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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175627
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 1/06 20060101AFI20221117BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
H01H1/06 J
H01H1/06 B
H01H1/06 K
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082209
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱川 浩二
(72)【発明者】
【氏名】竹内 元哉
(72)【発明者】
【氏名】澤田 昌俊
【テーマコード(参考)】
5G046
5G051
【Fターム(参考)】
5G046AA03
5G046AB02
5G046AC22
5G046AE27
5G051AA02
5G051AC28
5G051AC37
(57)【要約】
【課題】表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化する。
【解決手段】スイッチ装置1は、第1部材100と、第2部材120とを備える。第1部材100は、表面に存在する弁金属を含む。第2部材120は、第1部材100の表面に線接触または面接触することによって第1部材100と電気的に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に存在する弁金属を含む第1部材と、
前記第1部材の前記表面に線接触または面接触することによって前記第1部材と電気的に接続された第2部材とを備える、スイッチ装置。
【請求項2】
前記第2部材は、前記第1部材の前記表面と摺動可能である、請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
表面に存在する弁金属を含む第1部材と、
前記第1部材の前記表面と摺動可能に接触することにより前記第1部材と電気的に接続された第2部材とを備える、スイッチ装置。
【請求項4】
互いに接触している前記第1部材および前記第2部材の接触箇所は、互いに摺動可能に線接触している、仮想球面に沿った凸面とばねの中心軸方向の端縁とで構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
互いに接触している前記第1部材および前記第2部材の接触箇所は、互いに摺動可能に面接触している、同一の仮想球面に沿った凸面と凹面とで構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
互いに接触している前記第1部材および前記第2部材の接触箇所は、互いに線接触している、円周面とばねの周縁とで構成されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記第1部材は、前記仮想球面に沿った前記凸面を有しており、
前記第2部材は、前記ばねである、請求項4に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記第1部材は、円柱状の突出部を有しており、
前記第2部材は、前記ばねであり、
前記突出部は、前記ばねの内側に嵌め込まれている、請求項6に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記第1部材は、スイッチの切替操作を受け付ける操作ノブの一部を構成している、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
静電容量検出回路をさらに備え、
前記第1部材および前記第2部材は、前記操作ノブと前記静電容量検出回路との間の通電経路を構成している、請求項9に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プッシュスイッチ装置の構成を開示した先行文献として、特開2020-126779号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたプッシュスイッチ装置は、操作ノブと、タクトスイッチと、静電フィルムと、回路基板とを備える。操作ノブは、押圧操作によってタクトスイッチをオン動作させる。静電フィルムは、静電容量検出部が設けられ、回路基板と電気的に接続されている。回路基板には、静電フィルムからの静電容量検出信号を処理して操作ノブの押圧操作位置を検出する回路が実装されている。タクトスイッチのオン動作とともに、静電フィルムおよび回路基板により、操作ノブの押圧操作位置が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-126779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチ装置の通電経路の構成部材に、表面に弁金属が存在する部材が含まれる場合がある。この部材の表面に弁金属の不動態膜が形成された場合、通電経路の電気的接続が不安定になることがある。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる、スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づくスイッチ装置は、第1部材と、第2部材とを備える。第1部材は、表面に存在する弁金属を含む。第2部材は、第1部材の表面に線接触または面接触することによって第1部材と電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。
図2図1のスイッチ装置におけるII部を拡大して操作部とばねとの接触状態を示す断面図である。
図3】本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置における操作ノブが傾斜させられた状態の操作部とばねとの接触状態を示す断面図である。
図4】比較例に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。
図5】実施の形態1および比較例の各々のスイッチ装置における操作ノブと静電容量検出回路との間の通電経路の電気抵抗値の変化を示すグラフである。
図6】本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。
図7】本開示の実施の形態3に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の各実施の形態に係るスイッチ装置について図面を参照して説明する。以下の実施の形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。図2は、図1のスイッチ装置におけるII部を拡大して操作部とばねとの接触状態を示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置1は、操作ノブ10と、固定部20とを備える。スイッチ装置1は、たとえば、車両用パワーウインドの開閉を制御するスイッチに適用される。
【0012】
操作ノブ10は、第1部材と、カバー部材110とを含む。第1部材は、スイッチの切替操作を受け付ける操作ノブ10の一部を構成している。本実施の形態における第1部材は、操作部100である。
【0013】
操作部100は、スイッチを操作する際に人の指Fが接触する部分である。操作部100は、カバー部材110に嵌め込まれている。カバー部材110から露出している操作部100の一端側に指Fが接触可能になっている。
【0014】
図1および図2に示すように、操作部100は、本体部101と、突出部102と、導電体層103とを含む。
【0015】
本体部101は、操作ノブ10の外表面からその内部に亘って延在している。本実施の形態においては、本体部101は、縦断面において、縦方向に延在する部分と横方向に延在する部分とを含み、L字状の形状を有している。ただし、本体部101の形状は、これに限られない。本体部101は、たとえば、ABS樹脂などの樹脂により構成されている。
【0016】
図2に示すように、突出部102は、操作部100の指Fが接触する位置とは反対の他端側において、後述するばねに向かって突出している。本実施の形態においては、突出部102は、本体部101の横方向に延在する部分の先端側の下面から下方に突出している。突出部102は、半球状の形状を有している。
【0017】
図1および図2に示すように、導電体層103は、本体部101および突出部102の表面に設けられている。突出部102を覆っている部分の導電体層103は、仮想球面に沿った凸面103aを有している。すなわち、操作部100は、仮想球面に沿った凸面103aを有している。
【0018】
導電体層103は、たとえば、クロム、亜鉛、アルミニウムまたはチタンなどの弁金属を含んでいる。導電体層103は、たとえば、本体部101および突出部102に対してメッキすることによって形成される。これにより、操作部100は、表面に存在する弁金属を含んでいる。
【0019】
本実施の形態における操作部100は、表面に存在する弁金属を含んでいることにより、図示しない不動態膜が表面に形成されている状態になることがある。具体的には、この不動態膜は、弁金属と酸素とが結合することによって形成される酸化被膜である。本実施の形態における不動態膜の厚みは、たとえば、1nm以上3nm以下である。
【0020】
図1に示すように、カバー部材110は、スイッチ装置1の内部の構成部材を覆う。カバー部材110は、ABS樹脂などの合成樹脂により構成されている。
【0021】
固定部20は、第2部材と、支持部材140と、静電容量検出回路150と、プッシャとを含む。本実施の形態における第2部材は、ばね120である。
【0022】
図2に示すように、ばね120は、第1部材の表面に線接触または面接触することによって第1部材と電気的に接続されている。本実施の形態におけるばね120は、操作部100の表面に線接触することによって操作部100と電気的に接続されている。
【0023】
互いに接触している操作部100およびばね120の接触箇所130は、仮想球面に沿った凸面103aとばね120の中心軸方向の端縁121とで構成されている。なお、ばね120は、ばね120の中心軸方向に直交する方向に沿って端縁121が配置されるように、クローズエンド方式のばねであることが望ましい。
【0024】
本実施の形態におけるばね120は、たとえば、ステンレス鋼により構成されている。なお、ばね120の材料は、ステンレス鋼に限定されず、鉄または銅などの導電性を有する金属であってもよい。
【0025】
ばね120は、第1部材の表面と摺動可能である。本実施の形態においては、ばね120の端縁121と導電体層103の凸面103aとが摺動可能である。これにより、操作部100の凸面103aとばね120の端縁121とは、互いに摺動可能に線接触している。
【0026】
図1に示すように、支持部材140は、操作ノブ10を支持する。支持部材140は、たとえば、ABS樹脂などの樹脂により構成されている。支持部材140には、貫通孔が形成されている。支持部材140の貫通孔内に、ばね120が挿入されている。
【0027】
静電容量検出回路150は、支持部材140の下方に配置されている。静電容量検出回路150は、接点151と、検出部152と、配線153とを含む。
【0028】
接点151は、ばね120の操作部100と接触する側とは反対側の端において、ばね120と接触している。検出部152は、静電容量の変化を検出する静電マイコンである。配線153は、接点151と、検出部152とを電気的に接続している。
【0029】
操作部100およびばね120は、操作ノブ10と静電容量検出回路150との間の通電経路を構成している。具体的には、操作ノブ10と静電容量検出回路150の接点151との間の通電経路は、導電体層103およびばね120によって構成されている。これにより、指Fが操作部100に接触することによる静電容量の増加を検出部152において検出することが可能となる。
【0030】
本開示の実施の形態1におけるプッシャは、第1プッシャ161と第2プッシャ162とを含む。
【0031】
操作ノブ10が突出部102を中心として図1の左下方に傾斜させられた場合、操作ノブ10によって第1プッシャ161が押されることにより、スイッチがOFF状態から第1ON状態に切り替えられる。
【0032】
操作ノブ10が突出部102を中心として図1の右下方に傾斜させられた場合、操作ノブ10によって第2プッシャ162が押されることにより、スイッチがOFF状態から第2ON状態に切り替えられる。
【0033】
スイッチ装置1が車両用の複数のパワーウインドの開閉制御に適用される場合、検出部152が静電容量の増加を検出することにより複数のパワーウインドの中から開閉制御が行なわれるパワーウインドが選択され、スイッチが第1ON状態においてパワーウインドが開く方向に駆動され、スイッチが第2ON状態においてパワーウインドが閉じる方向に駆動され、スイッチがOFF状態においてパワーウインドの開閉駆動が停止される。
【0034】
図3は、本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置における操作ノブが傾斜させられた状態の操作部とばねとの接触状態を示す断面図である。
【0035】
図3に示すように、ばね120は、操作部100の表面と摺動可能に接触することにより操作部100と電気的に接続されている。操作部100が突出部102を中心として傾斜することによって、互いに接触している導電体層103の凸面103aとばね120の端縁121とが摺動して互いの接触する位置が変化する。これにより、操作部100およびばね120は、接触箇所130aにおいて互いに接触する。
【0036】
操作部100とばね120とが線接触した状態で摺動することによって、操作部100の表面に形成されている不動態膜は、摺動時の摩擦によって剥離する。不動態膜が剥離することによって、導電体層103とばね120とが不動態膜を間に挟むことなく接触するため、操作部100とばね120との電気的接続が安定化する。
【0037】
なお、導電体層103の凸面103aの表面に、グリスが塗布されていてもよい。グリスが塗布されている場合、摺動によって不動態膜が剥離した後の凸面103aの表面に存在する弁金属と大気との接触がグリスによって遮断されるるため、不動態膜が形成されにくくすることができる。
【0038】
ここで、人の指の接触を静電容量によって検出する回路の通電経路において第1部材と第2部材との間にボールを配置した比較例に係るスイッチ装置について説明する。なお、本比較例に係るスイッチ装置において、本開示の実施の形態1のスイッチ装置1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0039】
図4は、比較例に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。図4に示すように、比較例に係るスイッチ装置9は、第1部材である操作部900と、第2部材であるばね920と、支持部材940と、ボール970とを備える。
【0040】
操作部900は、本体部901と、導電体層903とを含み、突出部を有していない。ばね920は、支持部材940の貫通孔内に挿入されている。
【0041】
ボール970は、支持部材940の貫通孔内に挿入されており、ばね920の上方に配置されている。ボール970は、操作部900およびばね920の各々に接触している。具体的には、ボール970は、導電体層903と第1接触部971において点接触し、ばね920の端縁921と第2接触部972において線接触している。
【0042】
操作ノブが傾斜させられた場合、操作部900は、ボール970の表面に沿って傾斜する。具体的には、操作部900は、ボール970の表面と摺動することなくボール970と点接触する位置を変えながら傾斜する。
【0043】
図5は、実施の形態1および比較例の各々のスイッチ装置における操作ノブと静電容量検出回路との間の通電経路の電気抵抗値の変化を示すグラフである。図5においては、縦軸に電気抵抗(Ω)、横軸に時間(t)を示している。操作ノブの傾斜動作を間隔をあけて繰り返し行なった際の、電気抵抗値の変化を計測している。
【0044】
図5に示すように、比較例に係るスイッチ装置9においては、操作ノブと静電容量検出回路との間の通電経路の電気抵抗値が顕著に増加して電気的接続が維持できない時がある。その結果、スイッチ装置9の通電経路における電気的接続が不安定になる。
【0045】
一般に、弁金属に形成される不動態膜は、酸化物であるため高い電気抵抗値を有する。しかし、不動態膜は、膜厚が薄いため、確率的に発現する電子のトンネル効果によって通電することができる。このトンネル効果は、接触面積が大きくなるほど発現する確率が高くなる。すなわち、点接触して接触面積が小さい場合には、トンネル効果が発現しにくく電気抵抗値が増加し、線接触または面接触して接触面積が大きい場合には、点接触する場合と比較してトンネル効果が発現する確率が高くなり電気抵抗値が低下する。したがって、不動態膜を挟んで接触する通電経路の構成部材同士が線接触または面接触する場合、不動態膜における電気抵抗値を低く維持することができる。
【0046】
図4に示すように、比較例に係るスイッチ装置9においては、操作部900とボール970とが第1接触部971において点接触している。これにより、スイッチ装置9の通電経路における電気的接続が不安定化して、人の指が操作部900に接触した際の静電容量の増加を検出できない時が生じる。
【0047】
一方、図2および図3に示すように、本実施の形態に係るスイッチ装置1においては、操作部100とばね120とが接触箇所130,130aにおいて線接触しているため、電子のトンネル効果が発現しやすくなることにより、不動態膜における電気抵抗値を低く維持することができる。これにより、図5に示すように、操作ノブと静電容量検出回路との間の通電経路の電気抵抗値を時間の経過によらず略一定に低く維持できるため、スイッチ装置1の通電経路における電気的接続が安定化して、人の指が操作部100に接触した際の静電容量の増加を確実に検出することができる。
【0048】
本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置1においては、表面に存在する弁金属を含む第1部材としての操作部100と第2部材としてのばね120とが線接触することによって、操作部100とばね120とが点接触する場合と比較して、操作部100の表面に弁金属の不動態膜が形成された場合において、電子のトンネル効果の発現確率を高くして不動態膜の電気抵抗値を低く維持できるため、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる。
【0049】
本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置1においては、第2部材としてのばね120が第1部材としての操作部100に摺動可能に接触していることによって、操作部100の表面に形成された不動態膜を摺動時の摩擦により剥離させることができるため、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる。
【0050】
本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置1においては、操作部100とばね120との接触箇所130が導電体層103の凸面103aとばね120の端縁121とによって線接触していることによって、操作ノブの傾斜位置にかかわらず、操作部100とばね120との線接触を維持することができる。
【0051】
本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置1においては、第1部材としての操作部100および第2部材としてのばね120が操作ノブ10と静電容量検出回路150との間の通電経路を構成していることによって、操作ノブと静電容量検出回路との間の通電経路の電気抵抗値を低く維持して、スイッチ装置1の通電経路における電気的接続を安定化することができる。
【0052】
(実施の形態2)
以下、本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置について説明する。本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置は、第2部材の構成が本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置と異なるため、本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0053】
図6は、本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。図6に示すように、本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置1Aは、操作ノブと、固定部とを備える。操作ノブは、第1部材としての操作部100を含む。
【0054】
操作部100は、本体部101と、突出部102と、導電体層103とを含む。突出部102を覆っている部分の導電体層103は、仮想球面に沿った凸面103aを有している。本実施の形態における操作部100は、表面に存在する弁金属を含んでいることにより、図示しない不動態膜が表面に形成されている状態になることがある。
【0055】
固定部は、第2部材としての導電部材220を含む。導電部材220は、たとえば、導電ゴムにより構成されている。なお、導電部材220の材料は、導電ゴムに限定されず、導電性および弾性を有する材料であればよい。
【0056】
導電部材220は、操作部100の表面に面接触することによって操作部100と電気的に接続されている。
【0057】
具体的には、導電部材220は、凹面221を有している。互いに接触している操作部100および導電部材220の接触箇所230は、同一の仮想球面に沿った凸面103aと凹面221とで構成されている。
【0058】
本実施の形態においては、導電部材220の凹面221と導電体層103の凸面103aとが摺動可能である。これにより、操作部100の凸面103aと導電部材220の凹面221とは、互いに摺動可能に面接触している。
【0059】
操作部100および導電部材220は、操作ノブと静電容量検出回路との間の通電経路を構成している。
【0060】
本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置1Aにおいては、表面に存在する弁金属を含む第1部材としての操作部100と第2部材としての導電部材220とが面接触することによって、操作部100と導電部材220とが点接触する場合と比較して、操作部100の表面に弁金属の不動態膜が形成された場合において、電子のトンネル効果の発現確率を高くして不動態膜の電気抵抗値を低く維持できるため、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる。
【0061】
本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置1Aにおいては、第2部材としての導電部材220が第1部材としての操作部100に摺動可能に接触していることによって、操作部100の表面に形成された不動態膜を摺動時の摩擦により剥離させることができるため、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる。
【0062】
本開示の実施の形態2に係るスイッチ装置1Aにおいては、操作部100と導電部材220との接触箇所230が導電体層103の凸面103aと導電部材220の凹面221とによって面接触していることによって、操作ノブの傾斜位置にかかわらず、操作部100と導電部材220との面接触を維持することができる。
【0063】
(実施の形態3)
以下、本開示の実施の形態3に係るスイッチ装置について説明する。本開示の実施の形態3に係るスイッチ装置は、第1部材および第2部材の構成が本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置と異なるため、本開示の実施の形態1に係るスイッチ装置と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0064】
図7は、本開示の実施の形態3に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。図7に示すように、本開示の実施の形態3に係るスイッチ装置1Bは、操作ノブと、固定部とを備える。操作ノブは、第1部材としての操作部300を含む。操作部300は、本体部301と、突出部302と、導電体層303とを含む。
【0065】
突出部302は、操作部300の指が接触する位置とは反対の他端側において、後述するばねに向かって突出している。本実施の形態においては、突出部302は、本体部301の横方向に延在する部分の先端側の下面から下方に突出している。突出部302は、先端の一部がテーパ状の円柱状である。
【0066】
導電体層303は、本体部301および突出部302の表面に設けられている。突出部302を覆っている部分の導電体層303は、円周面303aを有している。
【0067】
固定部は、第2部材を含む。本実施の形態における第2部材は、ばね320である。ばね320は、操作部300の表面に線接触することによって操作部300と電気的に接続されている。
【0068】
突出部302は、ばね320の内側に嵌め込まれている。互いに接触している操作部300およびばね320の接触箇所330は、円周面303aとばね320の内側の周縁322とで構成されている。これにより、操作部300とばね320とは、互いに線接触している。
【0069】
なお、本実施の形態においては、ばね320の内側の周縁322と円周面303aとが線接触しているが、この構成に限定されず、突出部302の下面に凹部が形成され、当該凹部にばね320が嵌め込まれていてもよい。この場合、ばね320の外側の周縁と凹部の内側の円周面とが線接触する。また、本実施の形態におけるばね320は、ばね320を構成している線材の縦断面形状が円形状であることによって突出部302と線接触しているが、ばね320を構成している線材の縦断面形状が四角形状であることにより、円周面303aとばね320とが面接触していてもよい。
【0070】
本開示の実施の形態3に係るスイッチ装置1Bにおいては、表面に存在する弁金属を含む第1部材としての操作部300と第2部材としてのばね320とが線接触することによって、操作部300とばね320とが点接触する場合と比較して、操作部300の表面に弁金属の不動態膜が形成された場合において、電子のトンネル効果の発現確率を高くして不動態膜の電気抵抗値を低く維持できるため、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる。
【0071】
本開示の実施の形態3に係るスイッチ装置1Bにおいては、操作部300とばね320との接触箇所330が導電体層303の円周面303aとばね320の周縁322とによって線接触していることによって、操作ノブの傾斜位置にかかわらず、操作部300とばね320との線接触を維持することができる。
【0072】
上記のスイッチ装置は、揺動式のスイッチ装置に静電容量検出回路が設けられている場合について例示しているが、揺動式のスイッチ装置に限定されず、トグルスイッチ、スライドスイッチまたはロータリースイッチなど、他の型式のスイッチ装置に本開示の静電容量検出構造が設けられる構造であってもよい。
【0073】
以上に説明した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例である。
【0074】
第1の態様に係るスイッチ装置は、表面に存在する弁金属を含む第1部材と、前記第1部材の前記表面に線接触または面接触することによって前記第1部材と電気的に接続された第2部材とを備える。
【0075】
このスイッチ装置では、表面に存在する弁金属を含む第1部材と第2部材とが線接触することによって、第1部材と第2部材とが点接触する場合と比較して、第1部材の表面に弁金属の不動態膜が形成された場合において、電子のトンネル効果の発現確率を高くして不動態膜の電気抵抗値を低く維持できるため、表面に弁金属が存在する構成部材を含む通電経路の電気的接続を安定化することができる。
【0076】
また、前記第2部材は、前記第1部材の前記表面と摺動可能であってもよい。
【0077】
第2の態様に係るスイッチ装置は、表面に存在する弁金属を含む第1部材と、前記第1部材の前記表面と摺動可能に接触することにより前記第1部材と電気的に接続された第2部材とを備える。
【0078】
また、互いに接触している前記第1部材および前記第2部材の接触箇所は、互いに摺動可能に線接触している、仮想球面に沿った凸面とばねの中心軸方向の端縁とで構成されていてもよい。
【0079】
また、互いに接触している前記第1部材および前記第2部材の接触箇所は、互いに摺動可能に面接触している、同一の仮想球面に沿った凸面と凹面とで構成されていてもよい。
【0080】
また、互いに接触している前記第1部材および前記第2部材の接触箇所は、互いに線接触している、円周面とばねの周縁とで構成されていてもよい。
【0081】
あるいは、前記第1部材は、前記仮想球面に沿った前記凸面を有しており、前記第2部材は、前記ばねであってもよい。
【0082】
あるいは、前記第1部材は、円柱状の突出部を有しており、前記第2部材は、前記ばねであり、前記突出部は、前記ばねの内側に嵌め込まれていてもよい。
【0083】
この場合において、前記第1部材は、スイッチの切替操作を受け付ける操作ノブの一部を構成していてもよい。
【0084】
この場合において、静電容量検出回路をさらに備え、前記第1部材および前記第2部材は、前記操作ノブと前記静電容量検出回路との間の通電経路を構成していてもよい。
【0085】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではない。また、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。上述した実施の形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,9 スイッチ装置、10 操作ノブ、20 固定部、100,300,900 操作部、101,301,901 本体部、102,302 突出部、103,303,903 導電体層、103a 凸面、110 カバー部材、120,320,920 ばね、121,921 端縁、130,130a,230,330 接触箇所、140,940 支持部材、150 静電容量検出回路、151 接点、152 検出部、153 配線、161 第1プッシャ、162 第2プッシャ、220 導電部材、221 凹面、303a 円周面、322 周縁、970 ボール、971 第1接触部、972 第2接触部、F 指。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7