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特開2022-175506表示システム及びヘッドアップディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175506
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】表示システム及びヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/133 20060101AFI20221117BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20221117BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20221117BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20221117BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20221117BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
G02F1/133 550
G02F1/133 535
G02F1/1334
G02F1/1347
G02F1/13357
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081917
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 昌志
【テーマコード(参考)】
2H189
2H193
2H199
2H391
3D344
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189AA22
2H189CA36
2H189HA06
2H189LA10
2H189LA17
2H189LA20
2H189MA08
2H193ZA04
2H193ZA37
2H193ZG41
2H193ZG43
2H193ZH17
2H193ZH18
2H193ZH53
2H193ZH57
2H193ZP15
2H193ZQ13
2H193ZR06
2H193ZR16
2H199DA03
2H199DA48
2H391AA03
2H391BA01
2H391BA11
2H391BA28
2H391CB06
2H391CB28
2H391EA13
2H391EA26
2H391EB02
2H391FA07
3D344AA08
3D344AA19
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】所定温度以上になった後にさらなる温度の上昇が生じることを抑制できる表示システム等を提供する。
【解決手段】表示システム100は、透過型の液晶表示パネル30と、光の散乱と透過とを切替可能な散乱部Pixが設けられた散乱領域を有する散乱パネル20と、温度検出用抵抗素子が設けられた温度検出領域を有する温度検出部40と、液晶表示パネル30に投影光を照射するバックライト101と、温度検出用抵抗素子の温度に応じた温度検出部40の出力に基づいて、散乱パネル20及びバックライト101の動作を制御する制御部と、を備える。温度検出用抵抗素子の温度が所定温度以上であることを示す出力が得られた場合、制御部は、散乱部Pixに光を散乱させる。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過型の液晶表示パネルと、
光の散乱と透過とを切替可能な散乱部が設けられた散乱領域を有する散乱パネルと、
温度検出用抵抗素子が設けられた温度検出領域を有する温度検出部と、
前記液晶表示パネルに投影光を照射する光源部と、
前記温度検出用抵抗素子の温度に応じた前記温度検出部の出力に基づいて、前記散乱パネル及び前記光源部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記液晶表示パネルの表示領域と、前記散乱領域と、前記温度検出領域と、は重なり、
前記表示領域及び前記散乱領域を透過した前記投影光は、透光性を有する投影対象に投影されて虚像をユーザに視認させ、
前記温度検出用抵抗素子の温度が所定温度以上であることを示す出力が得られた場合、前記制御部は、前記散乱部に光を散乱させる、
表示システム。
【請求項2】
前記散乱部と前記温度検出用抵抗素子は、複数設けられ、
複数の前記温度検出用抵抗素子の各々と重なる位置に1つ以上の前記散乱部が個別に設けられ、
前記制御部は、複数の前記温度検出用抵抗素子のうち前記所定温度以上である前記温度検出用抵抗素子と重なる前記散乱部に光を散乱させる、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記所定温度は、第1温度と、前記第1温度よりも高い第2温度と、を含み、
前記液晶表示パネルによる画像の出力が行われる第1期間と、前記液晶表示パネルによる前記画像の出力が行われない第2期間と、が交互に生じ、
前記制御部は、
前記温度検出用抵抗素子の温度が前記第1温度以上であって前記第2温度未満であることを示す出力が得られた場合、前記第2期間中、複数の前記温度検出用抵抗素子のうち前記第1温度以上である前記温度検出用抵抗素子と重なる前記散乱部に光を散乱させ、
前記温度検出用抵抗素子の温度が前記第2温度以上であることを示す出力が得られた場合、前記第2期間中、全ての前記散乱部に光を散乱させる、
請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記所定温度は、前記第2温度よりも高い第3温度を含み、
前記制御部は、
前記温度検出用抵抗素子の温度が前記第2温度以上であって前記第3温度未満であることを示す出力が得られたとき、2回の前記第1期間のうち1回の半分の期間、前記第1温度以上である前記温度検出用抵抗素子と重なる前記散乱部に光を散乱させ、
前記温度検出用抵抗素子の温度が前記第3温度以上であることを示す出力が得られたとき、2回の前記第1期間のうち1回分の期間、前記第1温度以上である前記温度検出用抵抗素子と重なる前記散乱部に光を散乱させる、
請求項3に記載の表示システム。
【請求項5】
前記光源部は、複数の光源を有し、
複数の前記温度検出用抵抗素子の各々と重なる位置に1つ以上の前記光源が個別に設けられ、
前記制御部は、
全ての前記散乱部が光を散乱している期間中、全ての前記光源を消灯し、
前記第1温度以上である前記温度検出用抵抗素子と重なる前記散乱部が光を散乱している期間中、前記第1温度以上である前記温度検出用抵抗素子と重なる前記光源を消灯し、かつ、前記第1温度以上である前記温度検出用抵抗素子と重ならない前記光源を点灯させ、
それ以外の期間中、全ての前記光源を点灯させる、
請求項3又は4に記載の表示システム。
【請求項6】
透過型の液晶表示パネルと、
光の散乱と透過とを切替可能な散乱部が設けられた散乱領域を有する散乱パネルと、
温度検出用抵抗素子が設けられた温度検出領域を有する温度検出部と、
前記液晶表示パネルに投影光を照射する光源部と、
前記温度検出用抵抗素子の温度に応じた前記温度検出部の出力に基づいて、前記散乱パネル及び前記光源部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記液晶表示パネルの表示領域と、前記散乱領域と、前記温度検出領域と、は重なり、
前記表示領域及び前記散乱領域を透過した前記投影光は、透光性を有する投影対象に投影されて虚像をユーザに視認させ、
前記温度検出用抵抗素子の温度が所定温度以上であることを示す出力が得られた場合、前記制御部は、前記散乱部に光を散乱させる、
ヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システム及びヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス等の透光性を有する部材に対して画像を投影する所謂ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の技術によると、太陽の光が光学系を介してHUD装置に入射することがある。光学系により集光された太陽の光がHUD装置に当たると、光が当たった場所が高温になってHUD装置に悪影響を与えることがある。そこで、温度検出素子として設けられた電極の電気抵抗値の変化に基づいて、当該温度検出素子が設けられた構成の温度を特定する温度情報取得方法が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-210328号公報
【特許文献2】特開2015-200720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術の組み合わせによる構成では、HUD装置が高温になったことを温度検出素子によって検出できたとしても、HUDを部分的又は全面的に停止させることしかできなかった。このため、太陽の光が入射し続けることによる温度のさらなる上昇を抑制することが困難であった。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、所定温度以上になった後にさらなる温度の上昇が生じることを抑制できる表示システム及びヘッドアップディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による表示システムは、透過型の液晶表示パネルと、光の散乱と透過とを切替可能な散乱部が設けられた散乱領域を有する散乱パネルと、温度検出用抵抗素子が設けられた温度検出領域を有する温度検出部と、前記表示領域に投影光を照射する光源部と、前記温度検出用抵抗素子の温度に応じた前記温度検出部の出力に基づいて、前記散乱パネル及び前記光源部の動作を制御する制御部と、を備え、前記液晶表示パネルの表示領域と、前記散乱領域と、前記温度検出領域と、は重なり、前記表示領域及び前記散乱領域を透過した前記投影光は、透光性を有する投影対象に投影されて虚像をユーザに視認させ、前記温度検出用抵抗素子の温度が所定温度以上であることを示す出力が得られた場合、前記制御部は、前記散乱部に光を散乱させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、表示システムを模式的に説明する説明図である。
図2図2は、表示パネルの積層構造例を示す模式図である。
図3図3は、散乱パネルの主要構成を示す模式的な回路図である。
図4図4は、散乱パネルの概略断面図である。
図5図5は、実施形態1に係る温度検出部の主要構成及び制御装置を示す模式図である。
図6図6は、温度検出用抵抗素子の座標と散乱部の座標との関係の一例を示す図である。
図7図7は、温度検出用抵抗素子の座標と散乱部の座標との関係の他の一例を示す図である。
図8図8は、制御部の構成例を示すブロック図である。
図9図9は、制御部の機能構成を示すブロック図である。
図10図10は、虚像が投影される際の散乱パネル、液晶表示パネル、温度検出部及び光源部の動作を示す模式図である。
図11図11は、液晶表示パネルの温度が上昇する仕組みを示す模式図である。
図12図12は、散乱パネルによる太陽光の局所的散乱で液晶表示パネルの温度上昇を抑制する仕組みを示す図である。
図13図13は、散乱パネルによる太陽光の全面的散乱で液晶表示パネルの温度上昇を抑制する仕組みを示す図である。
図14図14は、表示システムの動作制御に関わる処理の流れを示すフローチャートである。
図15図15は、表示システムの動作モード一覧を示す図である。
図16図16は、図15に示す動作モードAの実施例を示すタイムチャートである。
図17図17は、図15に示す動作モードBの実施例を示すタイムチャートである。
図18図18は、図15に示す動作モードCの実施例を示すタイムチャートである。
図19図19は、図15に示す動作モードDの実施例を示すタイムチャートである。
図20図20は、表示パネルの積層構造例を示す模式図である。
図21図21は、表示パネルの積層構造例を示す模式図である。
図22図22は、表示パネルの積層構造例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(実施形態1)
図1は、表示システム100を模式的に説明する説明図である。表示システム100は、バックライト101と、拡散板102と、表示パネル10と、表示パネル10からの画像を拡大して投影板WSへ投影する光学系RMと、を備える。
【0011】
筐体103は、光源装置として機能するバックライト101と、バックライト101からの投影光Lを光源として画像を出力する表示パネル10と、表示パネル10とバックライト101との間に設けられる拡散板102と、光学系RMと、を収容する。
【0012】
バックライト101から発せられた投影光Lは、拡散板102により拡散されて表示パネル10を経ることで一部又は全部が透過し、画像の光となる。実施形態1の表示システム100では、ミラー部材RM1と、ミラー部材RM2と、を含む光学系RMは、表示パネル10を通った後の投影光Lを投影板WSへ導いている。ミラー部材RM1は、平面鏡であり、ミラー部材RM2は、凹面鏡である。ミラー部材RM1は、凹面鏡であってもよい。また、ミラー部材RM2は、平面鏡であってもよい。光学系RMはこれに限られず、光学系RMが、ミラー部材の枚数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0013】
光学系RMを通過した画像の光は、投影板WSにより反射されてユーザHに到達することで、ユーザHの視界内で虚像VIとして認識される。すなわち、実施形態1の表示システム100は、投影板WSへ画像を投影するHUDとして機能する。投影板WSは、ユーザHの視線上に位置する透光性を有する部材であればよい。投影板WSは、例えば車両のフロントガラス(ウインドシールド)、またはフロントガラスとは別体に設けられたコンバイナーと呼ばれる透光性の板部材である。
【0014】
図1に示すように、表示システム100には、太陽SUNの相対位置によっては、太陽光LLが筐体103の開口4Sに入射することがある。太陽光LLは、光学系RMに導かれ、表示パネル10に向かって集光することがある。集光された太陽の光は、動作中の表示パネル10の温度を上昇させ、当該温度の上昇によって表示パネル10に異常を生じさせる可能性がある。このため、表示パネル10の温度状態を検出することが望まれている。また、表示パネル10の温度が所定温度以上になった場合、さらなる温度の上昇を抑制できるようにすることが望まれている。
【0015】
そこで、実施形態1では、表示パネル10に後述する温度検出部40が設けられている。温度検出部40は、表示パネル10の温度を検出可能に設けられている。従って、実施形態では、表示パネル10に向かって集光した光により生じる温度変化を温度検出部40によって検出できる。例えば後述する散乱パネル20によって高温部にバックライト101からの光がさらなる温度上昇を生じさせることを抑制する等、表示パネル10に生じた温度変化に基づいて表示パネル10や散乱パネル20の動作を制御するようにすることで、表示パネル10による表示出力品質の劣化を抑制できる。
【0016】
図2は、表示パネル10の積層構造例を示す模式図である。図2に示す表示パネル10は、一面側から他面側に向かって、散乱パネル20、第1接着層71、偏光板72、液晶表示パネル30、偏光板73、第2接着層74、温度検出部40が並ぶ積層構造を有する。以下、表示パネル10が有する積層構造の積層方向に沿う方向を第3方向Dzとする。また、第3方向Dzに直交する平面に沿う二方向の一方を第1方向Dxとし、他方を第2方向Dyとする。
【0017】
散乱パネル20は、入射光の透過と散乱とを切替可能な散乱領域を有する。具体的には、散乱パネル20は、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)パネルである。
【0018】
図3は、散乱パネル20の主要構成を示す模式的な回路図である。散乱パネル20は、散乱領域7と、信号出力回路8と、走査回路9と、VCOM駆動回路99と、タイミングコントローラ13と、を備える。以下、上述の一面側を投影側とし、他面側を背面側とする。
【0019】
散乱領域7には、複数の散乱部Pixがマトリクス状に配置されている。散乱部Pixは、スイッチング素子1と、2つの電極とを含む。図3及び後述する図4では、2つの電極として、画素電極2と、共通電極6とを図示している。
【0020】
図4は、散乱パネル20の概略断面図である。散乱パネル20は、対向する2枚の基板と、当該2枚の基板の間に封入された液晶20cを有する。以下、当該2枚の基板の一方を第1基板20bとし、他方を第2基板20aとする。
【0021】
第1基板20bは、透光性のガラス基板35と、ガラス基板35の第2基板20a側に積層された画素電極2と、画素電極2を覆う配向膜55とを含む。画素電極2は、散乱部Pix毎に個別に設けられる。第2基板20aは、透光性のガラス基板21と、ガラス基板21の第1基板20b側に積層された共通電極6と、共通電極6を覆う配向膜56とを含む。共通電極6は、複数の散乱部Pixで共有される板状又は膜状の形状を有する。
【0022】
実施形態1の液晶20cは、PDLCである。具体的には、液晶20cは、バルク51と、微粒子52とを含む。微粒子52は、バルク51内で画素電極2と共通電極6との電位差に応じて配向が変化する。散乱部Pix毎に画素電極2の電位が個別に制御されることで、散乱部Pix毎に少なくとも透光及び分散のいずれかの度合いが制御される。
【0023】
図4を参照して説明した実施形態1では、画素電極2と共通電極6は、液晶20cを挟むように対向するが、散乱パネル20は、1つの基板に画素電極2と共通電極6が設けられて画素電極2と共通電極6によって発生する電界によって液晶20cの配向が制御される構成であってもよい。
【0024】
次に、画素電極2及び共通電極6の電位を制御する仕組みについて説明する。図3に示すようにスイッチング素子1は、例えば薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等、半導体を用いたスイッチング素子である。スイッチング素子1のソース又はドレインの一方は、2つの電極の一方(画素電極2)と接続される。スイッチング素子1のソース又はドレインの他方が信号線4と接続される。スイッチング素子1のゲートは、走査線5と接続される。走査線5は、走査回路9の制御下で、スイッチング素子1のソース-ドレイン間を開閉するための電位を与える。当該電位の制御は、走査回路9が行う。
【0025】
図3に示す例では、複数の信号線4は、散乱部Pixの並び方向のうち一方(行方向)に沿って並ぶ。信号線4は、散乱部Pixの並び方向のうち他方(列方向)に沿って延出する。信号線4は、列方向に並ぶ複数の散乱部Pixのスイッチング素子1で共有される。複数の走査線5は、列方向に沿って並ぶ。走査線5は、行方向に沿って延出する。走査線5は、行方向に並ぶ複数の散乱部Pixのスイッチング素子1で共有される。
【0026】
実施形態1の説明では、走査線5の延出方向をX方向とし、複数の走査線5が並ぶ方向をY方向とする。また、図3では、複数の走査線5のうちY方向の両端に配置されたものの一方を走査線5aとし、他方を走査線5bとしている。
【0027】
共通電極6は、VCOM駆動回路99と接続される。VCOM駆動回路99は、共通電極6に共通電位として機能する電位を与える。走査回路9が走査線5に対して駆動信号として機能する電位を与えるタイミングで、信号出力回路8が信号線4に対して後述する階調信号を出力することで、画素電極2と共通電極6との間に形成された蓄積容量と容量性負荷である液晶(微粒子52)を充電する。これによって、散乱部Pixと共通電極6との間の電圧は階調信号に対応した電圧となる。駆動信号が与えられなくなった後、蓄積容量と容量性負荷である液晶(微粒子52)は階調信号を保持する。液晶(微粒子52)の散乱度は、各散乱部Pixの電圧と共通電極6の電圧に応じて制御される。例えば、液晶20cは各散乱部Pixの電圧と共通電極6との間の電圧が大きくなるほど散乱度が大きくなるような高分子分散型液晶を用いてもよいし、各散乱部Pixの電圧と共通電極6との間の電圧が小さくなるほど散乱度が大きくなるような高分子分散型液晶を用いてもよい。
【0028】
タイミングコントローラ13は、信号出力回路8、走査回路9及びVCOM駆動回路99の動作タイミングを制御する回路である。散乱パネル制御回路91は、後述する制御部110の散乱パネル動作制御部1103の制御下で、信号出力回路8及びタイミングコントローラ13を制御するための信号を出力する。信号出力回路8と、走査回路9と、VCOM駆動回路99と、は、タイミングコントローラ13によるタイミング制御下で協調的に動作して散乱パネル20の散乱部Pixの動作を制御する。
【0029】
図2に示す如く、第1接着層71は、散乱パネル20の板面と偏光板72の板面とを接着する。具体的には、第1接着層71は、OCA(Optical Clear Adhesive)であり、第1接着層71の両面が粘着性を有する。
【0030】
液晶表示パネル30は、バックライト101からの光を選択的に透過させて画像を表示出力する。具体的には、液晶表示パネル30は、透過型の液晶表示パネルである。液晶表示パネル30は、マトリクス状に配置された複数の画素が設けられた表示領域AA(図10参照)を有する。液晶表示パネル30は、虚像VIの投影内容に対応した画像を表示領域AAで出力する。表示領域AAを透過した投影光Lが投影対象(例えば、投影板WS)に投影されることで、ユーザHが虚像VIを視認できるようになる。
【0031】
偏光板72,73は、特定の方向に偏光した光を透過させ、それ以外の方向に偏光した光を透過させない。偏光板73は、バックライト101から発せられる光のうち、特定の方向に偏光した光を透過させる。偏光板72は、偏光板73を透過した光のうち、液晶表示パネル30の表示領域AAに設けられた画素を透過した光を透過させる。偏光板72が透過させる光の偏光方向は、当該画素によって生じる光の偏光方向のねじれに対応する。図2等では接着層を図示しないが、偏光板72,73は、液晶表示パネル30に接着される。
【0032】
第2接着層74は、偏光板73の板面と温度検出部40の板面とを接着する。具体的には、第2接着層74は、OCAであり、第2接着層74の両面が粘着性を有する。
【0033】
温度検出部40は、表示パネル10の温度を検出する。温度検出部40の構成について、図5を参照して説明する。
【0034】
図5は、実施形態1に係る温度検出部40の主要構成及び制御装置を示す模式図である。図5に示すように、温度検出部40は、センサ基材42と、センサ部43と、を有する。
【0035】
センサ基材42は、温度検出領域SAと、周辺領域GAとを有する。温度検出領域SAは、複数の部分温度検出領域PAを含む。複数の部分温度検出領域PAは、それぞれ、センサ部43が有する複数の温度検出用抵抗素子ERが設けられた領域である。なお、第3方向Dzは、センサ基材42の法線方向でもある。
【0036】
温度検出用抵抗素子ERは、合金、金属を含む化合物(金属化合物)又は金属を素材とした電気抵抗である。温度検出用抵抗素子ERは、金属、合金、金属化合物の少なくとも1つに該当する素材が複数種類積層された積層体であってもよい。実施形態1の説明で合金等と記載した場合、温度検出用抵抗素子ERの組成として採用され得る素材をさす。図5に示す例では、温度検出用抵抗素子ERは、長辺が第2方向Dyに沿うL字状の配線が第1方向Dxに複数接続された態様である。当該態様では、第1方向Dxに隣接する2つのL字状の配線の各々の短辺が第2方向Dyに互い違いになるよう、複数のL字状の配線が接続されて温度検出用抵抗素子ERの形態が形成されている。
【0037】
周辺領域GAは、温度検出領域SAの外周と、センサ基材42の端部との間の領域であり、温度検出用抵抗素子ERが設けられない領域である。周辺領域GAには、複数の基準抵抗素子41が設けられている。部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ERと、周辺領域GAに設けられた基準抵抗素子41とで、温度センサが構成される。
【0038】
温度検出用抵抗素子ERと基準抵抗素子41は、配線部83に設けられた配線と接続されている。配線部83に含まれる配線は、後述する制御部110の温度センサI/F118に接続される。配線部83に設けられた配線は、接地電位線GNDと、信号入力線Vinと、信号出力線Voutとを含む。信号出力線Voutと記載した場合、信号出力線Vout(1),Vout(2),…,Vout(15)のように、温度検出用抵抗素子ERの数に対応して複数設けられた信号出力線を包括する。図5に示す接地電位線GNDは、温度検出用抵抗素子ERの一端と接続される。接地電位線GNDは、温度検出用抵抗素子ERに接地電位を与える。信号入力線Vinは、基準抵抗素子41の一端と接続される。信号出力線Voutは、温度検出用抵抗素子ERの他端及び基準抵抗素子41の他端と接続されている。
【0039】
信号入力線Vinから、温度検出部40の駆動信号が入力される。当該駆動信号は、温度検出部40を介して信号出力線Voutへ出力される。ここで、信号出力線Voutから出力される信号の強さは、信号出力線Voutと接続されている温度検出用抵抗素子ERの温度に応じる。すなわち、信号出力線Voutから出力される信号に基づいて、温度検出用抵抗素子ERが設けられた部分温度検出領域PAの温度を検出できる。
【0040】
基準抵抗素子41として設けられる電気抵抗素子の数及び信号出力線Voutの数は、温度検出用抵抗素子ERの数に対応する。複数の当該電気抵抗素子は、1つの信号入力線Vinに対して並列に接続される。図5に示す例では、温度検出用抵抗素子ERの数が15である場合を例としている。信号出力線Vout(1),Vout(2),…,Vout(15)の各々から、15の温度検出用抵抗素子ERの各々の温度に対応した信号が出力される。なお、温度検出用抵抗素子ERの数は15に限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、後述する図6及び図7を参照した説明では、温度検出用抵抗素子ERが5×5=25配置されている例を示している。
【0041】
図2に示すように、散乱パネル20には配線部81が設けられている。配線部81は、散乱パネル20、散乱パネル制御回路91に接続される配線を含む。また、液晶表示パネル30には配線部82と液晶表示パネル制御回路92が設けられている。配線部82は、液晶表示パネル30に接続される配線を含む。液晶表示パネル制御回路92は、DDIC(Display Driver Integrated Circuit)である。液晶表示パネル制御回路92は、液晶表示パネル30の画素を動作させる。
【0042】
温度検出部40の部分温度検出領域PA、すなわち、温度検出用抵抗素子ERの配置と、散乱パネル20の散乱部Pixの配置と、は対応関係を有する。以下、当該対応関係について、図6及び図7を参照して説明する。
【0043】
図6は、温度検出用抵抗素子ERの座標と散乱部Pixの座標との関係の一例を示す図である。図6及び後述する図7では、温度検出用抵抗素子ERの第1方向Dxの配置を「温度センサx座標」で示している。また、温度検出用抵抗素子ERの第2方向Dyの配置を「温度センサy座標」で示している。例えば、(x1,y1)の温度検出用抵抗素子ERと記載した場合、「x1」の「温度センサx座標」と、「y1」の「温度センサy座標」の両方に当てはまる座標領域に配置された温度検出用抵抗素子ERのことをさす。また、散乱部Pixの第1方向Dxの配置を「散乱部x座標」で示している。また、散乱部Pixの第2方向Dyの配置を「散乱部y座標」で示している。例えば、(xa,ya)の散乱部Pixと記載した場合、「xa」の「散乱部x座標」と、「ya」の「散乱部y座標」の両方に当てはまる座標領域に配置された散乱部Pixのことをさす。
【0044】
図6に示す例では、「温度センサx座標」と「散乱部x座標」とが一対一で対応している。例えば、「x1」の「温度センサx座標」と「xa」の「散乱部x座標」とは同じ座標である。また、「x2」の「温度センサx座標」と「xb」の「散乱部x座標」とは同じ座標である。他の「温度センサx座標」と「散乱部x座標」との関係についても、一対一で対応する「温度センサx座標」と「散乱部x座標」との組み合わせがある。
【0045】
また、図6に示す例では、「温度センサy座標」と「散乱部y座標」とが一対一で対応している。例えば、「y1」の「温度センサy座標」と「ya」の「散乱部y座標」とは同じ座標である。また、「y2」の「温度センサy座標」と「yb」の「散乱部y座標」とは同じ座標である。他の「温度センサy座標」と「散乱部y座標」との関係についても、一対一で対応する「温度センサy座標」と「散乱部y座標」との組み合わせがある。
【0046】
図6を参照して説明したように、温度検出用抵抗素子ERが個別に配置される座標領域と、散乱部Pixが個別に配置される座標領域と、は一対一で対応していてもよい。すなわち、1つの温度検出用抵抗素子ERと平面視点で重なる位置に1つの散乱部Pixが設けられていてもよい。また、後述する図7で示すように、1つの温度検出用抵抗素子ERと平面視点で重なる位置に複数の散乱部Pixが設けられていてもよい。なお、平面視点とは、第3方向Dzに直交する平面を正面視する視点である。
【0047】
図7は、温度検出用抵抗素子ERの座標と散乱部Pixの座標との関係の他の一例を示す図である。図7に示す例では、1つの「温度センサx座標」内に2つの「散乱部x座標」が含まれる。例えば、「x1」の「温度センサx座標」内に「xf」と「xg」の「散乱部x座標」が含まれる。また、「x2」の「温度センサx座標」内に「xh」と「xi」の「散乱部x座標」が含まれる。他の「温度センサx座標」と「散乱部x座標」との関係についても、1つの「温度センサx座標」内に2つの「散乱部x座標」が含まれる。
【0048】
また、図7に示す例では、1つの「温度センサy座標」内に2つの「散乱部y座標」が含まれる。例えば、「y1」の「温度センサy座標」内に「yf」と「yg」の「散乱部x座標」が含まれる。また、「y2」の「温度センサy座標」内に「yh」と「yi」の「散乱部y座標」が含まれる。他の「温度センサy座標」と「散乱部y座標」との関係についても、1つの「温度センサy座標」内に2つの「散乱部y座標」が含まれる。
【0049】
従って、図7に示す例では、1つの温度検出用抵抗素子ERと平面視点で重なる位置に2×2=4の散乱部Pixが設けられている。例えば、(x1,y1)の温度検出用抵抗素子ERと平面視点で重なる位置に(xf,yf),(xf,yg),(xg,yf),(xg,yg)の散乱部Pixが設けられている。
【0050】
なお、図7を参照した例では、x座標とy座標の両方について、温度検出用抵抗素子ERの数と散乱部Pixの数との対応関係が一対複数であるが、いずれか一方のみ一対複数であってもよい。また、温度検出用抵抗素子ERの数と散乱部Pixの数との対応関係は1対4に限られるものでなく、1対vであってもよい。vは、2以上の自然数である。
【0051】
表示パネル10及びバックライト101は、制御部110に接続されている。以下、制御部110について、図8及び図9を参照して説明する。
【0052】
図8は、制御部110の構成例を示すブロック図である。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random access memory)112、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)113、ROM(Read Only Memory)114、タイマー回路115、Bus116、ホストI/F(InterFace)117、温度センサI/F118、散乱パネルI/F119、バックライトI/F120及び表示パネルI/F121を備える。制御部110は、筐体103内に設けられた図示しない基板上に実装される。
【0053】
CPU111は、各種の演算処理を行う。RAM112は、CPU111によって行われる演算処理で生じる一時的なデータを記憶する。EEPROM113は、CPU111によって行われる演算処理で読みだされるソフトウェア・プログラム、ソフトウェア・プログラムの実行に際して読みだされるデータの少なくとも一方を書き換え可能な状態で記憶する。ROM114は、CPU111によって行われる演算処理で読みだされるソフトウェア・プログラム、ソフトウェア・プログラムの実行に際して読みだされるデータの少なくとも一方を書き換え不可能な状態で記憶する。EEPROM113及びROM114の少なくとも一方に、CPU111によって行われる演算処理で読みだされるソフトウェア・プログラムが記憶されている。
【0054】
タイマー回路115は、時間経過をカウントする。CPU111は、時間経過がパラメータとして用いられる演算処理においてタイマー回路115によるカウント値を参照する。
【0055】
Bus116は、制御部110に含まれる各種構成を接続する。ホストI/F117には、ホスト500が接続される。ホスト500は、外部に設けられた画像出力装置である。表示システム100は、ホスト500から入力される画像信号に対応した虚像VIを投影する。温度センサI/F118には、温度検出部40の配線部83が接続される。散乱パネルI/F119には、散乱パネル20の配線部81が接続される。バックライトI/F120には、バックライト101の配線部84が接続される。表示パネルI/F121には、液晶表示パネル30の配線部82が接続される。
【0056】
図9は、制御部110の機能構成を示すブロック図である。制御部110は、CPU111が行う演算処理によって温度情報取得部1101、動作モード決定部1102、散乱パネル動作制御部1103、光源制御部1104及び表示制御部1105として機能する。
【0057】
温度情報取得部1101は、温度検出部40を動作させて各部分温度検出領域PAの温度を示す情報を取得する。具体的には、温度情報取得部1101は、配線部83の信号入力線Vinに駆動信号を与え、信号出力線Voutから出力される信号の強さに基づいて、各部分温度検出領域PAに設けられた温度検出用抵抗素子ERの温度を特定する。
【0058】
信号出力線Voutから出力される信号の強さと温度検出用抵抗素子ERの温度との対応関係を示すデータは、上述のEEPROM113とROM114の少なくとも一方に記憶されている。なお、当該データは、温度検出用抵抗素子ERが所定温度以上であるか、を当該信号から判別できる閾値データであってもよい。より具体的な例を挙げると、当該データは、温度検出用抵抗素子ERが第1温度未満であるか、第1温度以上第2温度未満であるか、第2温度以上第3温度未満であるか、第3温度以上であるか、を当該信号から判別できる閾値データであってもよい。すなわち、当該データは、温度検出用抵抗素子ERの温度が何度であるかを数値的に厳密に特定できるデータである必要はない。無論、当該データは、温度検出用抵抗素子ERの温度が何度であるかを数値的に厳密に特定できるデータであってもよい。
【0059】
動作モード決定部1102は、温度情報取得部1101によって取得された部分温度検出領域PAの温度を示す情報に基づいて、表示システム100の動作モードを決定する。動作モードの詳細については後述する。
【0060】
散乱パネル動作制御部1103は、温度情報取得部1101によって取得された部分温度検出領域PAの温度を示す情報及び動作モード決定部1102によって決定された動作モードに基づいて、散乱パネル20の動作を制御する。
【0061】
光源制御部1104は、温度情報取得部1101によって取得された部分温度検出領域PAの温度を示す情報及び動作モード決定部1102によって決定された動作モードに基づいて、バックライト101の動作を制御する。
【0062】
表示制御部1105は、温度情報取得部1101によって取得された部分温度検出領域PAの温度を示す情報及び動作モード決定部1102によって決定された動作モードに基づいて、液晶表示パネル30の動作を制御する。
【0063】
以下、動作モードの説明に先立ち、表示システム100の動作の基本的な考え方について図10から図13を参照して説明する。
【0064】
図10は、虚像VIが投影される際の散乱パネル20、液晶表示パネル30、温度検出部40及びバックライト101の動作を示す模式図である。図10から図13では、散乱パネル20と、液晶表示パネル30と、温度検出部40とが離隔しているが、実際には図2を参照して説明したように、散乱パネル20と、液晶表示パネル30と、温度検出部40とが当接している。また、図10から図13では、部分温度検出領域PA及び散乱部Pixの座標が2×3になっているが、これはあくまで説明及び図示を簡便にするための模式的なものである。
【0065】
バックライト101は、複数の光源を備える。バックライト101は、図6及び図7を参照して説明した部分温度検出領域PAの座標領域毎に個別に点灯と消灯とを切替可能に設けられる。具体的には、例えば、部分温度検出領域PAの座標領域毎に個別に光源が設けられる。
【0066】
液晶表示パネル30の温度が所定温度未満である場合、複数の光源が全て点灯する。図10から図13では、点灯している光源を、ドットパターンを付した点灯光源ALAとして示している。複数の点灯光源ALAからの光は、温度検出部40を透過し、液晶表示パネル30を他面側(背面側)から照明して虚像VIを投影するための投影光Lとして液晶表示パネル30を透過して液晶表示パネル30の一面側(投影側)に向かう。当該投影光Lは、全ての散乱部Pixで光を透過させるよう制御された散乱パネル20を透過して、投影対象(例えば、投影板WS)に投影される。所定温度は、例えば後述する第1温度(60℃)であるが、これに限られるものでない。所定温度の詳細については後述する。
【0067】
図11は、液晶表示パネル30の温度が上昇する仕組みを示す模式図である。図1を参照して説明した太陽光LLが表示パネル10の位置まで入射した場合に、まだ液晶表示パネル30の温度が所定以下であるとき、散乱パネル20は、光を透過する状態である。このため、太陽光LLは、液晶表示パネル30まで到達する。太陽光LLは、液晶表示パネル30の温度を上昇させる。特に、偏光板72及び偏光板73が特定の方向に偏光した光以外の光を透過させないことから、太陽光LLの大部分を偏光板72及び偏光板73が遮断するように作用することで、偏光板72及び偏光板73の温度が上昇する。これに伴い、偏光板72及び偏光板73が接着されている液晶表示パネル30の温度が上昇する。図11では、液晶表示パネル30の表示領域AAにおいて太陽光LLによって温度が上昇した個所をホットスポットHSとして示している。ホットスポットHSの温度は、平面視点でホットスポットHSと重なる位置の部分温度検出領域PAである高温部APAに伝わる。高温部APAに配置された温度検出用抵抗素子ERの温度が上昇することで当該温度検出用抵抗素子ERと接続された信号出力線Voutからの出力が当該温度の上昇を反映する。
【0068】
図12は、散乱パネル20による太陽光LLの局所的散乱で液晶表示パネル30の温度上昇を抑制する仕組みを示す図である。図11を参照して説明したホットスポットHSのような液晶表示パネル30の温度上昇が高温部APAで検出されると、当該高温部APAと平面視点で重なる位置の散乱部Pixが光を散乱する状態となるよう制御される。図12では、図11に示す高温部APAと平面視点で重なる位置の散乱部Pixを散乱状態部APixとして示している。散乱状態部APixで太陽光LLが散乱することで、液晶表示パネル30に太陽光LLが集中的に照射されることを抑制できる。従って、図11に示すホットスポットHSにおけるさらなる温度上昇を抑制できる。
【0069】
また、図12に示すように、高温部APA及び散乱状態部APixと平面視点で重なる位置の光源である消灯光源BLAが消灯するよう制御される。これによって、光源からの熱の放射を抑制できる。図12及び図13では、バックライト101に設けられた光源のうち、消灯している消灯光源BLAを白抜きで示している。
【0070】
図13は、散乱パネル20による太陽光LLの全面的散乱で液晶表示パネル30の温度上昇を抑制する仕組みを示す図である。図13に示すように、散乱パネル20が有する全ての散乱部Pixを上述の散乱状態部APixのように制御して光を散乱させることで、太陽光LLをより確実により広範囲に散乱させることができる。これによって、液晶表示パネル30に太陽光LLが集中的に照射されることをより確実に抑制できる。従って、図11に示すホットスポットHSにおけるさらなる温度上昇をより確実に抑制できる。
【0071】
また、図13に示すように、バックライト101が有する全ての光源を消灯光源BLAとする、すなわち、消灯することで、光源からの熱の放射をさらに抑制できる。
【0072】
以下、図14を参照して、表示システム100の動作制御に関わる処理の流れについて説明する。
【0073】
図14は、表示システム100の動作制御に関わる処理の流れを示すフローチャートである。まず、温度情報取得部1101による温度情報の取得が行われる(ステップS1)。ステップS1の処理によって、各部分温度検出領域PAの温度、すなわち、各部分温度検出領域PAと平面視点で重なる液晶表示パネル30の各部の温度を示す情報が得られる。
【0074】
ステップS1の処理後、動作モード決定部1102は、所定温度以上の高温部になった部分温度検出領域PAがあるか判定する(ステップS2)。所定温度以上の高温部になった部分温度検出領域PAがあると判定された場合(ステップS2;Yes)、動作モード決定部1102は、表示システム100の動作モードを、当該高温部の温度に応じた動作モードにする(ステップS3)。また、散乱パネル動作制御部1103は、当該高温部と平面視点で重なる散乱部Pixを局所散乱エリアに含める(ステップS4)。また、光源制御部1104は、当該高温部と平面視点で重なる光源を局所消灯エリアに含める(ステップS5)。そして、散乱パネル動作制御部1103は、ステップS3で動作モード決定部1102が決定した動作モードに応じて散乱パネル20の動作制御を行い、光源制御部1104は、ステップS3で動作モード決定部1102が決定した動作モードに応じてバックライト101の動作制御を行う(ステップS6)。
【0075】
一方、ステップS2において、所定温度以上の高温部になった部分温度検出領域PAがないと判定された場合(ステップS2;No)、ステップS3からステップS6の処理は省略される。ステップS3の処理が省略される場合、表示システム100の動作モードは、図15を参照して説明する動作モードAになる。
【0076】
図14に示すフローチャートの処理は、所定周期で繰り返される。具体的には、後述する図15の「温度センサ測定動作」に基づいて決定される温度情報の取得頻度に応じた周期で図14に示すフローチャートの処理が繰り返される。
【0077】
以下、表示システム100の動作モードについて、図15から図19を参照して説明する。
【0078】
図15は、表示システム100の動作モード一覧を示す図である。図16は、図15に示す動作モードAの実施例を示すタイムチャートである。図17は、図15に示す動作モードBの実施例を示すタイムチャートである。図18は、図15に示す動作モードCの実施例を示すタイムチャートである。図19は、図15に示す動作モードDの実施例を示すタイムチャートである。
【0079】
図15に示すように、表示システム100の動作モードには、例えば、動作モードAと、動作モードBと、動作モードCと、動作モードDと、がある。実施形態の動作モード決定部1102は、動作モードA、動作モードB、動作モードC又は動作モードDのいずれかで表示システム100を動作させる決定を行う。動作モード決定部1102による動作モードの決定は、上述のステップS1の処理によって取得された温度情報が示す各部分温度検出領域PAの温度と、図15に示す「温度測定結果」との関係に基づく。
【0080】
図15の「温度測定結果」が示すように、上述のステップS1の処理によって取得された温度情報が、複数の部分温度検出領域PAのいずれも60℃未満であることを示していた場合、動作モードAが選択される。上述のステップS1の処理によって取得された温度情報が、複数の部分温度検出領域PAのいずれか1つ以上が60℃以上75℃未満であり、75℃以上の部分温度検出領域PAがないことを示していた場合、動作モードBが選択される。上述のステップS1の処理によって取得された温度情報が、複数の部分温度検出領域PAのいずれか1つ以上が75℃以上90℃未満であり、90℃以上の部分温度検出領域PAがないことを示していた場合、動作モードCが選択される。上述のステップS1の処理によって取得された温度情報が、複数の部分温度検出領域PAのいずれか1つ以上が90℃以上であることを示していた場合、動作モードDが選択される。
【0081】
図15に示すように、動作モードAと、動作モードBと、動作モードCと、動作モードDと、の各々で、「表示部動作」と、「温度センサ測定動作」と、「散乱パネル動作」と、「バックライト動作」と、が個別に定められている。「表示部動作」は、液晶表示パネル30のリフレッシュレートを示す。「温度センサ測定動作」は、温度情報取得部1101による温度情報の取得頻度を示す。「散乱パネル動作」は、散乱パネル20の動作を示す。「バックライト動作」は、バックライト101の動作を示す。
【0082】
例えば、図15に示すように、動作モードAでは、「表示部動作」が60fps(frames per second)である。従って、動作モードAが選択された場合、液晶表示パネル30は、1秒間に60回フレーム画像を更新する。これを言い換えると、1秒間に60回のフレーム期間が生じる。各フレーム期間に1つのフレーム画像が表示され、フレーム期間が移り変わる度に液晶表示パネル30の出力が更新される。また、動作モードAでは、「温度センサ測定動作」が60fpsである。従って、動作モードAが選択された場合、温度情報取得部1101は、1秒間に60回の頻度で周期的に信号入力線Vinを出力し、信号出力線Voutを取得する。
【0083】
図16図17図18及び図19に示すタイムチャートでは、フレーム期間F1,F2,F3,F4を例示している。フレーム期間F1,F2,F3,F4は、4回分のフレーム期間を例示的に抜粋したものである。
【0084】
各フレーム期間は、2つの第1サブフレーム期間SF1,SF2を含む。第1サブフレーム期間SF1では、液晶表示パネル30による出力が行われる。従って、図16図17図18及び図19で示すように、第1サブフレーム期間SF1は、液晶表示パネル30による出力の期間(表示期間)として機能する。第2サブフレーム期間SF2では、温度情報取得部1101による信号入力線Vinの出力、すなわち、温度検出部40の動作が行われる。従って、図16図17図18及び図19で示すように、第2サブフレーム期間SF2は、温度検出部40の動作期間(温度測定期間)として機能する。なお、第1サブフレーム期間SF1における温度検出部40は非動作状態である。また、液晶表示パネル30にとっての第2サブフレーム期間SF2はブランキング期間である。ブランキング期間中には、フレーム画像を保持する画素の容量素子のリセット等、次のフレーム期間に出力される予定の画像を出力するための各種の準備動作が行われる。
【0085】
なお、図15図16図17図18及び図19に示すように、実施形態では、動作モードA、動作モードB、動作モードC、動作モードDのいずれであっても、「表示部動作」が60fpsであり、「温度センサ測定動作」が60fpsであるが、これは一例であってこれに限られるものでない。いずれかの動作モードで、「表示部動作」と「温度センサ測定動作」のうち少なくとも一方が他のモードと異なっていてもよい。その場合、より温度が高い部分温度検出領域PAが存在する場合ほど、発熱量がより少なくなるような液晶表示パネル30の動作制御が行われることが望ましい。また、全ての部分温度検出領域PAの温度が所定未満である場合等、温度検出部40の動作頻度をより高める必然性が相対的に低い場合に、温度検出部40の動作頻度をより低くするような温度検出部40の動作制御が行われることが望ましい。
【0086】
図15に示すように、動作モードAでは、「散乱パネル動作」が「全部分、全時間、透過」である。従って、動作モードAが選択された場合、散乱パネル20が有する全ての散乱部Pixは、図16に示すように、第1サブフレーム期間SF1,SF2を問わず、全期間で光を透過する状態となるよう制御される。また、動作モードAでは、「バックライト動作」が「全部分、全時間、点灯」である。従って、動作モードAが選択された場合、バックライト101が有する全ての光源は、第1サブフレーム期間SF1,SF2を問わず、図10を参照して説明した点灯光源ALAのように、点灯した状態になる。
【0087】
図15に示すように、動作モードBでは、「散乱パネル動作」が「ブランキング期間に散乱」である。なお、「散乱パネル動作」における記載のうち、「全散乱」とされたものは、散乱パネル20が有する全ての散乱部Pixを、光を散乱する状態にすることをさす(図13参照)。一方、「散乱」とされたものは、散乱パネル20が有する散乱部Pixのうち、所定温度以上になったホットスポットHSと平面視点で重なる位置の散乱部Pixを、光を散乱する状態にすることをさす(図12参照)。上述のステップS4の処理における「局所散乱エリア」とは、散乱領域7のうち、所定温度以上になったホットスポットHSと平面視点で重なる位置の散乱部Pixが配置された部分領域をさす。
【0088】
動作モードBが選択された場合、所定温度以上になった部分温度検出領域PAと重なる散乱部Pixは、図17に示すように、第2サブフレーム期間SF2に光を散乱する状態となるよう制御される。なお、動作モードBでは、第1サブフレーム期間SF1中、全ての散乱部Pixが光を透過する状態となるよう制御される。また、動作モードBでは、「バックライト動作」が「ブランキング期間に消灯」である。従って、動作モードBが選択された場合、バックライト101が有する全ての光源は、第1サブフレーム期間SF1中に点灯し(図10参照)、第2サブフレーム期間SF2中に消灯する(図13参照)よう制御される。
【0089】
図15に示すように、動作モードCでは、「散乱パネル動作」が「ブランキング期間に全散乱、高温部分は表示2フレームに1回の割合で表示1/2フレーム時間散乱」である。従って、動作モードCが選択された場合、図18に示すように、第2サブフレーム期間SF2中、全ての散乱部Pixが光を散乱する状態となるよう制御される。また、所定温度(本実施形態においては75度以上90度未満)になった部分温度検出領域PAと重なる一部の散乱部Pixは、さらに、第1サブフレームにおいても光を散乱するよう制御される。より具体的には、当該一部の散乱部Pixは、連続する2フレーム期間の一方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1のうち、その1/2の期間(すなわち1フレームの1/4の期間)に光を散乱する状態となるよう制御され、残りの1/2の期間に光を透過する状態となるよう制御される。なお、連続する2フレーム期間の他方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1において、すべての散乱部は光を透過する状態となるよう制御される。より具体的には、当該他方の第1サブフレーム期間SF1において、散乱パネル20が有する散乱部Pixのうち、所定温度以上になった部分温度検出領域PAと重なる散乱部Pix及び残りの散乱部Pixは、光を透過する状態となるよう制御される。
【0090】
また、動作モードCでは、「バックライト動作」が「ブランキング期間に消灯、高温部分は表示2フレームに1回の割合で表示1/2フレーム時間消灯」である。従って、動作モードCが選択された場合、バックライト101が有する全ての光源は、第2サブフレーム期間SF2中に消灯する(図13参照)よう制御される。また、所定温度になった部分温度検出領域PAと重なる一部の光源は、さらに、第1サブフレームにおいても消灯するよう制御される。より具体的には、当該一部の光源は、連続する2フレーム期間の一方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1のうち、その1/2の期間(すなわち1フレームの1/4の期間)に消灯し、残りの1/2の期間に点灯する状態となるよう制御される。なお、連続する2フレーム期間のうち他方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1において、バックライトの光源はすべて点灯するよう制御される。より具体的には、当該他方の第1サブフレーム期間SF1において、バックライト101が有する光源のうち、所定温度以上になった部分温度検出領域PAと平面視点で重なる光源及び残りの光源は、点灯するよう制御される。かかる散乱部及び光源の制御により、表示領域の一部が高温と検知される動作モードCにおいても、表示を維持しつつ当該部分のそれ以上の高温化を抑制すると共に、当該部分の温度低下を促すことができる。
【0091】
図15に示すように、動作モードDでは、「散乱パネル動作」が「ブランキング期間に全散乱、高温部分は表示2フレームに1回の割合で表示1フレーム時間散乱」である。従って、動作モードDが選択された場合、図19に示すように、第2サブフレーム期間SF2中、全ての散乱部Pixが光を散乱する状態となるよう制御される。また、所定温度(本実施形態においては90度)以上になった部分温度検出領域PAと重なる一部の散乱部Pixは、さらに、第1サブフレームにおいても光を散乱するよう制御される。より具体的には、当該一部の散乱部Pixは、連続する2フレーム期間の一方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1に光を散乱する状態となるよう制御される。なお、連続する2フレーム期間の他方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1において、すべての散乱部は光を透過する状態となるよう制御される。より具体的には、当該他方の第1サブフレーム期間SF1において、散乱パネル20が有する散乱部Pixのうち、所定温度以上になった部分温度検出領域PAと重なる散乱部Pix及び残りの散乱部Pixは、光を透過する状態となるよう制御される。また、動作モードDでは、「バックライト動作」が「ブランキング期間に消灯、高温部分は表示2フレームに1回の割合で表示1フレーム時間消灯」である。従って、動作モードDが選択された場合、バックライト101が有する全ての光源は、第2サブフレーム期間SF2中に消灯する(図13参照)よう制御される。また、所定温度になった部分温度検出領域PAと重なる一部の光源は、さらに、第1サブフレームにおいても消灯するよう制御される。より具体的には、当該一部の光源は、連続する2フレーム期間の一方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1に消灯するよう制御される。なお、連続する2フレーム期間のうち他方のフレーム期間を構成する第1サブフレーム期間SF1において、バックライトの光源はすべて点灯するよう制御される。より具体的には、当該他方の第1サブフレーム期間SF1において、バックライト101が有する光源のうち、所定温度以上になった部分温度検出領域PAと平面視点で重なる光源及び残りの光源は、点灯するよう制御される。かかる散乱部及び光源の制御により、表示領域の一部が高温と検知される動作モードDにおいても、表示を維持しつつも、動作モードCによりもさらに当該部分のそれ以上の高温化を抑制すると共に、当該部分の温度低下を促すことができる。
【0092】
動作モードC及び動作モードDにおいて、バックライト101が有する光源のうち、所定温度以上になった部分温度検出領域PAと平面視点で重なる光源を含む部分領域が、上述のステップS5の処理における「局所消灯エリア」に該当する。
【0093】
図18及び図19に示す例では、連続する2フレーム期間のうち一方のフレーム期間がフレーム期間F2,F4であり、他方のフレーム期間がフレーム期間F1,F3であるが、一方と他方が逆であってもよい。なお、本実施例においては第1サブフレームSF1を1/2フレーム、第2サブフレームSF2を1/2フレームとしているが、第1サブフレームSF1を2/3フレーム、第2サブフレームSF2を1/3フレームとする構成やこれらの時間の長さを入れ替える構成、及び、第1サブフレームSF1を3/4フレーム、第2サブフレームSF2を1/4フレームとする構成やこれらの時間の長さを入れ替える構成も採用可能である。これらに示されるように、第1サブフレームSF1と第2サブフレームSF2については、これらの合計が1フレームの長さに対応するものであれば、それぞれの時間の長さについては特段の制限はない。
【0094】
以上、図2に示す表示パネル10の積層構造を前提とした説明を行ってきたが、当該積層構造は図2に示すものに限られない。以下、他の積層構造の例について、図20から図22を参照して説明する。
【0095】
図20は、表示パネル10Aの積層構造例を示す模式図である。図20に示す表示パネル10Aは、一面側から他面側に向かって、散乱パネル20、第1接着層75a、温度検出部40、第2接着層75b、偏光板72、液晶表示パネル30、偏光板73が並ぶ積層構造を有する。
【0096】
第1接着層75aは、散乱パネル20の板面と温度検出部40の板面とを接着する。第2接着層75bは、温度検出部40の板面と偏光板72の板面とを接着する。具体的には、第1接着層75a及び第2接着層75bは、OCAであり、両面が粘着性を有する。以上、特筆した事項を除いて、表示パネル10Aは、表示パネル10と同様である。図1に示す表示パネル10を、表示パネル10Aで置換してもよい。
【0097】
図21は、表示パネル10Bの積層構造例を示す模式図である。図21に示す表示パネル10Bは、一面側から他面側に向かって、温度検出部40、第1接着層76a、散乱パネル20、第2接着層76b、偏光板72、液晶表示パネル30、偏光板73が並ぶ積層構造を有する。
【0098】
第1接着層76aは、温度検出部40の板面と散乱パネル20の板面とを接着する。第2接着層76bは、散乱パネル20の板面と偏光板72の板面とを接着する。具体的には、第1接着層76a及び第2接着層76bは、OCAであり、両面が粘着性を有する。以上、特筆した事項を除いて、表示パネル10Bは、表示パネル10と同様である。図1に示す表示パネル10を、表示パネル10Bで置換してもよい。
【0099】
図22は、表示パネル10Cの積層構造例を示す模式図である。図21に示す表示パネル10Cは、一面側から他面側に向かって、散乱パネル20、接着層77、偏光板72、液晶表示パネル300、偏光板73が並ぶ積層構造を有する。接着層77は、散乱パネル20の板面と偏光板72の板面とを接着する。具体的には、接着層77は、OCAであり、両面が粘着性を有する。
【0100】
液晶表示パネル300は、液晶表示パネル30と温度検出部40とを一体化した構成である。従って、図2図20及び図21において温度検出部40が液晶表示パネル30に対してアウトセル方式で設けられた温度検出部だとすると、液晶表示パネル300は温度検出部を包括するインセル方式が採用された形態である。具体的には、図5を参照して説明した温度検出部40の構成に対応する回路層400が液晶表示パネル300の第1基板301に形成されている。液晶表示パネル300は、第1基板301と第2基板302との間に液晶層が封止された透過型の液晶表示パネルである。液晶表示パネル300が備える配線部85は、上述の配線部82と配線部83の両方の配線を含む。配線部85は、一部が温度センサI/F118に接続され、他の一部が表示パネルI/F121に接続される分岐を有する形態であってもよい。また、制御部110が温度センサI/F118と表示パネルI/F121とを統合したインタフェースを備えていてもよい。
【0101】
配線部81,82,83,84,85は、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)であるが、これに限られるものでない。配線部81,82,83,84,85は、制御部110との接続が可能であって配線を含む構成であればよく、その具体的構成は適宜変更可能である。
【0102】
以上説明したように、実施形態によれば、表示システム100は、透過型の液晶表示パネル(液晶表示パネル30又は液晶表示パネル300)と、光の散乱と透過とを切替可能な散乱部Pixが設けられた散乱領域7を有する散乱パネル20と、温度検出用抵抗素子ERが設けられた温度検出領域SAを有する温度検出部(温度検出部40又は回路層400)と、当該液晶表示パネルに投影光を照射する光源部(バックライト101)と、温度検出用抵抗素子ERの温度に応じた当該温度検出部の出力に基づいて、散乱パネル20及び当該光源部の動作を制御する制御部110と、を備える。当該液晶表示パネルの表示領域AAと、散乱領域7と、温度検出領域SAと、は重なる。表示領域AA及び散乱領域7を透過した投影光Lは、透光性を有する投影対象(例えば、投影板WS)に投影されて虚像VIをユーザに視認させる。温度検出用抵抗素子ERの温度が所定温度以上であることを示す出力が得られた場合、制御部110は、散乱部Pixに光を散乱させる。
【0103】
これによって、光を散乱するよう制御された散乱部Pixで、液晶表示パネル(液晶表示パネル30又は液晶表示パネル300)に対して外部から入射する太陽光LLを散乱させることができる。従って、太陽光LLの入射によって当該液晶表示パネルの温度が上昇して所定温度以上になったとしても、所定温度以上になった後にさらなる温度の上昇が生じることを抑制できる。
【0104】
また、散乱部Pixと温度検出用抵抗素子ERは、複数設けられる。複数の温度検出用抵抗素子ERの各々と重なる位置に1つ以上の散乱部Pixが個別に設けられる。制御部110は、複数の温度検出用抵抗素子ERのうち当該所定温度以上である温度検出用抵抗素子ERと重なる散乱部Pixに光を散乱させる。これによって、太陽光LLの入射によって液晶表示パネル(液晶表示パネル30又は液晶表示パネル300)の温度が上昇して所定温度以上になった場合、所定温度以上になった箇所(例えば、ホットスポットHS)に対応した部分領域で光を散乱させ、それ以外の領域で光を散乱させないようにすることができる。
【0105】
また、所定温度は、第1温度(例えば、60℃)と、当該第1温度よりも高い第2温度(例えば、75℃)と、を含む。また、液晶表示パネル(液晶表示パネル30又は液晶表示パネル300)による画像の出力が行われる第1期間(第1サブフレーム期間SF1)と、当該液晶表示パネルによる画像の出力が行われない第2期間(第2サブフレーム期間SF2)と、が交互に生じる。また、制御部110は、温度検出用抵抗素子ERの温度が当該第1温度以上であって当該第2温度未満であることを示す出力が得られた場合、当該第2期間中、複数の温度検出用抵抗素子ERのうち、当該第1温度以上である温度検出用抵抗素子ERと重なる散乱部Pixに光を散乱させ、温度検出用抵抗素子ERの温度が当該第2温度以上であることを示す出力が得られた場合、当該第2期間中、全ての散乱部Pixに光を散乱させる。これによって、当該第2温度以上になった当該液晶表示パネルに対する太陽光LLの入射をより確実に抑制できる。従って、当該第2温度以上になった後にさらなる温度の上昇が生じることをより確実に抑制できる。
【0106】
また、所定温度は、第2温度(例えば、75℃)よりも高い第3温度(例えば、90℃)を含む。また、制御部は、温度検出用抵抗素子ERの温度が当該第2温度以上であって当該第3温度未満であることを示す出力が得られたとき、2回の第1期間(第1サブフレーム期間SF1)のうち1回の半分の期間、第1温度(例えば、60℃)以上である温度検出用抵抗素子ERと重なる散乱部Pixに光を散乱させ、温度検出用抵抗素子ERの温度が当該第3温度以上であることを示す出力が得られたとき、2回の当該第1期間のうち1回分の期間、当該第1温度以上である温度検出用抵抗素子ERと重なる散乱部Pixに光を散乱させる。これによって、当該第1期間のうち、太陽光LLの散乱に割り当てる時間を第2温度以上第3温度未満であるか第3温度以上であるかによって切り替えることができ、虚像の投影の維持と温度上昇の抑制とをより良好に両立できる。
【0107】
また、バックライト101は、複数の光源を有する。また、複数の温度検出用抵抗素子ERの各々と重なる位置に1つ以上の光源が個別に設けられる。また、制御部110は、全ての散乱部Pixが光を散乱している期間中、全ての光源を消灯し、第1温度(例えば、60℃)以上である温度検出用抵抗素子ERと重なる散乱部Pixが光を散乱している期間中、当該第1温度以上である温度検出用抵抗素子ERと重なる光源を消灯し、かつ、当該第1温度以上である温度検出用抵抗素子ERと重ならない光源を点灯させ、それ以外の期間中、全ての光源を点灯させる。これによって、当該第1温度以上である温度検出用抵抗素子ERと重なる光源の発熱によるさらなる温度の上昇を抑制できる。また、散乱部Pixが動作していて虚像の投影が行われない箇所で不要に光源が点灯することを抑制することで、消費電力をより低減できる。
【0108】
なお、図10から図13を参照した説明では、バックライト101に設けられた光源が、各部分温度検出領域PAに1つずつ配置されているが、これは光源の配置例に過ぎず、光源の配置及び数をこれに限定するものでない。各部分温度検出領域PAに重なる位置に、それぞれ複数の光源が配置されてもよい。その場合、バックライト101では、1つの部分温度検出領域PAに重なる複数の光源が1組の光源とされ、各組の光源単位で点灯と消灯とを切替可能に設けられる。
【0109】
また、図15を参照した説明では、第1温度が60℃であり、第2温度が75℃であり、第3温度が90℃であるが、これらの温度はあくまで一例であってこれに限られるものでない。第1温度、第2温度及び第3温度には、液晶表示パネル30の温度耐性等、表示パネル10の特性に応じてそれぞれ適当な温度が設定される。
【0110】
また、実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0111】
10,10A,10B,10C 表示パネル
20 散乱パネル
30,300 液晶表示パネル
40,400 温度検出部
100 表示システム
101 光源部
110 制御部
ER 温度検出用抵抗素子
SA 温度検出領域
Pix 散乱部
図1
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図8
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図11
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