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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175613
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】フィルム組立体
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20221117BHJP
【FI】
E04B2/74 561H
E04B2/74 561L
E04B2/74 541P
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082183
(22)【出願日】2021-05-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】521208387
【氏名又は名称】佐武 均
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】佐武 均
(57)【要約】
【課題】流体を流出し易い流路を有するフィルム組立体が提供される。
【解決手段】膨張及び収縮可能なフィルム組立品100は、互いに重なったフィルム部110を有する。フィルム部110は、流体を貯留可能な空間部120と、空間部120の内側と外側とを流体連通する流路130と、を有する。流路130は、フィルム部110の端部に設けられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通する流路と、を有し、
前記流路は、前記フィルム部の端部に設けられている、膨張及び収縮可能なフィルム組立品。
【請求項2】
前記流路は、前記フィルム部の折り曲げラインと、前記フィルム部の互いに重なった部分に形成された溶着部との間に形成されている、請求項1に記載のフィルム組立品。
【請求項3】
前記溶着部は、前記フィルム部の端部から前記空間部に向かって延びており、前記流路の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部を有する、請求項1又は2に記載のフィルム組立品。
【請求項4】
前記拡径部は湾曲している、請求項3に記載のフィルム組立品。
【請求項5】
前記空間部を、互いに流体連通した複数の区画に分ける少なくとも1つの溶着ラインと、前記複数の区画を互いに流体的に連通する連通部と、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルム組立品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溶着ラインが重力方向に沿うように前記フィルム組立品を立てる土台を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルム組立品。
【請求項7】
前記フィルム組立品はパーティションである、請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルム組立品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂からなる合成樹脂フィルムをヒートシールすることによって形成されたフィルム成形品が知られている。特許文献1~3は、内部に気体や液体等の流体を溜めることによりフィルムバルーン状となるフィルム成形体を開示する。
【0003】
特許文献1には、逆止弁としても作用する特定構造の気体供給弁を有する風船が開示されている。特許文献2には、樹脂フィルムとは別部品の逆止弁を用いることなく、逆止弁作用のある気道を形成した構成の合成樹脂フィルム製の風船体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2017/043519号
【特許文献2】特開2012-148780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載されたフィルム成形体では、逆止弁作用のある気道から流体を外部へ出しにくかったりすることがある。
【0006】
したがって、流体を流出し易い流路を有するフィルム組立体や、それを含む物品が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る膨張及び収縮可能なフィルム組立品は、互いに重なったフィルム部を有する。前記フィルム部は、流体を貯留可能な空間部と、前記空間部の内側と外側とを流体連通する流路と、を有する。前記流路は、前記フィルム部の端部に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、流体を流出し易い流路を有するフィルム組立体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るフィルム組立体の斜視図である。
図2】第1実施形態に係るフィルム組立体の正面図である。
図3】第1実施形態に係るフィルム組立体の上面図である。
図4】第1実施形態に係るフィルム組立体の背面図である。
図5】第1実施形態に係るフィルム組立体の右側面図である。
図6】第1実施形態に係るフィルム組立体の左側面図である。
図7】第1実施形態に係るフィルム組立体の底面図である。
図8】第1実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。
図9】第1実施形態に係るフィルム組立体の分解図である。
図10図1の領域10A付近の拡大斜視図である。
図11】第2実施形態に係るフィルム組立体の斜視図である。
図12】第2実施形態に係るフィルム組立体を立てるための土台の斜視図である。
図13】第2実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造の一例を示す模式図である。
図14】第3実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。
図15】第4実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。
図16】第5実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。
図17】第6実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
図18】第7実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
図19】第8実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
図20】第9実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
図21】第10実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
図22】第11実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
図23】第12実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
図24】第13実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るフィルム組立体の斜視図である。図2は、第1実施形態に係るフィルム組立体の正面図である。図3は、第1実施形態に係るフィルム組立体の上面図である。図4は、第1実施形態に係るフィルム組立体の背面図である。図5は、第1実施形態に係るフィルム組立体の右側面図である。図6は、第1実施形態に係るフィルム組立体の左側面図である。図7は、第1実施形態に係るフィルム組立体の底面図である。図8は、第1実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。図9は、第1実施形態に係るフィルム組立体の分解図である。図10は、図1の領域10A付近の拡大斜視図である。
【0012】
第1実施形態に係るフィルム組立体100は、空間を仕切るパーティションである。パーティションは、特に制限されないが、例えば室内や屋外の空間を仕切るものであってもよく、机の一部を仕切るものであってもよい。パーティションは、例えば人のパーソナル空間を仕切るものであってよい。
【0013】
フィルム組立体100は、互いに重なったフィルムを含むフィルム部110を有する。フィルム部110を構成する材料は、例えば熱可塑性の合成樹脂フィルムであってよい。フィルム部110を構成する材料は、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂等であってよい。
【0014】
フィルム部は、2枚のフィルムが重ねられたものによって構成されていてもよく、1枚のフィルムが折り曲げられて重ねられたものによって構成されていてもよい。
【0015】
フィルム部110は、気体を貯留可能な空間部120と、空間部120の内側と外側とを流体連通する流路130と、を有する。流路130の一方は、フィルム部110の外側に開放されていてよく、流路130の他方は、空間部120に連通されていてよい。空間部120及び流路130は、互いに重なったフィルム同士の間に構成される。具体的には、空間部120及び流路130の形状は、互いに重なったフィルムどうしを熱溶着した熱溶着部によって形成されていてよい。
【0016】
第1実施形態では、フィルム部110の上辺が、フィルム部の折り曲げラインFに相当する。すなわち、フィルム部110の上辺は、フィルムを折り曲げることによって形成されたラインに相当する。ここで、「上辺」は、本図面中で上側に位置するために使用された用語であり、必ずしもフィルム組立体の使用中に重力方向の上方に向けられることを意味する必要はないことに留意されたい。
【0017】
フィルム部110の上辺と流路130の入口の部分除く、フィルム部の側辺は、熱溶着された溶着部140を有していてよい。これにより、空間部120は、流路130のところを除き、熱溶着部140及び折り曲げラインFによって囲まれている。これにより、空間部120内に流入された気体は、流路130以外のところから実質的に流出しない。
【0018】
図示した態様の代わりに、フィルム部の折り曲げラインFはフィルム部110の上辺以外の箇所に位置していてもよい。また、折り曲げラインFは、フィルム部110の複数の辺に位置していても良い。例えば、折り曲げラインFは、フィルム部の上辺と下辺の両方に位置していてよい。この場合、フィルム部110の両側辺が熱溶着部140であってよい。このようなフィルム部110は、筒状のフィルムの2辺に熱溶着部140を形成することによって作製できる。
【0019】
流路130は、空間部120内に気体を流入するため、及び/又は空間部120内から気体を流出させるために利用される。流路130を介して外部から気体を空間部120内に流入させることによって、パーティションは膨張可能になっている。また、流路130を介して気体を空間部120から流出させることによって、パーティションは収縮可能になっている。
【0020】
流路130は、気体の流入口及び/又は流出口135を有していてよい。流入口及び/又は流出口135は、例えば互いに重なったフィルムのうちの一方に入れられた切断ラインであってよい。流路130を後述するような逆止弁として機能させる場合、流入口及び/又は流出口135が切断ラインであると、気体の自然な流出をより抑制することができる。
【0021】
流入口及び/又は流出口135は、前述した切断ラインに限らず、互いに重なったフィルムのうちの一方を部分的に除去した切断口であってもよい。
【0022】
フィルム組立体100は、空間部120を、互いに流体連通した複数の区画122に分ける少なくとも1つの溶着ラインLを有することが好ましい。すなわち、フィルム組立体100は、気体を貯留可能な複数の区画122を有していてよい。この場合、互いに隣接する区画122は、流体的に連通していてよい。
【0023】
第1実施形態では、複数の区画122が、一方向に並んで配置されている。それぞれの区画122は、概ね折り曲げラインFや溶着ラインLに囲まれており、これにより気体を貯留可能に構成されている。
【0024】
互いに隣接する区画122を区切る溶着ラインLは、互いに隣接する区画122どうしを完全に分離していなくてよい。すなわち、フィルム組立体100は、互いに隣接する区画122どうしを流体的に連通する連通部150を有していてよい。連通部150は、フィルム部110の溶着されていない部分によって構成されていてよい。連通部150により、互いに隣接する区画122どうしが流体的に連通する。
【0025】
第1実施形態では、各々の区画122は、縦方向(図8の紙面上下方向)に沿って延びている。言い換えると、区画122同士を区切る溶着ラインLが、縦方向に沿って延びている。これにより、フィルム組立体100としてのパーティションは、縦方向に沿った溶着ラインLのところで任意に曲げられるよう構成される。
【0026】
図1では、パーティションは、2つの溶着ラインLのところで曲げられており、上面視で略U字形に形成されている。これに限らず、パーティションは、溶着ラインLのところで任意に曲げられていてよい。この代わりに、パーティションは、自立可能であれば、溶着ラインLのとことで曲げられていなくてもよい。
【0027】
縦方向における連通部150の長さL1の下限は、例えば、互いに隣接する区画122同士の間を気体がスムーズに移動可能な長さであってよい。縦方向における連通部150の長さは、例えば3mm以上、好ましくは5mm以上、いっそう好ましくは8mm以上であってよい。なお、長さL1は、空間部120に気体が入っていない状態で測定された長さであってよい。
【0028】
縦方向における連通部150の長さL1の上限は、例えば、パーティションを溶着ラインLのところで折り曲げ可能にすることを考慮して決定すればよい。縦方向における連通部150の長さは、例えば50mm以下、好ましくは40mm以下、いっそう好ましくは30mm以下であってよい。
【0029】
流路130は、フィルム部110の端部に設けられていてよい。フィルム部110の端部は、フィルム部110の最も端の1点に限られず、フィルム部110の最も端に近い領域を意味する。流路130が、フィルム部110の端部に設けられることで、流路130の形状が安定し易く、空間部120内の空気を流出させ易くなるというメリットが得られる。
【0030】
具体的には、空間部120が気体で膨らんだ状態において、流路130は、気体の圧力やフィルムの歪みによって歪むため、空間部120内の気体は流路130を通って外部に流出し難くなる。流路130が、フィルム部110の端部に存在すると、手でフィルム部110をかるく伸ばすだけで流路130を真っすぐにし易いので、空間部120内の気体を流路130を通して流出させ易くなる。
【0031】
流路130は、フィルム部110の折り曲げラインFと、フィルム部110の溶着部160との間に形成されていることが好ましい。この場合、溶着部160は、フィルム部110の折り曲げラインFに沿って形成されていてよい。これにより、流路130は、1本の溶着部160により筒状に囲まれたフィルムによって形成される。この場合、流路130の形状が、より安定し易いので、気体を流入及び/又は流出し易い流路が形成され易い。
【0032】
第1実施形態では、流路130は、フィルム部110の折り曲げラインFと、折り曲げラインFに並行する溶着部160との間に形成されている。この代わりに、流路130は、一対の溶着部160どうしの間に形成されていてもよいし、フィルム部110の端部の溶着部140とそれに並行する溶着部160との間に形成されていてもよい。例えば、溶着部160は、図8において、フィルム部110の左端の溶着部140から離れた位置で、当該溶着部140に略平行に縦方向に延びるよう形成されていてよい。この場合であっても、フィルム部110の端部の溶着部140とそれに並行する溶着部160との間に流路130を形成できる。
【0033】
流路130は、逆止弁として機能することが好ましい。この場合、空間部120に気体が流入されたとき、流路130を通して気体が自然に流出することを抑制することができる。なお、ストローのような道具を流路130の切断ライン135から流路130内に通すことによって、空間部120に気体が流入させたり、空間部120から気体を流出させたりすることができる。
【0034】
流路130の逆止弁として機能を十分に発揮させるため、フィルム部110を構成する樹脂材料の厚みは、例えば20μm~200μm、好ましくは40~180μm、より好ましくは60~120μmであってよい。また、同様の観点から、流路130の長さは、例えば10mm~150mm、好ましくは30~120mm、より好ましくは50~100mmであってよい。同様の観点から、流路130の幅は、例えば2~15mm、より好ましくは5~10mmであってよい。
【0035】
フィルム組立体100を使用しない場合、空間部120から気体を流出することによって、フィルム部110を折り畳んだり、巻きまわしたりすることによって、フィルム組立体100をコンパクトに収納することができる。さらに、持ち運び可能なパーティションを実現することができる。
【0036】
フィルム組立体100は、フィルム組立品を立てる土台190を有していてよい。フィルム部110が単独で自立可能であれば、土台190は不要である。土台190は、フィルム部110に対して着脱可能に構成されていてよい。
【0037】
土台190は、好ましくは、少なくとも1つの溶着ラインLが重力方向に沿うようにフィルム組立品を立てるよう構成されていてよい。この場合、溶着ラインLを基点にフィルム部110を折り曲げた状態でフィルム組立品を立てることができるので、フィルム組立品の形状(上面から見た時の形)を柔軟に変更することができる。
【0038】
第1実施形態では、土台190は、フィルム部110の溶着ラインLのところを挟む一対の挟持部192と、設置面に接する底面194と、を有していてよい。図10に示すように、土台190は、例えば一対の挟持部192により2つの溶着ラインLを挟んで保持することによって、フィルム組立品を安定的に立てていてよい。
【0039】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図11は、第2実施形態に係るフィルム組立体の斜視図である。図12は、第2実施形態に係るフィルム組立体を立てるための土台の斜視図である。
【0040】
以下において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0041】
第2実施形態において、フィルム組立品のフィルム部110の構成は、第1実施形態と同様である。第2実施形態では、土台190の構成が、第1実施形態と異なっている。第2実施形態において、土台190は、設置面に接する底部198と、フィルム部110を支持する支持棒196と、を有する。
【0042】
支持棒196は、土台190から上方に向かって延びている。支持棒196は、例えば粘着材等によってフィルム部110に粘着されていてよい。この代わりに、フィルム部110に支持棒196を受け入れ可能な筒状の孔部を形成しておき、支持棒196を筒状の孔部に挿入することによって、フィルム組立品を保持しても良い。
【0043】
図13は、第2実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造の一例を示す模式図である。図13に示されているように、フィルム部110に支持棒196を下方から受け入れ可能な筒状の孔部111が形成されている。支持棒196は、孔部111に挿入可能に構成されている。フィルム部110は、支持棒196の設置個所を変えられるよう複数の孔部111を有していてよい。
【0044】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図14は、第3実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。以下において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0045】
第3実施形態において、空間部120の各区画122を区切る溶着ラインLは、フィルム部110両方の端に達していない。これにより、各区画122を流体的に連通する連通部150は、フィルム部110の上部と下部の2か所に形成される。このように、互いに隣接する区画122どうしを連通する連通部150は、複数存在していてよい。
【0046】
各々の連通部150の長さについては、第1実施形態で説明したとおりである。第3実施形態において、互いに隣接する区画122どうしを連通する連通部150が複数存在することで、各々の連通部150の長さを長くすることなく、互いに隣接する区画122どうしを連通する領域を大きくすることができる。これにより、流路130から流入した気体は、互いに隣接する区間122に移動し、全区画122に行き渡り易くなる。
【0047】
図14に示すように、各々の溶着ラインLの端部は、溶着領域の広がった拡径部180を有していてもよい。これにより、溶着ラインLがしっかりと溶着され、溶着ラインLにおけるフィルムの剥がれを抑制できる。好ましくは、拡径部180は略円形に湾曲している。これにより、拡径部180が先鋭に尖った角を有する場合と比較すると、拡径部180としての溶着部分がはがれにくくなる。
【0048】
[第4実施形態]
第4実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図15は、第4実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。以下において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0049】
第4実施形態において、各区画122を流体的に連通する連通部150は、フィルム部110の上部と中部の2か所に形成される。このように、互いに隣接する区画122どうしを連通する連通部150は、複数存在していてよい。
【0050】
各々の連通部150の長さについては、第1実施形態で説明したとおりである。第4実施形態において、互いに隣接する区画122どうしを連通する連通部150が複数存在することで、各々の連通部150の長さを長くすることなく、互いに隣接する区画122どうしを連通する領域を大きくすることができる。これにより、流路130から流入した気体は、互いに隣接する区間122に移動し、全区画122に行き渡り易くなる。
【0051】
また、第4実施形態では、溶着ラインLがフィルム部120の下端まで達している。これにより、フィルム部120の下端の剛性が確保され易いため、フィルム組立体100を立てやすくなる。また、溶着ラインLがフィルム部120の下端まで達することにより、溶着ラインLを挟む土台190を取り付け易いというメリットも生じる。
【0052】
図15に図示されていないが、各々の溶着ラインLの端部は、第3実施形態と同様に拡径部180を有していてもよい。
【0053】
[第5実施形態]
第5実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図16は、第5実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路、溶着部及び溶着ラインの構造を示す模式図である。以下において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0054】
第5実施形態において、各区画122を流体的に連通する連通部150は、フィルム部110の上部と中部と下部の3か所に形成される。このように、互いに隣接する区画122どうしを連通する連通部150は、複数存在していてよい。
【0055】
各々の連通部150の長さについては、第1実施形態で説明したとおりである。第5実施形態において、互いに隣接する区画122どうしを連通する連通部150が複数存在することで、各々の連通部150の長さを長くすることなく、互いに隣接する区画122どうしを連通する領域をより大きくすることができる。これにより、流路130から流入した気体は、互いに隣接する区間122に移動し、全区画122により行き渡り易くなる。
【0056】
図16に図示されていないが、各々の溶着ラインLの端部は、第3実施形態と同様に拡径部180を有していてもよい。
【0057】
[第6実施形態]
第6実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図17は、第6実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0058】
第6実施形態に係るフィルム組立体100は、バルーンである。バルーンは、例えば玩具、袋、緩衝材、又は空気入りのノベルティ製品等の用途に使用できる。フィルム組立体100は、互いに重なったフィルムを含むフィルム部110を有する。フィルム部110を構成する材料は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0059】
フィルム部は、2枚のフィルムが重ねられたものによって構成されていてもよく、1枚のフィルムが折り曲げられて重ねられたものによって構成されていてもよい。
【0060】
フィルム部110は、気体を貯留可能な空間部120と、空間部120の内側と外側とを流体連通する流路130と、を有する。第6実施形態では、空間部120は、複数の区画に仕切られていない。
【0061】
第6実施形態では、流路130は、フィルム部110の折り曲げラインLとフィルム部110の溶着部160との間に形成されている。この代わりに、流路130は、フィルム部110の溶着部同士の間に形成されていてもよい。流路130の幅や長さについては、第1実施形態で説明したとおりである。
【0062】
[第7実施形態]
第7実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図18は、第7実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第6実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第6実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0063】
第7実施形態では、空間部120が、流路130の側方に隣接しない位置に設けられている。具体的には、流路130を構成する溶着部160の横に空間部120が位置しないよう、空間部120を規定する溶着部140が設けられている。これにより、流路130を構成する溶着部160の先端が終端しないため、気体の圧力による溶着部160のはがれを抑制することができる。
【0064】
[第8実施形態]
第8実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図19は、第8実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第6実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第6実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0065】
第8実施形態では、空間部120は、折り曲げラインFと溶着部140とによって規定されている。また、流路130は、フィルム部110の折り曲げラインLとフィルム部110の溶着部160の間に形成されている。
【0066】
流路130を規定する溶着部160は、フィルム部110の端部から空間部120に向かって延びており、流路130の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部170を有する。これにより、空間部120は、その幅を部分的に狭くするよう括れる。この括れにより、空間部120を膨らませた状態で自然に気体が流出し難くなり、逆止弁としての機能が向上する。この拡径部170の形状によりシール性が良くなり、空間部120を膨らませたときの剥がれや破れを抑制することができる。
【0067】
また、第8実施形態では、拡径部170は湾曲している。これにより、拡径部170が先鋭に尖った角を有する場合と比較すると、拡径部170としての溶着部分がはがれにくく、逆止弁としての機能が劣化することを抑制することができる。
【0068】
[第9実施形態]
第9実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図20は、第9実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第6実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第6実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0069】
第9実施形態では、第7実施形態と同様に、空間部120は、流路130の側方に隣接しない位置に設けられている。また、第8実施形態と同様に、流路130を規定する溶着部160は、フィルム部110の端部から空間部120に向かって延びており、流路130の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部170を有する。
【0070】
[第10実施形態]
第10実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図21は、第10実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第6実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第6実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0071】
第10実施形態では、第8実施形態と同様に、流路130を規定する溶着部160は、フィルム部110の端部から空間部120に向かって延びており、流路130の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部170を有する。これにより、空間部120は、その幅を部分的に狭くするよう括れる。この括れにより、空間部120を膨らませた状態で自然に気体が流出し難くなり、逆止弁としての機能が向上する。
【0072】
第10実施形態では、拡径部170としての溶着部は、湾曲しておらず、長方形又は正方形形状となっている。このような形状の溶着部は、容易に形成できるというメリットがある。
【0073】
[第11実施形態]
第11実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図22は、第11実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第6実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第6実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0074】
第11実施形態では、流路130を規定する折り曲げラインL上に、流路130の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部170を有する。拡径部170は、フィルム部110を溶着した溶着部によって形成されている。具体的には、拡径部170は、第10実施形態で示された位置、すなわち溶着部160と反対側に設けられている。
【0075】
[第12実施形態]
第12実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図23は、第12実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第6実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第6実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0076】
流路130を規定する溶着部160は、フィルム部110の端部から空間部120に向かって延びており、流路130の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部170を有する。第12実施形態では、拡径部170は湾曲している。これにより、空間部120は、その幅を部分的に狭くするよう括れる。この括れにより、空間部120を膨らませた状態で自然に気体が流出し難くなり、逆止弁としての機能が向上する。
【0077】
[第13実施形態]
第13実施形態に係るフィルム組立品ついて説明する。図24は、第13実施形態に係るフィルム組立体の空間部、流路及び溶着部の構造を示す模式図である。以下において、第6実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されていることに留意されたい。以下では、第6実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがある。
【0078】
流路130を規定する折り曲げラインLは、流路130の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部170を有する。拡径部170は、フィルム部110を溶着した溶着部によって形成されている。第12実施形態では、拡径部170は湾曲している。拡径部170は、第12実施形態で示された位置、すなわち溶着部140と反対側に設けられている。
【0079】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0080】
例えば、各実施形態で説明された各特徴は、可能な限り、相互に置き換え及び/又は組み合わせることができる。例えば、第8実施形態、第10実施形態及び第12実施形態で説明した流路130を規定する溶着部の拡径部170の特徴は、第1~5実施形態で説明したパーティションについても適用可能である(例えば図14参照)。
【0081】
第6~第13実施形態に係るフィルム組立体のフィルム部は、空間部が空気を含まない場合に略長方形状であったが、これに制限されない。フィルム部の形状は、例えばハート形や星形等であってもよい。この場合、流路130はハート形や星形の側辺に沿って設けられていてよい。
【0082】
また、上記実施形態では、フィルム部の空間部に気体を流入/流出させる態様について説明したが、液体がフィルム部の空間部に流入/流出してもよい。したがって、空間部は、流体を貯留可能な要素であってよい。
【0083】
前述した実施形態の説明から例えば以下のような発明も読み取れることに留意されたい。
パーティションであって、
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通する流路と、を有する、パーティション。
【符号の説明】
【0084】
100 フィルム組立体
110 フィルム部
120 空間部
122 区画
130 流路
190 土台
F 折り曲げライン
L 溶着ライン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2022-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通する流路と、を有し、
前記流路は、前記フィルム部の折り曲げラインと、前記フィルム部の互いに重なった部分に形成された溶着部とによって規定された筒状のフィルム部分により形成されている、膨張及び収縮可能なフィルム組立品。
【請求項2】
前記溶着部は、前記フィルム部の端部から前記空間部に向かって延びており、前記流路の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部を有する、請求項1に記載のフィルム組立品。
【請求項3】
前記拡径部は湾曲している、請求項に記載のフィルム組立品。
【請求項4】
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通する流路と、を有し、
前記溶着部は、前記フィルム部の端部から前記空間部に向かって延びており、前記流路の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部を有し、
前記拡径部は湾曲している、膨張及び収縮可能なフィルム組立品。
【請求項5】
前記空間部を、互いに流体連通した複数の区画に分ける少なくとも1つの溶着ラインと、前記複数の区画を互いに流体的に連通する連通部と、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルム組立品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溶着ラインが重力方向に沿うように前記フィルム組立品を立てる土台を有する、請求項5に記載のフィルム組立品。
【請求項7】
前記フィルム組立品はパーティションである、請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルム組立品。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通し、逆止弁として機能する流路と、を有し、
前記流路は、前記フィルム部の折り曲げラインと、前記フィルム部の互いに重なった部分に形成された溶着部とによって規定された筒状のフィルム部分により形成されており
前記流路は一方向に延びており、前記流路のうちの前記一方向に沿った1つの辺が前記折り曲げラインであり、前記流路のうちの前記一方向に沿ったもう1つの辺が前記溶着部である、膨張及び収縮可能なフィルム組立品。
【請求項2】
前記溶着部は、前記フィルム部の端部から前記空間部に向かって延びており、前記流路の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部を有する、請求項1に記載のフィルム組立品。
【請求項3】
前記拡径部は湾曲している、請求項2に記載のフィルム組立品。
【請求項4】
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通する流路と、を有し、
前記溶着部は、前記フィルム部の端部から前記空間部に向かって延びており、前記流路の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部を有し、
前記拡径部は湾曲している、膨張及び収縮可能なフィルム組立品。
【請求項5】
前記空間部を、互いに流体連通した複数の区画に分ける少なくとも1つの溶着ラインと、前記複数の区画を互いに流体的に連通する連通部と、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルム組立品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溶着ラインが重力方向に沿うように前記フィルム組立品を立てる土台を有する、請求項5に記載のフィルム組立品。
【請求項7】
前記フィルム組立品はパーティションである、請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルム組立品。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通し、逆止弁として機能する流路と、を有し、
前記流路は、前記フィルム部の折り曲げラインと、前記フィルム部の互いに重なった部分に形成された溶着部とによって規定された筒状のフィルム部分により形成されており、
前記流路は一方向に延びており、前記流路のうちの前記一方向に沿った1つの辺が前記折り曲げラインであり、前記流路のうちの前記一方向に沿ったもう1つの辺が前記溶着部である、膨張及び収縮可能なフィルム組立品。
【請求項2】
前記溶着部は、前記フィルム部の端部から前記空間部に向かって延びており、前記流路の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部を有する、請求項1に記載のフィルム組立品。
【請求項3】
前記拡径部は湾曲している、請求項2に記載のフィルム組立品。
【請求項4】
互いに重なったフィルム部を有し、
前記フィルム部は、
流体を貯留可能な空間部と、
前記空間部の内側と外側とを流体連通する流路と、
前記フィルム部の互いに重なった部分に形成され、前記流路に沿って設けられた溶着部と、を有し、
前記溶着部は、前記フィルム部の端部から前記空間部に向かって延びており、前記流路の幅を部分的に狭くするよう広がった拡径部を有し、
前記拡径部は湾曲している、膨張及び収縮可能なフィルム組立品。
【請求項5】
前記空間部を、互いに流体連通した複数の区画に分ける少なくとも1つの溶着ラインと、前記複数の区画を互いに流体的に連通する連通部と、を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルム組立品。
【請求項6】
前記少なくとも1つの溶着ラインが重力方向に沿うように前記フィルム組立品を立てる土台を有する、請求項5に記載のフィルム組立品。
【請求項7】
前記フィルム組立品はパーティションである、請求項1から6のいずれか1項に記載のフィルム組立品。