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特開2022-175635相互依存ネットワーク設定方法、装置およびプログラム
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  • 特開-相互依存ネットワーク設定方法、装置およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175635
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】相互依存ネットワーク設定方法、装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/44 20220101AFI20221117BHJP
   H04L 45/02 20220101ALI20221117BHJP
【FI】
H04L12/715
H04L12/751
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082230
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】599108264
【氏名又は名称】株式会社KDDI総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】荻野 長生
(72)【発明者】
【氏名】北原 武
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030HC01
5K030JA11
5K030LB08
5K030MA07
5K030MD01
(57)【要約】
【課題】相互依存ネットワークにおいて、ラグランジュ緩和問題を各初期ノード障害に関する部分問題に分割して各部分問題を個別に求解することにより、与えられた初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定を短時間で実現する。
【解決手段】相互依存ネットワークにおいて、ネットワーク間リンク設定問題を表現する混合整数計画法モデルに対して、当該モデルのラグランジュ緩和問題を各初期ノード障害に関する部分問題に分割して各部分問題を個別に求解する。ラグランジュ緩和問題の解から近似解を生成する際に、ラグランジュ緩和問題を構成する部分問題の目的関数値を大きくするネットワーク間リンク設定を近似解候補として選択する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に依存する一のネットワークのサポートノードを他の一のネットワークの被サポートノードに接続するネットワーク間リンクをコンピュータが設定する相互依存ネットワーク設定方法において、
想定される複数の初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定問題を表現する混合整数計画法モデルのラグランジュ緩和問題を各初期ノード障害に関する部分問題に分割し、
各部分問題を個別に求解して初期ノード障害別カスケード障害コストの総和を所定の制約下で最小化し、
前記総和が最小化したときの初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい部分問題の解であるネットワーク間リンクを設定することを特徴とする相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項2】
前記総和が最小化したときの初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい少なくとも一つの部分問題を選択し、
前記選択した部分問題の解として求まったネットワーク間リンク設定に固定した条件下で全ての初期ノード障害に対するカスケード障害コストを算出し、
最小のカスケード障害コストを実現するネットワーク間リンクを近似解として出力することを特徴とする請求項1に記載の相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項3】
前記混合整数計画法モデルが「ネットワーク間リンク設定は全ての初期ノード障害に対して同一である」ことを制約条件として含み、前記ラグランジュ緩和問題では当該制約条件がラグランジュ緩和されることを特徴とする請求項1または2に記載の相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項4】
前記各部分問題を個別に求解して初期ノード障害別カスケード障害コストの総和を最小化することを、当該最小化された総和が所定の制約下で最大化したと見做せるまで、前記ラグランジュ緩和におけるラグランジュ乗数を更新しながら繰り返すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項5】
前記ラグランジュ乗数の更新幅が所定の閾値を下回るまで当該ラグランジュ乗数の更新を繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項6】
前記各ネットワークが、特定ノードおよび当該特定ノードとの接続性を維持できないときに障害となる一般ノードを含み、
前記特定ノードおよび一般ノードのうち、少なくとも一般ノードの少なくとも一部がサポートノードとして機能し、
前記特定ノードおよび一般ノードのうち、少なくとも一部の特定ノードおよび少なくとも一部の一般ノードの少なくとも一方が被サポートノードとして機能し、
前記混合整数計画法モデルが、ネットワークごとに正常な一般ノードの正常な特定ノードへの接続性を保証する制約式を更に含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項7】
前記混合整数計画法モデルが最小化すべき目的関数として、与えられた初期ノード障害に起因するカスケード障害コストのCVaRを用いたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項8】
前記相互に依存する各ネットワークの情報およびネットワーク間リンクの候補情報に基づいて相互依存ネットワークの拡張グラフを生成し、
前記ラグランジュ緩和により得られる拡張グラフ上のラグランジュ緩和問題を求解することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の相互依存ネットワーク設定方法。
【請求項9】
相互に依存する一のネットワークのサポートノードを他の一のネットワークの被サポートノードに接続するネットワーク間リンクを設定する相互依存ネットワーク設定装置において、
想定される複数の初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定問題を表現する混合整数計画法モデルのラグランジュ緩和問題を各初期ノード障害に関する部分問題に分割する手段と、
各部分問題を個別に求解して初期ノード障害別カスケード障害コストの総和を所定の制約下で最小化する手段と、
前記総和が最小化したときの初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい部分問題の解であるネットワーク間リンクを設定する手段とを具備したことを特徴とする相互依存ネットワーク設定装置。
【請求項10】
ネットワーク間リンクを設定する手段は、
前記総和が最小化したときの初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい少なくとも一つの部分問題を選択し、
前記選択した部分問題の解として求まったネットワーク間リンク設定に固定した条件下で全ての初期ノード障害に対するカスケード障害コストを算出し、
最小のカスケード障害コストを実現するネットワーク間リンクを近似解として出力することを特徴とする請求項9に記載の相互依存ネットワーク設定装置。
【請求項11】
前記混合整数計画法モデルが「ネットワーク間リンク設定は全ての初期ノード障害に対して同一である」ことを制約条件として含み、前記ラグランジュ緩和問題では当該制約条件がラグランジュ緩和されることを特徴とする請求項9または10に記載の相互依存ネットワーク設定装置。
【請求項12】
相互に依存する一のネットワークのサポートノードを他の一のネットワークの被サポートノードに接続するネットワーク間リンクを設定する相互依存ネットワーク設定プログラムにおいて、
想定される複数の初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定問題を表現する混合整数計画法モデルのラグランジュ緩和問題を各初期ノード障害に関する部分問題に分割する手順と、
各部分問題を個別に求解して初期ノード障害別カスケード障害コストの総和を所定の制約下で最小化する手順と、
前記総和が最小化したときの初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい部分問題の解であるネットワーク間リンクを設定する手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする相互依存ネットワーク設定プログラム。
【請求項13】
前記ネットワーク間リンクを設定する手順が、
前記総和が最小化したときの初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい少なくとも一つの部分問題を選択する手順と、
前記選択した部分問題の解として求まったネットワーク間リンク設定に固定した条件下で全ての初期ノード障害に対するカスケード障害コストを算出する手順とを含み、
最小のカスケード障害コストを実現するネットワーク間リンクを近似解として出力することを特徴とする請求項12に記載の相互依存ネットワーク設定プログラム。
【請求項14】
前記混合整数計画法モデルが「ネットワーク間リンク設定は全ての初期ノード障害に対して同一である」ことを制約条件として含み、前記ラグランジュ緩和問題では当該制約条件がラグランジュ緩和されることを特徴とする請求項12または13に記載の相互依存ネットワーク設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互依存ネットワーク設定方法、装置およびプログラムに係り、特に、相互依存ネットワークにおいて、ノード障害に起因するカスケード障害時における障害コストを最小化できるネットワーク間リンク設定を実現する相互依存ネットワーク設定方法、装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信システム、電力供給システムあるいは交通システムのように、ネットワーク化されたシステムは相互に依存する。通信システムと電力供給システムとの関係を例にとれば、電力供給システムは通信ネットワーク経由での制御により正常に機能し、通信システムは電力供給ネットワークからの電力供給により機能するという相互依存性を有する。
【0003】
このように相互依存の関係のあるシステムでは、それぞれ単体では障害への十分な耐性を有していても、一方の局所的な障害が連鎖的にシステム全体へと波及していくカスケード障害が問題となる。ここで、カスケード障害の波及効果は、相互依存の関係のあるネットワークを接続するネットワーク間リンクの設定に左右される。
【0004】
特許文献1は、与えられた初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定法を開示している。
【0005】
非特許文献1は、ネットワークを構成する正常ノードからのサポートが受けられることに加えて、各ネットワークグラフにおける最大部分グラフに属することをノード正常性の判定基準として、カスケード障害時の障害ノード数を最小化するようなネットワーク間リンク設定法を開示している。
【0006】
非特許文献2は、サポートを受けるネットワークが非連結となるような障害サポートノード数を最大化するネットワーク間リンク設定法を開示している。
【0007】
非特許文献3は、全てのノードが障害となるカスケード障害を引き起こす初期障害ノード数を最大化するようなネットワーク間リンクの再設定法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特願2020-190039号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】S. Chattopadhyay, H. Dai, D. Y. Eun, and S. Hosseinalipour, "Designing optimal interlink patterns to maximize robustness of interdependent networks against cascading failures," IEEE Trans. on Communications, vol. 65, no. 9, pp. 3847-3862, Sept. 2017.
【非特許文献2】J. Zhang and E. Modiano, "Connectivity in interdependent networks," IEEE/ACM Transactions on Networking, vol. 26, no. 5, pp. 2090-2103, Oct. 2018.
【非特許文献3】G. Ishigaki, R. Gour, and J. P. Jue, "Improving the survivability of clustered interdependent networks by restructuring dependencies," IEEE Trans. on Communications, vol. 67, no. 4, pp. 2837-2848, April 2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、与えられた初期ノード障害数の増加と共にネットワーク間リンク設定を提示するために必要な計算時間が急激に増加してしまう。
【0011】
非特許文献1では、通信ネットワークにおけるサーバノードやパワーグリッドネットワークにおけるジェネレータノード等の特定ノードが最大部分グラフ内に存在しない場合、最大部分グラフに属するノードが正常動作するとは限らず、有効なネットワーク間リンク設定が行われない可能性がある。
【0012】
非特許文献2では、ネットワークが非連結になったとしても、各部分グラフにサーバノードやジェネレータノード等の特定ノードが含まれていれば、各ノードは正常動作するので、必ずしも有効なネットワーク間リンク設定が行われない可能性がある。
【0013】
非特許文献3では、全てのノードが障害にならない場合でも、サーバノードやジェネレータノード等の特定ノードが全て障害になれば、ネットワーク全体で動作不能となるので、必ずしも有効なネットワーク間リンク再設定が行われない可能性がある。
【0014】
本発明の目的は、上記の技術課題を解決し、相互依存ネットワークにおいて、ラグランジュ緩和問題を各初期ノード障害に関する部分問題に分割して各部分問題を個別に求解することにより、与えられた初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定を短時間で実現できる相互依存ネットワーク設定方法、装置およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、相互に依存する一のネットワークのサポートノードを他の一のネットワークの被サポートノードに接続するネットワーク間リンクをコンピュータで設定する相互依存ネットワーク設定方法において、想定される複数の初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定問題を表現する混合整数計画法モデルをラグランジュ緩和して各初期ノード障害に関する部分問題に分割し、各部分問題を個別に求解して初期ノード障害別カスケード障害コストの総和を最小化する。
【0016】
前記総和が最小化したときの初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい少なくとも一つの部分問題を選択し、前記選択した部分問題の解として求まったネットワーク間リンク設定に固定した条件下で、全ての初期ノード障害に対するカスケード障害コストを算出する。最小のカスケード障害コストを実現するネットワーク間リンクを混合整数計画法モデルの近似解として出力する。
【発明の効果】
【0017】
(1) 相互依存ネットワークにおいて、ネットワーク間リンク設定問題を表現する混合整数計画法モデルのラグランジュ緩和問題を各初期ノード障害に関する部分問題に分割し、各部分問題を個別に求解することにより、与えられた初期ノード障害数が増加した場合でも、ネットワーク間リンク設定問題の近似解法を高速に実行できる。
【0018】
(2) ラグランジュ緩和問題の解から近似解を生成する際に、ラグランジュ緩和問題を構成する部分問題の目的関数値を大きくするネットワーク間リンク設定を近似解候補として選択することにより、精度の良い近似解を効率的に探索できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のネットワーク間リンク設定方法が適用される相互依存ネットワークの例を示した図である。
図2】本発明の一実施形態に係る相互依存ネットワーク設定装置の機能ブロック図である。
図3】相互依存ネットワークの拡張グラフの一例を示した図である。
図4】本発明の一実施形態の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明のネットワーク間リンク設定が適用される相互依存ネットワークの例を示した図であり、ネットワーク0とネットワーク1とがネットワーク間リンクにより相互に接続されて相互依存ネットワークを構成する。本実施形態では、ネットワーク0として通信ネットワークNW0を想定し、ネットワーク1としてパワーグリッドネットワークNW1を想定するが、本発明はこの組み合わせに限定されない。
【0021】
通信ネットワークNW0は、サーバノードおよびゲートウェイノードを含む。サーバノードは特定ノードとして機能し、ゲートウェイノードは一般ノードとして機能する。パワーグリッドネットワークNW1はジェネレーションノードおよび分配ノードを含む。ジェネレーションノードは特定ノードとして機能し、分配ノードは一般ノードとして機能する。
【0022】
通信ネットワークNW0の各ノードmは、パワーグリッドネットワークNW1によってジェネレーションノードに接続された分配ノードからネットワーク間リンク経由で電力供給を受ける。パワーグリッドネットワークNW1の各ノードnは、通信ネットワークによってサーバノードに接続されたゲートウェイノードからネットワーク間リンク経由で制御を受ける。
【0023】
これ以降、通信ネットワークNW0の各ノードにネットワーク間リンク経由で電力を供給するパワーグリッドネットワークNM1の分配ノードや、パワーグリッドネットワークNM1の各ノードをネットワーク間リンク経由で制御する通信ネットワークNW0のゲートウェイノードを「サポートノード」と表現し、サポートされる各ノードを「被サポートノード」と表現する場合もある。被サポートノードと当該被サポートノードをサポートできるサポートノード候補は予め与えられる。
【0024】
本実施形態では一般ノードのみがサポートノードとしての機能を有する場合を例にして説明するが、特定ノードおよび一般ノードのうち少なくとも一般ノードの少なくとも一部がサポートノードとして機能できる。
【0025】
また、本実施形態では特定ノードおよび一般ノードの全てが被サポートノードとして機能する場合を例にして説明するが、特定ノードおよび一般ノードのうち、少なくとも一部の特定ノードおよび少なくとも一部の一般ノードの少なくとも一方が被サポートノードとして機能できる。
【0026】
相互依存ネットワークを構成する各ノードは、正常なサポートノードから所要量のサポートが受けられなくなった場合に加えて、同一ネットワークの正常な特定ノードとの接続性が維持できなくなった場合に障害(機能不全)となる。
【0027】
すなわち、通信ネットワークNW0を構成する各ノードmは、パワーグリッドネットワークNM1の分配ノードが障害になって必要な電力供給が途絶えた場合に加えて、通信ネットワークNW0の正常なサーバノード(特定ノード)との接続性が維持できなくなった場合に障害となる。
【0028】
同様に、パワーグリッドネットワークNM1を構成する各ノードnは、通信ネットワークNW0のゲートウェイノードが障害になって必要な制御を受けられなくなった場合に加えて、パワーグリッドネットワークNM1の正常なジェネレーションノード(特定ノード)との接続性が維持できなくなった場合に障害となる。
【0029】
更に、相互依存ネットワークにおける正常な一般ノードと正常な特定ノードとの間には、当該一般ノードがサポートノードとして被サポートノードへ提供するサポート量に応じたサポートフローが確保されねばならない。
【0030】
すなわち、通信ネットワークNW0における正常なゲートウェイノードと正常なサーバノードとの間には、当該ゲートウェイノードからパワーグリッドネットワークNW1への制御量に応じた通信容量が確保されねばならない。
【0031】
同様に、パワーグリッドネットワークNW1における正常な分配ノードと正常なジェネレーションノードとの間には、分配ノードから通信ネットワークNW0への給電量に応じた電力容量が確保されねばならない。
【0032】
図1において、ネットワーク0を構成する各ノードmはネットワーク間リンクを介してネットワーク1の一般ノードからサポートを受ける。同様に、ネットワーク1を構成する各ノードnはネットワーク間リンクを介してネットワーク0の一般ノードからサポートを受ける。
【0033】
ネットワーク間リンクは、サポートノードから被サポートノードに向かう有向リンクによって表現される。相互依存ネットワーク内の1つのネットワークにおいてノード障害(初期ノード障害)が発生すると、当該ノードからサポートを受けている他のネットワークを構成するノードも含めて、次々とノード障害が広がって行くカスケード障害が発生する恐れがある。
【0034】
例えば、図1のネットワーク構成において、初期ノード障害としてノードm6が障害になると、ノードm6がサポートしているノードn5が障害となり、ノードn6と特定ノードn1およびn2との接続性が失われる。その結果、ノードn6が障害となり、ノードn6がサポートしているノードm4も障害となって、ノードm5と特定ノードm1およびm2との接続性が失われる。その結果、ノードm5が障害となるため、ノードm5がサポートしているノードn3およびn4も障害となり、最終的に1個の初期ノード障害から全てのノードが障害となる。
【0035】
本実施形態では、初期ノード障害の集合が与えられた時に、カスケード障害による最終的な障害コストのCVaR(Conditional Value at Risk)を最小化するようなネットワーク間リンク設定法を提示する。ここで、CVaRはカスケード障害を障害コストの昇順に並べた時、先頭からの発生確率の合計が確率水準以内に入るカスケード障害を除いた、障害コストの大きなカスケード障害における平均障害コストを意味する。
【0036】
図2は、本発明を適用したネットワーク間リンク設定を実現する相互依存ネットワーク設定装置1の構成を示した機能ブロック図であり、拡張グラフ生成部101およびネットワーク間リンク選択実行部102を主要な構成としている。
【0037】
このような装置1は、CPU、ROM、RAM、バス、インタフェース等を備えた汎用のコンピュータやサーバに、以下に詳述する各機能を実現するアプリケーション(プログラム)を実装することで構成できる。あるいはアプリケーションの一部をハードウェア化またはソフトウェア化した専用機や単能機としても構成できる。
【0038】
ネットワーク間リンク設定にあたっては、相互に依存するネットワーク0およびネットワーク1に関するネットワーク情報、および各ノードに対するサポートノード候補を示すネットワーク間リンク候補情報が入力として与えられる。各ネットワーク情報には、トポロジー情報、各特定ノードを他のノードから区別する特定ノード情報、各一般ノードを他のノードから区別する一般ノード情報、各特定ノードの最大容量、各ノードの最大中継容量が含まれる。
【0039】
各ノードのサポートノード候補としては、当該各ノードが被サポートノードとなるときにそのサポートノードとの距離が短くなるように、各ノードとの距離が所定の基準距離を下回る複数の一般ノードが選ばれる。または、各ノードとの距離が小さい順に所定数の一般ノードがサポートノード候補として選ばれる。なお、サポートノード候補に選ばれなかった一般ノードはサポートノードとして機能しない。
【0040】
拡張グラフ生成部101は、上記の各入力情報に基づいて拡張グラフを生成する。図3は拡張グラフの一例を示した図であり、ネットワーク0およびネットワーク1の各々に対して1個の拡張ノードm0,n0が追加され、ネットワークごとに各特定ノードから拡張ノードm0,n0へ向けた拡張リンクが設定される。
【0041】
各ネットワークを構成するネットワーク内リンクは、便宜的に、互いに向きの異なる2本の有向リンクで表現される。ネットワーク間リンク候補は、サポートノード候補から被サポートノードに向かう有向リンクによって表現される。
【0042】
ネットワーク間リンク選択実行部102は、ラグランジュ緩和法に基づいて前記拡張グラフ上の混合整数計画法モデルを求解することにより、カスケード障害コストのCVaRを最小化するネットワーク間リンク選択を実行する。
【0043】
前記ネットワーク間リンク選択実行部102には、混合整数計画法モデルの求解に必要な情報として、各ノードの所要サポート量情報、各ノードに対する選択すべきネットワーク間リンク数を表すサポートノード数情報、対象とする初期ノード障害に関する情報、各ノードの障害コスト情報およびCVaRを算出するための確率水準が入力として与えられる。
【0044】
図4は、ラグランジュ緩和法に基づくネットワーク間リンク選択の処理手順を示したフローチャートである。本実施形態では、初期ノード障害に起因するカスケード障害コスト
を最小化する固定的なネットワーク間リンクを選択するために、「ネットワーク間リンク設定は全ての初期ノード障害に対して同一である」ことを制約条件として含む本来の混合整数計画法モデルの当該制約条件をラグランジュ緩和することで、当該モデルを各初期ノード障害に関する部分問題に分割し、部分問題に分割されたラグランジュ緩和問題を、ラグランジュ乗数を更新しながら繰り返し求解することで、与えられた初期ノード障害の数の増大に対して計算量の増加を抑えるネットワーク間リンク選択を実現する。
【0045】
ステップS1では、ラグランジュ乗数が初期化される。ステップS2では、ラグランジュ緩和問題が各初期ノード障害に対応する部分問題、すなわちネットワーク間リンク設定は全ての初期ノード障害に対して同一であるという制約条件を緩和して初期ノード障害ごとに固有の最適解を得る部分問題に分割される。そして、部分問題ごとにその初期ノード障害に起因するカスケード障害コスト(初期ノード障害別カスケード障害コスト)を最小化するネットワーク間リンク設定が個別に求解される。
【0046】
ステップS3では、ラグランジュ緩和問題の求解結果から得られる制約条件を追加して構成される二次計画法モデルを解くことによってラグランジュ乗数が更新される。ステップS4では、ラグランジュ乗数の更新幅が予め決められた閾値以下になったか否かが判定される。更新幅が閾値以下にならなければステップS2へ戻り、ラグランジュ乗数の更新によって制約条件を緩和する前の本来の問題に対する近似度が向上したラグランジュ緩和問題を求解するために上記の各処理が繰り返される。
【0047】
更新幅が閾値以下になれば、ラグランジュ乗数が十分に収束したものと見做してステップS5へ進み、最新のラグランジュ緩和問題を構成する部分問題の求解結果から、初期ノード障害別カスケード障害コストが相対的に大きい少なくとも一つの部分問題が選択される。
【0048】
ステップS6では、前記選択した部分問題の解として求まったネットワーク間リンク設定に固定した条件下で、全ての初期ノード障害に対するカスケード障害コストを算出し、最小のカスケード障害コストを実現するネットワーク間リンクを近似解と見なしてネットワーク間リンク選択を実行する。
【0049】
本実施形態では、拡張グラフ上のラグランジュ緩和問題における定数および集合を以下の様に定義する。
【0050】
M i:ネットワークi(i = 0, 1)のノード集合。拡張ノードは含めない。
Mg i:ネットワークi(i = 0, 1)の特定ノード集合。
Mn i:ネットワークi(i = 0, 1)の一般ノード集合。
m i:ネットワークi(i = 0, 1)の拡張ノード。
【0051】
E i:拡張グラフi(i = 0, 1)におけるリンク集合。
A i (m):ネットワークi(i = 0, 1)を構成するノードmの拡張ノードも含めた隣接ノード集合。
Ns i (m):ネットワークi(i = 0, 1)を構成するノードmのサポートノード候補集合。
Nr i (m):ネットワークi(i = 0, 1)のノードmがサポートノード候補となるネットワーク1 - iの被サポートノード集合。
【0052】
C i m:ネットワークi(i = 0, 1)における特定ノードmの最大容量。
B i m:ネットワークi(i = 0, 1)を構成するノードmの最大中継容量。
S i m:ネットワークi(i = 0, 1)を構成するノードmへの所要サポート量。
k i m:ネットワークi(i = 0, 1)を構成するノードmのサポートノード数。
【0053】
T:初期ノード障害の集合。
Ft:初期ノード障害tにおける障害ノード集合。
Pt:初期ノード障害tの発生確率。
Q i m:ネットワークi(i = 0, 1)を構成するノードmの障害コスト。
β:確率水準。ただし、0以上1未満の実数値。
【0054】
また、本実施形態では初期ノード障害tごとにネットワーク間リンク選択の近似解を求解することから、ラグランジュ緩和問題における各変数を以下の様に定義する。
【0055】
x(t) i m, n:初期ノード障害tが与えられた時、ネットワーク1 - i(i = 0, 1)のノードnからネットワークiのノードmへのネットワーク間リンクを設定する(すなわち、ノードnはノードmのサポートノードとなる)場合に1、そうでない場合に0となるバイナリ変数。
【0056】
f(t) i m:初期ノード障害tが与えられた時、ネットワークi(i = 0, 1)のノードmが障害となる場合に1、正常の場合に0となるバイナリ変数。
f'(t) i m, n:初期ノード障害tが与えられた時、ネットワークi(i = 0, 1)のノードmが、ネットワーク1 - i の障害ノードnからサポートを受ける場合に1、そうでない場合に0となるバイナリ補助変数(k i m = 1の場合には不要)。
【0057】
u(t) i m, m':初期ノード障害tが与えられた時、ネットワークi(i = 0, 1)の拡張グラフにおいて、有向リンク(m, m')を通過するフロー量を表す0以上の実数値変数(正常な一般ノードと特定ノードとの接続性を保証するために使う)。
v(t) i m, m':初期ノード障害tが与えられた時、ネットワークi(i = 0, 1)の拡張グラフにおいて、有向リンク(m, m')を通過するサポートフロー量を表す0以上の実数値変数。
【0058】
w(t) i m, n:初期ノード障害tが与えられた時、ネットワークi(i = 0, 1)のノードmからネットワーク1 - iのノードnへのサポート量を表す0以上の実数値変数。
e(t):初期ノード障害tに起因する最終的なカスケード障害コストを表す実数値変数。
d(t):障害コストのβ-CVaR算出に必要な初期ノード障害tに対する実数値補助変数。
αβ:障害コストのβ-VaRを表す実数値変数。
【0059】
ラグランジュ緩和問題におけるラグランジュ乗数を以下のように定義する。但し、ラグランジュ緩和問題を解く際にはラグランジュ乗数は定数に設定される。ラグランジュ乗数の初期値として、例えば全てのラグランジュ乗数に対してゼロが設定される。
【0060】
μ(t) i m, n:ネットワーク間リンク設定は全ての初期ノード障害に対して同一であることを表す以下の制約条件(L1)に対応するラグランジュ乗数であり、当該制約条件を緩和することで、本来の混合整数計画法モデルを各初期ノード障害に関する部分問題に分割できるようになる。
【0061】
【数1】
【0062】
γ(t):障害コストのβ-CVaR算出に必要な補助変数に対する以下の制約条件(L2)に対応する非負のラグランジュ乗数である。
【0063】
【数2】
【0064】
ラグランジュ緩和問題における制約条件は以下の通りである。
(1) 初期ノード障害tが与えられた時、各ノードに対して選択されるべきサポートノード数に関する制約は次式(1)の通りである。
【0065】
【数3】
【0066】
(2) 初期ノード障害tが与えられた時、正常ノードが正常なサポートノードからサポートを受けられることを保証するための制約は次式(2a),(2b)の通りである。
【0067】
【数4】
【0068】
【数5】
【0069】
(2') k i m = 1の時、上の2つの制約式は次の制約式(2')で置き換えることができる。
【0070】
【数6】
【0071】
(3) 初期ノード障害tが与えられた時、各ノードが受けるサポート量に関する制約は以下の通りである。
【0072】
【数7】
【0073】
【数8】
【0074】
【数9】
【0075】
【数10】
【0076】
(4) 初期ノード障害tが与えられた時、正常な一般ノードから正常な特定ノードへの接続性を保証するためのフロー制約は以下の通りである。
【0077】
【数11】
【0078】
【数12】
【0079】
【数13】
【0080】
【数14】
【0081】
【数15】
【0082】
(5) 初期ノード障害tが与えられた時、サポートフローに関する一般ノードから正常な特定ノードへのフロー制約は以下の通りである。
【0083】
【数16】
【0084】
【数17】
【0085】
【数18】
【0086】
【数19】
【0087】
【数20】
【0088】
(6) 初期ノード障害tが与えられた時、サポートフローに関する容量制約は以下の通りである。
【0089】
【数21】
【0090】
【数22】
【0091】
(7) 各初期ノード障害を表現する制約は以下の通りである。
【0092】
【数23】
【0093】
(8)各初期ノード障害に起因する最終的なカスケード障害コストを表現する制約は以下の通りである。
【0094】
【数24】
【0095】
ラグランジュ緩和問題の求解において最小化すべき目的関数Objは、最終的に次式(9)の様に変形される。本実施形態では、定数として設定される2つのラグランジュ乗数μ(t)i m, nおよびγ(t)を含んで、初期ノード障害tに関する部分問題の項の総和で表現される。
【0096】
【数25】
【0097】
また、目的関数Objが際限なく小さくなって意味をなさない値を取ることがないよう、前記ラグランジュ乗数γ(t),μ(t)m,n iは以下の制約式(L3),(L4),(L5)を満足しなければならない。
【0098】
【数26】
【0099】
ラグランジュ緩和問題における制約条件(1)~(8)は、各初期ノード障害tに対して個別に与えられる。そして、上式(9)のように、ラグランジュ緩和問題の目的関数Objは、各初期ノード障害tに関する項の和の形で与えられるので、当該ラグランジュ緩和問題は各初期ノード障害tに関する混合整数計画法モデルに分割できる。
【0100】
したがって、初期ノード障害tごとに各混合整数計画法モデルを個別に求解することでラグランジュ緩和問題全体の解が得られる。すなわち当該ラグランジュ緩和問題は小規模な部分問題に分割できるので、与えられた初期ノード障害数が増加した場合でも、高速に求解することができる。
【0101】
ラグランジュ乗数の更新は、ラグランジュ緩和問題を求解する度に、求解結果から得られた新たな制約条件を追加して構成される二次計画法モデルを求解することによって実行する。二次計画法モデルの求解を実行する前に、必要に応じてラグランジュ乗数のセンター値の更新を行う。すなわち二次計画法モデルの初回の求解を実行する時は、ラグランジュ乗数の初期値をセンター値に設定する。
【0102】
一方、二次計画法モデルのK(>1)回目の求解の際は、以下の関係式(10)が成立する時、ラグランジュ緩和問題のK回目の求解に使用したラグランジュ乗数を新たにセンター値に設定する。
【0103】
【数27】
【0104】
但し、ObjKはラグランジュ緩和問題のK回目の求解を行った際に最小化された目的関数値、Obj0は現在のセンター値を使用してラグランジュ緩和問題を求解した時に最小化された目的関数値、δK - 1は二次計画法モデルのK-1回目の求解を行った際に最大化された目的関数値、θは予め与えられた0より大きく1より小さい定数である。
【0105】
二次計画法モデルを求解する前にラグランジュ乗数のセンター値を更新した場合は、Obj0の値もObjKの値に更新しておく。二次計画法モデルにおける定数を新たに以下の様に定義する。
【0106】
K:二次計画法モデルの求解回数。
x k (t) i m, n:ラグランジュ緩和問題におけるバイナリ変数x(t) i m, nのk(= 1~K)回目の求解結果。
e k (t):ラグランジュ緩和問題における実数値変数e(t) のk(= 1~K)回目の求解結果。
μk (t) i m, n:ラグランジュ緩和問題のk(= 1~K)回目の求解におけるラグランジュ乗数。
γk (t):ラグランジュ緩和問題のk(= 1~K)回目の求解におけるラグランジュ乗数。
μ0(t) i m, n:ラグランジュ乗数μ(t) i m, nのセンター値。
γ0(t):ラグランジュ乗数γ(t)のセンター値。
ρ:目的関数における正規化項の重み。
【0107】
二次計画法モデルにおける変数を新たに以下の様に定義する。
μ(t) i m, n:ラグランジュ乗数。
γ(t):ラグランジュ乗数。
w:切除平面に関する制約条件を満足する実数値補助変数。
【0108】
二次計画法モデルにおける制約条件は、制約条件(L3)~(L5)に加えて以下の通りである。
【0109】
【数28】
【0110】
制約条件(L6)は、ラグランジュ緩和問題を求解する度に新しく追加される。
二次計画法モデルの求解において最大化すべき目的関数δは次式(L7)の通りである。
【0111】
【数29】
【0112】
ラグランジュ乗数のセンター値に基づく正規化項を目的関数に導入することによって、ラグランジュ乗数の収束過程の安定化が図れる。
【0113】
二次計画法モデルの求解を実行した後、ラグランジュ乗数の更新幅が予め与えられた閾値ε以下か否かを検査する。例えば、二次計画法モデルのK回目の求解を実行した後、以下の不等式(11)が成立するか否かを検査する。
【0114】
【数30】
【0115】
ラグランジュ乗数の更新幅が予め与えられた閾値ε以下の場合は、最新のラグランジュ緩和問題の求解結果に基づき、本来の混合整数計画法モデルの全ての制約条件を満足する実行可能解を近似解として生成する。本実施形態では、最新のラグランジュ緩和問題を構成する各部分問題において、大きな目的関数値(上式(9)の右辺を構成する各項)を求解結果として与える、予め決められた数の部分問題が選択される。
【0116】
選択した各部分問題について、全体のネットワーク間リンク設定を当該部分問題の解として求まったネットワーク間リンク設定に固定した条件下で、本来の混合整数計画法モデルを求解してカスケード障害コストのβ-CVaRを算出する。すなわち、選択された部分問題に対応する初期ノード障害t 0に対して、全体のネットワーク間リンク設定を次式(12)の様に固定する。
【0117】
【数31】
【0118】
混合整数計画法モデルにおける制約条件は、前記制約条件(1)は既に満足されているので、制約条件(2)~(8)およびラグランジュ緩和された以下の制約条件(13)になる。
【0119】
【数32】
【0120】
混合整数計画法モデルにおいて最小化すべき障害コストのβ-CVaRは次式(14)の通りである。
【0121】
【数33】
【0122】
なお、混合整数計画法モデルは、各初期ノード障害に関して制約条件(2)~(8)の下でカスケード障害コストe(t)を個別に最小化した後、制約条件(13)の下で目的関数(14)を最小化しても求解できる。
【0123】
選択した各部分問題に対応する初期ノード障害t0について混合整数計画法モデルを求解した結果、最小のβ-CVaRを実現する部分問題における解であるネットワーク間リンク設定を近似解として提示する。
【0124】
本実施形態によれば、ラグランジュ緩和問題を構成する部分問題の目的関数値を大きくするネットワーク間リンク設定を近似解候補として選択することにより、精度の良い近似解を効率的に探索することができる。
【0125】
そして、上記の実施形態によれば、初期ノード障害に起因するカスケード障害コストを最小化するネットワーク間リンク設定を短時間で実現することが可能となり、ノード障害に対するカスケード障害コストを最小化できる相互依存ネットワークを提供できるようになる。その結果、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、包括的で持続可能な産業化を推進する」や目標11「都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0126】
1…相互依存ネットワーク設定装置,101…拡張グラフ生成部,102…ネットワーク間リンク選択実行部
図1
図2
図3
図4