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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175597
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】圧力調整器
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
F17C13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082144
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】595099960
【氏名又は名称】株式会社群馬コイケ
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】岩井 晃二
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB12
3E172BA01
3E172EB02
3E172EB15
3E172JA01
3E172KA22
(57)【要約】
【課題】圧力が調整されたガスを供給先に供給する際に、供給先の位置の如何に関わらずホースへの負荷を軽減することができる圧力流整器を提供する。
【解決手段】圧力調整器1は、本体10と、本体に配置されガス供給源と接続される接続部11と、本体の内部に配置され接続部と接続された一次圧室14と、本体の内部に配置され圧力調整部20を介して一次圧室と接続された二次圧室16と、本体に配置され二次圧室に接続されて圧力が調整されたガスの供給先と接続される供給部12と、を有し、供給部12は、本体に対し回動可能に構成された筒体12を有し、該筒体12に形成された流路12aと二次圧室16とが接続されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に配置され、ガス供給源と接続される接続部と、
前記本体の内部に配置され、前記接続部と接続された一次圧室と、
前記本体の内部に配置され、圧力調整部を介して前記一次圧室と接続された二次圧室と、
前記本体に配置され、前記二次圧室に接続されて圧力が調整されたガスの供給先と接続される供給部と、を有し、
前記供給部は、前記本体に対し回動可能に構成された筒体を有し、該筒体に形成された流路と前記二次圧室とが接続されていることを特徴とする圧力調整器。
【請求項2】
前記二次圧室と前記供給部との間に、圧力が調整されたガスの流量を調整する流量調整部が配置されていることを特徴とする請求項1に記載した圧力調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院内の配管や工場内の配管、或いはガスボンベなどから供給された高い圧力を持ったガスを減圧して供給先に供給する圧力調整器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院や工場では、例えば酸素ガスに代表されるガスが建物に設置されたガス配管から供給されるようになっている。また、医療用酸素を充填したガスボンベを搭載したカートを酸素を必要とする患者が牽引して移動することが行われるようにもなっている。更に、工事現場ではガスボンベに充填したガスボンベを利用して鋼材の切断作業を行うのも一般的に行われている。
【0003】
このようなガス配管を通して供給されるガスやボンベから供給されるガスは、供給先が必要とする圧力よりも高いのが一般的であり、供給先が要求する圧力まで調整することが必要となる。このため、ガス配管の取出口やガスボンベの口金に、供給先に要求された圧力に調整する圧力調整器を取り付けることが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された圧力調整器は、ガスの供給源と結合する結合部と、供給源から供給されたガスを減圧する減圧部と、減圧された低圧ガスを次工程に供給する供給部を設けたケーシングを有している。この圧力調整器では、供給源から供給されたガスを次工程で要求する圧力まで減圧して供給することができる。
【0005】
特許文献1に記載された圧力調整器では、結合部はガス供給源側の構造に対応して構成されている。例えば、特許文献1のように、供給源側の構造が雄ねじを有する場合、雌ねじを有して構成されている。また、供給側の構造が雌ねじであるような場合、雄ねじを有して構成されている。
【0006】
また、特許文献1に記載された圧力調整器を含む通常の圧力調整器では、供給部はケーシングに直線状のニップルを締結して一体的に構成されているのが一般的である。そして、圧力が調整されたガスを供給先に供給する場合、ホースを取り付けたナットをニップルに締結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6253295号公報(特開2015-025527号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の如く、通常の圧力調整器では、供給部がケーシングに固定されたニップルによって構成されるため、ガスの供給先が移動した場合、この移動に伴って接続されたホースが屈曲することになる。このため、屈曲に伴うホースへの負荷が増加する虞がある。
【0009】
本発明の目的は、圧力が調整されたガスを供給先に供給する際に、ホースの屈曲に伴って生じるホースへの負荷を軽減することができる圧力流整器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明に係る代表的な圧力調整器は、本体と、前記本体に配置され、ガス供給源と接続される接続部と、前記本体の内部に配置され、前記接続部と接続された一次圧室と、前記本体の内部に配置され、圧力調整部を介して前記一次圧室と接続された二次圧室と、前記本体に配置され、前記二次圧室に接続されて圧力が調整されたガスの供給先と接続される供給部と、を有し、前記供給部は、前記本体に対し回動可能に構成された筒体を有し、該筒体に形成された流路と前記二次圧室とが接続されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る圧力調整器では、圧力が調整されたガスの供給先と接続される供給部が、本体に対し回動可能に構成された筒体を有しており、二次圧室と筒体の流路とが接続されている、このため、供給部を構成する筒体にホースを接続する際に、圧力調整器と供給先との位置関係の如何に関わらず、ホースの屈曲を軽減することができ、ホースに無理な負荷が作用することがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施例に係る圧力調整器の構成を説明する断面図である。
図2】本実施例に係る圧力調整器の要部の拡大説明図である。
図3】本実施例に係る圧力調整器の正面図である、
図4】本実施例に係る圧力調整器の構成を説明する展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る圧力調整器は、ガスの供給源から供給された高い圧力を持ったガスを供給先が要求する圧力に調整して供給するためのものである。この圧力調整器では、圧力を調整されたガスを供給先に供給する供給部が、圧力調整器の本体に対して回動可能に構成された筒体を有して構成されている。
【0014】
このため、圧力調整器に対し供給先が如何なる方向に存在しても、筒体が回動して接続されたホースに対して作用する負荷を少なくすることが可能である。即ち、圧力調整器に対する供給先の位置関係の自由度を向上させることが可能となる。
【0015】
以下、本実施例に係る圧力調整器の構成について図を用いて説明する。本実施例に於いて、圧力調整器は、圧力調整機能に加えて、供給先に供給するガスの流量を調整する機能も有する流量調整器として構成されている。特に、医療用酸素を充填したガスボンベから供給先としての患者に対し、圧力と流量を調整して供給する医療用酸素の流量調整器として構成されている。
【0016】
図に示す圧力調整器1は、ガス供給源となる医療用酸素(以下単に「酸素」という)を充填したガスボンベ(以下単に「ボンベ」という)に取り付けることが可能なように構成されている。ボンベは占有面積が小さく、容易に移動が可能であるため、医療機関に於ける診察室や治療室、手術室などに設置されたり、患者を搬送するストレッチャーやカートに搭載されて利用されるようになっている。
【0017】
尚、ガス供給源はボンベに限定するものではなく、病院や工場に於けるガス配管であっても良い。
【0018】
先ず、本実施例に係る圧力調整器1の概略構成について説明する。圧力調整器1はボンベの口金に取り付けられ、該ボンベに充填された高圧の酸素を患者に対応させて予め設定された圧力に調整すると共に流量を調整して供給すると共に、ボンベの残圧と設定流量とによっておおよそのボンベの利用可能時間を認識し得るように構成されている。
【0019】
圧力調整器1を構成する本体10の一方側の側面には、酸素の供給源となる図示しないボンベに接続される接続部11が配置されている。本体10の内部には、接続部11に連続して一次圧室14が形成されており、該一次圧室14と連続して圧力調整部20及び二次圧室16が配置されている。また、本体10の上部には圧力表示部30が配置されており、該圧力表示部30を中心として回動可能に構成された流量調整部40が配置されている。更に、本体10の他方側の側面には、二次圧室16と連続すると共に、酸素の供給先に供給する供給部12が配置されている。
【0020】
一次圧室14は、一次ガス流路14aを介して接続部11の流路11aと接続されている。また、二次圧室16は、二次ガス流路(上流側流路16a、ガス室16c、下流側流路16b)を介して供給部12の流路12aと接続されている。
【0021】
そして、接続部11から供給された高い圧力を持った酸素は流路11a、一次ガス流路14aを通って一次圧室14に流入し、圧力表示部30を構成する圧力計31によって一次圧室14の圧力(ボンベの圧力)を表示することが可能である。また、一次圧室14に流入した酸素は圧力調整部20を通過することで、予め設定された圧力まで減圧されて二次圧室16に流入する。更に、流量調整部40を操作することで、二次圧室16の減圧された酸素を設定された流量に調整し、二次ガス流路(16a~16c)を経て供給部12から酸素を必要とする患者に供給することが可能である。
【0022】
次に、圧力調整器1を構成する各部について具体的に説明する。
【0023】
本体10は、ボス状の軸部10cを有し該軸部10cを軸方向に貫通して一次圧室14が形成された一次側部材10aと、圧力調整部20を収容すると共に二次圧室16が形成された二次側部材10bと、を有している。そして、一次側部材10aと二次側部材10bを複数のねじ10dによって結合することで、本体10が構成されている。
【0024】
本体10を構成する一次側部材10aの軸部10cには、端部に圧力表示部30を構成する圧力計31が締結されており、一次圧室14に於ける酸素圧に対応して指針31aが回動することでボンベの残圧を表示し得るように構成されている。また、軸部10cの外周には流量調整部40を構成するオリフィスプレート41が、該軸部10cを中心として回動可能に嵌合している。
【0025】
接続部11は、ボンベに接続されて該ボンベに充填されている酸素を本体10に形成された一次圧室14に供給するものである。このため、接続部11は一次ガス流路14aと接続された流路11aが形成された接続管11bと、該接続管11bに回動可能に取り付けられた袋ナット11cを有している。そして、袋ナット11cをボンベの口金に締結することで、圧力調整器1をボンベに接続し得るように構成されている。
【0026】
本実施例では、接続部11は袋ナット11cを有して構成されているが、この構成に限定するものではなく、ボンベの口金の形状に対応させた構造であれば良い。例えば、ボンベの口金の形状によっては、一般にガットと呼ばれる四角い枠と、押しねじを有する構造のものがある。
【0027】
圧力調整部20は、一次圧室14に供給された高圧の酸素を予め設定された圧力に減圧する機能を有する。このため、圧力調整部20は、一次圧室14に設けたノズル21と、該ノズル21と対向して配置されたケレップ23を有するピストン22と、ピストン22を付勢するバネ24と、バネガイド25と、を有して構成されている。
【0028】
このように構成された圧力調整部20では、一次圧室14にボンベから酸素が供給されていない状態では、バネ24に付勢されたピストン22がノズル21方向に移動している。そして、一次圧室14に高圧の酸素が供給されると、この酸素の圧力がノズル21を介してケレップ23に作用し、ピストン22がバネ24の付勢力に抗してケレップ23をノズル21から離隔させるように移動する。この結果、一次圧室14に存在する高圧の酸素がノズル21を通って二次圧室16に流入し、この過程で予め設定された圧力に減圧される。
【0029】
圧力表示部30は、一次圧室14の圧力を表示する圧力計31と、該圧力計31と一体的に構成された表示枠32と、カバー33を有して構成されている。
【0030】
圧力計31は、一次圧室14の圧力に対応して回動する指針31aを有しており、ボス部31bの先端に形成されたねじが本体10を構成する一次側部材10aの軸部10cに螺合することで取り付けられている。また、ボス31bの所定位置には、スパナ掛け31cと溝31dが形成されている。そして、スパナ掛け31cにスパナを掛けて回転させることで、圧力計31を軸部10cに取り付けることが可能である。また、溝31dを介して表示枠32が固定されている。
【0031】
表示枠32は、圧力計31を収容する収容凹部32aと、該収容凹部32aと連続して形成され圧力計31のボス31bを嵌合する嵌合穴32bと、溝31dと対応する位置であって少なくとも1か所に設けた取付部32cと、収容凹部32aの上部に形成されたフランジ32dと、を有している。
【0032】
取付部32cは、嵌合穴32bの外周部分の複数か所に突起状に形成されており、夫々の取付部32cには外周側から嵌合穴32bに向けて貫通した止めねじ32c1が配置されている。止めねじ32c1は取付部32cに配置した板状のナット32c2に螺合して先端が圧力計31の溝31dを押圧することで、圧力計31と表示枠32を一体化させている。そして、止めねじ32c1にロックナット32c3、座金31c4を締結することでゆるみを防いでいる。
【0033】
フランジ32dには複数の窓32d1~32d4が形成されている。窓32d1は酸素の設定流量値を表示するものであり、後述する流量調整部40を構成する表示部材43に設定された設定値と対応する位置、例えばフランジ32dの外周側の所定位置に形成されている。また、窓32d2~32d4はボンベの使用可能時間の目安を表示するものであり、圧力計31の目盛5、10、15と対応する位置であって、フランジ32dの圧力計31に接近した内周側に形成されている。
【0034】
そして、表示枠32の嵌合穴32bに圧力計31のボス31bを嵌合し、窓32d2~32d4を夫々圧力計31の目盛5、10、15に対向させた後、止めねじ32c1を締結することで、圧力計31と表示枠32を一体化させ、更にカバー33によって上表面を被蓋している。従って、圧力計31と表示枠32は一次側部材10aの軸部10cに固定されることで本体10と一体化している。
【0035】
流量調整部40は、圧力調整部20に於いて圧力が調整された酸素を目的の患者に対応させて予め設定された流量に調整する機能を有する。このため、流量調整部40は、二次圧室16に接続された上流側流路16a、下流側流路16cを横断するように配置されたオリフィスプレート41と、オリフィスプレート41を回動させるハンドル42と、設定流量の値と利用可能な時間の目安が表示された表示部材43と、を有している。
【0036】
オリフィスプレート41は、プレート41aと、プレート41aの中心に形成されたボス41bと、ボス41bの先端に形成された取付部41cと、を有している。そして、ボス41bを本体10を構成する一次側部材10aの軸部10cに嵌挿することで、該軸部10cを中心として回動し得るように構成されている。
【0037】
オリフィスプレート41のプレート41aには、予め設定された円周上であって等角度に分割された位置に異なる径を有する複数のオリフィス41dと、オリフィス41dが形成された円周とは異なる円周上に貫通孔41eが形成されている。オリフィスプレート41のボス41bを一次側部材10aの軸部10cに嵌挿したとき、プレート41aが二次圧室16と供給部12を接続する二次ガスの流路を横断して配置されることで、二次圧室16側の上流側流路16aと、供給部12側の下流側流路16cと、ガス室16bに分断している。
【0038】
そして、貫通孔41eを介して上流側流路16aとガス室16bが連通し、オリフィス41dを介してガス室16bと下流側流路16cが連通する。このため、オリフィスプレート41を回動させ、目的の流量と対応するオリフィス41dを選択して上流側流路16aと下流側流路16cを横断するように配置することで、配置されたオリフィス41dの径に対応した酸素流量に調整することが可能である。
【0039】
ハンドル42は、圧力調整器1を操作する際にオリフィスプレート41と表示部材43を同時に回動させるものである。ハンドル42にはオリフィスプレート41のボス41bに嵌合する嵌合穴42aが形成されている。そして、嵌合穴42aをボス41bに嵌合させると共にボス41bの先端に形成された取付部41cに対し、例えばスナップリングなどの固定部材45を利用して固定されている。そしてボス41bには少なくとも1面取り等の形状で、嵌合穴42aも対応した嵌合穴が形成されており、位置決め及び回転止めとなっている。
【0040】
ハンドル42の上部には表示部材43を受け入れる凹部42bと複数の係止部42cが形成されており、側面には開口42dが形成されている。この開口42dは、圧力表示部30の圧力計31を一次側部材10aの軸部10cに締結する際に、スパナやレンチを通すためのものである。
【0041】
即ち、図3に示すように、予め圧力標示部30と流量調整部40を構成するハンドル42を組み合わせておき、開口42dからスパナを差し込んでスパナ掛け31cを利用して回転させることで、圧力計31を軸部10cに固定することが可能である。また、表示枠32には複数の取付部32cが形成されているため、本体10に固定された圧力計31に対し、一つの取付部32cを開口42dに対向させてレンチを通して止めねじ32cを締め付けた後、ハンドル42を回動させて他方の取付部32cに対向させて止めねじ32cを締め付けることで、圧力計31に表示枠32を固定することが可能である。
【0042】
表示部材43は、流量の設定値とこの設定値に対応させたボンベの利用可能な時間の目安を表示する機能を有するものであり、中心には圧力表示部30を構成する表示枠32aの外径よりも大きい穴43aが形成されている。また、外周にはフック状の係合部43bが形成されており、該係合部43bによってハンドル42に形成された係止部42cに取付られている。
【0043】
従って、表示部材43はハンドル42に対し一体的に構成されることとなり、ハンドル42を回動させることによって、オリフィスプレート41、表示部材43は圧力計31を中心として同時に同方向に回動する。
【0044】
表示部材43の表面であって圧力標示部30を構成する表示枠32のフランジ32dに形成された窓32d1と対応する円周上に、数字からなる複数の設定値43cが表示されている。また、窓32d2~32d4と対応する円周上に夫々利用可能な時間の目安となる目安値43dが表示されている。
【0045】
設定値43cは、単位時間当たりの流量(リットル毎分)例えば0.25、1、2、3のように数字によって表示されている。また、目安値43dは、設定された流量と圧力計31によって表示されている圧力(5、10、15)に対応して表示される。このため、ある設定値43cとして0.5(毎分0,5リットル)が選択されたとき、圧力5に対応した窓32d2には利用可能な時間対応した目安値43dが表示され、同様に窓32d3、~32d4にも夫々対応した圧力10、圧力15に対応した目安値43dが表示される。
【0046】
目安の表示形態は特に限定するものではなく、時間で表示しても良く、また注意を引きやすい色表示であっても良い。本実施例では、利用し得る時間が十分にある場合は緑で、利用可能な時間が短い場合は赤で、その中間は黄色で表示している。
【0047】
従って、設定流量を変化させることなく利用時間が経過すると、圧力計31の指針31aが指す圧力の表示値15~10~5と小さくなるのに伴って、指針31aが指す目安値43dの表示内容が変化してゆく。このため、利用している患者や操作を担当している者は、指針31aが指している目安値43dを視認することで、利用可能な時間のおおよそ目安を認識することが可能である。
【0048】
上記したように、圧力の表示値に対応して表示される目安は設定された流量値に対応している。このため、例えば設定流量値が大きい場合、圧力の表示値が大きい場合でも利用可能な時間は少ないことを表示するように設定されている。また、設定流量値が小さい場合、圧力の表示値が小さい場合でも利用可能な時間は長いことを表示するように設定されている。
【0049】
また、流量の設定値が同じでも利用可能な時間はボンベの容量に応じて変化するため、
表示部材43は、ボンベの容量ごとに対応させたものが用意される。例えば、ボンベの容量が大きい場合、設定流量値が大小に関わらず、容量の小さいボンベと比較して利用可能な時間が長くなることを表示している。
【0050】
流量設定部40で流量が調整された酸素は、オリフィスプレート41のオリフィス41dを通って下流側流路16cから流路12aに流入し、供給部12から患者に供給される。
【0051】
供給部12はガスの供給先に要求された圧力と流量に調整されたガスを供給するものである。このため、供給先がガスを受ける部位の構成に対応させた端部形状を有している。即ち、供給先がホース継手を有しているような場合、供給部12は端部にねじを形成したニップルとして構成され、また、供給先がチューブでガスを受けるような場合、チューブを差し込むことが可能な構造に構成されている。
【0052】
供給部12は内部に流路12aが形成された筒体12によって構成されている。この筒体12の形状は特に限定するものではなく、所定の半径でベント状に屈曲していて良く、略直角にエルボ状に屈折していても良い、更に、直線状であっても良い。
【0053】
供給部12を構成する筒体12の一方の端部が本体10の二次側部材10bに対し回動可能に挿通されている。この筒体12を二次側部材10bに挿通したとき、該二次側部材10bに形成された下流側流路16cに対向する位置には全周にわたって溝12cが形成されており、該溝12cと流路12aを連通して貫通孔12dが形成されている。
【0054】
溝12cから離隔した位置に全周にわたって案内溝12eが形成されており、該案内溝12eに二次側部材10bに配置された案内ピン17が嵌合しており、この案内ピン17が供給部12の抜止め機能を発揮している。更に、溝12cと案内溝12eを挟んで一対の軸受け18が配置されると共に、両溝12c、12eの間にガスの漏洩を防ぐシールリング19が配置されている。
【0055】
上記の如く構成された供給部12では、圧力調整部20、流量調整部40を経て、供給先が要求する圧力及び流量に調整されたガスが下流側流路16cから溝12c、貫通孔12d、流路12aを通して目的の供給先に供給することが可能である。
【0056】
特に、筒体12にホース或いはチューブを接続する際には、供給先の位置或いは方向が圧力調整器に対して如何なる位置や方向であっても、筒体12はホースなどが延長された方向に向かって回動することが可能である。このため、筒体12に接続されたホースなどに無理なねじれや曲がりが生じることがなく、ホースなどに作用する負荷を小さくすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る圧力調整器は、ガスボンベに利用したとき利用可能な時間の目安を認識することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 圧力調整器
10 本体
10a 一次側部材
10b 二次側部材
10c 軸部
10d ねじ
11 接続部
11a、12a 流路
11b 接続管
11c 袋ナット
12 供給部、筒体
12c 溝
12d 貫通孔
12e 案内溝
14 一次圧室
14a 一次ガス流路
16 二次圧室
16a 上流側流路
16b ガス室
16c 下流側流路
17 案内ピン
18 軸受
19 シールリング
20 圧力調整部
21 ノズル
22 ピストン
23 ケレップ
24 バネ
25 バネガイド
30 圧力表示部
31 圧力計
31a 指針
31b ボス部
31c スパナ掛け
31d 溝
32 表示枠
32a 収容凹部
32b 嵌合穴
32c 取付部
32c1 止めねじ
32c2 ナット
32c3 ロックナット
32c4 座金
32d フランジ
32d1~32d4 窓
33
40 流量調整部
41 オリフィスプレート
41a プレート
41b ボス
41c 取付部
41d オリフィス
41e 貫通孔
42 ハンドル
42a 嵌合穴
42b 凹部
42c 係止部
42d 開口
43 表示部材
43a 穴
43b 係合部
43c 設定値
43d 目安値
45 固定部材
図1
図2
図3
図4