(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175550
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】アルファ化米の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20221117BHJP
【FI】
A23L7/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082057
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 光輝
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE03
4B023LG01
4B023LP08
4B023LP10
4B023LP14
4B023LP20
4B023LQ01
4B023LQ02
4B023LT03
4B023LT06
4B023LT60
4B023LT61
(57)【要約】
【課題】砕米の発生を抑制し、より効率的に可食可能な状態とすることができるアルファ化米の製造方法を提供する。
【解決手段】アルファ化米の製造方法は、原料米1を加圧及び蒸煮する加圧蒸煮工程を含む。また、アルファ化米の製造方法は、加圧蒸煮工程により加圧及び蒸煮した原料米を、蒸気により炊飯する炊飯工程を含む。また、アルファ化米の製造方法は、炊飯工程により炊飯した原料米を、散水により膨潤させる膨潤工程を含む。また、アルファ化米の製造方法は、膨潤工程により膨潤した原料米を乾燥する乾燥工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料米を加圧及び蒸煮する加圧蒸煮工程と、
前記加圧蒸煮工程により加圧及び蒸煮した前記原料米を、蒸気により炊飯する炊飯工程と、
前記炊飯工程により炊飯した前記原料米を、散水により膨潤させる膨潤工程と、
前記膨潤工程により膨潤した前記原料米を乾燥する乾燥工程と、を含む、
アルファ化米の製造方法。
【請求項2】
前記加圧蒸煮工程における温度は、前記炊飯工程における温度以上である、
請求項1に記載のアルファ化米の製造方法。
【請求項3】
前記炊飯工程における前記炊飯は、前記加圧蒸煮工程で前記加圧及び蒸煮された前記原料米のベルトコンベアによる搬送を伴い行われる、
請求項1又は2に記載のアルファ化米の製造方法。
【請求項4】
前記膨潤工程における前記散水は、前記炊飯工程で前記炊飯された前記原料米のベルトコンベアによる搬送を伴い行われる、
請求項1~3のいずれか1項に記載のアルファ化米の製造方法。
【請求項5】
前記膨潤工程における前記散水により、前記炊飯工程で前記炊飯された前記原料米に含まれる含水率が60%以上80%以下である、
請求項1~4のいずれか1項に記載のアルファ化米の製造方法。
【請求項6】
前記膨潤工程が、前記炊飯工程で前記炊飯された前記原料米を薄層に形成させる薄層作成工程を含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載のアルファ化米の製造方法。
【請求項7】
前記薄層作成工程において、薄層形成構造物を用いて前記原料米を薄層に形成させる、
請求項6に記載のアルファ化米の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルファ化米の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルファ化米は、例えば、通常の米と比較して炊飯に係る時間が短く、また、洗米及びつけ置きの必要がなく簡易に炊飯することもできる。
【0003】
特許文献1には、原料米を用いて、加圧蒸煮、炊飯、膨潤化浸漬、乾燥というステップを経て、早戻りインスタントライスを製造する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、酵素を添加した水で炊飯し、複数回の乾燥ステップを有する技術が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、膨潤化浸漬ステップ中に、配管中を水輸送させながら米を膨潤化浸漬させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6784165号公報
【特許文献2】特開6614436号公報
【特許文献3】特開2019-33719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び3に記載の方法では、炊飯した米を浸漬させることにより、米が過度に吸水してしまうことから、相当程度の砕米が生じ、良品率の低下につながり得る。
【0008】
また、特許文献2に記載の方法では、炊飯ステップでの酵素の添加が必要になるため、工数が増加することにつながる。
【0009】
さらに、特許文献3に記載の方法では、膨潤化浸漬ステップにおいて配管が必要になるため、少なくとも管加工のためのステップも必要になる。
【0010】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、砕米の発生を抑制し、より効率的に可食可能な状態とすることができるアルファ化米の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示に係るアルファ化米の製造方法は、米を加圧及び蒸煮する加圧蒸煮工程を含む。また、アルファ化米の製造方法は、加圧蒸煮工程により加圧及び蒸煮した米を、蒸気により炊飯する炊飯工程を含む。また、アルファ化米の製造方法は、炊飯工程により炊飯した米を、散水により膨潤させる膨潤工程を含む。また、アルファ化米の製造方法は、膨潤工程により膨潤した米を乾燥する乾燥工程を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係るアルファ化米の製造方法によれば、砕米の発生を抑制し、より効率的に可食可能な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法の簡易フロー図
【
図2】本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を実現する装置を表す概略図
【
図3】(A)本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を用いて作成されたアルファ化米の表面の一部を表す部分概略図、(B)従来のアルファ化米の製造方法を用いて作成されたアルファ化米の一部を、(A)と同一スケールで表す部分概略図
【
図4】(A)本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を実現する装置の一部の変形例を表す図であって、第2コンベアの上部に複数の三角形状の構造物を配置した形態を表す部分概略平面図、(B)本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を実現する装置の一部の変形例を表す図であって、第2コンベアの上部に複数の三角形状の構造物を配置した形態を表す部分概略右側面図
【
図5】(A)本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を実現する装置の一部の変形例を表す図であって、第2コンベアの上部に規定板を配置した形態を表す部分概略平面図、(B)本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を実現する装置の一部の変形例を表す図であって、第2コンベアの上部に規定板を配置した形態を表す部分概略右側面図
【
図6】(A)本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を実現する装置の一部の変形例を表す図であって、第2コンベアの上部に複数の三角形状の構造物及び規定板を配置した形態を表す部分概略平面図、(B)本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法を実現する装置の一部の変形例を表す図であって、第2コンベアの上部に複数の三角形状の構造物及び規定板を配置した形態を表す部分概略右側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係るアルファ化米の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
まず、
図1及び
図2を参照して、上記のアルファ化米の製造方法を説明する。本実施の形態に係るアルファ化米の製造方法は、米を加圧及び蒸煮する加圧蒸煮工程(ステップS10)と、加圧蒸煮工程により加圧及び蒸煮した米を、蒸気により炊飯する炊飯工程(S20)と、炊飯工程により炊飯した米を散水により膨潤させる膨潤工程(S30)と、膨潤工程により膨潤した米を乾燥する乾燥工程(S40)と、を含む。なお、アルファ化米は、米粒の表面に複数の亀裂が形成された米であり、炊飯された米を急速乾燥させたものである。
【0016】
まず、処理の対象となる原料米1を準備する。原料米1は、所望の分量、準備され、アルファ化米の製造装置10を用いてアルファ化米に加工される。
【0017】
(1)原料米
本発明では、原料米1としてジャポニカ米(短粒種)の精白米を用いる。精白米の白度は38%以下、含水率は10~20%が好ましく、10~16%がより好ましく、10~14%がさらに好ましい。本明細書において、精白米に重量比15%以下の水又は除糠用粘着物質を添加して精白米の表面を研磨し、精白米表面に残存する糠を除去した米を無洗米として扱う。また、白度とは、暗黒の状態を0、硫酸バリウムの白さを100とした場合に、米粒からの反射光を受光して測定した値をいう。
【0018】
(2)加圧蒸煮工程
加圧蒸煮工程(S10)では、米粒の表面をアルファ化させる。まず、原料米1をアルファ化米の製造装置10の投入口11からアルファ化米の製造装置10内部に投入し、第1コンベア12上に原料米1を搬送する。原料米1を搬送する第1コンベア12には多数の孔が設けられており、原料米1を搬送するとともに、蒸気を通過させることができる。
【0019】
次に、第1コンベア12上に搬送された原料米1に、圧力0.01~0.1MPa(ゲージ圧)下で、100~130℃の加圧加熱蒸気をスチームすることにより、0.5~2分間処理する。
【0020】
原料米1は、加圧及び蒸煮の処理をされつつ第1コンベア12により後工程の処理のために搬送される。
【0021】
このように、原料米1を高温で急速に減圧処理することにより、原料米1の表面0.1~0.2mmにアルファ化膜が形成され、後の炊飯工程、膨潤工程での煮崩れを防止することができる。
【0022】
(3)炊飯工程
加圧蒸煮工程において炊飯前の処理を施された原料米1には、加圧蒸煮工程が行われる加圧蒸煮ユニットと同一ユニット内にある炊飯ユニットに搬送され、炊飯処理が施される。炊飯ユニットに搬送された原料米1は、所定量の炊飯水、炊飯水に添加されるアミラーゼ及びプロテアーゼのうちの1種の酵素とともに、炊飯される。酵素は、原料米1の重量に対して0.07~0.6%を添加する。炊飯水は、初期温度35~40℃とすることが好ましい。
【0023】
炊飯工程が行われる炊飯ユニットは、第1コンベア12の上部に設けられ、炊飯水を噴射するノズル13、第1コンベア12上の原料米1の層の高さ(厚さ)を均一又は略均一に均すための撹拌棒14、第1コンベア12の下部に設けられた加熱蒸気噴出部15、を備える。
【0024】
炊飯工程では、まず、第1コンベア12上で撹拌棒14により均され搬送される原料米1に向けて、アミラーゼ及びプロテアーゼのうちの1種の酵素を添加された炊飯水をノズル13から噴射する。また、撹拌棒14により、第1コンベア12上を移動する原料米1を均す。また、加熱蒸気噴出部15からは、第1コンベア12に設けられた孔を介して第1コンベア12上を移動する原料米1に向けて、100~130℃程度の加熱蒸気が噴出される。
【0025】
このとき加熱蒸気噴出部15から噴射される加熱蒸気(炊飯水)は、加圧蒸煮工程で適用した温度よりも低温の蒸気として噴射される。
【0026】
この炊飯工程の時間は、原料米1が炊飯ユニットに搬送されて炊飯ユニットから搬出されるまでの間の15~60分間であることが好ましく、20~40分間であることがより好ましい。
【0027】
このように、炊飯工程を加熱蒸気によりすすめることにより、炊飯前に原料米1を浸漬する必要がなくなり、炊飯工程における省力化、効率化も可能になる。
【0028】
なお、炊飯工程により炊飯された原料米1(炊飯米)の一粒当たりの含水率は、60%以上80%以下であることが好ましく、70%以上75%以下であることがより好ましく、70%以上72%以下であることがさらに好ましい。
【0029】
(4)膨潤工程
炊飯工程において炊飯された原料米1は、膨潤ユニットに搬送され、膨潤処理が施される。膨潤ユニットは、炊飯ユニットから搬送された原料米1を膨潤ユニットにおいて搬送する第2コンベア16、膨潤ユニットにおいて原料米1に水を添加する水添加ノズル17、原料米1を第2コンベア16上に拡げる撹拌スクリュー18、を備える。
【0030】
膨潤ユニットに搬送された原料米1は、第2コンベア16上を移動する原料米1に向けて、60~70℃の水を、水添加ノズル17から0.5~4L/minとなるように噴射する。
【0031】
このとき、第2コンベア16の上部に配置された撹拌スクリュー18により、第2コンベア16上を移動する原料米1を均しつつ、第2コンベア16上において所望の層厚(薄層)に拡げる。
【0032】
これにより、水添加ノズル18から噴射される水を効率的に米の表面全体に付与させることができる。
【0033】
このような観点から、撹拌スクリュー18と第2コンベア16との間には、5~7mm程度のクリアランスが設けられていることが好ましい。
【0034】
こうして、膨潤工程により膨潤した原料米1(膨潤米)の一粒当たりの含水率は、60%以上80%以下であることが好ましく、70%以上75%以下であることがより好ましく、73%以上75%以下であることがさらに好ましい。
【0035】
このように、炊飯工程により炊飯された原料米1(炊飯米)を散水により膨潤させ、米粒の内部に空洞を形成し、原料米1(炊飯米)のアルファ化が完了する。
【0036】
こうして製造されたアルファ化米に含水させた場合、5分以内に喫食可能な状態に到達させることが可能になる。
【0037】
また、米の表面から過度に澱粉が流出することを防止でき、後の乾燥工程において砕米につながる亀裂の発生も防止することが可能になり、歩留まり率を維持又は向上させ、食感の維持又は向上にもつながり、審美的にも良い影響を与えやすくなり得る。
【0038】
なお、膨潤工程の時間は、原料米1(炊飯米)が膨潤ユニットに搬送されて膨潤ユニットから搬出されるまでの間の5~10分間であることが好ましい。
【0039】
(5)一次乾燥工程
膨潤工程を経た原料米1(炊飯米)は、飛散用ピン19により弾かれ、原料米1(炊飯米)から水分を蒸発させる熱風乾燥機構、過熱蒸気乾燥機構、マイクロ波乾燥機構等の乾燥機構を備え、一次乾燥ユニット及び二次乾燥ユニットにより形成される乾燥ユニットの内部に順次搬送される。
【0040】
一次乾燥ユニットでは、比較的高温の115~130℃で20~30分間、急速に膨潤工程を経た原料米1の水分を蒸発させる。前述のように、膨潤工程により原料米1のアルファ化は完了しているが、一次乾燥工程において再度アルファ化が起こり、原料米1が膨化し、原料米1の含水率は20~25%となる。
【0041】
(6)二次乾燥工程
一次乾燥工程に続いてなされる二次乾燥工程においては、比較的低温の60~90℃で50~60分間、乾燥処理を行い、原料米1の含水率を5%以上10%以下に調整する。
【0042】
図3(A)に示すように、本発明によって作成されたアルファ化米は、
図3(B)に示す従来のアルファ化米に比べて、一定の表面に現れる孔のサイズが小さく、孔の占有範囲も小さいものとなる。
【0043】
このように、緩やかに乾燥させることにより水分活性AW0.45以下とすることができるため、アルファ化米としての保存性を維持又は向上させることができる。
【0044】
二次乾燥工程が完了したアルファ化米は、必要に応じて単粒化装置(不図示)で米粒同士の結着が解消され、最終的にシフターや光学式の選別機等によって異物や砕米が除去されて製品化される。
【0045】
<実施例>
原料米(精白米)として、含水率14%で白度40%の平成26年山形県産「はえぬき」300gを準備した。このとき、試験室内の気温は25℃に設定した。
【0046】
精白米を洗米した後、精白米の含水率を計測し、精白米の含水率が16%以下であることを確認した。
【0047】
この精白米をアルファ化米の製造装置10の投入口11に投入し、内部の第1コンベア12上に精白米を搬送した。第1コンベア12上を移動する精白米に、0.02MPaの加圧下で105℃の加圧加熱蒸気を1分間スチームした。
【0048】
予め、水にアミラーゼ及びプロテアーゼを含む液体酵素(大塚薬品工業OS-60L)2g(0.7%)と大豆由来レシチンからなる乳化剤(大塚薬品工業OS-77L)1g(0.3%)とをそれぞれ添加し、炊飯水を調整した。次に、スチームの後、第1コンベア12により炊飯ユニットに搬送され、撹拌棒14により均されつつ第1コンベア12上を移動している原料米1に、35℃に調整した炊飯水をノズル13から噴射した。また、第1コンベア12上を移動する原料米1に向けて、加熱蒸気噴出部15から100℃の加熱蒸気を噴射して、約35分間炊飯し、その後20分間の蒸らしを行った。蒸らした後の原料米1の含水率は約70%であり、炊飯後の体積は、炊飯前の原料米の体積の約1.5倍であった。
【0049】
炊飯された原料米1を、第1コンベア12から第2コンベア16上に搬送して膨潤ユニットに搬送した。次に、膨潤ユニットに搬送された原料米1を撹拌スクリュー18により均しつつ、水添加ノズル17から原料米1に向けて60℃の水を6分間噴射し、膨潤させた。膨潤させた炊飯米の含水率を計測したところ、含水率は74%であった。
【0050】
膨潤させた原料米1を飛散用ピン19により弾くことにより、一次乾燥ユニット内に搬送した。一次乾燥ユニット内において、まず、熱風温度115℃で20分間、一次乾燥させた。
【0051】
一次乾燥ユニットで原料米1を乾燥させた後、原料米1を二次乾燥ユニットに搬送し、80℃の熱風で60分間の二次乾燥を行って、アルファ化米を取得した。
【0052】
こうして得られたアルファ化米の含水率は7%であった。このように取得したアルファ化米は、米粒同士の結着状態が弱く、手を用いて容易に捌くことができた。
【0053】
作成されたアルファ化米50gに対して95℃の熱湯85ccを加えたところ、4~5分で、喫食可能なご飯に復元し、喫食した。
【0054】
その結果、表1に示すように、ご飯復元後の米粒は、外観の崩れが少なく、適度な粒感もあって、食味・食感共に良好であった。また、精白米に対する歩留り率は90%以上であり、従来の製法による歩留まり率(約67%)と比較して、良好な歩留まり率を有した。
【0055】
【0056】
以上、本実施の形態を例に、アルファ化米の製造方法について説明してきたが、アルファ化米の製造方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0057】
本実施の形態では、加圧蒸煮ユニットと炊飯ユニットとが同一ユニット内に含まれる形態を例に説明したが、原料米1を適切に加圧及び蒸煮、並びに炊飯させることができるのであれば、これに限定されない。例えば、加圧蒸煮ユニットと炊飯ユニットとをそれぞれ別のユニットとして形成し、両者を連接させて形成してもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、膨潤工程において撹拌スクリュー18により、第2コンベア16上を移動する原料米1を均して第2コンベア16上に拡げたが、第2コンベア16上を移動する原料米1を均し、第2コンベア16上に拡げることができるのであれば、これに限定されない。
【0059】
例えば、
図4(A)及び(B)に示すように、複数の三角柱状の仕切り構造物20を第2コンベア16の上部に配置してもよい。この場合、第2コンベア16上を移動する原料米1の移動方向と、各三角柱状の仕切り構造物20の平面視における1つの頂点の配置方向と、が互いに対向し、平面視(
図4(A))でパスカルの三角形状を形成するように、複数の三角形状の仕切り構造物20を配置する。この場合の三角形状の仕切り構造物20の個数は、下記式によって表すことができる。
【0060】
【0061】
また、第2コンベア16上を移動する原料米1を均し、第2コンベア16上に拡げるために、
図5(A)及び(B)に示すように、原料米1の層厚を所定の厚さに規定させるため、第2コンベア16の上部に規定板21を配置してもよい。この場合、規定板21は、第2コンベア16の幅方向に沿って配置される。
【0062】
また、
図6(A)及び(B)に示すように、三角形状の仕切り構造物20と、規定板21と、を第2コンベア16上に配置してもよい。この場合、原料米1の層厚を効率的に均すため、三角形状の仕切り構造物20と規定板21との配置関係は、第2コンベア16の上流側に三角形状の仕切り構造物20を配置し、第2コンベア16の下流側に規定板21を配置する。
【0063】
撹拌スクリュー18、三角柱状の仕切り構造物20、規定板21等の薄層形成構造物により、原料米1を薄層にしながら散水することができるため、原料米1の含水率をより均一にすることが可能になる。
【0064】
また、水添加ノズル17の個数も、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 原料米、10 アルファ化米の製造装置、11 投入口、12 第1コンベア、13 ノズル、14 撹拌棒、15 加熱蒸気噴出部、16 第2コンベア、17 水添加ノズル、18 攪拌スクリュー、19 飛散用ピン、20 三角柱状の仕切り構造物、21 規定板。