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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175514
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】除染液供給装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/02 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
B01J4/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021081934
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 壮馬
(72)【発明者】
【氏名】広沢 祐介
(72)【発明者】
【氏名】竹田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】湯上 昇
(72)【発明者】
【氏名】橋本 克紀
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068AA02
4G068AA04
4G068AB15
4G068AC01
4G068AC14
4G068AD21
4G068AE05
4G068AF01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の除染ガス発生装置に正確な量の除染液を供給する除染液供給装置を提供する。
【解決手段】給液ユニットU1~U3を備えており、各給液ユニットU1~U3は、主貯溜タンク5から送液された除染液Wを一時貯溜する副貯溜タンク15と、副貯溜タンク15に貯溜される除染液Wの重量を計測する重量計16を備えており、ポンプP1が作動されると、主供給通路7と分岐通路11~13を介して主貯溜タンク5から各副貯溜タンク15へ除染液Wの供給が開始され、各重量計16による計測重量が作業室に応じて予め設定された所定重量となるとポンプP1の作動が停止され、各副貯溜タンク15内に所定量の除染液Wが供給され、各副貯溜タンク15内の所定量の除染液Wは給液通路18を介して除染ガス発生装置2に供給される、除染液供給装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除染液を貯留する主貯留容器と、上記主貯溜容器内の除染液を、複数の除染ガスを発生させる除染ガス発生装置に供給するために分岐して設けられた複数の分岐通路と、上記主貯溜容器から除染ガス発生装置へと除染液を供給する送液機構とを備えた除染液供給装置において、
各分岐通路の下流に、上記主貯溜容器から送液された除染液を貯溜する副貯溜容器と、上記副貯溜容器に貯溜される除染液の量を検出する検出機構とを備え、
上記送液機構は、上記検出機構による検出結果に基づいて上記副貯溜容器に貯溜される除染液が予め設定された所定の設定量となるように除染液を供給するとともに、上記副貯留容器に供給された除染液を除染ガス発生装置に供給することを特徴とする除染液供給装置。
【請求項2】
上記検出機構は、上記副貯溜容器に貯溜される除染液の重量を検出する重量計であることを特徴とする請求項1に記載の除染液供給装置。
【請求項3】
上記各副貯溜容器内に貯溜された除染液を各除染ガス発生装置に供給する給液通路には、上記副貯留容器に供給された除染液を循環させる循環通路が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除染液供給装置。
【請求項4】
上記循環通路に接続された外気通路と、上記外気通路を開閉させる開閉弁を備え、上記開閉弁が開放されて上記外気通路を介して循環通路に大気が導入されることによって、上記循環通路内の除染液が上記副貯溜容器に戻されることを特徴とする請求項3に記載の除染液供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は除染液供給装置に関し、より詳しくは、例えばアイソレータシステムにおいて複数の除染ガス発生装置に正確な量の除染液を供給可能な除染液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイソレータシステムは、除染ガスを発生させるための除染ガス発生装置(蒸発器)と、この除染ガス発生装置に除染液を供給する除染液供給装置とを備えており、除染ガスとして過酸化水素ガス等を使用してアイソレータ内の除染が行われる。
また、従来、アイソレータシステムとして、各作業室に対応する複数の除染ガス発生装置を備え、この複数の除染ガス発生装置に除染液を供給する除染液供給装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-118187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の除染液供給装置においては、主供給通路とそれから分岐した複数の分岐通路とを備え、主供給通路に除染液を貯溜する貯溜容器(タンク)が接続されるとともに、各分岐通路の下流側の端部に除染ガス発生装置(蒸発器)が接続されている。そして、各分岐通路に送液機構(ポンプ)が設けられており、該送液機構の稼働や運転速度を制御することによって、上記貯溜容器から各作業室用の除染ガス発生装置に好適な量の除染液を供給するようになっている。
しかしながら、特許文献1の装置においては、各分岐通路に設けられたポンプの稼働台数や組み合わせが変わるとポンプ同士の相互作用も変わってしまい、ポンプの回転数が同じであっても各除染ガス発生装置に対して予定した送液量の除染液を供給できないという問題があった。そのため、同時に稼働させる分岐通路のポンプの台数や組み合わせごとに回転数の調整が必要となり、その調整作業が煩雑で多大な労力を要していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、除染液を貯留する主貯留容器と、上記主貯溜容器内の除染液を、複数の除染ガスを発生させる除染ガス発生装置に供給するために分岐して設けられた複数の分岐通路と、上記主貯溜容器から除染ガス発生装置へと除染液を供給する送液機構とを備えた除染液供給装置において、
各分岐通路の下流に、上記主貯溜容器から送液された除染液を貯溜する副貯溜容器と、上記副貯溜容器に貯溜される除染液の量を検出する検出機構とを備え、
上記送液機構は、上記検出機構による検出結果に基づいて上記副貯溜容器に貯溜される除染液が予め設定された所定の設定量となるように除染液を供給するとともに、上記副貯留容器に供給された除染液を除染ガス発生装置に供給することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、各除染ガス発生装置に所定の設定量の除染液を正確に送液することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施例を示す全体の構成図。
図2図1に示す除染液供給装置の第1工程を示す図。
図3図1に示す除染液供給装置の第2工程を示す図。
図4図1に示す除染液供給装置の第3工程を示す図。
図5図1に示す除染液供給装置の第4工程を示す図。
図6】本発明の第2実施例を示す全体の構成図。
図7】本発明の第3実施例を示す全体の構成図。
図8図7に示す除染液供給装置の第1工程を示す図。
図9図7に示す除染液供給装置の第2工程を示す図。
図10図7に示す除染液供給装置の第3工程を示す図。
図11図7に示す除染液供給装置の第4工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示第1の実施例について本発明を説明すると、図1は細胞の培養を行うアイソレータシステム1の要部を示したものである。このアイソレータシステム1は、図示しない複数の無菌作業室毎に設けられた合計3台の除染ガス発生装置2(蒸発器)と、これらの除染ガス発生装置2に除染液Wを供給する除染液供給装置3と、除染液供給装置3の構成要素の作動を制御する制御装置4とを備えている。
除染液供給装置3は、除染液W(過酸化水素水)を貯溜する主貯溜タンク5と、除染液Wを貯溜した主貯溜タンク5の重量を計測する重量計6と、主供給通路7から3つに分岐した分岐通路11~13と、分岐通路11~13に接続されて除染液Wを除染ガス発生装置2に供給するための給液ユニットU1~U3とを備えている。
【0009】
主貯溜タンク5には所要量の除染液Wが貯溜されており、除染液Wの重量は重量計6によって計測されて、常時制御装置4へ伝達されるようになっている。主供給通路7の上流端7Aは、主貯溜タンク5内の除染液Wに浸漬されており、主供給通路7の下流端7Bは、給液ユニットU1~U3に対応して3つの分岐通路11~13に分岐している。
主供給通路7の途中に外気通路14の一端が接続されており、この外気通路14の他端は大気に解放されている。外気通路14の途中には大気開放弁V1が設けられるとともに、該大気開放弁V1の隣接上流位置に大気中の異物を除去するためのフィルタF1が設けられている。大気開放弁V1の作動は制御装置4によって制御されるようになっており、除染液Wの送液時には閉鎖されて所要時に制御装置4が大気開放弁V1を開放させると、外気通路14を介して主供給通路7に浄化された大気を導入することができる。その際には、主供給通路7内に溜まった除染液Wが主貯溜タンク5及び後述の副貯溜タンク15に戻されるようになっている。
各分岐通路11~13の途中には、ポンプP1が設けられるとともにポンプP1よりも上流側の位置に常閉の開閉弁V2が設けられている。これらポンプP1、開閉弁V2の作動は制御装置4によって制御されるようになっている。各分岐通路11~13の下流端11A~13Aは、各給液ユニットU1~U3が備える副貯溜タンク15に接続されている。
所要時に制御装置4が開閉弁V2を開放させるとともにポンプP1を作動させると、主貯溜タンク5内の除染液Wが主供給通路7と各分岐通路11~13を介して各給液ユニットU1~U3の副貯溜タンク15に給液されるようになっている。
【0010】
第1の給液ユニットU1は、主貯溜タンク5から主供給通路7と分岐通路11を介して給送された除染液Wを一時貯溜する副貯溜タンク15と、この副貯溜タンク15の重量(貯溜される除染液Wの重量)を計測する重量計16と、副貯溜タンク15と除染ガス発生装置2とを接続する給液通路18と、給液通路18内の除染液Wを副貯溜タンク15に戻すための戻し通路19を備えている。
制御装置4が、所要時に開閉弁V2を開放させるとともにポンプP1を作動させて、主貯溜タンク5から主供給通路7、分岐通路11を介して副貯溜タンク15に除染液Wが供給される際には、該副貯溜タンク15の重量が重量計16によって計測されて、制御装置4に伝達されるようになっている。それにより、制御装置4は、主貯溜タンク5から副貯溜タンク15に供給されて貯溜された除染液Wの量を認識できるようになっている。そして、制御装置4は、重量計16による計測重量を認識することで、作業室に応じて予め設定された除染ガス発生装置2に供給すべき除染液Wの液量に応じて、ポンプP1の稼働や運転速度を制御するようになっている。これにより、副貯溜タンク15内に設定量の除染液Wを貯溜させるようになっている。
【0011】
給液通路18における上流端18Aは、上記副貯溜タンク15内に挿入されており、給液通路18の下流端18Bは除染ガス発生装置2内に鉛直下方に向けて挿入されている。
除染ガス発生装置2に近い位置の給液通路18の途中には三方切換え弁V3が設けられており、それよりも上流側となる給液通路18の途中にポンプP2が設けられている。三方切換え弁V3には、戻し通路19の上流端19Bが接続されており、戻し通路19の下流端19Aは副貯溜タンク15内に鉛直下方に向けて挿入されている。これら三方切換え弁V3とポンプP2の作動は制御装置4によって制御されるようになっている。
この三方切換え弁V3は、その前後の給液通路18を連通させ、かつ給液通路18と戻し通路19の上流端19Bとの連通を阻止する第1位置と、三方切換え弁V3の前後の給液通路18の連通を阻止し、かつ三方切換え弁V3の隣接上流側の給液通路18と戻し通路19の上流端19Bとを連通させる第2位置とに切り換えられるようになっている。最初の状態では、三方切換え弁V3は第1位置に位置している。
そして、三方切換え弁V3が第1位置にある状態で制御装置4によってポンプP2が作動されると、該ポンプP2によって副貯溜タンク15内の除染液Wが吸引されて給液通路18を介して除染ガス発生装置2に供給されるようになっている。
他方、三方切換え弁V3が第2位置に切り換えられた状態で、制御装置4によってポンプP2が作動されると、該ポンプP2によって副貯溜タンク15内の除染液Wが吸引されて給液通路18を介して三方切換え弁V3の位置まで給送され、次に該三方切換え弁V3を流通した後に戻し通路19に送液されて、さらに、その下流端19Aから副貯溜タンク15内に除染液Wが戻されるようになっている。
このように、三方切換え弁V3が第2位置にある状態でポンプP2が作動されると、戻し通路19、及び三方切換え弁V3よりも上流側の給液通路18を介して副貯溜タンク15内の除染液Wが循環されるようになっている。この戻し通路19と、三方切換え弁V3よりも上流側の給液通路18とによって循環通路20が構成されている。
ポンプP2の隣接上流側となる給液通路18には、外気通路22の一端が接続されており、この外気通路22の他端は大気に解放されている。外気通路22の途中には常閉の大気開放弁V4が設けられるとともに、該大気開放弁V4の隣接上流位置に大気中の異物を除去するフィルタF2が設けられている。大気開放弁V4の作動は制御装置4によって制御されるようになっており、所要時に制御装置4が大気開放弁V4を開放させると、外気通路22を介して給液通路18に浄化した大気を導入することができる。その際には循環通路20内に溜まった除染液Wが給液通路18の上流端18Aと戻し通路19の下流端19Aから副貯溜タンク15に戻されるようになっている。
また、三方切換え弁V3とポンプP2の間の給液通路18には、液検知センサS1が設けられており、三方切換え弁V3と除染ガス発生装置2の間の給液通路18には液漏れセンサS2が設けられている。
液検知センサS1は、給液通路18内に除染液Wが存在するか否かを検知するようになっており、液検知センサS1による検知結果は、制御装置4に入力されるようになっている。また、液漏れセンサS2は、三方切換え弁V3と除染ガス発生装置2の間の給液通路18における除染液Wの液漏れの有無を検出できるようになっており、液漏れセンサS2による検出結果は制御装置4に入力されるようになっている。
制御装置4は、液検知センサS1による検出結果によって給液通路18内における除染液Wの有無を認識することができるとともに、液漏れセンサS2による検出結果によって、三方切換え弁V3と除染ガス発生装置2の間の給液通路18での除染液Wの液漏れの有無を認識できるようになっている。第1の給液ユニットU1は以上のように構成されている。
【0012】
第2の給液ユニットU2及び第3の給液ユニットU3の構成は、上記第1の給液ユニットU1と同じ構成となっており、これら給液ユニットU2、給液ユニットU3の構成要素も制御装置4によって作動を制御されるようになっている。そのため、給液ユニットU2、給液ユニットU3の構成に関する詳細な説明は省略する。給液ユニットU2及び給液ユニットU3において、上記給液ユニットU1と対応する各部材にはそれぞれ同じ部材番号を付している。
各給液ユニットU1~U3によって除染液Wを供給される除染ガス発生装置2はヒータとその上面に載置されたヒータプレートとからなり、除染ガス発生装置2が加熱された状態において給液通路18Bの下流端から除染液Wがヒータプレート上に滴下されると、除染液Wがヒータプレートによって加熱されて蒸発することで除染ガスを発生させるようになっている。
除染液供給装置3とその給液ユニットU1~U3は以上のように構成されている。
【0013】
以上の構成において、本実施例においては、先ず、第1の給液ユニットU1によって主貯溜タンク5内の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給され、次に第2の給液ユニットU2によって主貯溜タンク5内の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給され、次に第3の給液ユニットU3によって主貯溜タンク5内の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給されるようになっている。具体的な処理工程は以下のとおりである。
すなわち、図2に示すように、第1の分岐通路11の開閉弁V2を開放させるとともにポンプP1を作動させて、主供給通路7と分岐通路11を介して第1給液ユニットU1の重量計16が予め設定された設定値となるまで除染液Wを主貯溜タンク5から副貯溜タンク15まで給液する。
ここで第1給液ユニットU1の副貯溜タンク15に除染液Wが給液され始めると、重量計16によって副貯溜タンク15内の除染液Wの重量が計測されて制御装置4に入力される。それにより、制御装置4は、副貯溜タンク15内の除染液Wの貯溜量を認識することができ、該貯溜量が予め設定された設定値よりも小さい所定重量となったら大気開放弁V1を開放して主供給通路7及び分岐通路11を浄化された大気で置換した後にポンプP1及び開閉弁V2の作動を停止させる。これにより、主供給通路7及び分岐通路11内の所定量の除染液Wが副貯溜タンク15に送液されて給液ユニットU1の副貯溜タンク15内に設定重量の除染液Wが正確に貯溜されたことになる(以上、第1工程)。
【0014】
次に、図3に示すように、給液ユニットU1のポンプP2を作動させるとともに三方切換え弁V3を第2位置に切り換えると、給液通路18と戻し通路19とからなる循環通路20を介して副貯溜タンク15内の除染液Wが循環される。これにより、循環通路20の液漏れ検査が行われる。
つまり、ポンプP2よりも上流側となる循環通路20に液漏れがある場合には、液漏れ部分からエアを吸い続けることになるので、副貯溜タンク15内の除染液Wの量が変化せず、重量計16による計測値は変化しない。この場合、制御装置4は、重量計16による重量の計測値を基にして液漏れを認識することができる。また、ポンプP2よりも下流側となる循環通路20に液漏れがある場合には、液漏れ部分から除染液Wが漏れた量だけ副貯溜タンク15には戻らないので、重量計16で計測される計測値が徐々に減少する。それにより、制御装置4は、循環通路20での液漏れを認識することができる。
このようにして、副貯溜タンク15内の除染液Wを循環通路20で循環させることにより、循環通路20における液漏れを検出できるようになっている(以上、第2工程)。
【0015】
次に、図4に示すように、前述した循環通路20の液漏れ検査が終了したら、外気通路22の大気開放弁V4を開放させた後にポンプP2を作動させる。これにより、給液通路18、戻し通路19からなる循環通路20内の除染液Wが副貯溜タンク15内に戻されるようになっている(以上、第3工程)。
【0016】
次に、図5に示すように、この後、大気開放弁V4を閉鎖するとともに三方切換え弁V3を第2位置から第1位置に切り換えると、ポンプP2の作動によって給液通路18を介して副貯溜タンク15内の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給されるようになっている。
なお、除染ガスを発生させる際には、除染ガス発生装置2のヒータ及びヒータプレートは予め所定温度まで加熱されるようになっており、給液通路18を介しての除染液Wの給送時間を短縮するために、ヒータ及びヒータプレートを加熱している間に三方切換え弁V3の隣接上流位置の給液通路18内に除染液Wが給送されており、該除染液Wは液検知センサS1で検出されて制御装置4に検出信号が入力されるようになっている。
そして、給液通路18から除染液Wがヒータプレート上に滴下されて供給されると、除染液Wが蒸発して除染ガスが発生するようになっている(以上、第4工程)。
以上のようにして、第1の給液ユニットU1の副貯溜タンク15に主貯溜タンク5から設定量の除染液Wが供給され、その後、副貯溜タンク15から除染ガス発生装置2に設定量の除染液Wが供給されるようになっている。
この後、前述した第1の給液ユニットU1の場合と同じ処理工程により、第2の給液ユニットU2によって設定量の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給される。さらにその後、前述した第1の給液ユニットU1と同じ処理工程により、第3の給液ユニットU3によって設定量の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給されるようになっている。
なお、上記給液ユニットU1~U3による処理工程を同時併行処理させることも可能であり、その場合においては、上述した作動工程よりも短時間で各除染ガス発生装置2に設定量の除染液Wを供給することができる。
【0017】
以上のように、除染液供給装置3が備える各給液ユニットU1~U3は副貯溜タンク15と重量計16を備えており、主貯溜タンク5から各給液ユニットU1~U3の副貯溜タンク15に除染液Wを供給する際には、各重量計16によって正確に除染液Wの重量を計測することができる。したがって、正確に計測された所定重量の除染液Wを各除染ガス発生装置2に供給できるので予定した量の除染ガスを確実に発生させることができる。
また、本実施例によれば、副貯溜タンク15に供給される除染液Wの重量が重量計16によって検出されるので、除染液供給装置3が備える複数のポンプP1、P2の運転速度の調整作業を従来よりも簡略化できる。そのため、前述した従来の除染液供給装置と比較してポンプの運転速度の調整時間を短縮することができる。
【0018】
次に、図6は本発明の第2実施例を示したものである。この第2実施例は、上述した第1の実施例における各分岐通路11~13毎に設けていたポンプP1を省略し、その代わりに主供給通路7にポンプP1を1台だけ設けたものである。その他の構成は、前述した第1の実施例と同じであり、この第2実施例においては、上記第1の実施例と対応する各構成要素に第1の実施例と同じ部材番号を付している。
この第2実施例における作動は、前述した第1の実施例の作動と同様であり、先ず、主供給通路7と分岐通路11を介して第1の給液ユニットU1によって設定量の除染液Wを除染ガス発生装置2に供給する。次に、第2の給液ユニットU2によって除染ガス発生装置2に設定量の除染液Wを供給し、最後に、第3の給液ユニットU3によって除染ガス発生装置2に設定量の除染液Wを供給するようになっている。なお、上記給液ユニットU1~U3による第2工程以降の処理工程については同時併行処理させることも可能である。
このような第2実施例によれば、正確に計測された所定重量の除染液Wを各除染ガス発生装置2に供給することができる。
また、上記第1実施例と比較してポンプP1を2台、減少させることができるので、その分だけ除染液供給装置3の製造コストを下げることができる。しかも、上記第1の実施例と比較して複数のポンプP1を作動させた際の相互作用による干渉が生じないので、ポンプ同士の相互作用の調整が容易である。
【0019】
次に、図7は本発明の第3実施例を示したものであり、この第3実施例は、前述した図1の第1の実施例において、各給液ユニットU1~U3にポンプP1を1台だけ設ける構成としたものである。各給液ユニットU1~U3の構成そのものは同じであり、1台のポンプP1によって主貯溜タンク5から副貯溜タンク15への除染液Wの給液と、副貯溜タンク15から除染ガス発生装置2への給液を行うようになっている。
以下、先ず、第1の給液ユニットU1の構成について説明すると、分岐通路11の下流端11Aは副貯溜タンク15内に挿入されており、分岐通路11の上流端は主供給通路7に接続されている。
分岐通路11の途中にポンプP1が設けられており、このポンプP1よりも上流側となる分岐通路11に三方切換え弁V5が設けられるとともに、ポンプP1の下流側に三方切換え弁V6が設けられている。三方切換え弁V5よりも上流側に開閉弁V2が設けられている。
上流側の三方切換え弁V5には、給液通路24の下流端24Aが接続されており、この給液通路24の上流端24Bは、副貯溜タンク15内に挿入されている。
ポンプP1及び三方切換え弁V5、V6と開閉弁V2の作動は、制御装置4によって制御されるようになっている。三方切換え弁V5が第1位置にある時には、その前後の分岐通路11が連通する一方、分岐通路11と給液通路24の下流端24Aとの連通が阻止される。他方、三方切換え弁V5が第2位置にある時には、その前後の分岐通路11の連通が阻止される一方、三方切換え弁V5より下流の分岐通路11と給液通路24の下流端24Aが連通するようになっている。
給液通路18の上流端18Aは三方切換え弁V6に接続されており、給液通路18の下流端18Bは、除染ガス発生装置2内に挿入されている。給液通路18の除染ガス発生装置2に近い位置に三方切換え弁V3が設けられており、その前後に液検知センサS1と液漏れセンサS2が設けられている。戻し通路19の上流端19Bが三方切換え弁V3に接続されており、戻し通路19の下流端19Aは、副貯溜タンク15内に挿入されている。
三方切換え弁V6,V3の作動は制御装置4によって制御されるようになっている。三方切換え弁V6が第1位置にある時には、その前後の分岐通路11が連通する一方、分岐通路11と給液通路18の上流端18Aとの連通が阻止される。他方、三方切換え弁V6が第2位置にある時には、その前後の分岐通路11の連通が阻止されるとともに三方切換え弁V6の上流となる分岐通路11と給液通路18が連通するようになっている。
また、三方切換え弁V3が第1位置にある時には、その前後の給液通路18が連通するともに給液通路18と戻し通路19の上流端19Bの連通が阻止される。他方、三方切換え弁V3が第2位置にある時には、その前後の給液通路18の連通が阻止されるとともに三方切換え弁V3の上流側となる給液通路18と戻し通路19が連通するようになっている。
この第3実施例においては、戻し通路19と、給液通路24と、三方切換え弁V5とV6との間の分岐通路11、及び三方切換え弁V6とV3との間の給液通路18によって循環通路20が形成されている。
ポンプP1と三方切換え弁V5の間の分岐通路11には、外気通路22が接続されており、この外気通路に大気開放弁V4とフィルタF2が設けられている。所要時に外気開放弁V4が開放されると、循環通路20内の除染液Wを副貯溜タンク15に戻すことができるようになっている。この第3実施例における第1の給液ユニットU1は以上のように構成されている。
また、この第3実施例における第2の給液ユニットU2及び第3の給液ユニットU3の構成は、上記第1の給液ユニットU1と同じなので、構成に関する詳細な説明は省略する。また、これらの給液ユニットU2及び給液ユニットU3の構成要素には、給液ユニットU1の構成要素と対応する部材に同じ部材番号を付している。
【0020】
以上の構成において、この第3実施例においては、先ず、第1の給液ユニットU1によって主貯溜タンク5から除染ガス発生装置2に除染液Wが供給され、次に第2の給液ユニットU2によって除染ガス発生装置2に主貯溜タンク5から除染液Wが供給され、最後に第3の給液ユニットU3によって除染ガス発生装置2に主貯溜タンク5から除染液Wが供給されるようになっている。具体的な処理工程は以下のとおりである。
先ず、図8に示すように、給液ユニットU1において、開閉弁V2を開放させてポンプP1を作動させるとともに、三方切換え弁V5,V6を第1位置に位置させる。これにより、主供給通路7と分岐通路11を介して重量計16が各作業室に応じて予め設定された設定重量となるまで除染液Wを主貯溜タンク5から副貯溜タンク15まで給液する。
副貯溜タンク15に除染液Wが給液され始めると、重量計16によって副貯溜タンク15内の除染液Wの重量が計測されて制御装置4に入力される。それにより、制御装置4は、副貯溜タンク15内の除染液Wの貯溜量を認識することができ、該貯溜量が設定重量よりも小さい所定重量となったら大気開放弁V1を開放して主供給通路7及び分岐通路11を浄化された大気で置換した後にポンプP1の作動を停止させるとともに開閉弁V2を閉鎖させる。これにより、主供給通路7及び分岐通路11内の所定量の除染液Wが副貯溜タンク15に送液されて給液ユニットU1の副貯溜タンク15内に設定量の除染液Wが正確に貯溜されたことになる(以上、第1工程)。
次に、図9に示すように、給液ユニットU1において、開閉弁V2の作動を停止させる一方、ポンプP1を作動させた状態において、三方切換え弁V5、V6、V3をそれぞれ第2位置に切り換える。これにより、循環通路20を介して副貯溜タンク15内の除染液Wが循環されて循環通路20の液漏れ検査が行われる。
ここで、ポンプP1よりも上流側となる循環通路20に液漏れがある場合には、液漏れ部分からエアを吸い続けることになるので、副貯溜タンク15内の除染液Wの量が変化せず、重量計16による計測値は変化しない。この場合、制御装置4は、重量計16による重量の計測を基にして液漏れを認識することができる。また、ポンプP1よりも下流側となる循環通路20で液漏れがある場合には、液漏れ部分から除染液Wが漏れた量だけ副貯溜タンク15には戻らないので、重量計16で計測される計測値が徐々に減少する。それにより、制御装置4は、循環通路20での液漏れを認識することができる。
このようにして、副貯溜タンク15内の除染液Wを、循環通路20を介して循環させることにより、循環通路20における液漏れを検出することができる(以上、第2工程)。
次に、図10に示すように、前述した循環通路20の液漏れ検査が終了したら、外気通路22の大気開放弁V4を開放させた後にポンプP1を作動させる。これにより、分岐通路11、給液通路18、24、戻し通路19からなる循環通路20内の除染液Wが副貯溜タンク15内に戻される(以上、第3工程)。
次に、図11に示すように、この後、大気開放弁V4を閉鎖するとともに三方切換え弁V3を第2位置から第1位置に切り換えると、ポンプP1を作動させて給液通路24、分岐通路11及び給液通路18を介して副貯溜タンク15内の所定重量の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給される。これにより、除染液Wが除染ガス発生装置2のヒートプレート上に滴下されて、除染ガスが発生するようになっている。なお、液漏れセンサS2によって三方切換え弁V3と除染ガス発生装置2の間の給液通路18の液漏れを検出することができる(以上、第4工程)。
以上のようにして、主貯溜タンク5から第1の給液ユニットU1の副貯溜タンク15に設定量の除染液Wが供給され、その後、副貯溜タンク15から除染ガス発生装置2に設定量の除染液Wが供給されて除染ガスが発生するようになっている。
この後、上述した第1の給液ユニットU1の場合と同様の処理工程により、第2の給液ユニットU2によって所定量の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給される。さらに、その後、上記給液ユニットU1の場合と同様の処理工程により、第3の給液ユニットU3によって所定量の除染液Wが除染ガス発生装置2に供給されるようになっている。なお、上記給液ユニットU1~U3による処理工程については同時併行処理させることも可能である。
このような第3実施例によれば、各作業室に応じて設定された除染液Wを、給液ユニットU1~U3を介して各除染ガス発生装置2に正確に供給することができる。
また、この第3実施例においては、上記第1の実施例及び第2実施例と比較してポンプP1の台数が少ないので、その分だけ除染液供給装置3の製造コストを下げることができる。
【0021】
なお、上記各実施例においては、給液ユニットU1~U3の副貯溜タンク15に検出器として重量計16を設けているが、これに限定されるものではなく、重量計(天秤、スケール、ロードセル)を用いる以外に、除染液Wの液量の検出器として例えばレベルセンサなどにより容積を検出するようにしても良い。
また、上記各実施例においては、主貯溜タンク5に貯留された除染液Wを、主供給通路7から3分岐して3つの無菌作業室に対応する3台の除染ガス発生装置2に除染液Wを供給しているが、これに限定されるものではなく、2台や4台以上の除染ガス発生装置2に分岐して除染液Wを供給するものであっても良い。
また、上記各実施例においては、除染ガス発生装置2として加熱したヒータプレート上に除染液Wを滴下して除染ガスを発生させる蒸発器を用いているが、これに限定されるものではなく、他の除染ガス発生装置を用いても良い。
さらに、上記各実施例において、主貯溜タンク5用の重量計6は必ずしも必要とせず、それを省略してもよい。
【符号の説明】
【0022】
2…除染ガス発生装置 3…除染液供給装置
5…主貯溜タンク 7…主供給通路
11~13…分岐通路 15…副貯溜タンク
16…重量計(検出機構) P1~P2…ポンプ(送液機構)
U1~U3…給液ユニット W…除染液
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