退避走行制御を行う。前記制御部は、前記異常の発生箇所に応じて前記退避走行制御の内容を変更する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、異常の発生状況に応じた適切な退避走行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る車両制御装置を含む自動運転システムの構成例を示す図である。
図2図2は、異常検出制御の動作例を示す図である。
図3図3は、退避走行制御の動作例を示す図である。
図4図4は、異常の発生箇所を示す図である。
図5図5は、異常特定情報の一例を示す図である。
図6図6は、制御情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る車両制御装置の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係る車両制御装置によって実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車両制御装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。実施形態に係る車両制御装置は、車両に搭載され、自動運転制御に関わる負荷を制御することで、車両の自動運転制御を行う。
【0012】
図1は、実施形態に係る車両制御装置100を含む自動運転システムSの構成例を示す図である。図1に示すように、自動運転システムSは、電源装置1と、第1電源10と、車両制御装置100と、第1負荷101と、第2負荷102と、第3負荷103とを備える。
【0013】
第1負荷101および第2負荷102は、自動運転に関わる負荷を含む。具体的には、第1負荷101および第2負荷102は、FOP(Fail Operational)に関わる負荷であり、例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等を含む。
【0014】
FOPとは、退避走行制御であり、後述する第1系統110または第2系統120に異常が発生した場合に、自動運転における電力供給の冗長性が担保されなくなるため、自動運転中の車両を路肩等の安全な場所へ退避して停止させる制御である。
【0015】
具体的には、FOPは、(TOR:Take Over Request)と、(MRM:Minimal Risk Maneuver)とを含む制御である。TORとは、運転者への権限移譲要求であり、車両制御装置100が運転者に運転操作の権限の交替要求を行うことである。MRMとは、リスク最小化操作であり、TORが成立しなかった(非成立である)場合、つまり、運転者が運転操作の権限の交替要求を受け入れなかった場合に、車両制御装置100が自動運転により退避走行して停車させる操作(MRM:Minimal Risk Maneuver)を行う。なお、TORが成立した場合、つまり、運転者が運転操作の権限の交替要求を受け入れた場合には、MRMを行わずに、運転者に運転操作を任せる。
【0016】
第3負荷103は、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、各種ライト等の自動運転とは関わりの無い(非FOP)一般負荷である。
【0017】
また、第1負荷101は、ヒューズF1(第1ヒューズ)を介して第1系統110に接続され、第2負荷102は、ヒューズF2(第2ヒューズ)を介して第2系統120に接続され、第3負荷103は、第1負荷101の下流側(あるいは、上流側)において、ヒューズF3(第3ヒューズ)を介して第1系統110に接続される。また、第1負荷101、第2負荷102および第3負荷103は、それぞれ図示せぬマイクロコンピュータで構成される制御部を有し、各マイクロコンピュータは、それぞれ電源装置1の制御部31と通信可能である。
【0018】
車両制御装置100は、第1負荷101および第2負荷102を動作させて、車両の自動運転制御を行う制御装置である。また、本開示において、車両制御装置100は、電源装置1の異常の発生箇所に応じてFOPの内容を変えることができるが、かかる点の詳細については後述する。
【0019】
第1電源10は、DC/DCコンバータ11(以下、DC/DC11と記載する)と、鉛バッテリ12(以下、PbB12と記載する)とを含む。なお、第1電源10の電池は、PbB12以外の任意の2次電池であってもよい。
【0020】
DC/DC11は、上流側において、車両の回生エネルギーを電力に変換して発電する発電機に接続され、発電機から入力される入力電圧を変圧して出力する。発電機は、車両がエンジンを備える場合、エンジンの回転力を電力に変換して発電するオルタネータであってもよい。DC/DC11は、PbB12の充電、第1負荷101への電力供給、第2負荷102への電力供給、および後述する第2電源20の充電を行う。
【0021】
電源装置1は、第1負荷101および第2負荷102への電力供給を制御する装置である。図1に示すように、電源装置1は、第2電源20と、系統間スイッチ4と、制御部31と、電圧センサ51,52とを備える。
【0022】
第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。第2電源20は、リチウムイオンバッテリ21(以下、「LiB21」と記載する)と、電源用スイッチ22とを備える。電源用スイッチ22は、LiB21と第2負荷102とを接続/切断可能に接続する。なお、第2電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0023】
また、電源装置1は、第1電源10から第1負荷101へ電力を供給する第1系統110と、第2電源20から第2負荷102へ電力を供給する第2系統120とを備える。
【0024】
系統間スイッチ4は、第1系統110と第2系統120とを接続/切断可能に接続する。
【0025】
電圧センサ51は、第1電源10と第1負荷101との間に接続され、第1系統110の電圧値を検出する。電圧センサ52は、第2電源20と第2負荷102との間に接続され、第2系統120の電圧値を検出する。
【0026】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、制御部31は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0027】
制御部31は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、電源装置1の動作を制御する。制御部31は、電圧センサ51、52から入力される検出結果(電圧値)に基づいて、系統間スイッチ4および電源用スイッチ22をオンオフ制御することで、第1電源10または第2電源20から第1負荷101と第2負荷102とに電力を供給する。
【0028】
図1では、第1系統110および第2系統120に地絡等の異常が発生していない正常時の制御(正常制御)の一例を示している。具体的には、制御部31は、正常制御時には、系統間スイッチ4をオンし、電源用スイッチ22をオフする。
【0029】
これにより、第1電源10から第1系統110を介して第1負荷101へ電力が供給されるとともに、第1電源10から第1系統110、系統間スイッチ4および第2系統120を介して第2負荷102へ電力が供給される。なお、この正常制御は、車両が自動運転および手動運転のいずれの場合でも行われる。
【0030】
ここで、自動運転における正常制御時において、電圧センサ51の電圧値が所定の閾値未満まで低下したとする。かかる場合には、電源装置1は、第1系統110または第2系統120に地絡等の異常が発生している可能性があるため、正常制御から異常箇所を特定するための異常検出制御に切り替える。
【0031】
図2を用いて、異常検出制御について説明する。図2は、異常検出制御の動作例を示す図である。電源装置1の制御部31は、正常制御時において、電圧センサ51の電圧値が所定の地絡閾値未満まで低下した場合、系統間スイッチ4をオフし、電源用スイッチ22をオンする。
【0032】
この結果、第1系統110および第2系統120の系統間の接続が切断されることで、第1負荷101への電力供給は、第1電源10によって行われ、第2負荷102への電力供給は、第2電源20によって行われる。
【0033】
そして、制御部31は、電圧センサ51、52の電圧値に基づいて、第1系統110および第2系統120それぞれに異常が生じているか否かを検出する。具体的には、制御部31は、電圧センサ51の電圧値に基づいて、第1系統110に異常が生じているか否かを検出する。より具体的には、制御部31は、電圧センサ51の電圧値が所定時間以上連続して前記地絡閾値未満であれば、第1系統110に地絡の異常が生じていること検出し、電圧センサ51の電圧値が所定時間以内に前記地絡閾値以上に復帰すれば、第1系統110に異常が生じていないと判定する。また、制御部31は、電圧センサ52の電圧値に基づいて、第2系統120に異常が生じているか否かを検出する。より具体的には、制御部31は、電圧センサ52の電圧値が所定時間以上連続して前記地絡閾値未満であれば、第2系統120に地絡の異常が生じていること検出し、電圧センサ52の電圧値が所定時間以内に前記地絡閾値以上に復帰すれば、第2系統120に異常が生じていないと判定する。つまり、制御部31は、異常検出制御により、異常が発生している箇所が第1系統110であるか第2系統120であるか(あるいは双方であるか)を特定する。
【0034】
例えば、図2に示すように、制御部31は、第1系統110および第2系統120双方に異常が発生していない場合には、一過性の過負荷等による電圧低下であると判定し、系統間スイッチ4をオンし、電源用スイッチ22をオフする。すなわち、異常検出制御から正常制御に復帰させる。
【0035】
このように、制御部31は、正常制御時に、電圧センサ51の電圧値が低下した場合には、図2に示すように、電源用スイッチ22を一時的にオンすることで、第2電源20の電力を使って第2系統120の異常の有無を確認する。
【0036】
なお、異常検出制御において、第1系統110のみに異常が発生していた場合には、異常検出制御から図3に示す退避走行制御に切り替わることとなる。
【0037】
図3は、退避走行制御の動作例を示す図である。退避走行制御とは、車両制御装置100によって行われる制御であって、第1系統110または第2系統120に異常が発生した場合には、自動運転における電力供給の冗長性が担保されなくなるため、自動運転中の車両を路肩等の安全な場所へ退避して停止させるための走行制御である。
【0038】
図3に示すように、制御部31は、第1系統110に地絡等の異常GFが発生した場合には、系統間スイッチ4を継続してオフするとともに、電源用スイッチ22を継続してオンする。そして、制御部31は、第1電源10から第1負荷101への電力供給を停止させ、第2電源20から第2負荷102への電力供給を継続して行う。つまり、制御部31は、第1系統110に異常が発生した場合には、第2電源20の電力のみで退避走行制御を行うこととなる。
【0039】
すなわち、第1系統110は、正常制御時には、第1負荷101、第2負荷102および第3負荷103へ電力供給を行う主系統であり、第2系統120は、第1系統110の異常時に少なくとも第2負荷102へ電力を供給するバックアップ系統である。
【0040】
ここで、異常GFの発生箇所は、図3に示す位置以外にも様々な位置で発生しうる。図4は、異常GFの発生箇所を示す図である。図4に示すように、異常GFは、少なくとも5箇所(GF1~GF5)で発生する可能性がある。
【0041】
異常GF1は、第1負荷101とヒューズF1との間で発生する地絡等の異常である。異常GF2は、第3負荷103とヒューズF3との間で発生する地絡等の異常である。異常GF3は、第2負荷102とヒューズF2との間で発生する地絡等の異常である。異常GF4は、第1系統110に発生する地絡等の異常であり、図4に示す例では、ヒューズF1の接続箇所と電源装置1との間で発生する異常を示している。異常GF5は、第2系統120に発生する地絡等の異常であり、図4に示す例では、ヒューズF2の接続箇所と電源装置1との間で発生する異常を示している。
【0042】
異常GF1~GF5の発生箇所は、例えば、電源装置1によって特定される。なお、各異常GF1~GF5の特定方法については後述する。そして、実施形態に係る車両制御装置100は、電源装置1から特定された異常GF1~GF5の発生箇所を示す異常箇所情報を取得し、異常GF1~GF5の発生箇所に応じて退避走行制御であるFOPの内容を変更する。これにより、異常の発生状況に応じた適切な退避走行制御(FOP)を行うことができる。
【0043】
具体的には、電源装置1は、図5に示す異常特定情報を参照して、異常GF1~GF5を特定し、車両制御装置100は、図6に示す制御情報を参照して、異常GF1~GF5の発生箇所それぞれの場合に応じた内容のFOPを実行する。図5は、異常特定情報の一例を示す図である。図6は、制御情報の一例を示す図である。図5に示す異常特定情報は、電源装置1の不図示の記憶部に記憶される。図6に示す制御情報は、車両制御装置100の記憶部300(図7参照)に制御情報310(図7参照)として記憶される。
【0044】
図5に示す例では、地絡箇所が異なるシーン0からシーン5の場合における電圧センサ51、52および第1負荷101~第3負荷103の入力電圧の変化の状態を示している。つまり、電源装置1は、各部の電圧変化の状態により異常GF1~GF5を特定する。
【0045】
なお、第1負荷101~第3負荷103の入力電圧は、電源装置1の制御部31によって計測される。具体的には、制御部31は、第1負荷101~第3負荷103それぞれと通信しているため、第1負荷101~第3負荷103への電源供給が絶たれると、第1負荷101~第3負荷103との通信が途絶される。従って、制御部31は、第1負荷101~第3負荷103との通信途絶を検出した場合に、第1負荷101~第3負荷103の入力電圧の低下を検出する。なお、制御部31は、第1負荷101~第3負荷103の入力に電圧センサを設け、かかる電圧センサの電圧値により入力電圧の低下を検出してもよい。
【0046】
図6に示す例では、異常GF1~GF5の発生箇所に対応するシーン1~シーン5のFOPの内容を示している。以下、図5および図6を参照して、異常GF1~GF5の特定方法およびシーン0~シーン5に応じたFOPの内容について詳細に説明する。
【0047】
(シーン0)
シーン0は、異常が発生したのではなく、一過性の電圧低下が生じた場合である。具体的には、正常制御時に第1系統110の電圧低下が発生したものの、その後電圧が復帰した場合である。具体的には、図5に示すように、電源装置1は、電圧センサ51、電圧センサ52、第1負荷101の入力電圧、第2負荷102の入力電圧および第3負荷の入力電圧が地絡判定用の閾値未満となった後に復帰した場合である。かかる場合には、電源装置1は、異常が発生していないため、車両制御装置100へ異常特性情報を通知しない。従って、車両制御装置100は、FOPを行うことなく通常の自動運転を継続する。
【0048】
(シーン1)
シーン1は、異常GF1が発生した場合であり、詳細には、異常GF1の発生によりヒューズF1が切れることで、第1負荷101の電源失陥(電力供給ができない状態)が発生した場合である。
【0049】
電源装置1は、図5に示す各電圧のうち、第1負荷101の入力電圧のみが継続して低下している場合に、異常GF1であると特定する。第1負荷101の入力電圧が継続して低下しているかどうかは、制御部31が、第1負荷101との通信が継続して途絶しているか否かにより判断する。具体的には、図5に示すように、異常GF1が発生した場合、電圧センサ51の電圧は、異常GF1により低下した後、ヒューズF1が切れることで復帰する。また、電圧センサ52の電圧は、異常GF1により低下した後、系統間スイッチ4をオフし、電源用スイッチ22をオンすることで復帰する。また、第1負荷101の入力電圧は、ヒューズF1が切れることで電圧の低下が継続する。これにより制御部31と第1負荷101との通信途絶が継続する。また、第2負荷102の入力電圧は、異常GF1により低下した後、系統間スイッチ4をオフし、電源用スイッチ22をオンすることで復帰する。これは、ヒューズF2が切れていないため、第2負荷102への電源供給が再開されるためである。これにより、第2負荷102の通信は途絶しない。また、第3負荷103の入力電圧は、異常GF1により低下した後、ヒューズF3が切れないため、第3負荷103への電源供給が再開されることで電圧復帰する。これにより、第3負荷103の通信は途絶しない。
【0050】
制御部31は、電圧センサ51、52の電圧が地絡判定用の閾値以上に復帰すると、電圧が復帰したと判定し、また第1負荷101、第2負荷102、第3負荷103の通信が途絶しなければ電圧が復帰したと判定する。一方、制御部31は、電圧センサ51、52の電圧が地絡判定用の閾値未満を継続していれば、低下継続と判定し、また第1負荷101、第2負荷102、第3負荷103の通信途絶が継続していれば、低下継続と判定する。係る判定は、図5のシーン2~シーン5においても同様である。
【0051】
図6に示すように、シーン1の場合、電源装置1は、系統間スイッチ4をオフ継続し、電源用スイッチ22をオン継続することで、異常検出制御(図2)から退避走行制御(図3)に移行するとともに、異常GF1が発生したことを示す異常箇所情報を車両制御装置100へ通知する。
【0052】
車両制御装置100は、電源装置1から異常箇所情報を取得した場合、TORを実施せずにMRMを行うFOPを行う。つまり、車両制御装置100は、異常の発生箇所が第1系統110であった場合、TORを実施せずに、第2系統120の電力供給によりMRMを実施する。これは、第2電源20のLiB21の蓄電量が有限であることに起因している。つまり、仮にTORが成立することで運転者が運転操作を行って消費する電力量が、MRMによって消費する電力量よりも多くなった場合にLiB21の電力量が退避走行中に枯渇することを防止するためである。
【0053】
このように、車両制御装置100は、第1系統110の異常GF1が発生した場合に、あえてTORを実施せずにMRMを行うことで、第2電源20のLiB21の電力量が枯渇して退避走行できなくなる状況を高精度に回避することができる。
【0054】
また、図6に示すように、シーン1において、FOP完了後(停車後)、電源装置1は、第1系統110の電圧が復帰した場合、系統間スイッチ4をオンし、電源用スイッチ22をオン継続するとともに、第1系統110の電圧が復帰したことを示す復帰情報を車両制御装置100へ通知する。なお、FOP完了後、第2電源20の電力は、FOPの実施により枯渇しているが、第1系統110の電圧が復帰すれば、系統間スイッチ4をオンし、電源用スイッチ22をオン継続することで第2電源20が充電される。
【0055】
車両制御装置100は、FOP完了後に復帰情報を取得した場合、自動運転を禁止、手動運転のみ許可する。これは、電力供給は第1系統110および第2系統120により行えるものの、第1負荷101がヒューズF1切れにより使用できず第2負荷102のみで走行制御を行うためである。つまり、負荷側の冗長性が確保されないためである。これにより、負荷側の冗長性が確保されない状態で自動運転が行われることを高精度に回避することができる。
【0056】
(シーン2)
シーン2は、異常GF2が発生した場合であり、詳細には、異常GF2の発生によりヒューズF3が切れることで、第3負荷103の電源失陥(電力供給ができない状態)が発生した場合である。
【0057】
電源装置1は、図5に示す各電圧のうち、第3負荷103の入力電圧のみが継続して低下している場合に、異常GF2であると特定する。具体的には、図5に示すように、異常GF2が発生した場合、電圧センサ51の電圧は、異常GF2により低下した後、ヒューズF3が切れることで復帰する。また、電圧センサ52の電圧は、異常GF2により低下した後、系統間スイッチ4をオフし、電源用スイッチ22をオンすることで復帰する。また、第1負荷101の入力電圧は、異常GF2により低下した後、ヒューズF1が切れないため、第1負荷101への電源供給が再開されることで電圧復帰する。これにより、第1負荷101の通信は途絶しない。また、第2負荷102の入力電圧は、異常GF2により低下した後、ヒューズF2が切れていないため、系統間スイッチ4をオフし、電源用スイッチ22をオンすることで復帰する。これにより、第2負荷102の通信は途絶しない。また、第3負荷103の入力電圧は、ヒューズF3が切れることで電圧の低下が継続する。これにより、第3負荷103の通信が途絶する。
【0058】
図6に示すように、シーン2の場合、電源装置1は、ヒューズF3が切れた後に第1系統110の電圧が復帰した場合、系統間スイッチ4をオンし、電源用スイッチ22をオフすることで、異常検出制御から正常制御に復帰するとともに、異常GF2が発生したことおよび第1系統110の電圧が復帰したことを示す異常箇所情報を車両制御装置100へ通知する。
【0059】
車両制御装置100は、電源装置1から異常箇所情報を取得した場合、自動運転を許可し自動運転を行う。つまり、車両制御装置100は、異常の発生箇所が第3負荷103およびヒューズF3の間であった場合、ヒューズF3が切れた後に第1系統110の電圧が復帰した場合、自動運転を許可する。これは、第1系統110の電圧が復帰した場合には第1系統110および第2系統120による電源の冗長性が確保されるためである。これにより、不必要に退避走行制御を行うことを低減することができる。
【0060】
なお、車両制御装置100は、第1系統110の電圧が復帰するまではTORを実施して運転者に運転操作を任せてもよく、第2系統120により第2負荷102へ電力を供給して自動運転を継続してもよい。
【0061】
また、シーン2において、FOP完了後、電源装置1は、第1系統110の電圧が復帰しているため、系統間スイッチ4をオン継続し、電源用スイッチ22をオフ継続することで、正常制御を継続する。なお、電源装置1は、FOP実施により枯渇した第2電源20を充電する場合には、系統間スイッチ4をオンし、電源用スイッチ22をオンすることで第2電源20を充電する。そして、車両制御装置100は、第2電源20の充電完了の通知を電源装置1から受けた後、自動運転を許可し自動運転を行う。
【0062】
(シーン3)
シーン3は、異常GF3が発生した場合であり、詳細には、異常GF3の発生により第2負荷102の電源失陥(電力供給ができない状態)が発生した場合である。
【0063】
電源装置1は、図5に示す各電圧のうち、第2負荷102の入力電圧のみが継続して低下している場合に、異常GF3であると特定する。具体的には、図5に示すように、異常GF3が発生した場合、電圧センサ51の電圧は、異常GF3により低下した後、系統間スイッチ4をオフすることで復帰する。また、電圧センサ52の電圧は、異常GF3により低下した後、ヒューズF2が切れているため、電源用スイッチ22をオンすることで復帰する。また、第1負荷101の入力電圧は、異常GF3により低下した後、ヒューズF1が切れないため、系統間スイッチ4をオフすることで、第1負荷101への電源供給が再開され電圧復帰する。これにより、第1負荷101の通信は途絶しない。また、第2負荷102の入力電圧は、ヒューズF2が切れることで電圧の低下が継続する。これにより、第2負荷102の通信途絶が継続する。また、第3負荷103の入力電圧は、異常GF3により低下した後、ヒューズF3が切れていないため、系統間スイッチ4をオフすることで第3負荷103への電源供給が再開され電圧復帰する。これにより、第3負荷103の通信は途絶しない。
【0064】
図6に示すように、シーン3の場合、電源装置1は、系統間スイッチ4をオフ継続し、電源用スイッチ22をオン継続することで、異常検出制御から退避走行制御に移行するとともに、異常GF3が発生したことを示す異常箇所情報を車両制御装置100へ通知する。
【0065】
車両制御装置100は、かかる異常箇所情報を取得した場合、TORを実施する。そして、車両制御装置100は、TORが成立した場合、運転者に運転操作を任せる、すなわち、自動運転から手動運転に切り替えてMRMを実施しない。一方、車両制御装置100は、TORが成立しなかった場合、MRMを実施する。つまり、車両制御装置100は、異常の発生箇所が第2系統120であった場合、TORを実施し、TORが非成立の場合にMRMを実施するFOPを行う。
【0066】
また、シーン3において、FOP完了後、電源装置1は、ヒューズF2が切れているため、系統間スイッチ4をオフ継続し、車両制御装置100は、第2負荷102が使用できないことにより、負荷の冗長性が確保されないため、自動運転を禁止し、手動運転のみ許可する。
【0067】
(シーン4)
シーン4は、異常GF4が発生した場合であり、詳細には、異常GF4の発生により第1負荷101および第3負荷103の電源失陥(電力供給ができない状態)が発生した場合である。
【0068】
電源装置1は、図5に示す各電圧のうち、電圧センサ51、第1負荷101および第3負荷103の電圧が継続して低下している場合に、異常GF4であると特定する。具体的には、図5に示すように、異常GF4が発生した場合、電圧センサ51の電圧は、異常GF4の継続により、電圧低下が継続する。また、電圧センサ52の電圧は、異常GF4により低下した後、系統間スイッチ4をオフし、電源用スイッチ22をオンすることで復帰する。また、第1負荷101の入力電圧は、ヒューズF1は切れないものの、異常GF4の継続により電源が供給されなくなるため、低下が継続する。これにより、第1負荷101の通信が途絶する。また、第2負荷102の入力電圧は、異常GF4により低下した後、ヒューズF2が切れていないため、系統間スイッチ4をオフし、電源用スイッチ4をオンすることで第2負荷102への電源供給が再開され電圧復帰する。これにより、第2負荷102の通信は途絶しない。また、第3負荷103の入力電圧は、ヒューズF3は切れないものの、異常GF4の継続により電源が供給されなくなるため、低下が継続する。これにより、第3負荷103の通信が途絶する。
【0069】
図6に示すように、シーン4の場合、電源装置1および車両制御装置100は、シーン1と同様の制御を行う。つまり、電源装置1は、系統間スイッチ4をオフ継続し、電源用スイッチ22をオン継続することで、異常検出制御から退避走行制御に移行するとともに、異常GF4が発生したことを示す異常箇所情報を車両制御装置100へ通知する。
【0070】
車両制御装置100は、電源装置1から異常箇所情報を取得した場合、TORを実施せずにMRMを行うFOPを行う。
【0071】
また、FOP完了後において、電源装置1は、第1系統110の電圧が復帰した場合、系統間スイッチ4をオンし、第1系統110の電圧が復帰したことを示す復帰情報を車両制御装置100へ通知する。車両制御装置100は、第1系統110の電圧が復帰したことを示す復帰情報を取得した場合には、自動運転を許可し、自動運転を行う。これは、ヒューズF1およびヒューズF2が切れていないため、第1系統110の電圧復帰により、電源(第1電源10および第2電源20)の冗長性と、負荷(第1負荷101および第2負荷102)の冗長性とが確保されるためである。
【0072】
一方、FOP完了後において、電源装置1は、第1系統110の電圧が復帰しなかった場合、未復帰情報を車両制御装置100へ通知する。そして、車両制御装置100は、未復帰情報を取得した場合には、走行を禁止する。これは、第1電源10が失陥しており、FOP実施により電力が枯渇した第2電源20を充電できないためである。
【0073】
(シーン5)
シーン5は、異常GF5が発生した場合であり、詳細には、異常GF5の発生により第2負荷102の電源失陥(電力供給ができない状態)が発生した場合である。
【0074】
電源装置1は、図5に示す各電圧のうち、電圧センサ52および第2負荷102の電圧が継続して低下している場合に、異常GF5であると特定する。具体的には、図5に示すように、異常GF5が発生した場合、電圧センサ51の電圧は、系統間スイッチ4をオフすることにより復帰する。また、電圧センサ52の電圧は、異常GF5の継続により電圧低下が継続する。また、第1負荷101の入力電圧は、異常GF5により低下した後、ヒューズF1が切れていないため、系統間スイッチ4をオフすることで第1負荷101への電源供給が再開され電圧復帰する。これにより、第1負荷101の通信は途絶しない。また、第2負荷102の入力電圧は、ヒューズF2は切れないものの、異常GF5の継続により電源が供給されなくなるため、低下が継続する。これにより、第2負荷102の通信が途絶する。また、第3負荷103の入力電圧は、異常GF5により低下した後、ヒューズF3が切れていないため、系統間スイッチ4をオフすることで第3負荷103への電源供給が再開され電圧復帰する。これにより、第3負荷103の通信は途絶しない。
【0075】
図6に示すように、シーン5の場合、電源装置1および車両制御装置100は、異常確定からFOP完了までにおいては、シーン3と同様の制御を行う。つまり、電源装置1は、系統間スイッチ4をオフ継続し、電源用スイッチ22をオン継続することで、異常検出制御から退避走行制御に移行するとともに、異常GF5が発生したことを示す異常箇所情報を車両制御装置100へ通知する。
【0076】
車両制御装置100は、かかる異常箇所情報を取得した場合、TORを実施する。そして、車両制御装置100は、TORが成立した場合、運転者に運転操作を任せる、すなわち、自動運転から手動運転に切り替えてMRMを実施しない。一方、車両制御装置100は、TORが成立しなかった場合、MRMを実施する。
【0077】
また、FOP完了後において、電源装置1は、第2系統120の電圧が復帰した場合、系統間スイッチ4をオンし、第2系統120の電圧が復帰したことを示す復帰情報を車両制御装置100へ通知する。車両制御装置100は、第2系統120の電圧が復帰したことを示す復帰情報を取得した場合には、自動運転を許可し、自動運転を行う。これは、ヒューズF1およびヒューズF2が切れていないため、第2系統120の電圧復帰により、電源(第1電源10および第2電源20)の冗長性と、負荷(第1負荷101および第2負荷102)の冗長性とが確保されるためである。
【0078】
一方、FOP完了後において、電源装置1は、第2系統120の電圧が復帰しなかった場合、系統間スイッチ4をオフし、未復帰情報を車両制御装置100へ通知する。そして、車両制御装置100は、未復帰情報を取得した場合には、自動運転を禁止する。これは、第2電源20の失陥により、電源の冗長性を確保できないためである。
【0079】
次に、図7を用いて、実施形態に係る車両制御装置100の構成例について説明する。図7は、実施形態に係る車両制御装置100の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、実施形態に係る車両制御装置100は、電源装置1と、第1負荷101と、第2負荷102と、第3負荷103とに接続される。また、車両制御装置100は、制御部200と、記憶部300とを備える。
【0080】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、制御部200は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0081】
制御部200は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、車両制御装置100の動作を制御する。
【0082】
記憶部300は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部300には、制御情報310および各種プログラムなどが記憶される。
【0083】
次に、図8を用いて、実施形態に係る車両制御装置100において実行される処理の手順について説明する。図8は、実施形態に係る車両制御装置100によって実行される処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0084】
図8に示すように、まず、制御部200は、電源装置1から異常の発生箇所を示す異常箇所情報を取得する(ステップS101)。
【0085】
つづいて、制御部200は、異常箇所情報に基づいて、異常の発生箇所が異常GF1であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0086】
制御部200は、異常GF1であった場合(ステップS102:Yes)、制御情報310におけるシーン1の制御を実行し(ステップS103)、処理を終了する。
【0087】
一方、制御部200は、異常GF1でなかった場合(ステップS102:No)、異常GF2であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0088】
制御部200は、異常GF2であった場合(ステップS104:Yes)、制御情報310におけるシーン2の制御を実行し(ステップS105)、処理を終了する。
【0089】
一方、制御部200は、異常GF2でなかった場合(ステップS104:No)、異常GF3であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0090】
制御部200は、異常GF3であった場合(ステップS106:Yes)、制御情報310におけるシーン3の制御を実行し(ステップS107)、処理を終了する。
【0091】
一方、制御部200は、異常GF3でなかった場合(ステップS106:No)、異常GF4であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0092】
制御部200は、異常GF4であった場合(ステップS108:Yes)、制御情報310におけるシーン4の制御を実行し(ステップS109)、処理を終了する。
【0093】
一方、制御部200は、異常GF4でなかった場合(ステップS108:No)、異常GF5が特定されるため、制御情報310におけるシーン5の制御を実行し(ステップS110)、処理を終了する。
【0094】
上述してきたように、実施形態に係る車両制御装置100は、制御部200を備える。制御部200は、電源装置1が有する第1電源10から第1系統110を介して電力が供給される第1負荷101と、電源装置1が有する第2電源20から第2系統120を介して電力が供給される第2負荷102とを用いて自動運転を行うとともに、第1系統110または第2系統120の一方の系統に異常が発生した場合には、他方の系統により退避走行制御を行う。制御部200は、異常の発生箇所に応じて退避走行制御の内容を変更する。これにより、異常の発生状況に応じた適切な退避走行制御を行うことができる。
【0095】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 電源装置
4 系統間スイッチ
10 第1電源
11 DC/DCコンバータ
12 鉛バッテリ
20 第2電源
21 リチウムイオンバッテリ
22 電源用スイッチ
31 制御部
51、52 電圧センサ
100 車両制御装置
101 第1負荷
102 第2負荷
103 第3負荷
110 第1系統
120 第2系統
200 制御部
300 記憶部
310 制御情報
S 自動運転システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8