(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175585
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】学習支援システム、学習支援方法および学習支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20221117BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082125
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】森田 智也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】回答者への依存を抑制しつつ、質問への回答を行うことができる学習支援システムを提供する。
【解決手段】学習支援システム100を、応答部101と、回答者決定部102と、出力部103を備える構成とする。応答部101は、学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する。回答者決定部102は、回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、質問に対する回答を行う回答者を決定する。出力部103は、回答モデルを用いて回答を行う場合に、質問を入力として回答モデルが生成した回答のデータを出力する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する応答手段と、
前記質問に対する回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の前記学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、前記質問に対する回答を行う回答者を決定する回答者決定手段と
回答モデルを用いて前記回答を行う場合に、前記質問を入力として前記回答モデルが生成した回答のデータを出力する出力手段と
を備える学習支援システム。
【請求項2】
前記質問への前記回答に対する前記学習者からの評価と、前記回答モデルの使用実績の少なくとも一方に基づいて前記回答者への報酬を算出する報酬算出手段をさらに備える請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記出力手段は、前記学習者が前記学習コンテンツの学習を行っている際に、前記学習者の端末装置と、前記回答者の端末装置に同一の前記学習コンテンツを出力する請求項1または2に記載の学習支援システム。
【請求項4】
前記学習者による質問と、前記回答者による回答の関係を学習することにより前記回答モデルを生成するモデル生成手段をさらに備え、
前記応答手段は、前記学習コンテンツに応じた前記回答モデルが生成済みの場合に、前記回答モデルによる回答を行う請求項1から3いずれかに記載の学習支援システム。
【請求項5】
前記モデル生成手段は、前記回答モデルの生成後に行われた前記質問と、前記回答者による回答のデータを用いて再学習を実行し、前記回答モデルを更新する請求項4に記載の学習支援システム。
【請求項6】
学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定し、
前記質問に対する回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の前記学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、前記質問に対する回答を行う回答者を決定し、
回答モデルを用いて前記回答を行う場合に、前記質問を入力として前記回答モデルが生成した回答のデータを出力する
学習支援方法。
【請求項7】
前記質問への前記回答に対する前記学習者からの評価と、前記回答モデルの使用実績の少なくとも一方に基づいて前記回答者への報酬を算出する請求項6に記載の学習支援方法。
【請求項8】
前記学習者が前記学習コンテンツの学習を行っている際に、前記学習者の端末装置と、前記回答者の端末装置に同一の前記学習コンテンツを出力する請求項6または7に記載の学習支援方法。
【請求項9】
前記学習者による質問と、前記回答者による回答の関係を学習することにより前記回答モデルを生成し、
前記学習コンテンツに応じた前記回答モデルが生成済みの場合に、前記回答モデルによる回答を行う請求項6から8いずれかに記載の学習支援方法。
【請求項10】
学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する処理と、
前記質問に対する回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の前記学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、前記質問に対する回答を行う回答者を決定する処理と、
回答モデルを用いて前記回答を行う場合に、前記質問を入力として前記回答モデルが生成した回答のデータを出力する処理と
をコンピュータに実行させる学習支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習コンテンツを提供する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業等において技能、あるいは知識の継承のために、電子メディアとして作成された学習コンテンツを用いた学習が行われることがある。その際に、学習コンテンツを用いて学習する学習者は、疑問点があった場合に、例えば、学習コンテンツを提供している学習システムを介して質問を行い、質問先として設定されている人物からの回答を受け取る。このようなシステムにおいては、回答者への依存を抑制しつつ、学習者が疑問点を残さずに学習を進められるシステムがあることが望ましい。
【0003】
特許文献1の回答支援システムは、質問に対する回答の候補を提示するシステムである。特許文献1の回答支援システムは、質問と回答の関係を学習することによって生成された学習モデルを用いて、質問に対する回答を予測し、回答の候補を回答者の端末装置に表示している。特許文献1の回答支援システムは、回答の候補から回答者によって選択された回答を、質問した人物の端末装置に送信することで質問への回答を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の回答支援システムは、学習モデルによって予測した回答の候補を表示することで回答者による回答の作業を補助している。そのため、特許文献1の技術では、質問に対する回答を行うためには、回答者が回答に対応できる状態で存在する必要があり、回答者がいない場合には質問に対応することは難しい。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、回答者への依存を抑制しつつ、質問に対する回答を行うことができる学習支援システム等を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の学習支援システムは、応答部と、回答者決定部と、出力部を備えている。応答部は、学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する。回答者決定部は、質問に対する回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、質問に対する回答を行う回答者を決定する。出力部は、回答モデルを用いて行う回答を場合に、質問を入力として回答モデルが生成した回答のデータを出力する。
【0008】
本発明の学習支援方法は、学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する。本発明の学習支援方法は、質問に対する回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、質問に対する回答を行う回答者を決定する。本発明の学習支援方法は、回答モデルを用いて行う回答を場合に、質問を入力として回答モデルが生成した回答のデータを出力する。
【0009】
本発明の学習支援プログラムは、、学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する。本発明の学習支援プログラムは、質問に対する回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、質問に対する回答を行う回答者を決定する。本発明の学習支援プログラムは、質問に対する回答を回答者が行う場合に、決定した回答者の端末装置と、学習者の端末装置との間における質問および回答の転送処理を行う。本発明の学習支援プログラムは、回答モデルを用いて行う回答を場合に、質問を入力として回答モデルが生成した回答のデータを出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、回答者への依存を抑制しつつ、質問に対する回答を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態の構成の概要を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の学習支援システムの構成の例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の学習支援システムの動作フローの例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の学習支援システムの動作フローの例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の学習支援システムの動作フローの例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態における表示画面の例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態における表示画面の例を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態の学習支援システムの構成の例を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態の学習支援システムの動作フローの例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態の他の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の学習システムの構成の概要を示す図である。本実施形態の学習システムは、学習支援システム10と、学習端末20と、回答者端末30を備えている。学習支援システム10と学習端末20はネットワークを介して接続されている。また、学習支援システム10と回答者端末30はネットワークを介して接続されている。学習端末20および回答者端末30は、複数、備えられていてもよい。
【0013】
本実施形態の学習システムは、学習コンテンツを提供し、提供された学習コンテンツを用いて学習を行っている学習者からの質問に対して、回答者による回答または生成済みの学習モデルを用いた回答を行うシステムである。回答者による回答を行う場合に、学習支援システム10は、学習者からの質問を学習端末20から取得し、回答者端末30に転送する。また、学習支援システム10は、質問に対する回答を回答者端末30から取得し、学習端末20に転送する。また、学習支援システムは、学習コンテンツおよび学習者に適応する学習モデルが生成済みである場合には、学習モデルを用いて生成した回答を学習端末20に出力する。
【0014】
学習支援システム10の構成について説明する。
図2は、学習支援システム10の構成の例を示す図である。学習支援システム10は、学習管理部11と、応答部12と、モデル生成部13と、回答者決定部14と、報酬算出部15と、アクセス管理部16と、記憶部17と、入力部18と、出力部19を備えている。
【0015】
学習管理部11は、学習端末20からの要求に応じた学習コンテンツを学習端末20に出力部19を介して出力する。学習コンテンツとは、例えば、学習の対象となる情報が音声、画像および文字を用いて構成されたコンテンツであり、学習者が視聴することで学習を行うコンテンツのことである。学習コンテンツは、例えば、学習端末20において、ウェブブラウザ上、または、専用アプリケーションプログラム上で動作する。
【0016】
応答部12は、学習者からの質問に対する回答を回答者が行うか、機械学習によって生成された学習モデルである回答モデルを用いて行うかを決定する。応答部12は、学習コンテンツごとに設定されている基準に基づいて、質問に対する回答を回答者が行うか、回答モデルを用いて行うかを決定する。応答部12は、例えば、回答モデルが生成されている学習コンテンツによる学習が学習者によって選択された場合に、回答モデルを用いた回答を行うと決定する。また、応答部12は、回答モデルが生成されていない学習コンテンツによる学習が学習者によって選択された場合に、回答者が回答を行うと決定する。また、回答モデルが存在する場合に、応答部12は、学習者の知識水準に基づいて、回答者による回答を行うか、回答モデルを用いて行うかを決定してもよい。例えば、応答部12は、学習者の知識水準があらかじめ設定された基準よりも高い場合に回答者による回答を行い、基準未満の場合に回答モデルによる回答を行うように決定してもよい。
【0017】
応答部12は、回答者による回答を行う場合に、学習者からの質問に対する回答者からの回答を質問者に送る。応答部12は、学習端末20から受信した質問を回答者端末30に転送し、回答者端末30から受信した回答を、学習端末20に転送する。応答部12は、質問と回答を関連付けて記憶部17に保存する。応答部12は、質問があったことを示す情報を回答者端末30に出力し、回答者端末30からの要求に応じて質問の内容のデータを回答者端末30に出力部19を介して出力してもよい。また、応答部12は、回答があったことを示す情報を学習端末20に出力し、学習端末20からの要求に応じて、回答の内容のデータを学習端末20に送信してもよい。
【0018】
モデル生成部13は、学習者による質問と、回答者による回答との関係を学習し、学習者の質問に対する回答を生成する回答モデルを生成する。回答モデルは、例えば、学習コンテンツごと、または、学習コンテンツが対象とする分野ごとに生成される。モデル生成部13は、例えば、ニューラルネットワークを用いた深層学習によって、質問と回答の関係を学習し、学習モデルとして回答モデルを生成する。モデル生成部13は、学習コンテンツを学習する際に行われた質問と回答のデータのうち、例えば、学習コンテンツの分野の専門家によって選別されたデータを入力データとして、機械学習を実行し、質問から回答を生成する回答モデルを生成する。モデル生成部13は、生成した回答モデルのデータを記憶部17に保存する。また、モデル生成部13は、生成済みの回答モデルを用いて行われた質問と回答のデータを用いて再学習を行い、回答モデルを更新してもよい。
【0019】
回答者決定部14は、回答者として適した人物を学習者および学習コンテンツに応じて決定する。回答者決定部14は、学習者の登録データおよび学習コンテンツの分野と、回答者の登録データを用いて、あらかじめ設定された基準を基に、回答者の候補者から選択することで回答者を決定する。学習者の登録データは、例えば、学習者の学習履歴、分野ごとの知識水準、業種、業務内容、所属、業務経験、学歴、および専門分野のうち1つまたは複数の項目のデータによって構成されている。学習者の登録データには、他の項目のデータが含まれていてもよい。回答者の登録データは、例えば、回答者の専門分野、回答者の専門分野ごとの知識水準、過去の学習者からの回答者に対する評価、回答者としての業務履歴、および回答者の勤務予定ののうち1つまたは複数の項目のデータによって構成されている。回答者の登録データには、他の項目のデータが含まれていてもよい。
【0020】
回答者決定部14は、例えば、専門分野が学習コンテンツの分野と一致している人物のうち、知識水準が基準を上回っている人物を回答者として決定する。知識水準は、学習コンテンツの分野における知識の量または知識の高さの指標のことをいう。回答者を決定する際に回答者の知識水準と比較する基準は、例えば、学習者からの質問に回答者が適切に答えられるように回答者の知識水準が学習者の知識水準に対して高くなるように設定される。また、知識水準は、数値によって設定されていてもよく、また、複数の段階によって設定されていてもよい。
【0021】
回答者決定部14は、回答者の決定を機械学習によって生成された学習モデルを用いて行ってもよい。回答者を決定する学習モデルは、学習者の登録データおよび学習コンテンツの内容を示すデータと、回答者の登録データを入力データ、回答者としての適否を示すデータをラベルとして機械学習を行うことによって生成される。機械学習によって生成された学習モデルを用いて回答者を決定する場合に、回答者決定部14は、学習者の登録データおよび学習コンテンツの内容を示すデータを入力データとして、学習モデルを用いて回答者として適する人物を予測する。
【0022】
報酬算出部15は、回答者が行った回答の業務に対して支払う報酬を算出する。報酬算出部15は、例えば、学習コンテンツおよび学習者からの評価の情報を用いてあらかじめ設定された基準額と、回答数を用いて回答者に支払う報酬の額を算出する。また、基準額の設定は、分野ごと、あるいは回答者ごとに異なっていてもよい。また、報酬算出部15は、ポイントなど金額以外の値によって報酬を算出してもよい。
【0023】
アクセス管理部16は、学習端末20を利用する学習者および回答者端末30を利用する回答者の学習支援システム10へのアクセスの可否を管理する。アクセス管理部16は、例えば、学習者および回答者を識別用のID(Identifier)番号と、パスワードによって認証する。アクセス管理部16は、認証した学習者および回答者による学習支援システム10へのアクセスを許可する。アクセス管理部16は、生体認証技術を用いて学習者および回答者の認証を行ってもよい。
【0024】
アクセス管理部16は、学習者ごとにアクセスできる範囲を管理してもよい。例えば、アクセス管理部16は、学習者の加入しているサービスごとにアクセスできる学習コンテンツを管理する。また、アクセス管理部16は、回答者ごとにアクセスできる範囲を管理してもよい。例えば、アクセス管理部16は、回答者ごとにアクセスできる学習コンテンツおよび学習支援システムに登録されている情報の範囲を管理する。
【0025】
記憶部17は、学習コンテンツ、学習者の登録データ、回答者の登録データ、アクセス管理情報、質問と回答の履歴データ、報酬の基準データ、回答者の報酬額の情報および回答モデルのデータを保存している。
【0026】
入力部18は、学習者の操作によって学習端末20に入力された入力データを学習端末20から取得する。入力部18は、学習者の認証情報、学習コンテンツの選択結果、回答者の評価結果および質問のデータを学習端末20から取得する。
【0027】
入力部18は、回答者の操作によって回答者端末30に入力された入力データを回答者端末30から取得する。入力部18は、回答者の認証情報、および回答のデータを回答者端末30から取得する。
【0028】
出力部19は、学習コンテンツ、質問に対する回答のデータ、および回答者の評価を要求する情報を学習端末20に出力する。出力部19は、学習コンテンツ、学習者の登録情報、回答の対象となる質問のデータ、および報酬額のデータを回答者端末30に出力する。
【0029】
学習管理部11、応答部12、モデル生成部13、回答者決定部14、報酬算出部15、アクセス管理部16、入力部18および出力部19における各処理は、例えば、CPU(Central Processing Unit)上でコンピュータプログラムを実行することで行うことができる。学習管理部11、応答部12、モデル生成部13、回答者決定部14、報酬算出部15、アクセス管理部16、入力部18および出力部19における処理は、例えば、1台の情報処理装置において行われる。
【0030】
学習管理部11、応答部12、モデル生成部13、回答者決定部14、報酬算出部15、アクセス管理部16、入力部18および出力部19における各処理は、ネットワークを介して接続されている複数の情報処理装置において行われてもよい。例えば、学習管理部11、応答部12、報酬算出部15およびアクセス管理部16における処理を同一の情報処理装置において行い、モデル生成部13における回答モデルの生成を他の情報処理装置において行ってもよい。そのような構成とする場合に、記憶部17、入力部18および出力部19は、それぞれの情報処理装置に備えられる。
【0031】
記憶部17は、例えば、ハードディスクドライブを用いて構成されている。記憶部17は、不揮発性の半導体記憶装置などの他の種類の記憶装置または複数の種類の記憶装置の組み合わせによって構成されていてもよい。記憶部17は、学習支援システム10と接続されている記憶装置上に備えられていてもよい。また、記憶部17は、ネットワークを介して接続されている情報処理装置が制御する記憶装置上に備えられていてもよい。
【0032】
学習端末20は、学習支援システム10から取得する学習コンテンツ、質問に対する回答およびその他のデータを図示しない表示装置に表示する。学習端末20は、学習コンテンツが音声を用いるものである場合には、図示しない音声出力装置に音声を出力する。
【0033】
学習端末20は、学習者の操作によって入力される、学習者の認証データ、学習コンテンツの選択結果、質問内容および回答者の評価を入力データとして学習支援システム10に出力する。
【0034】
回答者端末30は、回答者の操作によって入力される、回答者の認証情報および質問に対する回答のデータを入力データとして学習支援システム10に出力する。また、回答者端末30は、学習者からの質問のデータ、および報酬額のデータを学習支援システム10から取得し、質問および報酬額を図示しない表示装置に表示する。回答者端末30は、学習者が学習を行っている学習コンテンツを学習支援システム10から取得し、取得した学習コンテンツを表示装置に表示する。回答者端末30は、学習コンテンツが音声を用いるものである場合には、図示しない音声出力装置に音声を出力する。
【0035】
学習端末20および回答者端末30には、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、またはスマートフォンを用いることができる。また、学習端末20および回答者端末30は、複数の情報端末装置の組み合わせによって構成されていてもよい。例えば、学習端末20および回答者端末30は、ウェアラブル型、またはゴーグル型の情報端末装置と、他の情報端末装置の組み合わせによって構成されていてもよい。
【0036】
学習支援システムの動作について説明する。
図3、
図4および
図5は、学習支援システム10の動作フローの例を示す図である。
図3は、学習者が学習コンテンツを用いて学習を行う際の学習支援システム10の動作フローの例を示す図である。
図4は、回答者に支払われる報酬額を算出する際の学習支援システム10の動作フローの例を示す図である。また、
図5は、回答モデルを生成する際の学習支援システム10の動作フローの例を示す図である。
【0037】
学習者の操作によって学習の開始が入力されると、学習端末20は、学習開始の要求を学習支援システム10に出力する。学習端末20から学習開始の要求を受けると、学習支援システム10は、学習コンテンツの提供に関する処理を開始する。学習コンテンツの提供に関する処理を開始すると、学習支援システム10は、学習端末20を利用している学習者の認証を行う。
【0038】
学習支援システム10のアクセス管理部16は、学習者の操作によって学習端末20に入力される学習者の認証情報を学習端末20から取得する。認証情報を取得すると、アクセス管理部16は、記憶部17に保存されている学習者の登録データと照合し、一致する場合に学習者を認証する。
【0039】
学習者が認証されると、アクセス管理部16は、出力部19を介して、学習者が学習可能な学習コンテンツの情報を学習端末20に出力する。
【0040】
学習者の操作によって学習端末20に学習コンテンツの選択結果が入力されると、学習端末20は、学習コンテンツの選択結果の情報を学習支援システム10に出力する。
【0041】
図3において、学習支援システム10の入力部18は、学習コンテンツの選択結果の情報を学習端末20から取得する(ステップS11)。
【0042】
学習コンテンツの選択結果の情報が取得されると、応答部12は、質問に対する回答を回答モデルを用いて行うか、回答者によって行うかを決定する。回答を回答者によって行うとき(ステップS12でYes)、回答者決定部14は、質問に回答する回答者を決定する(ステップS13)。回答者決定部14は、例えば、専門分野が学習コンテンツの分野と一致している人物のうち、知識水準が学習コンテンツごとに設定されている基準を上回っている人物を回答者として決定する。
【0043】
回答者が決定されると、学習管理部11は、選択結果に応じた学習コンテンツのデータを学習端末20に出力部19を介して出力する(ステップS14)。
【0044】
ステップS13で回答者が決定されると、アクセス管理部16は、回答者が所持している回答者端末30に通知を送信し、回答者の認証情報を送信し回答者の認証を行う。また、回答者決定部14は、既に、学習支援システム10に接続している回答者の中から質問に回答する回答者を決定してもよい。
【0045】
学習コンテンツのデータを取得すると、学習端末20は、学習コンテンツを表示装置に表示する。また、学習コンテンツに音声データが含まれる場合には、学習端末20は、音声をスピーカ等の音声出力装置に出力する。学習者は、学習端末20を操作し、学習コンテンツを閲覧して学習を行う。
【0046】
学習者の操作によって質問が学習端末20に入力されると、学習端末20は、入力された質問のデータを学習支援システム10に出力する。
【0047】
学習支援システム10の入力部18は、質問のデータを学習端末20から取得する。質問のデータが取得されると、応答部12は、質問のデータを、回答者として決定された人物が操作する回答者端末30に転送する(ステップS15)。
【0048】
質問のデータを受け取ると、回答者端末30は、質問を表示装置に表示する。回答者の操作によって回答者端末30に回答のデータが入力されると、回答者端末30は、回答のデータを学習支援システム10に出力する。
【0049】
学習支援システム10の入力部18は、回答のデータを回答者端末30から取得する。回答のデータが取得されると、応答部12は、回答のデータを、質問を行った学習者が操作する学習端末20に転送する(ステップS16)。回答のデータを転送すると、応答部12は、質疑の内容、すなわち、質問と回答を関連付けたデータを記憶部17に保存する(ステップS17)。
【0050】
質問に対する回答のデータを受け取ると、学習端末20は、受け取った回答のデータを図示しない表示装置に表示する。
【0051】
学習が継続し、質問が続けて行われる場合には(ステップS18でNo)、学習支援システム10は、ステップS15からの動作を継続して行う。学習が終了した場合には(ステップS18でYes)、学習支援システム10は、学習コンテンツの提供、および質問と回答の処理に関する動作を終了する。
【0052】
ステップS12において、回答を回答モデルによって行うとき(ステップS12でNo)、学習管理部11は、選択結果に応じた学習コンテンツのデータを学習端末20に出力部19を介して出力する(ステップS19)。
【0053】
学習コンテンツのデータを取得すると、学習端末20は、学習コンテンツを表示装置に表示する。また、学習コンテンツに音声データが含まれる場合には、学習端末20は、音声を音声出力装置に出力する。学習者は、学習端末20を操作し、学習コンテンツを用いた学習を行う。
【0054】
学習者の操作によって質問が学習端末20に入力されると、学習端末20は、入力された質問のデータを学習支援システム10に出力する。
【0055】
学習支援システム10の入力部18は、質問のデータを学習端末20から取得する。質問のデータが取得されると、応答部12は、回答モデルを用いて、質問から回答を生成する(ステップS20)。回答を生成すると、応答部12は、出力部19を介して、質問を行った学習者が操作する学習端末20に回答のデータを出力する(ステップS21)。回答のデータを転送すると、応答部12は、質疑の内容、すなわち、質問と回答を関連付けたデータを記憶部17に保存する。
【0056】
質問に対する回答のデータを受け取ると、学習端末20は、受け取った回答のデータを図示しない表示装置に表示する。
【0057】
学習が継続し、質問が続けて行われる場合には(ステップS22でNo)、学習支援システム10は、ステップS20からの動作を継続して行う。学習が終了した場合には(ステップS22でYes)、学習支援システム10は、学習コンテンツの提供、および質問と回答の処理に関する動作を終了する。
【0058】
図6は、学習者が学習コンテンツを用いて学習する際に、学習端末20が出力する表示画面の例を示している。
図6に示す表示画面は、学習コンテンツの表示が行われる学習ウィンドウ、学習者が質問の入力および送信操作を行う質問入力欄、および質問と回答の表示欄によって構成されている。
図6のような表示画面を用いて学習を行うことで、学習者は、学習コンテンツを用いた学習を進める際に、質問を行いながら学習コンテンツの内容への習熟度を深めることができる。
【0059】
図7は、回答者が回答を行う際に、回答者端末30が出力する表示画面の例を示している。
図7に示す表示画面は、学習者が学習を行っている学習コンテンツの表示が行われる学習ウィンドウ、学習者の属性、質問内容、質問と回答の履歴を表示する質問回答履歴欄、および回答の入力と送信操作を行う回答入力欄によって構成されている。
図7のような表示画面を用い質問に対する回答を行うことで、回答者は、学習者の状況を把握しながら質問に対する回答を行うことができる。
【0060】
回答者に支払う報酬を算出する動作について、
図4を参照して説明する。学習者による学習コンテンツの学習が完了すると、学習支援システム10の報酬算出部15は、回答者に支払う報酬の算出を開始する。報酬算出部15は、報酬の算出対象となる学習において、質問への対応が回答者によって行われたか、回答者によって行われたかを特定する。
【0061】
質問への回答が回答者によって行われていた場合(ステップS31でYes)、報酬算出部15は、学習者の操作によって学習端末20に入力される評価結果のデータを学習端末20から取得する(ステップS32)。
【0062】
評価結果が取得されると、学習支援システム10の報酬算出部15は、評価結果ごとに設定されている基準額と回答数を用いて、回答者に支払う報酬の額を算出する(ステップS33)。報酬の額を算出すると、報酬算出部15は、報酬の額を回答者に関連付けて記憶部17に保存する(ステップS34)。
【0063】
ステップS31において、回答モデルによる回答であった場合(ステップS31でNo)、報酬算出部15は、回答モデルの使用実績を用いて報酬を算出する。報酬算出部15は、例えば、回答モデルごとに設定されている回答者ごとの寄与度と回答モデルの使用回数に応じて回答者に支払う報酬の額を算出する。報酬の額を算出すると、報酬算出部15は、報酬の額を回答者に関連付けて記憶部17に保存する(ステップS34)。
【0064】
報酬を算出すると、学習支援システム10は、学習コンテンツの提供に関する処理を終了し、次に他の要求を受けるまで待機する。
【0065】
回答モデルの生成の動作について、
図5を参照して説明する。モデル生成部13は、回答モデルの生成に用いる質問と回答を関連付けたデータを取得する(ステップS41)。モデル生成部13は、質問と回答を関連付けたデータとして、質問と回答が関連付けられたデータのうち、作業者によって指定されたデータを回答モデルの生成に用いる質問と回答に用いるデータとして読み出す。モデル生成部13は、学習コンテンツの分野の専門家によって生成された質問と回答を関連付けたデータを取得してもよい。
【0066】
質問と回答を関連付けたデータを取得すると、モデル生成部13は、自然言語処理によって質問と回答を関連付けたデータに含まれる文章を解析し、特徴量を抽出する(ステップS42)。特徴量を抽出すると、モデル生成部13は、質問と回答の関係の学習を実行し、質問から回答を生成する学習モデルである回答モデルを生成する(ステップS43)。モデル生成部13は、例えば、ニューラルネットワークを用いた機械学習を行って回答モデルを生成する。
【0067】
回答モデルを生成すると、モデル生成部13は、生成した回答モデルのデータを記憶部17に保存する(ステップS45)。
【0068】
回答モデルが生成されると、テストデータを用いて回答の予測の精度の検証が行われる。テストデータには、例えば、記憶部17に保存された質問と回答を関連付けたデータのうち、回答モデルの生成に用いられなかったデータが用いられる。例えば、情報処理の専門家または学習コンテンツの分野の専門家によって回答の予測の精度が不十分であると判断された場合には、質問と回答のデータの変更、あるいは、自然言語処理の条件の変更が行われ、再度、回答モデルの生成が行われる。
【0069】
上記の説明では、機械学習によって生成された回答モデルを用いて、学習者からの質問に対する回答を生成しているが、応答部12は、質問ごとにあらかじめ設定された回答を行ってもよい。質問ごとにあらかじめ設定された回答を行う構成は、ルールベース型ともよばれる。
【0070】
本実施形態の学習支援システム10は、例えば、新規技術または新規システムの導入時における企業内での情報共有に用いることができる。また、学習支援システム10は、企業内における知識および技能の継承に用いられてもよい。企業内において情報共有や知識の継承を行う際に、研修の受講等においてその分野に習熟している人物からコーチングを受けることが多い。そのような場合に、知識や技能の習得を行う人物と、既に保有している人物を引き合わせることで、知識や技能の継承が容易になる。
【0071】
本実施形態の学習システムの学習支援システム10は、学習者が学習コンテンツを選択した際に、学習者の属性および学習コンテンツに適合する回答モデルの有無を特定する。適合する回答モデルがあるとき、学習支援システム10は、回答モデルを用いて、学習コンテンツによる学習を行う学習者から送られてくる質問に対する回答を生成し、生成した回答を学習者が学習に用いている学習端末20に出力する。
【0072】
学習者の属性および学習コンテンツに適合する回答モデルがないとき、学習支援システム10は、学習者および学習コンテンツに適する回答者を選択し、学習者の学習端末20と、回答者の回答者端末30の間において質問と回答の転送を行う。また、学習支援システム10は、学習者と回答者の間で送受信される質問と回答を関連付けて保存し、質問と回答の関係を学習する機械学習によって、質問から回答を生成する回答モデルを生成する。そのため、回答者による回答が蓄積された分野の学習コンテンツにおいては、学習支援システム10は、機械学習によって回答モデルを用いて質問に対する回答を生成することで、回答者に代わって質問への回答を行うことが可能になる。その結果、本実施形態の学習システムでは、回答者への依存を抑制しつつ、学習者からの質問に対応することが可能になる。回答者への依存を下げることで、対応可能な回答者が不在の場合にも、学習者が質問をしながら学習コンテンツを用いた学習を行うことができる機会を増加させることができる。
【0073】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図8は、本実施形態の学習支援システム100の構成の例を示す図である。学習支援システム100は、応答部101と、回答者決定部102と、出力部103を備えている。
【0074】
応答部101は、学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する。回答者決定部102は、質問に対する回答を回答者が行う場合に、回答者の候補の学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、質問に対する回答を行う回答者を決定する。出力部103は、回答モデルを用いて回答を行う場合に、質問を入力として回答モデルが生成した回答のデータを出力する。
【0075】
第1の実施形態の学習支援システム10の応答部12は、応答部101の一例である。また、応答部101は、応答手段の一態様である。回答者決定部14は、回答者決定部102の一例である。また、回答者決定部102は、回答者決定手段の一態様である。出力部19は、出力部103の一例である。また、出力部103は、出力手段の一態様である。
【0076】
学習支援システム100の動作について説明する。
図9は、学習支援システム100の動作フローの例を示す図である。応答部101は、学習コンテンツを用いて学習する学習者からの質問に対する回答を、回答者が行うか、質問に対する回答を生成する回答モデルを用いて行うかを決定する(ステップS101)。質問に対する回答を回答者が行う場合に(ステップS102でYes)、回答者決定部102は、回答者の候補の学習コンテンツへの対応可否の情報を基に、質問に対する回答を行う回答者を決定する(ステップS103)。また、回答モデルを用いて回答を行う場合に(ステップS102でNo)、出力部103は、質問を入力として回答モデルが生成した回答のデータを出力する(ステップS104)。
【0077】
本実施形態の学習支援システム100は、回答者が行うか回答モデルを用いて行うかを決定し、回答者が行う場合に、学習コンテンツへの対応の可否の情報を基に回答者を決定している。そのため、学習支援システム100は、学習者からの質問に対する回答を、回答者または回答モデルのいずれかによって行うことができるので、回答者への依存を抑制しつつ、質問への回答を行うことができる。
【0078】
第1の実施形態の学習支援システム10および第2の実施形態の学習支援システム100における各処理は、コンピュータプログラムをコンピュータで実行することによって行うことができる。
図10は、第1の実施形態の学習支援システム10および第2の実施形態の学習支援システム100における各処理を行うコンピュータプログラムを実行するコンピュータ200の構成の例を示したものである。コンピュータ200は、CPU201と、メモリ202と、記憶装置203と、入出力I/F(Interface)204と、通信I/F205を備えている。
【0079】
CPU201は、記憶装置203から各処理を行うコンピュータプログラムを読み出して実行する。CPU201は、CPUとGPU(Graphics Processing Unit)の組み合わせによって構成されていてもよい。メモリ202は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等によって構成され、CPU201が実行するコンピュータプログラムや処理中のデータが一時記憶される。記憶装置203は、CPU201が実行するコンピュータプログラムを記憶している。記憶装置203は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成されている。記憶装置203には、ハードディスクドライブ等の他の記憶装置が用いられてもよい。入出力I/F204は、作業者からの入力の受付および表示データ等の出力を行うインタフェースである。通信I/F205は、学習端末20との間でデータの送受信を行うインタフェースである。また、学習端末20および回答者端末30も同様の構成とすることができる。
【0080】
各処理の実行に用いられるコンピュータプログラムは、記録媒体に格納して頒布することもできる。記録媒体としては、例えば、データ記録用磁気テープや、ハードディスクなどの磁気ディスクを用いることができる。また、記録媒体としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の光ディスクを用いることもできる。不揮発性の半導体記憶装置を記録媒体として用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 学習支援システム
11 学習管理部
12 応答部
13 モデル生成部
14 回答者決定部
15 報酬算出部
16 アクセス管理部
17 記憶部
18 入力部
19 出力部
20 学習端末
30 回答者端末
100 学習支援システム
101 応答部
102 回答者決定部
103 出力部
200 コンピュータ
201 CPU
202 メモリ
203 記憶装置
204 入出力I/F
205 通信I/F