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  • 特開-蓄電池およびその利用システム 図1
  • 特開-蓄電池およびその利用システム 図2
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  • 特開-蓄電池およびその利用システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175534
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】蓄電池およびその利用システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20221117BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H02J7/35 B
H02J7/00 301B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082010
(22)【出願日】2021-05-13
(71)【出願人】
【識別番号】503059921
【氏名又は名称】株式会社ジェンク
(74)【代理人】
【識別番号】100123489
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和幸
(72)【発明者】
【氏名】柳 富雄
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503BB02
5G503FA03
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】移動可能な太陽光発電に用いる蓄電池を提供する。
【解決手段】太陽電池により発電した電力を蓄電できる蓄電池と、該蓄電池を設置できる架台とを有する蓄電池システム。
【発明の効果】本発明によれば、従来自家消費か、電力会社に買い取ってもらうしかなかった太陽光発電した電力が、太陽光発電パネルを設置していない家庭、その他電源が必要な施設にも流通させることができ、太陽光発電した電力の利用が促進されるという効果が得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池により発電した電力を蓄電できる蓄電池と、
該蓄電池を設置できる架台と、
を有する蓄電池システム。
【請求項2】
架台が配電盤に接続できる、請求項1の蓄電池システム。
【請求項3】
架台が太陽光発電システムに接続できる請求項1の蓄電池システム。
【請求項4】
前記蓄電池がインバーターを内蔵する蓄電池である請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項5】
前記蓄電池がキャスターを有し、上下動することで、蓄電池と架台の電極の接触を制御できることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項6】
前記蓄電池が直流および交流のいずれでも出力できる蓄電池である、請求項1~5のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項7】
キャスター付きの蓄電池を用いて、太陽光発電で発電した電力を、太陽光発電システムを持たない家庭にも提供できる、請求項1~6のいずれか1項に記載の蓄電池システム。
【請求項8】
移動可能な蓄電池を用いて、太陽光発電した電力を貯蔵し、太陽光発電をしていない家庭でも太陽光発電由来の電力を利用できるようにする方法。
【請求項9】
請求項8の方法により、太陽光発電した電力を効率よく一般家庭および/または工場に提供する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池に関する。より詳しくは、太陽光発電により発電した電気を貯蔵する蓄電池およびその利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SDGsなどにより、CO2排出ガスの削減が求められており、その有効な手段として太陽光発電などの自然エネルギーの普及が推奨されている。しかしながら、家庭で太陽光発電した場合、自家利用(例えば、特許文献1)するか、自宅で使って余った電力を電力会社に売電する場合がほとんどで、太陽光発電を蓄電池に貯蔵している家庭は少ない。
【0003】
また、高価格で電力会社が買い取る契約が終了し、売電金額が安くなり、売電賦課金が増加して太陽光発電するメリットが減少しており、台風や地震などにより設備が破損する、パワーコンディショナーから発火するなどの問題が起きていることから太陽電池の普及が進みにくくなったという問題があった。
【0004】
また、発電した電気を貯蔵する蓄電池は通常大型で固定されており、移動することが困難という問題があった。
そこで、上記の問題を解決し、より柔軟に太陽光発電を活用できるシステムが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-48666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽光発電した電力を移動可能にする蓄電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)太陽電池により発電した電力を蓄電できる蓄電池と、
該蓄電池を設置できる架台と
を有する蓄電池システム。
(2)架台が配電盤に接続できる(1)の蓄電池システム。
(3)架台が太陽光発電システムに接続できる(1)の蓄電池システム。
(4)前記蓄電池がインバーターを内蔵する蓄電池である(1)~(3)のいずれか1に記載の蓄電池システム。
(5)前記蓄電池がキャスターを有し、架台の設置箇所で蓄電池が上下動することで、蓄電池と架台の電極の接触を制御できることを特徴とする、(1)~(4)のいずれか1に記載の蓄電池システム。
(6)前記蓄電池が直流および交流のいずれでも出力できる蓄電池である、(1)~(5)のいずれか1に記載の蓄電池システム。
(7)キャスター付きの蓄電池を用いて、太陽光発電で発電した電力を、太陽光発電システムを持たない家庭にも提供できる、(1)~(6)のいずれか1に記載の蓄電池システム。
(8)移動可能な蓄電池を用いて、太陽光発電した電力を貯蔵し、太陽光発電をしていない家庭でも太陽光発電由来の電力を利用できるようにする方法。
(9)(8)の方法により、太陽光発電した電力を効率よく一般家庭および/または法人に提供する方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動が容易な太陽光発電用蓄電池およびそれを用いるシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の架台と蓄電池を示す図である。
図2図2は、本発明の架台の平面図と蓄電池の底面図である。
図3図3は、本発明の別の実施形態を示す図である。
図4図4は、本発明の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、従来太陽光発電で発電した電力を、自宅(または自社)と電力会社で消費していたのを、移動可能な蓄電池に蓄電することで発電した電気を貯蔵し、それ以外の場所でも使用できるようにするものである。すなわち、太陽光発電した電力を移動可能な蓄電池に貯蔵して、必要に応じて、他の家庭や工場、学校、などで使用できるようにするための蓄電池貯蔵、運搬、使用するシステムを提供する。
【0011】
本発明に用いる蓄電池は移動が容易なように、0.5~5kw、より好ましくは1kw~2kwの容量が好ましい。重量としては、20kg以下が好ましく、より好ましくは15kg以下、さらに好ましくは10kg以下である。ただし、電池性能が上がり、より大容量でも小型化が可能になれば、3kw、4kw、5kw、10kwなどの容量にしてもよく、容量については蓄電池を持ち運べる限り特に制限はない。蓄電池としては、鉛蓄電池、リチウムイオンバッテリー、全固体電池などが挙げられるが、これらに限られず、太陽光発電して電気を貯蔵できる蓄電池であればよい。
【0012】
本発明に用いる蓄電池は、架台に載せて、架台上の蓄電池を設置する部分にある電極と接触させることにより、太陽光発電した電力を蓄電池に貯蔵する。この場合、蓄電池を乗せる台には、フォークリフト型の昇降台が設置され、または、エアパッドが敷いてあり、エアポンプまたは油圧で上下させることができる。フォークリフトを下げるか、パッドの空気を抜くことで蓄電池を下に下げることで、架台と蓄電池の電極同士が接触し、充電や給電が可能になる。蓄電池と架台の電極の位置が正確に合うように、フォークリフトやパッドのキャスターが乗る部分にキャスターを誘導するガイドや溝を付けることが好ましい。
【0013】
架台は、太陽電池と蓄電池を接続することができるか、または、配電盤と蓄電池を接続することができる。すなわち、架台により、蓄電池を太陽光発電システムまたは、パワーコンディショナー、配電盤と接続することができる。また、架台にパワーコンディショナーや電気自動車(EV)を充電できる手段を備えていても良い。パワーコンディショナーは直流交流を変換するインバーターを含んでいてもよく、直流電流の電圧を調整する直流直流(DCDC)コンバーター機能を有していても良い。
【0014】
太陽光発電パネルにより発電した電気を蓄電池に蓄電する場合、直流直流コンバーターを通して蓄電池に直流で充電すればよい。蓄電池の電気を使用する際は、電気製品が直流か交流かによって、どちらでも出力できるようにすることが好ましい。交流に変換するには、インバーターを使うのが好ましい。さらに、100Vだけでなく、200Vでも出力できるようにしてもよい。これらはパワーコンディショナーにより実現できる。パワーコンディショナーは、蓄電池に内蔵させてもよく、蓄電池に接続できるように別の機器としてもよい。さらに、電気自動車(EV)でも使用できる仕様にしてもよい。スペアタイヤのように、EVにも本発明の蓄電池を積んでおいて、EVの電池が不足する際に本発明の蓄電池を接続して走行することができるようにすることが好ましい。この場合、必要に応じて、EV電源に接続できるアダプターを介して本発明の蓄電池を接続するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の蓄電池は家庭用電源から充電できるようにコンセントを有していても良い。この場合、電力会社からの夜の安価な電力を充電しておいて、夏の昼間など電力が不足する場合に使用できるというメリットもある。このためには、交流である家庭用電源から直流にして充電するパワーコンディショナーを用いるのが好ましい。
【0016】
本発明の蓄電池は、キャスターが付いていることが好ましい。キャスターを備えることで移動が容易になり、また、家庭での配電盤と接続するための架台も提供することから、太陽光発電パネルやパワーコンディショナーを設置していない家庭でも太陽光発電した電気を直接利用できるというメリットがある。
【0017】
本発明の蓄電池の底面には、蓄電池底面の両側に設置するキャスターの他に、蓄電池の電極がキャスターの内側にあり(図2B)、キャスターよりも高さは低い構造になっている(キャスターが地面に接していても電極はそれよりも上側にあるという意味)。この電極が蓄電池を昇降できる仕組みにより下に降りることで、架台から突き出た+極、―極と重力により接触して接続する。架台の蓄電池を設置する部位には、エアパッドのような空気の出し入れで上下できる手段か、油圧で上下するジャッキ、フォークリフトのような手段があり、蓄電池がそのまま設置位置にキャスターで移動でき、蓄電池が設置位置に移動後に、下降させて、蓄電池の電極と架台に設置してある電極(+極とー極)と接続する。これにより、蓄電池―架台―配電盤、または、蓄電池―架台―太陽光パネル間で電気が流れるようになり、給電または蓄電が可能になる。
【0018】
本発明の蓄電池には、ICタグを設置してもよい。自ら電波を発信できるタイプのタグであれば、自力で各蓄電池が現在どこにあるかを把握することができる。電波を受信して発信するタイプのタグであれば、電波を発することで蓄電池の位置を知ることができる。
【0019】
または、各蓄電池にインターネットに接続できる手段を設けて、wifi、LANなどを通じて残存電力量を持ち主のPCまたは蓄電池を管理している組織に送信し、一定時間毎に残存電力量を把握して、蓄電池交換のタイミングを予測できるようにしてもよい。さらに、各家庭や会社、工場などの使用量データを取得し、蓄電池の必要量をAIなどを用いて予測するシステムにしてもよい。
【0020】
架台に蓄電池を設置する数は1つでもよく、2以上並列に接続させてもよい。その場合には蓄電池の数だけ、蓄電池を設置するポケットや昇降装置を架台に備える必要がある。そうすることにより、1つの蓄電池が空になったとしても、他の蓄電池から電気が供給されるので無停電を実現できる。また、太陽光発電時にも、蓄電池を複数並列に接続しておけば、1つの蓄電池が満充電になった場合でも順次次の蓄電池を充電させることで太陽光発電した電気を効率よく利用できる。
【0021】
さらに、管理コンピュータでAIを用いて需要予測できるようにし、天候、温度、イベントなどから必要な電力量を予測し、必要に応じて家庭用電源などで夜間に充電するなどの警告を出すようにしてもよい。
【0022】
また、蓄電池からの電力供給は、直流、交流のどちらでも供給できるようにしてもよい。この場合、蓄電池にパワーコンディショナーを内蔵させるのが好ましい。家電の中には直流でも動作する機器もあることから、太陽光発電で直流で貯蔵した電力を、そのまま直流で使用した方がロスが少なくなるというメリットがある。
【0023】
このためには、蓄電池にパワーコンディショナーまたはインバーターを接続する必要があるが、蓄電池にインバーターやパワーコンディショナーを内蔵するか、蓄電池にパワーコンディショナーを外付けで連結できるようにしてもよい。架台にパワーコンディショナーを設置してもよい。
【実施例0024】
(実施例1)
次に、本発明の実施の形態に係る蓄電池電力供給システムの詳細な構成について図を用いて説明する。
本発明は、図1図2に示すように、スロープ2を有する台座(架台)1と、キャスター4を有する蓄電池を有する。架台1は太陽光発電時に電極が水没することを防止することができる。キャスター付きなので、キャスター4で移動することもできるが、図1のように台車5などに乗せて移動させてもよい(図1A)。
【0025】
蓄電池3は、図1に示すように、昇降式のミニフォークリフトのような昇降台9に乗った後、昇降手段8により電極7を設置した蓄電池用ポケットに降りる。最下段まで降りると、架台の電極7と、蓄電池の電極6が接続し(図1B)、電気を流せるようになる。昇降台の構造は上からみると図2Aのようになっている。台車のキャスターがちょうど乗る部分に突出部9があり、この部分にキャスターの位置が正確に乗るようにキャスターのガイド(くぼみまたは、側壁など)を設置してもよい。蓄電池の電極は蓄電池の底面に設置されており(図2B)、キャスターの進行方向に対して直角の方向に+、―の電極を配置することが好ましい。キャスターの進行方向と平行の方向に設置してもよいが、その場合は、架台の電極と位置がずれるとショートするおそれがあるためである。
【0026】
蓄電池の他の昇降手段としては、エアパッドを使っても良い(図3)。エアパッド10を設置した部分に入るように架台にくぼみ(ポケット)があり、その中に、太陽電池パネルまたはパワーコンディショナーと接続できる電極がくぼみの中央付近に設置してある。この場合はエアパッドの中央は中空で、電極の接触を阻害しない構造にすればよい。
【0027】
(実施例2)
本発明の別の実施形態を図4に示す。図4Aは電力側の配電盤である。Bは配電盤と蓄電池をつなぐ中継機である。ここにパワーコンディショナーを設置してもよい。すなわち、Bで蓄電池の直流を交流に変え、電圧を調整して配電盤Aに流すようにしてもよい。13をONにすることで蓄電池の電気を配電盤に流すことができる。13をオフにした場合は、蓄電池をDの直流機器に接続して直流として使用することができる。Cは蓄電池である。この場合、蓄電池が2つ設置してあるが、2つ以上設置することで、一方が空になっても、もう1つの蓄電池から電気が供給されるので、無停電給電が実現できる。蓄電池の数は必要に応じて1つでもよく2以上であってもよい。直流の電気機器を使用する場合は、蓄電池Cと負荷Dを連結することで、直流の電気機器(照明器具など)に給電することができる。この場合、直流直流パワーコンディショナーにより、電圧を調整することができる。
パワーコンディショナーは、蓄電池に内蔵させてもよく、別途架台や中継機などに設置してもよい。
【0028】
本発明によれば、従来自家消費か、電力会社に買い取ってもらうしかなかった太陽光発電した電力が、太陽光発電パネルを設置していない家庭、その他電源が必要な施設にも流通させることができ、太陽光発電した電力の利用が促進されるという効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、電力産業などに利用できる。
【符号の説明】
【0030】
1 架台(台座)
2 スロープ
3 蓄電池
4 キャスター
5 台車
6 蓄電池の電極
7 架台の電極
8 昇降台
9 昇降手段
10 エアパッド
11 配電盤
12 ブレーカー
13 ブレーカーまたは切り替えスイッチ
図1
図2
図3
図4