(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175513
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】エンドエフェクタ
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B25J15/08 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081933
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】515130201
【氏名又は名称】株式会社Preferred Networks
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 直樹
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707ES09
3C707EU07
3C707EU12
3C707EV02
3C707GU01
3C707HS12
3C707HS24
3C707HS26
3C707HS27
3C707LV05
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】エンドエフェクタにおいて関節の姿勢を任意に調整すること。
【解決手段】実施形態に係るエンドエフェクタは、第1の可動部材と、第1の伝達機構と、第1の弾性体と、第2の伝達機構とを備える。前記第1の可動部材は、第1の回転軸を中心に回転可能に基部に接続される。前記第1の伝達機構は、前記第1の回転軸とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の回転軸を中心に第1の方向に回転する力を前記第1の可動部材に伝達可能である。前記第1の弾性体は、復元力の発生方向における一端が、前記第1の回転軸及び前記第1の伝達機構とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の可動部材を前記第1の方向とは反対側の第2の方向に付勢可能である。前記第2の伝達機構は、前記第1の弾性体の復元力の発生方向における他の一端に接続され、前記第1の方向に回転させる力を前記第1の可動部材に伝達可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸を中心に回転可能に基部に接続される第1の可動部材と、
前記第1の回転軸とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の回転軸を中心に第1の方向に回転する力を前記第1の可動部材に伝達可能な第1の伝達機構と、
復元力の発生方向における一端が、前記第1の回転軸及び前記第1の伝達機構とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の可動部材を前記第1の方向とは反対側の第2の方向に付勢可能な第1の弾性体と、
前記第1の弾性体の復元力の発生方向における他の一端に接続され、前記第1の方向に回転させる力を前記第1の可動部材に伝達可能な第2の伝達機構と
を具備するエンドエフェクタ。
【請求項2】
第2の伝達機構は、前記第1の弾性体の復元力の発生方向に前記第1の弾性体を変位させることが可能である、請求項1に記載のエンドエフェクタ。
【請求項3】
第2の回転軸を中心に回転可能に前記第1の可動部材とは離れて前記基部に接続される第2の可動部材と、
復元力の発生方向における一端が、前記第2の回転軸とは離れて前記第2の可動部材に接続され、前記第2の可動部材を前記第2の回転軸を中心に第3の方向に付勢可能な第2の弾性体と
前記第2の弾性体の復元力の発生方向における他の一端に接続され、前記第2の弾性体の復元力の発生方向に前記第2の弾性体を変位させることが可能な第3の伝達機構と
をさらに備え、
前記第1の伝達機構は、前記第2の回転軸及び前記第2の弾性体の一端とは離れて前記第2の可動部材に接続され、前記第1の回転軸を中心に第1の方向に回転する力を前記第1の可動部材に伝達可能であるとともに、前記第3の方向とは反対側の第4の方向に回転する力を前記第2の可動部材に伝達可能である、
請求項1又は請求項2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記第1の可動部材は、複数の関節を有し、物体への接触又は回転角度に応じて前記複数の関節のうち少なくとも1つで曲がるように構成され、
前記第1の弾性体は、前記複数の関節それぞれが伸展するように前記第1の可動部材を付勢する、
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
復元力の発生方向における一端が、前記第1の回転軸及び前記第1の伝達機構とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の可動部材を前記第2の方向に付勢可能な第3の弾性体と、
前記第3の弾性体の復元力の発生方向における他の一端に接続され、前記第3の弾性体の復元力の発生方向に前記第1の弾性体を変位させることが可能な第4の伝達機構と
をさらに備える、請求項4に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記第1の弾性体は、引きバネ又は巻きバネであり、
前記第1の弾性体及び前記第2の伝達機構は、それぞれ前記基部の前記第1の伝達機構とは反対側に設けられる、
請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記第1の弾性体は、押しバネであり、
前記第1の弾性体及び前記第2の伝達機構は、それぞれ前記基部の前記第1の伝達機構と同じ側に設けられる、
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
前記第1の弾性体の復元力の発生方向における他の一端又は前記第2の伝達機構に接続され、前記第2の伝達機構からの前記第1の方向に回転させる力を受けた前記第1の弾性体を、変位可能に支持する支持部材をさらに備える、請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項9】
前記第2の伝達機構は、前記第1の弾性体を介して、前記第1の方向に回転させる力を前記第1の可動部材に伝達可能である、請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項10】
前記第2の伝達機構は、前記第1の弾性体又は前記支持部材を介して、前記第1の方向に回転させる力を前記第1の可動部材に伝達可能である、請求項8に記載のエンドエフェクタ。
【請求項11】
前記第1の弾性体及び前記第2の伝達機構は、一体に形成される、請求項1から請求項10のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項12】
第1の回転軸を中心に回転可能に基部に接続される第1の可動部材と、
前記第1の回転軸とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の回転軸を中心に第1の方向に回転する力を前記第1の可動部材に伝達可能な第1の伝達機構と、
復元力の発生方向における一端が、前記第1の回転軸及び前記第1の伝達機構とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の可動部材を前記第1の方向とは反対側の第2の方向に付勢可能な第1の弾性体と、
前記第1の可動部材を前記第1の方向に回転させる力を、前記第1の可動部材の前記第1の回転軸及び前記第1の伝達機構とは離れた位置に伝達可能な第2の伝達機構と
を具備するエンドエフェクタ。
【請求項13】
第1の回転軸を中心に回転可能に基部に接続される第1の可動部材と、
前記第1の回転軸とは離れて前記第1の可動部材に接続された伸縮機構を有し、当該伸縮機構ごと変位して前記第1の回転軸を中心に第1の方向に回転する力を前記第1の可動部材に伝達可能な第1の伝達機構と、
復元力の発生方向における一端が、前記第1の回転軸及び前記第1の伝達機構とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の可動部材を前記第1の方向とは反対側の第2の方向に付勢可能な第1の弾性体と
を具備し、
前記伸縮機構は、前記第1の可動部材を前記第2の方向に回転させる力を発生する、
エンドエフェクタ。
【請求項14】
前記伸縮機構は、押しバネである、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
【請求項15】
前記伸縮機構は、アクチュエータにより変位する剛体又は押しバネである、請求項13に記載のエンドエフェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エンドエフェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばロボットに搭載されるエンドエフェクタとして、複数の指を有するハンド装置など、それぞれが関節を有する複数の部材を有するエンドエフェクタが知られている。例えばハンド装置は、アクチュエータにより複数の指を駆動することにより、物体の把持などの所定の動作を行うことができる。
【0003】
このような中、例えばハンド装置においては、可動部品に付着した汚れやハンド装置の姿勢に応じた重力の影響の大きさに応じて、関節の動作に係る抵抗が指によって異なる場合がある。このため、各指の姿勢を個別に制御することには需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、エンドエフェクタにおいて関節の姿勢を任意に調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るエンドエフェクタは、第1の可動部材と、第1の伝達機構と、第1の弾性体と、第2の伝達機構とを備える。前記第1の可動部材は、第1の回転軸を中心に回転可能に基部に接続される。前記第1の伝達機構は、前記第1の回転軸とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の回転軸を中心に第1の方向に回転する力を前記第1の可動部材に伝達可能である。前記第1の弾性体は、復元力の発生方向における一端が、前記第1の回転軸及び前記第1の伝達機構とは離れて前記第1の可動部材に接続され、前記第1の可動部材を前記第1の方向とは反対側の第2の方向に付勢可能である。前記第2の伝達機構は、前記第1の弾性体の復元力の発生方向における他の一端に接続され、前記第1の方向に回転させる力を前記第1の可動部材に伝達可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るハンド装置としてのエンドエフェクタを概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る可動指を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る可動指の初期状態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る可動指を第1の駆動機構により駆動した状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る可動指を第2の駆動機構により駆動した状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る可動指を第3の駆動機構により駆動した状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る可動指を第2の駆動機構及び第3の駆動機構により駆動した状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る可動指を第3の駆動機構により屈曲した状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第6の実施形態に係る可動指を第2の駆動機構により駆動した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るエンドエフェクタについて詳細に説明する。なお、以下に記載する実施形態の構成は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。また、当該構成によってもたらされる作用及び効果も、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していてもよい。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るハンド装置としてのエンドエフェクタ10を概略的に示す平面図である。本実施形態のエンドエフェクタ10は、ロボット1に搭載される、いわゆるハンド装置でもよい。ハンド装置は、例えばグリッパーと称されてもよい。本実施形態のエンドエフェクタ10は、
図1に示すように、人間の手を模した形状を有していてもよく、複数の指を持つ機構の一例でもよい。なお、エンドエフェクタ10は、この例に限らず、人間の手と異なる形状を呈してもよい。
【0011】
ロボット1は、例えば、支持台からアームが延びた産業用ロボットであってもよいし、人型の体を有する人間型ロボットであってもよい。なお、エンドエフェクタ10は、人間が装着可能な義手のような、他の装置に搭載されてもよい。
【0012】
本実施形態のロボット1は、
図1に例示するように、エンドエフェクタ10と、制御部20とを有していてもよい。なお、
図1は、エンドエフェクタ10に制御部20が搭載される場合を例示するが、これに限らない。制御部20は、エンドエフェクタ10の外部に設けられていてもよい。
【0013】
例えば、制御部20は、エンドエフェクタ10を制御する。制御部20は、例えば、Central Processing Unit(CPU)等のプロセッサと、Random Access Memory(RAM)及びRead Only Memory(ROM)等の主記憶装置と、Hard Disk Drive(HDD)又はSolid State Drive(SSD)等の補助記憶装置とを有するコンピュータである。プロセッサは、Field Programmable Gate Array(FPGA)又はApplication Specific Integrated Circuit(ASIC)等の専用のハードウェアとして構成されていてもよい。制御部20は、バッテリなどの電源を有してもよい。電源は、ロボット1の外部に設けられてもよい。
【0014】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、エンドエフェクタ10の厚さに沿って設けられる。Y軸は、エンドエフェクタ10の長さに沿って設けられる。Z軸は、エンドエフェクタ10の幅に沿って設けられる。
【0015】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0016】
本実施形態に係るハンド装置としてのエンドエフェクタ10は、例えば、駆動部11、手掌12及び複数の可動指13を有する。例えば、人間の手を模したエンドエフェクタ10は、五本の可動指13を有する。なお、可動指13の数は、この例に限られない。
【0017】
例えば、五本の可動指13は、示指13A、中指13B、名無指13C、小指13D及び拇指13Eを含む。示指13A、中指13B、名無指13C、小指13D及び拇指13Eのうちのいずれか1つは、第1の可動部材の一例でもよい。中指13B、名無指13C、小指13D及び拇指13Eのうちの第1の可動部材の他の可動指13は、第2の可動部材の一例でもよい。例えば、示指13A、中指13B、名無指13C、小指13D及び拇指13Eは、人間の示指、中指、名無指、小指及び拇指に対応した形状を有するとともにこれらに対応した位置に配置されている。
【0018】
例えば、駆動部11は、
図1に示すように、筐体21、アクチュエータ22及び駆動部品23を有する。
【0019】
筐体21は、アクチュエータ22及び駆動部品23を収容してもよい。例えば、
図1の例において、筐体21は、ロボット1の手首に配置される。ここで、ロボット1の手首とは、エンドエフェクタ10と、ロボット1の主となる部分とが接続される部分を言う。なお、筐体21はこの例に限られない。
【0020】
アクチュエータ22は、例えばサーボモータである。なお、アクチュエータ22は、この例に限らず、ソレノイド、動力シリンダ及びリニアアクチュエータのような、他のアクチュエータであってもよい。例えば、アクチュエータ22は、駆動軸22aを有する。例えば、アクチュエータ22は、駆動軸22aを、当該駆動軸22aの中心軸Axまわりに回転駆動させることができる。なお、本実施形態において、「a軸まわりに回転」とは、「a軸を中心に回転」を意味する。
【0021】
例えば、駆動部品23は、中心軸Axと略直交する円盤状に形成される。なお、駆動部品23は、この例に限られず、他の形状に形成されてもよい。例えば、駆動部品23は、アクチュエータ22の駆動軸22aに取り付けられる。なお、駆動部品23は、他の部品に回転可能に支持されてもよい。この場合、例えば、アクチュエータ22の駆動軸22aは、種々の伝達機構を介して駆動部品23を回転させてもよい。
【0022】
例えば、アクチュエータ22は、駆動軸22a及び駆動部品23を、方向D1及び方向D2に選択的に回転駆動させることが可能である。換言すれば、駆動部品23は、方向D1及び方向D2に動くことが可能でもよい。
【0023】
例えば、方向D1は、中心軸Axまわりに回転する一方向である。例えば、方向D2は、方向D1の反対方向であり、中心軸Axまわりに回転する他方向である。例えば、
図2の例において、方向D1は反時計回り方向であり、方向D2は時計回り方向である。なお、アクチュエータ22がソレノイドのような直線的に駆動する装置である場合、方向D1及び方向D2は、互いに反対の直線方向となる。
【0024】
例えば、アクチュエータ22は、制御部20に電気的に接続される。例えば、制御部20は、アクチュエータ22を制御するドライバを有する。例えば、制御部20がアクチュエータ22の端子に電圧を印加することで、当該電圧に応じて、アクチュエータ22が駆動軸22aを方向D1又は方向D2に回転駆動させる。
【0025】
例えば、手掌12は、支持部30及び基体31を有する。例えば、支持部30は、駆動部11の筐体21に取り付けられている。例えば、支持部30は、駆動軸22aの中心軸Axと略平行に広がる板状に形成される。例えば、支持部30には、孔30aが設けられている。なお、支持部30は、この例に限られない。手掌12は、各可動指13が接続される部材であり、例えば基体部とも言い換えてもよい。
【0026】
基体31は、例えば、支持部30から、当該支持部30と略直交する方向に延びている。例えば、基体31は、ハンド装置としてのエンドエフェクタ10における、手の表面及び裏面の一部を形成する。ここで、手の表面は、例えば手の平とも言い換えてもよい。また、手の裏面は、例えば手の甲とも言い換えてもよい。
【0027】
例えば、複数の可動指13はそれぞれ、手掌12に接続される。例えば、示指13A、中指13B、名無指13C及び小指13Dは、手掌12の先端から略平行に延びている。
図1の例では、示指13A、中指13B、名無指13C及び小指13Dは、例えば、それぞれ他の指から離間した位置で基体31に接続される。ここで、本実施形態において、「aから離間した位置でbに接続される」とは、「aから離れた位置でbに接続される」又は「aから離れてbに接続される」ことを意味する。拇指13Eは、手掌12の基部から延びている。
図1の例では、拇指13Eは、例えば、支持部30に接続される。例えば、拇指13Eは、示指13A、中指13B、名無指13C及び小指13Dのうち少なくとも一つと対向する位置に移動可能である。
【0028】
なお、基体31は、示指13A、中指13B、名無指13C及び小指13Dのそれぞれに対応する、互いに分離された複数の基体でもよい。この場合、複数の基体は、互いに相対的に移動可能でもよい。なお、複数の基体のそれぞれは、2以上の可動指13に対応する基体として構成されていても構わない。
【0029】
本実施形態において、可動指13が曲がるということは、例えば、根元を起点とする全体的な回転と、各関節における屈曲とを含む。同様に、可動指13が進展するということは、例えば、根元を起点とする全体的な回転と、各関節における伸展とを含む。例えば、示指13A、中指13B、名無指13C及び小指13Dは、それぞれ曲がることが可能である。例えば、拇指13Eは、示指13A、中指13B、名無指13C及び小指13Dのうち少なくとも一つと互いに近付くように、あるいは離れるように曲がることが可能である。
【0030】
本実施形態において、示指13A、中指13B、名無指13C、小指13D及び拇指13Eは、例えば、略同一の形状、構造及び機能を有する。このため、以下の記載では、示指13A、中指13B、名無指13C、小指13D及び拇指13Eを区別しない場合には、単に可動指13として説明する。なお、各可動指13は、互いに異なる形状、構造及び機能を有してもよい。
【0031】
図2は、第1の実施形態に係る可動指13を概略的に示す断面図である。例えば、可動指13は、
図2に示すように、第1の部分41、第2の部分42、第3の部分43、回転板44、第1のロッド45及び第2のロッド46を有する。
【0032】
例えば、第1の部分41は、人間の指の基節骨に相当する部分を形成する。例えば、第2の部分42は、人間の指の末節骨に相当する部分を形成する。例えば、第3の部分43は、人間の指の中節骨に相当する部分を形成する。つまり、第1の部分41は、可動指13のうち、支持部30又は基体31に最も近い位置にある部分でもよい。また、第2の部分42は、例えば可動指13の先端にある。また、第3の部分43は、例えば第1の部分41と第2の部分42との間にある。
【0033】
例えば、第1の部分41、第2の部分42及び第3の部分43は、それぞれ、基端部41a,42a,43a及び先端部41b,42b,43bを有する。基端部41a,42a,43aは、例えば、支持部30又は基体31に近い第1の部分41、第2の部分42及び第3の部分43の端部である。先端部41b,42b,43bは、例えば、支持部30又は基体31から遠い第1の部分41、第2の部分42及び第3の部分43の端部である。
【0034】
例えば、第3の部分43の基端部43aに、Z方向に延びる接続軸51が設けられている。第1の部分41の先端部41bは、例えば、接続軸51の中心軸Axb1まわりに回転可能に、接続軸51に接続される。すなわち、接続軸51は、第1の部分41と第3の部分43との間の関節でもよい。
【0035】
例えば、第2の部分42の基端部42aに、Z方向に延びる接続軸52が設けられる。第3の部分43の先端部43bは、例えば、接続軸52の中心軸Axb2まわりに回転可能に、接続軸52に接続される。すなわち、接続軸52は、第2の部分42と第3の部分43との間の関節でもよい。第2の部分42は、例えば、接続軸52、第3の部分43及び接続軸51を介して、中心軸Axb1まわりに回転可能に第1の部分41に接続されている。
【0036】
例えば、回転板44は、中部44a、第1の腕部44b及び第2の腕部44cを有する。例えば、第1の部分41の基端部41aに、Z方向に延びる接続軸53が設けられている。回転板44の中部44aは、例えば、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。
【0037】
第1の腕部44b及び第2の腕部44cは、例えば、中部44aから、中心軸Axb3に略直交する方向に延びている。例えば、第1の腕部44bは可動指13の裏面側に向かって延び、第2の腕部44cは可動指13の表面側に向かって延びる。例えば、第1の腕部44bに、Z方向に延びる接続軸54が設けられる。例えば、可動指13の表面及び裏面は、それぞれ、手の表面及び裏面に対応する。また、以下の説明において、可動指13の表面及び裏面を、それぞれ、可動指13の腹及び甲と記載する場合もある。
【0038】
例えば、支持部30及び基体31の各可動指13との接続部は、可動指13の接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転可能に、接続軸53に取り付けられる。すなわち、接続軸53は、例えば、第1の部分41と、支持部30又は基体31との間の関節である。換言すれば、可動指13の第1の部分41及び回転板44は、例えば、接続軸53を介して、支持部30又は基体31に回転可能に接続されている。また、例えば、可動指13は、全体として、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転することが可能である。ここで、第1の可動部材の接続軸53は、第1の回転軸の一例でもよい。また、第2の可動部材の接続軸53は、第2の回転軸の一例でもよい。また、支持部30又は基体31は、基部の一例でもよい。
【0039】
例えば、第3の部分43の基端部43aには、
図2に示すように、Z方向に延びる接続軸55bが設けられている。接続軸55bは、例えば、接続軸51よりも、可動指13の腹に近い。第1のロッド45は、例えば、接続軸55a,55bに、それぞれ回転可能に接続される。接続軸55aは、例えば
図2に示すように、Z方向に延びる接続軸であり、第1のロッド45及び回転板44を接続する。なお接続軸55bを、接続軸51よりも、可動指13の腹から遠い位置に設け、第1のロッド45を回転板44の第1の腕部44bと接続してもよい。
【0040】
例えば、第1の部分41の先端部41bに、Z方向に延びる接続軸56が設けられている。接続軸56は、例えば、接続軸51と接続軸53との間に位置する。例えば、第2の部分42の基端部42aに、Z方向に延びる接続軸57が設けられている。本実施形態では、接続軸57は、例えば、接続軸52よりも、可動指13の甲に近い。第2のロッド46は、例えば、接続軸56と接続軸57とに、それぞれ回転可能に接続される。
【0041】
本実施形態において、接続軸51~57は、例えば、互いに略平行に延びている。このため、第1の部分41、第2の部分42、第3の部分43、回転板44、第1のロッド45及び第2のロッド46は、共通の仮想平面上で回転可能でもよい。
【0042】
例えば、可動指13には、弾性体59が設けられる。弾性体59は、例えば、第1の部分41の先端部41bと、第2の部分42の基端部42aとに接続される。弾性体59は、例えば、第2の部分42及び第3の部分43を回転方向Dp2,Dp3の反対方向に回転するように付勢可能である。換言すれば、弾性体59は、例えば、可動指13が伸展するように当該可動指13を付勢可能である。本実施形態において、付勢とは、いずれか一方に偏るような力を加えることを意味する。弾性体59は、引きバネ、押しバネ、巻きバネ又は他の形状のバネであってもよく、ゴムのような弾性体であってもよい。また、弾性体59の接続位置は、同様の効果が得られるなら、本実施形態が例示する位置に限られない。また、弾性体59は、目的に応じて設けなくてもよい。
【0043】
図1を再び参照しつつ説明を続ける。例えば、エンドエフェクタ10は、第1の伝達機構61aを有する。第1の伝達機構61aは、例えば、駆動部品23と、複数の可動指13との間で力を伝達する。具体的には、第1の伝達機構61aは、例えば、接続軸53まわりの回転方向Dp1に回転する力を各可動指13に伝達する。ここで、回転方向Dp1は、第1の方向又は第3の方向の一例でもよい。また、回転方向Dp1とは反対の方向は、第2の方向又は4の方向の一例でもよい。本実施形態では、例えば、第1の伝達機構61aが、アクチュエータ22によって駆動される駆動部品23と、可動指13の回転板44との間で力を伝達することにより、可動指13を曲げたり、伸展したりすることができる。
【0044】
第1の伝達機構61aは、駆動部品23と複数の可動指13とを接続するリンク機構でもよい。例えば、第1の伝達機構61aは、第1の指リンク71、第2の指リンク72、第3の指リンク73、中間リンク74及び複数の可撓部材76を有する。
図2は、可撓部材76を、二点鎖線で模式的に示す。ここで、各可動指13の第2の腕部44cは、接続軸53とは離間した位置の一例でもよい。
【0045】
第1の指リンク71の一方の端部71aは、例えば、可撓部材76によって、示指13Aの回転板44の第2の腕部44cに回転可能に接続される。第1の指リンク71の他方の端部71bは、例えば、可撓部材76によって、中指13Bの回転板44の第2の腕部44cに回転可能に接続される。第1の指リンク71の中間部71cは、例えば、2つの端部71a,71bの間に位置する。第1の指リンク71は、例えば、中間部71cまわりに揺動することができる。
【0046】
第2の指リンク72の一方の端部72aは、例えば、可撓部材76によって、名無指13Cの回転板44の第2の腕部44cに回転可能に接続される。第2の指リンク72の他方の端部72bは、例えば、可撓部材76によって、小指13Dの回転板44の第2の腕部44cに回転可能に接続される。第2の指リンク72の中間部72cは、例えば、2つの端部72a,72bの間に位置する。第2の指リンク72は、例えば、中間部72cまわりに揺動することができる。
【0047】
第3の指リンク73の一方の端部73aは、例えば、可撓部材76によって、拇指13Eの回転板44の第2の腕部44cに回転可能に接続される。第3の指リンク73の他方の端部73bは、例えば、中間リンク74によって、第1の指リンク71の中間部71cと、第2の指リンク72の中間部72cとに回転可能に接続される。第3の指リンク73の中間部73cは、例えば、2つの端部73a,73bの間に位置する。第3の指リンク73は、例えば、中間部73cまわりに揺動することができる。第3の指リンク73の中間部73cは、例えば、可撓部材76によって、駆動部品23の取付部23aに回転可能に接続される。
【0048】
中間リンク74は、例えば、第1の指リンク71、第2の指リンク72及び第3の指リンク73を、互いに力を伝達可能に接続する。中間リンク74の一方の端部74aは、例えば、可撓部材76によって、第1の指リンク71の中間部71cに回転可能に接続される。中間リンク74の他方の端部74aは、例えば、可撓部材76によって、第2の指リンク72の中間部72cに回転可能に接続される。中間リンク74の中間部74cは、例えば、2つの端部74a,74bの間に位置する。中間リンク74は、例えば、中間部74cまわりに揺動することができる。なお、中間リンク74は、互いに回転可能に接続された複数の中間リンクによって構成されていても構わない。
【0049】
可撓部材76は、例えば、支持部30に設けられた孔30aを通過している。可撓部材76は、例えば、ボールチェーンである。なお、可撓部材76は、チェーン、紐、帯及び弾性体のような他の可変長部材であってもよい。つまり、可撓部材76は、外力の有無や大きさに応じて、任意方向における長さが変化する可変長部材であってもよい。また、可撓部材76の代わりに剛体が用いられてもよい。また、可撓部材76の代わりに、例えばシリンダのように、剛体を含むとともに収縮可能な機構部品が用いられてもよい。
【0050】
なお、取付部23aの位置は、
図1に例示する位置に限定されない。取付部23aの位置は、駆動部品23の
図1とは反対側でもよい。つまり、本実施形態では、駆動軸22aを方向D1に回転駆動させることにより可撓部材76が手首方向に牽引される場合を例示するが、駆動軸22aを方向D2に回転駆動させることにより可撓部材76が手首方向に牽引されてもよい。
【0051】
図3は、第1の実施形態に係る可動指13の初期状態を示す断面図である。
図3は、一例として、可動指13の示指13Aを例示する。なお、
図3は、回転板44を模式的に示す。例えば、エンドエフェクタ10は、アクチュエータ25、駆動部品26及び弾性体27を有する。アクチュエータ25、駆動部品26及び弾性体27は、例えば、複数の可動指13それぞれに搭載される。
【0052】
アクチュエータ25は、
図3に例示するように、例えば可動指13の甲側に設けられている。アクチュエータ25は、例えばサーボモータである。なお、アクチュエータ25は、この例に限らず、ソレノイド、動力シリンダ及びリニアアクチュエータのような、他のアクチュエータであってもよい。アクチュエータ25は、例えば、略直線状の駆動軸を有し、駆動部品26を当該駆動軸に沿って摺動駆動させることができる。
【0053】
駆動部品26は、例えばアクチュエータ25の駆動軸を中心軸に有する円柱状に形成される。なお、駆動部品26は、この例に限られず、他の形状に形成されてもよい。駆動部品26は、例えば、アクチュエータ25の駆動軸に取り付けられる。駆動部品26は、例えば、アクチュエータ25の駆動軸方向に動くことが可能である。
【0054】
アクチュエータ25は、例えば、制御部20に電気的に接続される。制御部20は、例えば、アクチュエータ25を制御するドライバを有する。例えば、制御部20がアクチュエータ25の端子に電圧を印加することで、当該電圧に応じて、アクチュエータ25を駆動軸に沿って直線駆動させる。
【0055】
弾性体27は、例えば、複数の可動指13それぞれの甲側に設けられる。弾性体27は、例えば、第1の腕部44bの接続軸54と、駆動部品26とに接続される。ここで、各可動指13の第1の腕部44bの接続軸54は、第2の腕部44c及び接続軸53とは離れた位置の一例でもよい。弾性体27は、例えば、第1の部分41を回転方向Dp1の反対方向に回転するように付勢可能である。換言すれば、弾性体27は、例えば、可動指13が伸展するように当該可動指13を付勢可能である。弾性体27は、引きバネ、押しバネ、巻きバネ又は他の形状のバネであってもよく、ゴムのような弾性体であってもよい。弾性体27は、第1の弾性体又は第2の弾性体の一例でもよい。なお、例えば弾性体27として引きバネが利用される場合には、第2の駆動機構62aは、手の甲側に配置されてもよい。例えば弾性体27として押しバネが利用される場合には、第2の駆動機構62aは、第1の駆動機構61と同様に、手の平側に配置されてもよい。
【0056】
なお、例えば、駆動部品26及び弾性体27は、1つのモジュールとして一体に形成されてもよい。また、例えば、アクチュエータ25、駆動部品26及び弾性体27は、1つのモジュールとして一体に形成されてもよい。
【0057】
本実施形態では、アクチュエータ22及び第1の伝達機構61aなどにより複数の可動指13を連動して駆動させる機構を第1の駆動機構61と総称して記載する場合もある。同様に、アクチュエータ25、駆動部品26及び弾性体27により複数の可動指13それぞれを個別に駆動させる機構を第2の駆動機構62aと総称して記載する場合もある。また、複数の可動指13それぞれを個別に駆動させる力を伝達させる機構として、駆動部品26を第2の伝達機構と総称して記載する場合もある。これらの表現を用いると、第1の駆動機構61は、複数の可動指13に共通でもよい。一方で、第2の駆動機構62aは、例えば、複数の可動指13それぞれに搭載される。第2の駆動機構62aにおいて、第2の伝達機構は、例えば、弾性体27の復元力の発生方向における、可動指13とは反対側の一端に接続され、復元力の発生方向に変位する力を弾性体27に伝達する。例えば、弾性体27は、復元力の発生方向に変位する力を、回転方向Dp1に回転させる力として、可動指13に伝達する。つまり、第2の駆動機構62aにおいて、第2の伝達機構は、回転方向Dp1に回転させる力を、弾性体27を介して、可動指13に伝達する。ここで、復元力の発生方向は、例えば、弾性体27が引きバネの場合、伸ばされた弾性体27が自然長に戻る方向と、縮められた弾性体27が自然長に戻る方向とを含む。また、例えば、弾性体27が引きバネの場合、復元力の発生方向は、弾性体27の長手方向である。また、例えば、復元力の発生方向への弾性体27の変位とは、弾性体27の当該方向における位置の変化及び長さの変化のうちの少なくとも一方の変化でもよい。ここで、第2の伝達機構は、第1の可動部材の第2の伝達機構又は第2の可動部材の第3の伝達機構の一例でもよい。なお、第2の駆動機構62aは、1つのアクチュエータからの動力により2つ以上の可動指13を駆動するように構成されていてもよい。
【0058】
図4は、第1の実施形態に係る可動指13を第1の駆動機構により駆動した状態を示す断面図である。
図4は、一例として、可動指13の示指13Aを例示する。なお、
図4は、回転板44を模式的に示す。
図4は、可撓部材76によって、第1の指リンク71の一方の端部71aが方向D3に引かれた場合を例示する。
【0059】
例えば、第1の指リンク71の一方の端部71aが可撓部材76により引かれると、回転板44の第2の腕部44cが支持部30又は基体31に向かって引かれる。また、例えば、回転板44の第2の腕部44cが支持部30又は基体31に向かって引かれると、可動指13に、中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。これにより弾性体27の弾性力を上回る力が印加されると、可動指13は、例えば、
図4に示すように、支持部30又は基体31に対して回転方向Dp1に回転することができる。一方で、弾性体27の弾性力を上回る力が印加されていないとき、可動指13は、例えば、
図3に示すように、伸展する。
【0060】
また、例えば、回転板44の第2の腕部44cが支持部30又は基体31に向かって引かれると、回転板44に、接続軸53まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。例えば、回転板44が回転すると、第1の部分41に回転方向Dp1のトルクが与えられるとともに、第1のロッド45が第3の部分43を引く。これにより、例えば、第3の部分43に、接続軸51まわりの回転方向Dp2のトルクが与えられる。
【0061】
例えば、第3の部分43が回転方向Dp2に回転すると、第3の部分43が第2の部分42を引く。これにより、例えば、第2の部分42に接続軸52まわりの回転方向Dp3のトルクが与えられる。
【0062】
本実施形態では、例えば、
図2の弾性体59が第2の部分42と第1の部分41とをつないで弾性力を予め与える。これにより、例えば、可動指13の回転方向Dp1の回転が、第3の部分43の回転方向Dp2の回転及び第2の部分42の回転方向Dp3の回転より先に生じ得る。例えば、回転方向Dp1に回転する可動指13が他の物体に当接し、又は所定の角度まで回転して弾性体59の弾性力を上回る力が印加されると、第3の部分43及び第2の部分42が回転、すなわち屈曲する。つまり、可動指13は、例えば、複数の関節を有し、物体への接触又は回転角度に応じて複数の関節のうち少なくとも1つで曲がるように構成されていると表現することもできる。また、例えば、弾性体27は、複数の関節それぞれが伸展するように可動指13を付勢可能である。一方で、例えば、弾性体59の弾性力を上回る力が印加されていないとき、第3の部分43及び第2の部分42が回転、すなわち伸展する。
【0063】
このように、本実施形態では、例えば第1の駆動機構61が、アクチュエータ22によって駆動される駆動部品23と、可動指13の回転板44との間で力を伝達することにより、複数の可動指13を連動して曲げたり、伸展したりすることができる。
【0064】
図5は、第1の実施形態に係る可動指を第2の駆動機構により駆動した状態を示す断面図である。
図5は、一例として、可動指13の示指13Aを例示する。なお、
図5は、回転板44を模式的に示す。
図5は、駆動部品26によって、弾性体27が方向D4に押された場合を例示する。
【0065】
例えば、弾性体27が駆動部品26により押されると、弾性体27が第1の腕部44bを押す。これにより、例えば、可動指13に中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられるとともに、回転板44に接続軸53まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。一方で、例えば、弾性体27が駆動部品26により引かれると、弾性体27が第1の腕部44bを引く。これにより、例えば、可動指13に中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1とは反対方向のトルクが与えられるとともに、回転板44に接続軸53まわりの回転方向Dp1とは反対方向のトルクが与えられる。
【0066】
このように、本実施形態では、例えば第2の駆動機構62aが、アクチュエータ25によって駆動される駆動部品26と、可動指13の回転板44との間で力を伝達することにより、可動指13を曲げたり、伸展したりすることができる。上述したように、例えば、第2の駆動機構62aは、複数の可動指13それぞれに搭載される。したがって、第2の駆動機構62aは、例えば、各可動指13を個別に曲げたり、伸展したりすることができる。換言すれば、複数の可動指13を有するエンドエフェクタ10において、各可動指13の姿勢を個別に調整することができる。ここで、例えば、複数の可動指13は、それぞれが接続軸51、接続軸52及び接続軸53を有する。また、接続軸51、接続軸52及び接続軸53は、それぞれ関節の一例でもよい。
【0067】
なお、
図5に破線で例示するように、例えば、エンドエフェクタ10は、アクチュエータ25、駆動部品26及び弾性体27に加えて、支持部材28をさらに有していてもよい。この場合、アクチュエータ25、駆動部品26、弾性体27及び支持部材28は、例えば、複数の可動指13それぞれに搭載される。換言すれば、例えば、エンドエフェクタ10において、第2の駆動機構62aは、アクチュエータ25、駆動部品26及び弾性体27に加えて、支持部材28をさらに有していてもよい。
【0068】
支持部材28は、例えば、可動指13を付勢する際に弾性体27が座屈しないよう支持する部材である。例えば、支持部材28は、弾性体27の復元力の発生方向における、可動指13とは反対側の一端又は駆動部品26に接続され、駆動部品26からの力を受けた弾性体27を、変位可能に支持する。支持部材28は、可動指13を付勢する際に弾性体27が座屈しないように弾性体27を支持できればよく、弾性体27の内側に差し込まれた状態で配置される柱状の部材でもよいし、弾性体27の外側を覆う状態で配置される筒状の中空の部材でもよい。支持部材28は、
図5に例示するように、例えば引きバネとしての弾性体27の自然長と同程度の長さを有する。例えば、支持部材28を設けることにより、
図5に例示する構成において、バネが弱い場合、あるいは強い反力が可動指13から戻ってきた場合であっても、弾性体27が曲がって逃げることなく、弾性体27の棒状の姿勢を維持することができる。
【0069】
なお、例えば、支持部材28は、例えば駆動部品26又は弾性体27と一体に構成されていてもよい。また、例えば、駆動部品26、弾性体27及び支持部材28は、1つのモジュールとして一体に形成されてもよい。また、例えば、アクチュエータ25、駆動部品26、弾性体27及び支持部材28は、1つのモジュールとして一体に形成されてもよい。
【0070】
なお、
図5は、支持部材28を有するエンドエフェクタ10について説明するために支持部材28を例示する。つまり、エンドエフェクタ10は、
図3及び
図4に例示するように、支持部材28を有していなくてもよい。あるいは、エンドエフェクタ10は、複数の可動指13のうちの一部の可動指13において、支持部材28を有していてもよい。支持部材28は、例えば拇指13Eなど、複数の可動指13のうち弾性体27に対して強い反力を与え得る可動指13だけに設けられていてもよい。
【0071】
ここで、本実施形態のエンドエフェクタ10とは異なり、第2の駆動機構62aが搭載されないエンドエフェクタを考える。この場合、例えば、可動指13を個別に伸展する機構として、複数の可動指13それぞれの第2の腕部44cにアクチュエータからの動力を個別に伝達する可撓部材を有する伝達機構が有り得る。この場合、例えば、各可撓部材が引かれると接続された可動指13の第2の腕部44cが引かれるため、対応する可動指13を個別に伸展することができる。しかしながら、第2の腕部44cを引くための可撓部材は、例えば、第1の伝達機構61aと同じ側に配置されることになる。したがって、可動指13を個別に伸展するためのアクチュエータを配置する自由度が低下するという問題があった。また、例えば、配置の自由度が低下することにより、可動指13を個別に伸展するための動作機構が人間の手の形状を模した筐体内に収まらず、その一部が手掌12から突き出す場合もあった。
【0072】
また、例えば、本実施形態のエンドエフェクタ10とは異なり、可動指13を個別に伸展する機構を搭載しないエンドエフェクタを考える。例えば、このようなエンドエフェクタでは、可動部品に付着した汚れに起因して、関節の動作に係る抵抗の大きさが可動指13ごとに異なり、各可動指13が曲がり始めるタイミングを一意に決めることができない場合があった。また、例えば、エンドエフェクタの姿勢に応じた重力の影響の大きさが可動指13ごとに異なり、各可動指13が曲がり始めるタイミングを一意に決めることができない場合があった。
【0073】
一方で、本実施形態に係るエンドエフェクタ10は、例えば、複数の可動指13それぞれに第2の駆動機構62aを搭載する。また、例えば、第2の駆動機構62aは、回転板44の第1の腕部44bに対して作用する構成を有するため、例えば可動指13の甲側に配置することができる。これにより、本実施形態に係るエンドエフェクタ10は、例えば、可動指13を個別に伸展するためのアクチュエータ25に関して、配置の自由度を向上させることができる。
【0074】
また、第2の駆動機構62aは、例えば、駆動部品26により弾性体27の一方の端部を押したり引いたりすることにより、弾性体27の復元力を任意に変化させることができる。換言すれば、第2の駆動機構62aは、例えば、各可動指13の弾性体27の復元力を個別に調整することができる。
【0075】
これにより、例えば、各可動指13が曲がり始めるタイミングを一意に決めることができる。例えば、第2の駆動機構62aにより駆動部品26を弾性体27の側に変位させて、すなわち弾性体27を縮めて、弾性体27の復元力を名無指13C及び小指13Dの弾性体27の復元力を予め弱めておくこともできる。この場合、例えば、第1の駆動機構61により複数の可動指13を連動して動作させる際に、名無指13C及び小指13Dから可動指13が屈曲するように各可動指13が曲がり始めるタイミングを調整することができる。また、例えば第1の駆動機構61により複数の可動指13を連動して動作させた後に、第2の駆動機構62aにより弾性体27の復元力を調整することができる。この場合、例えば、各可動指13の把持力を微調整することができる。
【0076】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図6~
図8を参照して説明する。
【0077】
図6は、第2の実施形態に係る可動指13を第3の駆動機構62bにより駆動した状態を示す断面図である。
図6は、一例として、可動指13の示指13Aを例示する。なお、
図6は、回転板44を模式的に示す。
【0078】
例えば、
図6に示すように、本実施形態に係るエンドエフェクタ10は、第3の駆動機構62bをさらに有する。
【0079】
例えば、第3の駆動機構62bは、弾性体27の一方の端部が第1の腕部44bの接続軸54に代えて第1の部分41の甲側の下端部58に接続されていること以外、第1の実施形態に係る第2の駆動機構62aと同様である。ここで、第3の駆動機構62bの弾性体27は、第3の弾性体の一例でもよい。また、第3の駆動機構62bの駆動部品26は、第4の伝達機構の一例でもよい。つまり、例えば、第3の駆動機構62bの弾性体27は、第1の部分41の甲側の下端部58を回転方向Dp1の反対方向に回転するように付勢可能である。換言すれば、例えば、第3の駆動機構62bの弾性体27は、可動指13が伸展するように当該可動指13を付勢可能である。なお、例えば、第2の駆動機構62a及び第3の駆動機構62bは、互いに異なる動力系であると表現することができる。
【0080】
例えば、
図6に示す例において、第2の駆動機構62aの弾性体27は、第1の腕部44bに対する牽引力を発生する。これにより、例えば、回転板44に接続軸53まわりの回転方向Dp1とは反対方向のトルクが与えられる。
【0081】
このような中、例えば、第3の駆動機構62bの弾性体27が駆動部品26により押されると、第3の駆動機構62bの弾性体27が第1の部分41の甲側の下端部58を押す。これにより、例えば、可動指13に中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。一方で、例えば、第3の駆動機構62bの弾性体27が第1の部分41の甲側の下端部58を押す場合には、第2の駆動機構62aの弾性体27が第1の腕部44bを押す場合とは異なり、回転板44に接続軸53まわりの回転方向Dp1のトルクは与えられない。
【0082】
このように、例えば、第2の駆動機構62aの弾性体27により第1の腕部44bに対する牽引力を発生させた状態で、第3の駆動機構62bにより可動指13を駆動することができる。つまり、例えば、可動指13の他の物体への当接又は回転角度に応じた屈曲を制限した状態で、第3の駆動機構62bにより可動指13を駆動することができる。したがって、本実施形態に係るエンドエフェクタ10によれば、例えば、可動指13を伸展させた状態で回転させることができる。
【0083】
図7は、第2の実施形態に係る可動指13を第2の駆動機構62a及び第3の駆動機構62bにより駆動した状態を示す断面図である。
図7は、一例として、可動指13の示指13Aを例示する。なお、
図7は、回転板44を模式的に示す。
【0084】
図7は、第2の駆動機構62aの弾性体27が発生する第1の腕部44bに対する牽引力を
図6の状態より小さくした場合を例示する。これにより、例えば、回転板44に与えられる接続軸53まわりの回転方向Dp1とは反対方向のトルクは、
図6の状態より小さくなる。
【0085】
このように、例えば、第2の駆動機構62aの弾性体27により第1の腕部44bに対する牽引力を調整することにより、可動指13を伸展させた状態で回転させつつ、可動指13の他の物体への当接又は回転角度に応じて可動指13を屈曲させることができる。
【0086】
図8は、第2の実施形態に係る可動指13を第3の駆動機構62bにより屈曲した状態を示す断面図である。
図8は、一例として、可動指13の示指13Aを例示する。なお、
図8は、回転板44を模式的に示す。
【0087】
図8に示すように、例えば、第3の駆動機構62bにより可動指13を任意の回転角度まで回転させた状態において、第2の駆動機構62aの弾性体27により第1の腕部44bが押された場合、回転板44に接続軸53まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。例えば、回転板44が回転すると、第1の部分41に回転方向Dp1のトルクが与えられるとともに、第1のロッド45が第3の部分43を引く。これにより、例えば、第3の部分43に、接続軸51まわりの回転方向Dp2のトルクが与えられる。例えば、第3の部分43が回転方向Dp2に回転すると、第3の部分43が第2の部分42を引く。これにより、例えば、第2の部分42に接続軸52まわりの回転方向Dp3のトルクが与えられる。そして、例えば、第2の部分42が回転方向Dp3に回転する。
【0088】
なお、
図8に破線で例示するように、例えば、エンドエフェクタ10において、第2の駆動機構62aは、支持部材28をさらに有していてもよい。同様に、例えば、エンドエフェクタ10において、第3の駆動機構62bは、支持部材28をさらに有していてもよい。
【0089】
なお、例えば、第2の駆動機構62a又は第3の駆動機構62bにおいて、アクチュエータ25、駆動部品26、弾性体27及び支持部材28のうちの少なくとも2つの構成要素が1つのモジュールとして一体に形成されてもよい。
【0090】
なお、
図8は、支持部材28を有するエンドエフェクタ10について説明するために支持部材28を例示する。つまり、エンドエフェクタ10は、
図6及び
図7に例示するように、支持部材28を有していなくてもよい。あるいは、エンドエフェクタ10は、複数の可動指13のうちの一部の可動指13において、支持部材28を有していてもよい。あるいは、支持部材28は、各可動指13において、第2の駆動機構62a及び第3の駆動機構62bのうちの少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0091】
このように、例えば、第3の駆動機構62bにより可動指13を任意の回転角度まで回転させた状態において、第2の駆動機構62aの弾性体27により第1の腕部44bが押された場合、第3の部分43及び第2の部分42が回転、すなわち屈曲する。つまり、例えば、第2の駆動機構62aの弾性体27により第1の腕部44bに対する牽引力を調整することにより、可動指13の他の物体への当接又は回転角度によらず、可動指13を屈曲させることができる。なお、第2の駆動機構62aと第3の駆動機構62bが作用する順番はこの通りで無くてよい。例えば第2の駆動機構62aの弾性体27により第1の腕部44bを押して可動指13の姿勢を変化させたのちに第3の駆動機構62bを動作させることで可動指13の姿勢を任意の状態にしてもよい。
【0092】
(第3の実施形態)
本実施形態に係る第2の駆動機構62aは、例えば、アクチュエータ25、駆動部品26、弾性体27及び支持部材28により複数の可動指13それぞれを個別に駆動させる機構である。
【0093】
一例として、支持部材28は、駆動部品26とともに変位し、上端が第1の腕部44bに当接しているとき、第1の腕部44bを押す。これにより、例えば、可動指13に中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられるとともに、回転板44に接続軸53まわりの回転方向Dp1のトルクが与えられる。一方で、例えば、支持部材28の上端が第1の腕部44bから離れているとき、弾性体27が第1の腕部44bを引く。これにより、例えば、可動指13に中心軸Axb3まわりの回転方向Dp1とは反対方向のトルクが与えられるとともに、回転板44に接続軸53まわりの回転方向Dp1とは反対方向のトルクが与えられる。この構成であっても、上述の各実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
なお、本実施形態では、支持部材28により第1の腕部44bを押す構成を例示するが、弾性体27により第1の腕部44bを押すことを除外しない。つまり、本実施形態に係る第2の駆動機構62aは、弾性体27及び支持部材28のうちの少なくとも一方により第1の腕部44bを押すことができる。
【0095】
なお、本実施形態に係る第2の駆動機構62aは、例えば、複数の可動指13のうちの一部の可動指13に対して適用されてもよい。また、本実施形態に係る第2の駆動機構62aと同様に、第3の駆動機構62bにおいて、支持部材28が駆動部品26とともに変位し、上端が第1の部分41の甲側の下端部58に当接して当該下端部58を押すように構成されていてもよい。
【0096】
(第4の実施形態)
本実施形態に係る支持部材28は、第3の実施形態と同様に、例えば駆動部品26とともに変位する。例えば支持部材28は、駆動部品26とともに変位し、上端が第1の腕部44bに当接しているとき、第1の腕部44bを押す。なお、支持部材28は、第1の腕部44bに回転可能に接続されていてもよい。一方で、本実施形態に係る弾性体27は、例えば駆動部品26が変位しても変位しない。
【0097】
例えば、弾性体27として引きバネが利用される場合には、弾性体27は、第1の腕部44bの接続軸54と、アクチュエータ25の筐体とに接続される。あるいは、弾性体27は、第1の腕部44bの接続軸54と、支持部30又は基体31の甲側とに接続される。例えば、弾性体27として押しバネが利用される場合には、弾性体27は、第1の腕部44bの接続軸54と、支持部30又は基体31の手の平側とに接続される。
【0098】
また、例えば弾性体27は、上述の各実施形態とは異なり、支持部材28と同軸でなくてもよい。一例として、弾性体27と第1の腕部44bとの接続位置と、支持部材28の上端が当接し得る第1の腕部44bの位置とは離れた位置であっても構わない。
【0099】
また、例えば弾性体27は、第1の腕部44bの接続軸54に接続されていなくても構わない。この場合、例えば弾性体27としては、巻きバネを利用することができる。当該巻きバネは、回転板44と、接続軸53とに接続される。
【0100】
なお、本実施形態に係る第2の駆動機構62aは、例えば、複数の可動指13のうちの一部の可動指13に対して適用されてもよい。また、本実施形態に係る第2の駆動機構62aと同様に、第3の駆動機構62bにおいて、支持部材28が駆動部品26とともに変位し、上端が第1の部分41の甲側の下端部58に当接して当該下端部58を押すように構成されていてもよい。なお、当該第3の駆動機構62bは、支持部材28の変位により支持部材28が下端部58に当接する構成に限らず、支持部材28と、第1の部分41の甲側の下端部58とを、回転可能に接続する構成とすることもできる。
【0101】
このように、本実施形態に係る弾性体27は、例えば、回転板44を接続軸53まわりに、回転方向Dp1の反対方向に回転するように付勢可能である。換言すれば、弾性体27は、上述の各実施形態と同様に、例えば、可動指13が伸展するように当該可動指13を付勢可能である。したがって、これらの構成であっても、上述の各実施形態と同様に、各可動指13を個別に曲げたり、伸展したりすることができる。ただし、上述の各実施形態とは異なり、各可動指13を伸展する弾性体27の復元力は、可動指ごとに一定である。
【0102】
(第5の実施形態)
本実施形態に係る第2の駆動機構62aの弾性体27は、例えば押しバネである。また、弾性体27は、例えば上述の各実施形態に係る可撓部材76のうちの、第1の指リンク71と、回転板44との間の可撓部材76に代えて設けられる。換言すれば、本実施形態に係る弾性体27は、例えば、支持部30又は基体31の手の平側に設けられ、第1の指リンク71と、回転板44の第2の腕部44cとを接続する。ここで、弾性体27と回転板44との接続位置は、例えば、第2の腕部44cと、第1のロッド45との接続軸55aである。なお、弾性体27は、各可動指13を回転方向Dp1の反対方向に回転させる復元力を発生する伸縮機構の一例であってもよい。なお、本実施形態に係る第2の駆動機構62aは、例えば、上述の各実施形態と同様に、接続軸54に接続された弾性体27を手の甲側にさらに有していてもよい。また、手の平側に設けられた本実施形態に係る第2の駆動機構62aには、例えば、上述の各実施形態と同様に、支持部材28が設けられていてもよい。
【0103】
例えば、第1の指リンク71が引かれると、手の平側の弾性体27ごと変位して第2の腕部44cを引く。第2の腕部44cが引かれたことに伴い回転板44が回転方向Dp1に回転するから、各可動指13は、上述の各実施形態と同様に曲がる。また、本実施形態に係る手の甲側の支持部材28は、第4の実施形態と同様に、例えば駆動部品26とともに変位し、上端が第1の腕部44bに当接しているとき、第1の腕部44bを押す。なお、支持部材28の変位により支持部材28が第1の腕部44bに当接する構成に限らず、支持部材28の上端と第1の腕部44bとが回転可能に接続された構成とすることもできる。第1の腕部44bが押されたことに伴い回転板44が接続軸53まわりに、回転方向Dp1に回転するから、各可動指13は、上述の各実施形態と同様に個別に曲がる。このように、本実施形態に係る可動指13は、手の平側の弾性体27を介して第2の腕部44cが引かれることと、手の甲側の支持部材28により第1の腕部44bが押されることとの少なくとも一方により、上述の実施形態と同様に個別に曲がる。このとき、本実施形態に係る手の平側の弾性体27は、第2の腕部44cにより押されるので、例えば第4の実施形態と同様に、回転板44を接続軸53まわりに、回転方向Dp1の反対方向に回転するように、すなわち各可動指13が伸展するように付勢可能である。また、例えば、第1の指リンク71が押されると、手の平側の弾性体27ごと変位して第2の腕部44cを押すから、各可動指13は、上述の各実施形態と同様に伸びる。
【0104】
なお、第5の実施形態に係る構成において、例えば、弾性体27に代えて、アクチュエータ25、駆動部品26及び支持部材28と同様の構成を有する伸縮機構を用いることもできる。換言すれば、可撓部材76のうちの、第1の指リンク71と、回転板44との間に、当該伸縮機構が設けられていてもよい。ここで、当該伸縮機構における支持部材28は、駆動部品26の駆動により変位する剛体であると表現することができる。なお、当該伸縮機構において、支持部材28は、上述の各実施形態と同様に、その変位により回転板44に当接する構成であってもよいし、回転板44に回転可能に接続された構成であってもよい。例えば、第1の指リンク71が引かれると、当該伸縮機構ごと変位して第2の腕部44cを引く。第2の腕部44cが引かれたことに伴い回転板44が回転方向Dp1に回転するから、各可動指13は、上述の各実施形態と同様に曲がる。例えば、当該伸縮機構は、第4の実施形態において支持部材28の上端が第1の腕部44bに当接しているときには支持部材28が第1の腕部44bを押すのと同様に、アクチュエータの駆動により伸長して上端が第2の腕部44cに当接しているときに第2の腕部44cを押すことができる。これにより、当該伸縮機構は、回転板44を回転方向Dp1の反対方向に回転させて、各可動指を伸ばすことができる。
【0105】
なお、当該伸縮機構においては、例えば、支持部材28と同様の構成に代えて、押しバネとしての弾性体27を用いることもできる。
【0106】
なお、第5の実施形態に係る構成において、第2の駆動機構62aは、手の甲側において、アクチュエータ25、駆動部品26及び支持部材28を有していなくてもよい。
【0107】
なお、第5の実施形態に係る構成は、例えば、複数の可動指13のうちの一部の可動指13に対して適用されてもよい。
【0108】
(第6の実施形態)
ここでは、主に第5の実施形態との相違点を説明する。第5の実施形態では、例えば、可撓部材76に代えて第2の駆動機構62aの弾性体27を設ける構成、あるいは可撓部材76に代えて第2の駆動機構62aと同様の構成を有する伸縮機構を設ける構成を例示したが、これに限らない。第2の駆動機構62aの弾性体27、あるいは第2の駆動機構62aと同様の構成を有する伸縮機構は、可撓部材76に加えて設けることもできる。
【0109】
図9は、第6の実施形態に係る可動指13を第2の駆動機構62aにより駆動した状態を示す断面図である。
図9は、例えば、可撓部材76に加えて第2の駆動機構62aと同様の構成を有する伸縮機構が設けられた構成を例示する。
図9に示すように、第2の駆動機構62aと同様の構成を有する伸縮機構は、例えば、回転板44の接続軸53,55aの間に接続される。なお、当該伸縮機構は、例えば、上述の各実施形態と同様に、支持部材28を有していてもよい。また、この支持部材28は、撓み変形又は伸縮変形可能な構成としてもよい。なお、
図9では、構成要素の対応を明示する意図から、当該伸縮機構として第2の駆動機構62aを例示している。つまり、
図9の構成において、上述の各実施形態と同様に、接続軸54には、他の第2の駆動機構62aが接続され得る。
【0110】
また、第2の駆動機構62aと同様の構成を有する伸縮機構が、接続軸55aと同一の位置に接続されてもよい。
【0111】
この構成であっても、第5の実施形態と同様の効果が得られる。なお、本実施形態に係る技術は、第5の実施形態に係る技術と任意に組合せ可能である。例えば、可撓部材76に代えて手の甲側の第2の駆動機構62aの弾性体27が設けられるとともに、第2の駆動機構62aと同様の構成を有する伸縮機構が回転板44の接続軸53,55aの間に接続された構成も実現可能である。
【0112】
なお、上述の各実施形態に係る可動指13は、1、2又は4以上の関節を有する可動指13として構成されていてもよい。例えば1関節の可動指13は、第1の部分41を有していればよく、例えば第2の部分42、第3の部分43、回転板44、第1のロッド45及び第2のロッド46、弾性体59を有していなくてもよい。この場合、各可動指13は、第3の駆動機構62bを有し、接続軸53の中心軸Axb3まわりに回転することにより、曲がったり伸展したりすることができる。
【0113】
なお、上述の各実施形態に係る技術は任意に組合せ可能である。例えば、エンドエフェクタ10において、複数の可動指13それぞれに適用される実施形態が異なる場合もあり得る。
【0114】
なお、上述の各実施形態では、複数の可動指13を有するエンドエフェクタ10を例示したが、これに限らない。エンドエフェクタ10は、1の可動指13だけを有していても構わない。
【0115】
なお、上述の各実施形態では、ハンド装置としてのエンドエフェクタ10を例示したが、これに限らない。上述の各実施形態に係る技術は、腕や足などの手の他の関節を有する部位を模したエンドエフェクタに適用可能である。また、人間を模したエンドエフェクタに限らず、グリッパーなどに適用することもできる。これらの場合であっても、エンドエフェクタ10において関節の姿勢を任意に調整することができる。
【0116】
上述の各実施形態に係るロボット1において、制御部20は、例えば可動指13の姿勢に関する情報に基づいて、アクチュエータ22、第2の駆動機構62aのアクチュエータ25及び第3の駆動機構62bのアクチュエータ25のうちの少なくとも1つの制御量を決定する。可動指13の姿勢に関する情報は、例えば、可動指13の関節の角度や可動指13の先端の位置に関する計測値、推定値又は目標値を含む。つまり、可動指13の姿勢に関する情報としては、例えば関節に設けられる角度センサやエンコーダの出力、複数の可動指13を撮影して得られた画像データなどの情報が適宜利用可能である。また、制御部20は、可動指13の現在の姿勢に関する情報と、可動指13の目標の姿勢に関する情報との入力に応じて、各アクチュエータ22,25のうちの少なくとも1つの制御量を出力するようにパラメータが決定された機械学習モデルを使用して、各アクチュエータ22,25の制御量を決定してもよい。なお、機械学習モデルの出力は、各アクチュエータ22,25の制御量に限らず、可動指13が次に取るべき位置又は姿勢であっても構わない。また、可動指13の姿勢に関する情報は、複数の可動指13の曲がる順序の設定情報を含む。
【0117】
本明細書(請求項を含む)において、「a、b及びcの少なくとも1つ(一方)」又は「a、b又はcの少なくとも1つ(一方)」の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、又はa-b-cのいずれかを含む。また、a-a、a-b-b、a-a-b-b-c-c等のように、いずれかの要素について複数のインスタンスを含んでもよい。さらに、a-b-c-dのようにdを有する等、列挙された要素(a、b及びc)以外の他の要素を加えることも含む。
【0118】
本明細書(請求項を含む)において、含有又は所有を意味する用語(例えば、「含む(comprising/including)」及び有する「(having)等)」が用いられる場合は、当該用語の目的語により示される対象物以外の物を含有又は所有する場合を含む、open-endedな用語として意図される。これらの含有又は所有を意味する用語の目的語が数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)である場合は、当該表現は特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0119】
本明細書(請求項を含む)において、ある箇所において「1つ又は複数(one or more)」又は「少なくとも1つ(at least one)」等の表現が用いられ、他の箇所において数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)が用いられているとしても、後者の表現が「1つ」を意味することを意図しない。一般に、数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)は、必ずしも特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0120】
本明細書において、ある実施例の有する特定の構成について特定の効果(advantage/result)が得られる旨が記載されている場合、別段の理由がない限り、当該構成を有する他の1つ又は複数の実施例についても当該効果が得られると理解されるべきである。但し当該効果の有無は、一般に種々の要因、条件、及び/又は状態等に依存し、当該構成により必ず当該効果が得られるものではないと理解されるべきである。当該効果は、種々の要因、条件、及び/又は状態等が満たされたときに実施例に記載の当該構成により得られるものに過ぎず、当該構成又は類似の構成を規定したクレームに係る発明において、当該効果が必ずしも得られるものではない。
【0121】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において種々の追加、変更、置き換え及び部分的削除等が可能である。例えば、前述した全ての実施形態において、数値又は数式を説明に用いている場合は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。また、実施形態における各動作の順序は、一例として示したものであり、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0122】
1…ロボット、10…エンドエフェクタ、11…駆動部、12…手掌、13…複数の可動指、13A…示指、13B…中指、13C…名無指、13D…小指、13E…拇指、21…筐体、22,25…アクチュエータ、22a…駆動軸、23,26…駆動部品、23a…取付部、27,59…弾性体、28…支持部材、30…支持部、31…基体、41…第1の部分、42…第2の部分、43…第3の部分、41a,42a,43a…基端部、41b,42b,43b…先端部、44…回転板、44a…中部、44b…第1の腕部、44c…第2の腕部、45…第1のロッド、46…第2のロッド、51,52,53,54,55a,55b,56,57…接続軸、61…第1の駆動機構、61a…第1の伝達機構、62a…第2の駆動機構、62b…第3の駆動機構、71…第1の指リンク、71a,71b,72a,72b,73a,73b,74a,74b…端部、71c,72c,73c,74c…中間部、72…第2の指リンク、73…第3の指リンク、74…中間リンク、76…複数の可撓部材、Ax,Axb1,Axb2,Axb3…中心軸、D1,D2,D3,D4…方向、Dp1,Dp2,Dp3…回転方向。