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特開2022-175584業務支援装置、業務支援方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175584
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20221117BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20221117BHJP
【FI】
G06Q10/06 332
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082124
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】吉野 剛史
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA10
(57)【要約】
【課題】 カメラやセンシングデバイスなしに、作業者の忙しさを評価し、その業務を支援する。
【解決手段】 計算部(11)は、作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算し、評価部(12)は、複数の入力デバイスのそれぞれに対する入力操作量に基づいて、作業者の忙しさを総合的に評価し、提示部(13)は、作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算する計算手段と、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価する評価手段と、
前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する提示手段とを備えた
業務支援装置。
【請求項2】
前記評価手段は、
前記端末に対する過去の一定期間における前記入力操作量の平均のデータを参照し、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する現時点の前記入力操作量と、前記過去の一定期間における前記入力操作量の平均とを比較し、
過去から現時点までの前記入力操作量の増減の大きさに基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価する
ことを特徴とする請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項3】
前記評価手段は、
前記端末がアクセスしているインターネットサイトのURL(Uniform Resource Locator)を分析し、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に加えて、自動転送を除く画面の遷移の有無にも基づいて、前記作業者の忙しさを評価する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の業務支援装置。
【請求項4】
前記提示手段は、前記端末上で起動しているアプリケーションの種類に応じて、前記作業者の状況を示す情報を表示する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【請求項5】
前記複数の入力デバイスは、キーボード、マウス、タッチパッド、リモートコントローラ、およびマイクロフォンのうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【請求項6】
前記入力操作量は、タイピング速度、タイピング速度、マウス移動量、および画面の遷移の有無のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【請求項7】
作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算し、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価し、
前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する
業務支援方法。
【請求項8】
作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算することと、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価することと、
前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援方法、およびプログラムに関し、特に、通信ネットワークを使用する遠隔業務における作業者同士のコミュニケーションを支援する業務支援装置、業務支援方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、リモートワーク(あるいはテレワーク、または在宅勤務とも呼ばれる)が普及し始めている。それにより、テレワーカ同士の対面でのコミュニケーションの機会が減少し、その結果、業務効率が低下するという影響が生じている。
【0003】
特許文献1に記載の関連する技術では、カメラを用いて、勤務中のテレワーカを撮影し、撮影した映像を分析することによって、テレワーカの着席又は離席を検出する。そして、特許文献1に記載の関連する技術は、勤務中のテレワーカのステータスを、管理者の端末の画面上にリアルタイムで表示する。特許文献1に記載の関連する技術によれば、管理者がテレワーカの労働時間を適切に把握することができる。
【0004】
特許文献2に記載の関連する技術は、第1のユーザ(テレワーカ)の端末の周辺に設置された温湿度センサや発汗センサなどを用いて、第1のユーザの生体情報を含むセンサデータを取得する。また、第1のユーザが使用している通信端末(ex.パーソナルコンピュータ)から、キーストロークの頻度を示すキーストローク情報を取得する。そして、特許文献2に記載の関連する技術は、取得したセンサデータおよびキーストローク情報に基づいて、第2のユーザ(他とテレワーカ)に第1のユーザの状況をリアルタイムで通知する。特許文献2に記載の関連する技術によれば、第1のユーザが忙しくない時間帯に、第2のユーザがコンタクトすることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-182293号公報
【特許文献2】特開2009- 20672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カメラやセンサが存在しない環境(例えば自宅)では、特許文献1に記載の関連する技術は、テレワーカを撮影することができないので、管理者はテレワーカの状況を把握することができない。また、カメラやセンサを使って、テレワーカの状況を探ることは、プライバシーに係わる問題もある。特許文献2に記載の関連する技術は、作業者の繁忙状況を正確に判定することが困難である。なぜならば、作業者は、常にキーボード入力をするのではなく、別の入力デバイスも使用するからである。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、カメラやセンシングデバイスなしに、作業者の忙しさを評価し、その業務を支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係わる業務支援装置は、作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算する計算手段と、前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価する評価手段と、前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する提示手段とを備えている。
【0009】
本発明の一態様に係わる業務支援方法では、作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算し、前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価し、前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する。
【0010】
本発明の一態様に係わるプログラムは、作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算することと、前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価することと、前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、カメラやセンシングデバイスなしに、作業者の忙しさを評価し、その業務を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1または実施形態2に係わる業務支援装置を備えた業務支援システムの一例を示す図である。
図2】実施形態1または2に係わる業務支援装置の構成を示すブロック図である。
図3】入力操作量の時系列およびその評価値の一例を示す図である。
図4】実施形態1に係わる業務支援装置の動作を示すフローチャートである。
図5】実施形態2における画面遷移の有無による評価値の一例を示すグラフである。
図6】実施形態1または2に係わる業務支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態について以下で説明する。
【0014】
〔全実施形態に共通〕
(業務支援システム1)
図1は、業務支援システム1の構成の一例を示す図である。後述する実施形態1に係わる業務支援装置10および実施形態2に係わる業務支援装置20は、どちらも、業務支援システム1に適用される。以下では、「実施形態1に係わる業務支援装置10、または実施形態2に係わる業務支援装置20」を、「業務支援装置10(20)」と記載する。
【0015】
図1に示すように、業務支援システム1は、業務支援装置10(20)、作業者の端末100、他の作業者の端末100´、及び複数の入力デバイス200を備えている。なお、他の作業者の端末100´は複数あってもよい。
【0016】
業務支援装置10(20)は、作業者の端末100および他の作業者の端末100´と、ネットワークを介して通信可能に接続されている。作業者の端末100には、複数の入力デバイス200が、無線又は有線で接続されている。
【0017】
端末100,100´は、タブレット端末、スマートフォン、モバイルパソコン、または他のスマートデバイスであってよい。端末100,100´は、タッチ入力、音声入力、またはペン入力に対応していてもよい。
【0018】
図1に示すように、複数の入力デバイス200は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、リモートコントローラ(以下、リモコン)、及びマイクロフォンを含む。複数の入力デバイス200は、作業者の端末100へデータを入力するために、または入力操作のために使用される。しかしながら、複数の入力デバイス200は、ここで例示したものに限定されない。
【0019】
端末100には、予め、業務支援ツールが導入されている。業務支援ツールは、業務支援装置10(20)が作業者による業務を支援するために必要なデータを、業務支援装置10(20)と端末100との間でやり取りする。端末100´にも、同じ業務支援ツールが予め導入されている。
【0020】
具体的には、作業者の端末100から、業務支援装置10(20)へ、入力操作情報が送信される。入力操作情報は、端末100と接続された複数の入力デバイス200に対する入力操作の種別及び内容を表す。一例では、入力操作とは、タイピング、マウスの移動、タッチ、クリック、またはマウスホイールの回転である。
【0021】
実施形態1または実施形態2で後述するように、業務支援装置10(20)は、端末100から受信した入力操作情報に基づいて、作業者の忙しさを評価する。そして、業務支援装置10(20)は、作業者の忙しさの評価結果を示す繁忙度を、他の作業者の端末100´の画面上に表示する。業務支援装置10(20)は、作業者の平均的な入力操作量に関するデータを格納した図示しない記憶部を備えている。
【0022】
業務支援装置10(20)は、端末100,100´に導入された他のアプリケーションと連携可能であってもよい。
【0023】
〔実施形態1〕
図2図4を参照して、実施形態1について説明する。
【0024】
(業務支援装置10)
図2を参照して、本実施形態1に係わる業務支援装置10の構成を説明する。図2は、業務支援装置10の構成を示すブロック図である。図2に示すように、業務支援装置10は、計算部11、評価部12、および提示部13を備えている。
【0025】
計算部11は、作業者の端末100に対する複数の入力デバイス200からの入力操作量をそれぞれ計算する。計算部11は、計算手段の一例である。ここでは、複数の入力デバイス200は、キーボードおよびマウスを少なくとも含むとする。
【0026】
一例では、計算部11は、一定期間における打鍵回数を、キーボードに対する入力操作量(以下、タイピング速度と呼ぶ)として計算する。
【0027】
計算部11は、マウスのクリック、マウスの移動、およびホイールの回転をそれぞれ1入力操作としてカウントし、現時点から1分前までの直近の1分間でのそれらの合計値を、マウスに対する入力操作量(以下、マウス操作量と呼ぶ)として計算する。
【0028】
計算部11は、複数の入力デバイスのそれぞれに対する入力操作量を示す情報を、評価部12へ出力する。
【0029】
さらに、計算部11は、現時点からn分前までの過去n分間での画面の遷移数を計算してもよい(実施形態2)。
【0030】
評価部12は、複数の入力デバイスのそれぞれに対する入力操作量に基づいて、作業者の忙しさを総合的に評価する。評価部12は、評価手段の一例である。
【0031】
一例では、評価部12は、現時点から1分前までの過去1分間のタイピング速度(ex.一定期間内における打鍵回数)を5段階で評価する。例えば、過去1分間における作業者のタイピング速度が、作業者の平均的なタイピング速度と同じである場合、評価部12は、タイピング速度S=S1と評価する。過去1分間における作業者のタイピング速度が、作業者の平均的なタイピング速度より大きい場合、評価部12は、タイピング速度S=S2と評価する。一方、過去1分間における作業者のタイピング速度が、作業者の平均的なタイピング速度よりも小さい場合、評価部12は、タイピング速度S=S3と評価する。(1≦S3<S1<S2≦5)
一例では、評価部12は、現時点から1分前までの過去1分間でのマウス操作量(ex.マウスの移動距離、クリック回数、あるいはマウスホイールの回転量)を5段階で評価する。例えば、過去1分間における作業者のマウス操作量が、作業者の平均的なマウス操作量と同じである場合、評価部12は、マウス操作量M=M1と評価する。過去1分間における作業者のマウス操作量が、作業者の平均的なマウス操作量より多い場合、評価部12は、マウス操作量M=M2と評価する。一方、過去1分間における作業者のマウス操作量が、作業者の平均的なマウス操作量よりも少ない場合、評価部12は、マウス操作量M=M3と評価する。(1≦M3<M1<M2≦5)
同様に、評価部12は、タッチパッドやリモコン等の他の入力デバイス200に対する入力操作量V(V1,V2...)に関しても評価する。
【0032】
次に、評価部12は、現時点から5分前までの過去5分間での入力操作量の評価値S,M,Vの平均を算出する。以下で、評価値S,M,Vの算出方法の具体例を説明する。
【0033】
図3は、一つの入力デバイス200(例えば、キーボード又はマウス)に関する入力操作量の推移およびその評価値の一例を示す。ここでは、過去1分間における入力操作量が、その前の1分間における入力操作量と同じである場合、評価値「4」とする。また、過去1分間における入力操作量が、その前の1分間における入力操作量より多い/少ない場合、評価値「5」/「3」とする。図3に示す一例では、入力操作量は、3、3、2、5、4、3と時間的に変化している。この場合、1分ごとの入力操作量に関する評価値は、4、3、5、3、3となる。したがって、本例では、過去5分間での入力操作量の評価値の平均は3.6となる。
【0034】
その後、評価部22は、以下の計算方法で、作業者の忙しさの評価値Bを算出する。
【0035】
B(作業者の忙しさの評価値)=
S(タイピング速度)×M(マウス操作量)×V(他の入力デバイスに関する入力操作量)。
【0036】
さらに、評価部12は、過去5分間のうち入力があった時間の長さに応じて、作業者の忙しさの評価値Bに対して、重み付けしてもよい。例えば、過去5分間のすべての1分間に入力があった場合、評価部12は、重みを5/5(=1)とする。また、過去5分間のうちの3分間に入力があった場合、評価部12は、重みを3/5とする。これにより、評価部12は、過去5分間における作業のムラを考慮して、作業者の忙しさを評価することができる。
【0037】
評価部12は、作業者の忙しさの評価結果として、上述した作業者の忙しさの評価値Bを示す情報を、提示部13へ出力する。
【0038】
提示部13は、作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する。提示部13は、提示手段の一例である。
【0039】
一例では、提示部13は、評価部12から、作業者の忙しさの評価値Bを示す情報を受信する。提示部13は、評価部12により算出された忙しさの評価値Bに基づいて、作業者の繁忙度をリアルタイムで表示する。
【0040】
一例では、B≧30である場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「業務中(忙しい/応答不可)」と表示する。
【0041】
15≦B<30である場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「業務中(やや忙しい)」と表示する。
【0042】
Bが0<B<15であった場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「業務中(声掛け可能)」と表示する。
【0043】
なお、作業者が業務時間外または休暇中などの場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「オフライン」と表示してもよい。
【0044】
提示部13は、会議中や通話中といった表示も可能であってよい。また、作業者が、入力デバイス200を用いて、端末100へ繁忙度の情報を手動で入力することによって、提示部13は、繁忙度の表示を変更することが可能でもあってよい。
【0045】
(業務支援装置10の動作)
図4を参照して、本実施形態1に係わる業務支援装置10の動作を説明する。図4は、業務支援装置10の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
図4に示すように、計算部11は、作業者の端末100に対する複数の入力デバイス200からの入力操作量をそれぞれ計算する(S1)。一例では、計算部11は、複数の入力デバイス200から受信した入力操作情報に基づいて、複数の入力デバイス200に対する入力操作量をそれぞれ計算する。計算部11は、複数の入力デバイス200からの入力操作量のデータを、評価部12へ出力する。
【0047】
評価部12は、計算部11から、複数の入力デバイス200に対する入力操作量のデータを受信する。評価部12は、複数の入力デバイス200のそれぞれに対する入力操作量に基づいて、作業者の忙しさを総合的に評価する(S2)。評価部12は、作業者の忙しさの評価結果として、作業者の忙しさの評価値Bを示す情報を、提示部13へ出力する。
【0048】
提示部13は、作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する(S3)。
【0049】
以上で、本実施形態1に係わる業務支援装置10の動作は終了する。
【0050】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、計算部11は、作業者の端末100に対する複数の入力デバイス200からの入力操作量をそれぞれ計算する。評価部12は、複数の入力デバイス200のそれぞれに対する入力操作量に基づいて、作業者の忙しさを総合的に評価する。提示部13は、作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する。このように、作業者が作業を行うために使用する複数の入力デバイス200に対する入力操作量の情報を用いて、作業者の忙しさを評価するので、カメラやセンシングデバイスなしに、作業者の繁忙状況を正確に判定することができる。
【0051】
さらに、コミュニティ内での非対面コミュニケーションを向上させることが可能になる。加えて、カメラおよびセンシングデバイスを利用しないことによって、プライバシーの侵害をなくし、作業者の心的ストレスを軽減することができる。一方、管理者は、作業者の業務状況を可視化することができるので、繁忙度の高い作業者の業務を、別の作業者に割り当てることによって、作業工数の平準化を行うことが可能になる。
【0052】
〔実施形態2〕
図5を参照して、実施形態2について説明する。本実施形態2では、前記実施形態1と共通する構成に関して、前記実施形態1での説明を参照して、その説明を省略する。
【0053】
作業者は、休憩等のために、一時的に端末100のそばから離れる場合が度々ある。その場合、作業者は、端末100を通じて、他の作業者とコミュニケーションすることができない状態である。その期間中、前記実施形態1で説明したタイピング速度およびマウス操作量は、どちらも低下するので、作業者はそれほど忙しくない(すなわち応対可能)という誤った情報が、他の作業者に対して提示されることになる。
【0054】
本実施形態2では、作業者の忙しさをより正確に評価する構成を説明する。本実施形態2に係わる業務支援装置20(図2)は、前記実施形態1に係わる業務支援装置10の構成要素のうち、評価部12に代えて、評価部22を備えている。
【0055】
評価部22は、端末100(図1)がアクセスしているインターネットサイトのURL(Uniform Resource Locator)を分析し、複数の入力デバイス200のそれぞれに対する入力操作量に加えて、自動転送を除く画面の遷移の有無にも基づいて、作業者の忙しさを総合的に評価する。画面の遷移とは、作業者が端末100の画面をスクロールさせたり、ページを移動したりすることによって、端末100の画面上に表示された映像が変化することである。ここで、自動転送を除く理由は、作業者が何ら入力操作を行わなくとも、自動転送によって、端末100の画面が遷移するからである。
【0056】
(画面遷移の有無による評価値D)
図5は、画面遷移の有無による評価値Dの変化の一例を示すグラフである。図5に示すように、時刻0において、作業者は作業を中断する。その後、端末100の画面は一時的に変わらない状態になる。時刻0から時刻n(分)までの間、評価部22は、画面遷移の有無による評価値DをD2(=1)とする。時刻n(分)より後、過去n(nは1以上の整数)分間に端末100の画面が変化していないので、評価部22は、画面遷移に関する評価値DをD1(=0)とする。
【0057】
なお、nはフレキシブルに決められてよい。例えば、n=5である。この場合、端末100の画面が過去の5分間変化していない場合、評価部22は、画面遷移に関する評価値DをD1とする。他方、端末100の画面が過去の5分間のうち少なくとも1度は画面が変化している場合、評価部22は、画面遷移に関する評価値DをD2とする。
【0058】
一例では、評価部22は、以下の計算方法で、作業者の忙しさの評価値を算出する。
【0059】
B(作業者の忙しさの評価値)=
S(タイピング速度)×M(マウス操作量)×V(他の入力デバイスに関する入力操作量)×D(画面遷移の有無)。
【0060】
評価部22は、作業者の忙しさの評価結果として、作業者の忙しさの評価値Bを示す情報を、提示部13へ出力する。ここで、画面遷移に関する評価値D=D1である場合、パラメータDは0になるから、上記の数式に基づき、作業者の忙しさの評価値Bは0になることに注意する。
【0061】
提示部13は、評価部22により算出された忙しさの評価値に基づいて、作業者の繁忙度をリアルタイムで表示する。
【0062】
一例では、B≧30である場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「業務中(忙しい/応答不可)」と表示する。
【0063】
15≦B<30である場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「業務中(やや忙しい)」と表示する。
【0064】
Bが0<B<15であった場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「業務中(声掛け可能)」と表示する。
【0065】
忙しさの評価値BがB=0であった場合、提示部13は、他の作業者の端末100´の画面上に、(作業者は)「一時離席中」と表示する。
【0066】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、計算部11は、作業者の端末100に対する複数の入力デバイス200からの入力操作量をそれぞれ計算する。評価部22は、複数の入力デバイス200のそれぞれに対する入力操作量に基づいて、作業者の忙しさを総合的に評価する。提示部13は、作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する。このように、作業者が作業を行うために使用する複数の入力デバイス200に対する入力操作量の情報を用いて、作業者の忙しさを評価するので、カメラやセンシングデバイスなしに、作業者の繁忙状況を正確に判定することができる。
【0067】
さらに、本実施形態の構成によれば、評価部22は、端末100がアクセスしているインターネットサイトのURLを分析し、複数の入力デバイス200のそれぞれに対する入力操作量に加えて、自動転送を除く画面の遷移の有無にも基づいて、作業者の忙しさを総合的に評価する。作業者が電話応対等のために、一時的に端末100のそばから離れる場合、画面の映像がしばらく変化しない状態が続く。このことから、画面の遷移の有無は、作業者の忙しさを間接的に指し示す根拠となる。
【0068】
(ハードウェア構成について)
前記実施形態1~2で説明した業務支援装置10,20の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば図6に示すような情報処理装置900により実現される。図6は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0069】
図6に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0070】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~2で説明した業務支援装置10,20の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0071】
上記の構成によれば、前記実施形態1~2において説明した業務支援装置10,20が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0072】
〔付記〕
本発明の一態様は、以下の付記のようにも記載されるが、以下に限定されない。
【0073】
(付記1)
作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算する計算手段と、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価する評価手段と、
前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する提示手段とを備えた
業務支援装置。
【0074】
(付記2)
前記評価手段は、
前記端末に対する過去の一定期間における前記入力操作量の平均のデータを参照し、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する現時点の前記入力操作量と、前記過去の一定期間における前記入力操作量の平均とを比較し、
過去から現時点までの前記入力操作量の増減の大きさに基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価する
ことを特徴とする付記1に記載の業務支援装置。
【0075】
(付記3)
前記評価手段は、
前記端末がアクセスしているインターネットサイトのURL(Uniform Resource Locator)を分析し、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に加えて、自動転送を除く画面の遷移の有無にも基づいて、前記作業者の忙しさを評価する
ことを特徴とする付記1または2に記載の業務支援装置。
【0076】
(付記4)
前記提示手段は、前記端末上で起動しているアプリケーションの種類に応じて、前記作業者の状況を示す情報を表示する
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【0077】
(付記5)
前記複数の入力デバイスは、キーボード、マウス、タッチパッド、リモートコントローラ、およびマイクロフォンのうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【0078】
(付記6)
前記入力操作量は、タイピング速度、タイピング速度、マウス移動量、および画面の遷移の有無のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【0079】
(付記7)
作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算し、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価し、
前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示する
業務支援方法。
【0080】
(付記8)
作業者の端末に対する複数の入力デバイスからの入力操作量をそれぞれ計算することと、
前記複数の入力デバイスのそれぞれに対する前記入力操作量に基づいて、前記作業者の忙しさを総合的に評価することと、
前記作業者の忙しさの評価結果の指標である繁忙度を提示することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0081】
(付記9)
前記評価手段は、
前記端末上で起動しているアプリケーションの情報を取得し、
特定のアプリケーションが前記端末上で起動している間、前記作業者の忙しさを評価することを一時中断する
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【0082】
(付記10)
前記評価手段は、
前記端末がアクセスしているインターネットサイトのURLを分析し、
特定のURLを有するウェブページがブラウザ上で開いている間、前記作業者の忙しさを評価することを一時中断する
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の業務支援装置。
【0083】
(付記11)
前記特定のURLを有するウェブページは、動画を埋込されたウェブページである
ことを特徴とする付記10に記載の業務支援装置。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、例えば、リモートワーカの繁忙度を判定して、業務支援に利用することのほか、オンラインゲームでのユーザの活動を把握することや、レンタルオフィスやネットカフェなどにおいて、どの端末が利用中であるかを監視するために利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 業務支援装置
11 計算部
12 評価部
13 提示部
20 業務支援装置
22 評価部
100,100´ 作業者の端末
200 複数の入力デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6