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特開2022-175549ベーマイト複合粉体、及びこれを含有する化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175549
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】ベーマイト複合粉体、及びこれを含有する化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/26 20060101AFI20221117BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20221117BHJP
   A61K 8/368 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
A61K8/26
A61Q17/04
A61K8/41
A61K8/37
A61K8/35
A61K8/49
A61K8/368
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082056
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(71)【出願人】
【識別番号】391062595
【氏名又は名称】大明化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】蔵之上 明希子
(72)【発明者】
【氏名】竹腰 桂介
(72)【発明者】
【氏名】平栗 祐二
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB221
4C083AB222
4C083AC211
4C083AC311
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC471
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC841
4C083BB25
4C083BB26
4C083CC19
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】新規な紫外線吸収能を有するベーマイト複合粉体と、このベーマイト複合粉体を含有する化粧料を提供すること。
【解決手段】ベーマイトとこのベーマイトの表面に付着した紫外線吸収剤とを有するベーマイト複合粉体、および、このベーマイト複合粉体を含有する化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーマイトと、該ベーマイトの表面に付着した紫外線吸収剤とを有することを特徴とするベーマイト複合粉体。
【請求項2】
前記ベーマイトが、板状であることを特徴とする請求項1に記載のベーマイト複合粉体。
【請求項3】
前記紫外線吸収剤が、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のベーマイト複合粉体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のベーマイト複合粉体を含有する化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線吸収能を有するベーマイト複合粉体と、このベーマイト複合粉体を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線が皮膚に照射されると、日焼けや、DNAの切断・コラーゲンの変性などを誘発し、皮膚老化の原因となる。そのため、紫外線防止剤を配合した化粧料が用いられている。
紫外線防止剤の一種として、無機紫外線遮蔽剤が知られている。無機紫外線遮蔽剤は、紫外線を反射することのできる酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛等からなる平均粒子径0.1μm以下の微粒子金属酸化物であり、肌表面で紫外線を遮蔽するため安全性が比較的高い。
【0003】
しかしながら、無機紫外線遮蔽剤は、屈折率が高いため透明性が低く、また紫外線防止効果を高めるために大量に配合すると、肌が白っぽく見える(白浮き)、すべりが悪くなる、きしみやざらつきが生じる等の欠点が大きくなる場合がある。
そのため、透明性と使用感に優れ、さらに高い紫外線防止効果を備える紫外線防止剤が望まれており、例えば、特許文献1には、平滑性や流動性が良好で、透明感の高い、酸化亜鉛含有球状シリカが、特許文献2には、塗布性、紫外線遮蔽性及び透明性を備えたチタニアナノ微粒子が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-104512号公報
【特許文献2】特開2019-172526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新規な紫外線吸収能を有するベーマイト複合粉体と、このベーマイト複合粉体を含有する化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための主な手段は、次のとおりである。
1.ベーマイトと、該ベーマイトの表面に付着した紫外線吸収剤とを有することを特徴とするベーマイト複合粉体。
2.前記ベーマイトが、板状であることを特徴とする1.に記載のベーマイト複合粉体。
3.前記紫外線吸収剤が、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、安息香酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする1.または2.に記載のベーマイト複合粉体。
4.1.~3.のいずれかに記載のベーマイト複合粉体を含有する化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明のベーマイト複合粉体は、その表面に紫外線吸収剤が付着しており、紫外線を吸収することができる。本発明のベーマイト複合粉体は、その表面に様々な紫外線吸収剤を付着させることができ、付着させる紫外線吸収剤により、所望の波長帯の紫外線を吸収させることができる。
本発明のベーマイト複合粉体は、ベーマイトの屈折率が低いため、化粧料に配合した際に白浮きが生じにくい。また、板状であるベーマイトは、塗布した際に滑らかであり、使用感に優れた化粧料とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のベーマイト複合粉体は、ベーマイトと、このベーマイトの表面に付着した紫外線吸収剤とを有する。
「ベーマイト」
ベーマイトは、AlOOHで示されるオキシ水酸化アルミニウムであり、化粧品表示名称「オキシ水酸化Al」、INCI「Aluminum Hydroxide Oxide」である。
本発明で使用するベーマイトの形状は、特に制限されないが、例えば、化粧料に配合する場合は、板状形状であることが好ましい。平均粒子径が0.5~10μmであり、アスペクト比が2~150であることが好ましい。平均粒子径が1~8μmであり、アスペクト比が5~100であることがより好ましい。平均粒子径が3~5μmであり、アスペクト比が10~30であることがとくに好ましい。平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって測定した粒度分布におけるメディアン径(50%径)を意味する。また、アスペクト比はSEM写真から粒子径/厚さで算出した。
なお、本明細書において、A~B(A、Bは数値)との記載は、A、Bを含む数値範囲、すなわち、A以上B以下を意味する。
【0009】
「紫外線吸収剤」
紫外線吸収剤は、特に制限することなく使用することができ、例えば、
・ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等のパラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤
・メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジメトキシケイ皮酸イソオクタン酸グリセリド、p-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系紫外線吸収剤
・2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤
・4-t-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤
・ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン等のトリアジン系紫外線吸収剤
・パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、メタアミノ安息香酸メチル、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA等の安息香酸系紫外線吸収剤
・サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系紫外線吸収剤
・ジオクチルメトキシベンジリデンマロネート、ポリシリコーン-15等のベンザルマロネート系紫外線吸収剤
等からなる群から選ばれる1種以上を用いることができる。
【0010】
紫外線吸収剤は、UV-A領域(波長320~400nm)を吸収できる紫外線吸収剤と、UV-B領域(波長280~320nm)を吸収できる紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることが、広いUV領域で高い紫外線防止効果を発揮することができるため好ましい。特に、UV-B領域の紫外線吸収剤としてメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、UV-A領域の紫外線吸収剤としてジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを組み合わせることが、紫外線防止効果の点から好ましい。さらに、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルとジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルとを用いる場合、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルをジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに対して2倍量以上配合すると、液体であるメトキシケイ皮酸エチルヘキシルにジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルを加熱溶解させることができ、この溶解物とベーマイトとを混合して撹拌するだけで、ベーマイトの表面に2種の紫外線吸収剤が付着した本発明のベーマイト複合粉体が得られるため好ましい。
【0011】
本発明のベーマイト複合粉体におけるベーマイトと紫外線吸収剤の重量比(ベーマイト:紫外線吸収剤)は特に制限されないが、例えば、50:50~99:1とすることができ、60:40~98:2であることが好ましく、70:30~95:5であることがさらに好ましく、80:20~90:10であることがさらに好ましい。
【0012】
・製造方法
本発明のベーマイト複合粉体の製造方法は特に制限されないが、例えば、下記の方法が挙げられる。
湿式処理の場合、紫外線吸収剤をエタノール等の有機溶媒に溶解し、固形分濃度10(w/w)%程度の溶液を調製する。この溶液にベーマイトを30(w/w)%程度となるように投入し、均一になじませた後に真空乾燥機、撹拌型真空乾燥機(二重円錐型回転乾燥機、逆円錐型撹拌乾燥機)、噴霧乾燥機等を使用して有機溶媒を除去、乾燥する。有機溶媒の除去方法としては、紫外線吸収剤の耐熱温度が比較的低いものが多いこと、有機溶媒回収が可能であり製造コストを抑えられるという観点から、真空乾燥を用いることが好ましい。
乾式処理の場合は、ベーマイトをヘンシェルミキサー、ボールミル、二重円錐型混合機、逆円錐型混合機、V型混合機等により撹拌しながら、そこに固形分濃度50(w/w)%程度に紫外線吸収剤を溶解した有機溶媒を滴下又は噴霧した後、有機溶媒を除去する。
【実施例0013】
以下、実施例に基づいて本発明について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
・ベーマイト 大明化学工業株式会社製、「ベーマイト粉体(板状グレード)」
平均粒子径3~5μm、アスペクト比(粒子径/厚さ)10~30
・紫外線吸収剤A ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
・紫外線吸収剤B メトキシケイ皮酸エチルヘキシル
・タルク 浅田製粉株式会社製、JA-46R
平均粒子径7~11μm、アスペクト比(粒子径/厚さ)50
・合成金雲母 三好化成株式会社製、MiyoSYN Fine
平均粒子径8~12μm、アスペクト比(粒子径/厚さ)55~65
・アルミナ ベーマイトを焼成して作成したもの。
平均粒子径3~5μm、アスペクト比(粒子径/厚さ)10~30
【0015】
紫外線吸収剤Aと紫外線吸収剤Bを表1に記載の量(g)となるように秤量し、エタノールを300mL加えて溶解した。そこにベーマイトを表1に記載の量(g)投入し、撹拌した。
ロータリーエバポレーターを使用して減圧乾燥によりエタノールを除去した後、乾燥機にて35℃、10時間で乾燥し、実施例1~5の複合粉体を得た。
ベーマイトの代わりにタルク、合成金雲母、アルミナを用いた以外は同様の方法にて比較例1~3の複合粉体を得た。
【0016】
得られた複合粉体について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
(紫外線遮蔽効果の測定方法および評価基準)
複合粉体を、PMMAプレート(HelioScreen Laboratoire社製)に1.3mg/cmとなるようにチークブラシを用いて均一に塗布し、SPFアナライザー(Labsphere社製、型名:UV-2000S)を用いて、SPFとUVAPFを測定した。SPFおよびUVAPFは数値が高いほど紫外線遮蔽効果が高いことを意味する。
【0017】
紫外線遮蔽効果(UVB)
◎:SPF160以上
○:SPF100以上160未満
△:SPF40以上100未満
×:SPF40未満
紫外線遮蔽効果(UVAPF)
◎:UVA50以上
○:UVA40以上50未満
△:UVA30以上40未満
×:UVA30未満
【0018】
(分散状態の評価基準)
分散状態は検体の状態を目視で評価した。
◎:ダマがなく、均一的に分散しているもの
○:ダマが僅かにしか存在せず、均一的に分散しているもの
△:ダマがあり、均一的に分散していないもの
(使用感(滑り性)の評価基準)
使用感(滑り性)は検体を手の甲に1g取って、人差し指で滑らせた時の感触を官能評価した。
◎:べたつきが全くなく、滑り性が非常に良く、滑らせた時に抵抗を全く感じないもの
○:べたつきがほとんど感じられず、滑り性が良く、滑らせた時に抵抗を感じないもの
△:べたつきを感じ、滑りにくく、滑らせた時に抵抗を感じるもの
【0019】
(仕上がり(均一感)の評価基準)
仕上がり(均一感)は検体を手の甲に1g取って、人差し指で滑らせ、その状態を目視で評価した。
◎:ムラづきせず、均一にきれいに仕上がるもの
○:ムラづきが僅かにあるが、均一に仕上がるもの
△:ムラづきがあり、均一に仕上がらないもの
【0020】
【表1】